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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078827
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】滑り止め部材及び可動式収納装置
(51)【国際特許分類】
   F16M 13/00 20060101AFI20230531BHJP
   B65G 1/14 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
F16M13/00 T
B65G1/14 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192125
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000229759
【氏名又は名称】日本ファイリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 厚之
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022EE02
3F022FF11
3F022MM51
(57)【要約】
【課題】 可動荷台に積載されているパレット又は当該パレットに積載されている荷の滑落を防止する。
【解決手段】 本実施形態に係る滑り止め部材(1)は、第1の層(2)と第2の層(3)とを備える。第1の層(2)は、第1の貫通孔(4)を有する。第2の層(3)は、第1の貫通孔(4)と同軸の第2の貫通孔(5)を有しており、第1の層(2)の上に備えられる。第2の貫通孔(5)の直径は、第1の貫通孔(4)の直径よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の貫通孔を有する第1の層と、
前記第1の貫通孔と同軸の第2の貫通孔を有しており、前記第1の層の上に備えられる第2の層と、
を具備し、
前記第2の貫通孔の直径は、前記第1の貫通孔の直径よりも大きい、
滑り止め部材。
【請求項2】
前記第2の層の上面のエッジ部を面取りした、請求項1の滑り止め部材。
【請求項3】
前記第1の層は、円板状であり、
前記第1の貫通孔は、前記第1の層と同心であり、
前記第2の層は、円板状であり、
前記第2の貫通孔は、前記第2の層と同心である、
請求項1又は請求項2の滑り止め部材。
【請求項4】
前記第1の層は金属であり、
前記第2の層はエーテル系ポリウレタンである、
請求項1乃至請求項3のうちのいずれか1項の滑り止め部材。
【請求項5】
板状の本体と、
前記本体の上面から下面までを貫通する貫通孔と、
を具備し、
前記貫通孔は、下面側の孔と上面側の孔とを含み、
前記上面側の孔の直径は、前記下面側の孔の直径よりも大きい、
滑り止め部材。
【請求項6】
前記請求項1乃至前記請求項5のうちのいずれか1項の滑り止め部材と、
一対の傾斜レールと、
前記傾斜レール上にそれぞれ車輪を介して移動可能に支持された複数台の高さの異なる可動荷台と、
を具備し、
前記滑り止め部材は、前記複数台の可動荷台の上面に、ボルト及びナットを用いて固定される、
可動式収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、可動荷台から荷が滑落することを防止する滑り止め部材、及び、その滑り止め部材を備える可動式収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
収納装置の一例として、傾斜したレール上にそれぞれ車輪を介して滑動可能に支持された複数台の高さの異なる可動荷台を備える可動式収納装置が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-269104号公報
【特許文献2】特開2014-156306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レールが傾斜している可動式収納装置においては、可動荷台が奥側から手前側に移動した場合に、当該可動荷台に積載されているパレット又は当該パレットに積載されている荷が慣性力により可動式収納装置の手前側に滑落することを防止する必要がある。
【0005】
本実施形態は、上記実情に鑑みてなされたものであり、可動荷台に積載されているパレット又は当該パレットに積載されている荷の滑落を防止するための滑り止め部材及び可動式収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る滑り止め部材は、第1の層と第2の層とを備える。第1の層は、第1の貫通孔を有する。第2の層は、第1の貫通孔と同軸の第2の貫通孔を有しており、第1の層の上に備えられる。第2の貫通孔の直径は、第1の貫通孔の直径よりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、傾斜したレールを備えている可動式収容装置において、可動荷台に積載されているパレット又は当該パレットに積載されている荷の滑落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る滑り止め部材の例を示す上方斜視図。
図2】第1の実施形態に係る滑り止め部材の例を示す下方斜視図。
図3】第1の実施形態に係る滑り止め部材の例を示す側面図。
図4】第1の実施形態に係る滑り止め部材の例を示す上面図。
図5】第1の実施形態に係る滑り止め部材の例を示す垂直断面図。
図6】第1の実施形態に係る滑り止め部材の例を示す底面図。
図7】第1の実施形態に係る滑り止め部材がボルト及びナットを用いて可動荷台に設置された状態の例を示す垂直断面図。
図8】第1の実施形態に係る滑り止め部材に、ボルト及びナットを装着した状態の例を示す上方斜視図。
図9】第1の実施形態に係る滑り止め部材に、ボルト及びナットを装着した状態の例を示す下方斜視図。
図10】第1の実施形態に係る滑り止め部材を備える可動式収納装置の例を示す斜視図。
図11】第1の実施形態に係る可動式収納装置の複数の可動荷台が奥行き方向に展開した状態の例を示す斜視図。
図12】第1の実施形態に係る可動式収容装置におけるパレット及び荷の積載状態を例示する側面図。
図13】第1の実施形態に係る滑り止め部材が可動荷台に設置された状態の例を示す斜視図。
図14】第1の実施形態に係る滑り止め部材と可動荷台とパレットとの関係の例を示す斜視図。
図15】第1の比較例の可動式収容装置の例を示す正面図。
図16】第2の比較例の可動式収容装置の例を示す正面図。
図17】第3の比較例の可動式収容装置の例を示す正面図。
図18】第3の比較例の可動式収容装置においてパレットがストッパーと後ろの可動荷台との間に挟まる状態の例を示す側面図。
図19】第3の比較例の可動式収容装置においてパレットがストッパーに引っ掛かった状態の例を示す側面図。
図20】第1の実施形態に係る可動式収容装置の例を示す正面図。
図21】第2の実施形態に係る滑り止め部材の例を示す垂直断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について、図面を参照して説明する。図面において、同一部分には、同一符号を付している。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る滑り止め部材1の例を示す上方斜視図である。
図2は、第1の実施形態に係る滑り止め部材1の例を示す下方斜視図である。
図3は、第1の実施形態に係る滑り止め部材1の例を示す側面図である。
【0011】
滑り止め部材1は、可動式収容装置に備えられている複数の可動荷台の上面に設置される。この滑り止め部材1の上に、パレット及びパレットに積載されている荷が積載される。滑り止め部材1と可動式収容装置との関係は、図10乃至図13を用いて後で説明する。
【0012】
第1の実施形態において、滑り止め部材1は、円板状であるが、例えば、三角形状、四角形状などのような他の形状でもよい。
【0013】
滑り止め部材1は、第1の層2と、第2の層3とを備える。
【0014】
第1の層2は、例えば、円板状であり、中央部に垂直方向の貫通孔4を有する。第1の層2は、例えば鉄などの金属で形成される。第1の層2は、第2の層3よりも硬い材料で形成される。
【0015】
第2の層3は、例えば、円板状であり、中央部に垂直方向の貫通孔5を有する。第2の層3は、第1の層2の上面の上に重ねられる。第2の層3の貫通孔5と第1の層2の貫通孔4とは同軸である。第2の層3の貫通孔5の直径は、第1の層2の貫通孔4の直径よりも大きい。第2の層3は、例えば、樹脂などのような第1の層2よりも柔らかい材料で形成される。より具体的には、第2の層3は、エーテル系ポリウレタンとしてもよい。第2の層3の高度は、例えば、90度程度が望ましい。第2の層3の摩擦係数は、可動荷台の上面の摩擦係数よりも大きいとする。
【0016】
第2の層3の上面と側面とにより形成される角部(すなわち、第2の層3の上面のエッジ部)は、面取りされており、第2の層3の上面及び側面に対して傾斜している傾斜部6を有する。
【0017】
図4は、第1の実施形態に係る滑り止め部材1の例を示す上面図である。
【0018】
第2の層3の円状の上面は、円周部が面取りされている。第2の層3には、第2の層3の円状の上面と同心となる貫通孔5が形成されている。
【0019】
第2の層3の貫通孔5は、第1の層2の貫通孔4よりも直径が大きい。このため、図4の上面図において、第2の層3の貫通孔5の奥側に、第1の層2の貫通孔4と貫通孔4の周辺部が表れている。
【0020】
図5は、第1の実施形態に係る滑り止め部材1の例を示す垂直断面図であり、図4のA-A断面を示している。この図5において例示しているサイズは一例であり、適宜変更可能である。
【0021】
第1の層2の上面及び下面の直径は、例えば、40mmとしてもよい。第1の層2の貫通孔4の直径は、例えば、8.5mmとしてもよい。第1の層2の厚さは、例えば、1.6mmとしてもよい。
【0022】
第2の層3の下面の直径は、例えば、40mmとしてもよい。第2の層3の貫通孔5の直径は、例えば、15mmとしてもよい。第2の層3の厚さは、例えば、4mmとしてもよい。
【0023】
第2の層3に対する面取りオフセット(D×D)は、例えば、D=2mmとしてもよい。言い換えれば、第2の層3の上面の円周部分の角部は、水平方向に2mm、垂直方向に2mm削られている。
【0024】
図6は、第1の実施形態に係る滑り止め部材1の例を示す下面図である。
【0025】
第1の層2の円状の下面には、第1の層2の下面と同心の貫通孔4が形成されている。
【0026】
図7は、第1の実施形態に係る滑り止め部材1がボルト7及びナット8を用いて可動荷台9に設置された状態の例を示す垂直断面図である。
【0027】
可動荷台9は、可動荷台9の上面から当該上面に対向している内側面までを貫通する貫通孔10を有する。
【0028】
ボルト7は、頭7aとネジ部7bとを備える。ボルト7の頭7aの厚さ(高さ)は、第2の層3の厚さよりも小さい。ボルト7の頭7aは、第2の層2の貫通孔5内に収容され、第1の層2の上面と接触する。
【0029】
ネジ部7bは、第1の層2の貫通孔4と可動荷台9の貫通孔10とを貫通し、ネジ部7bの先端は、可動荷台9の内側面より下側へ突出する。
【0030】
ナット8は、可動荷台9の内側面より下側へ突出したネジ部7bに装着される。
【0031】
ボルト7の頭7aとネジ部7bとナット8とにより、第1の層2及び可動荷台9とが固定される。
【0032】
図8は、第1の実施形態に係る滑り止め部材1に、ボルト7及びナット8を装着した状態の例を示す上方斜視図である。
【0033】
図9は、第1の実施形態に係る滑り止め部材1に、ボルト7及びナット8を装着した状態の例を示す下方斜視図である。
【0034】
この図8及び図9は、上記図7から可動荷台9を取り除いた状態を示している。
【0035】
図10は、第1の実施形態に係る滑り止め部材1を備える可動式収納装置11の例を示す斜視図である。
【0036】
図11は、第1の実施形態に係る可動式収納装置11の可動荷台C1~C3が奥行き方向に展開した状態の例を示す斜視図である。可動荷台C1~C3は、上記図7の可動荷台9に相当する。可動式収納装置11の可動荷台C1~C3は、これらの可動荷台C1~C3にパレット及び荷が積載された状態で奥行き方向に展開するが、図11では、明確化のためにパレット及び荷を省略している。
【0037】
可動式収容装置11は、左右一対のレール12a,12b、複数台の可動荷台C1~C3、水平台13、前面部材14を備える。第1の実施形態では、可動荷台C1~C3が3台の場合を例として説明するが、可動荷台の台数は、1台以上であればよい。
【0038】
レール12a,12bは、互いに平行に設置される。レール12a,12bは傾斜しており、レール12a,12bの一端側(前面側または正面側)は、レール12a,12bの他端側(後面側または奥側)よりも低い位置となる。レール12a,12bの一端側を低端部と表記してもよく、レール12a,12bの他端側を高端部と表記してもよい。
【0039】
第1の実施形態において、可動荷台C1~C3のそれぞれは、断面が四角形となる4つの金属製の角筒により形成されたフレームであるとする。
【0040】
可動荷台C1は、荷を水平な状態で積載する第1の積載部と複数の第1の車輪と複数の第1の脚部とを備える。各第1の脚部の一端部(上端部)は第1の積載部(フレーム部分)と接続されており、各第1の脚部の他端部(下端部)は第1の車輪を備える。可動荷台C1は、可動荷台C1~C3のうちで最も下段に位置する。
【0041】
可動荷台C2は、第2の積載部と複数の第2の車輪と複数の第2の脚部とを備える。各第2の脚部の一端部は第2の積載部と接続されており、各第2の脚部の他端部は第2の車輪を備える。可動荷台C2は、可動荷台C1~C3の中段に位置する。
【0042】
可動荷台C3は、第3の積載部と複数の第3の車輪と複数の第3の脚部とを備える。各第3の脚部の一端部は第3の積載部と接続されており、各第3の脚部の他端部は第3の車輪を備える。可動荷台C3は、可動荷台C1~C3のうちで最も上段に位置する。
【0043】
可動荷台C1~C3が下降限位置にある場合において、第1乃至第3の脚部の位置および長さはそれぞれ異なる。これにより、複数台の可動荷台C1~C3の第1乃至第3の積載部のそれぞれの高さは異なる。より具体的に説明すると、可動荷台C1の第1の積載部の上面は、可動荷台C2の第2の積載部の下面より低い。可動荷台C2の第2の積載部の上面は、可動荷台C3の第3の積載部の下面より低い。
【0044】
これにより、図10で示すように、可動荷台C1~C3は、下降限位置で上下に重なることが可能である。
【0045】
複数台の可動荷台C1~C3のそれぞれは、第1乃至第3の車輪のそれぞれを介してレール2a,2b上を移動可能である。複数台の可動荷台C1~C3のそれぞれは、水平な第1乃至第3の積載部の上面上にパレット及び荷を積載可能である。
【0046】
水平台13は、一対のレール12a,12bの低端部側の間に設置される。水平台13の上面U0は、水平である。第1の実施形態において、上面U0の少なくとも一部は、レール12a,12bの低端部側の傾斜している上面より高いとする。上面U0は、下降限位置における可動荷台C1の下面より低い位置となる。
【0047】
第1の実施形態において、水平台13は、レール12a,12bのそれぞれの内側で、レール12a,12bのそれぞれにそって配置され、前後方向でかつ水平に伸び、レール12a,12bとほぼ平行な2つのレール状部材を含むとしてもよい。言い換えれば、水平台13を構成するレール状部材は、それぞれ、レール12a,12bの内側の側面に対向する状態で配置される。
【0048】
このように、水平台13を2つのレール状部材で形成することにより、水平台13の設置を容易にすることができる。
【0049】
水平台13の上面U0に、最後の荷が積載される。
【0050】
前面部材14は、可動式収容装置11の前面に設置されている。前面部材14は、ラック構造部材であり、可動式収容装置11の前面に設置されている2本の柱に対して取り付けおよび取り外し可能であり、設置される高さを自在に調節可能である。前面部材14は、フレーム形状を持ち、ほぼ水平に設置され、傾斜しているレール12a,12bの前面側の端部を受ける部材である。第1の実施形態において、前面部材14の上端は、水平台13の上面U0よりも上方へ突出している。前面部材14は、水平台13上に積載されたパレット及び荷が前面から手前に転落することを防止する。
【0051】
図12は、第1の実施形態に係る可動式収容装置11におけるパレットP0~P3及び荷B0~B3の積載状態を例示する側面図である。
【0052】
上記図10を用いて説明したように、可動荷台C1~C3に荷が積載されていない状態(空の状態)では、可動荷台C1~C3が、レール12a,12bの下降限位置であり、かつ、水平台13の上方に、上下に重なる状態で配置される。
【0053】
搬入作業においては、まず、可動荷台C1~C3がレール12a,12bの下降限位置にある状態で、最上段の可動荷台C3の上面に、フォークリフトなどにより荷B3が載置される。第1の実施形態では、パレットP3に積載された荷B3(パレタイズされた荷B3)が、可動荷台C3に積載される。
【0054】
次に、パレットP2(パレットP2上に積載された荷B2でもよい)が、最上段の可動荷台C3(および可動荷台C3上に積載されたパレットP3と荷B3)を奥へ(レール12a,12bの傾斜上方へ)押し出しながら移動させ、パレットP2に積載された荷B2が次の段の可動荷台C2上に積載される。
【0055】
次に、パレットP1(パレットP1上に積載された荷B1でもよい)が、可動荷台C2(および可動荷台C2上に積載されたパレットP2と荷B2)を奥へ押し出しながら移動させ、パレットP1に積載された荷B1が次の段の可動荷台C1上に積載される。
【0056】
最後に、パレットP0(パレットP0上に積載された荷B0でもよい)が、可動荷台C1(および可動荷台C1上に積載されたパレットP1と荷B1)を奥へ押し出しながら移動させ、パレットP0に積載された荷B0が水平台13上に積載される。
【0057】
搬出作業は、上記の搬入作業の逆の手順で行われる。
【0058】
具体的には、搬出作業において、まず、水平台13上のパレットP0とパレットP0に積載された荷B0とが、フォークリフトなどにより搬出される。
【0059】
すると、重力で、下降限位置にある水平台13上まで、可動荷台C1とパレットP1と荷B1とがレール12a,12bにそって降下(滑動)する。
【0060】
次に、可動荷台C1上のパレットP1とパレットP1上に積載された荷B1とが、フォークリフトなどにより搬出される。
【0061】
すると、重力で、下降限位置にある可動荷台C1上まで、可動荷台C2とパレットP2と荷B2とがレール12a,12bにそって降下する。
【0062】
次に、可動荷台C2上のパレットP2とパレットP2上に積載された荷B2とが、フォークリフトなどにより搬出される。
【0063】
すると、重力で、下降限位置にある可動荷台C2上まで、可動荷台C3とパレットP3と荷B3とがレール12a,12bにそって降下する。
【0064】
最後に、可動荷台C3上のパレットP3とパレットP3上に積載された荷B3とが、フォークリフトなどにより搬出される。
【0065】
第1の実施形態においては、可動荷台C1~C3のそれぞれの上面に、滑り止め部材1が備えられており、この滑り止め部材1の上に、パレットP1~P3が積載される。このため、第1の実施形態においては、可動荷台C1~C3の上面に直接パレットP1~P3を積載した場合よりも、パレットP1~P3が滑ることを防止することができ、可動荷台C1~C3が奥から手前に移動し、停止した場合に、パレットP1~P3及び荷B1~B3が慣性力により手前側に滑落することを防止することができる。また、パレットP1~P3がまったく滑らない場合、可動荷台C1~C3が奥から手前に移動して停止した場合に、パレットP1~P3に積載されている荷B1~B3が滑落したり、荷B1~B3が倒れたりする可能性がある。しかしながら、第1の実施形態に係る滑り止め部材1は、可動荷台C1~C3が奥から手前に移動して停止した場合に、パレットP1~P3及び荷B1~B3が滑落しない程度、又は、荷B1~B3が倒れない程度で慣性力を軽減することができる。
【0066】
図13は、第1の実施形態に係る滑り止め部材1が可動荷台C3に設置された状態の例を示す斜視図である。なお、滑り止め部材1が他の可動荷台C1,C2に設置された状態も同様である。
【0067】
可動荷台C3の前方の上面に、滑り止め部材1が設置され、ボルト7及びナット8で固定されている。
【0068】
図14は、第1の実施形態に係る滑り止め部材1と可動荷台C3とパレットP3との関係の例を示す斜視図である。
【0069】
滑り止め部材1は、可動荷台C3を構成するフレーム材の交わる位置の上面に設置される。滑り止め部材1は、フレーム材の上面に対してボルト7及びナット8で固定されている。滑り止め部材1の上に、パレットP3が搭載される。
【0070】
以上説明した第1の実施形態においては、滑り止め部材1の厚さを薄くすることができる。また、滑り止め部材1は、厚さを薄くしても十分な強度を得ることができ、滑り止め部材1が可動荷台C1~C3から剥がれることを防止することができる。例えば、滑り止め部材1は、単純に可動荷台C1~C3の上にゴムを取り付けた場合と比べて、厚さを薄くすることができ、強度を増すことができる。
【0071】
滑り止め部材1は、完全にパレットP1~P3及びパレットP1~P3の上の荷B1~B3の動きを止めるものではない。滑り止め部材1の上のパレットP1~P3は、可動荷台C1~C3が傾斜レール12a,12bにしたがって奥から手前側に降って停止した場合の衝撃により許容される範囲でスライドする。このため、慣性力による荷崩れを防止することができる。
【0072】
第1の実施形態に係る滑り止め部材1は、専用の型に樹脂を流し込んで形成される。このような形成方法を採用することにより、金属である第1の層2と樹脂である第2の層3との接着強度を高くすることができる。また、第2の層3の製造のために機械加工を必要としないため、簡単かつ低コストで滑り止め部材1を製造することができる。
【0073】
第1の実施形態に係る滑り止め部材1においては、第2の層3の材質として耐摩耗性に優れたウレタン材を用いており、さらに、ボルト7及びナット8により可動荷台C1~C3に取り付けられるため、摩耗した場合には容易に取り換え可能である。
【0074】
さらに、第1の実施形態においては、滑り止め部材1の取り付け位置が可動荷台C1~C3の手前側であるため、容易に取り付け作業及び取り外し作業を実施することができる。
【0075】
したがって、第1の実施形態においては、メンテナンスの労力を軽減することができる。
【0076】
第1の実施形態においては、可動荷台C1~C3の角筒が交わるコーナー部の上面に、滑り止め部材1を設置することにより、可動荷台C1~C3にパレットP1~P3及び荷B1~B3が積載された場合に角筒が撓むことを防止することができる。
【0077】
以下において第1の実施形態の効果を、第1乃至第3の比較例と対比しながら説明する。
【0078】
図15は、第1の比較例の可動式収容装置15の例を示す正面図である。
【0079】
この第1の比較例の可動式収容装置15は、可動荷台C1~C3に滑り止め部材1が備えられていない。可動荷台C1~C3が金属製の場合、可動荷台C1~C3上に積載されたパレットP1~P3が滑りやすい。
【0080】
図16は、第2の比較例の可動式収容装置16の例を示す正面図である。
【0081】
この第2の比較例の可動式収容装置16は、上記第1の比較例の可動式収容装置15の前面部材14に、可動荷台C1~C3上に集積されたパレットP1~P3が滑り落ちないように、垂直方向に延びるストッパーSPが備えられている。この第2の比較例の可動式収容装置16では、フォークリフトがパレットP1~P3を用いて可動荷台C1~C3を押すことができないため、パレットP1~P3の落下対策として採用することはできない。
【0082】
図17は、第3の比較例の可動式収容装置17の例を示す正面図である。
【0083】
第3の比較例の可動式収容装置17は、パレットP1~P3が前方へ落下することを防止するために、可動荷台C1~C3のそれぞれの前面に、垂直方向に延びるストッパーSP1~SP3が備えられている。複数の可動荷台C1~C3のそれぞれの前面において、ストッパーSP1~SP3の水平方向の位置は、可動荷台C1~C3が重なった状態で互い違いの関係となる。
【0084】
この第3の比較例の可動式収容装置17においては、図18に示すように、パレットP1が後ろの可動荷台C2からのラインプレッシャーによりストッパーSP1と後ろの可動荷台C2との間に挟まるため、可動荷台C1からパレットP1を抜き出すことが困難となる。
【0085】
また、第3の比較例の可動式収容装置17においては、図19に示すように、パレットP1がストッパーSP1に引っ掛かる場合がある。
【0086】
これに対して、第1の実施形態に係る可動式収容装置11においては、図20に示すように、可動荷台C1~C3の前側部分の上面であり、可動荷台C1~C3の角筒が交わるコーナー部に、滑り止め部材1が設置される。
【0087】
第1の実施形態においては、上記第1乃至第3の比較例の問題を解決することができる。
【0088】
具体的には、第1の実施形態において、滑り止め部材1は、金属の可動荷台C1~C3よりも摩擦係数が高いため、可動荷台C1~C3からパレットP1~P3又はパレットP1~P3上の荷B1~B3が滑り落ちることを防止することができる。
【0089】
第1の実施形態において、滑り止め部材1は、可動荷台C1~C3に設置された場合に、パレットP1~P3により可動荷台C1~C3を押す動作を妨げない。
【0090】
第1の実施形態においては、第3の比較例のように、パレットP1,P2が後ろの可動荷台C2,C3からのラインプレッシャーによりストッパーSP1,SP2と後ろの可動荷台C2,C3との間に挟まることがないため、可動荷台C1,C2の上からパレットP1,P2及び荷B1,B2を容易に取り出すことができる。
【0091】
第1の実施形態においては、滑り止め部材1の上にパレットP1~P3及び荷B1~B3が乗っているため、第3の比較例のように、パレットP1~P3がストッパーSP1~SP3に引っ掛かることがない。
【0092】
なお、第1の実施形態において、滑り止め部材1は、可動荷台C1~C3の後側部分の上面であり、可動荷台C1~C3の角筒が交わるコーナー部に設置されてもよい。
【0093】
(第2の実施形態)
【0094】
第2の実施形態においては、上記第1の実施形態に係る滑り止め部材18の変形例を説明する。
【0095】
図21は、第2の実施形態に係る滑り止め部材18の例を示す垂直断面図である。
【0096】
滑り止め部材18は、板状の本体18aを持つ。第2の実施形態に係る滑り止め部材18は、上記第1の実施形態に係る滑り止め部材1のように第1の層2及び第2の層3の2層構造を持つものではなく、一体構造を持つ。滑り止め部材18は、例えばエーテル系ポリウレタンとしてもよい。滑り止め部材18の摩擦係数は、可動荷台C1~C3の上面の摩擦係数よりも大きいとする。
【0097】
滑り止め部材18の本体18aは、例えば、円板状であり、中央部に、本体18aの上面から下面までを貫通する垂直方向の貫通孔18bを有している。本体18aは、円板状に代えて、他の形状でもよい。貫通孔18bは、下面側の孔19と上面側の孔20とを含む。下面側の孔19と上面側の孔20とは同軸である。
【0098】
下面側の孔19の直径と上面側の孔20の直径とは異なる。上面側の孔20の直径は、下面側の孔19の直径よりも大きい。
【0099】
滑り止め部材18の上面と側面とにより形成される角部は、面取りされており、上面及び側面に対して傾斜している傾斜部21を有する。
【0100】
滑り止め部材18の厚さは、例えば6mmである。
【0101】
滑り止め部材18の下面の直径は、例えば、40mmとしてもよい。
【0102】
下面側の孔19の直径は、例えば、8.5mmとしてもよい。下面側の孔19の軸方向の長さ(高さ)は、例えば、3mmとしてもよい。
【0103】
上面側の孔20の直径は、例えば、18mmとしてもよい。上面側の孔20の軸方向の長さは、例えば、3mmとしてもよい。
【0104】
面取りオフセット(D×D)は、例えば、D=2mmとしてもよい。言い換えれば、滑り止め部材18の上面の円周部分の角部は、水平方向に2mm、垂直方向に2mm削られている。
【0105】
第2の実施形態に係る滑り止め部材18の下面側の貫通孔19の長さは、第1の実施形態に係る滑り止め部材1の第1の層2の貫通孔4の長さよりも長い。このように、金属を用いることなく樹脂により滑り止め部材18を形成した場合であっても、滑り止め部材18をボルト7とナット8により可動荷台C1~C3に装着した場合に、滑り止め部材18が破損して可動荷台C1~C3から外れることを防止することができる。
【0106】
第2の実施形態に係る滑り止め部材18は、上記の第1の実施形態に係る滑り止め部材1よりも材料の種類を少なくすることができるため、製造工程を簡素化することができ、また、製造コストを下げることができる。
【0107】
第2の実施形態においては、上記の第1の実施形態と同様の効果を得ることができ、可動荷台C1~C3に積載されているパレットP1~P3及び当該パレットP1~P3に積載されている荷B1~B3の滑落を防止することができる。
【0108】
なお、上記各実施形態においては、滑り止め部材1,18が可動式収容装置11に備えられる場合を例として説明しているが、積載物が滑ることを防止するために他の装置に備えられてもよい。
【0109】
その他、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、上記の実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1,18…滑り止め部材、2…第1の層、3…第2の層、4,5…貫通孔、6,21…傾斜部、7…ボルト、7a…頭、7b…ネジ部、8…ナット、9,C1~C3…可動荷台、10…貫通孔、11…可動式収納装置、12a,12b…レール、13…水平台、14…前面部材、P0~P3…パレット、B0~B3…荷、19,20…孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図20
図21