(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078757
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】複合スピーカ装置
(51)【国際特許分類】
H04R 9/06 20060101AFI20230531BHJP
H04R 9/02 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
H04R9/06 A
H04R9/02 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192025
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 賢太
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋平
(72)【発明者】
【氏名】藤本 健太
【テーマコード(参考)】
5D012
【Fターム(参考)】
5D012BB05
5D012DA04
5D012GA01
(57)【要約】
【課題】磁気回路における磁束の利用効率を高めることができる複合スピーカ装置を提供する。
【解決手段】複合スピーカ装置1が、有底筒状のヨーク12と、ヨーク12の内底面に取り付けられた第1磁石13と、ヨーク12の内周との間に第1ギャップが開くように第1磁石13に取り付けられた有底筒状のプレート14と、プレート14の内底面に取り付けられた第2磁石15と、ヨーク12の開口及びプレート14の開口から突出せず、プレート14の内周との間に第2ギャップが開くように第2磁石15に取り付けられたセンターポール16と、第1ボイスコイル17と、低音用振動板18と、第2ボイスコイル19と、高音用振動板20と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体で音放射側に開口する有底筒状に形成されたヨークと、
前記ヨークの内底面に取り付けられた第1磁石と、
磁性体で前記音放射側に開口する有底筒状に形成され、前記ヨークの内周との間に環状の第1ギャップが開くように、前記第1磁石に取り付けられて前記ヨークに収められたプレートと、
前記プレートの内底面に取り付けられた第2磁石と、
磁性体で形成され、前記音放射側の端部が前記ヨーク及び前記プレートの両方の開口から突出せず、且つ前記プレートの内周との間に環状の第2ギャップが開くように、前記第2磁石に取り付けられて前記プレートに収められたセンターポールと、
前記第1ギャップに、軸方向について移動可能に配置される第1ボイスコイルと、
前記第1ギャップよりも前記音放射側に配置されて前記第1ボイスコイルに結合される環状の低音用振動板と、
前記第2ギャップに、前記軸方向について移動可能に配置される第2ボイスコイルと、
前記低音用振動板の内周開口の大きさ以下に形成されて前記内周開口の内側に配置され、前記第2ボイスコイルに結合される高音用振動板と、
を備えたことを特徴とする複合スピーカ装置。
【請求項2】
前記第1ギャップ及び前記第2ギャップが、前記軸方向について互いに同位置となるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の複合スピーカ装置。
【請求項3】
前記ヨークの開口、前記プレートの開口、及び前記センターポールにおける前記音放射側の端部、が前記軸方向について互いに同位置となるように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合スピーカ装置。
【請求項4】
前記低音用振動板が、環状のコーン型の振動板であり、
前記高音用振動板が、ドーム部分と、当該ドーム部分の外周から環状に張り出したコーン部分と、を有するドーム/コーン型の振動板であり、
前記低音用振動板の傾斜と、前記高音用振動板における前記コーン部分の傾斜と、が互いに一致していることを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載の複合スピーカ装置。
【請求項5】
前記コーン部分を含む前記高音用振動板は、前記低音用振動板の内周開口の大きさよりも小さな形状に形成され、
前記高音用振動板における前記コーン部分の外周を保持するとともに、前記低音用振動板の内周開口の内周と前記コーン部分の外周との間を埋める高音用フレームを更に備え、
前記高音用フレームは、前記音放射側の端面が、前記低音用振動板の傾斜、及び前記高音用振動板における前記コーン部分の傾斜と一致して傾斜し、一連なりの擂鉢状の面を構成する傾斜面となっていることを特徴とする請求項4に記載の複合スピーカ装置。
【請求項6】
前記ヨーク、前記プレート、前記センターポール、前記低音用振動板、及び前記高音用振動板、が互いに同軸となるように配置されていることを特徴とする請求項1~5のうち何れか一項に記載の複合スピーカ装置。
【請求項7】
前記プレートが、有底筒状のプレート本体と、当該プレート本体の開口から環状に張り出したフランジ部分と、を有しており、
前記第1ギャップは、前記フランジ部分の外周と前記ヨークの内周との間のギャップであることを特徴とする請求項1~6のうち何れか一項に記載の複合スピーカ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合スピーカ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低音用振動板と高音用振動板を備えた複合スピーカ装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の複合スピーカ装置では、高音用振動板を振動させるための磁気回路の構成部品を、低音用振動板を振動させるための磁気回路の構成部品が兼ねることで、部品点数の削減等が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述の複合スピーカ装置では、高音/低音兼用部品の内部を、高音用及び低音用それぞれの磁束が通過する。このとき、磁束の一部が互いに逆向きに通過して打ち消し合い十分に利用されていない等というように、磁束の利用効率の点で改善の余地が見られる。磁束の利用効率の向上は、磁束を供給する磁石や周辺構造の小型化に繋がることから、複合スピーカ装置のサイズ面から望ましいことである。
【0005】
したがって、本発明の課題は、磁気回路における磁束の利用効率を高めることができる複合スピーカ装置を提供すること等が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の複合スピーカ装置は、磁性体で音放射側に開口する有底筒状に形成されたヨークと、前記ヨークの内底面に取り付けられた第1磁石と、磁性体で前記音放射側に開口する有底筒状に形成され、前記ヨークの内周との間に環状の第1ギャップが開くように、前記第1磁石に取り付けられて前記ヨークに収められたプレートと、前記プレートの内底面に取り付けられた第2磁石と、磁性体で形成され、前記音放射側の端部が前記ヨーク及び前記プレートの両方の開口から突出せず、且つ前記プレートの内周との間に環状の第2ギャップが開くように、前記第2磁石に取り付けられて前記プレートに収められたセンターポールと、前記第1ギャップに、軸方向について移動可能に配置される第1ボイスコイルと、前記第1ギャップよりも前記音放射側に配置されて前記第1ボイスコイルに結合される環状の低音用振動板と、前記第2ギャップに、前記軸方向について移動可能に配置される第2ボイスコイルと、前記低音用振動板の内周開口の大きさ以下に形成されて前記内周開口の内側に配置され、前記第2ボイスコイルに結合される高音用振動板と、を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施例にかかる複合スピーカ装置を音放射方向に沿った断面で示した断面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示されている複合スピーカ装置においてボイスコイルを振動させるための磁気回路を、その回路中を流れる磁束とともに示す模式図である。
【
図4】
図3に示されている第1ギャップ及び単一ギャップそれぞれにおける磁束の通過量の差異を、各ギャップにおける磁束密度の分布で示した図である。
【
図5】
図3に示されている磁束の合流が、
図1~
図3に示されているプレートへのセンターポールの収容形態によって実現されることを、比較例を挙げて説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態にかかる複合スピーカ装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる複合スピーカ装置は、ヨークと、第1磁石と、プレートと、第2磁石と、センターポールと、第1ボイスコイルと、低音用振動板と、第2ボイスコイルと、高音用振動板と、を備えている。ヨークは、磁性体で音放射側に開口する有底筒状に形成された部材である。第1磁石は、ヨークの内底面に取り付けられた磁石部材である。プレートは、磁性体で音放射側に開口する有底筒状に形成され、ヨークの内周との間に環状の第1ギャップが開くように、第1磁石に取り付けられてヨークに収められた部材である。第2磁石は、プレートの内底面に取り付けられた磁石部材である。センターポールは、磁性体で形成され、音放射側の端部がヨーク及びプレートの両方の開口から突出せず、且つプレートの内周との間に環状の第2ギャップが開くように、第2磁石に取り付けられてプレートに収められた部材である。第1ボイスコイルは、第1ギャップに、軸方向について移動可能に配置されるコイル部材である。低音用振動板は、第1ギャップよりも音放射側に配置されて第1ボイスコイルに結合される環状の振動板部材である。第2ボイスコイルは、第2ギャップに、軸方向について移動可能に配置されるコイル部材である。高音用振動板は、低音用振動板の内周開口の大きさ以下に形成されて内周開口の内側に配置され、第2ボイスコイルに結合される振動板部材である。
【0009】
この複合スピーカ装置では、ヨーク、第1磁石、及びプレートによって、低音用振動板を振動させる磁気回路が構成される。第1磁石を発した磁束は、プレートから第1ギャップを通ってヨークに至り、更に、ヨークを通って第1磁石に帰還する。他方、高音用振動板を振動させる磁気回路は、プレート、第2磁石、センターポール、ヨーク、及び第1磁石によって構成される。第2磁石を発した磁束は、センターポールから第2ギャップを通ってプレートに至る。このとき、プレートには第1ギャップを通ってヨークへと向かう第1磁石からの磁束の流れが形成されている。本実施形態では、センターポールは、音放射側の端部がヨーク及びプレートの両方の開口から突出しないようにプレートに収められており、第2磁石からの磁束は、第1磁石からの磁束の流れと略同じ方向でプレートに至ることとなる。その結果、第2磁石からの磁束の多くが、プレートにおいて第1磁石からの磁束と合流し、プレートから第1ギャップを通ってヨークへと向かうこととなる。これら2種類の磁束はヨークを通って第1磁石に至り、ここで第2磁石からの磁束が第1磁石からの磁束と別れ、プレートを通って第2磁石に帰還する。このように、本実施形態では、第1磁石からの磁束と第2磁石からの磁束とがプレートにおいて合流して第1ギャップを通るように構成されている。第1のギャップの磁束は、第1ボイスコイルを介した低音用振動板の振動に使われるが、この磁束として上述のように2つの磁石からの合流磁束が使われることとなっており、磁気回路における磁束の利用効率を高めることができる。そして、このような磁束の利用効率の向上を見越して、第1磁石の小型化が可能となり、延いては複合スピーカの小型化及び軽量化を図ることができる。
【0010】
ここで、第2ギャップ及び第1ギャップが、軸方向について互いに同位置となるように配置されていることが好適である。この構成によれば、第2ギャップを通過する第2磁石からの磁束が、第1ギャップを通過してヨークへと向かう第1磁石からの磁束と合流し易く、磁気回路における磁束の利用効率を一層高めることができる。また、上記の構成によれば、軸方向について、第1ギャップにおける第1ボイスコイルを介した低音用振動板の振動発生位置と、第2ギャップにおける第2ボイスコイルを介した高音用振動板の振動発生位置と、が互いに一致することとなる。これにより、聴き手に、低音と高音とを奥行方向について同じ位置から発した音として聴かせることができ、複合スピーカにおける音質を向上させることができる。
【0011】
また、ヨークの開口、プレートの開口、及びセンターポールにおける音放射側の端部、が軸方向について互いに同位置となるように配置されていることも好適である。この構成では、プレートとヨークとの間の第1ギャップが両者の開口側に形成される。また、センターポールとプレートとの間の第2ギャップはセンターポールの端部側及びプレートの開口側に形成される。つまり、この構成によれば、第2ギャップ及び第1ギャップの、軸方向の位置を効果的に一致させることができ、これにより、磁気回路における磁束の利用効率を一層高めるとともに複合スピーカにおける音質を向上させることができる。
【0012】
また、次のような構成も好適である。この構成では、低音用振動板が、環状のコーン型の振動板となっている。他方、高音用振動板が、ドーム部分と、当該ドーム部分の外周から環状に張り出したコーン部分と、を有するドーム/コーン型の振動板となっている。そして、低音用振動板の傾斜と、高音用振動板におけるコーン部分の傾斜と、が互いに一致している。この構成によれば、複合スピーカ装置において低音用振動板と高音用振動板が配置された発音部分における外観の見映えを向上させることができる。更に、上記の傾斜の一致により複合スピーカにおける音質を向上させることもできる。
【0013】
また、次のような構成は一層好適である。この構成では、コーン部分を含む高音用振動板は、低音用振動板の内周開口の大きさよりも小さな形状に形成されている。また、複合スピーカ装置が、高音用振動板におけるコーン部分の外周を保持するとともに、低音用振動板の内周開口の内周とコーン部分の外周との間を埋める高音用フレームを更に備えている。そして、高音用フレームは、音放射側の端面が、低音用振動板の傾斜、及び高音用振動板におけるコーン部分の傾斜と一致して傾斜し、一連なりの擂鉢状の面を構成する傾斜面となっている。この構成によれば、複合スピーカ装置における発音部分が一連なりの擂鉢状の面で構成されることから、その外観の見映えを一層向上させることができる。
【0014】
また、ヨーク、プレート、センターポール、低音用振動板、及び高音用振動板、が互いに同軸となるように配置されていることが好適である。この構成によれば、第1ギャップにおける第1ボイスコイルを介した低音用振動板の振動と、第2ギャップにおける第2ボイスコイルを介した高音用振動板の振動と、が互いに同じ軸を中心に発生することとなる。これにより、聴き手に、低音と高音とを上下左右の方向について同じ位置から発した音として聴かせることができ、複合スピーカにおける音質を向上させることができる。
【0015】
また、プレートが、有底筒状のプレート本体と、当該プレート本体の開口から環状に張り出したフランジ部分と、を有しており、第1ギャップは、フランジ部分の外周とヨークの内周との間のギャップであることが好適である。この構成によれば、プレートに至った第1磁石及び第2磁石それぞれからの磁束を、フランジ部分を介して良好に合流させて第1ギャップ及びヨークへと導くことができ、これにより、磁気回路における磁束の利用効率を一層高めることができる。
【実施例0016】
複合スピーカ装置の一実施例について説明する。
図1は、一実施例にかかる複合スピーカ装置を音放射方向に沿った断面で示した断面図である。また、
図2は、
図1における領域A11の拡大図である。
【0017】
本実施例の複合スピーカ装置1は、低音用振動板18と高音用振動板20が互いに同軸に配置された同軸スピーカとなっている。この複合スピーカ装置1は、スピーカ筐体11、ヨーク12と、第1磁石13と、プレート14と、第2磁石15と、センターポール16と、第1ボイスコイル17と、低音用振動板18と、第2ボイスコイル19と、高音用振動板20と、を備えている。
【0018】
スピーカ筐体11は、最外フレーム111、内側フレーム112、及び低音用フレーム113、を備えている。最外フレーム111は、複合スピーカ装置1における最外壁を構成する略有底円筒状の部位である。内側フレーム112は、最外フレーム111の内側でヨーク12等のスピーカ内容部品を保持する保持部分112aと、最外フレーム111の開口から外部へと張り出して複合スピーカ装置1の固定場所への固定に用いられる固定フランジ112bと、を備えている。低音用フレーム113は、内側フレーム112における開口縁との間に、低音用振動板18における後述のエッジ181を挟みつけて保持する円環状のフレーム部材である。
【0019】
ヨーク12は、磁性体で音放射側に開口する有底円筒状に形成された部材であり、内側フレーム112における保持部分112aに固定される。
【0020】
第1磁石13は、ヨーク12の内底面121に取り付けられた円板状の磁石部材である。この第1磁石13は、表裏面のうちの一方の面がヨーク12の内底面121に面着した状態で固定されている。
【0021】
プレート14は、磁性体で音放射側に開口する有底筒状に形成され、ヨーク12の内周との間に円環状の第1ギャップG11が開くように、第1磁石13に取り付けられてヨーク12に収められた部材である。本実施例では、プレート14は、有底円筒状のプレート本体141と、当該プレート本体141の開口から円環状に張り出したフランジ部分142と、を有している。そして、第1ギャップG11は、フランジ部分142の外周142aとヨーク12の内周(本実施例では開口側の内周122)との間のギャップとなっている。
【0022】
第2磁石15は、プレート14におけるプレート本体141の内底面141aに取り付けられた円板状の磁石部材である。この第2磁石15は、上述の第1磁石13よりも薄い円板状に形成されており、その表裏面のうちの一方の面がプレート本体141の内底面141aに面着した状態で固定されている。
【0023】
センターポール16は、磁性体で円板状に形成された部材である。そして、センターポール16は、音放射側の端部(円形の端面161)がヨーク12及びプレート本体141の両方の開口から突出せずに第2磁石15に取り付けられてプレート本体141に収められている。また、センターポール16の外周162と、プレート本体141の内周(本実施例では開口側の内周141b)との間には、円環状の第2ギャップG12が開いている。
【0024】
ここで、本実施例では、第1ギャップG11及び第2ギャップG12が、
図2中に一点鎖線L11で示されているように、軸方向D11について互いに同位置となるように配置されている。このようなギャップ配置が、ヨーク12の開口、プレート14の開口、及びセンターポール16における音放射側の端面161、が軸方向D11について互いに同位置となる配置によってなされている。
【0025】
第1ボイスコイル17は、第1ギャップG11に、軸方向D11について移動可能に配置されるコイル部材である。第1ボイスコイル17は、円筒状の第1ボイスコイルボビン171の外周における一方の開口寄りに電線が巻き回されて形成されている。そして、この第1ボイスコイルボビン171における第1ボイスコイル17の形成端部が第1ギャップG11に進入するとともに、軸方向D11について移動可能となるように第1ボイスコイルボビン171が配置されている。このような配置は、第1ボイスコイルボビン171の周面における軸方向D11の中途位置が、ダンパ部材172を介し、軸方向D11について弾性を持って内側フレーム112に保持されることでなされている。
【0026】
低音用振動板18は、第1ギャップG11よりも音放射側に配置され、第1ボイスコイルボビン171を介して第1ボイスコイル17に結合される円環状のコーン型の振動板部材である。低音用振動板18には、その外周から中途部分を円弧状に湾曲させつつ径外方向に延出した円環状のエッジ181が設けられており、このエッジ181の最外周部が、内側フレーム112の開口縁と低音用フレーム113とで挟みつけられて保持されている。そして、このように外周側が保持された円環状の低音用振動板18における円形の内周縁が、第1ボイスコイルボビン171の外周面における第1ボイスコイル17とは反対側の開口寄りに接着固定されている。第1ボイスコイルボビン171は、この低音用振動板18の接着固定と、ダンパ部材172を介した保持により、軸方向D11について移動可能に設けられている。第1ギャップG11の内部で第1ボイスコイル17が軸方向D11に振動すると、その振動が第1ボイスコイルボビン171を介して低音用振動板18に伝わり、これによって低音用振動板18が振動することで音が発生することとなる。
【0027】
第2ボイスコイル19は、第2ギャップG12に、軸方向D11について移動可能に配置されるコイル部材である。第2ボイスコイル19は、円筒状の第2ボイスコイルボビン191の外周における一方の開口寄りに電線が巻き回されて形成されている。そして、この第2ボイスコイルボビン191における第2ボイスコイル19の形成端部が第2ギャップG12に進入するとともに、軸方向D11について移動可能となるように第2ボイスコイルボビン191が配置されている。
【0028】
高音用振動板20は、低音用振動板18における内周開口18aの大きさ以下、具体的には、円形の内周開口18aの大きさよりも小さな、小径の円形に形成された振動板部材である。本実施例では、高音用振動板20は、中央の円形のドーム部分201と、当該ドーム部分201の外周から円環状に張り出したコーン部分202と、を有するドーム/コーン型の振動板となっている。また、本実施例では、コーン型の低音用振動板18の傾斜と、高音用振動板20におけるコーン部分202の傾斜と、が互いに一致するように形成されている。このような高音用振動板20が、低音用振動板18における内周開口18aの内側に配置される。
【0029】
ここで、本実施例では、高音用振動板20におけるコーン部分202の外周を保持するとともに、低音用振動板18の内周開口18aの内周とコーン部分202の外周との間を埋める高音用フレーム21が設けられている。高音用振動板20におけるコーン部分202の外周からは、中途部分を円弧状に湾曲させた円環状のエッジ203が径外方向に延出している。このエッジ203の最外周部が、プレート14のフランジ部142に載置された円環状の保持リング22と高音用フレーム21とで挟みつけられて保持されている。また、高音用フレーム21は、音放射側の端面211が、低音用振動板18の傾斜、及び高音用振動板20におけるコーン部分202の傾斜と一致して傾斜し、一連なりの擂鉢状の面を構成する傾斜面となっている。
【0030】
このような高音用振動板20が、第2ボイスコイルボビン191を介して第2ボイスコイル19に結合される。第2ボイスコイルボビン191は、第2ボイスコイル19とは反対側の開口端縁が、高音用振動板20の裏面におけるドーム部分201とコーン部分202の境界部に接着固定されている。第2ボイスコイルボビン191は、上述のエッジ203を介して保持された高音用振動板20への接着固定により、軸方向D11について移動可能に設けられている。第2ギャップG12の内部で第2ボイスコイル19が軸方向D11に振動すると、その振動が第2ボイスコイルボビン191を介して高音用振動板20に伝わり、これによって高音用振動板20が振動することで音が発生することとなる。
【0031】
そして、ヨーク12、第1磁石13、プレート14、第2磁石15、センターポール16、第1ボイスコイル17、低音用振動板18、第2ボイスコイル19、及び高音用振動板20、が互いに同軸となるように配置されている。各部品のこのような配置によって、同軸スピーカとしての複合スピーカ装置1が構成されている。
【0032】
ここで、低音用振動板18を振動させる第1ボイスコイル17の振動、及び、高音用振動板20を振動させる第2ボイスコイル19の振動は、第1ギャップG11及び第2ギャップG12における磁気作用によってなされる。各磁気ギャップには、後述する磁気回路によって生じる磁束が通過する。そして、各ギャップの内部に位置するボイスコイルに再生音に応じた信号電流が流されると、各ギャップにおける磁束と信号電流との磁気作用によってボイスコイルが信号電流に応じて振動し、各振動板がその信号電流に応じた再生音を発することとなる。
【0033】
図3は、
図1及び
図2に示されている複合スピーカ装置においてボイスコイルを振動させるための磁気回路を、その回路中を流れる磁束とともに示す模式図である。尚、この
図3では、
図3(b)に上記の複合スピーカ装置1における磁気回路が示されており、
図3(a)には、この磁気回路に対する比較例が示されている。
【0034】
上記の複合スピーカ装置1では、まず、ヨーク12、第1磁石13、及びプレート14によって、低音用振動板18を振動させる低音用磁気回路1aが構成される。この低音用磁気回路1aでは、第1磁石13を発した磁束φ11は、プレート14から第1ギャップG11を通ってヨーク12に至り、更に、ヨーク12を通って第1磁石13に帰還する。
【0035】
他方、高音用振動板20を振動させる高音用磁気回路1bは、プレート14、第2磁石15、センターポール16、ヨーク12、及び第1磁石13によって構成される。第2磁石15を発した磁束φ12は、センターポール16から第2ギャップG12を通ってプレート14に至る。このとき、プレート14には第1ギャップG11を通ってヨーク12へと向かう第1磁石13からの磁束φ11の流れが形成されている。本実施例では、センターポール16は、音放射側の端面161がヨーク12及びプレート14の両方の開口から突出しないようにプレート14に収められている。これにより、第2磁石15からの磁束φ12は、第1磁石13からの磁束φ11の流れと略同じ方向でプレート14に至ることとなる。その結果、第2磁石15からの磁束φ12のうちの多くの磁束φ12aが、プレート14において第1磁石13からの磁束φ11と合流し、プレート14から第1ギャップG11を通ってヨーク12へと向かうこととなる。これら2種類の磁束φ11,φ12aはヨーク12を通って第1磁石13に至り、ここで第2磁石15からの磁束φ12aが第1磁石13からの磁束φ11と別れ、プレート14を通って第2磁石15に帰還する。
【0036】
このように、本実施例では、第2ギャップG12を第2磁石15からの磁束φ12が通過し、第1ギャップG11を第1磁石13からの磁束φ11と第2磁石15からの多くの磁束φ12aとが合流して通過する。
【0037】
ここで、
図3(b)の磁気回路に対する比較例について
図3(a)を参照して説明する。この
図3(a)に示されている比較例の磁気回路5は、
図3(a)に示されている低音用磁気回路1aに対応する単一磁気回路である。尚、この
図3(a)では、
図3(b)に示されている構成要素と同等な構成要素には
図3(b)と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素の重複説明を割愛する。
【0038】
単一磁気回路としての比較例の磁気回路5では、第1磁石13を発した磁束φ11は、平板状のプレート54から単一ギャップG51を通ってヨーク12に至り、更に、ヨーク12を通って第1磁石13に帰還する。この比較例の磁気回路5では、単一ギャップG51を第1磁石13からの磁束φ11が通過するだけである。このため、
図3(b)の磁気回路と、
図3(a)の比較例の磁気回路5とでは、第1ギャップG11における磁束の通過量と単一ギャップG51における磁束の通過量との間に次のような差異が生じる。
【0039】
図4は、
図3に示されている第1ギャップ及び単一ギャップそれぞれにおける磁束の通過量の差異を、各ギャップにおける磁束密度の分布で示した図である。
【0040】
この
図4には、横軸に各ギャップにおける軸方向D11の位置Xがとられ、縦軸に磁束密度Bgがとられた密度分布のグラフGR1が示されている。尚、位置Xは、各ギャップにおける軸方向D11の中央位置が「0」となっている。そして、このグラフGR1では、
図3(a)の比較例の磁気回路5の単一ギャップG51における磁束密度Bgの分布が点線GL1で描かれている。また、
図3(b)の実施例の磁気回路の第1ギャップG11における磁束密度Bgの分布が実線GL2で描かれている。
【0041】
このグラフGR1において点線GL1と実線GL2との差異となって表れているように、比較例の磁気回路5よりも実施例の磁気回路の方が、ギャップにおける磁束密度、即ちギャップにおける磁束の通過量が多くなっている。このような通過量の差異は、実施例の磁気回路では、第2磁石15からの磁束φ12aの合流分だけ第1ギャップG11における磁束の通過量が多くなっているために生じている。
【0042】
ここで、本実施例では、このように磁束の通過量を増加させるような磁束の合流が、ヨーク12及びプレート14の両方の開口から音放射側の端面161が突出しないようにセンターポール16がプレート14に収められたことで実現されている。この点について、更なる比較例を挙げつつ以下に説明する。
【0043】
図5は、
図3に示されている磁束の合流が、
図1~
図3に示されているプレートへのセンターポールの収容形態によって実現されることを、比較例を挙げて説明する説明図である。
図5(b)には、
図3にも示されている実施例の磁気回路における磁束の流れが模式的に示され、
図5(a)には、この実施例の磁気回路に対する比較例の磁気回路6における磁束の流れが模式的に示されている。尚、上述の
図3では、磁束の流れが
図1の磁気回路における図中右側の部分について示されているのに対し、
図5では、図中左側の部分について示されている。
【0044】
まず、
図5(a)に示されている比較例の磁気回路6について説明する。
【0045】
この比較例の磁気回路6も、
図1~
図3に示されている実施例の磁気回路と同様の複合スピーカを構成するものとなっており、ヨーク62、第1磁石63、プレート64、第2磁石65、及びセンターポール66、を備えている。ここで、この比較例では、プレート64において第2磁石65及びセンターポール66を収容する円筒部分64aがヨーク62の開口から突出するように形成されている。その結果、センターポール66における音放射側の端面661は、プレート64の開口からは突出していないものの、ヨーク62の開口からは突出した配置となっている。このような配置の結果、比較例の磁気回路6では、低音用磁気回路6aと、高音用磁気回路6bと、が次のように略分離されて構成されることとなる。即ち、低音用磁気回路6aは、ヨーク62、第1磁石63、及び、プレート64において円筒部分64aが載置される平板部分64bで構成され、高音用磁気回路6bは、プレート64の円筒部分64a、第2磁石65、及びセンターポール66で構成される。このとき、プレート64の平板部分64bと円筒部分64aの境界が、低音用磁気回路6aと高音用磁気回路6bとの境界となる。
図5(a)に示されているように、この境界では、上述のように突出配置された円筒部分64aを通過して第2磁石65に帰還する磁束φ61と、平板部分64bを通過してヨーク62へと向かう第1磁石63からの磁束φ62と、が互いに逆向きに通過する。その結果、第1磁石63からの磁束φ62の一部が第2磁石65に帰還する逆向きの磁束φ61によって打ち消され、第1ギャップG61における磁束φ63の通過量がその分減少する。
【0046】
これに対し、
図5(b)に示されている実施例の磁気回路では、磁束が次のように流れる。即ち、音放射側の端面161がヨーク12及びプレート14の両方の開口から突出していないセンターポール16を通過した第2磁石15からの磁束φ12は、プレート14において第1磁石13からの磁束φ11と略同じ向きに流れる。その結果、第2磁石15からの多くの磁束φ12aが、プレート14において第1磁石13からの磁束φ11と合流し第1ギャップG11へと向かうこととなる。
【0047】
以上に説明した実施例の複合スピーカ装置1では、上述のように、第1磁石13からの磁束φ11と第2磁石15からの多くの磁束φ12aとがプレート14において合流して第1ギャップG11を通るように構成されている。第1のギャップG11の磁束は、第1ボイスコイル17を介した低音用振動板18の振動に使われるが、この磁束として上述のように2つの磁石からの合流磁束が使われることとなっており、磁気回路における磁束の利用効率を高めることができる。そして、このような磁束の利用効率の向上を見越して、第1磁石13の小型化が可能となり、延いては複合スピーカ装置1の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0048】
また、本実施例では、第1ギャップG11及び第2ギャップG12が、軸方向D11について互いに同位置となるように配置されている。この構成によれば、第2ギャップG12を通過する第2磁石15からの磁束φ12が、第1ギャップG11を通過してヨーク12へと向かう第1磁石からの磁束φ11と合流し易く、磁気回路における磁束の利用効率を一層高めることができる。また、上記の構成によれば、軸方向D11について、低音用振動板18の振動発生位置と高音用振動板20の振動発生位置が互いに一致することとなる。これにより、聴き手に、低音と高音とを奥行方向について同じ位置から発した音として聴かせることができ、複合スピーカ装置1における音質を向上させることができる。
【0049】
また、本実施例では、ヨーク12の開口、プレート14の開口、及びセンターポール16における音放射側の端面161、が軸方向D11について互いに同位置となるように配置されている。この構成では、プレート14とヨーク12との間の第1ギャップG11が両者の開口側に形成され、センターポール16とプレート14との間の第2ギャップG12はセンターポール16の端部側及びプレート14の開口側に形成される。つまり、この構成によれば、第1ギャップG11及び第2ギャップG12の、軸方向D11の位置を効果的に一致させることができ、これにより、磁気回路における磁束の利用効率を一層高めるとともに複合スピーカ装置1における音質を向上させることができる。
【0050】
また、本実施例では、低音用振動板18がコーン型の振動板で、高音用振動板20がドーム/コーン型の振動板であり、低音用振動板18の傾斜と、高音用振動板20におけるコーン部分202の傾斜と、が互いに一致している。この構成によれば、複合スピーカ装置1において低音用振動板18と高音用振動板20が配置された発音部分における外観の見映えを向上させることができる。更に、上記の傾斜の一致により複合スピーカ装置1における音質を向上させることもできる。
【0051】
また、本実施例では、高音用振動板20におけるコーン部分202の外周を保持する高音用フレーム21によって、低音用振動板18の内周開口18aの内周とコーン部分202の外周との間が埋められている。そして、高音用フレーム21における音放射側の端面211が、低音用振動板18の傾斜、及び高音用振動板20におけるコーン部分202の傾斜と一致して傾斜し、一連なりの擂鉢状の面を構成する傾斜面となっている。この構成によれば、複合スピーカ装置1における発音部分が一連なりの擂鉢状の面で構成されることから、その外観の見映えを一層向上させることができる。
【0052】
また、本実施例では、ヨーク12、プレート14、センターポール16、低音用振動板18、及び高音用振動板20、が互いに同軸となるように配置されている。この構成によれば、低音用振動板18の振動と高音用振動板20の振動が互いに同じ軸を中心に発生することとなる。これにより、聴き手に、低音と高音とを上下左右の方向について同じ位置から発した音として聴かせることができ、複合スピーカ装置1における音質を向上させることができる。
【0053】
また、本実施例では、第1ギャップG11が、プレート14におけるフランジ部分142の外周とヨーク12の内周との間のギャップとなっている。この構成によれば、プレート14に至った第1磁石13及び第2磁石15の磁束φ11,φ12を、フランジ部分142を介して良好に合流させて第1ギャップG11及びヨーク12へと導くことができる。
【0054】
尚、本発明は、以上に説明した実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0055】
例えば、上述した実施例では、複合スピーカ装置の一例として、略有底円筒状の最外フレーム111、固定フランジ112b付きの内側フレーム112、及び低音用フレーム113を有するスピーカ筐体11を備えた複合スピーカ装置1が例示されている。しかしながら、複合スピーカ装置は、これに限るものではなく、その筐体形状や筐体構成については、任意の形状や構成を採用し得るものである。
【0056】
また、上述した実施例では、複合スピーカ装置の一例として、次のような複合スピーカ装置1が例示されている。即ち、この複合スピーカ装置1は、有底円筒状のヨーク12及びプレート14、円板状の第1磁石13及び第2磁石15、円板状のセンターポール16、及び円形の低音用振動板18及び高音用振動板20、を備えている。しかしながら、複合スピーカ装置は、これに限るものではない。例えば、ヨークやプレートの形状は、有底筒状であれば円筒状に限らず楕円筒等といった他の筒形状を採用し得る。また、第1磁石、第2磁石、センターポール、低音用振動板、及び高音用振動板の各形状についても、円板状や円形に限らず楕円板や楕円形等といった他の形状を採用し得るものである。
【0057】
また、上述した実施例では、複合スピーカ装置の一例として、第1ギャップG11及び第2ギャップG12が軸方向D11について互いに同位置となるように配置された複合スピーカ装置1が例示されている。しかしながら、複合スピーカ装置は、これに限るものではなく、第1ギャップ及び第2ギャップの位置が軸方向についてずれたものであってもよい。ただし、2つのギャップを同位置に配置することで、複合スピーカ装置1における音質を向上させることができる点は上述した通りである。
【0058】
また、上述した実施例では、複合スピーカ装置の一例として、ヨーク12の開口、プレート14の開口、及びセンターポール16の端面161、が軸方向D11について互いに同位置となるように配置された複合スピーカ装置1が例示されている。しかしながら、複合スピーカ装置は、これに限るものではなく、これら各部の位置が軸方向についてずれたものであってもよい。ただし、これら各部を同位置に配置することで、複合スピーカ装置1における音質を向上させることができる点は上述した通りである。
【0059】
また、上述した実施例では、複合スピーカ装置の一例として、コーン型の低音用振動板18と、ドーム/コーン型でコーン部分202の傾斜が低音用振動板18の傾斜と一致した高音用振動板20を備えた複合スピーカ装置1が例示されている。しかしながら、複合スピーカ装置は、これに限るものではなく、各振動板の形状等は適宜に設定し得るものである。ただし、ドーム/コーン型の高音用振動板20におけるコーン部分202の傾斜を低音用振動板18の傾斜に一致させることで、発音部分の外観の見映えを向上させるとともに音質を向上させることもできる点は上述した通りである。
【0060】
また、上述した実施例では、複合スピーカ装置の一例として、低音用振動板18と、高音用振動板20のコーン部分202と、両者間の高音用フレーム21の端面211と、で一連なりの擂鉢状の面が構成される複合スピーカ装置1が例示されている。しかしながら、複合スピーカ装置は、これに限るものではなく、上記のような擂鉢状の面の一部を端面がなす高音用フレーム等を備えないこととしてもよい。ただし、このような端面211の高音用フレーム21を設けることで、発音部分の外観の見映えを一層向上させることができる点は上述した通りである。
【0061】
また、上述した実施例では、複合スピーカ装置の一例として、ヨーク12、プレート14、センターポール16、低音用振動板18、及び高音用振動板20、が互いに同軸となるように配置された複合スピーカ装置1が例示されている。しかしながら、複合スピーカ装置は、これに限るものではなく、上記の各部品の配置形態は任意の形態を採用し得るものである。ただし、複合スピーカ装置1において同軸配置を採用することで、音質を向上させることができる点は上述した通りである。
【0062】
また、上述した実施例では、複合スピーカ装置の一例として、プレート14におけるフランジ部分142の外周とヨーク12の内周との間に第1ギャップG11が開いた複合スピーカ装置1が例示されている。しかしながら、複合スピーカ装置は、これに限るものではなく、例えばプレートが単純な有底円筒で構成され、その周壁とヨークとの間に第1ギャップが開いたもの等であってもよい。ただし、プレート14のフランジ部分142とヨーク12との間に第1ギャップG11が開くように構成することで、各磁石からの磁束を良好に合流させて第1ギャップG11及びヨーク12へと導くことができる点は上述した通りである。