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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078715
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】排気口カバー
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/20 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
F24C15/20 D
F24C15/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191976
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄大
(72)【発明者】
【氏名】木村 将俊
(72)【発明者】
【氏名】角屋 静江
(57)【要約】
【課題】排気口カバーについて、その設置時に設置面との間に汚れが侵入しうる隙間が形成されるのを防止し、排気口の汚れ防止機能を向上させること。
【解決手段】排気口カバー1は、汚れの発生源に対して対向可能な正面板11a、12aを少なくとも有し左右方向が長手方向となる内外のパネル11、12からなり、その内パネル12の正面板12aの下縁部には、排気口と汚れの発生源との間に存する溝に差し込み可能な差し込み部12bを有する。排気口カバー1は、差し込み部12bの溝への差し込みにより、排気口上を覆うように設置可能となっている。排気口と汚れの発生源との間に存する溝を利用して、汚れを受け止める正面板12aの下縁部がその溝に差し込まれる構成としたため、設置面との間に隙間が生れることがなく、その隙間を通じて排気口に汚れが侵入することもない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚れの発生源と隣接して設けられた排気口に被せる排気口カバーであって、
前記汚れの発生源に対して対向可能な正面板を有し左右方向が長手方向となるパネル体からなり、
前記パネル体は、その正面板の下縁部に、前記排気口と前記汚れの発生源との間に存する溝に差し込み可能な差し込み部を有し、
前記パネル体は、前記差し込み部の前記溝への差し込みにより、排気口上を覆うように設置可能となっている排気口カバー。
【請求項2】
前記パネル体は、
前記汚れの発生源に対して対向可能な正面板を有し左右方向が長手方向となる外パネルと、
前記汚れの発生源に対して対向可能な正面板を有し左右方向が長手方向となる内パネルと、からなり、
前記外パネルと内パネルとは、その長手方向に沿って相対的にスライド可能なように、外パネルが外側に内パネルが内側になるように重ね合わされ、
前記差し込み部は、
少なくとも前記内パネルの正面板の下縁部に設けられている、請求項1に記載の排気口カバー。
【請求項3】
前記差し込み部は、
前記パネル体の左右方向に対する垂直な断面が略円形である請求項1または2に記載の排気口カバー。
【請求項4】
前記差し込み部の厚みは、1mm~4mmである請求項1から3のいずれかに記載の排気口カバー。
【請求項5】
前記パネル体の表面に耐酸アルカリ性樹脂のコーティングが施されている請求項1から4のいずれかに記載の排気口カバー。
【請求項6】
前記パネル体は、アルミニウム製である請求項1から5のいずれかに記載の排気口カバー。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の、グリル排気口用の排気口カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気口が汚れないように覆う、排気口カバー関する。
【背景技術】
【0002】
システムキッチンに備え付けらえた魚焼きグリルやオーブンなどのグリルには、その調理熱を排出するための排気口が付属しており、この排気口は、通常はキッチンの天板上において、ガスレンジやIH調理器などのコンロと隣接して開口している。
したがって、コンロで調理をおこなう際には、食材の屑や調味料などの一部が排気口に向けて飛散することになる。
排気口には、食材等が落ち込まないように、排気口用の網蓋が被せられているが、この網蓋などにコンロから飛散した汚れが付着しまうおそれがある。
【0003】
こうした排気口の汚れを抑制するために、特許文献1および2のように、排気口を覆うための排気口カバーが提案されている。
特許文献1および2の排気口カバーは、アルミニウム箔などを成形してなるパネル体からなり、そのパネル体がコンロに対して正面を向くように排気口上に設置される。
【0004】
コンロから排気口に向けて飛散した食材の屑や調味料などは、この正面を向いたパネル体に受け止められるため、網蓋などに付着して排気口が汚れることが防止される。
ここで一般には、排気口カバーの背面側および左右の側面側は全域が開口しており、ここからグリルの熱を放散することも可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-89273号公報
【特許文献2】特開2011-179691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、これらの排気口カバーを排気口上を覆うように設置する場合には、このカバーと設置面としての天板の間に磁石を介在させ、吸着させることなどによる。
このような設置態様であるため、排気口カバーの下縁部と、設置面との間に隙間が生じやすく、その隙間を通じてコンロから飛散した食材や調味料などが排気口の側へと侵入することがあった。
とくに、天板上は液状の汚れが伝いやすいため、かかる隙間は液状の汚れの格好の通路となりやすく、排気口カバーを設置した意味が大きく減損されることが懸念される。
【0007】
なお、システムキッチンは、多数の部品から構成され、コンロの天板の縁と排気口の網蓋の縁の間などには、溝が形成されている。
【0008】
このように従来の排気口カバーについては、排気口の汚れ防止機能について改善の余地があった。
また、かかる問題は、システムキッチンにおけるグリルの排気口のみならず、汚れの発生源に隣接して設けられた排気口の全般について共通している。
【0009】
そこで本発明の解決すべき課題は、排気口カバーについて、その設置時に設置面との間に汚れが侵入しうる隙間が形成されるのを防止し、排気口の汚れ防止機能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するため、発明にかかる排気口カバーについて、汚れの発生源に対して対向可能な正面板を少なくとも有し左右方向が長手方向となるパネル体からなり、パネル体は、その正面板の下縁部に、排気口と汚れの発生源との間に存する溝に差し込み可能な差し込み部を有し、パネル体は、差し込み部の溝への差し込みにより、排気口上を覆うように設置可能となっている構成を採用したのである。
【0011】
このように、排気口カバーの設置時に、排気口と汚れの発生源との間に存する溝を利用して、パネル体の汚れを受け止める正面板の下縁部がその溝に差し込まれる構成としたため、パネル体の下縁部と設置面との間に隙間が生じることがない。したがってその隙間を通じて排気口に汚れが侵入することもなく、汚れ防止機能が向上している。
【0012】
発明にかかる排気口カバーにおいて、パネル体は、汚れの発生源に対して対向可能な正面板を少なくとも有し左右方向が長手方向となる外パネルと、汚れの発生源に対して対向可能な正面板を少なくとも有し左右方向が長手方向となる内パネルと、からなり、外パネルと内パネルとは、その長手方向に沿って相対的にスライド可能なように、外パネルが外側に内パネルが内側になるように重ね合わされ、差し込み部は、少なくとも内パネルの正面板の下縁部に設けられている構成を採用することが好ましい。
【0013】
このように構成すると、外パネルと内パネルを相対的にスライドさせることで、パネル体の長さ調節が可能であるため、各種寸法の排気口を覆うことが可能となる。
なお、内パネルの正面板のみならず、外パネルの正面板にも差し込み部を設けることもできる。また、内パネルは複数であってもよい。
【0014】
発明にかかる排気口カバーにおいて、差し込み部は、パネル体の左右方向に対する垂直な断面が略円形である構成を採用することが好ましい。
【0015】
このように構成すると、差し込み部が丸みを帯びていることから、先鋭な形状である場合と比べて、排気口回りの溝に差し込む際に、設置面や網蓋を引っ掻くようにして傷付けたり、パネル体を取り扱う人の手指を傷つけたりすることが防止される。
【0016】
発明にかかる排気口カバーにおいて、差し込み部の厚みは、排気口回りの溝と同じか小さければよく、1mm~4mmである構成を採用することが好ましく、2mm~3mmである構成を採用することがより好ましい。
【0017】
差し込み部の厚みが大きすぎると、排気口回りの溝は幅が小さいことが一般的であるから(3~4mm程度)、これに差し込むことが困難となり、差し込み部の厚みが小さすぎると、先鋭となって溝に差し込む際に、設置面や網蓋を引っ掻くようにして傷付けたり、パネル体を取り扱う人の手指を傷つけたりするおそれがある。
差し込み部の厚みを以上のように構成することで、排気口回りの溝への差込容易性と、排気口回りや手指に対する安全性とを両立させることが可能となる。
【0018】
発明にかかる排気口カバーにおいて、パネル体の表面に耐酸アルカリ性樹脂のコーティングが施されている構成を採用することが好ましい。
【0019】
このように構成すると、パネル体が腐食等することや洗浄の際に変色してしまうことが防がれる。特に食器洗い機に用いられる洗剤に対してはその影響が顕著に出やすいので、耐酸アルカリ性樹脂のコーティングが施されていることが好ましい。
また、コーティングによりパネル体の表面の滑り性が向上するため、パネル体が設置面や網蓋に接触した際に、これらを傷付けることも抑制され、パネル体が内パネルと外パネルからなる場合には、スライドがスムーズにおこなわれ、パネル同士が擦れ合って傷付くことも防止される。
【0020】
発明にかかる排気口カバーにおいて、パネル体は、アルミニウム製である構成を採用することが好ましい。
【0021】
このように構成すると、アルミニウムは軽量であるためパネル体の取り扱いが容易となり、強度が高いためパネル体が破損しにくくなり、安価であるためパネル体の製造コストを抑えることができる。
また、放熱性が高いため、排気口回りに熱が滞留することも抑制される。
【0022】
発明にかかる排気口カバーは、キッチンのグリル排気口用カバーとして好適に用いることができる。
この場合、排気口は、キッチンのグリルに付属しており、コンロに隣接して開口するものであり、その排気口には網蓋が被せられており、排気口カバーの差し込み部が差し込まれる溝は、網蓋の縁とコンロの天板の縁との間に形成される溝となる。
【発明の効果】
【0023】
発明にかかる排気口カバーを以上のように構成したので、その設置時に汚れの発生源に対する正面側に汚れが侵入し得る隙間が形成されるのを防止し、排気口の汚れ防止機能を向上させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態の排気口カバーの斜視図
図2】実施形態の排気口カバーの、(a)は分解斜視図、(b)は側面図、(c)は平面図
図3】実施形態の排気口カバーの設置状態を示す、(a)は縦断面図、(b)は斜視図
図4】実施形態の排気口カバーの設置状態を示す、要部拡大斜視図
図5】実施形態の排気口カバーの他の設置態様を示す(a)は縦断面図、(b)は平面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1および図2に示す実施形態の排気口カバー1は、図3および図4のように、キッチンKのグリルGに付属する排気口Pを覆うように設置され、コンロSから飛散した食材の屑や調味液などが排気口Pに付着して汚れるのを防止するものである。
実施形態の排気口カバー1は、左右方向が長手方向となるパネル体10と、磁石20とからなる。また、パネル体10は、外パネル11と内パネル12とからなる。
【0026】
図1および図2のように、外パネル11は、排気口カバー1の設置状態で、コンロSに対向する側の正面板11aと、コンロとは逆側の背面板11bとを備え、コンロSから飛散する汚れは、主に正面板11aにより受け止められる。
正面板11aと背面板11bの上縁同士は連結されており、正面板11aと背面板11bはそれぞれ下縁に向けて下り勾配に傾斜している。その傾斜の角度は、正面板11aのほうが背面板11bよりも緩やかになっている。
かつ、正面板11aは、全体として上に向けて凸に、背面板11bは、全体として下に向けて凸になるように、微少に湾曲している。
外パネル11は、左右方向が長手方向となっており、その左右側面は開口している。外パネル11の前後方向は、それぞれ正面板11aおよび背面板11bにより閉鎖されている。
【0027】
図2(b)のように、外パネル11の背面板11bの内面には、L字型の受け部11cが連設されている。
この受け部11cは、外パネル11の左右方向へと連続している。これにより背面板11bと受け部11cの間には後述の内パネル12の嵌合片12cがはめ込まれるガイド用の溝が形成されている。
【0028】
外パネル11の背面板11bの後縁部11dは、外パネル11の左右方向に対する垂直な断面の形状が円形をなし、これが左右方向に連続して、全体として細長い円柱形となっている。
【0029】
図1および図2のように、内パネル12は、排気口カバー1の設置状態で、コンロSに対向する正面板12aを備え、コンロSから飛散する汚れは、正面板12aにより受け止められる。
正面板12aは前縁に向けて緩やかな下り勾配に傾斜しており、かつ全体として上に向けて凸になるように、微少に湾曲している。
内パネル12は、左右方向が長手方向となっており、その左右側面は開口している。内パネル12の前後方向は、正面は正面板12aに閉鎖され、背面は開口12dとなっている。
【0030】
また、正面板12aの前縁の下端部には差し込み部12bが連設されている。差し込み部12bは、内パネル12の左右方向に対する垂直な断面の形状が円形をなし、これが左右方向に連続して、全体として細長い円柱形となっている。
差し込み部12bの径(厚み)は、正面板12aの厚みよりも大きくなっている。ここで、差し込み部12bの厚みは特に限定されないが、1~4mmが好ましく、2~3mmであることがより好ましい。なお、差し込み部12bを除いた外パネルおよび内パネルの厚みは概ね同じであり、本実施形態においては1~1.5mm程度が例示できるが、0.5mm~2.5mm程度の範囲で適宜設定すればよい。
【0031】
さらに内パネル12の正面板12aの後縁には、垂下する嵌合片12cが連設されている。嵌合片12cは内パネル12の左右方向に連続している。嵌合片12cの垂下量は数mm程度とわずかであるため、内パネル12の背面の開口状態の妨げとはならない。
嵌合片12cの厚みは、外パネル11の背面板11bと受け部11cの間に形成された溝の溝幅とほぼ等しくなっており、差し込み部12bの厚みよりも小さくなっている。
嵌合片12cの厚み(外パネル11の溝の溝幅)は、特に限定されないが、1~1.5mm程度であることが例示できるが、0.5mm~2.5mm程度の範囲で適宜設定すればよい。
【0032】
図1および図2のように、外パネル11と内パネル12とは、外パネル11が外側に、内パネル12が内側になるように重ね合わされている。
図2(c)のように、外パネル11と内パネル12とは、長手方向に沿って相対的にスライド可能となっている。
外パネル11および内パネル12をスライドさせることで、パネル体10の左右寸法をパネル体10が設置される排気口の寸法に応じて調整することができる。
【0033】
図2(b)のように、外パネル11と内パネル12が重なり合った状態で、外パネル11の背面板11bと受け部11cの間に形成されたガイド用の溝に、内パネル12の嵌合片12cがはめ込まれている。
これにより、外パネル11と内パネル12が分解するのが防止されている。
なお、外パネル11の背面板11bと受け部11cの間に形成された溝の溝幅は、上述のように内パネル12の差し込み部12bの厚みよりも小さくなっているため、内パネル12の前後方向を取り違えて、外パネル11に組付けようとしても、差し込み部12bが外パネル11の溝にはめ込むことができないようになっている。
したがって、外パネル11と内パネル12の前後方向を揃えて、正確に組付け作業をおこなうことが可能となっている。
【0034】
外パネル11と内パネル12の表面には、耐酸アルカリ性樹脂のコーティングが施されている。
これにより、外パネル11や内パネル12が腐食等することや食器洗い機等で洗浄する際に変色してしまうことが防がれる。
また、パネル表面の滑り性が向上するため、外パネル11と内パネル12のスライド操作がスムーズに行なわれ、両パネル同士が擦れ合って表面を傷つけ合うことが防止される。
また、外パネル11や内パネル12がキッチンKの排気口Pや備品等に接触しても、これらを傷付けることも抑制される。
かかる耐酸アルカリ性樹脂としては、特に限定されないが、アクリル樹脂やフッ素樹脂が例示される。
外パネル11と内パネル12とがアルミニウム製である場合、アルマイト処理が施されていると、表面強度が増すため好ましい。
その場合、さらに上から、アクリル樹脂やフッ素樹脂のコーティングが施されていると、その相乗効果により、耐食性がさらに向上する。
【0035】
ここで、外パネル11および内パネル12の材質は特に限定されず、金属製、合成樹脂製などが例示でき、外パネル11と内パネル12とで材質を違えることもできるが、強度や耐熱性が高いものとして、両パネルとも金属製であることが好ましい。
さらに軽量であり、排気口からの熱を放出するのに好適な放熱性の高いものとしてアルミニウム製がより好ましい。
【0036】
また、外パネル11および内パネル12は、正面板11a、12a、背面板11b、差し込み部12b等を別体で作製した後、一体化することもできるが、一体に成形することが、強度やコストの面で好ましい。実施形態では、押出成形法により一体成形をおこなっている。
【0037】
外パネル11および内パネル12の縦横高寸法は特に限定されないが、嵩張らず、かつ一般的な寸法の排気口を過不足なく覆うのに十分な寸法として、前後方向の長さは70~80mm、左右方向の長さは300~400mm、最大高さは15~20mmが例示できる。
外パネル11および内パネル12の相対寸法も、外パネル11を外側に内パネル12を内側に、重ね合わせ可能である限りにおいて、特に限定されないが、左右方向の寸法を揃えておくと、完全に重ね合わせることができるため好ましい。
外パネル11および内パネル12の厚み寸法も特に限定されないが、強度が十分で重量が大きくなりすぎないものとして、1~1.5mmが例示できる。
【0038】
実施形態の排気口カバー1の構成は以上のようであり、次に図1(a)、図3および図4を参照して、その使用態様について説明する。
図1(a)のように、まず、設置対象となるグリルGの排気口Pの寸法にパネル体10の寸法が合致するように、外パネル11および内パネル12をその長手方向に適宜スライドさせたうえで、その排気口Pを覆うように上から被せる。
【0039】
ここで、図1(a)および図3(a)のように、コンロSの天板Tと排気口Pの間には、コンロSの天板Tが高くなり、排気口Pが低くなるように段差が形成されている。そのうえで、排気口Pには網蓋Mが被せられている。これにより、コンロSの天板Tの縁と網蓋Mの縁の間には、溝Cが形成されている。
図3(a)のように、排気口を覆うように被せたパネル体10は、その内パネル12の前縁の下端部にある差し込み部12bを、前記した溝Cに差し込むことで取り付けられる。
かかる溝Cの溝幅は、通常3~4mm程度であるため、差し込み部12bの厚みをそれ以下の寸法、たとえば、2~3mm程度としておけば、スムーズに差し込み作業をおこなうことができる。
差し込み部12bは丸みを帯びた形状であるため、溝Cへの差し込み作業時に、コンロの天板や網蓋に接触しても、これらを傷つけることはない。
【0040】
図3(b)のように、排気口PのコンロSと対向する側は外パネル11の正面板11aおよび内パネル12の正面板12aにより覆われるため、コンロSから飛散した食材の屑や調味液などはこの正面板11a、12aに受け止められ、排気口Pの網蓋Mに付着することはないため、排気口Pが汚れることが防止される。
特に、差し込み部12bが溝Cに差し込まれることで、コンロSの天板Tとパネル体10の下縁との間に隙間が生じないため、隙間から調味液等が侵入することもなく、排気口Pの汚れ防止に万全を期することができる。
【0041】
外パネル11の後縁部11dは、パネル体10の前後方向の長さと排気口Pの前後方向の長さがほぼ合致する場合には、排気口Pの前側および奥側の両方の溝Cにはめ込むことができる。すなわち、キッチンKの構造次第では、後縁部11dも差し込み部として機能させることができる。
この場合、排気口カバー1の取り付け状態が強固となり、排気口P上から意図せずに外れてしまうことが防止される。
また、上記長さが合致しない場合には、図3(a)のように、排気口Pおよび網蓋Mを跨ぐようにして網蓋Mよりも外側の平坦な箇所に載置する。
いずれにせよ、後縁部11dが丸みを帯びているため、設置作業の際にキッチンKが傷付くことが防止される。
【0042】
また、図3(b)および図4のように、排気口カバー1は、外パネル11の背面側は背面板11bにより閉塞され、内パネル12の背面側は開口12dにより開放されている。また外パネル11および内パネル12の左右側面は開放されている。図示のように、開放面積は左右の側面よりも背面のほうがかなり大きくなっている。
したがって、排気口カバー1を設置したままででグリルGを使用する際には、図中矢印で示すように、グリルGからの排気が、主に内パネル12の開口12dを通じて、また補助的に左右側面を通じて、外部に放出されるため、内部に熱や煙がこもることが防止される。
【0043】
とくに、排気口カバー1は、背面側において全体が開放されるのではなく、内パネル12の背面側のみが開口12dにより開放されているに過ぎないため、背面側が全面開放されている場合に比べて、煙の排出経路が制限されるようになっている。
したがって、排出された煙がキッチンの壁面を伝う場合などにも、その範囲を狭めることができ、煙による壁面の汚れを抑制することができる。
また、煙が立ち上る範囲を狭めることで、キッチンに付属する換気扇などから、煙を効率よく外部に排出することができる。
【0044】
溝Cの溝幅が極端に狭いなど、キッチンKの構造が特殊であって、内パネル12の差し込み部12bを溝Cに差し込むことができない場合には、図5(a)または同図(b)のように、磁石20を用いてパネル体10を取り付ける。
図示のように、磁石20は、磁石本体21と、磁石本体21が収納される板状のヨーク22とからなり、ヨーク22の縁部にはU字状に切り起された係合部23が付属している。
この係合部23を、内パネル12の差し込み部12bおよび外パネル11の後縁部11dに係合させたうえで、磁石本体21を排気口Pやその周囲に吸着させることで、磁石20を介して排気口カバー1は排気口Pを覆うように設置可能となる。
【0045】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものでない。
本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、その範囲内およびこれと均等の意味での、すべての修正と変更を含むものとする。
【0046】
実施形態では、排気口カバー1をキッチンKの排気口用としているが、これに限定されず、発明にかかる排気口カバーは、排気口全般に用いることができる。
【0047】
実施形態では、内パネル12の差し込み部12bを丸みを帯びた形状としているが、コンロなどの汚れの発生源と排気口との間に位置する溝に差し込み可能である限りにおいて、形状はこれに限定されない。
たとえば、差し込みしやすいように、先端がとがった楔状の形状とすることもできる。差し込み部12bの位置に別部材として耐熱性ゴムなどの軟質材料からなるものを嵌め込んでもよい。この場合は差し込み部12bは丸みを帯びた形状とする必要はない。
実施形態では、内パネル12にのみ差し込み部12bを設けているが、外パネル11の正面板11aの下縁部にも差し込み部を設けることもできる。
【0048】
実施形態では、パネル体10を外パネル11と内パネル12からなるものとしているが、これに限定されず、単一のパネルから構成してもよいし、外パネル、中パネル、内パネルの三層構造としてもよい。また、実施形態では内パネル12の数を一つとしているが、複数としてもよい。内パネル12を左右二つとして、外パネル11の右側と左側からそれぞれ引き出せるようにしてもよい。
【0049】
実施形態では、外パネル11を背面板11bを有するものとしたが、正面板11aを有する限りにおいて外パネル11の構造はこれに限定されず、背面板11bを有さず、背面が開口しているものとすることもできる。
また、正面板11aと背面板11bの間に、水平の天面板が介在している構成とすることもできる。
【0050】
実施形態では、内パネル12を背面に開口12dを有するものとしたが、正面板12aを有する限りにおいて内パネル12の構造はこれに限定されず、背面板を有して、背面が閉鎖しているものとすることもできる。
【0051】
実施形態では、外パネル11と内パネル12を、背面板11bと受け部11cの間に形成される溝に嵌合片12cをはめ込むことで一体化しているが、受け部11cと嵌合片12cを省略して、重ね合わせただけの構造とすることもできる。
また、外パネル11の後縁部11dは、丸みを帯びていない形状とすることもできる。
【符号の説明】
【0052】
1 実施形態の排気口カバー
10 パネル体
11 外パネル
11a 正面板
11b 背面板
11c 受け部
11d 後縁部
12 内パネル
12a 正面板
12b 差し込み部
12c 嵌合片
12d 開口
20 磁石
21 磁石本体
22 ヨーク
23 係合部
K キッチン
S コンロ
T 天板
G グリル
P 排気口
M 網蓋
C 溝
図1
図2
図3
図4
図5