(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078859
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】カード査定装置、カード査定方法、プログラム、カード特定システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/08 20120101AFI20230531BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230531BHJP
【FI】
G06Q30/08
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192166
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】397038680
【氏名又は名称】日本ノーベル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】恩塚 誠
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB73
5L049CC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】トレーディングカードの査定を迅速かつ高精度に実行するカード特定装置、カード特定方法、プログラム及びカード特定システムを提供する。
【解決手段】トレーディングカードの内容を査定するためのプログラムであって、コンピュータに、査定すべき対象トレーディングカードのカード種の入力を受け付けるステップと、対象トレーディングカードを光学的に読み取って得られたカード画像から、特定の図柄を含んだ特徴画像を抽出し、当該抽出された特徴画像に基づいて対象トレーディングカードの属するシリーズを特定するステップと、対象トレーディングカードのカード画像から特徴量を抽出し、当該抽出された特徴量と特徴量データベースとを照合することにより、対象トレーディングカードの内容を特定するステップと、対象トレーディングカードの内容を表示装置に表示させるステップと、を実行させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主題の異なる複数のカード種が存在し、当該カード種ごとに複数のシリーズが存在するトレーディングカードの内容を査定するためのプログラムであって、
コンピュータに、
査定すべき対象トレーディングカードの前記カード種の入力を受け付ける第1ステップと、
前記対象トレーディングカードを光学的に読み取って得られたカード画像から、特定の図柄を含んだ特徴画像を抽出し、当該抽出された特徴画像に基づいて前記対象トレーディングカードの属する前記シリーズを特定する第2ステップと、
前記対象トレーディングカードの前記カード画像から特徴量を抽出し、当該抽出された特徴量と特徴量データベースとを照合することにより、前記対象トレーディングカードの内容を特定する第3ステップと、
前記第3ステップで特定された前記対象トレーディングカードの内容を表示装置に表示させる第4ステップと、
を実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記第2ステップは、前記第1ステップで入力された前記カード種に対応する画像処理用データを用いて前記特徴画像の抽出を行う、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記第2ステップにおける前記特徴画像は、ロゴマーク画像又は文字画像を含む、
請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第2ステップにおける処理は、パターンマッチング処理及び/又は文字認識処理によって行われる、
請求項1~3の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第3ステップは、前記特徴量データベースに含まれるデータのうち前記第2ステップで特定される前記シリーズに対応するデータを用いて前記特徴量の照合を行う、
請求項1~4の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記第3ステップにおける前記特徴量は、前記カード画像に所定の画像処理を行って得られるグレースケール画像であるテキスチャ画像及び/又は当該テキスチャ画像において所定範囲の輝度値を有する領域を抽出して得られる領域画像である、
請求項1~5の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記第4ステップにおいて表示される前記対象トレーディングカードの内容には、少なくとも、前記対象トレーディングカードの名称と買い取り価格が含まれる、
請求項1~6の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記第3ステップにおいて、前記トレーディングカードの前記特徴量と前記特徴量データベースとの照合結果の確度が所定基準を満たさない場合に、当該第3ステップに次いで、前記対象トレーディングカードの前記カード画像に含まれる付加的情報を示す画像である付加的情報画像を抽出し、当該付加的情報画像に基づいて前記トレーディングカードの内容を特定する第5ステップ、を更に含む、
請求項1~7の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
主題の異なる複数のカード種が存在し、当該カード種ごとに複数のシリーズが存在するトレーディングカードの内容を査定するためにコンピュータで実行される方法であって、
査定すべき対象トレーディングカードの前記カード種の入力を受け付ける第1ステップと、
前記対象トレーディングカードを光学的に読み取って得られたカード画像から、特定の図柄を含んだ特徴画像を抽出し、当該抽出された特徴画像に基づいて前記対象トレーディングカードの属する前記シリーズを特定する第2ステップと、
前記対象トレーディングカードの前記カード画像から特徴量を抽出し、当該抽出された特徴量と特徴量データベースとを照合することにより、前記対象トレーディングカードの内容を特定する第3ステップと、
前記第3ステップで特定された前記対象トレーディングカードの内容を表示装置に表示させる第4ステップと、
を含む、カード査定方法。
【請求項10】
主題の異なる複数のカード種が存在し、当該カード種ごとに複数のシリーズが存在するトレーディングカードの内容を査定するための装置であって、
査定すべき対象トレーディングカードの前記カード種の入力を受け付ける受付部と、
前記対象トレーディングカードを光学的に読み取って得られたカード画像から、特定の図柄を含んだ特徴画像を抽出し、当該抽出された特徴画像に基づいて前記対象トレーディングカードの属する前記シリーズを特定するシリーズ特定部と、
前記対象トレーディングカードの前記カード画像から特徴量を抽出し、当該抽出された特徴量と特徴量データベースとを照合することにより、前記対象トレーディングカードの内容を特定する特徴量照合部と、
特定された前記対象トレーディングカードの内容を表示装置に表示させる表示制御部と、
を含む、カード査定装置。
【請求項11】
請求項10に記載のカード査定装置と、
前記カード査定装置と接続されており、前記対象トレーディングカードを光学的に読み取って前記カード画像を前記カード査定装置へ供給する光学読み取り装置と、
ネットワークを介して前記カード査定装置を通信可能に接続されており、前記特徴量データベースを構築するためのデータを前記カード査定装置へ送信する外部サーバと、
を含む、カード査定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーディングカードの内容を査定する際に用いられるカード特定装置、カード特定方法、プログラム、カード特定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トレーディングカードとは、種々の図柄などの付されたカードであり、交換や収集を目的とし、あるいはカードを用いてゲームを行うなどの用途で広く用いられている。また、不要となったトレーディングカードを買い取り、他のユーザへ販売することも行われている。このような買取り、販売を行う店舗では、売却希望のユーザから一度に多数のトレーディングカードが持ち込まれることが多く、買取り価格の査定を迅速かつ高精度に行うことが可能な技術が必要とされている(例えば、特許文献1参照)。トレーディングカードには、ほぼ同じ図柄であるが一部に異なる点があったり表面加工に異なる点があったりするなどの僅かな相違により、図柄がほぼ同じであるにも関わらず市場価値が大きく異なり、よって買取り価格が異なる場合もある。このような場合であっても査定を迅速かつ高精度に行うことのできる技術が望まれている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明に係る具体的態様は、トレーディングカードの査定を迅速かつ高精度に実行可能な技術を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本発明に係る一態様のプログラムは、主題の異なる複数のカード種が存在し、当該カード種ごとに複数のシリーズが存在するトレーディングカードの内容を査定するためのプログラムであって、コンピュータに、(a)査定すべき対象トレーディングカードの前記カード種の入力を受け付ける第1ステップと、(b)前記対象トレーディングカードを光学的に読み取って得られたカード画像から、特定の図柄を含んだ特徴画像を抽出し、当該抽出された特徴画像に基づいて前記対象トレーディングカードの属する前記シリーズを特定する第2ステップと、(c)前記対象トレーディングカードの前記カード画像から特徴量を抽出し、当該抽出された特徴量と特徴量データベースとを照合することにより、前記対象トレーディングカードの内容を特定する第3ステップと、(d)前記第3ステップで特定された前記対象トレーディングカードの内容を表示装置に表示させる第4ステップと、を実行させる、プログラムである。
[2]本発明に係る一態様のカード査定方法は、主題の異なる複数のカード種が存在し、当該カード種ごとに複数のシリーズが存在するトレーディングカードの内容を査定するためにコンピュータで実行される方法であって、(a)査定すべき対象トレーディングカードの前記カード種の入力を受け付ける第1ステップと、(b)前記対象トレーディングカードを光学的に読み取って得られたカード画像から、特定の図柄を含んだ特徴画像を抽出し、当該抽出された特徴画像に基づいて前記対象トレーディングカードの属する前記シリーズを特定する第2ステップと、(c)前記対象トレーディングカードの前記カード画像から特徴量を抽出し、当該抽出された特徴量と特徴量データベースとを照合することにより、前記対象トレーディングカードの内容を特定する第3ステップと、(d)前記第3ステップで特定された前記対象トレーディングカードの内容を表示装置に表示させる第4ステップと、を含む、カード査定方法である。
[3]本発明に係る一態様のカード査定装置は、主題の異なる複数のカード種が存在し、当該カード種ごとに複数のシリーズが存在するトレーディングカードの内容を査定するための装置であって、(a)査定すべき対象トレーディングカードの前記カード種の入力を受け付ける受付部と、(b)前記対象トレーディングカードを光学的に読み取って得られたカード画像から、特定の図柄を含んだ特徴画像を抽出し、当該抽出された特徴画像に基づいて前記対象トレーディングカードの属する前記シリーズを特定するシリーズ特定部と、(c)前記対象トレーディングカードの前記カード画像から特徴量を抽出し、当該抽出された特徴量と特徴量データベースとを照合することにより、前記対象トレーディングカードの内容を特定する特徴量照合部と、(d)特定された前記対象トレーディングカードの内容を表示装置に表示させる表示制御部と、を含む、カード査定装置である。
[4]本発明に係る一態様のカード査定システムは、(a)前記[3]に記載のカード査定装置と、(b)前記カード査定装置と接続されており、前記対象トレーディングカードを光学的に読み取って前記カード画像を前記カード査定装置へ供給する光学読み取り装置と、(c)ネットワークを介して前記カード査定装置を通信可能に接続されており、前記特徴量データベースを構築するためのデータを前記カード査定装置へ送信する外部サーバと、を含む、カード査定システムである。
【0006】
上記構成によれば、トレーディングカードの査定を迅速かつ高精度に実行可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態のカード査定システムの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、カード査定装置の詳細構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、カード査定装置に用いられるコンピュータシステムの構成例を示す図である。
【
図4】
図4(A)は、トレーディングカードのカード種とシリーズの構成について説明するための図である。
図4(B)は、トレーディングカードの図柄の構成例を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、カード特性装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、表示部に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7(A)は、テンプレートマッチングに用いるデータの構成例を説明するための図である。
図7(B)は、テンプレートの具体的を模式的に示す図である。
【
図8】
図8(A)、
図8(B)はそれぞれトレーディングカード14の左下側を拡大して示したものである。
【
図10】
図10は、特徴量を生成する手順を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図11(A)は、テキスチャ画像データの一例を示す図である。
図11(B)は、領域画像データの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、特徴量データベースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、一実施形態のカード査定システムの全体構成を示す図である。
図1に示す本実施形態のカード査定システムは、トレーディングカードの査定を行うためのシステムであり、カード査定装置10、スキャナ(光学読み取り装置)12、外部サーバ16を含んで構成されている。カード査定装置10と外部サーバ16との間はインターネット等のネットワークを介して相互にデータ通信可能に接続されている。
【0009】
カード査定装置10は、スキャナ12を用いて光学的に読み取られたトレーディングカード14のカード画像データに基づいて所定の画像処理を行うことにより、トレーディングカード14の内容(カード名称、買取り価格など)を特定する処理、すなわち査定処理を行う。この査定処理に当たっては、予め外部サーバ16から取得されたデータが用いられる。カード査定装置10は、例えばノート型パーソナルコンピュータやデスクトップ型パーソナルコンピュータに所定のプログラムをインストールすることによって実現される。なお、専用装置として製造された情報処理装置を用いてカード査定装置10が構成されてもよい。
【0010】
スキャナ12は、トレーディングカード14の表面を光学的に読み取り、そのトレーディングカード14に対応する画像データ(カード画像)を生成してカード査定装置10へ出力する。本実施形態のスキャナ12は、複数枚のトレーディングカード14の読み取りを連続的に行うことが可能である。スキャナ12としては、例えばカラー情報の読み取りが可能であり、読み取り時解像度が150dpi程度かそれ以上の市販のスキャナを用いることができる。
【0011】
外部サーバ16は、カード査定装置10の設置される店舗とは異なる場所に設置されており、ネットワーク18を介してカード査定装置10に対して種々のデータを提供する。詳細には、外部サーバ16は、トレーディングカード14の査定処理における画像処理に必要なデータや買い取り価格等の特定に必要なデータを含んだデータベースを格納しており、カード査定装置10からの要求に応じてこれらのデータをカード査定装置10へ送信する。
【0012】
図2は、カード査定装置の詳細構成を示すブロック図である。なお、上記のようにカード査定装置10は、プロセッサ等を備えたコンピュータシステム(後述の
図3参照)においてプログラムを実行させることにより実現されるものであるが、ここではプログラムの実行によって実現される各機能に着目した機能ブロックによってカード査定装置10の構成を説明する。本実施形態のカード査定装置10は、制御部30、記憶部31、通信処理部32、表示部33、入力部34を含んで構成されている。
【0013】
制御部30は、トレーディングカード14の査定処理に係る制御を実行するものであり、画像取り込み部41、データベース構築部42、査定処理部43、表示処理部44を含んで構成されている。なお、査定処理部43が「受付部」、「シリーズ特定部」及び「特徴量照合部」に対応し、表示処理部44が「表示制御部」に対応する。
【0014】
画像取り込み部41は、スキャナ12によって生成されるトレーディングカード14の画像データを取り込む。
【0015】
データベース構築部42は、ネットワーク18を介して外部サーバ16からデータを取得し、この取得したデータに基づいて記憶部31にカード関連データベースと画像処理用データベースを構築する。これらのカード関連データベースと画像処理用データベースの構築は、例えば、外部サーバ16に蓄積されているデータが更新されるタイミングに合わせて、例えば一週間に一度の頻度で行われる。
【0016】
査定処理部43は、記憶部31に格納されたカード関連データベース及び画像処理用データベースを用いて、画像取り込み部41により取り込まれた画像データに対して所定の画像処理を行うことにより、トレーディングカード14の内容を特定する。
【0017】
表示処理部44は、表示部33への画像表示に係るデータ処理を行う。
【0018】
記憶部31は、データベース構築部42により構築されるカード関連データベースや画像処理用データベースを記憶する。また、記憶部31は、画像取り込み部41によって取り込まれた画像データを記憶する。
【0019】
通信処理部32は、ネットワーク18を介しての外部サーバ16とのデータ通信処理を行う。表示部33は、表示処理部44から出力される表示用データに基づいて、査定処理結果などの画像を表示する。入力部34は、制御部30に対して種々の動作指示などを入力するために用いられる。
【0020】
図3は、カード査定装置に用いられるコンピュータシステムの構成例を示す図である。図示のコンピュータシステムは、CPU(中央演算ユニット)101、ROM(読み出し専用メモリ)102、RAM(一時記憶メモリ)103、HDD(ハードディスクドライブ)104、通信I/F(インタフェース)105、キーボード106、マウス107、LCD(液晶表示装置)108を含んで構成されている。これらCPU101等の相互間はバスにより接続されている。なお、HDD104は大容量記憶デバイスの一例であり、これに代えてソリッドステートドライブなどが用いられてもよい。同様に、LCD108は表示デバイスの一例であり、これに代えて有機EL表示デバイスなどが用いられてもよい。
【0021】
CPU101は、プログラムを実行することにより情報処理を行う。ROM102は、CPU101の動作に必要な基本制御プログラムなどを格納する。RAM103は、CPU101の情報処理に必要なデータを一時記憶する。これらによって上記した制御部30が構成される。HDD104は、データを記憶するための大容量記憶装置であり、上記したカード査定装置10の各機能を実現するためのプログラムやデータなどを格納する。HDD104によって上記した記憶部31が構成される。また、通信I/F105によって上記した通信処理部32が構成され、LCD108によって上記した表示部33が構成され、キーボード106及びマウス107によって上記した入力部34が構成される。
【0022】
図4(A)は、トレーディングカードのカード種とシリーズの構成について説明するための図である。トレーディングカードは、例えばそれらの発売元ごとに、主題となるキャラクターや世界観などが異なっている。ある発売元から提供されるトレーディングカードの種類であるカード種1をみると、発売時期の違いなどから、複数のシリーズ1、2、3・・・が存在し、シリーズ毎に、トレーディングカードの内容が異なっている。このようなトレーディングカードは、数多くの種類が存在し、それらが継続的に発売されており、日々そのカード種やシリーズが増え続けている。そして、各シリーズにおいてそのシリーズに属するカードa、b、c・・・が存在する。発売元などに応じたカード種ごとに、このような構成でトレーディングカードが提供されている。そして、同じような内容のトレーディングカードであってもシリーズ毎に僅かな相違点が施されている場合があり、属するシリーズにより市場価値が異なる場合もある。
【0023】
図4(B)は、トレーディングカードの図柄の構成例を模式的に示す図である。例示されたトレーディングカード14は、左上にカード種を示すタイトル文字51が配置され、カード中央にキャラクター等の図柄52が配置され、図柄52の周辺に付加的文字53、54が配置され、カード右下側に特徴的なロゴマーク55が配置され、カード左下側に付加的文字56が配置されている。なお、これは一例であり、どのトレーディングカード14においても同じ要素が全て含まれているとは限らないし、図柄や文字の配置もカード種により多種多様である。
【0024】
図5は、カード特性装置の動作について説明するためのフローチャートである。なお、各ステップの処理については、情報処理の結果に不整合を生じない限りにおいてそれらの順番を適宜変更してもよく、他の処理がさらに追加されてもよい。
【0025】
以下に説明する処理の前提として、スキャナ12には、1つの特定のカード種に属する複数枚のトレーディングカードがセットされるものとする。すなわち、異なるカード種に属するトレーディングカードが混在した状態でスキャナ12にトレーディングカードがセットされる場合は想定しないものとする。なお、カード種ごとの仕分けは、例えばユーザ又は店舗スタッフなどにより予め行われる。
【0026】
査定処理部43は、入力部34を用いてユーザにより行われる指示入力に基づいて、査定対象となるトレーディングカードの種別(カード種)の入力を受け付ける(ステップS11)。例えば
図6に例示するように、表示部33に操作画面が表示されており、その中に含まれるカード種選択タブ61から入力部34を用いてユーザがカード種を選択できる。ここでは、カード種の候補として、XYZキング、ポケットマン、Dマスター・・・といった候補が表示されており、その中から「XYZキング」が選択されている例が示されている。
【0027】
次に、画像読み取り部41は、スキャナ12に動作指示を送り、各トレーディングカード14の読み取りを実行させ、スキャナ12から各トレーディングカード14に対応する画像データを取り込む(ステップS12)。取り込まれた画像データは、例えば記憶部31に一時的に記憶される。なお、取り込まれた画像データに対しては適宜、傾き補正などの画像処理が行われてもよい。
【0028】
次に、査定処理部43は、取り込まれた画像データに対して、カード種ごとにそれぞれのカードに含まれる特徴画像の一例である特徴的なロゴマーク55(
図4(B)参照)に基づくパターンマッチング処理を行うことにより、それらの画像データに対応するカードの属するシリーズを特定する(ステップS13)。具体的には、画像データ内にこれらのテンプレートと一致する部分があるかどうかを検索し、一致するテンプレートに基づいてシリーズを特定する。なお、ロゴマーク55によるパターンマッチング処理に加え、例えば特徴画像の一例としての付加的文字53、54などを用いた文字認識処理を併用してシリーズ特定を行ってもよい。
【0029】
図7(A)は、テンプレートマッチングに用いるデータの構成例を説明するための図である。記憶部31には、画像処理用データベースが格納されており、そこにはカード種(XYZキング、ポケットマン等)ごとに、それぞれのカードに含まれ得る特徴的なロゴマーク55に応じた複数のテンプレート1、2、3・・・が含まれている。また、詳細を後述する特徴量データもカード種ごとに含まれている。
【0030】
図7(B)は、テンプレートの具体的を模式的に示す図である。ここでは一例として6つのテンプレートが示されているが実際にはより多く、必要な数のテンプレートが用意されている。また、各テンプレートには各々の対応するシリーズの情報が紐付けられている。ステップS13では、ステップS11で特定されたカード種に対応するテンプレートデータを用いてマッチング処理を行うことにより、トレーディングカード14の属するシリーズが特定される。予めカード種が特定されていることで、マッチング処理に用いるテンプレートのデータ量を少なくして演算時間を低減することができる。
【0031】
次に、査定処理部43は、特定したシリーズに対応する特徴量データベースを画像処理用データベースから読み出す(ステップS14)。次に、査定処理部43は、スキャナ12から取り込まれた画像データから特徴量を抽出し、その特徴量とステップS14で読み出した特徴量データベースとを照合することにより、画像データに対応するトレーディングカード14のカード内容を特定する(ステップS15)。特徴量を用いた照合については詳細を後述する。
【0032】
次に、査定処理部43は、特徴量データベースとの照合で第1候補として特定されたカードの特徴量と実際のトレーディングカード14の特徴量との一致率が低い場合など照合結果の確度が所定基準を満たさず、カード特定に追加処理が必要である場合には(ステップS16;YES)、付加的な情報を抽出し、それに基づいてカード内容を特定する(ステップS17)。なお、追加処理が必要ない場合には(ステップS16;NO)、ステップS17の処理は省略される。
【0033】
ここで、付加的な情報としては、例えば
図4(B)に示した付加的文字53、54、56を用いることができる。これらの付加的な情報を用いた特定方法としては、文字認識処理を行ってテキストデータ化し、それを予め用意しておいた照合用データと照合することで一致判定を行うことができる。あるいは、上記と同様のテンプレートを用いたパターンマッチング処理を用いてもよい。
【0034】
一例として、付加的文字56を用いる方法について
図8を用いて説明する。
図8(A)、
図8(B)はそれぞれトレーディングカード14の左下側を拡大して示したものである。
図8(A)のトレーディングカード14に含まれる付加的文字56と
図8(B)のトレーディングカード14に含まれる付加的文字56とを比較すると、ほとんどの文字は同じであるが、前者では「☆」になっている箇所が後者では「●」になっている。このような相違に基づいて、カード内容を識別し、特定することができる。
【0035】
なお、追加処理が必要な場合としては、一致率が低い場合のほか、第1候補と第2候補でそれぞれの一致率の差が基準値より少ない場合も考えられる。例えば、一致率が百分率で表されるものとすると、一致率が50%以下の場合や、第1候補と第2候補の差が10%以内である場合などが考えられる。
【0036】
以上のような処理を各トレーディングカード14に対して実行すると、査定処理部43は、特定したカードに対応する買取り価格等のデータをカード関連データベースから読み出す。そして、表示処理部44は、カードの特定結果を表示部33に表示させる(ステップS18)。また、査定処理部43は、特定結果のデータを記憶部31に記憶させてもよい。
【0037】
図9は、査定結果の表示例を示す図である。この表示例には、カードの特定結果として、型番、カード名、レア度、買取価格を含む特定結果表示部62と、入力部34を用いて選択されたカードに対応する画像データを表示するカード画像表示部63が含まれている。なお、レア度とは、カードの希少性を示す情報である。例えば、流通数が少ないものはレア度が高くなる。ここではXXレアと表現されている。
【0038】
ここで、上記したステップ14においてトレーディングカード14の照合に用いる特徴量については特に限定がなく、種々の手法による特徴量を適用することができる。以下に、本実施形態で用いる一例としての特徴量について詳述する。
【0039】
図10は、特徴量を生成する手順を説明するためのフローチャートである。ここでの処理は査定処理部43によって実行される。また、同様の処理を行って得られた特徴量データベースが予め外部サーバ16に記憶されており、カード査定装置10に提供される。
【0040】
査定処理部43は、取り込まれた画像データのサイズを縮小する(ステップS31)。これは画像としての情報量を減らして処理負荷を軽減することを目的とする処理であるが、原理上は省略してもよい。
【0041】
次に、査定処理部43は、画像データから、カードの外周部に対応する部分を除いた範囲を抽出する(ステップS32)。これはスキャナ12の読み取り精度により外周部にノイズが入る場合もあるので、安定した範囲を切り出すことを意図したものであるが、原理上は省略してもよい。
【0042】
次に、査定処理部43は、画像データをグレイ値に変換する(ステップS33)。スキャナ12による読み取り時にはカラー画像として画像データが得られているので、これを輝度値のみのグレースケール画像へ変換することで情報量を減らして処理負荷を軽減することを目的としている。
【0043】
次に、査定処理部43は、グレースケール画像へ変換された画像データに対して任意のテキスチャフィルタを適用してテキスチャ画像データを生成する(ステップS34)。テキスチャフィルタについては公知の種々のものを採用することができる。テキスチャ画像データの一例を
図11(A)に示す。
【0044】
次に、査定処理部43は、テキスチャ画像データから、基準値に当てはまる輝度値を有する画素を領域として抽出する(ステップS35)。例えば、輝度値が0から255までの数値範囲で特定されている場合であれば、そのうち、一例として90以上255以下の範囲の輝度値を有する画素が抽出される。領域画像データの一例を
図11(B)に示す。黒色で示された領域が一定の輝度値を有する領域である。
【0045】
査定処理部43は、以上のようにして得られたテキスチャ画像データと領域画像データをそのカードに対応する特徴量データとして記憶部31に記憶させる(ステップS36)。そして、この特徴量データは上記したステップS15における照合処理に用いられる。例えば、領域画像データにおける一定の輝度値を有する領域の一致率が比較され、基準値以上(例えば90%以上)の一致率が得られた場合に、その特徴量データに対応するカード内容が査定結果として特定される。
【0046】
また、同様の処理によって予め複数のトレーディングカードに対して特徴量データが求められ、それらの特徴量データがカード種ごと、シリーズごとに分類されて画像処理用データベースとして外部サーバ16に格納されており、カード査定装置10へ送信されて記憶部31に格納される。
【0047】
図12に特徴量データベースの一例を示す。例えば、カード種「XYZキング」についてみると、このカード種に対応する特徴量データは、シリーズ1、2、3・・・というシリーズごとに分類されており、例えばシリーズ1に属するカードa、b、c・・・に対応する特徴量データが格納されている。そして、例えば照合処理によってカードaにおける一致率が基準値以上であれば、その画像データに対応するカード内容は「カードa」と特定され、対応する買い取り情報や名称などが特定される。
【0048】
以上のような実施形態によれば、トレーディングカードの査定を迅速かつ高精度に実行することが可能となる。具体的には、まずカード種を選択し、選択されたカード種からシリーズを特定し、そのシリーズに基づいて特徴量データを用いた照合が行われるので、演算時間が短縮される。また、特徴量データによる特定の精度が低い場合にはさらに付加的情報に基づく特定処理を追加的に実行しているので、カードの特定精度をさらに向上させることができる。また、カード種特定のための処理及びそれに用いるデータと、シリーズ特定のための処理及びそれに用いるデータが分かれているので、例えばあるカード種において新たなシリーズが登場した場合にも基本的にはその新シリーズの特定に用いるデータを追加するだけで足りる。従って、システム全体への影響を最小限に留め、システムの更新が容易になるという利点もある。
【0049】
なお、本発明は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態ではスキャナ12によって得られた画像データを即時に利用する態様を説明していたが、必ずしも即時利用でなくてよい。例えば、カード査定装置10と接続されていない別のスキャナ装置やカメラなどを用いて得られた画像データがデータ通信あるいはUSBメモリ等の記憶媒体を介してカード査定装置10へ与えられてもよい。また、上記した実施形態ではカード種類の入力をタブから選ぶようにしていたが、直接的に文字入力を行ってもよいし音声認識ソフトなどで入力してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10:カード査定装置
12:スキャナ
14:トレーディングカード
16:外部サーバ
18:ネットワーク
30:制御部
31:記憶部
32:通信処理部
33:表示部
34:入力部
41:画像取り込み部
42:データベース構築部
43:査定処理部
44:表示処理部
51:タイトル文字
52:図柄
53、54、56:付加的文字
55:ロゴマーク
61:カード種選択タブ
62:特定結果表示部
63:カード画像表示部