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特開2023-78709防火開閉体装置の点検システム及び点検方法
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  • 特開-防火開閉体装置の点検システム及び点検方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078709
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】防火開閉体装置の点検システム及び点検方法
(51)【国際特許分類】
   A62C 2/06 20060101AFI20230531BHJP
   E06B 9/82 20060101ALI20230531BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20230531BHJP
   A62C 2/24 20060101ALI20230531BHJP
   A62C 37/50 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
A62C2/06 503
E06B9/82 B
E06B9/17 M
A62C2/24 H
A62C37/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191963
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大助
【テーマコード(参考)】
2E042
2E189
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042BA01
2E042CA01
2E189HA03
(57)【要約】
【課題】防火開閉体装置の点検時に閉鎖状態の開閉体の開放を容易に行うと共に、開閉体を開放するために必要な設備費用を削減することのできる防火開閉体装置の点検システム及び点検方法を提供する。
【解決手段】構造物の内部又は開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、開閉手段の開放状態を保持する保持手段と、保持手段による保持を解除して、開閉手段を閉鎖させる閉鎖手段とを有する防火開閉体装置を、構造物の複数個所に備える。各防火開閉体装置の開閉機を電動で駆動して、各防火開閉体装置の開閉手段を開放させる制御手段を有する点検装置を、複数の防火開閉体装置に共通に備え、各防火開閉体装置は、点検装置を開閉機に接続するための接続手段を有する。開閉手段の開放が点検装置により電動で容易に行われ、開閉機を駆動するために必要な高価な制御設備を、各防火開閉体装置に設ける必要が無い。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の内部又は開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、
前記開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、
前記開閉手段の開放状態を保持する保持手段と、
前記保持手段による保持を解除して、前記開閉手段を閉鎖させる閉鎖手段とを有する防火開閉体装置の点検システムであって、
前記防火開閉体装置を前記構造物の複数個所に備え、
各防火開閉体装置の前記開閉機を電動で駆動して、各防火開閉体装置の前記開閉手段を開放させる制御手段を有する点検装置を、複数の前記防火開閉体装置に共通に備え、
各防火開閉体装置は、前記点検装置を前記開閉機に接続するための接続手段を有することを特徴とする防火開閉体装置の点検システム。
【請求項2】
請求項1に記載の防火開閉体装置の点検システムにおいて、各防火開閉体装置の前記接続手段は、前記閉鎖手段の作動を指示するための作動ボタン、及び前記保持手段の動作の復旧を指示するための復旧ボタンと、前記開閉機に接続された第1のコネクタとを有し、前記点検装置は、前記制御手段に接続され、かつ、各防火開閉体装置の前記第1のコネクタに接続するための第2のコネクタを有することを特徴とする防火開閉体装置の点検システム。
【請求項3】
請求項1、又は2に記載の防火開閉体装置の点検システムにおいて、前記点検装置は、商用電源からの電力の供給が無いときに、前記制御手段へ電力を供給する非常用電源を有することを特徴とする防火開閉体装置の点検システム。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の防火開閉体装置の点検システムにおいて、前記点検装置は、各防火開閉体装置の前記開閉手段の開放を前記制御手段へ指示するための操作スイッチを有することを特徴とする防火開閉体装置の点検システム。
【請求項5】
構造物の内部又は開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、
前記開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、
前記開閉手段の開放状態を保持する保持手段と、
前記保持手段による保持を解除して、前記開閉手段を閉鎖させる閉鎖手段とを有する防火開閉体装置の点検方法であって、
前記構造物の複数個所に設けられた複数の前記防火開閉体装置に対し、
各防火開閉体装置の前記開閉機を電動で駆動して、各防火開閉体装置の前記開閉手段を開放させる制御手段を有する点検装置を、複数の前記防火開閉体装置に共通に使用し、
各防火開閉体装置に、前記点検装置を前記開閉機に接続するための接続手段を設け、前記点検装置を各防火開閉体装置の前記接続手段に接続して、各防火開閉体装置の点検を行うことを特徴とする防火開閉体装置の点検方法。
【請求項6】
請求項5に記載の防火開閉体装置の点検方法において、各防火開閉体装置の前記接続手段に、前記閉鎖手段の作動を指示するための作動ボタン、及び前記保持手段の動作の復旧を指示するための復旧ボタンと、前記開閉機に接続された第1のコネクタとを設け、前記点検装置に、前記制御手段に接続され、かつ、各防火開閉体装置の前記第1のコネクタに接続するための第2のコネクタを設けて、前記第2のコネクタを、各防火開閉体装置の前記第1のコネクタに接続することを特徴とする防火開閉体装置の点検方法。
【請求項7】
請求項5、又は6に記載の防火開閉体装置の点検方法において、前記点検装置に非常用電源を設け、商用電源からの電力の供給が無いときに、前記非常用電源から前記制御手段へ電力を供給することを特徴とする防火開閉体装置の点検方法。
【請求項8】
請求項5、6、又は7に記載の防火開閉体装置の点検方法において、前記点検装置に、各防火開閉体装置の前記開閉手段の開放を前記制御手段へ指示するための操作スイッチを設け、前記操作スイッチの操作により、各防火開閉体装置の前記開閉手段の開放を指示することを特徴とする防火開閉体装置の点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル、工場、倉庫などの構造物の大きな部屋、通路、ホール空間などの内部空間の一部又は開口部、または、地下街や立体駐車場などの構造物の内部空間の一部又は開口部を、防火戸や引き戸、あるいは、シート状、シャッター状、スクリーン状、スラット状又はパネル状の耐火クロスや防火シャッターなどの、遮蔽部材としての開閉体を用いて閉鎖するための防火開閉体装置の点検システム及び点検方法に係り、特に、防火開閉体装置の点検時に、閉鎖状態の開閉体を開放するのに好適な防火開閉体装置の点検システム及び点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、床面積の大きいビル等の建物内部の通路などには、火災発生時の延焼や煙の拡散を防止するために、火災発生時に自動的に閉じる防火シャッターや防火戸などの開閉体を用いて、柱、壁、天井、床などと共に3次元的に囲まれた空間、すなわち防火区画を形成するように動作する防火開閉体装置が備え付けられている。
【0003】
従来、防火開閉体装置には、火災発生時に、防火シャッターや防火戸などの開閉体をその自重により閉鎖させ、閉鎖状態の開閉体を開放する際は、例えば防火シャッターの回転軸をその近傍に備え付けの手動操作用ハンドルで回転させる手動式のものと、開閉体の開閉を開閉機(モータ)により電動で行う電動式のものとがあった。
特許文献1には、電動式の防火開閉体装置を用いた防火設備制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-198640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
防火開閉体装置の点検時には、遮蔽部材である開閉体の閉鎖動作及び開放動作を正常に行えるかどうか、開閉体の閉鎖操作及び開放操作を実際に行って確認する必要がある。
防火開閉体装置の点検時に、手動操作用ハンドルを用いて閉鎖状態の開閉体の開放を行う場合、作業者が脚立や作業台などに上って上部に設けられた点検口を開放しながら、開閉体の開放操作を行う必要があり、操作が大変面倒であった。
一方、特許文献1に記載のような電動式の防火開閉体装置の場合、開閉体を動作させる開閉機(モータ)を電動で駆動制御するための高価な制御盤が開閉体毎に必要であり、設備費用が高価となっていた。また、開閉機(モータ)駆動用の大容量の電源を配線する必要があった。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、防火開閉体装置の点検時に閉鎖状態の開閉体の開放を容易に行うと共に、開閉体を開放するために必要な設備費用を削減することのできる防火開閉体装置の点検システム及び点検方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の防火開閉体装置の点検システムの第1の特徴は、構造物の内部又は開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、開閉手段の開放状態を保持する保持手段と、保持手段による保持を解除して、開閉手段を閉鎖させる閉鎖手段とを有する防火開閉体装置の点検システムであって、防火開閉体装置を構造物の複数個所に備え、各防火開閉体装置の開閉機を電動で駆動して、各防火開閉体装置の開閉手段を開放させる制御手段を有する点検装置を、複数の防火開閉体装置に共通に備え、各防火開閉体装置が、点検装置を開閉機に接続するための接続手段を有することにある。
【0008】
開閉手段を電動で動作させるための開閉機を有する防火開閉体装置を構造物の複数個所に備え、各防火開閉体装置の開閉機を電動で駆動して、各防火開閉体装置の開閉手段を開放させる制御手段を有する点検装置を、複数の防火開閉体装置に共通に備え、各防火開閉体装置が、点検装置を開閉機に接続するための接続手段を有するので、防火開閉体装置の点検時に、点検装置を各防火開閉体装置の接続手段に接続して、閉鎖状態の開閉手段の開放が点検装置の制御手段により電動で容易に行われると共に、開閉機を駆動して開閉手段を開放させるために必要な高価な制御設備を、各防火開閉体装置に設ける必要が無いので、開閉手段を開放するために必要な設備費用が削減される。
【0009】
防火開閉体装置は、ビル、工場、倉庫などの構造物、または、地下街や立体駐車場などの構造物の複数個所に設けられ、それらの遮蔽部材としての開閉体は、建物などの構造物の内部空間の一部又は開口部を閉鎖及び開放する防火シャッター装置、防火カーテン装置、防火戸などで構成される。これ以外にも、防火のための開閉体が、降下方式、回転方式、横引き方式、折り畳み方式、水平方式、上昇方式などで繰り出されたりするものが対応する。
【0010】
本発明の防火開閉体装置の点検システムの第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の防火開閉体装置の点検システムにおいて、各防火開閉体装置の接続手段が、閉鎖手段の作動を指示するための作動ボタン、及び保持手段の動作の復旧を指示するための復旧ボタンと、開閉機に接続された第1のコネクタとを有し、点検装置が、制御手段に接続され、かつ、各防火開閉体装置の第1のコネクタに接続するための第2のコネクタを有することにある。
点検装置の第2のコネクタを各防火開閉体装置の接続手段の第1のコネクタに接続して、点検装置と各防火開閉体装置との接続が容易に行われる。
そして、接続手段に設けた作動ボタンを操作して、閉鎖手段により開閉手段を閉鎖させる指示が容易に行われ、また、接続手段に設けた復旧ボタンを操作して、保持手段により開閉手段の開放状態の保持を復旧させる指示が容易に行われる。
【0011】
本発明の防火開閉体装置の点検システムの第3の特徴は、前記第1、又は第2の特徴に記載の防火開閉体装置の点検システムにおいて、点検装置が、商用電源からの電力の供給が無いときに、制御手段へ電力を供給する非常用電源を有することにある。
火災による停電などで商用電源からの電力の供給が遮断されても、非常用電源から供給される電力を用いて、各防火開閉体装置の開閉手段の開放が行われる。
【0012】
本発明の防火開閉体装置の点検システムの第4の特徴は、前記第1、第2、又は第3の特徴に記載の防火開閉体装置の点検システムにおいて、点検装置が、各防火開閉体装置の開閉手段の開放を制御手段へ指示するための操作スイッチを有することにある。
操作スイッチを各防火開閉体装置の開閉手段毎に設ける場合に比べて、設備費用がさらに削減される。
【0013】
本発明の防火開閉体装置の点検方法の第1の特徴は、構造物の内部又は開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、開閉手段の開放状態を保持する保持手段と、保持手段による保持を解除して、開閉手段を閉鎖させる閉鎖手段とを有する防火開閉体装置の点検方法であって、構造物の複数個所に設けられた複数の防火開閉体装置に対し、各防火開閉体装置の開閉機を電動で駆動して、各防火開閉体装置の開閉手段を開放させる制御手段を有する点検装置を、複数の防火開閉体装置に共通に使用し、各防火開閉体装置に、点検装置を開閉機に接続するための接続手段を設け、点検装置を各防火開閉体装置の接続手段に接続して、各防火開閉体装置の点検を行うことにある。
これは、前記第1の特徴に記載の防火開閉体装置の点検システムに相当する、防火開閉体装置の点検方法である。
【0014】
本発明の防火開閉体装置の点検方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の防火開閉体装置の点検方法において、各防火開閉体装置の接続手段に、閉鎖手段の作動を指示するための作動ボタン、及び保持手段の動作の復旧を指示するための復旧ボタンと、開閉機に接続された第1のコネクタとを設け、点検装置に、制御手段に接続され、かつ、各防火開閉体装置の第1のコネクタに接続するための第2のコネクタを設けて、第2のコネクタを、各防火開閉体装置の第1のコネクタに接続することにある。
これは、前記第2の特徴に記載の防火開閉体装置の点検システムに相当する、防火開閉体装置の点検方法である。
【0015】
本発明の防火開閉体装置の点検方法の第3の特徴は、前記第1、又は第2の特徴に記載の防火開閉体装置の点検方法において、点検装置に非常用電源を設け、商用電源からの電力の供給が無いときに、非常用電源から制御手段へ電力を供給することにある。
これは、前記第3の特徴に記載の防火開閉体装置の点検システムに相当する、防火開閉体装置の点検方法である。
【0016】
本発明の防火開閉体装置の点検方法の第4の特徴は、前記第1、第2、又は第3の特徴に記載の防火開閉体装置の点検方法において、点検装置に、各防火開閉体装置の開閉手段の開放を制御手段へ指示するための操作スイッチを設け、操作スイッチの操作により、各防火開閉体装置の開閉手段の開放を指示することにある。
これは、前記第4の特徴に記載の防火開閉体装置の点検システムに相当する、防火開閉体装置の点検方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の防火開閉体装置の点検システム及び点検方法によれば、防火開閉体装置の点検時に閉鎖状態の開閉体の開放を容易に行うと共に、開閉体を開放するために必要な設備費用を削減することのできる防火開閉体装置の点検システム及び点検方法を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施の形態による防火開閉体装置である防火シャッター装置の概略構成を示す図である。
図2図1に示した防火シャッター装置内の各装置の動作を説明する図である。
図3】本発明の一実施の形態による防火開閉体装置の点検方法の概略動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の他の実施の形態による防火開閉体装置である防火シャッター装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に従って、本発明に係る防火開閉体装置の点検システム及び点検方法の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では、遮蔽部材である開閉手段として、上下に開閉動作されるシャッターカーテンを備えた防火シャッター装置を例に説明する。図1は、本発明の一実施の形態による防火開閉体装置である防火シャッター装置の概略構成を示す図である。図1において、防火開閉体装置10は、遮蔽部材としてのシャッターカーテン12を上下に開閉する防火シャッター装置である。
【0020】
防火開閉体装置10は、建物などの構造物の内部空間又は開口部に設けられており、基本的に、シャッターケース11、シャッターカーテン12、ガイドレール13,14、巻取シャフト15、チェーン16、モータ17、ブレーキ18、連動中継器19、自動閉鎖装置20、リミットスイッチ21、及び接続ボックス22などを含んで構成されている。
【0021】
ガイドレール13,14は、シャッターカーテン12の両端部に接するように建物の内部空間又は開口部の両端側に設けられ、まぐさ部から床面まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材又はこれと同等の部材で構成されている。シャッターカーテン12は、このガイドレール13,14の各案内溝に沿って上昇下降して開閉動作を行う。
【0022】
巻取シャフト15は、シャッターケース11の両端側に回動可能に設けられ、シャッターカーテン12を巻き取ったり巻き戻したりする。チェーン16は、モータ17の回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取シャフト15の回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、モータ17の回転駆動力は、チェーン16を介して巻取シャフト15側に伝達され、モータ17が回転すると、チェーン16を介して巻取シャフト15が回転し、シャッターカーテン12の開閉動作が制御されるようになっている。
【0023】
この防火開閉体装置10は、平常時、シャッターカーテン12が巻取シャフト15に巻き取られている開放状態を、ブレーキ18によって機械的に保持している。そして、外部から火災の発生などを示す非常信号BSなどが連動中継器19へ入力された場合、連動中継器19は、自動閉鎖装置20へ閉鎖指示信号を出力し、自動閉鎖装置20は、閉鎖指示信号に応じてブレーキ18を開放させ、ブレーキ18によるシャッターカーテン12の開放状態の保持を解除する。ブレーキ18による開放状態の保持が解除されると、シャッターカーテン12は、その自重で自然降下して、建物などの構造物の内部空間の一部又は開口部を自動的に閉鎖する。
【0024】
非常信号BSは、火災発生などの非常時に外部の制御室などから供給される直流電圧24[V]の信号であり、危害防止用の連動中継器19に入力される。連動中継器19には、商用電源の電源ラインACから、例えば100Vの交流電力が供給され、また、後述する接続ボックス22から作動信号及び復旧信号が入力される。
【0025】
なお、外部からの非常信号BSの入力と併せて、又は代わりに、シャッターケース11の内側であって、まぐさ部の開口部近傍、すなわちシャッターカーテン12が昇降する部分に温度感知器などを設けてもよい。この温度感知器としては、常時接点がオン状態にあり、接点が所定温度(摂氏100~300度の範囲の任意温度)に達した時点で接点を開きオフ状態となるB接点の自動復帰型の高温度用バイメタル式サーモスタットなどで構成され、接点が開いた場合には火災などが発生したことを示す信号を非常信号BSに相当する信号として出力するようにしてもよい。
【0026】
モータ17には、その回転位置を検出して、シャッターカーテン12の巻き取り過ぎ及び巻き戻し過ぎを防止するためのリミットスイッチ21が設けられている。リミットスイッチ21の検出信号は、接続ボックス22を介して、後述する点検装置30へ入力される。
【0027】
接続ボックス22には、作動ボタン23、復旧ボタン24、及び第1のコネクタ26が設けられている。
作動ボタン23は、例えば押しボタンスイッチであって、その操作により、接続ボックス22から連動中継器19へ作動信号が出力される。連動中継器19は、接続ボックス22から作動信号を入力すると、自動閉鎖装置20へ閉鎖指示信号を出力する。閉鎖指示信号は、直流電圧24[V]の信号であり、自動閉鎖装置20は、連動中継器19から閉鎖指示信号を入力している間、ブレーキ18を開放させ、ブレーキ18によるシャッターカーテン12の開放状態の保持を解除する。
接続ボックス22に設けた作動ボタン23を操作して、自動閉鎖装置20によりシャッターカーテン12を閉鎖させる指示が容易に行われる。
【0028】
復旧ボタン24は、例えば押しボタンスイッチであって、その操作により、接続ボックス22から連動中継器19へ復旧信号が出力される。連動中継器19は、接続ボックス22から復旧信号を入力すると、自動閉鎖装置20への閉鎖指示信号の出力を停止する。自動閉鎖装置20は、連動中継器19から閉鎖指示信号を入力しなくなると、ブレーキ18を作動させ、ブレーキ18によるシャッターカーテン12の開放状態の保持を復旧する。
接続ボックス22に設けた復旧ボタン24を操作して、ブレーキ18によりシャッターカーテン12の開放状態の保持を復旧させる指示が容易に行われる。
第1のコネクタ26には、後述する点検装置30の第2のコネクタ36が接続される。
【0029】
防火開閉体装置10の点検時には、シャッターカーテン12の閉鎖動作及び開放動作を正常に行えるかどうか、シャッターカーテン12の閉鎖操作及び開放操作を実際に行って確認する。この時、シャッターカーテン12の開放操作は、点検装置30を用いて行われる。
【0030】
点検装置30は、シャッター制御装置31、非常用電源32、及び第2のコネクタ36などを含んで構成されている。
防火開閉体装置10は、建物などの構造物の内部空間又は開口部の複数個所に設けられている。そして、点検装置30は、複数の防火開閉体装置10に対し、順番に共通に使用(共用)され、点検作業の作業者により、点検を行う防火開閉体装置10の近傍へ搬入される。
【0031】
シャッター制御装置31は、モータ17及びブレーキ18を制御するための電磁開閉器(マグネットスイッチ)を有し、商用電源の電源ラインACから、例えば200Vの交流電力が供給されている。
また、本実施の形態では、シャッター制御装置31に、シャッターカーテン12の開閉を指示するための操作スイッチ35が設けられている。
【0032】
操作スイッチ35は、シャッターカーテン12の開閉停の各動作に対応した制御スイッチとして、上昇(開)ボタン、停止(停)ボタン、下降(閉)ボタンをそれぞれ有し、これら各ボタンの操作状態に応じた制御信号を出力する。
シャッター制御装置31は、操作スイッチ35上の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号、及びモータ17に設けられたリミットスイッチ21からの検出信号などに基づいて、モータ17の回転を制御するモータ制御信号、及びブレーキ18の作動/開放を制御するブレーキ制御信号を出力する。
【0033】
非常用電源32は、火災による停電などで商用電源からの電力の供給が無いときに、シャッター制御装置31へ商用電源と同じ電圧の電力を供給する。
火災による停電などで商用電源からの電力の供給が遮断されても、非常用電源32から供給される電力を用いて、各防火開閉体装置10のシャッターカーテン12の開閉が行われる。
【0034】
第2のコネクタ36は、各防火開閉体装置10の接続ボックス22の第1のコネクタ26に順番に接続されて、シャッター制御装置31のモータ制御信号及びブレーキ制御信号を、各防火開閉体装置10へ伝達する。
点検装置30の第2のコネクタ36を各防火開閉体装置10の第1のコネクタ26に接続して、点検装置30と各防火開閉体装置10との接続が容易に行われる。
そして、モータ17を駆動してシャッターカーテン12を開放させるために必要な高価な制御設備を、各防火開閉体装置10に設ける必要が無いので、シャッターカーテン12を開放するために必要な設備費用が削減される。
【0035】
さらに、本実施の形態では、シャッターカーテン12の開閉を指示するための操作スイッチ35が点検装置30のシャッター制御装置31に設けられているので、図4を用いて後述する、操作スイッチを各防火開閉体装置10のシャッターカーテン12毎に設ける場合に比べて、設備費用がさらに削減される。
【0036】
図2は、図1に示したシャッター装置内の各装置の動作を説明する図である。点検装置30のシャッター制御装置31は、接続ボックス22を介して、リミットスイッチ21の検出信号を入力し、商用電源又は非常用電源32から供給された電力により、接続ボックス22を介して、モータ17及びブレーキ18を制御する。
また、接続ボックス22は、連動中継器19へ作動信号及び復旧信号を出力し、連動中継器19は、自動閉鎖装置20へ閉鎖指示信号を出力する。
なお、図2では、シャッター制御装置31以外への商用電源の接続関係については、その図示を省略してある。
【0037】
図3は、本発明の一実施の形態による防火開閉体装置の点検方法の概略動作を示すフローチャートである。なお、本実施の形態では、シャッターカーテン12の閉鎖動作及び開放動作以外の点検項目については、説明を省略する。
まず、点検作業の作業者は、点検装置30を、点検する防火開閉体装置10の近傍へ搬入する(ステップ301)。
次に、点検作業の作業者は、点検装置30の第2のコネクタ36を接続ボックス22の第1のコネクタ26に接続して、点検装置30を防火開閉体装置10に接続する(ステップ302)。
【0038】
続いて、点検作業の作業者は、接続ボックス22の作動ボタン23を操作して(ステップ303)、作動信号を連動中継器19へ出力させる。
連動中継器19は、接続ボックス22から作動信号が入力されると、自動閉鎖装置20へ閉鎖指示信号を出力する(ステップ304)。
自動閉鎖装置20が、連動中継器19からの閉鎖指示信号に応じてブレーキ18を開放させ、ブレーキ18によるシャッターカーテン12の開放状態の保持を解除すると、シャッターカーテン12はその自重により閉鎖動作を開始する(ステップ305)。
なお、シャッターカーテン12の閉鎖動作は、点検装置30のシャッター制御装置31に設けられた操作スイッチ35の下降(閉)ボタンを操作することにより、シャッター制御装置31を用いて電動で行ってもよい。
【0039】
リミットスイッチ21は、シャッターカーテン12の下端部が巻き戻しの下端限界位置に達したことを検出して、点検装置30のシャッター制御装置31へ検出信号を出力し、シャッター制御装置31は、リミットスイッチ21の検出信号の有無により、シャッターカーテン12の閉鎖動作が正常に終了したか否かを判断する(ステップ306)。シャッターカーテン12の閉鎖動作が正常に終了しなかった場合、点検作業の作業者は、不具合の原因を究明し、不具合を解決する処理を行って(ステップ307)、ステップ303へ戻る。
【0040】
シャッターカーテン12の閉鎖動作が正常に終了した場合、点検作業の作業者は、接続ボックス22の復旧ボタン24を操作して(ステップ308)、復旧信号を連動中継器19へ出力させる。連動中継器19は、接続ボックス22から復旧信号が入力されると、自動閉鎖装置20への閉鎖指示信号の出力を停止する。
そして、点検作業の作業者は、シャッターカーテン12に損傷が無いかなどの、必要な点検項目の確認を行う。
必要な点検項目の確認が終了した後、点検作業の作業者は、点検装置30のシャッター制御装置31に設けられた操作スイッチ35の上昇(開)ボタンを操作して(ステップ309)、シャッターカーテン12の開放動作を指示する。
シャッター制御装置31は、モータ17の回転を制御するモータ制御信号、及びブレーキ18の作動/開放を制御するブレーキ制御信号を出力し(ステップ310)、シャッターカーテン12は開放動作を開始する(ステップ311)。
【0041】
リミットスイッチ21は、シャッターカーテン12の下端部が巻取りの上端限界位置に達したことを検出して、点検装置30のシャッター制御装置31へ検出信号を出力し、シャッター制御装置31は、リミットスイッチ21の検出信号の有無により、シャッターカーテン12の開放動作が正常に終了したか否かを判断する(ステップ312)。シャッターカーテン12の開放動作が正常に終了しなかった場合、点検作業の作業者は、不具合の原因を究明し、不具合を解決する処理を行って(ステップ313)、ステップ309へ戻る。
シャッターカーテン12の開放動作が正常に終了した場合、点検作業の作業者は、点検装置30の接続を解除して(ステップ314)、点検作業を終了する。
【0042】
なお、図3では、点検装置30の搬入(ステップ301)及び点検装置30の接続(ステップ302)を点検作業の初期に行っているが、これらの処理は、ステップ309で上昇(開)ボタンを操作して、シャッターカーテン12の開放動作を指示する直前に行ってもよい。
【0043】
図4は、本発明の他の実施の形態による防火開閉体装置である防火シャッター装置の概略構成を示す図である。
本実施の形態の防火開閉体装置10’と点検装置30’とは、操作スイッチ25が各防火開閉体装置10’の接続ボックス22’に設けられ、点検装置30’には操作スイッチが設けられていない点が、図1に示した実施の形態と相違している。その他の構成要素は、図1に示した実施の形態と同様である。
【0044】
接続ボックス22’に設けられた操作スイッチ25上の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号は、第1のコネクタ26及び第2のコネクタ36を介して、点検装置30’のシャッター制御装置31へ伝達される。シャッター制御装置31は、操作スイッチ25上の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号、及びモータ17に設けられたリミットスイッチ21からの検出信号などに基づいて、モータ17の回転を制御するモータ制御信号、及びブレーキ18の作動/開放を制御するブレーキ制御信号を出力する。
【0045】
以上説明した実施の形態では、上下昇降方式で繰り出される防火シャッター装置を例に説明したが、シャッター状、シート状、またはパネル状などの開閉体が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりする開閉体装置であっても、同様に適応することができる。開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、移動間仕切装置、引き戸装置、開き戸装置、折れ戸装置、門扉装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
10,10’…防火開閉体装置
11…シャッターケース
12…シャッターカーテン
13,14…ガイドレール
15…巻取シャフト
16…チェーン
17…モータ
18…ブレーキ
19…連動中継器
20…自動閉鎖装置
21…リミットスイッチ
22,22’…接続ボックス
23…作動ボタン
24…復旧ボタン
25…操作スイッチ
26…第1のコネクタ
30,30’…点検装置
31…シャッター制御装置
32…非常用電源
35…操作スイッチ
36…第2のコネクタ
図1
図2
図3
図4