(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078826
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】吸収性物品個装体
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
A61F13/15 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192122
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 美沙
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200CA11
3B200DE01
3B200DF09
3B200EA18
(57)【要約】
【課題】手指の汚れがなく吸収性物品の取替ができ、使用済の吸収性物品を露出なしに包装でき、体液の漏出を防止できる吸収性物品個装体とその使用方法の提供。
【解決手段】下着に固定した使用済品を新品に取り替える吸収性物品個包装体であって、新しい吸収性物品50と、個包装シート72と、個包装シート72の一表面に固定されたZ型粘着テープ70とを含み、Z型粘着テープ70は、長手方向に離隔して形成された2つの折り目によりA領域、B領域、C領域に区分して側面視Z字型に折り畳み、A領域は一表面に粘着層Aを有して個包装シートの一表面に固定され、B領域はA領域とは反対側の他表面に粘着層Bを有し、C領域はA領域と同じ側の一表面に粘着層Cを有し、Z型粘着テープ70の粘着層Bを、使用済の吸収性物品に貼り付けて下着から使用済みの吸収性物品を取り外すために用いる、吸収性物品個包装体。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下着に固定した使用済の吸収性物品を新しい吸収性物品に取り替えつつ、前記使用済の吸収性物品を包装して廃棄する、吸収性物品個包装体であって、
取替用の新しい吸収性物品と、
前記使用済の吸収性物品を包装する個包装シートと、
前記個包装シートの一方の表面に固定されたZ型粘着テープと、を含み、
前記Z型粘着テープは、
帯状物を側面視Z字型に折り畳んだ外形形状を有し、長手方向の一端から他端に向かって、幅方向に延在する、第1の折り目、及び第2の折り目、が離設され、
前記一端から前記第1の折り目までのA領域と、前記第1の折り目から前記第2の折り目までのB領域と、前記第2の折り目から他端までのC領域と、を有し、
前記A領域は、一表面に粘着層Aを有して前記個包装シートの一表面に固定され、
前記B領域は、前記A領域とは反対側の他表面に粘着層Bを有し、
前記C領域は、前記A領域と同じ側の前記一表面に粘着層Cを有し、
前記Z型粘着テープの前記粘着層Bを、前記使用済の吸収性物品の肌側表面に貼り付けて前記下着から前記使用済みの吸収性物品を取り外すために用いる、吸収性物品個包装体。
【請求項2】
前記粘着層Cが、前記使用済の吸収性物品の前記個包装シートによる包装を固定する、請求項1に記載の吸収性物品個包装体。
【請求項3】
前記取替用の新しい吸収性物品の最も非肌側表面に設けられた第1の粘着層と、
前記第1の粘着層に剥離可能に貼り付けられた剥離シートと、
前記剥離シートの非肌側表面に設けられた第2の粘着層と、
前記第2の粘着層に貼り付けられた個包装シートと、
前記個包装シートの非肌側表面に固定された前記Z型粘着テープと、
を含む請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品個装体。
【請求項4】
前記B領域及び/又は前記C領域の、側面視Z型に折り畳んだときの対向面に剥離剤を含む剥離層を有する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記剥離剤が、シリコーン系剥離剤又はフッ素系剥離剤である、請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収性物品の最も肌側表面であって、かつ、前記吸収性物品の長手方向の両端に、一対の液不透過性のサイドシートが配置されている、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記個包装シートが、フィルム、紙、不織布又はこれらの積層体である、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
下着に固定した使用済の吸収性物品を新しい吸収性物品に取り替えつつ、前記使用済の吸収性物品を包装して廃棄する、吸収性物品個包装体の使用方法であって、
前記吸収性物品個包装体は、
取替用の新しい吸収性物品と、
前記使用済の吸収性物品を包装する個包装シートと、
前記個包装シートの一方の表面に固定されたZ型粘着テープと、を含み、
前記Z型粘着テープは、
帯状物を側面視Z字型に折り畳んだ外形形状を有し、長手方向の一端から他端に向かって、幅方向に延在する、第1の折り目、及び第2の折り目、が離設され、
前記一端から前記第1の折り目までのA領域と、前記第1の折り目から前記第2の折り目までのB領域と、前記第2の折り目から他端までのC領域と、を有し、
前記A領域は、一表面に粘着層Aを有して前記個包装シートの一表面に固定され、
前記B領域は、前記A領域とは反対側の他表面に粘着層Bを有し、
前記C領域は、前記A領域と同じ側の前記一表面に粘着層Cを有し、
前記Z型粘着テープの前記B領域の前記粘着層を、前記使用済の吸収性物品の肌側表面に貼り付けて前記下着から前記使用済みの吸収性物品を取り外し、前記使用済みの吸収性物品を前記個包装シートで包装する、吸収性物品個包装体の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品個包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配置された吸収体と、を含んで構成され、例えば、軽失禁製品は、バックシート側を下着に固定して使用される。
【0003】
使用済の吸収性物品(以下「使用済品」ともいう)を新しい吸収性物品(以下「新品」ともいう)に取り替える作業は、通常は、両手で使用済品を下着から取り外した後、使用済品を新品の包装袋等に収納して廃棄し、新品を下着に貼り付けることで実施される。このとき、使用済品を取り外すときには、手指が直接使用済品に接することから、手指に体液が付着し易い。また、体液を吸収して膨張及び/又は変形している使用済品を、新品の包装袋に収納するときには、使用済品の一部が包装袋の切り口等に引っ掛かって、手指を体液で汚す場合がある。また、使用済品を包装袋等に収納したとしても、使用済品を密閉したことにはなり得ず、体液が包装袋の内面を伝って漏れ出し、衣服等に付着するおそれもある。
【0004】
また、包装袋ではなくトイレットペーパーで使用済品を包んで捨てる人もいるが、トイレットペーパーは十分な耐水性及び密封性を有しないことから、丸めた包みが開いて使用済品が露出したり、使用済品中の体液が一部漏れ出して包みが破れたり、トイレ個室の床に体液が落下したり、といった問題を生じ易い。このように、手指やトイレ個室内を体液で汚すことなく、使用済品を清潔に新品に取り替えることができ、また、使用済品を密封できるような吸収性物品個包装体が望まれ、種々の提案がなされている。
【0005】
特許文献1には、使い捨て紙おむつやナプキン等の吸収性物品と、Z型粘着テープとを含み、Z型粘着テープは、側面視Z型に折りたたまれて、(a)部と、(a)部に連接された(b)部と、(b)部に連接された(c)部と、を有し、(a)部の外面、及び(b)部の面の50%以下に離型処理層が設けられ、(c)部の内面には離型処理層が存在せず、かつ少なくとも(a)部の内面及び/又は(c)部の外面に粘着剤層が設けられ、Z型粘着テープは(c)部に設けられた粘着剤層により吸収性物品の外表面に固定されている、吸収性物品が記載されている(請求項1、請求項16)。特許文献1によれば、使用済の吸収性物品を丸めて、Z型粘着テープで固定することができると記載されている(段落0022)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の吸収性物品は、使用済品を丸めてその外表面に固定したZ型粘着テープで封をして廃棄するものであるが、それでは使用済品の露出、使用済品からの体液の漏れ等を十分に防止することはできない。また、Z型粘着テープで固定するとしても、使用済品に手指で触れることが必要になり、手指の体液による汚れを防止することは難しい。さらに、Z型粘着テープが吸収性物品に直接固定されていることから、吸収性物品の着用感に違和感が生じたり、上衣を整えたりするときに誤ってZ型粘着テープを引き剥がしたりする問題が生じるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、使用済の吸収性物品を手指を汚すことなく清潔に新品の吸収性物品に取り替えることができ、かつ使用済の吸収性物品を露出させることなく包装でき、体液の漏出を防止できる吸収性物品個装体及びその使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、取替用の新品の吸収性物品とZ型粘着テープとだけを用いるのではなく、取替用の新品の吸収性物品及びZ型粘着テープとともに、使用後の吸収性物品を包む個包装シートを含む吸収性物品個装体を用い、かつZ型粘着テープとして一端から他端に向けてA領域、B領域及びC領域を有し、各領域ごとに折り畳まれ、A領域及びC領域の同じ側の一方の表面に粘着層を設け、かつB領域にはA領域及びC領域とは反対側の面に粘着層を設け、A領域の粘着層を個包装シートの一表面への固定用とし、B領域の粘着剤層を使用済の吸収性物品に固定するZ型粘着テープを用い、個包装シートを使用済の吸収性物品にかぶせて、個包装シート越しに使用済みの吸収性物品を下着から剥がして個包装シートで包むことにより、手指を汚すことなく清潔に使用済品から新品に交換できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、下記の吸収性物品個装体及びその使用方法を提供する。
【0010】
(1)下着に固定した使用済の吸収性物品を新しい吸収性物品に取り替えつつ、前記使用済の吸収性物品を包装して廃棄する、吸収性物品個包装体であって、
取替用の新しい吸収性物品と、
前記使用済の吸収性物品を包装する個包装シートと、
前記個包装シートの一方の表面に固定されたZ型粘着テープと、を含み、
前記Z型粘着テープは、
帯状物を側面視Z字型に折り畳んだ外形形状を有し、長手方向の一端から他端に向かって、幅方向に延在する、第1の折り目、及び第2の折り目、が離設され、
前記一端から前記第1の折り目までのA領域と、前記第1の折り目から前記第2の折り目までのB領域と、前記第2の折り目から他端までのC領域と、を有し、
前記A領域は、一表面に粘着層Aを有して前記個包装シートの一表面に固定され、
前記B領域は、前記A領域とは反対側の他表面に粘着層Bを有し、
前記C領域は、前記A領域と同じ側の前記一表面に粘着層Cを有し、
前記Z型粘着テープの前記粘着層Bを、前記使用済の吸収性物品の肌側表面に貼り付けて前記下着から前記使用済みの吸収性物品を取り外すために用いる、吸収性物品個包装体。
(2)前記粘着層Cが、前記使用済の吸収性物品の前記個包装シートによる包装を固定する、上記(1)の吸収性物品個包装体。
(3)前記取替用の新しい吸収性物品の最も非肌側表面に設けられた第1の粘着層と、
前記第1の粘着層に剥離可能に貼り付けられた剥離シートと、
前記剥離シートの非肌側表面に設けられた第2の粘着層と、
前記第2の粘着層に貼り付けられた個包装シートと、
前記個包装シートの非肌側表面に固定された前記Z型粘着テープと、
を含む、上記(1)又は(2)の吸収性物品個装体。
(4)前記B領域及び/又は前記C領域の、側面視Z型に折り畳んだときの対向面に剥離剤を含む剥離層を有する、上記(1)乃至(3)のいずれかの吸収性物品。
(5)前記剥離剤が、シリコーン系剥離剤又はフッ素系剥離剤である、上記(4)の吸収性物品。
(6)前記吸収性物品の最も肌側表面であって、かつ、前記吸収性物品の長手方向の両端に、一対の液不透過性のサイドシートが配置されている、上記(1)乃至(5)のいずれかの吸収性物品。
(7)前記個包装シートが、フィルム、紙、不織布又はこれらの積層体である、上記(1)乃至(6)のいずれかの吸収性物品。
(8)下着に固定した使用済の吸収性物品を新しい吸収性物品に取り替えつつ、前記使用済の吸収性物品を包装して廃棄する、吸収性物品個包装体の使用方法であって、
前記吸収性物品個包装体は、
取替用の新しい吸収性物品と、
前記使用済の吸収性物品を包装する個包装シートと、
前記個包装シートの一方の表面に固定されたZ型粘着テープと、を含み、
前記Z型粘着テープは、
帯状物を側面視Z字型に折り畳んだ外形形状を有し、長手方向の一端から他端に向かって、幅方向に延在する、第1の折り目、及び第2の折り目、が離設され、
前記一端から前記第1の折り目までのA領域と、前記第1の折り目から前記第2の折り目までのB領域と、前記第2の折り目から他端までのC領域と、を有し、
前記A領域は、一表面に粘着層Aを有して前記個包装シートの一表面に固定され、
前記B領域は、前記A領域とは反対側の他表面に粘着層Bを有し、
前記C領域は、前記A領域と同じ側の前記一表面に粘着層Cを有し、
前記Z型粘着テープの前記B領域の前記粘着層を、前記使用済の吸収性物品の肌側表面に貼り付けて前記下着から前記使用済みの吸収性物品を取り外し、前記使用済みの吸収性物品を前記個包装シートで包装する、吸収性物品個包装体の使用方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用済の吸収性物品を手指を汚すことなく清潔に新品の吸収性物品に取り替えることができ、かつ使用済の吸収性物品を露出させることなく包装でき、体液の漏出を防止できる吸収性物品個装体及びその使用方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態の吸収性物品個装体の構成を模式的に示す、肌側から見た平面図である。
【
図2】
図1に示すX-X切断線による幅方向の模式断面図である。
【
図3】Z型粘着テープの構成を模式的に示す展開図である。
【
図4】本実施形態に係る吸収性物品個装体の折り畳まれた状態を示す模式平面図である。
【
図5】本実施形態に係る吸収性物品個装体を展開して非肌側から見た模式平面図である。
【
図6】
図5においてZ型粘着テープを展開したときの模式平面図である。
【
図7】個包装シートと折り畳んだZ型粘着シートとの固定を示す模式側面図である。
【
図8】個包装シートと展開したZ型粘着シートとの固定を示す模式側面図である。
【
図9】本実施形態に係る吸収性物品個装体の使用方法の第1ステップを示す模式平面図である。(a)は折り畳んだ吸収性物品個装体を示し、(b)展開した吸収性物品個装体を示す。
【
図10】本実施形態に係る吸収性物品個装体の使用方法の第2ステップを示す模式平面図である。(a)乃至(c)の順にステップが進行する。
【
図11】本実施形態に係る吸収性物品個装体の使用方法の第3ステップを示す模式平面図である。
【
図12】本実施形態に係る吸収性物品個装体の使用方法の第4ステップを示す模式斜視図である。(a)乃至(c)の順にステップが進行する。
【
図13】本実施形態に係る吸収性物品個装体の使用方法の第5ステップを示す模式斜視図である。(a)乃至(b)の順にステップが進行する。
【
図14】本実施形態に係る吸収性物品個装体の使用方法の第6ステップを示す模式斜視図である。(a)乃至(c)の順にステップが進行する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、吸収性物品50の着用とは、体液吸収の前後を問わず、着用者の身体に装着した状態をいう。吸収性物品50の、長手方向とは、吸収性物品50を着用したときに着用者の股間部を介して前後に亘る、図中Yで示す方向であり、幅方向とは長手方向に対して略直交する、図中Xで示す方向であり、厚さ方向とは各構成部材を積層する方向である。吸収性物品50及びその各構成部材の肌側表面とは着用者の肌に当接する表面又は該肌を臨む表面であり、非肌側表面とは着用者の衣類に当接する表面又は衣類を臨む表面である。体液とは、尿、血液や軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0014】
<吸収性物品>
図1、
図2、
図4乃至
図6は、本実施形態に係る吸収性物品個装体1を示す。
図3、
図7、
図8はZ型粘着テープ70を示す。
図9乃至
図14は、別の実施形態に係る吸収性物品個装体1の使用方法を説明する図面である。各図は、吸収性物品個装体1、吸収性物品50及び各構成部材の形状や、寸法の大小関係等を規定するものではない。
【0015】
本実施形態に係る吸収性物品個装体1に備わる吸収性物品50は、ベビー用、成人用及び高齢者用の種々の吸収性物品として使用でき、その中でも、軽失禁パッド、軽失禁ライナー、生理用ナプキン、おりものシート等のパッド製品として特に好適に使用できる。吸収性物品50の、長手方向の寸法は例えば100mm以上300mm以下の範囲、又は140mm以上230mm以下の範囲であり、幅方向の寸法は例えば50mm以上500mm以下の範囲である。各寸法を前述の数値範囲内にすると、軽失禁用製品、生理用ナプキン、おりものシート等に適した吸収性物品50が得られる。
【0016】
本実施形態の吸収性物品個装体1は、
図1乃至
図3に示すように、吸収性物品50と、、吸収性物品50の最も非肌側の表面(後述するバックシート30の非肌側表面)に剥離可能に粘着された剥離シート71と、剥離シート71の非肌側表面に貼り付けられた個包装シート72と、個包装シート72の非肌側表面に貼り付けられたZ型粘着テープ70とを備え、さらに吸収性物品個装体1を折り畳んで収納する扁平な収納袋(不図示)を有している。吸収性物品50の肌側表面には、吸収性物品個装体1を折り畳んで製品化するときに利用される、幅方向に延びて長手方向に配置される折返し線61、62の仮想線が設定されている。折返し線61、62に沿って吸収性物品50及びその付属品(剥離シート71、個包装シート72等)を折り畳み、包装袋に収納してシールすることで、市販される。
吸収性物品50は、肌側に位置する、液透過性のトップシート10と、トップシート10に対向配置され、非肌側に位置する液不透過性のバックシート30と、トップシート10とバックシート30との間に配置される吸収体20と、トップシート10の肌側表面の幅方向両端部に設けられた一対の立体ギャザー40と、トップシート10の肌側表面の長手方向両端部に設けられた一対の液不透過性のサイドシート60と、を含む。
Z型粘着テープ70は、帯状物を側面視Z字型に折り畳んだ外形形状を有し、長手方向の一端から他端に向かって、幅方向に延在する、第1の折り目、及び第2の折り目、が離設され、一端から第1の折り目までのA領域と、第1の折り目から第2の折り目までのB領域と、第2の折り目から他端までのC領域と、を有し、A領域は、一表面に粘着層A(粘着層75)を有して個包装シー72の非肌表面に固定され、B領域は、A領域とは反対側の他表面に粘着層B(粘着層76)を有し、C領域は、A領域と同じ側の一表面に粘着層Cである(粘着層77)を有し、遊離端78がつまみになっている。
【0017】
本実施形態によれば、バックシート30側で下着に取り付けられている使用済の吸収性物品50(以下「使用済品」ともいう)に対し、新品の吸収性物品50(以下「新品」ともいう)と、一表面にZ型粘着テープ70が固定され、かつ使用済品を露出しないように包む個包装シート72と、を用い、まず、Z型粘着テープ70を展開してB領域の粘着層76を使用済品のトップシート10表面に貼り付けて個包装シート72を被せ、個包装シート72越しに使用済品を下着から取り外し、個包装シート72で使用済品をそのまま密封包装することが可能になる。このとき、Z型粘着テープ70のC領域を包装の外方に導出すれば、C領域の粘着層77により包装に封をすることができる。従って、本実施形態によれば、手指、衣服やトイレの床面等を体液で汚すことなく、使用済品を部分的にも露出させることなく、使用済品から新品への取り替え作業を非常に清潔にかつ容易に行なうことができる。
また、新品と、Z型粘着テープ70が一表面に固定された個包装シート72と、を剥離シート71等で一体化した実施形態によれば、剥離シート71が新品に対して剥離可能に構成されていることから、使用済の吸収性物品50を剥離シート71と個包装シート72との2層のシートで包装することができるので、手指の清潔性、使用済の吸収性物品50の包装性等が一層向上する。
【0018】
前述したように、本実施形態の吸収性物品個装体1は、吸収性物品50、剥離シート71、個包装シート72及びZ型粘着テープ72を含み、吸収性物品50、個包装シート72及びZ型粘着テープ70を基本構成単位とする。
【0019】
本実施形態の吸収性物品50は、トップシート10、吸収体20、及びバックシート30を基本構成単位とし、例えば、前述のような立体ギャザー40やサイドシート60の配設、トップシート10と吸収体20との間へのセカンドシートやトランスファシート(不図示)の配置、キャリアシート(不図示)による吸収体20の被覆等の、公知の様々な改変を施すことができる。以下、本実施形態の吸収性物品50の構成部材について、トップシート10、吸収体20、バックシート30、立体ギャザー40及びサイドシート60の順で更に詳しく説明する。
【0020】
<トップシート>
トップシート10は、吸収体20に向けて体液を速やかに通過させて吸収体20の面方向に体液を拡散させる液透過性のシート状基材である。トップシート10は、着用者の肌に直接当接してもよいように、柔らかな感触で、肌に刺激を与えない基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性シート、同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等を用いて作製された、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも各不織布が好ましい。
【0021】
トップシート10には、液透過性を向上させる観点から、エンボス加工や穿孔加工を表面に施してもよい。トップシート10は、肌への刺激を低減させる観点から、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等の1種又は2種以上を含有してもよい。トップシート10の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の観点から、例えば、15g/m2以上40g/m2以下の範囲、又は19g/m2以上35g/m2以下の範囲である。トップシート10の形状は特に制限されず、漏れがないように体液を吸収体20に誘導するために必要とされる、吸収体20の一部又は全部を覆う形状であればよい。
【0022】
<吸収体>
吸収体20は、その長手方向の寸法(最大長さ)が、例えば、100mm以上800mm以下の範囲、150mm以上500mm以下の範囲、又は270mm以上500mm以下の範囲である。吸収体20の幅方向の寸法(最大幅)は、例えば、50mm以上500mm以下の範囲、60mm以上400mm以下の範囲、又は70mm以上105mm以下の範囲である。また、吸収体20の平面視形状が砂時計型である場合は、長手方向寸法が180mm以上800mm以下の範囲、着用者の腹部及び背部にそれぞれ当接する前部及び後部の幅方向寸法がともに60mm以上400mm以下の範囲であり、着用者の股間部に当接する中央部の幅方向寸法が90mm以上250mm以下の範囲である。吸収体20の平面視形状としては、例えば、砂時計型、Iの字状、長方形、4角が丸まった角丸四角形、長円等が挙げられる。
吸収体20としては、例えば、吸収性繊維と高吸収性ポリマーとを含むフラッフ吸収体が挙げられる。
【0023】
(吸収性繊維)
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体20に、基材としての吸収性繊維にフラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、肌触りや体液吸収量等の観点から、例えば、100g/m2以上800g/m2以下の範囲、325g/m2以上615g/m2以下の範囲である。
【0024】
(高吸収性ポリマー)
高吸収性ポリマー(以下「SAP」ともいう)としては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0025】
高吸収性ポリマーは、例えば、粒子状、繊維状等の形態で用いられるが、取扱い易さ等の観点から好ましくは粒子状で用いられる。このとき、粉体としての流動性が悪い微粉末の高吸収性ポリマーの使用を避け、中位粒子径を有する高吸収性ポリマーを用いることにより、吸収に関する基本性能を高め、かつ、吸収体20が体液を吸収した後に硬化することにより発生するごつごつとした触感を低減することができる。高吸収性ポリマー12の中位粒子径は、例えば、50μm以上600μm以下の範囲又は100μm以上500μm以下の範囲である。吸収体20における高吸収性ポリマーの含有量は、吸収体20全量の40重量%以上の範囲、又は40重量%以上70重量%以下の範囲である。
【0026】
吸収体20において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものでもよく、吸収性繊維間にSAP粒子を固着したSAPシートでもよい。前述のフラッフ吸収体以外にも、吸収体20として、複数の親水性シートとこれらの間に固着担持された高吸収性ポリマーとを含む吸収性シートを使用することもできる。SAP粒子の吸収体20からの漏洩防止や吸収体20の形状の安定化の観点から、吸収体20の下又は吸収体20を全体に包むように、キャリアシートを設けてもよい(不図示)。キャリアシートの基材としては親水性を有するものであればよく、ティシュー、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。キャリアシートを複数備える場合は、複数のキャリアシートの基材は同一でも異なっていてもよい。
【0027】
<バックシート>
バックシート30は、吸収性シート20が保持する体液が着用者の衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の単層不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等の複合不織布、これらの複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0028】
バックシート30の坪量は、強度及び加工性の点から、例えば15g/m2以上60g/m2以下の範囲である。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート30には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート30に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート30にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0029】
バックシート30は、非肌側表面に第1の粘着層80を有している。第1の粘着層は。例えば、剥離シート71を設ける実施形態において、剥離シート71を剥離可能に接着させたり、最終的には新品を下着に取り付けるための粘着層として用いられる。第1の粘着層80は、樹脂フィルム、紙、不織布等に対して接着性を示す接着剤を含んでいる。第1の粘着層80に含まれる接着剤としては特に限定されず、公知の接着剤を使用できるが、例えば、ホットメルト接着剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤としては、融点が100℃以上180℃以下のものを特に限定なく使用でき、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン系共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン系共重合体等の合成ゴム系ホットメルト接着剤、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系ホットメルト接着剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤の塗布方法としては、ノズルから溶融状態のホットメルト接着剤を非接触式で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法等、公知の方法が利用できる。第1の粘着層80及び後述する第2の粘着層81には、同じ接着剤を用いてもよく、異なる接着剤を用いてもよい。また、第1の粘着層80に、両面テープ等を用いることもできる。
【0030】
<立体ギャザー>
立体ギャザー40は、例えば、吸収性物品50の着用者が排泄した体液の横漏れ等を防止するために、トップシート10の肌側表面の幅方向両端部において、吸収性物品50の長手方向に沿って延びるように設けてもよい。立体ギャザー40は、弾性伸縮部材40aと、撥水性及び/又は防水性のシート部材40bと、を含む。
【0031】
弾性伸縮部材40aは、シート部材40bの自由端(他端)付近に長手方向に沿って配設され、該自由端に起立性を付与し、シート部材40bの自由端及びその近傍領域を着用者の体型に合わせて変形可能にする。シート部材40bは、本実施形態では幅方向一端(固定端)がバックシート30の肌側表面の幅方向両端付近に固定され、幅方向途中部がトップシート10の肌側表面の幅方向両端付近に固定され、幅方向他端が起立性を有する自由端である。シート部材40bの固定端(幅方向一端)の固定位置は、本実施形態に限定されず、例えば、バックシート30の非肌側表面、内部に吸収体20を収納したトップシート10とバックシート30との各縁辺の全部又は一部接合体の肌側表面又は非肌側表面の幅方向両端付近、トップシート10の肌側表面の幅方向両端付近等が挙げられる。
【0032】
シート部材40bは撥水性及び/又は防水性を有するシートであり、例えば不織布から構成される。第1シート部材用不織布としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び/又は防水性(液不透過性)の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMS不織布)等が挙げられる。シート部材40bの坪量は、例えば、13g/m2以上20g/m2以下の範囲である。弾性伸縮部材40aとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
【0033】
<サイドシート>
トップシート10の肌側表面の長手方向両端部には、吸収性物品50の幅方向に延びるように一対のサイドシート60を設けてもよい。サイドシート60の材質としては、バックシート30に用いられるのと同様の、液不透過性の不織布や樹脂フィルムを特に限定なく使用できる。サイドシート60は、例えば、トップシート10の長手方向両端部を、その形状に沿って覆うように設けられ、一方及び他方の長手方向の寸法は例えば10mm以上30mm以下の範囲である。
【0034】
<剥離シート>
剥離シート71は、
図2に示すように、第1の粘着層80と剥離シート71との間に介在する第1の剥離層85により、バックシート30に対して剥離可能に接着されている。第1の剥離層85は、例えば、剥離シート71の表面に設けられたものである。剥離シート71は、例えば、基材と、基材の全面又は一部に設けられ、剥離剤を含む第1の剥離層85と、を有し、更に基材と第1の剥離層85との間に目止め層(不図示)を有していてもよい。ここで、基材としては、例えば、半晒クラフト紙、クラフト紙、上質紙、中質紙、アルカリ性紙、グラシン紙、セミグラシン紙、板紙、白板紙等の紙基材や、各種合成樹脂製のフィルム等が挙げられる。第1の剥離層85に含まれる剥離剤としては、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤等が挙げられる。また、目止め層は、紙基材に剥離剤を塗工するときに、剥離剤が紙基材に浸透するのを防止するためのものであり、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂からなる数μm乃至数十μm程度の薄層として形成される。目止め層はクレーコート層でもよい。剥離シート71が紙基材を含み、紙基材は個包装シート72を構成する不織布や樹脂フィルムに比べて剛性が高いことから、個包装シート72から剥がし易いという利点がある。
【0035】
好ましい実施形態では、剥離シート71は、個包装シート72よりも長手方向及び幅方向に小さく、及び/又は、第2の粘着層81よりも長手方向及び幅方向に大きい。本実施形態によれば、剥離シート71がめくり易くなり、剥離シート71を剥がして第1の粘着層81を露出させ、新品の吸収性物品50を下着に貼り付ける一連の作業が簡易になる。
剥離シート71の非肌側表面には、第2の粘着層81を有している。第2の粘着層81は。前述した第1の粘着層80と同じ構成を有している。第1の粘着層80、及び第2の粘着層81に含まれる粘着剤及び/又は接着剤は同種でも異種でもよい。
【0036】
<個包装シート>
個包装シート72は、
図2に示すように、第2の粘着層81により、剥離シート71に接着されている。個包装シート72は、第2の粘着層81との接着面(本実施形態の肌側表面)の反対側の表面(本実施形態の非肌側表面)にZ型粘着テープ70の一端が固定されている。個包装シート72は、樹脂フィルム、紙、不織布、抗菌性不織布又はこれらの2種以上の積層体である。個包装シート72に抗菌性不織布を用いることで、雑菌の繁殖が防止されるので、雑菌の繁殖に伴う臭いの発生等を軽減でき、吸収性物品50の取り替え作業を衛生的にかつ安全に実施できる。好ましい実施形態では、個包装シート72には、樹脂フィルム又は紙又は抗菌性不織布が用いられる。個包装シート72の坪量は、強度及び加工性の観点から、樹脂フィルム又は不織布又は抗菌性不織布である場合は、例えば15g/m
2以上50g/m
2以下の範囲であり、紙である場合は例えば30g/m
2以上70g/m
2以下の範囲である。
【0037】
抗菌性不織布としては、例えば、抗菌活性2.0以上の抗菌性繊維を主成分として含有しかつ他の繊維をも含有する不織布、抗菌活性2.0以上の抗菌性繊維からなる不織布等が挙げられる。「主成分として含有する」とは、全体の50重量%を超えて含有することを意味する。抗菌性繊維以外に含有可能な繊維としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等が挙げられる。
【0038】
抗菌性繊維としては、抗菌性を有する繊維であれば特に限定されないが、無機系抗菌剤を練り込んだ合成繊維を繊維化したものが好ましい。無機系抗菌剤としては、銀、銅、亜鉛等の抗菌性金属イオンを含有する無機化合物を特に制限なく使用でき、例えば、前述の抗菌性金属イオンを含有する金属化合物、ゼオライト、ハイドロタルサイト、ハイドロキシアパタイト、粘土鉱物類、アルミナ、シリカ、ベントナイト等の無機多孔体等が挙げられる。無機系抗菌剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。抗菌性繊維は、例えば、溶融状態にある合成樹脂に無機系抗菌剤の1種又は2種以上を添加及び混錬した後、該合成樹脂を紡糸する方法により作製できる。ここで、無機系抗菌剤を配合する合成樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、架橋型ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルホルマール等が挙げられる。無機系抗菌剤の合成樹脂に対する配合量は、抗菌活性値を所定範囲にする観点や、得られる抗菌性繊維の強度の観点等から、例えば、無機系抗菌剤と合成樹脂との合計量100重量%中の、0.005重量%以上0.5重量%以下の範囲である。
【0039】
本実施形態では、JIS L 1902菌液吸収法に順じて黄色ブドウ球菌及び大腸菌を用い、対照に標準布(綿布)を用いた抗菌試験を実施し、得られた抗菌活性値が2.0以上である抗菌性繊維を用いる。ここで、抗菌活性値は、JISL1902の菌液吸収法に従って測定される。
【0040】
<Z型粘着テープ>
Z型粘着テープ70は、
図3乃至
図8に示すように、帯状のテープ基材(帯状物)の長手方向の一端から他端に向かって、幅方向に延在する、第1の折り目、及び第2の折り目が離設され、これら第1の折り目及び第2の折り目で折り畳んだ側面視Z字型の外形形状を有している。Z型粘着テープ70は、一端から第1の折り目までのA領域と、第1の折り目から第2の折り目までのB領域と、第2の折り目から他端までのC領域と、を有し、A領域は、一表面に粘着層Aとして粘着層75を有して個包装シート72の一表面(本実施形態では非肌側表面)に固定され(
図7)、B領域は、A領域とは反対側の他表面に粘着層Bとして粘着層76を有して使用済品のトップシート10肌側表面に固定され、C領域は、A領域と同じ側の一表面に粘着層Cとして粘着層77を有して、最終的に使用済品の個包装シート72による包装体に封をして固定する。粘着層75、76、77は、前述した第1の粘着層80と同じ構成を有している。また、Z型粘着テープ70を折り畳んだときに、B領域の粘着層76、及びC領域の粘着層77との各対向面に剥離層を形成し、Z型粘着テープ70を容易に展開できるように構成してもよい。ここで、各剥離層は、前述の第1の剥離層85と同じ構成を有している。A領域、B領域、及びC領域の各長手方向寸法は同寸でも異寸でもよい。
【0041】
Z型粘着テープ70の個包装シート72への固定位置は特に制限されないが、好ましい実施形態では、
図6に示すように、Z型粘着テープ70を展開したときに、C領域の粘着部77(つまみ側)があまり又は全く露出しないような位置にZ型粘着テープ70を固定する(
図8)。この実施形態によれば、使用済品を個包装シート72で包んで丸めたときに、粘着部77がごみ袋などに張り付くのが防止される。Z型粘着テープ70の帯状のテープ基材としては、例えば、紙、プラスチック、布、不織布等が挙げられる。Z型粘着テープ70の展開したときの寸法は特に限定されないが、幅方向寸法が例えば100mm以上500mm以下の範囲であり、長手方向寸法が例えば400mm以上2000mm以下の範囲である。さらに、Z型粘着テープ70の寸法の一例を挙げれば、折り畳んだときには、長辺の長さ寸法が40mm以上60mm以下の範囲、短辺の長さ寸法が10mm以上20mm以下の範囲であり、展開したときには、長辺の長さ寸法が120mm以上140mm以下の範囲、短辺の長さ寸法が10mm以上20mm以下の範囲である。
【0042】
前述の実施形態では、吸収性物品50と、一表面にZ型粘着テープ70が固定された個包装シート72とが、剥離シート71を介して一体化された吸収性物品個装体1について説明したが、これに限定されず、吸収性物品50と、一表面にZ型粘着テープ70が固定された個包装シート72とを別体として包装袋内に収納した別形態の吸収性物品個装体1を構成してもよい。
【0043】
図9乃至
図14は、
図4乃至
図8に示す新品の吸収性物品50、及び一表面にZ型粘着テープ70を固定した個包装シート72を含む吸収性物品個装体1を使用して、使用済みの吸収性物品50を新品の吸収性物品50に取り替える方法の一例を示す概略図である。
図9乃至
図14に示す取替方法は、第1のステップ(
図9)、第2のステップ(
図10)、第3のステップ(
図11)、第4のステップ(
図12)、第5のステップ(
図13)。及び第6のステップ(
図14)を含み、この順で実施される。なお、
図9乃至
図14では、説明を簡略化するため、吸収性物品50、個包装シート70、及びZ型粘着テープ70を除く他の構成部材については図示を省略している。
【0044】
図9に示す第1ステップでは、包装袋(不図示)から折り畳んだ状態の吸収性物品個装体1を取り出し(
図9(a))、折り畳んだ状態の吸収性物品個装体1を展開する(
図9(b))。
【0045】
図10に示す第2ステップでは、Z型粘着テープ70のC領域の遊離端78をつまみ(
図10(a))、垂直方向に引っ張り上げて(
図10(b))、Z型粘着テープ70を展開して、A領域及びB領域を露出させる(
図10(c))。
【0046】
図11に示す第3ステップでは、Z型粘着テープ70を個包装シート72の面方向に展開し、B領域の粘着層76を表面に露出させる。
【0047】
図12に示す第4ステップでは、個包装シート72を裏返し(
図12(a))、Zテープ70のB領域の粘着部76を、下着に固定された使用済み吸収性物品50のトップシート10側に貼りつけて(
図12(c))、使用済み吸収性物品50の上に個包装シート72を被せる(
図12(b)(c))。ここで、剥離シート71は個包装シート72とともに用いてもよく、新品の吸収性物品50の置台として用いてもよい。
【0048】
図13に示す第5ステップでは、使用済の吸収性物品50のトップシート10に接着しているZ型粘着テープ70のB領域をきっかけにして、個包装シート72越しに下着から使用済みの吸収性物品50を剥がし(
図13(a))、剥がした吸収性物品50を個包装シート72で包む(
図13(b))。
【0049】
図14に示す第6ステップでは、
図14(a)乃至(c)に示す一連の操作で、下着から剥がした使用済み吸収性物品50を、そのズレ止めテープ側に丸めて(折りたたんで)包装体51とし、処分する。なお、Z型粘着テープ70のC領域を包装体51の外部に導出し、その粘着層77で包装体51を封することもできる。
【0050】
以上のようにして、本実施形態に係る吸収性物品個装体1を用いれば、手指やトイレ内を体液で汚すことなく、使用済の吸収性物品50を容易に新品の吸収性物品50に取り替えることができる。使用済の吸収性物品50を隠蔽性を良く廃棄することができる。
【0051】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが、当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0052】
10 トップシート
20 吸収体
30 バックシート
40 立体ギャザー
40a 弾性伸縮部材
40b シート部材
50 吸収性物品
51 使用済み吸収性物品の個包装シートによる包装体
60 サイドシート
61、62 折返し線
70 Z型粘着テープ
71 剥離シート
72 個包装シート
75 粘着層A
76 粘着層B
77 粘着層C
78 遊離端(つまみ)
80 第1の粘着層
81 第2の粘着層
85 第1の剥離層