(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078727
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】回転電機における端末モジュール
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191991
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智貴
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】末谷 正晴
(72)【発明者】
【氏名】舘 健太郎
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA08
5H605BB05
5H605CC06
5H605CC10
5H605EC07
5H605EC08
(57)【要約】
【課題】位置ずれ吸収用の中継バスバをボルト締結によって追加する構成を用いることなく、位置ずれを吸収することを目的とする。
【解決手段】
回転電機における端末モジュール30であって、第1端部45と第2端部46とを有するコイルエンド配線44を有するコイルエンド端末モジュール部品40と、位置ずれ吸収部品50とを備え、第1端部45がコイル線26に接続され、位置ずれ吸収部品50は、第1接続部52と、第2接続部54と、第1接続部と第2接続部との間に介在する導体本体56とを有し、第1接続部52は、第2端部46に接合されて一体化されており、第2接続部54は、コイル線の電気的な接続対象となる接続対象配線部材と接続可能に構成され、導体本体56の少なくとも一部は、コイルエンド配線44及び接続対象配線部材よりも少なくとも一方向で変形容易である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機における端末モジュールであって、
第1端部と第2端部とを有するコイルエンド配線を有するコイルエンド端末モジュール部品と、
位置ずれ吸収部品と、
を備え、
前記第1端部が前記回転電機のコイル線に接続され、
前記位置ずれ吸収部品は、第1接続部と、第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部との間に介在する導体本体とを有し、
前記第1接続部は、前記第2端部に接合されて一体化されており、
前記第2接続部は、前記コイル線の電気的な接続対象となる接続対象配線部材と接続可能に構成され、
前記導体本体の少なくとも一部は、前記コイルエンド配線及び前記接続対象配線部材よりも少なくとも一方向で変形容易である、回転電機における端末モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機における端末モジュールであって、
前記第2接続部は、ボルト締結用の孔を有する、回転電機における端末モジュール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の回転電機における端末モジュールであって、
前記導体本体は、それ自身が前記コイルエンド配線及び前記接続対象配線部材よりも少なくとも一方向で変形容易な導体である、回転電機における端末モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の回転電機における端末モジュールであって、
前記導体本体は、金属編組の少なくとも一部である、回転電機における端末モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載の回転電機における端末モジュールであって、
前記位置ずれ吸収部品は、前記金属編組と、前記第1接続部としてのバスバと、前記第2接続部としての孔あきバスバとが一体化された部品である、回転電機における端末モジュール。
【請求項6】
請求項4に記載の回転電機における端末モジュールであって、
前記位置ずれ吸収部品は、前記金属編組と、前記第2接続部としての孔あきバスバとが一体化された部品であり、
前記金属編組のうち前記第2接続部とは反対側の端部が前記第1接続部として前記第2端部に接合されて一体化されている、回転電機における端末モジュール。
【請求項7】
請求項3に記載の回転電機における端末モジュールであって、
前記導体本体は、積層バスバの少なくとも一部である、回転電機における端末モジュール。
【請求項8】
請求項3に記載の回転電機における端末モジュールであって、
前記導体本体は、複数の素線が1本に集合した芯線を有する電線の少なくとも一部である、回転電機における端末モジュール。
【請求項9】
請求項8に記載の回転電機における端末モジュールであって、
前記位置ずれ吸収部品は、前記芯線と、前記第1接続部としてのバスバと、前記第2接続部としての孔あきバスバとが一体化された部品である、回転電機における端末モジュール。
【請求項10】
請求項8に記載の回転電機における端末モジュールであって、
前記位置ずれ吸収部品は、前記芯線と、前記第2接続部としての孔あきバスバとが一体化された部品であり、
前記芯線のうち前記第2接続部とは反対側の端部が前記第1接続部として前記第2端部に接合されて一体化されている、回転電機における端末モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転電機における端末モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、円筒形状のモータケースに取り付けられる端子台を開示している。端子台は、三相交流モータに設けられた三極のバスバと、インバータに設けられた三極のバスバとを電気的に接続するための台として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インバータとモータとを一体化する場合、組付公差及び熱膨張収縮等に起因して、モータ側のバスバと、インバータ側のバスバとの間に位置ずれが生じ得る。組付時における取扱い部品点数削減、組付性向上及び小型化の観点から、位置ずれ吸収用の中継バスバをボルト締結によって追加する構成を用いることなく、前記位置ずれを吸収することが望まれる。
【0005】
そこで、本開示は、位置ずれ吸収用の中継バスバをボルト締結によって追加する構成を用いることなく、位置ずれを吸収することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、回転電機における端末モジュールであって、第1端部と第2端部とを有するコイルエンド配線を有するコイルエンド端末モジュール部品と、位置ずれ吸収部品と、を備え、前記第1端部が前記回転電機のコイル線に接続され、前記位置ずれ吸収部品は、第1接続部と、第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部との間に介在する導体本体とを有し、前記第1接続部は、前記第2端部に接合されて一体化されており、前記第2接続部は、前記コイル線の電気的な接続対象となる接続対象配線部材と接続可能に構成され、前記導体本体の少なくとも一部は、前記コイルエンド配線及び前記接続対象配線部材よりも少なくとも一方向で変形容易である、回転電機における端末モジュールである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、位置ずれ吸収用の中継バスバをボルト締結によって追加する構成を用いることなく、位置ずれを吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態に係る機電一体化ユニットを示す概略図である。
【
図3】
図3は第1変形例に係る端末モジュールを示す斜視図である。
【
図4】
図4は第2変形例に係る端末モジュールを示す斜視図である。
【
図5】
図5は第3変形例に係る端末モジュールを示す斜視図である。
【
図6】
図6は第4変形例に係る端末モジュールを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の回転電機における端末モジュールは、次の通りである。
【0011】
(1)回転電機における端末モジュールであって、第1端部と第2端部とを有するコイルエンド配線を有するコイルエンド端末モジュール部品と、位置ずれ吸収部品と、を備え、前記第1端部が前記回転電機のコイル線に接続され、前記位置ずれ吸収部品は、第1接続部と、第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部との間に介在する導体本体とを有し、前記第1接続部は、前記第2端部に接合されて一体化されており、前記第2接続部は、前記コイル線の電気的な接続対象となる接続対象配線部材と接続可能に構成され、前記導体本体の少なくとも一部は、前記コイルエンド配線及び前記接続対象配線部材よりも少なくとも一方向で変形容易である、回転電機における端末モジュールである。
【0012】
本開示によると、コイルエンド端末モジュール部品のコイルエンド配線の第2端部に、位置ずれ吸収部品の第1接続部が接合されて一体化されている。位置ずれ吸収部品の導体本体の少なくとも一部は、コイルエンド配線及び接続対象配線部材よりも少なくとも一方向で変形容易である。このため、例えば、回転電機とインバータとを一体化する際に、位置ずれ吸収部品の第2接続部と、インバータの接続対象配線部材であるバスバ端部との間に、組付誤差が生じたとしても、当該組付誤差は、導体本体の少なくとも一部が変形することで吸収される。また、組付後に、熱膨張収縮によって、位置ずれ吸収部品の第2接続部と、インバータのバスバ端部との間に位置ずれが生じたとしても、当該位置ずれは、導体本体の少なくとも一部が変形することで吸収される。このため、位置ずれ吸収用の中継バスバをボルト締結によって追加する構成を用いることなく、位置ずれを吸収することができる。
【0013】
(2)(1)の回転電機における端末モジュールであって、前記第2接続部は、ボルト締結用の孔を有していてもよい。
【0014】
この場合、接続対象配線部材をボルト締結によって第2接続部に接続すれば、接続対象配線部材を、位置ずれ吸収部品及びコイルエンド配線を介してコイル線に電気的に接続することができる。このため、ボルト締結作業数を少なくでき、回転電機に対する組付作業性が向上する。
【0015】
(3)(1)又は(2)の回転電機における端末モジュールであって、前記導体本体は、それ自身が前記コイルエンド配線及び前記接続対象配線部材よりも少なくとも一方向で変形容易な導体であってもよい。これにより、位置ずれ吸収部品によって位置ずれを吸収する構成を容易に実現できる。
【0016】
(4)(3)の回転電機における端末モジュールであって、前記導体本体は、金属編組の少なくとも一部であってもよい。この場合、金属編組の少なくとも一部である導体本体によって、複数方向の位置ずれを容易に吸収できる。
【0017】
(5)(4)の回転電機における端末モジュールであって、前記位置ずれ吸収部品は、前記金属編組と、前記第1接続部としてのバスバと、前記第2接続部としての孔あきバスバとが一体化された部品であってもよい。これにより、金属編組がバスバを介して容易にコイルエンド配線に接続されると共に、孔あきバスバを介して接続対象配線部材に容易にボルト締結される。
【0018】
(6)(4)の回転電機における端末モジュールであって、前記位置ずれ吸収部品は、前記金属編組と、前記第2接続部としての孔あきバスバとが一体化された部品であり、前記金属編組のうち前記第2接続部とは反対側の端部が前記第1接続部として前記第2端部に接合されて一体化されていてもよい。
【0019】
この場合、金属編組のうち前記第2接続部とは反対側の端部が第1接続部として前記第2端部に接合されて一体化されているため、端末モジュールの小型及び構成部品点数の削減が可能となる。位置ずれ吸収部品は、第2接続部としての孔あきバスバを有しているため、位置ずれ吸収部品と接続対象配線部材とが容易にボルト締結され得る。
【0020】
(7)(3)の回転電機における端末モジュールであって、前記導体本体は、積層バスバの少なくとも一部であってもよい。この場合、積層バスバの少なくとも一部である導体本体によって、少なくとも厚み方向の位置ずれを容易に吸収できる。
【0021】
(8)(3)の回転電機における端末モジュールであって、前記導体本体は、複数の素線が1本に集合した芯線を有する電線の少なくとも一部であってもよい。この場合、集合した複数の素線が変形することで、位置ずれ吸収部品によって位置ずれを吸収する構成を容易に実現できる。
【0022】
(9)(8)の回転電機における端末モジュールであって、前記位置ずれ吸収部品は、前記芯線と、前記第1接続部としてのバスバと、前記第2接続部としての孔あきバスバとが一体化された部品であってもよい。これにより、複数の素線が1本に集合した芯線を有する電線がバスバを介して容易にコイルエンド配線に接続されると共に、孔あきバスバを介して接続対象配線部材に容易にボルト締結される。
【0023】
(10)(8)の回転電機における端末モジュールであって、前記位置ずれ吸収部品は、前記芯線と、前記第2接続部としての孔あきバスバとが一体化された部品であり、前記芯線のうち前記第2接続部とは反対側の端部が前記第1接続部として前記第2端部に接合されて一体化されていてもよい。
【0024】
これにより、芯線のうち前記第2接続部とは反対側の端部が第1接続部として前記第2端部に接合されて一体化されているため、端末モジュールの小型及び構成部品点数の削減が可能となる。位置ずれ吸収部品は、第2接続部としての孔あきバスバを有しているため、位置ずれ吸収部品と接続対象配線部材とが容易にボルト締結され得る。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の回転電機における端末モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0026】
[実施形態]
<全体構成について>
以下、実施形態に係る回転電機における端末モジュールについて説明する。回転電機における端末モジュールは、回転電機におけるコイル線を、電気機器に接続するためのモジュールである。電気機器は、例えば、回転電機を駆動制御するインバータである。説明の便宜上、回転電機及びインバータを一体化した機電一体化ユニットの全体構成について説明する。
図1は機電一体化ユニット10を示す概略図である。
【0027】
機電一体化ユニット10は、回転電機20と、インバータ12とを備える。
【0028】
回転電機20は、ケース22、電機子24及び界磁を備える回転電機である。
図1では、筒状のケース22内に、ステータとしての電機子24が固定されている例が示される。界磁は、ロータとして電機子24内に配置されている。電機子24が発生させる磁界によって界磁が回転し、又は、界磁の回転によって電機子24が起電力を発生させる。本実施形態では、回転電機20が3相交流モータとして使用可能な回転電機であることが想定されている。回転電機は、モータとしての動作に加えて又は代えて発電機として動作可能であってもよい。
【0029】
電機子24は、ステータコアと、複数のコイル線26(
図2参照)とを備える。ステータコアは、複数のティースを含み、複数のティースは、回転軸を囲むように設けられている。各コイル線26は、1つ又は複数のティースに巻回されている。複数のコイル線26の複数の端部のうちの少なくとも一部は、複数のティースの間から電機子24の軸方向一端側に引出され、上記インバータ12に電気的に接続される接続端である。
【0030】
コイル線26は、例えば、横断面(延在方向に対して直交する面における断面)が一方向に長い長方形状である平角導体である。このようにコイル線26を平角導体によって構成すると、コイルの占積率を高めることが可能となる。しかしながら、コイル線26が平角導体であると、コイル線として撚り線を用いた場合よりも硬くて変形し難くなるため、コイル線によって組付公差及び熱膨張収縮等に起因する位置ずれ吸収を行うことは困難となる。本端末モジュール30は、例えば、コイル線26として平角導体を用いた場合でも、組付公差及び熱膨張収縮等に起因する位置ずれを吸収する役割を果すことができる。
【0031】
インバータ12は、インバータ回路を有する機器である。インバータ12は、回転電機20に一体化されることが想定される。例えば、インバータ12は、回転電機20のケース22に対してボルト固定等によって一体化される。
【0032】
インバータ12は、インバータ回路の出力端に接続されたバスバ18を備える。バスバ18は、銅、銅合金等の金属板材によって形成された細長板状部材であり、ボルトBの締結固定のための孔を有している。本実施形態では、インバータ12から3相に対応する3つのバスバ18が間隔をあけて並列状態で回転電機20に向って延びている。バスバ18は、コイル線26の電気的な接続対象となる接続対象配線部材の一例である。
【0033】
端末モジュール30は、回転電機20を構成する一部品として当該回転電機20に組込まれた部品である。端末モジュール30は、コイルエンド配線44と位置ずれ吸収部品50とを有する延長導電部品32を有している。延長導電部品32の一端部がコイル線26の端部に接続され、他端部がインバータ12のバスバ18の端部と重ね合わせ可能な位置に支持される。
【0034】
端末モジュール30が組込まれた回転電機20に、インバータ12を一体化させようとすると、バスバ18が延長導電部品32の他端部に重ね合せ可能な位置に配置される。この状態で、バスバ18の端部と延長導電部品32の端部とがボルトBの締結によって電気的及び機械的に接続された状態に保たれる。
【0035】
回転電機20にインバータ12を一体化する際、組付公差の範囲内で、バスバ18の端部と延長導電部品32の端部とが位置ずれすることが考えられる。また、回転電機20にインバータ12が一体化された状態で、熱膨張収縮によって、バスバ18の端部と延長導電部品32の端部とが位置ずれすることが考えられる。本開示は、回転電機20における上記端末モジュール30に位置ずれを吸収するための役割を持たせる技術に関する。
【0036】
<端末モジュールについて>
端末モジュール30についてより具体的に説明する。
図2は端末モジュール30を示す斜視図である。
【0037】
図1及び
図2に示すように、端末モジュール30は、コイルエンド端末モジュール部品40と、位置ずれ吸収部品50とを備える。
【0038】
コイルエンド端末モジュール部品40は、コイルエンド配線44を有する。本実施形態では、コイルエンド端末モジュール部品40は、3相のそれぞれに対応して3つのコイルエンド配線44を有する。また、端末モジュール30は、3相のそれぞれに対応して3つの位置ずれ吸収部品50を備える。
【0039】
1つのコイルエンド配線44に、1つの位置ずれ吸収部品50が電気的及び機械的に接続されることで、延長導電部品32が構成される。3相のそれぞれにおいて、延長導電部品32が、コイル線26とバスバ18とを電気的に接続する。
【0040】
より具体的には、コイルエンド配線44は、導電性を有する部品であり、例えば、銅又は銅合金等の金属板材をプレス加工することによって形成される。コイルエンド配線44は、第1端部45と、第2端部46と、第1端部45と第2端部46との間の中間部47とを有する。
【0041】
第1端部45は、コイル線26の端部に接続される。例えば、コイル線26の端部は、第1端部45に溶接等によって接続される。第1端部45とコイル線26の端部との接続構成は、特に限定されず、圧入接続、かしめ接続等であってもよい。1つのコイルエンド配線44に対して複数のコイル線26の端部が接続されてもよい。本実施形態では、コイルエンド配線44は、4つの第1端部45を有しており、それぞれの第1端部45にコイル線26の端部が接続される。コイルエンド配線44は、接続対象となるコイル線26の端部の数に応じて、任意の数の第1端部45を有する。
【0042】
中間部47は、長尺形状に形成されている(
図1に1つの中間部47を例示)。中間部47は、直線状であってもよいし、途中で曲っているもよい。中間部47の一端部に上記複数の第1端部45が設けられ、他端部に第2端部46が設けられる。複数の第1端部45は中間部47で1つにまとめられる。複数の第1端部45が離れて位置する場合、複数の第1端部45の位置に応じて中間部47が分岐していてもよい。
【0043】
コイルエンド端末モジュール部品40は、支持ベース48を備える。支持ベース48は、複数のコイルエンド配線44を相互に絶縁した状態で一定の位置で保持する。本実施形態では、支持ベース48は、板状に形成されている。より具体的には、支持ベース48は、弧状板部48aと、外周延長部48bとを有する。弧状板部48aは、筒状をなす電機子24の一端面を、その周方向において部分的に覆うように延びる弧状に形成されている。外周延長部48bは、弧状板部48aの外周部の延在方向中間部から電機子24の外周側に向けて突出する方形板状に形成されている。
【0044】
上記各コイルエンド配線44は、支持ベース48によって保持されている。例えば、コイルエンド配線44をインサート部品として金型成形することによって支持ベース48が形成される。支持ベース48は、コイルエンド配線44の一部を内部で支持するように、複数の部品が組合わされた構成であってもよい。コイルエンド配線44の中間部47は、弧状板部48aから外周延長部48bに向う姿勢で、支持ベース48によって覆われている。複数の第1端部45は、中間部47の一端部から延びて弧状板部48aのうち電機子24側の面から突出している。これにより、第1端部45が、コイル線26の端部と接続可能な位置に配置される。第2端部46は、支持ベース48から外方に露出している。本実施形態では、第2端部46は、外周延長部48bの一方の主面、ここでは、電機子24とは反対側の外向き面に露出している。第2端部は、外周延長部48bのうち弧状板部48aとは反対側の端面から回転電機20の径方向外側に向けて突出することも考えられる。
【0045】
支持ベース48は、ネジ止又は嵌込構造等によって、回転電機20のケース22に固定される。これにより、端末モジュール30が回転電機20内において一定位置に保持される。
【0046】
位置ずれ吸収部品50は、第1接続部52と、第2接続部54と、導体本体56とを有する。導体本体56は、第1接続部52と第2接続部54との間に介在する。位置ずれ吸収部品50は、第1接続部52と第2接続部54との間で導体本体56を介して電気を流すことができる導電性を有している。
【0047】
位置ずれ吸収部品50は、本実施形態で説明するように、当初別部品であった第1接続部52と第2接続部54と導体本体56とが接合されて一体化した部品であってもよい。第1接続部と第2接続部と導体本体とのうちの2つ又は全部が、当初から同じ部品によって構成されていてもよい。この場合、第1接続部と第2接続部と導体本体とのうちの2つ又は全部は、当該同じ部品の一部分である。
【0048】
より具体的には、第1接続部52は、コイルエンド配線44の第2端部46に接合されて一体化されている。ここで2つの部分が接合されて一体化されるとは、例えば、2つの部分が、部分的な破壊、変形等を伴わずに分離させることは困難な状態で一体化している状態をいう。例えば、第1接続部52が第2端部46に接合されて一体化されるとは、第1接続部52が第2端部46に対して溶接、圧入、導電性接着剤、かしめ圧着等によって接合されている場合が考えられる。なお、溶接は、母材自体の溶融による接合だけでなく、溶加材の溶融による接合(ろう接、はんだ付を含む)を含む。第1接続部52が第2端部46に接合されて一体化されている場合として、それらがボルト締結によって接合されている場合は除かれる。
【0049】
本実施形態では、第1接続部52は、銅又は銅合金等の金属板材によって方形板状に形成されている。第1接続部52はバスバの一例である。第1接続部52が第2端部46の一方の主面に重ね合わされた状態で、第1接続部52と第2端部46とが接合されて一体化されている。例えば、第1接続部52が第2端部46に溶接されている。
【0050】
第2接続部54は、コイル線26の接続対象となる接続対象配線部材であるバスバ18と接続可能に構成されている。本実施形態では、第2接続部54は、銅又は銅合金等の金属板材によって方形板状に形成されており、ボルト締結用の孔54hを有する。かかる第2接続部54は、孔あきバスバの一例である。バスバ18にも、ボルト締結用の孔が形成されている。第2接続部54の一方主面側にバスバ18の端部が重ね合わされた状態で、両者のボルト締結用の孔54hが位置合せされて、ボルトBが挿通される。当該ボルトBがナットに螺合締結されることによって、第2接続部54とバスバ18の端部とがボルト締結固定される。これにより、第2接続部54とバスバ18の端部とが電気的及び機械的に接続される。
【0051】
導体本体56の少なくとも一部は、コイルエンド配線44及びバスバ18よりも少なくとも一方向で変形容易に構成されている。
【0052】
本実施形態では、導体本体56は、それ自身が変形容易な導体である。より具体的には、導体本体56は、金属編組によって構成されている。金属編組は、銅又は銅合金等の金属線が長尺状(例えば、筒状)をなすように編まれたものである。かかる金属編組は、編まれた複数の金属線が互いにすれ違うように曲ることができ、単層の金属板等で構成された第2接続部54又はバスバ18よりも柔軟性を有している。かかる金属編組で構成された導体本体56は、当該導体本体56の延在方向に対して直交する方向に容易に曲ることができ、かつ、前記延在方向にも伸縮することができる柔軟性を有している。
【0053】
本実施形態では、上記金属編組としての導体本体56の一端部が第1接続部52に接合されて一体化されており、他端部が第2接続部54に接合されて一体化されている。例えば、導体本体56の一端部が第1接続部52に溶接されており、他端部が第2接続部54に溶接されている。導体本体56の一端部が第1接続部52に溶接されており、他端部が第2接続部54に溶接されているため、金属編組を構成する金属線が解れ難くなる。
【0054】
導体本体56は、変形容易ではあるものの、第1接続部52に対して第2接続部54を一定位置に支持し得る程度の剛性を有している。このため、第1接続部52が第2端部46に接合されて一体化された状態で、位置ずれ吸収部品50が片持ち状に支持される。この状態で、第2接続部54は導体本体56を介してバスバ18の接続に適した位置で、位置調整可能に支持され得る。
【0055】
<端末モジュールに対するバスバの接続作業について>
端末モジュールに対するインバータ12のバスバ18の接続作業例について説明する。
【0056】
まず、コイル線26の端部に第1端部45が接続され、端末モジュール30が一定位置に取付けられた回転電機20を準備する。端末モジュール30がケース22等に取付けられるため、端末モジュール30の第2接続部54は、ケース22の外部からアクセス可能な位置に支持されている。
【0057】
この状態で、インバータ12を回転電機20に近づける。この際、各バスバ18の端部を、対応する第2接続部54に重なる位置に配置する。ここで、設計上、バスバ18の端部が対応する第2接続部54に重なる位置に配置される。しかしながら、組付公差等に応じて、バスバ18の端部が対応する第2接続部54からずれた位置に配置されることがあり得る。
【0058】
第2接続部54は、変形容易な導体本体56を介して一定位置に支持されている。このため、導体本体56の変形によって、第2接続部54は、導体本体56の長手方向に対して直交す方向及び長手方向に沿う方向において位置調整可能である。よって、上記位置ずれを吸収するように、第2接続部54の位置を調整し、バスバ18の端部を、対応する第2接続部54に重ねて配置することができる。この状態で、ボルトBを第2接続部54の孔54h及びバスバ18の孔に挿通させることができる。これにより、ボルトBによる、第2接続部54とバスバ18との締結固定が容易に行われ得る。
【0059】
<効果等>
このように構成された回転電機20における端末モジュール30によると、コイルエンド端末モジュール部品40のコイルエンド配線44の第2端部に、位置ずれ吸収部品50の第1接続部52が接合されて一体化されている。位置ずれ吸収部品50の導体本体56の少なくとも一部は、少なくとも一方向で変形容易である。このため、回転電機20とインバータ12とを一体化する際に、位置ずれ吸収部品50の第2接続部54と、インバータ12のバスバ18の端部との間に組付誤差が生じたとしても、当該組付誤差は、導体本体56の少なくとも一部が変形することで吸収される。このため、組付後に、熱膨張収縮によって、バスバ18の端部と支持位置と、対応する第2接続部54の支持位置とのずれが生じたとしても、当該ずれは、導体本体56の変形によって吸収される。
【0060】
よって、位置ずれ吸収用の中継バスバをボルト締結によって追加する構成を用いることなく、第2接続部54とバスバ18の端部との位置ずれを吸収することができる。
【0061】
また、第2接続部54は、ボルト締結用の孔54hを有するため、バスバ18をボルト締結によって第2接続部54に接続すれば、バスバ18を、位置ずれ吸収部品50及びコイルエンド配線44を介してコイル線26に電気的に接続することができる。このため、ボルト締結作業数を少なくでき、回転電機20に対するインバータ12の組付作業性が向上する。
【0062】
導体本体56は、それ自身が変形容易な導体であるため、位置ずれを吸収する構成を容易に実現できる。
【0063】
導体本体56として金属編組を用いることによって、複数方向の位置ずれを吸収する構成を容易に実現できる。
【0064】
位置ずれ吸収部品50が、導体本体56としての金属編組と、第1接続部52としてのバスバと、第2接続部54としての孔あきバスバとが一体化された部品であれは、金属編組の解れに影響されずに、導体本体56が第1接続部52を介して容易にコイルエンド配線44に接続されると共に、第2接続部54を介してバスバ18に容易にボルト締結される。
【0065】
また、本実施形態によると、位置ずれ吸収用の中継バスバを省略することによって、回転電機20にインバータ12を一体化する作業時に取扱う部品点数を削減することができる。また、ボルト締結箇所を、第2接続部54とバスバ18との接続箇所のみに設定できるため、組付作業性が向上する。
【0066】
また、ボルト締結固定箇所をコイル線26近くに設ける必要がなく、インバータ12のバスバ18と接続される部分に設ければよい。このため、ボルト締結作業用の開口による形状制約が少なくなり、機電一体化ユニット10の小型化が可能となる。
【0067】
<変形例>
上記実施形態を前提として各種変形例について説明する。
【0068】
図3に示す第1変形例に係る端末モジュール130のように、位置ずれ吸収部品50に対応する位置ずれ吸収部品150は、金属編組151の少なくとも一部である導体本体156と、第2接続部54としての孔あきバスバとが一体化された部品であってもよい。つまり、位置ずれ吸収部品150は、位置ずれ吸収部品50において第1接続部52としてのバスバが省略された構成である。
【0069】
この場合、金属編組151のうちの一端部が第1接続部152であり、金属編組151のうちの残りの部分が導体本体156である。この第1接続部152が、第2端部46に溶接等によって接合されて一体化されている。
【0070】
本第1変形例によると、バスバである第1接続部52が省略されるため、端末モジュール130の小型化が可能となる。また、端末モジュール130の構成部品点数の削減が可能となる。
【0071】
図4に示す第2変形例に係る端末モジュール230のように、位置ずれ吸収部品50に対応する位置ずれ吸収部品250は、積層バスバ251の少なくとも一部によって構成される導体本体256を備えていてもよい。
【0072】
積層バスバ251は、当該積層バスバ251の厚みよりも小さい厚みの薄バスバ258が複数積層された構成とされている。薄バスバ258は、銅又は銅合金によって形成された長方形板状に形成されている。積層バスバ251の両端では、薄バスバ258同士が積層状態を保つように接合されている。接合は、レーザ溶接等である。積層バスバ251の延在方向中間部では、薄バスバ258同士は分離可能な状態で積層されている。このため、積層バスバ251の延在方向中間部は、薄バスバ258のそれぞれがすれ違うようにして、厚み方向に曲るように容易に変形できる。
【0073】
積層バスバ251の一端部は、第1接続部52に対応する第1接続部252である。この第1接続部252が、第1接続部52と同様に、第2端部46に対して接合されて一体化されている。
【0074】
積層バスバ251の他端部は、第2接続部54に対応する第2接続部254である。第2接続部254には、ボルト締結用の孔254hが形成されている。このため、第2接続部254は、第2接続部54と同様に、バスバ18に対して容易にボルト締結固定される。
【0075】
積層バスバ251のうち第1接続部252及び第2接続部254を除く部分が導体本体256である。
【0076】
本変形例によると、積層バスバ251の中間部によって構成される導体本体256が、その厚み方向に容易に曲って変形できる。このため、第2接続部254に対してバスバ18の端部が厚み方向にずれても、導体本体256が変形することによって、当該位置ずれを容易に吸収できる。
【0077】
なお、積層バスバ251の厚み方向に直交する方向の位置ずれについては、上記孔254h及びバスバ18の孔の少なくとも一方の内径を、ボルトBの軸部の外径よりも大きく設定しておくことで、吸収してもよい。
【0078】
また、積層バスバ251の端部において薄バスバ258同士を接合することによって、当該端部をバスバと同様構成とすることができる。このため、第1接続部52のようなバスバを部別部品として追加しなくても、位置ずれ吸収部品250の一端部の第1接続部252を、第2端部46に容易に接合することができる。
【0079】
また、第2接続部54のような孔あきバスバを部別部品として追加しなくても、位置ずれ吸収部品250の一端部の第2接続部254を、バスバ18に容易にボルト締結できる。
【0080】
図5に示す第3変形例及び第6に示す第4変形例では、導体本体356、456が、電線の少なくとも一部である例が説明される。
【0081】
図5に示す第3変形例に係る端末モジュール330において、位置ずれ吸収部品50に対応する位置ずれ吸収部品350は、電線351と、第1接続部52に対応する第1接続部352と、第2接続部54に対応する第2接続部354とを備える。
【0082】
電線351は、複数の素線351aが1本に集合した芯線351bを有する電線である。複数の素線351aは、例えば、撚り合わされている。本実施形態では、電線351は、芯線351bの周囲を覆う絶縁被覆351cを有する。電線351が絶縁被覆351cを有することは必須ではない。
【0083】
本変形例では、芯線351bが導体本体356である。電線351の両端部において芯線351bが絶縁被覆351cから露出している。
【0084】
芯線351bの一端部が第1接続部352に接続されて一体化されている。本実施形態では、第1接続部352は、板状部352aと、圧着部352bとを有している。第1接続部352は、バスバの一例である。圧着部352bは、かしめ変形可能なかしめ片を有しており、芯線351bの一端部に圧着されている。板状部352aが第2端部46に接合されて一体化されている。
【0085】
芯線351bの他端部が第2接続部354に接続されて一体化されている。本実施形態では、第2接続部354は、孔あき板状部354aと、圧着部354bとを有している。第2接続部354は、ボルト締結用の孔354hを有する孔あきバスバの一例である。圧着部354bは、かしめ変形可能なかしめ片を有しており、芯線351bの他端部に圧着されている。孔あき板状部354aがバスバ18にボルト締結され得る。
【0086】
本変形例によると、芯線351bは、集合した複数の素線351aによって構成されているため、芯線が単一の細長い導体によって構成される場合と比較して、容易に変形できる。集合した複数の素線が変形することによって、第2接続部354の位置調整がなされ得る。これにより、第2接続部354とバスバ18の端部との位置ずれを容易に吸収できる。
【0087】
芯線351bの一端部に第1接続部352を接続しているので、素線351aがばらばらにならずに、第1接続部352を第2端部46に容易に接合できる。
【0088】
また、芯線351bの他端部に孔あき板状部352aを有する第2接続部354を接続しているので、素線351aがばらばらにならずに、第2接続部354をバスバ18の端部に容易にボルト締結することができる。
【0089】
図6に示す第4変形例に係る端末モジュール430のように、位置ずれ吸収部品50に対応する位置ずれ吸収部品450は、電線351の少なくとも一部である導体本体456と、第2接続部354としての孔あきバスバとが一体化された部品であってもよい。つまり、位置ずれ吸収部品450は、位置ずれ吸収部品350において第1接続部352としてのバスバが省略された構成である。
【0090】
この場合、電線351の芯線351bのうちの一端部が第1接続部452であり、芯線351bのうちの残りの部分が導体本体456である。この第1接続部452が、第2端部46に溶接等によって接合されて一体化されている。
【0091】
本第4変形例によると、バスバである第1接続部352が省略されるため、端末モジュール430の小型化が可能となる。また、端末モジュール430の構成部品点数の削減が可能となる。
【0092】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。例えば、位置ずれ吸収部品の導体本体が、金属編組と積層バスバと芯線とのうちの複数の組合せによって構成されていてもよい。また、複数の位置ずれ吸収部品を有する構成において、上記実施形態及び各変形例で説明した位置ずれ吸収部品が組合われてもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 機電一体化ユニット
12 インバータ
18 バスバ(接続対象配線部材)
20 回転電機
22 ケース
24 電機子
26 コイル線
30、130、230、330、430 端末モジュール
32 延長導電部品
40 コイルエンド端末モジュール部品
44 コイルエンド配線
45 第1端部
46 第2端部
47 中間部
48 支持ベース
48a 弧状板部
48b 外周延長部
50、150、250、350、450 位置ずれ吸収部品
52、152、252、352、452 第1接続部(52、352 バスバ)
54、254、354 第2接続部(54、354 孔あきバスバ)
54h、254h、354h ボルト締結用の孔
56、156、256、356、456 導体本体
151 金属編組
251 積層バスバ
258 薄バスバ
351 電線
351a 素線
351b 芯線
351c 絶縁被覆
352a、354a 板状部
352b、354b 圧着部
B ボルト