(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078800
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】通報装置
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20230531BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
G08B25/00 520D
G08B17/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192082
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 英聖
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴臣
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 智絵
(72)【発明者】
【氏名】若林 良介
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C087DD04
5C087DD20
5C087EE16
5C087FF05
5C087GG10
5C087GG28
5C087GG57
5C087GG83
5G405AA02
5G405AD04
5G405CA56
5G405DA17
5G405FA04
(57)【要約】
【課題】共通の通報装置を複数の用途で選択的に使用できるようにする。
【解決手段】通報装置は、押しボタンスイッチと、押しボタンスイッチを収容する筐体と、それぞれ筐体の表面を被覆し、磁石33の配置状態が異なる複数のカバー30-1~30-3の中から選択されるカバー30と、磁石33を検知する磁石検知部と、磁石検知部の検知結果に応じて、複数の用途に応じた複数の動作モードのうちいずれかの動作モードに切り替える切替部と、押しボタンスイッチが押下されると、切替え後の動作モードに応じた通報を行う通報部とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作子と、
前記操作子を収容する筐体と、
それぞれ前記筐体の表面を被覆し、磁石の配置状態が異なる複数の被覆部の中から選択される被覆部と、
前記磁石を検知する磁石検知部と、
前記磁石検知部の検知結果に応じて、複数の用途に応じた複数の動作モードのうちいずれかの動作モードに切り替える切替部と、
前記操作子が操作されると、切替え後の前記動作モードに応じた通報を行う通報部と
を備える通報装置。
【請求項2】
前記複数の被覆部の各々は、前記筐体の内側に突出する突起を有し、
前記複数の被覆部がそれぞれ異なる前記磁石の配置状態を有するように、前記複数の被覆部のうち少なくとも一つが有する前記突起には前記磁石が設けられ、
前記磁石検知部は、当該磁石検知部の検知範囲が前記突起に設けられた前記磁石を含む位置に設けられる
請求項1に記載の通報装置。
【請求項3】
前記筐体は、開口部を有し、
孔が形成され、前記開口部を開閉する蓋をさらに備え、
前記被覆部は、前記蓋の表面を被覆し、
前記突起は、前記孔に挿入される
請求項2に記載の通報装置。
【請求項4】
前記蓋の開閉を検知する開閉検知部をさらに備え、
前記切替部は、前記開閉検知部により前記蓋が開状態になってから閉状態になったことが検知されたことを条件に前記動作モードの切り替えを行う
請求項3に記載の通報装置。
【請求項5】
前記通報部は、切替え後の前記動作モードによって異なる信号を送信する
請求項1から4のいずれか1項に記載の通報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁石を利用して接点の種類を変更可能な押しボタンスイッチが知られている(例えば特許文献1)。また、タブレットデバイスとカバーとの空間的関係を磁石を利用して判定する技術が知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-184973号公報
【特許文献2】特許第6169279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通報装置は、様々な用途毎に別々に設けられている。しかし、通報装置は、用途は異なっていても共通の構造を有する場合があるため、共通の通報装置を複数の用途で選択的に使用できると有益である。
【0005】
本発明は、共通の通報装置を複数の用途で選択的に使用できるようにすることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、操作子と、前記操作子を収容する筐体と、それぞれ前記筐体の表面を被覆し、磁石の配置状態が異なる複数の被覆部の中から選択される被覆部と、前記磁石を検知する磁石検知部と、前記磁石検知部の検知結果に応じて、複数の用途に応じた複数の動作モードのうちいずれかの動作モードに切り替える切替部と、前記操作子が操作されると、切替え後の前記動作モードに応じた通報を行う通報部とを備える通報装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、共通の通報装置を複数の用途で選択的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る通報装置の一例を示す正面図である。
【
図6】基板上の構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図1に示される通報装置を矢視II-II方向から見た断面図である。
【
図8】
図1に示される通報装置を矢視III-III方向から見た断面図である。
【
図9】通報装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。なお、図面においては、発明を理解し易いように、実際の寸法、形状、それらの比率とは異なる場合がある。
【0010】
1.構成
図1は、本実施形態に係る通報装置1の一例を示す正面図である。
図2は、通報装置1の一例を示す右側面図である。
図3は、
図2に示される通報装置1の分解図である。通報装置1は、利用者の操作に応じて通報を行う。また、通報装置1は複数の用途で選択的に使用できる。この「用途」とは、通報装置1の使用の目的をいう。用途には、通報装置1の機能や種類、利用者の種類が含まれてもよい。ここでは、複数の用途には、非常通報ボタンとしての用途、救助ボタンとしての用途、及び火災通報ボタンとしての用途が含まれるものとする。非常通報ボタンは、異常な事象の発生時にその事象を通報するために使用される。救助ボタンは、救助が必要な場合に救助を求めるために使用される。火災通報ボタンは、火災の発生時に火災を通報するために使用される。
【0011】
図3に示されるように、通報装置1は、筐体10と、押しボタンスイッチ20と、カバー30と、蓋40と、基板50と、電源60とを備える。筐体10は、開口部11を有する箱形状をしており、押しボタンスイッチ20、基板50、及び電源60を収容する。押しボタンスイッチ20は、基板50上に設けられ、通報のために利用者により操作されるボタンである。押しボタンスイッチ20は、利用者により押下されるとオンになり、操作信号を出力する。押しボタンスイッチ20は、本発明に係る「操作子」の一例である。
【0012】
図4(a)は、複数のカバー30の一例を示す正面図である。
図4(b)は、
図4(a)に示される複数のカバー30を図中の矢印I方向から見た図である。
図1~
図3に示されるカバー30は、複数のカバー30の中から選択された1のカバー30である。複数のカバー30は、通報装置1の用途の選択に用いられる。複数のカバー30は、予め定められた異なる用途に対応する。複数のカバー30は、利用者が対応する用途を認識しやすいように、それぞれ異なる色を有する。利用者は、複数のカバー30の中から所望の用途に対応する1のカバー30を選択し、蓋40の表面に取り付ける。利用者により選択されなかった残りのカバー30は使用されない。カバー30は、本発明に係る「被覆部」の一例である。
【0013】
図1及び
図3に示されるように、各カバー30は、蓋40の表面の中央部を被覆する。すなわち、各カバー30は、筐体10の正面の一部を被覆する。
図4(a)に示されるように、各カバー30において押しボタンスイッチ20と重なる位置には、ボタン窓31が形成される。ボタン窓31は、押しボタンスイッチ20を外部に露出させるための孔である。ボタン窓31は、押しボタンスイッチ20が通る大きさを有し、カバー30を厚み方向に貫通する。
図4(b)に示されるように、各カバー30の裏面には、2つの突起32a及び32b(以下、総称して「突起32」ともいう。)が左右に並べて設けられる。突起32は、通報装置1の用途の選択及びカバー30の蓋40への取り付けに用いられる。各突起32は、中空の円筒形状を有し、カバー30の裏面から突出する。
【0014】
複数のカバー30においては磁石33の配置状態がそれぞれ異なる。複数のカバー30の少なくとも一つには、複数のカバー30がそれぞれ異なる磁石33の配置状態を有するように、突起32a又は32bに磁石33が設けられる。ここでは、複数のカバー30には、非常通報ボタンに対応するカバー30-1と、救助ボタンに対応するカバー30-2と、火災通報ボタンに対応するカバー30-3とが含まれるものとする。なお、カバー30-1~30-3は、予め利用者に全て提供されてもよいし、利用者の要求に応じてカバー30-1~30-3のうちいずれかが利用者に提供されてもよい。
【0015】
図4(b)に示される例では、カバー30-1の突起32a及び32bには磁石33が設けられない。カバー30-2の突起32aには磁石33が設けられ、突起32bには磁石33が設けられない。カバー30-3の突起32aには磁石33が設けられず、突起32bには磁石33が設けられる。磁石33を設ける方法は、突起32a又は32bの先端に磁石33を接着するという方法であってもよいし、突起32a又は32b内に磁石33を埋め込むという方法であってもよい。このように磁石33が設けられることにより、カバー30-1~カバー30-3はそれぞれ異なる磁石33の配置状態を有する。
【0016】
図5は、蓋40の一例を示す正面図である。蓋40は、筐体10の開口部11を開閉する。蓋40において押しボタンスイッチ20と重なる位置には、ボタン窓41が形成される。ボタン窓41は、押しボタンスイッチ20を外部に露出させるための孔である。ボタン窓41は、押しボタンスイッチ20が通る大きさを有し、蓋40を厚み方向に貫通する。蓋40においてカバー30の突起32a及び32bと対向する位置には、それぞれ、孔42a及び42b(以下、総称して「孔42」ともいう。)が形成される。孔42a及び42bは、それぞれ、カバー30の突起32a及び32bを筐体10の内側に突出するための孔である。孔42a及び42bは、それぞれ、突起32a及び32bが通る大きさを有し、蓋40を厚み方向に貫通する。蓋40の裏面には、ボタン窓41と蓋40の左端との間に突起43が設けられる。なお、
図5に示される突起43の位置は一例であり、これに限定されない。突起43は、必ずしもボタン窓41と隣り合う位置に設けられなくてもよく、押しボタンスイッチ20と干渉しない位置であれば、蓋40の裏面のどの位置に設けられてもよい。突起43は、中空の円筒形状を有し、蓋40の裏面から突出する。
図3に示されるように、突起43には、磁石44が設けられる。磁石44を設ける方法は、突起43の先端に磁石44を接着するという方法であってもよいし、突起43内に磁石44を埋め込むという方法であってもよい。
【0017】
カバー30を蓋40の表面に取り付ける際、利用者は、突起32a及び32bをそれぞれ蓋40の孔42a及び42bに挿入する。これにより、カバー30は蓋40の表面に固定される。利用者によりカバー30付きの蓋40が閉じられると、突起32a及び32bは、それぞれ、孔42a及び42bを貫通して筐体10の内側に突出する。また、
図1及び
図3に示されるように、押しボタンスイッチ20は、蓋40のボタン窓41及びカバー30のボタン窓31を介して外部に露出する。これにより、利用者は、蓋40を開けなくても押しボタンスイッチ20を押下することができる。
【0018】
図6は、基板50上の構成の一例を示すブロック図である。基板50上には、上述した押しボタンスイッチ20に加えて、制御部51と、記憶部52と、入出力部53と、開閉検知部54と、磁石検知部55a及び55b(以下、総称して「磁石検知部55」ともいう。)とが設けられる。これらの構成要素は、バスを介して接続されている。制御部51は、通報装置1の各部の制御及び各種の処理を行う。制御部51は、CPU等の1又は複数のプロセッサを含む。制御部51が行う制御及び処理は、プロセッサが記憶部52に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。記憶部52は、通報装置1の機能を実現するためのプログラムを含む各種のデータを記憶する。記憶部52は、RAM、EEPROM等のメモリを含む。入出力部53は、各種の信号の入出力を行う。入出力部53は、有線又は無線で外部装置に接続されており、外部装置に信号を出力する。
【0019】
開閉検知部54は、蓋40の突起43に設けられた磁石44の検知により蓋40の開閉を検知する。開閉検知部54は、磁石44を検知した場合には蓋40の閉状態を検知する。一方、開閉検知部54は、磁石44を検知しない場合には蓋40の開状態を検知する。開閉検知部54としては、例えば磁気センサが用いられる。磁気センサには、例えばホールIC、マグネットスイッチ、及びリードスイッチが含まれる。ただし、磁気センサは、これらの例に限定されず、磁石44を検知するものであればどのようなものでもよい。
【0020】
磁石検知部55は、カバー30の突起32に設けられた磁石33を検知する。磁石検知部55としては、例えば磁気センサが用いられる。磁気センサには、例えばホールIC、マグネットスイッチ、及びリードスイッチが含まれる。ただし、磁気センサは、これらの例に限定されず、磁石33を検知するものであればどのようなものでもよい。
【0021】
図7は、
図1に示される通報装置1を矢視II-II方向から見た断面図である。開閉検知部54は、基板50上において、突起43に設けられた磁石44を検知し得る位置に設けられる。すなわち、開閉検知部54は、その検知範囲が突起43に設けられた磁石44を含む位置に設けられる。開閉検知部54が感度指向性を有する場合には、検知範囲の大きさは方向によって異なってもよい。例えば開閉検知部54は、
図7に示されるように、その検知範囲が突起43の少なくとも先端を含み、突起43と対向する位置に設けられてもよい。或いは、開閉検知部54は、その検知範囲が突起43の少なくとも先端を含み、突起43と対向しない位置、例えば突起43と左右に隣り合う位置に設けられてもよい。
【0022】
図8は、
図1に示される通報装置1を矢視III-III方向から見た断面図である。磁石検知部55aは、基板50上において、突起32aに設けられた磁石33を検知し得る位置に設けられる。磁石検知部55bは、基板50上において、突起32bに設けられた磁石33を検知し得る位置に設けられる。すなわち、磁石検知部55aは、その検知範囲が突起32aに設けられた磁石33を含む位置に設けられる。磁石検知部55bは、その検知範囲が突起32bに設けられた磁石33を含む位置に設けられる。ただし、磁石検知部55aは、突起32bに設けられた磁石33を検知しない位置、すなわちその検知範囲に突起32bに設けられた磁石33が含まれない位置に設けられる。磁石検知部55bは、突起32aに設けられた磁石33を検知しない位置、すなわちその検知範囲が突起32aに設けられた磁石33が含まれない位置に設けられる。磁石検知部55が感度指向性を有する場合には、検知範囲の大きさは方向によって異なってもよい。例えば磁石検知部55a及び51bは、それぞれ、
図8に示されるように、その検知範囲が突起32a及び32bの少なくとも先端を含み、突起32a及び32bと対向する位置に設けられてもよい。或いは、磁石検知部55a及び51bは、それぞれ、その検知範囲が突起32a及び32bの少なくとも先端を含み、突起32a及び32bと対向しない位置に設けられてもよい。
【0023】
図6に戻り、制御部51は、切替部511と、通報部512として機能する。これらの機能は、制御部51のプロセッサが記憶部52に記憶されたプログラムを実行して演算を行い又は自機の各部を制御することにより実現される。
【0024】
切替部511は、磁石検知部55の検知結果に応じて、複数の用途に応じた複数の動作モードのうちいずれかの動作モードに切り替える。上述したように、複数のカバー30はそれぞれ磁石33の配置状態が異なるため、利用者により取り付けられたカバー30によって磁石検知部55の検知結果が異なる。切替部511は、磁石検知部55の検知結果によって利用者により取り付けられたカバー30を認識し、そのカバー30に対応する用途に応じた動作モードに切り替える。各カバー30に対応する用途及び動作モードは、予め定められている。ここでは、複数の動作モードには、非常通報ボタンとしての用途に応じた第1動作モード、救助ボタンとしての用途に応じた第2動作モード、火災通報ボタンとしての用途に応じた第3動作モードが含まれるものとする。また、切替部511は、蓋40を開いてから閉じるという、動作モードを切り替える処理のトリガとして予め定められた操作が行われたことを条件にこの動作モードの切り替えを行う。
【0025】
通報部512は、押しボタンスイッチ20が押下されると、切替部511による切替え後の動作モードに応じた通報を行う。通報部512は、切替え後の動作モードによって異なる信号を外部装置に送信する。
【0026】
図3に戻り、電源60は、基板50上に設けられた各構成要素と電源線を介して接続されており、各構成要素に電力を供給する。電源60には、電池が含まれる。一の例において、電源60は、磁石検知部55以外の構成要素(開閉検知部54を含む)には電力を常時供給する一方、磁石検知部55には動作モードを切り替える処理が行われている間に限り電力を供給する。或いは、電源60は、各構成要素に電力を常時供給してもよい。
【0027】
2.動作
図9は、通報装置1の動作の一例を示すフローチャートである。利用者は、通報装置1の利用を開始する前に動作モードの切り替えを行う。なお、初期状態において通報装置1は、例えば第1動作モードで動作してもよい。利用者は、まず動作モードを切り替える処理のトリガとなる予め定められた操作、すなわち蓋40を開いてから閉じる操作を行う。また、利用者は、複数のカバー30の中から所望の用途に対応するカバー30を選択し、蓋40の表面に取り付ける。
【0028】
例えば利用者は、蓋40を開いた後、カバー30を蓋40に取り付けてから蓋40を閉じる。このとき、利用者は、通報装置1を非常通報ボタンとして利用する場合にはカバー30-1を取り付け、救助ボタンとして利用する場合にはカバー30-2を取り付け、火災通報ボタンとして利用する場合にはカバー30-3を取り付ける。
【0029】
利用者が蓋40を開くと、ステップS11において開閉検知部54は、磁石44を検知しなくなるため蓋40の開状態を検知する(ステップS11の判定がYES)。蓋40の開状態が検知されると、磁石検知部55の検知が開始される。続いて利用者がカバー30-1~30-3のいずれかを蓋40に取り付けてから蓋40を閉じると、ステップS12において開閉検知部54は、磁石44を検知するため蓋40の閉状態を検知する(ステップS12の判定がYES)。このように、蓋40が開状態になってから閉状態になったことが検知されると、ステップS13以降の動作モードを切り替える処理が開始される。なお、ステップS11の判定がNOの場合には、ステップS12以降の処理は行われない。ステップS12の判定がNOの場合には、ステップS12の判定がYESになるまでステップS12の判定を繰り返す。
【0030】
ステップS13において、磁石検知部55はカバー30に設けられた磁石33を検知する。なお、カバー30に磁石33が設けられていない場合には、磁石33は検知されない。ステップS14において、切替部511は、ステップS13における磁石33の検知結果に応じて動作モードを選択する。
【0031】
例えば磁石検知部55a及び磁石検知部55bのいずれも磁石33を検知しない場合には、
図4(b)に示される突起32a及び32bのいずれにも磁石33が設けられていないカバー30-1が利用者により取り付けられたことを示す。この場合、利用者により非常通報ボタンとしての用途が選択されたことを意味するため、切替部511は非常通報ボタンに応じた第1動作モードを選択する。
【0032】
磁石検知部55aが磁石33を検知する一方、磁石検知部55bが磁石33を検知しない場合には、
図4(b)に示される突起32aだけに磁石33が設けられたカバー30-2が利用者により取り付けられたことを示す。この場合、利用者により救助ボタンとしての用途が選択されたことを意味するため、切替部511は救助ボタンに応じた第2動作モードを選択する。
【0033】
磁石検知部55aが磁石33を検知しない一方、磁石検知部55bが磁石33を検知する場合には、
図4(b)に示される突起32bだけに磁石33が設けられたカバー30-3が利用者により取り付けられたことを示す。この場合、利用者により火災通報ボタンとしての用途が選択されたことを意味するため、切替部511は火災通報ボタンに応じた第3動作モードを選択する。
【0034】
このようにして動作モードが選択されると、選択された動作モードが記憶部52に記憶される。記憶部52に記憶された動作モードは、電源60が再投入された際に、この動作モードに従って通報装置1が動作するために用いられる。
【0035】
ステップS15において、切替部511は、ステップS14において選択された動作モードに切り替える。これにより、通報装置1は、切替え後の動作モードに従って動作する。このようにして動作モードを切り替える処理が完了すると、磁石検知部55の検知が停止される。
【0036】
利用者は、通報が必要な状況になると押しボタンスイッチ20を押下する。利用者により押しボタンスイッチ20が押下されると、押しボタンスイッチ20がオンになり、制御部51に操作信号が供給される。通報部512は、ステップS15において切り替えられた動作モードに応じた通報を行う。
【0037】
例えば切替え後の動作モードが第1動作モードである場合、通報部512は異常な事象を通報する非常信号を外部装置に送信する。切替え後の動作モードが第2動作モードである場合、通報部512は救助を求める救助信号を外部装置に送信する。切替え後の動作モードが第3動作モードである場合、通報部512は火災を通報する火災信号を外部装置に送信する。通報装置1から信号が送信されると、外部装置側では例えば担当者がこの信号に応じた対処を行う。
【0038】
なお、カバー30は必ずしも取り付けられなくてもよい。例えば利用者は、通報装置1を非常通報ボタンとして利用する場合には、複数のカバー30のいずれも取り付けずに、蓋40を開けてから閉めてもよい。この場合にも、カバー30-1が取り付けられた場合と同様に、磁石検知部55a及び磁石検知部55bのいずれも磁石33を検知しないため、非常通報ボタンに応じた第1動作モードに切り替えられる。この場合には、孔42は用いられないため、シール等で塞がれるのが好ましい。
【0039】
以上説明した実施形態によれば、用途によって異なるカバー30を取り付けることで、共通の通報装置1を非常通報ボタンとしての用途、救助ボタンとしての用途、火災通報ボタンとしての用途等の複数の用途で選択的に使用することができる。また、動作モードを切り替える処理のトリガとなる明示的な操作が利用者により行われたことを条件に動作モードを切り替える処理が行われるため、動作モードを切り替える処理が誤って行われるのを防ぐことができる。さらに、利用者はカバー30を選択して取り付ける操作により、通報装置1の用途を選択することができるため、通報装置1の用途を誤って選択するリスクを低減することができる。さらに、カバー30は外部から視認し易いため、例えば通報装置1の内部に設けられたスイッチを用いて通報装置1の用途を選択する構成に比して、通報装置1の用途が誤って選択された場合に、利用者がそれに気付き易い。その結果、通報装置1の用途が誤って選択されたまま運用され、実際に押しボタンスイッチ20が押下されたときに、利用者が意図しない信号が送信されることを防ぐことができる。
【0040】
3.変形例
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態は、以下の変形例のように変形して実施されてもよい。また、以下の2以上の変形例は、組み合わせて用いられてもよい。実施形態と1以上の変形例とは、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。
【0041】
上述した実施形態において、蓋40は必ずしも設けられなくてもよい。例えばカバー30と蓋40とが一体に形成されてもよい。或いは、蓋40は設けられず、カバー30が筐体10の開口部11の少なくとも一部を覆ってもよい。この変形例に係る構成でも、共通の通報装置1を複数の用途で選択的に使用することができる。
【0042】
上述した実施形態において、複数のカバー30のうち少なくともいずれかが取り付けられる場合には、蓋40に代えてカバー30に突起43及び磁石44が設けられてもよい。この場合、蓋40においてカバー30の突起43と重なる位置には、カバー30の突起43を筐体10の内側に突出するための孔が形成される。カバー30を蓋40の表面に取り付ける際、利用者は、さらに突起43を蓋40の孔に挿入する。これにより、突起43は、この孔を貫通して筐体10の内側に突出する。この変形例に係る構成でも、蓋40の開閉を検知することができる。
【0043】
上述した実施形態において、開閉検知部54は、磁気を利用して蓋40を開閉するものに限定されない。例えば開閉検知部54は、蓋40が閉状態になると突起43により押されるスイッチであってもよい。或いは、開閉検知部54は、光を利用して蓋40の開閉を検知する光センサであってもよい。この変形例に係る構成でも、蓋40の開閉を検知することができる。
【0044】
上述した実施形態において、通報部512は、動作モードによって異なる信号を送信するものに限定されない。例えば通報部512は、動作モードによって種類の異なる信号を送信してもよいし、内容の異なる信号を送信してもよい。或いは、通報部512は、動作モードによって異なる通報先に信号を送信してもよい。この変形例に係る構成でも、動作モードによって異なる通報を行うことができる。
【0045】
上述した実施形態において、通報装置1の用途は、非常通報ボタンとしての用途、救助ボタンとしての用途、及び火災通報ボタンとしての用途に限定されない。例えば通報装置1の用途は、侵入者を通報する用途、人の健康状態の異常を通報する用途等、利用者の操作に応じて情報を伝達する用途であれば、どのような用途であってもよい。
【0046】
上述した実施形態において、通報装置1の用途の数は、3つに限定されず、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。通報装置1に取り付けるカバー30によって通報装置1の用途を選択できるようにするには、通報装置1のカバー30及び動作モードの数は、通報装置1の用途の数と同数であることが好ましい。また、複数のカバー30がそれぞれ異なる磁石33の配置状態を有するためには、突起32の数は、通報装置1の用途の数と同数の磁石33の配置状態のパターンを形成できる数であることが好ましい。磁石33の数と通報装置1の用途の数とは、同数であってもよいし、同数でなくてもよい。例えば磁石33の数が2つの場合には、4パターンの磁石33の配置状態を形成することができるため、通報装置1の用途の数は最大4つとなる。磁石33の数が3つの場合には、8パターンの磁石33の配置状態を形成することができるため、通報装置1の用途の数は最大8つとなる。さらに、通報装置1の用途の数と同数の磁石33の配置状態のパターンを識別するには、磁石検知部55の数は、突起32の数と同数であることが好ましい。この変形例に係る構成でも、共通の通報装置1を複数の用途で選択的に使用することができる。
【0047】
上述した実施形態において、押しボタンスイッチ20に代えて、検出スイッチ、ロッカースイッチ、又はタッチパネルに表示された操作画像が用いられてもよい。この検出スイッチ、ロッカースイッチ、及び操作画像も本発明に係る「操作子」の一例である。要するに、本発明に係る操作子は、利用者の操作を受け付けるものであればどのようなものでもよい。この変形例に係る構成でも、利用者の操作に応じて通報することができる。
【0048】
本発明は、異常を検知する検知器の種類の選択に適用されてもよい。異常を検知する検知器は、検知器の種類は異なっていても共通の構造を有する場合がある。検知器は、上述した通報装置1と同様の構成に加えて、異常を検知する検知部を備える。ただし、検知器は、押しボタンスイッチ20を備えなくてもよい。また、検知器は、複数のプロテクターを有する。これらのプロテクターは、上述した複数のカバー30と同様の役割を担う。
【0049】
複数のプロテクターは、上述した複数のカバー30と同様に、それぞれ異なる磁石33の配置状態を有する。利用者は、所望の検知器の種類に対応するプロテクターを検知器に取り付ける。検知器の切替部511は、磁石検知部55の検知結果に応じて、複数の検知器の種類に応じた複数の動作モードのうちいずれかの動作モードに切り替える。検知器の通報部512は、切り替えられた動作モードを外部装置に通知する。検知器の検知部は、切替え後の動作モードに従って動作する。
【0050】
例えば共通の検知器を煙式の火災検知センサ及び熱式の火災検知センサとして選択的に使用する場合を想定する。利用者は、検知器を煙式の火災検知センサとして利用したい場合には、煙式の火災検知センサに対応するプロテクターを取り付ける。検知器の切替部511は、プロテクターの磁石33の配置状態に応じて煙式の火災検知センサが取り付けられたことを認識すると、煙式の火災検知センサに応じた動作モードに切り替える。検知器の通報部512は、切替え後の動作モードを外部装置に通知する。煙式の火災検知センサに応じた動作モードに切り替えられると、例えば検知器では煙式の火災検知センサとして動作させるためのプログラムが実行される。検知器の検知部は、このプログラムに従って火災を検知する。これにより、検知器は、煙式の火災検知センサとして動作する。
【0051】
要するに、本発明の別の形態は、筐体と、それぞれ前記筐体の表面を被覆し、磁石の配置状態が異なる複数の被覆部の中から選択される被覆部と、前記磁石を検知する磁石検知部と、前記磁石検知部の検知結果に応じて、複数の検知器の種類に応じた複数の動作モードのうちいずれかの動作モードに切り替える切替部と、切替え後の前記動作モードに応じて異常を検知する検知部とを備える検知器を提供してもよい。この変形例によれば、共通の検知器を異常を検知する複数種類の検知器として選択的に使用することができる。
【0052】
上述した実施形態において、通報装置1の構成は上述した例に限定されない。通報装置1は、上述した構成を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の構成を含まずに構成されてもよい。
【0053】
上述した実施形態において説明した通報装置1の構造及び配置は一例であり、これに限定されない。例えば蓋40の孔42a及び42bに代えて、突起32a及び32bが挿入される2つの窪みが設けられてもよい。カバー30は、必ずしも筐体10の正面に取り付けられなくてもよい。例えばカバー30は、筐体10の背面に取り付けられてもよいし、2つ以上の面に取り付けられてもよい。すなわち、カバー30は、筐体10の正面、背面、右側面、左側面、上面、及び底面のうち少なくともいずれかの表面に取り付けられればよい。
【0054】
上述した実施形態において、通報装置1の制御部51は、DSP、ASIC、PLD、FPGA等の回路を含み、通報装置1の機能の少なくとも一部はこの回路により実現されてもよい。
【0055】
上述した実施形態において、通報装置1の動作は上述した例に限定されない。通報装置1の処理手順は、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。また、通報装置1の一部の処理手順が省略されてもよい。
【0056】
本発明の別の形態は、通報装置1において行われる処理のステップを有する方法を提供してもよい。また、本発明のさらに別の形態は、通報装置1において実行されるプログラムを提供してもよい。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、インターネット等を介したダウンロードによって提供されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1:通報装置、10:筐体、11:開口部、20:押しボタンスイッチ、30:カバー、31:ボタン窓、32:突起、33:磁石、40:蓋、41:ボタン窓、42:孔、43:突起、44:磁石、50:基板、51:制御部、52:記憶部、53:入出力部、54:開閉検知部、55:磁石検知部、60:電源、511:切替部、512:通報部