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特開2023-78806ケラチン繊維を処置するための固体組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078806
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】ケラチン繊維を処置するための固体組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20230531BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20230531BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230531BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230531BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230531BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/891
A61K8/92
A61K8/81
A61Q5/00
A61K8/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021192089
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・マイドゥル・アラム
(72)【発明者】
【氏名】アイザック・エン・ティン・リー
(72)【発明者】
【氏名】アドリヤン・ケゼール
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB172
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC642
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD171
4C083AD172
4C083AD352
4C083BB11
4C083CC31
4C083DD21
4C083DD32
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】ケラチン繊維に塗布する場合に、十分な指通り、絡み除去/コーミング及びケラチン繊維の柔軟性等の有利な美容効果をケラチン繊維に提供しながら、固体組成物の本来のべとつきを、少なくとも美容上許容可能なレベルに低減することができる、固体組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、(a)(a-i)少なくとも1種の第1のワックス、(a-ii)少なくとも1種の第2のワックス、及び(a-iii)25℃において10cst超の粘度を有する少なくとも1種のシリコーン油を含む脂肪相;並びに(b)(b-i)少なくとも1種のポリオール、及び(b-ii)水を含む複数の水性相を含み、第1のワックスが天然起源のワックスから選択され、第2のワックスが合成起源のワックスから選択され、水性相が脂肪相中に分散している、毛髪等のケラチン繊維用の固体組成物、好ましくは固体化粧用組成物に関する。ケラチン繊維に塗布する場合に、十分な指通り、絡み除去/コーミング及びケラチン繊維の柔軟性等の有利な美容効果をケラチン繊維に提供しながら、本発明による固体組成物の本来のべとつきを、少なくとも美容上許容可能なレベルに低減することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
(a-i)少なくとも1種の第1のワックス、
(a-ii)少なくとも1種の第2のワックス、及び
(a-iii)25℃において10cst超の粘度を有する少なくとも1種のシリコーン油
を含む脂肪相;並びに
(b)
(b-i)少なくとも1種のポリオール、及び
(b-ii)水
を含む複数の水性相
を含み、
第1のワックスが天然起源のワックスから選択され、
第2のワックスが合成起源のワックスから選択され、
水性相が脂肪相中に分散している、毛髪等のケラチン繊維用の固体組成物、好ましくは固体化粧用組成物。
【請求項2】
(a-i)第1のワックスがホホバエステルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a-i)第1のワックスの量が、組成物の総質量に対して、1質量%~15質量%、好ましくは2質量%~10質量%、より好ましくは3質量%~5質量%である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(a-ii)第2のワックスがポリエチレンワックスである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(a-ii)第2のワックスの量が、組成物の総質量に対して、1質量%~15質量%、好ましくは2質量%~10質量%、より好ましくは3質量%~5質量%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(a-iii)シリコーン油が、直鎖状又は環状ポリジメチルシロキサンから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(a-iii)シリコーン油が、25℃において、1,000cst以上、好ましくは5,000cst以上、より好ましくは10,000cst以上の粘度を有する直鎖状ポリジメチルシロキサンである、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(a-iii)シリコーン油の量が、組成物の総質量に対して、10質量%~50質量%、好ましくは15質量%~45質量%、より好ましくは20質量%~40質量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(a)脂肪相の量が、組成物の総質量に対して、20質量%~60質量%、好ましくは25質量%~55質量%、より好ましくは30質量%~50質量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(b-i)ポリオールが、グリセリン、グリコール、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(b-i)ポリオールの量が、組成物の総質量に対して、1質量%~30質量%、好ましくは5質量%~25質量%、より好ましくは10質量%~20質量%である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(b-ii)水の量が、組成物の総質量に対して、10質量%~50質量%、好ましくは15質量%~45質量%、より好ましくは20質量%~40質量%である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
(b)水性相の量が、組成物の総質量に対して、25質量%~70質量%、好ましくは30質量%~65質量%、より好ましくは35質量%~60質量%である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
脂肪相が、(a-iv)少なくとも1種の非シリコーン油、好ましくは、エステル油、炭化水素油、及びこれらの混合物から選択されるもの、より好ましくは、エステル油と炭化水素油との混合物から選択されるものを更に含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
毛髪等のケラチン繊維を処置する方法であって、
(1)請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物をケラチン繊維に塗布する工程、
(2)任意選択で、ケラチン繊維を濯ぐ工程、及び
(3)任意選択で、ケラチン繊維を乾かす工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪等のケラチン繊維を処置するための組成物、及び該組成物に関する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪美容処置の分野において、毛髪への塗布中に化粧用組成物のテクスチャが変化することは、より心地よい使用感を提供することができるため、好ましい。
【0003】
このような、塗布中のテクスチャ変化を実現することができる化粧用組成物の例は、塗布中に融解しうる固体油等の固体脂肪物質をベースとしうる。しかしながら、固体脂肪物質が本来有するべとつきを、塗布中に許容可能なレベルに低減することは、困難であることが多い。
【0004】
テクスチャ変化を実現するための別の例は、連続脂肪相としての固体脂肪物質中に水性分散相を含む、いわゆる固体エマルションをベースとしうる。しかしながら、注意深く検討しなければ、このような固体エマルションを調製することは困難である。
【0005】
WO2021/120084には、メイクアップのため及び/又は皮膚をケアするための、W/Oエマルションの形態の固体組成物が開示されている。WO2021/120084に開示されている固体組成物は、皮膚に塗布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2021/120084
【特許文献2】仏国特許出願公開第8516334(A)号
【特許文献3】米国特許第4,957,732号
【特許文献4】欧州特許第0186507号
【特許文献5】欧州特許出願第0342834号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Walter NOLL著、「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)、Academic Press
【非特許文献2】Cosmetics and Toiletries、Vol. 91、Jan. 76、27~32頁、TODD & BYERS、「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
WO2021/120084に開示されている固体組成物を、皮膚ではなく毛髪等のケラチン繊維に塗布する場合に、固体組成物の本来のべとつきの低減が不十分であり、ケラチン繊維に提供される美容効果もまた不十分であることが見出された。
【0009】
本発明の目的は、ケラチン繊維に塗布する場合に、十分な指通り、絡み除去/コーミング及びケラチン繊維の柔軟性等の有利な美容効果をケラチン繊維に提供しながら、固体組成物の本来のべとつきを、少なくとも美容上許容可能なレベルに低減することができる、固体組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、
(a)
(a-i)少なくとも1種の第1のワックス、
(a-ii)少なくとも1種の第2のワックス、及び
(a-iii)25℃において10cst超の粘度を有する少なくとも1種のシリコーン油
を含む脂肪相;並びに
(b)
(b-i)少なくとも1種のポリオール、及び
(b-ii)水
を含む複数の水性相
を含み、
第1のワックスが天然起源のワックスから選択され、
第2のワックスが合成起源のワックスから選択され、
水性相が脂肪相中に分散している、毛髪等のケラチン繊維用の固体組成物、好ましくは固体化粧用組成物によって達成することができる。
【0011】
(a-i)第1のワックスは、ホホバエステルであることが好ましい。
【0012】
本発明による組成物中の(a-i)第1のワックスの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~15質量%、好ましくは2質量%~10質量%、より好ましくは3質量%~5質量%であってもよい。
【0013】
(a-ii)第2のワックスは、ポリエチレンワックスであることが好ましい。
【0014】
本発明による組成物中の(a-ii)第2のワックスの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~15質量%、好ましくは2質量%~10質量%、より好ましくは3質量%~5質量%であってもよい。
【0015】
(a-iii)シリコーン油は、直鎖状又は環状ポリジメチルシロキサンから選択されうる。
【0016】
(a-iii)シリコーン油は、25℃において、1,000cst以上、好ましくは5,000cst以上、より好ましくは10,000cst以上の粘度を有する直鎖状ポリジメチルシロキサンであってもよい。
【0017】
本発明による組成物中の(a-iii)シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~50質量%、好ましくは15質量%~45質量%、より好ましくは20質量%~40質量%であってもよい。
【0018】
本発明による組成物中の(a)脂肪相の量は、組成物の総質量に対して、20質量%~60質量%、好ましくは25質量%~55質量%、より好ましくは30質量%~50質量%であってもよい。
【0019】
(b-i)ポリオールは、グリセリン、グリコール、及びこれらの混合物から選択されうる。
【0020】
本発明による組成物中の(b-i)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~30質量%、好ましくは5質量%~25質量%、より好ましくは10質量%~20質量%であってもよい。
【0021】
本発明による組成物中の(b-ii)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~50質量%、好ましくは15質量%~45質量%、より好ましくは20質量%~40質量%であってもよい。
【0022】
本発明による組成物中の(b)水性相の量は、組成物の総質量に対して、25質量%~70質量%、好ましくは30質量%~65質量%、より好ましくは35質量%~60質量%であってもよい。
【0023】
本発明による組成物中に脂肪相は、(a-iv)少なくとも1種の非シリコーン油、好ましくは、エステル油、炭化水素油、及びこれらの混合物から選択されるもの、より好ましくは、エステル油と炭化水素油との混合物から選択されるものを更に含んでもよい。
【0024】
本発明はまた、毛髪等のケラチン繊維を処置する方法であって、
(1)本発明による組成物をケラチン繊維に塗布する工程、
(2)任意選択で、ケラチン繊維を濯ぐ工程、及び
(3)任意選択で、ケラチン繊維を乾かす工程
を含む、方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
鋭意検討の結果、本発明者は、ケラチン繊維に塗布する場合に、十分な指通り、絡み除去/コーミング及びケラチン繊維の柔軟性等の有利な美容効果をケラチン繊維に提供しながら、固体組成物の本来のべとつきを、少なくとも美容上許容可能なレベルに低減することができる、固体組成物を提供することが可能であることを見出した。
【0026】
したがって、本発明は、
(a)
(a-i)少なくとも1種の第1のワックス、
(a-ii)少なくとも1種の第2のワックス、及び
(a-iii)25℃において10cst超の粘度を有する少なくとも1種のシリコーン油
を含む脂肪相;並びに
(b)
(b-i)少なくとも1種のポリオール、及び
(b-ii)水
を含む複数の水性相
を含み、
第1のワックスが天然起源のワックスから選択され、
第2のワックスが合成起源のワックスから選択され、
水性相が脂肪相中に分散している、毛髪等のケラチン繊維用の固体組成物、好ましくは固体化粧用組成物に関する。
【0027】
「ケラチン繊維」は、ここでは、少なくとも1種のケラチン物質を含む繊維を意味する。ケラチン繊維の表面の少なくとも一部が、ケラチン物質によって形成されていることが好ましい。ケラチン繊維の例としては、毛髪、眉毛、睫毛等が挙げられる。本発明による組成物は、毛髪を処置するために使用されることが好ましい。
【0028】
本発明による組成物は、W/O型エマルションの形態であってもよい。
【0029】
本発明による組成物を毛髪等のケラチン繊維に塗布する場合に、本発明による組成物の本来のべとつきを、少なくとも美容上許容可能なレベルに低減することができる。したがって、本発明による組成物について、ケラチン繊維に塗布する場合に、テクスチャを変化させることが可能である。ケラチン繊維に塗布する場合に、本発明による組成物の本来のべとつきを、べとつきがまったく又はほとんど知覚されないように低減できることが好ましい。本発明による組成物は、外側に脂肪相を有するにもかかわらず、外側の脂肪相に由来する本来のべとつきを低減することができるため、容易にケラチン繊維に塗布することができる。
【0030】
本発明による組成物は、コンディショニング効果等の有利な美容効果を、毛髪等のケラチン繊維に提供することができる。本発明による組成物によって提供される美容効果は、例えば、滑らかな指通り、及び/又は絡み除去若しくはコーミングの容易さ、及び/又はケラチン繊維の柔軟性によって表されうる。したがって、本発明による組成物はケラチン繊維に、十分な指通り、絡み除去/コーミング、及び/又は柔軟性を提供することができる。
【0031】
本発明による組成物は安定である。本発明による組成物は、高温のもとでさえ、長期間、相分離を生じない。そのため、本発明による組成物は均一に見え、均一な外観を維持することができる。
【0032】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0033】
[組成物]
本発明の一態様は、
(a)
(a-i)少なくとも1種の第1のワックス、
(a-ii)少なくとも1種の第2のワックス、及び
(a-iii)25℃において10cst超の粘度を有する少なくとも1種のシリコーン油
を含む脂肪相;並びに
(b)
(b-i)少なくとも1種のポリオール、及び
(b-ii)水
を含む複数の水性相
を含み、
第1のワックスが天然起源のワックスから選択され、
第2のワックスが合成起源のワックスから選択され、
水性相が脂肪相中に分散している、毛髪等のケラチン繊維用の固体組成物、好ましくは固体化粧用組成物に関する。
【0034】
「固体」という用語は、ここでは、室温(25℃)且つ大気圧(760mmHg)下での状態を意味する。固体組成物は、高い粘稠性を有し、貯蔵中、その形態を維持することができる。「流体」組成物とは対照的に、固体組成物は、自重により流動しない。例えば、固体組成物は、室温において大気圧下で自重により、1時間後に流動していない。
【0035】
「固体」とは、テクスチュロメトリによって配合物試料へのプローブの針入時に測定される最大の力の測定値が、以下の具体的な測定条件下で評価して、少なくとも0.25ニュートンに等しい、特に少なくとも0.30ニュートンに等しい、とりわけ少なくとも0.35ニュートンに等しいことによって定義されうる。
【0036】
配合物が熱いうちに、直径4cm、深さ3cmのジャーに注型する。室温において、冷却を行う。調製した配合物の硬度は、24時間待機した後に測定する。試料を収容したジャーを、Rheo社により販売されるTA-XT2機等のテクスチュロメータを使用し、次のプロトコルに従って、テクスチュロメトリにおいて特性評価する:直径5mmのステンレス鋼ボールタイプのプローブを、1mm/秒の速度で試料と接触させる。測定システムは、0.005ニュートンに等しい検出閾値で、試料による境界面を検出する。プローブは試料中に、0.1mm/秒の速度で0.3mm針入する。測定機は、針入フェーズの間、圧縮中に測定された力の変化を経時的に記録する。試料の硬度は、少なくとも3回の測定における、針入の間に検出された力の最大値の平均に相当する。
【0037】
{脂肪相}
本発明による組成物中の脂肪相は、
(a-i)少なくとも1種の第1のワックス、
(a-ii)少なくとも1種の第2のワックス、及び
(a-iii)25℃において10cst超の粘度を有する少なくとも1種のシリコーン油
を含む。
【0038】
(a-i)第1のワックスと(a-ii)第2のワックスとは、互いに異なる。
【0039】
「ワックス」という用語は、ここでは、親油性化合物(特に、ワックスエステル:高級脂肪酸(C10以上、好ましくはC12以上)と高級アルコール(C8以上)とのエステル)を意味し、このような化合物は、ホホバ油を除いて、室温(25℃)において固体であり、状態が固体/液体で可逆的に変化し、30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上の融点を有し、融点は最大100℃であってもよい。
【0040】
本発明では、融点は、例えばASTM D127に従って測定される。
【0041】
本発明による組成物に使用される(a-i)第1のワックス及び(a-ii)第2のワックスは、60℃以上、好ましくは65℃以上、より好ましくは75℃以上の融点を有してもよい。本発明による組成物に使用される(a-i)第1のワックス及び(a-ii)第2のワックスは、最大90℃、好ましくは最大85℃の融点を有してもよい。
【0042】
(a-i)第1のワックス及び/又は(a-ii)第2のワックスは、20℃において、5MPa超、とりわけ5~15MPaの範囲内の硬度を有してもよい。
【0043】
ワックスの硬度は、圧縮力を測定することによって判定でき、Rheo社によりTA-XT2という名称で販売されているテクスチュロメータ(直径2mmのステンレス鋼シリンダを備え、このシリンダが0.1mm/秒の測定速度で移動し、0.3mmの針入深さまでワックスに針入する)を使用して、20℃において測定される。
【0044】
硬度の測定プロトコルは、次の通りである。
【0045】
ワックスの融点+10℃に等しい温度において、ワックスを融解させる。融解したワックスを、直径25mm且つ深さ20mmの容器に注ぐ。ワックスの表面が平坦で滑らかになるように、ワックスを室温(25℃)において24時間再結晶させ、次いで、ワックスを20℃において少なくとも1時間貯蔵してから硬度又は粘着力を測定する。
【0046】
テクスチュロメータのスピンドルを0.1mm/秒の速度で動かし、次いで0.3mmの針入深さまでワックスに針入させる。スピンドルが0.3mmの深さまでワックスに針入したら、スピンドルを静止させて1秒間保持し(緩和時間に相当する)、次いで0.5mm/秒の速度で引き抜く。
【0047】
硬度値とは、測定した最大圧縮力を、テクスチュロメータのシリンダがワックスに接触する面積で除算した値である。
【0048】
本発明による組成物中の脂肪相の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以上、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上であってもよい。
【0049】
その一方で、本発明による組成物中の脂肪相の量は、組成物の総質量に対して、60質量%以下、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下であってもよい。
【0050】
したがって、本発明による組成物中の脂肪相の量は、組成物の総質量に対して、20質量%~60質量%、好ましくは25質量%~55質量%、より好ましくは30質量%~50質量%の範囲内であってもよい。
【0051】
(第1のワックス)
本発明による組成物は、(a-i)少なくとも1種の第1のワックスを含む。単一のタイプの第1のワックスを使用してもよく、2種以上の異なるタイプの第1のワックスを組み合わせて使用してもよい。
【0052】
(a-i)第1のワックスは、天然起源のワックスから選択される。言い換えれば、(a-i)第1のワックスは天然ワックスである。
【0053】
天然ワックスの例としては、石油ワックス、植物ワックス、及び動物ワックスが挙げられる。
【0054】
石油ワックスの例としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びペトロラタムが挙げられる。
【0055】
植物ワックスの例としては、ホホバエステル、ライスワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オーリキュリーワックス、木ろう、ココアバター、コルク繊維ワックス、及びサトウキビワックスが挙げられる。
【0056】
動物ワックスの例としては、ラノリンワックス、ラノリン誘導体、及びビーズワックスが挙げられる。
【0057】
(a-i)第1のワックスは、ホホバエステルであることが好ましい。
【0058】
ホホバエステルは、式(I):
R1-COO-CH2R1 (I)
(式中、R1はCH3(CH2)y-を含み、yは16、18、20、又は22である)
によって表されうる。
【0059】
ホホバエステル(ワックス)は、次の式(II):
CH3-(CH2)7-CH=CH-CH2-(CH2)x-C(=O)-O-CH2-(CH2)y-CH=CH-(CH2)7-CH3 (II)
(式中、x及びyは独立して、6、8、10、又は12である)
のホホバ油の水素化によって得ることができる。
【0060】
ホホバ油は、直鎖モノ不飽和脂肪族アルコールと、モノ不飽和脂肪酸とから構成される。単一の二重結合は、それぞれの脂肪酸又はアルコール鎖の末端メチル基(-CH3)から数えて中央(n-9位)に位置する。したがって、化学構造の観点から、ホホバ油はむしろ液体ワックスであり、偶数個の炭素原子、主として20個及び22個の炭素の脂肪族アルコールと脂肪酸とのエステルから構成される。得られるエステルは、38個、40個、42個、及び44個の鎖長を有し、少量の36個及び4個の炭素原子のエステルが存在する。ホホバ油の典型的な組成を以下に述べる。
【0061】
【表1】
【0062】
ホホバ油は、ホホバ植物(ホホバ(Simmondsia chinensis))の種子に由来しうる。
【0063】
加えて、ホホバエステルは、ホホバ油及び水素化ホホバ油のエステル交換によって得られうる。
【0064】
ホホバエステルは、例えば、Vantage Specialty Ingredients, Inc.,社から、Jojoba Ester 70として市販されている。
【0065】
本発明による組成物中の(a-i)第1のワックスの量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であってもよい。
【0066】
本発明による組成物中の(a-i)第1のワックスの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよいが、ただし、(a-i)第1のワックスの量はゼロではない。
【0067】
本発明による組成物中の(a-i)第1のワックスの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~15質量%、好ましくは2質量%~10質量%、より好ましくは3質量%~5質量%の範囲内であってもよい。
【0068】
(第2のワックス)
本発明による組成物は、(a-ii)少なくとも1種の第2のワックスを含む。単一のタイプの第2のワックスを使用してもよく、2種以上の異なるタイプの第2のワックスを組み合わせて使用してもよい。
【0069】
(a-ii)第2のワックスは、合成起源のワックスから選択される。言い換えれば、(a-ii)第2のワックスは合成ワックスである。
【0070】
合成ワックスの例としては、合成炭化水素ワックス及び変性ワックスが挙げられる。
【0071】
合成炭化水素ワックスの例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、及びフィッシャー-トロプシュワックスが挙げられる。
【0072】
変性ワックスの例としては、パラフィンワックス誘導体、モンタンワックス誘導体、及びマイクロクリスタリンワックス誘導体が挙げられる。
【0073】
(a-ii)第2のワックスは、合成炭化水素ワックス、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、及びフィッシャー-トロプシュワックスから選択されることが好ましい。
【0074】
ポリエチレンワックスの例としては、エチレンホモポリマー、及びエチレン-アルファ-オレフィンコポリマーが挙げられる。或いは、ワックスは、コポリマーの熱分解によって得てもよい。アルファ-オレフィンの例としては、3~12個の炭素原子を有するアルファ-オレフィン、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、及び1-オクテンが挙げられる。
【0075】
ポリプロピレンワックスの例としては、プロピレンホモポリマー、エチレン-プロピレンコポリマー(ランダム又はブロックコポリマーである)、及びプロピレン-アルファ-オレフィン(エチレン又はプロピレンを除く)コポリマーが挙げられる。或いは、ワックスは、コポリマーの熱分解によって得てもよい。アルファ-オレフィンの例としては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、及び1-オクタデセンが挙げられる。
【0076】
ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスは、公知の方法によって、チーグラー触媒、チーグラー-ナッタ触媒、及びメタロセン触媒等の重合触媒を使用して得ることができる。特に、重合触媒としてメタロセン触媒を使用することによって得られるポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスが好ましく、このようなワックスは、重合触媒としてチーグラー触媒又はチーグラー-ナッタ触媒を使用することによって得られるポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスと比較して、狭い分子量分布及び安定な品質を有する。
【0077】
フィッシャー-トロプシュワックスは、主に直鎖状炭化水素を含む合成炭化水素ワックスであり、通常圧力下で170~250℃において、コバルト、ニッケル、又は鉄等の触媒を使用して、主成分として一酸化炭素と水素とを含有する水性ガスを反応させることによって得られる。フィッシャー-トロプシュワックスは、奇数個及び偶数個の炭素原子を含有する炭化水素を含むこと、すなわち、奇数個の炭素原子を含有する炭化水素と、偶数個の炭素原子を含有する炭化水素との両方を含むことを特徴とする。
【0078】
最も好ましくは、(a-ii)第2のワックスはポリエチレンワックスである。
【0079】
本発明による組成物中の(a-ii)第2のワックスの量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であってもよい。
【0080】
本発明による組成物中の(a-ii)第2のワックスの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよいが、ただし、(a-ii)第2のワックスの量はゼロではない。
【0081】
本発明による組成物中の(a-ii)第2のワックスの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~15質量%、好ましくは2質量%~10質量%、より好ましくは3質量%~5質量%の範囲内であってもよい。
【0082】
(シリコーン油)
本発明による組成物は、(a-iii)25℃において10cst超の粘度を有する少なくとも1種のシリコーン油を含む。単一のタイプのこのようなシリコーン油を使用してもよく、2種以上の異なるタイプのこのようなシリコーン油を組み合わせて使用してもよい。
【0083】
粘度測定は一般に、25℃において、No.2スピンドルを備えるRheomat RM180粘度計を使用して行われ、測定は、スピンドルを組成物中で10分間(この時間の後、粘度の安定化及びスピンドルの回転速度の安定化が観察される)、200回転/分(rpm)で回転させた後に行われる。
【0084】
(a-iii)シリコーン油は、25℃において、100cst以上、好ましくは500cst以上、より好ましくは1,000cst以上、より好ましくは5,000cst以上、より好ましくは10,000cst以上、より好ましくは50,000cst以上、よりいっそう好ましくは100,000cst以上の粘度を有してもよい。
【0085】
ここでは、「シリコーン油」とは、室温(25℃)において大気圧(760mmHg)下で、液体又はペーストの形態であるシリコーン化合物又は物質を意味する。シリコーン油として、化粧品中に一般に使用されるものを単独で使用しても、それらの組み合わせで使用してもよい。
【0086】
シリコーン又はオルガノポリシロキサンは、例としては、Walter NOLL著、「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)、Academic Pressにおいて定義される。これらは、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0087】
(a-iii)シリコーン油は、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン、及びこれらの混合物から選択されうる。
【0088】
したがって、(a-iii)シリコーン油は、少なくとも1種の揮発性シリコーン油若しくは少なくとも1種の不揮発性シリコーン油のいずれか、又は少なくとも1種の揮発性シリコーン油と少なくとも1種の不揮発性シリコーン油との両方を含んでもよい。
【0089】
揮発性又は不揮発性シリコーンは、任意選択で少なくとも1つの有機官能性部分又は基によって変性されている、直鎖状、分枝状、又は環状シリコーンから選択されうる。
【0090】
例えば、(a-iii)シリコーン油は、ポリジアルキルシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルトリメチコーン、ポリジアリールシロキサン、並びにポリ(オキシアルキレン)部分又は基、アミン又はアミド部分又は基、アルコキシ又はアルコキシアルキル部分又は基、ヒドロキシル又はヒドロキシル化部分又は基、アシルオキシ又はアシルオキシアルキル部分又は基、カルボン酸又はカルボキシレート部分又は基、ヒドロキシアシルアミノ部分又は基、アクリル部分又は基、ポリアミン又はポリアミド部分又は基、及びオキサゾリン部分から選ばれる少なくとも1つの有機官能性部分又は基を含む、有機変性ポリシロキサンからなる群から選択されうる。
【0091】
(a-iii)シリコーン油が揮発性である場合、(a-iii)シリコーン油は、60℃~260℃の範囲内の沸点を有するもの、例えば、次のものから選ばれうる。
【0092】
(i)環状シリコーン、例えば、3~7個、例としては4~6個のケイ素原子を含むポリジアルキルシロキサン。このようなシロキサンの非限定的な例としては、例として、UNION CARBIDE社によりVOLATILE SILICONE(登録商標) 7207、及びRHODIA社によりSILBIONE(登録商標) 70045 V2の商品名で市販されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、UNION CARBIDE社によりVOLATILE SILICONE(登録商標) 7158、及びRHODIA社によりSILBIONE(登録商標) 70045 V5、信越化学工業株式会社によりKF-995の商品名で市販されているデカメチルシクロペンタシロキサン、並びに、例としては、Dow Corning社によりXIAMETER(登録商標) PMX-246の商品名及びDC246 Fluidの商品名で市販されているドデカメチルシクロヘキサシロキサン(INCI:シクロヘキサシロキサン)、並びにこれらの混合物が挙げられる。シクロメチコーン、例えば、DOW CORNING社によりDC 244、DC 245、DC 344、DC 345、及びDC 246の参照名で市販されているものを使用してもよい。ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサンタイプのシクロコポリマー、例えば、式
【0093】
【化1】
【0094】
(式中、
【0095】
【化2】
【0096】
)のUNION CARBIDE社により市販されているSILICONE VOLATILE(登録商標) FZ 3109も使用されうる。
【0097】
環状シリコーン、例えばポリジアルキルシロキサンとケイ素由来有機化合物との組み合わせ、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの(50/50)混合物、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-(ヘキサ-2,2,2',2',3,3'-トリメチルシリルオキシ)ビス-ネオペンタンとの混合物も使用されうる。
【0098】
(ii)2~9個のケイ素原子を含む、直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。このような化合物の非限定的な例はデカメチルテトラシロキサンであり、例としては、TORAY SILICONE社により「SH 200」の商品名で市販されている。このクラスに属するシリコーンは、例えば、Cosmetics and Toiletries、Vol. 91、Jan. 76、27~32頁、TODD & BYERS、「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」にも記載されている。
【0099】
(a-iii)シリコーン油が揮発性である場合、(a)シリコーン油は、環状シリコーンから選んでもよい。
【0100】
その一方で、(a-iii)シリコーン油は、上に説明したように、不揮発性シリコーン、例えば、ポリジアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリジアリールシロキサン、及び有機変性ポリシロキサンから選んでもよい。
【0101】
一実施形態によれば、(a-iii)シリコーン油は、不揮発性ポリジアルキルシロキサン、例えば、ジメチコーンの商品名で知られる、トリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサンから選んでもよい。
【0102】
このようなポリジアルキルシロキサンに相当する市販製品の非限定的な例としては、次のものが挙げられる:
RHODIA社により市販されているSILBIONE(登録商標)液の47及び70 047シリーズ、並びにMIRASIL(登録商標)液、例えば70 047液V 500 000、
RHODIA社により市販されているMIRASIL(登録商標)シリーズの液、
DOW CORNING社により市販されている200シリーズの液、例えば60,000mm2/秒の粘度を有するDC200、
Dow Corning社により市販されているXIAMETER(登録商標) PMX-200 SILICONE FLUID 60000CS、
GENERAL ELECTRIC社のVISCASIL(登録商標)液、及びGENERAL ELECTRIC社のSFシリーズのいくつかの液(例えばSF 96及びSF 18)、並びに
DOW CORNING社によりDC 1664の参照名で市販されている液。
【0103】
このクラスのポリジアルキルシロキサンに属する、GOLDSCHMIDT社により「ABIL Wax(登録商標) 9800及び9801」の商品名で市販されている製品は、ポリジアルキル(C1~C20)シロキサンであり、これもまた使用されうる。
【0104】
ポリアルキルアリールシロキサンは、ポリジメチル/メチルフェニルシロキサン、直鎖状及び/又は分枝状のポリジメチル/ジフェニルシロキサンから選ばれうる。
【0105】
このようなポリアルキルアリールシロキサンの非限定的な例としては、以下の商品名で市販されている製品が挙げられる;
RHODIA社製のSILBIONE(登録商標)液の70 641シリーズ、RHODIA社からのRHODORSIL(登録商標)液の70 633シリーズ及び763シリーズ、
DOW CORNING社によりDOW CORNING 556 COSMETIC GRADE FLUIDの参照名で市販されているフェニルトリメチコーン液、
BAYER社製のPKシリーズのシリコーン、例えばPK20製品、
BAYER社製のPNシリーズ、PHシリーズのシリコーン、例えばPN1000製品及びPH1000製品、並びに
GENERAL ELECTRIC社製のいくつかのSFシリーズの液、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0106】
本発明に従って使用されうる有機変性シリコーンとしては、先に定義された、その構造内に、直接結合した又は炭化水素基によって結合された少なくとも1つの有機官能性部分又は基を含むもの等のシリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
有機変性シリコーンとしては、例えば、次のものを挙げることができる:
【0108】
ポリエチレンオキシ部分及び/又はポリプロピレンオキシ部分を含み、C6~C24アルキル部分を任意選択で含むポリオルガノシロキサン、例えば、DOW CORNING社によりDC 1248の商品名及びDC Q2-5220の商品名で市販されているジメチコーンコポリオールと呼ばれる製品、並びにUNION CARBIDE社により市販されているSILWET(登録商標) L 722、L 7500、L 77及びL 711液、並びにDOW CORNING社によりXIAMETER(登録商標) OFX-0193 FLUIDの商品名で市販されているPEG-12ジメチコーン、並びにDOW CORNING社によりQ2 5200の商品名で市販されている(C12)アルキル-メチコーンコポリオール;
【0109】
任意選択で置換されているアミン部分を含むポリオルガノシロキサン、例えばGENESEE社によりGP 4 Silicone Fluid及びGP 7100の商品名で市販されている製品、並びにDOW CORNING社によりQ2 8220、並びにDOW CORNING 929及び939の商品名で市販されている製品。置換されているアミン部分は、例えば、アミノC1~C4アルキル部分から選ばれうる。アミノシリコーン又はアモジメチコーンは、追加のC1~C4アルコキシ官能基を有してもよく、例えば次のものがある:WACKER BELSIL ADM LOG 1製品に相当するもの。アミノシリコーン又はアモジメチコーンは、好ましくはその分子鎖の末端に、少なくとも1つの、好ましくは2つの追加のアルキル基、例えばC12~C20、好ましくはC14~C18、より好ましくはC16~C18アルキル基を有していてもよく、例えば次のものがある:Momentive Performance Materials社により「Silsoft Ax」の商品名で市販されているビス-セテアリルアモジメチコーン;
【0110】
アルコキシル化部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば、SWS SILICONES社により「SILICONE COPOLYMER F-755」の商品名、並びにGOLDSCHMIDT社によりABIL WAX(登録商標) 2428、2434、及び2440の商品名で市販されている製品;
【0111】
ヒドロキシル化部分を含むポリオルガノシロキサン、例としては、仏国特許出願公開第8516334(A)号に記載されている、ヒドロキシアルキル官能基含有ポリオルガノシロキサン;
【0112】
アシルオキシアルキル部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば、米国特許第4,957,732号に記載されているポリオルガノシロキサン;
【0113】
カルボン酸タイプのアニオン性部分を含むポリオルガノシロキサン、例えばチッソ株式会社により市販されている、欧州特許第0186507号に記載されている製品、並びにカルボキシルアルキルのアニオン性部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば信越化学工業株式会社により市販されているX-22-3701E製品中に存在するもの;スルホン酸2-ヒドロキシアルキルを含むポリオルガノシロキサン;及びチオ硫酸2-ヒドロキシアルキルを含むポリオルガノシロキサン、例えばGOLDSCHMIDT社により商品名「ABIL(登録商標) S201」及び「ABIL(登録商標) S255」で市販されている製品;
【0114】
ヒドロキシアシルアミノ部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば欧州特許出願第0342834号に記載されているポリオルガノシロキサン。相当する市販製品の非限定的な例は、DOW CORNING社により市販されているQ2-8413の製品である;
【0115】
アクリル部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば3M社によりVS80及びVS70の名称で市販されている製品;
【0116】
ポリアミン部分を含むポリオルガノシロキサン、並びに
【0117】
オキサゾリン部分を含むポリオルガノシロキサン
【0118】
【化3】
【0119】
本発明に従って使用されうるシリコーンは、1つ又は2つのオキサゾリン基、例えばポリ(2-メチルオキサゾリン-b-ジメチルシロキサン-b-2-メチルオキサゾリン)及びポリ(2-エチル-2-オキサゾリン-ジメチルシロキサン)を含んでもよい。花王株式会社によりOX-40、OS-51、OS-96及びOS-88の参照名で市販されている製品もまた使用されうる。
【0120】
ジメチルシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサンも使用してもよく、例えばジメチコノール(CTFA)の商品名で販売されているもの、例えばRHODIA社により市販されている48シリーズの液がある。
【0121】
(a-iii)シリコーン油が不揮発性である場合、(a-iii)シリコーン油は、ポリジメチルシロキサン及び有機変性ポリジメチルシロキサンから選ばれうる。有機変性ポリジメチルシロキサンは、アモジメチコーンから選択されうる。ポリジメチルシロキサン又は有機変性ポリジメチルシロキサンの粘度は、1,000,000cst~20,000,000cstでありうる。
【0122】
(a-iii)シリコーン油は、揮発性又は不揮発性のシリコーン油から、例えば室温で液状又はペースト状である直鎖状又は環式シリコーン鎖を含有する揮発性又は不揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)から、特に、シクロペンタシロキサン及びシクロヘキサシロキサン等のシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコーン);ペンダントである及び/又はシリコーン鎖の末端にある、アルキル基、アルコキシ基又はフェニル基を含有するポリジメチルシロキサン(これらの基は、1~24個の炭素原子を有する);フェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、シロキシケイ酸2-フェニルエチルトリメチル、及びポリメチルフェニルシロキサン等のフェニルシリコーン;並びにジメチコノール、ジメチコーンコポリオール(例えばPEG-12ジメチコーン)及びアモジメチコーン(例えばビス-セテアリルアモジメチコーン)等の有機変性シリコーンから選択されることが好ましい場合がある。
【0123】
(a-iii)シリコーン油として、少なくとも1種の揮発性シリコーンと少なくとも1種の不揮発性シリコーンとの組み合わせを使用することができる。このような組み合わせの非限定的な例としては、シクロペンタシロキサンとジメチコノールとの混合物が挙げられ、例としてはDow Corning社によりXiameter PMX-1501 Fluidの商品名で市販されている。
【0124】
(a-iii)シリコーン油は、直鎖状又は環状ポリジメチルシロキサンから選択されうる。(a-iii)シリコーン油は、直鎖状ポリジメチルシロキサンから選択されることが好ましい。
【0125】
(a-iii)シリコーン油は、25℃において、1,000cst以上、好ましくは5,000cst以上、より好ましくは10,000cst以上の粘度を有する直鎖状ポリジメチルシロキサンであってもよい。直鎖状ポリジメチルシロキサンは、25℃において、1,000,000cst以下、より好ましくは800,000cst以下、よりいっそう好ましくは600,000cst以下の粘度を有することが好ましい。
【0126】
本発明による組成物中の(a-iii)シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上であってもよい。
【0127】
その一方で、本発明による組成物中の(a-iii)シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下であってもよいが、ただし、(a-iii)シリコーン油の量はゼロではない。
【0128】
したがって、本発明による組成物中の(a-iii)シリコーンの量は、組成物の総質量に対して、10質量%~50質量%、好ましくは15質量%~45質量%、より好ましくは20質量%~40質量%の範囲内であってもよい。
【0129】
(非シリコーン油)
本発明による組成物は、(a-iv)少なくとも1種の非シリコーン油を含んでもよい。単一のタイプの非シリコーン油を使用してもよく、2種以上の異なるタイプの非シリコーン油を組み合わせて使用してもよい。
【0130】
ここでは、「油」とは、室温(25℃)において大気圧(760mmHg)下で、液体又はペースト(非固体)の形態の脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品中に一般に使用されるものを単独で、又はそれらの組み合わせで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0131】
油は、炭化水素油等の非極性油;植物油若しくは動物油及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油;又はこれらの混合物であってもよい。
【0132】
油は、植物又は動物起源の油、合成油、炭化水素油、及び脂肪族アルコールからなる群から選択されうる。
【0133】
植物油の例として、例えば、アマニ油、ツバキ油、マカダミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0134】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0135】
合成油の例として、アルカン油、例えば、イソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0136】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、これらのエステルの合計炭素原子数は10以上である。
【0137】
好ましくは、一価アルコールのエステルの場合、本発明のエステルが誘導されるアルコール及び酸のうち、少なくとも1種は分枝状である。
【0138】
一酸と一価アルコールとのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0139】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、並びにモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた、使用することができる。
【0140】
とりわけ、次のものを挙げることができる:セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコール。
【0141】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、いくつかのアルコール官能基を含有し、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有せず、且つ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素を保持する炭化水素系化合物を意味することを想起されたい。これらの糖は、単糖類、オリゴ糖類、又は多糖類であってもよい。
【0142】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、及びラクトース、並びにこれらの誘導体、とりわけ、メチル誘導体等のアルキル誘導体、例としてはメチルグルコースが含まれる。
【0143】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状で飽和若しくは不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選ぶことができる。これらの化合物は、不飽和である場合、1~3つの共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有しうる。
【0144】
この変形によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択されうる。
【0145】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えばとりわけ、オレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0146】
より特定すると、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0147】
挙げることができる例は、Amerchol社によりGlucate(登録商標) DOの名称で販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0148】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸2-エチルヘキシル/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0149】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0150】
炭化水素油は、以下から選ばれうる:
- 直鎖状又は分枝状、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン、及びイソデカンが含まれる;
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、流動パラフィン、流動石油ゼリー、ポリデセン、及び水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアラン。
【0151】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱物油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水素化ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0152】
脂肪族アルコールにおける「脂肪族」という用語は、比較的多数の炭素原子を包含することを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪族アルコールの範囲内に包含される。脂肪族アルコールは、飽和であっても、不飽和であってもよい。脂肪族アルコールは、直鎖であっても、分枝状であってもよい。
【0153】
脂肪族アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和で、直鎖状及び分枝状の基から選ばれる)を有しうる。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選ばれうる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基によって置換されていても、されていなくてもよい。
【0154】
脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0155】
脂肪族アルコールは、飽和脂肪族アルコールであることが好ましい。
【0156】
したがって、脂肪族アルコールは、直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和C6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20アルコールから選択されうる。
【0157】
「飽和脂肪族アルコール」という用語は、ここでは、長鎖の脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪族アルコールは、任意の直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪族アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪族アルコールの中でも、直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20脂肪族アルコールが、好ましく使用されうる。任意の直鎖状又は分枝状の飽和C16~C20脂肪族アルコールが、より好ましく使用されうる。分枝状C16~C20脂肪族アルコールが、よりいっそう好ましく使用されうる。
【0158】
飽和脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)、及びベヘニルアルコールを、飽和脂肪族アルコールとして使用することができる。
【0159】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中で使用される脂肪族アルコールは、好ましくは、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物から選ばれる。
【0160】
(a-iv)非シリコーン油は、エステル油、炭化水素油、及びこれらの混合物から選択されることが好ましく、より好ましくは、エステル油と炭化水素油との混合物から選択される。
【0161】
本発明による組成物中の(a-iv)非シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であってもよい。
【0162】
本発明による組成物中の(a-iv)非シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して、30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下であってもよい。
【0163】
本発明による組成物中の(a-iv)非シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~30質量%、好ましくは2質量%~25質量%、より好ましくは3質量%~20質量%の範囲内であってもよい。
【0164】
{水性相}
本発明による組成物中の水性相は、
(b-i)少なくとも1種のポリオール、及び
(b-ii)水
を含む。
【0165】
本発明による組成物中の水性相の量は、組成物の総質量に対して、25質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上であってもよい。
【0166】
その一方で、本発明による組成物中の水性相の量は、組成物の総質量に対して、70質量%以下、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下であってもよい。
【0167】
したがって、本発明による組成物中の水性相の量は、組成物の総質量に対して、25質量%~70質量%、好ましくは30質量%~65質量%、より好ましくは35質量%~60質量%の範囲内であってもよい。
【0168】
(ポリオール)
本発明による組成物は、(b-i)少なくとも1種のポリオールを含む。2種以上の異なるタイプの(b-i)ポリオールを組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの(b-i)ポリオール、又は異なるタイプの(b-i)ポリオールの組み合わせが使用されうる。
【0169】
「ポリオール」という用語は、ここでは、2つ以上のヒドロキシ基を有するアルコールを意味し、糖類又はその誘導体を包含しない。糖類の誘導体としては、糖類の1つ又は複数のカルボニル基を還元することによって得られる糖アルコール、及び1つ又は複数のヒドロキシ基中の水素原子が、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アシル基、又はカルボニル基等の少なくとも1つの置換基で置き換えられている糖類又は糖アルコールが挙げられる。
【0170】
本発明において使用されるポリオールは、室温、例えば25℃において、大気圧(760mmHg又は105Pa)下で液体である。
【0171】
ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基、好ましくは2~5つのヒドロキシ基を含む、C2~C24ポリオール、好ましくはC2~C9ポリオールであってもよい。
【0172】
ポリオールは、天然ポリオールであっても、合成ポリオールであってもよい。ポリオールは、直鎖状、分枝状、又は環状の分子構造を有しうる。
【0173】
ポリオールは、グリセリン、グリコール、及びこれらの混合物から選択されうる。ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、へキシレングリコール、C6~C24ポリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、及びこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0174】
(b-i)ポリオールは、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0175】
本発明による組成物中の(b-i)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であってもよい。
【0176】
本発明による組成物中の(b-i)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下であってもよい。
【0177】
本発明による組成物中の(b-i)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~30質量%、好ましくは5質量%~25質量%、より好ましくは10質量%~20質量%であってもよい。
【0178】
(水)
本発明による組成物は、(b-ii)水を含む。
【0179】
(b-ii)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上であってもよい。
【0180】
その一方で、本発明による組成物中の(b-ii)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下であってもよいが、ただし、(b-ii)水の量はゼロではない。
【0181】
本発明による組成物中の(b-ii)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~50質量%、好ましくは15質量%~45質量%、より好ましくは20質量%~40質量%の範囲内であってもよい。
【0182】
(任意選択の成分)
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の任意選択の又は追加の成分を含んでもよい。
【0183】
任意選択の又は追加の成分は、カチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性ポリマー;アニオン性、非イオン性又は両性界面活性剤;有機又は無機UV遮蔽剤;ペプチド及びその誘導体;タンパク質加水分解物;膨潤剤及び浸透剤;脱毛抑制剤;ふけ防止剤;天然又は合成の油用増粘剤;懸濁剤;金属イオン封鎖剤;乳白剤;染料;日焼け止め剤;ビタミン又はプロビタミン;香料;保存剤、共保存剤、安定剤;並びにこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0184】
本発明による組成物は、25℃において2cst超、好ましくは3cst超、より好ましくは4cst超、且つ25℃において10cst以下、好ましくは9cst以下、より好ましくは8cst以下、よりいっそう好ましくは7cst以下の粘度を有する、少なくとも1種の追加のシリコーン油を含んでもよい。
【0185】
本発明による組成物は、カチオン性ポリマー及び/又はカチオン性界面活性剤を含むことが好ましい。
【0186】
カチオン性ポリマーの例として、カチオン性グアーガム、例えばトリアルキルアンモニウムカチオン性基を含有するグアーガムを挙げることができる。グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド及びヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドを挙げることができる。
【0187】
カチオン性界面活性剤の例として、脂肪族アミドアミン、例えばステアラミドプロピルジメチルアミン、並びに第四級アンモニウム塩、例えば、ベヘントリモニウムクロリド及びセトリモニウムクロリドを挙げることができる。
【0188】
任意選択の又は追加の成分の量は限定されないが、本発明による組成物の総質量に対して、0.001質量%~30質量%、好ましくは0.01質量%~20質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%であってもよい。
【0189】
{調製}
本発明による組成物は、上に説明した必須成分、及び必要な場合、上に説明した任意選択の成分を混合することによって、調製することができる。
【0190】
上記の必須成分及び任意選択の成分を混合する方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段を、上記の必須成分及び任意選択の成分を混合して本発明による組成物を調製するために、使用することができる。
【0191】
{形態}
本発明による組成物において、複数の水性相が脂肪相中に分散している。水性相が不連続相であり、脂肪相が連続相である。
【0192】
本発明による組成物は、ワックス(又はワックス/油)中水タイプの組成物の形態であることが好ましく、より好ましくはワックス(又はワックス/油)中水タイプのエマルションの形態である。
【0193】
{塗布}
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくは毛髪用化粧用組成物でありうる。本発明による組成物は、毛髪等のケラチン繊維を染色又は着色するために使用されないことがより好ましい。
【0194】
本発明による組成物は、リーブオンタイプであってもリーブオフタイプであってもよい。リーブオンタイプの組成物は、ケラチン繊維に使用した後に濯ぎ落とさない。リーブオフタイプの組成物は、ケラチン繊維に使用した後に濯ぎ落とす。本発明による組成物は、リーブオンタイプであることが好ましい。
【0195】
本発明による組成物は、いずれの顔料も含まないことが好ましい。
【0196】
[方法]
本発明はまた、毛髪等のケラチン繊維を処置する方法であって、
(1)上に説明した本発明による組成物をケラチン繊維に塗布する工程、
(2)任意選択で、ケラチン繊維を濯ぐ工程、及び
(3)任意選択で、ケラチン繊維を乾かす工程
を含む、方法にも関する。
【0197】
乾かす工程として、任意の従来の乾燥技法が、ケラチン繊維を乾かすために使用されうる。
【0198】
必要な場合、ケラチン繊維を乾かす前に及び/又は後に、濯ぐ工程を行うことができる。
【0199】
[使用]
本発明はまた、
(a)
(a-i)50℃以上の融点を有する少なくとも1種の第1のワックス、
(a-ii)50℃以上の融点を有する少なくとも1種の第2のワックス、
(a-iii)25℃において10cst超の粘度を有する少なくとも1種のシリコーン油
を含む脂肪相;並びに
(b)
(b-i)少なくとも1種のポリオール、及び
(b-ii)水
を含む複数の水性相
を含み、
第1のワックスが天然起源のワックスから選択され、
第2のワックスが合成起源のワックスから選択され、
水性相が脂肪相中に分散している、固体組成物の使用であって、
毛髪等のケラチン繊維を美容処置するために、ケラチン繊維に塗布する場合に、十分な指通り、絡み除去/コーミング及びケラチン繊維の柔軟性等の有利な美容効果をケラチン繊維に提供しながら、固体組成物の本来のべとつきを、少なくとも美容上許容可能なレベルに低減することを特徴とする、使用にも関しうる。
【0200】
成分(a-i)~(a-iii)及び(b-i)~(b-ii)に関する上記説明は、本発明による使用における説明に適用することができる。
【実施例0201】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0202】
(実施例1~3及び比較例1~3)
[調製]
実施例1~3及び比較例1~3による毛髪用組成物それぞれを、表1に示す成分を混合することによって調製した。
【0203】
具体的には、まず、ワックス及び油を含む脂肪相のための成分並びに界面活性剤を85℃で加熱し、ミキサーによって700rpm前後で混合して、混合物を得た。個別に、水性相のための成分を上記混合物に85℃で加え、ミキサーによって1000rpm前後で20分間乳化させて、エマルションを得た。フェノキシエタノールを含む他の成分を上記エマルションに75℃前後で加え、ミキサーで2800rpm前後にて5分間混合した。最後に、得られた組成物を75℃でビーカーに放出し、室温に冷却した。
【0204】
表1における成分の量についての数値はすべて、活性原料の「質量%」に基づく。
【0205】
【表2】
【0206】
[エマルション形成]
実施例1~3及び比較例1~3による組成物がW/O型エマルションの形態であるかを、顕微鏡によって観察した。結果を表1に示す。
【0207】
[評価]
2.7gの長さ27cmのブリーチされた毛髪スワッチを水で濡らした。過剰の水をタオルで除去した。実施例1~3及び比較例1~3による組成物各0.1gを毛髪スワッチに塗布し、次いで、毛髪スワッチを完全に乾かした。毛髪に関する指通り、絡み除去/コーミング、毛髪の柔軟性、及び非べとつきを、5人のパネリストが次の基準に従った1~5のスコア付けによって評価し、平均した。結果を表1に示す。
5:非常に良好
4:良好
3:可
2:不良
1:非常に不良
【0208】
「可」、「良好」、及び「非常に良好」の基準は、許容可能である。
【0209】
「不良」及び「非常に不良」の基準は、許容可能ではない。
【0210】
{まとめ}
実施例1による組成物は、W/O型エマルションの形態であり、毛髪に塗布した場合に、組成物の本来のべとつきを許容可能なレベルに低減することができた。実施例1による組成物はまた、許容可能な指通り、許容可能な絡み除去/コーミング、及び許容可能な毛髪の柔軟性を、毛髪に提供することもできた。
【0211】
実施例2による組成物は、実施例1による組成物における成分に加えて非シリコーン油(イソノナン酸イソノニル)を更に含むが、これはW/O型エマルションの形態であり、毛髪に塗布した場合に、組成物の本来のべとつきを更に低減することができた。実施例2による組成物はまた、良好な指通り、良好な絡み除去/コーミング、及び良好な毛髪の柔軟性を、毛髪に提供することもできた。
【0212】
実施例3による組成物は、実施例1による組成物における成分に加えて毛髪コンディショニング剤/静電防止剤(ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド及びステアラミドプロピルジメチルアミン)を更に含むが、これはW/O型エマルションの形態であり、毛髪に塗布した場合に、組成物の本来のべとつきを更により低減することができた。実施例3による組成物はまた、非常に良好な指通り、非常に良好な絡み除去/コーミング、及び非常に良好な毛髪の柔軟性を、毛髪に提供することもできた。
【0213】
第1のワックスを欠く比較例1による組成物は、W/O型エマルションの形態であったが、毛髪に塗布した場合に、組成物の本来のべとつきを許容可能なレベルに低減することができなかった。比較例1による組成物は、許容可能な指通り、許容可能な絡み除去/コーミング、及び許容可能な毛髪の柔軟性を、毛髪に提供することができなかった。
【0214】
第2のワックスを欠く比較例2による組成物はW/O型エマルションの形態ではなく、そのため、美容効果の評価はできなかった。
【0215】
比較例3による組成物は、WO2021/120084に開示されている具体的な配合物が2cstの粘度を有するシリコーン油のみを含むため、WO2021/120084に開示されている先行技術に相当する。
【0216】
比較例3による組成物は、25℃において10cst超の粘度を有するシリコーン油を欠くが、これはW/O型エマルションの形態であったが、毛髪に塗布した場合に、組成物の本来のべとつきを許容可能なレベルに低減することができなかった。比較例3による組成物は、許容可能な指通り、許容可能な絡み除去/コーミング、及び許容可能な毛髪の柔軟性を、毛髪に提供することができなかった。
【外国語明細書】