(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078863
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】医療用室内照明空気浄化装置および医療用コンソール
(51)【国際特許分類】
A61L 2/08 20060101AFI20230531BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20230531BHJP
A61L 9/18 20060101ALI20230531BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20230531BHJP
A61G 10/00 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
A61L2/08 110
A61L9/00 C
A61L9/18
A61L9/01 B
A61G10/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192170
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】510068183
【氏名又は名称】株式会社セオコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】521518851
【氏名又は名称】株式会社 健成
(74)【代理人】
【識別番号】100117558
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 和之
(72)【発明者】
【氏名】相馬 一貴
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
4C341
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058BB06
4C058EE26
4C058KK22
4C180AA07
4C180AA16
4C180AA19
4C180CC03
4C180CC04
4C180DD04
4C180EA06X
4C180EA26X
4C180EA34X
4C180HH11
4C180HH15
4C180HH17
4C180HH19
4C341KL07
(57)【要約】
【課題】病室の内気をより広範囲にわたって浄化できて、特に病床近くの内気が浄化され続けるように工夫された医療用室内照明空気浄化装置および医療用コンソールを提供する。
【解決手段】医療用室内照明空気浄化装置100は、第1の光源ユニット10と、第2の光源ユニット20が医療用コンソールパネル40に組み込まれたパネル構造を有する。医療用コンソールパネル40は、パネル部50と、第1のパネル端部51と、第2のパネル端部52とを有する。第1の光源ユニット10Aは蛍光管1(1a,1b)とカバー管2を有し、第2の光源ユニット10Bは蛍光管1(1a,1b)とカバー管2を有する。第1の光源ユニット10Aは、第1のパネル端部51に組み込まれ、第2の光源ユニット10Bは、第2のパネル端部52に組み込まれている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源ユニットと、第2の光源ユニットが医療用コンソールパネルに組み込まれたパネル構造を有する医療用室内照明空気浄化装置であって、
前記医療用コンソールパネルは、病室の壁面に沿って配置されるパネル部と、該パネル部を挟むように、該壁面と交差する方向に沿って配置される一対のパネル端部のうちの前記病室に配置される病床から離れた側の第1のパネル端部と、該病床に近い側の第2のパネル端部とを有し、
前記第1の光源ユニットと、第2の光源ユニットは、それぞれ蛍光管と、該蛍光管を覆う部材であって、光触媒が表面に塗布されている光触媒部材とを有し、
前記第1のパネル端部、第2のパネル端部は、それぞれ前記第1の光源ユニットと、第2の光源ユニットを収容し得る大きさを有し、かつそれぞれの底部が互いに近づく方向に凹んだ第1のパネル凹部、第2のパネル凹部が形成され、
前記第1の光源ユニットが前記第1のパネル凹部に収容されることによって前記第1のパネル端部に組み込まれ、かつ前記第2の光源ユニットが前記第2のパネル凹部に収容されることによって前記第2のパネル端部に組み込まれている医療用室内照明空気浄化装置。
【請求項2】
前記医療用コンソールパネルは、前記パネル部が、前記第1のパネル端部と前記第2のパネル端部との間隔よりも、前記病床の横幅に沿った横幅が大きい横長に形成され、かつ前記第1のパネル端部および第2のパネル端部が前記パネル部に応じた横長に形成された横長構造を有し、
前記第1の光源ユニットおよび第2の光源ユニットは、前記蛍光管および光触媒部材が長尺管状に形成され、かつ前記蛍光管が前記光触媒部材に収容されている直管型構造を有し、
前記第1のパネル凹部および第2のパネル凹部は、それぞれ前記第1の光源ユニットおよび第2の光源ユニットを収容し得る長さの平面視長尺矩形状に形成されている請求項1記載の医療用室内照明空気浄化装置。
【請求項3】
前記第1の光源ユニットは、前記蛍光管の照明光が前記病床から離れる方向に照射されるように前記第1のパネル端部に組み込まれ、かつ前記第2の光源ユニットは、前記蛍光管の照明光が前記病床に近づく方向に照射されるように前記第2のパネル端部に組み込まれている請求項1または2記載の医療用室内照明空気浄化装置。
【請求項4】
前記第1のパネル凹部を閉塞する第1のパネルカバーと、前記第2のパネル凹部を閉塞する第2のパネルカバーとを更に有する請求項1~3のいずれか一項記載の医療用室内照明空気浄化装置。
【請求項5】
前記第1の光源ユニットおよび第2の光源ユニットは、前記光触媒に加えて銀微粒子が塗布されている光触媒銀部材を前記光触媒部材の代わりに有する請求項1~4のいずれか一項記載の医療用室内照明空気浄化装置。
【請求項6】
第1の光触媒光源部と、第2の光触媒光源部が医療用コンソールパネルに設けられたパネル構造を有する医療用室内照明空気浄化装置であって、
前記医療用コンソールパネルは、病室の壁面に沿って配置されるパネル部と、該パネル部を挟むように、該壁面と交差する方向に沿って配置される一対のパネル端部のうちの前記病室に配置される病床から離れた側の第1のパネル端部と、該病床に近い側の第2のパネル端部とを有し、
前記第1の光触媒光源部と、前記第2の光触媒光源部は、それぞれ前記第1のパネル端部、前記第2のパネル端部に設けられ、
前記第1の光触媒光源部は、前記第1のパネル端部に形成されている第1のパネル凹部に収容されている第1の蛍光管と、該第1のパネル凹部を閉塞するように前記第1のパネル端部に装着され、かつ光触媒が外表面に塗布されている第1の光触媒パネルとを有し、
前記第2の光触媒光源部は、前記第2のパネル端部に形成されている第2のパネル凹部に収容されている第2の蛍光管と、該第2のパネル凹部を閉塞するように前記第2のパネル端部に装着され、かつ光触媒が外表面に塗布されている第2の光触媒パネルとを有し、
前記第1のパネル凹部、第2のパネル凹部は、それぞれの底部が互いに近づく方向に凹んだ形状を有する医療用室内照明空気浄化装置。
【請求項7】
前記第1の光触媒パネルおよび第2の光触媒パネルは、それぞれ前記第1のパネル凹部、前記第2のパネル凹部の開口部を隙間なく閉塞するように、前記第1のパネル凹部、前記第2のパネル凹部に嵌め込まれ、かつそれぞれの前記外表面に前記光触媒に加えて銀微粒子が塗布されている請求項6記載の医療用室内照明空気浄化装置。
【請求項8】
前記第1のパネル凹部、前記第2のパネル凹部の内側の表面がそれぞれ反射面になっている請求項6または7記載の医療用室内照明空気浄化装置。
【請求項9】
第1の光源ユニットと、第2の光源ユニットが医療用コンソールパネルに組み込まれ、該医療用コンソールパネルが病室の壁面に固定され、該壁面に設置されている医療設備が該医療用コンソールパネルに組付けられた組付構造を有する医療用コンソールであって、
前記医療用コンソールパネルは、病室の壁面に沿って配置されるパネル部と、該パネル部を挟むように、該壁面と交差する方向に沿って配置される一対のパネル端部のうちの前記病室に配置される病床から離れた側の第1のパネル端部と、該病床に近い側の第2のパネル端部とを有し、
前記第1の光源ユニットと、第2の光源ユニットは、それぞれ蛍光管と、該蛍光管を覆う部材であって、光触媒が表面に塗布されている光触媒部材とを有し、
前記第1のパネル端部、第2のパネル端部は、それぞれ前記第1の光源ユニットと、第2の光源ユニットを収容し得る大きさを有し、かつそれぞれの底部が互いに近づく方向に凹んだ第1のパネル凹部、第2のパネル凹部が形成され、
前記第1の光源ユニットが前記第1のパネル凹部に収容されることによって前記第1のパネル端部に組み込まれ、かつ前記第2の光源ユニットが前記第2のパネル凹部に収容されることによって前記第2のパネル端部に組み込まれている医療用コンソール。
【請求項10】
前記医療用コンソールパネルは、前記パネル部が、前記第1のパネル端部と前記第2のパネル端部との間隔よりも、前記病床の横幅に沿った横幅が大きい横長に形成され、かつ前記第1のパネル端部および第2のパネル端部が前記パネル部に応じた横長に形成された横長構造を有し、
前記第1の光源ユニットおよび第2の光源ユニットは、前記蛍光管および光触媒部材が長尺管状に形成され、かつ前記蛍光管が前記光触媒部材に収容されている直管型構造を有し、
前記第1のパネル凹部および第2のパネル凹部は、それぞれ前記第1の光源ユニットおよび第2の光源ユニットを収容し得る長さの平面視長尺矩形状に形成されている請求項9記載の医療用コンソール。
【請求項11】
前記第1のパネル凹部を閉塞する第1のパネルカバーと、前記第2のパネル凹部を閉塞する第2のパネルカバーとを更に有する請求項9または10記載の医療用コンソール。
【請求項12】
第1の光触媒光源部と、第2の光触媒光源部が医療用コンソールパネルに設けられ、該医療用コンソールパネルが病室の壁面に固定され、該壁面に設置されている医療設備が該医療用コンソールパネルに組付けられた組付構造を有する医療用コンソールであって、
前記医療用コンソールパネルは、病室の壁面に沿って配置されるパネル部と、該パネル部を挟むように、該壁面と交差する方向に沿って配置される一対のパネル端部のうちの前記病室に配置される病床から離れた側の第1のパネル端部と、該病床に近い側の第2のパネル端部とを有し、
前記第1の光触媒光源部と、前記第2の光触媒光源部は、それぞれ前記第1のパネル端部、前記第2のパネル端部に設けられ、
前記第1の光触媒光源部は、前記第1のパネル端部に形成されている第1のパネル凹部に収容されている第1の蛍光管と、該第1のパネル凹部を閉塞するように前記第1のパネル端部に装着され、かつ光触媒が外表面に塗布されている第1の光触媒パネルとを有し、
前記第2の光触媒光源部は、前記第2のパネル端部に形成されている第2のパネル凹部に収容されている第2の蛍光管と、該第2のパネル凹部を閉塞するように前記第2のパネル端部に装着され、かつ光触媒が外表面に塗布されている第2の光触媒パネルとを有し、
前記第1のパネル凹部、第2のパネル凹部は、それぞれの底部が互いに近づく方向に凹んだ形状を有する医療用コンソール。
【請求項13】
前記第1の光触媒パネルおよび第2の光触媒パネルは、それぞれ前記第1のパネル凹部、前記第2のパネル凹部の開口部を隙間なく閉塞するように、前記第1のパネル凹部、前記第2のパネル凹部に嵌め込まれ、かつそれぞれの前記外表面に前記光触媒に加えて銀微粒子が塗布されている請求項12記載の医療用コンソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病室内の明かりを生成するとともに、病室内の空気(以下「内気」ともいう)の殺菌、滅菌、除菌、抗菌等の浄化を行う医療用室内照明空気浄化装置および医療用コンソールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の明かりを生成する照明装置として、種々の装置が知られている。例えば、殺菌効果を有する照明装置が知られていた(特許文献1参照)。この照明装置は、可視光を含む波長のエネルギーを出力する照明ランプと、殺菌効果を有する紫外線波長のエネルギーを出力する殺菌ランプとを備えている。この照明装置では、殺菌ランプから照射される紫外線によって、内気の殺菌が行われるが、人体への直接照射を回避するため、その紫外線が室内の上方空間に向かって照射されるように、照明ランプと殺菌ランプとを保持するケーシングの構造が工夫されていた。
【0003】
しかしながら、この照明装置では、紫外線が照射される領域の内気については殺菌が行われるものの、内気を積極的に動かしてまで殺菌しようとすることが何ら考慮されていなかった。そのため、係る照明装置では、殺菌作用が内気の隅々にまで及ぶことがなく、十分な浄化作用が得られないという課題があった。
【0004】
この点に関して、従来、内気を強制的に移動させるファン等の気流生成手段を備えた空気清浄機能を有する照明装置が知られていた(特許文献2,3,4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-3616号公報
【特許文献2】国際公開番号WO2011/049047号公報
【特許文献3】特表2012-527302号公報
【特許文献4】特開2017-98085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献2,3,4に開示されている照明装置のように、気流生成手段が備えられていると、内気の強制的な移動によって、浄化された内気が室内に徐々に広がり、内気の移動に伴いより広い範囲の内気が浄化される。
【0007】
しかし、いずれの照明装置でも、紫外線を利用した空気清浄機能を有しており、その紫外線が人体に直接及ばないようにするため、紫外線が届くところが照明装置の内部に限られていた。
【0008】
そのため、紫外線が直接照射されることによって内気が浄化されるとはいえ、それは、内気全体からみたらごく一部に過ぎなかった。したがって、単位時間あたりに浄化される内気がとても少なく、気流生成手段によって内気を強制的に移動させていても、内気を広範囲にわたって浄化することが困難であった。
【0009】
特に、病室、診察室、検査室、手術室等医療用の室の場合、室が通常、長時間密閉された状態になることは少ない。これらの室には、患者や、医師、看護師等の医療従事者が頻繁に出入りし、そのたびに室外から新たな空気(外気)が室内に入り込む。医療用の室は、とりわけ、室外から入り込んだ外気にも浄化作用が及び、内気の清浄な状態ができるだけ保持され続けることが望ましいところ、従来技術でこれを実現することは甚だ困難であった。
【0010】
一方、医療用の室の中でも、病室の場合は、患者が病床に横たわって室内に長時間滞在することが多いので、病室の内気ができる限り浄化されることが望ましい。とりわけ、患者が何らかの感染症を発症しているときは、その感染症の広がりを抑制するため、病床近くの内気が浄化され続けることが望まれるところ、従来技術でこれを実現することは甚だ困難であった。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、病室の内気をより広範囲にわたって浄化できて、特に病床近くの内気が浄化され続けるように工夫された医療用室内照明空気浄化装置および医療用コンソールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、第1の光源ユニットと、第2の光源ユニットが医療用コンソールパネルに組み込まれたパネル構造を有する医療用室内照明空気浄化装置であって、医療用コンソールパネルは、病室の壁面に沿って配置されるパネル部と、そのパネル部を挟むように、その壁面と交差する方向に沿って配置される一対のパネル端部のうちの病室に配置される病床から離れた側の第1のパネル端部と、その病床に近い側の第2のパネル端部とを有し、第1の光源ユニットと、第2の光源ユニットは、それぞれ蛍光管と、その蛍光管を覆う部材であって、光触媒が表面に塗布されている光触媒部材とを有し、第1のパネル端部、第2のパネル端部は、それぞれ第1の光源ユニットと、第2の光源ユニットを収容し得る大きさを有し、かつそれぞれの底部が互いに近づく方向に凹んだ第1のパネル凹部、第2のパネル凹部が形成され、第1の光源ユニットが第1のパネル凹部に収容されることによって第1のパネル端部に組み込まれ、かつ第2の光源ユニットが第2のパネル凹部に収容されることによって第2のパネル端部に組み込まれている医療用室内照明空気浄化装置を提供する。
【0013】
上記医療用室内照明空気浄化装置において、医療用コンソールパネルは、パネル部が、第1のパネル端部と第2のパネル端部との間隔よりも、病床の横幅に沿った横幅が大きい横長に形成され、かつ第1のパネル端部および第2のパネル端部がパネル部に応じた横長に形成された横長構造を有し、第1の光源ユニットおよび第2の光源ユニットは、蛍光管および光触媒部材が長尺管状に形成され、かつ蛍光管が光触媒部材に収容されている直管型構造を有し、第1のパネル凹部および第2のパネル凹部は、それぞれ第1の光源ユニットおよび第2の光源ユニットを収容し得る長さの平面視長尺矩形状に形成されていることが好ましい。
【0014】
さらに、第1の光源ユニットは、蛍光管の照明光が病床から離れる方向に照射されるように第1のパネル端部に組み込まれ、かつ第2の光源ユニットは、蛍光管の照明光が病床に近づく方向に照射されるように第2のパネル端部に組み込まれていることが好ましい。
【0015】
さらにまた、第1のパネル凹部を閉塞する第1のパネルカバーと、第2のパネル凹部を閉塞する第2のパネルカバーとを更に有することが好ましい。
【0016】
上記医療用室内照明空気浄化装置において、第1の光源ユニットおよび第2の光源ユニットは、光触媒に加えて銀微粒子が塗布されている光触媒銀部材を光触媒部材の代わりに有することが好ましい。
【0017】
そして、本発明は、第1の光触媒光源部と、第2の光触媒光源部が医療用コンソールパネルに設けられたパネル構造を有する医療用室内照明空気浄化装置であって、医療用コンソールパネルは、病室の壁面に沿って配置されるパネル部と、そのパネル部を挟むように、その壁面と交差する方向に沿って配置される一対のパネル端部のうちの病室に配置される病床から離れた側の第1のパネル端部と、その病床に近い側の第2のパネル端部とを有し、第1の光触媒光源部と、第2の光触媒光源部は、それぞれ第1のパネル端部、第2のパネル端部に設けられ、第1の光触媒光源部は、第1のパネル端部に形成されている第1のパネル凹部に収容されている第1の蛍光管と、その第1のパネル凹部を閉塞するように第1のパネル端部に装着され、かつ光触媒が外表面に塗布されている第1の光触媒パネルとを有し、第2の光触媒光源部は、第2のパネル端部に形成されている第2のパネル凹部に収容されている第2の蛍光管と、その第2のパネル凹部を閉塞するように第2のパネル端部に装着され、かつ光触媒が外表面に塗布されている第2の光触媒パネルとを有し、第1のパネル凹部、第2のパネル凹部は、それぞれの底部が互いに近づく方向に凹んだ形状を有する医療用室内照明空気浄化装置を提供する。
【0018】
上記医療用室内照明空気浄化装置において、第1の光触媒パネルおよび第2の光触媒パネルは、それぞれ第1のパネル凹部、第2のパネル凹部の開口部を隙間なく閉塞するように、第1のパネル凹部、第2のパネル凹部に嵌め込まれ、かつそれぞれの外表面に光触媒に加えて銀微粒子が塗布されていることが好ましい。
【0019】
また、第1のパネル凹部、第2のパネル凹部の内側の表面がそれぞれ反射面になっていることが好ましい。
【0020】
さらに、本発明は、第1の光源ユニットと、第2の光源ユニットが医療用コンソールパネルに組み込まれ、その医療用コンソールパネルが病室の壁面に固定され、その壁面に設置されている医療設備がその医療用コンソールパネルに組付けられた組付構造を有する医療用コンソールであって、医療用コンソールパネルは、病室の壁面に沿って配置されるパネル部と、そのパネル部を挟むように、その壁面と交差する方向に沿って配置される一対のパネル端部のうちの病室に配置される病床から離れた側の第1のパネル端部と、その病床に近い側の第2のパネル端部とを有し、第1の光源ユニットと、第2の光源ユニットは、それぞれ蛍光管と、その蛍光管を覆う部材であって、光触媒が表面に塗布されている光触媒部材とを有し、第1のパネル端部、第2のパネル端部は、それぞれ第1の光源ユニットと、第2の光源ユニットを収容し得る大きさを有し、かつそれぞれの底部が互いに近づく方向に凹んだ第1のパネル凹部、第2のパネル凹部が形成され、第1の光源ユニットが第1のパネル凹部に収容されることによって第1のパネル端部に組み込まれ、かつ第2の光源ユニットが第2のパネル凹部に収容されることによって第2のパネル端部に組み込まれている医療用コンソールを提供する。
【0021】
上記医療用コンソールにおいて、医療用コンソールパネルは、パネル部が、第1のパネル端部と第2のパネル端部との間隔よりも、病床の横幅に沿った横幅が大きい横長に形成され、かつ第1のパネル端部および第2のパネル端部がパネル部に応じた横長に形成された横長構造を有し、第1の光源ユニットおよび第2の光源ユニットは、蛍光管および光触媒部材が長尺管状に形成され、かつ蛍光管が光触媒部材に収容されている直管型構造を有し、第1のパネル凹部および第2のパネル凹部は、それぞれ第1の光源ユニットおよび第2の光源ユニットを収容し得る長さの平面視長尺矩形状に形成されていることが好ましい。
【0022】
また、第1のパネル凹部を閉塞する第1のパネルカバーと、前記第2のパネル凹部を閉塞する第2のパネルカバーとを更に有することが好ましい。
【0023】
さらに、本発明は、第1の光触媒光源部と、第2の光触媒光源部が医療用コンソールパネルに設けられ、その医療用コンソールパネルが病室の壁面に固定され、面に設置されている医療設備が該医療用コンソールパネルに組付けられた組付構造を有する医療用コンソールであって、医療用コンソールパネルは、病室の壁面に沿って配置されるパネル部と、そのパネル部を挟むように、その壁面と交差する方向に沿って配置される一対のパネル端部のうちの病室に配置される病床から離れた側の第1のパネル端部と、その病床に近い側の第2のパネル端部とを有し、第1の光触媒光源部と、第2の光触媒光源部は、それぞれ第1のパネル端部、第2のパネル端部に設けられ、第1の光触媒光源部は、第1のパネル端部に形成されている第1のパネル凹部に収容されている第1の蛍光管と、その第1のパネル凹部を閉塞するように第1のパネル端部に装着され、かつ光触媒が外表面に塗布されている第1の光触媒パネルとを有し、第2の光触媒光源部は、第2のパネル端部に形成されている第2のパネル凹部に収容されている第2の蛍光管と、その第2のパネル凹部を閉塞するように第2のパネル端部に装着され、かつ光触媒が外表面に塗布されている第2の光触媒パネルとを有し、第1のパネル凹部、第2のパネル凹部は、それぞれの底部が互いに近づく方向に凹んだ形状を有する医療用コンソールを提供する。
【0024】
上記医療用コンソールにおいて、第1の光触媒パネルおよび第2の光触媒パネルは、それぞれ第1のパネル凹部、第2のパネル凹部の開口部を隙間なく閉塞するように、第1のパネル凹部、第2のパネル凹部に嵌め込まれ、かつそれぞれの外表面に記光触媒に加えて銀微粒子が塗布されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
以上詳述したように、本発明によれば、病室の内気をより広範囲にわたって浄化できて、特に病床近くの内気が浄化され続けるように工夫された医療用室内照明空気浄化装置および医療用コンソールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る医療用コンソールの正面図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態に係る医療用室内照明空気浄化装置の上面側からみた斜視図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態に係る第1の光源ユニットをソケットとともに示した正面図である。
【
図9】同じく、第1の光源ユニットの動作内容を模式的に示した図である。
【
図10】医療用コンソールが設けられている病室の要部を示した斜視図である。
【
図11】変形例1に係る医療用室内照明空気浄化装置の正面図である。
【
図12】変形例2に係る医療用室内照明空気浄化装置、医療用コンソールの第1のパネル端部の要部を示し、他を省略した正面図である。
【
図13】変形例2に係る医療用室内照明空気浄化装置を示す
図7と同様の断面図である。
【
図14】変形例2に係る医療用室内照明空気浄化装置を示す
図5と同様の斜視図である。
【
図15】本発明の第2の実施の形態に係る医療用コンソールを示す
図1と同様の正面図である。
【
図16】本発明の第2の実施の形態に係る医療用室内照明空気浄化装置を示す
図5と同様の斜視図である。
【
図20】変形例に係る医療用室内照明空気浄化装置、医療用コンソールを示す
図19と同様の断面図である。
【
図21】本発明の第2の実施の形態に係る医療用室内照明空気浄化装置、医療用コンソールの光触媒光源部の作用を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0028】
(第1の発明の実施)
本発明の第1の実施の形態に係る医療用室内照明空気浄化装置100、医療用コンソール200について、
図1~
図10を参照して説明する。
図1~
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る医療用コンソール(メディカルコンソールともいう)200を示した図で、
図1は正面図、
図2は平面図、
図3は裏面図、
図4は右側面図である。
図5~
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る医療用室内照明空気浄化装置100を示した図で、
図5は上面側からみた斜視図、
図6は正面図、
図7は
図6の7-7線断面図である。
図8~
図9は、第1の光源ユニット10Aを示した図で、
図8は正面図、
図9は動作内容を模式的に示した図である。
図10は、医療用コンソール200が設けられている病室Rの要部を示した斜視図である。
【0029】
(医療用室内照明空気浄化装置100、医療用コンソール200の構成)
本発明の第1の実施の形態に係る医療用室内照明空気浄化装置100は、パネル構造を有している。医療用室内照明空気浄化装置100のパネル構造とは、主に
図5、
図6に示すように、二つの光源ユニット10(第1の光源ユニット10Aと、第2の光源ユニット10B)が医療用コンソールパネル40に組み込まれて、医療用コンソールパネル40と一体となった構造を意味している。
【0030】
また、本発明の第1の実施の形態に係る医療用コンソール200は、組付構造を有している。医療用コンソール200の組付構造とは、主に
図1~
図4に示すように、二つの光源ユニット10(第1の光源ユニット10Aと、第2の光源ユニット10B)が医療用コンソールパネル40に組み込まれ、その医療用コンソールパネル40が病室R(
図10参照)の壁面R1に固定され、その壁面R1に設置されているナースコールユニット162、医療用ガスアウトレット164等医療設備が医療用コンソールパネル40に組付けられた構造を意味している。
【0031】
医療用室内照明空気浄化装置100と医療用コンソール200とは、ともに第1の光源ユニット10Aと、第2の光源ユニット10Bと、医療用コンソールパネル40とを有しており、この点で、双方の構成は共通性を有している。そこで、以下では、主に医療用室内照明空気浄化装置100の構成について詳しく説明する。
【0032】
(第1の光源ユニット、第2の光源ユニット)
第1の光源ユニット10Aと、第2の光源ユニット10Bは、
図1~
図3,
図8に示すように、それぞれ、二本のCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp、冷陰極蛍光管)1(1a,1b)と、カバー管2を有し、二本のCCFL1(1a,1b)がそのカバー管2の中に収容された構造を有している。
【0033】
CCFL1(1a,1b)は、長尺円筒(円管)状に形成されたガラス管と、その内面に形成された蛍光体と、長さ方向両端に形成された電極(いずれも図示省略)とを有しており、カバー管2も、長尺円筒(円管)状に形成されている。そのため、第1の光源ユニット10Aと、第2の光源ユニット10Bは、直管型構造を有している。
【0034】
カバー管2は、CCFL1(1a,1b)を覆う部材であって、CCFL1よりも直径が大きく長さも同じか大きい。カバー管2は、ポリカーボネート等の樹脂からなり、光触媒LC(
図9参照)がその外側表面の全体にわたって塗布(コーティング)されている。カバー管2は、光触媒LCが表面に塗布されているので、本実施の形態に係る光触媒部材に相当している。
【0035】
また、第1の光源ユニット10Aと、第2の光源ユニット10Bは、口金ユニット3,4を有している。口金ユニット3,4は、
図8、
図9に示すように、カバー管2の長さ方向に沿った両端部に設けられている。口金ユニット3,4は、それぞれカバー管2の端部を閉塞していて、長さ方向外向きに突出する電極(口金ユニット3の場合は、
図8の電極3a,3b)を有している。また、口金ユニット3,4の電極それぞれにCCFL1(1a,1b)が接続されている。
【0036】
そして、
図2、
図3に示すように、一対のソケット7,8が後述する第1のパネル凹部53に対して、例えばその底部53aに固定されて設けられ、一対のソケット22,23が第2のパネル凹部54に対して、その底部54aに固定されて設けられている。そして、第1の光源ユニット10Aがそのソケット7,8に接続された状態で第1のパネル凹部53に収容され、第2の光源ユニット10Bがソケット22,23に接続された状態で第2のパネル凹部54に収容されている。
【0037】
(医療用コンソールパネル)
医療用コンソールパネル40は、アルミニウム等の金属または樹脂を用いて形成されていて、
図1~
図7に示すように、パネル部50と、第1のパネル端部51と、第2のパネル端部52と、側板55,56とを有している。
【0038】
図1、
図6に詳しく示すように、医療用コンソールパネル40は、横長構造を有している。本実施の形態において、横長構造とは、パネル部50が横長に形成され、かつ第1のパネル端部51および第2のパネル端部52がパネル部50に応じた横長に形成された構造を意味している。また、パネル部50について、第1のパネル端部51と第2のパネル端部52との間隔(
図6に示す高さH40)よりも、病床Bの横幅に沿った横幅(
図6に示すW40)が大きいことが、パネル部50が横長に形成されていることを意味している。第1のパネル端部51と第2のパネル端部52との間隔は、さらに詳しくは、
図2、
図3、
図7に示す第1のパネル端部51の平板部51aと、第2のパネル端部52の平板部52aとの間隔に相当している。
【0039】
パネル部50は、病室R(
図10参照)の壁面R1に沿って設置される概ね平板状の部分である。
図6に示すように、パネル部50には、開口部60,61,62,64と、ネームカードホルダー63が設けられている。開口部60,61,62,64は、医療設備や病室内設備の組付けに用いられ部分で、
図7に示すように、パネル部50の表面50aから裏面50bまで貫通している。壁面R1(
図10参照)には、例えば、
図1に示すようなナースコールユニット162、医療用ガスアウトレット164等の各種医療設備や病室内設備が設けられている。開口部60,61,62,64は、それぞれの対応する設備の大きさ、形状、配置に適合させて形成されている。医療用コンソールパネル40が壁面R1に固定されるときに、開口部60、61,62,64にそれぞれ、読書灯スイッチ160,医療用コンセント161,ナースコールユニット162、医療用ガスアウトレット164(これらは
図1参照)が裏面50bから嵌め込まれ、各種医療設備や病室内設備それぞれの組付けが行われる。ネームカードホルダー63は、ネームカード163(
図1参照)が収容される。
【0040】
図7に示すように、第1のパネル端部51と、第2のパネル端部52とは、パネル部50に接続されており、これらが一体となった一つの部材が形成されて医療用コンソールパネル40を構成している。第1のパネル端部51,第2のパネル端部52は、対になってペアを構成していて、パネル部50を挟むようにして、ともに壁面R1と直交状に交差する方向に沿って配置されている。医療用コンソールパネル40に各種医療設備や病室内設備が組付けられた時点で、第1のパネル端部51は病室Rに配置される病床B(
図10参照)から離れた側(上側)に配置される。また、第2のパネル端部52は病床Bに近い側(下側)に配置される。
【0041】
そして、
図2、
図3、
図7に示すように、第1のパネル端部51と、第2のパネル端部52とは、それぞれ平板部51a、52aを有している。平板部51a、52aは壁面R1と直交状に交差する方向に沿って形成され、医療用コンソールパネル40が壁面R1に固定されたときに、その壁面R1から張り出すように配置される。また、平板部51a、52aは、平面視長尺の概ね矩形状に形成されていて、その幅方向ほぼ中央に、それぞれ第1のパネル凹部53と、第2のパネル凹部54とが形成されている。
【0042】
第1のパネル凹部53と、第2のパネル凹部54は、ともに光源ユニット10(第1、第2の光源ユニット10A、10B)を収容し得る大きさを有する凹部であって、ともに第1の光源ユニット10A、第2の光源ユニット10Bの外形に応じた平面視長尺の矩形状に形成されている。そして、
図7に示すように、第1、第2のパネル端部51,52がパネル部50を挟むように配置されているため、第1、第2のパネル凹部53,54は、それぞれの底部53a、54aが近づく方向(平板部51a、52aの間隔よりも底部53a、54aの間隔が狭くなる方向)に凹んだ形状に形成されている。
【0043】
また、
図2、
図7に示すように、第1のパネル凹部53には、その底部53aに固定されてソケット7,8が設けられている。そのソケット7,8に口金ユニット3,4が接続された状態で、第1の光源ユニット10Aが第1のパネル凹部53に収容されている。それによって、
図7に示すように、第1の光源ユニット10Aは、その全体が第1のパネル端部51(詳しくは、平板部51aの表面)から突出しない(カバー管2の全体が第1のパネル凹部53の内側に納まる)ように、第1のパネル端部51に組み込まれている。これが可能となるように、第1のパネル凹部53が第1の光源ユニット10Aおよびソケット7,8の高さに応じた深さを有するように形成されている。
【0044】
また、
図3、
図7に示すように、第2のパネル凹部54には、その底部54aに固定されてソケット22,23が設けられている。そのソケット22,23に第2の光源ユニット10Bの口金ユニット3,4が接続された状態で、第2の光源ユニット10Bが第2のパネル凹部54に収容されている。それによって、第2の光源ユニット10Bは、その全体が第2のパネル端部52(詳しくは、平板部52aの表面)から突出しない(カバー管2の全体が第2のパネル凹部54の内側に納まる)ように、第2のパネル端部52に組み込まれている。これが可能となるように、第2のパネル凹部54が第2の光源ユニット10Bおよびソケット22,23の高さに応じた深さを有するように形成されている。
【0045】
なお、図示はしないが、第1のパネル凹部53の内側の表面と、第2のパネル凹部54の内側の表面に、反射性を有する樹脂膜等が形成されて、双方の内側表面が反射面とされていることが好ましい。
【0046】
そして、以上のように、第1の光源ユニット10Aが第1のパネル凹部53に収容されている。そうすると、このとき、
図10に示すように、CCFL1(1a,1b)の照明光L1が病室Rの上に向かって(天井R4に向けて)照射される。つまり、第1の光源ユニット10Aは、その照明光L1が病床Bから離れる方向に照射されるように、第1のパネル端部51に組み込まれている。
【0047】
また、第2の光源ユニット10Bが第2のパネル凹部54に収容されている。このとき、第2の光源ユニット10Bは、ソケット22,23に装着(口金ユニット3,4が接続される)された状態で、第2のパネル凹部54に収容されているから、第2のパネル凹部54から脱落することなく医療用コンソールパネル40に保持されている。
【0048】
図10に示すように、CCFL1(1a,1b)の照明光L2は、病室Rの下に向かって(床R3に向けて)照射される。つまり、第2の光源ユニット10Bは、その照明光L2が病床Bに近づく方向に照射されるように、第2のパネル端部52に組み込まれている。
【0049】
側板55,56(側板55に関しては
図4参照)は、平板状の部材で、パネル部50,第1のパネル端部51,第2のパネル端部52のそれぞれ右端部、左端部に応じた形状を有している。
図7に示すように、パネル部50,第1のパネル端部51,第2のパネル端部52によって、断面変形C字状の筒状体が構成されるが、側板55,56は、その筒状体のそれぞれパネル部50の正面側からみて右側、左側に装着されている。側板55,56が装着されることによって、筒状体の両端部が閉塞される。また、パネル部50,第1のパネル端部51,第2のパネル端部52が壁面R1に設けられた各種医療設備や病室内設備を覆い、それら各種医療設備や病室内設備が医療用コンソールパネル40に組付けられて、医療用コンソール200が得られる。
【0050】
(カバー管2の光触媒)
第1の光源ユニット10Aと、第2の光源ユニット10Bのカバー管2には、光触媒LC(
図9参照)がその表面に塗布(コーティング)されている。医療用室内照明空気浄化装置100では、カバー管2が露出した状態(他の部材で覆われていない状態)で、第1の光源ユニット10Aと、第2の光源ユニット10Bが医療用コンソールパネル40に組み込まれている。
【0051】
カバー管2は、その外表面に塗布される光触媒LC(
図9参照)として、例えば、酸化チタンを用いることができる。光触媒は、太陽光や蛍光灯等から出射される光が当たったときに、その表面で強力な酸化還元力が生まれ、接触してくる有機化合物や細菌、カビ、ウィルス等を水と二酸化炭素に分解する。そのカバー管2の内側にCCFL1(1a,1b)が収容されているので、それらから発生される可視光VLによって、病室R内の照明が得られる。また、その可視光VLがカバー管2の光触媒LCにあたったことで、有機化合物や細菌等を分解する作用が得られ、これによって、内気の浄化作用が得られる。
【0052】
特に、カバー管2には、その外表面に塗布される光触媒LCとして、アパタイトにチタンが導入された酸化チタンアパタイトを用いることが好ましい。アパタイトは吸着力に優れているため、酸化チタンアパタイトは、ウィルスや細菌等の吸着力が高く、加えて、有機基材を劣化させにくいという特徴を有している。そのため、酸化チタンアパタイトは、分解力とともに吸着力を有し、それらを同時並行的に発揮する。光触媒LCとして、酸化チタンが用いられた場合は、分解力による浄化作用は得られるものの、吸着力による浄化作用は得られない。これに対して、光触媒LCとして、酸化チタンアパタイトが用いられることで、分解力とともに吸着力による浄化作用が得られる。そのため、カバー管2には、その外表面に塗布される光触媒LCとして、酸化チタンアパタイトが用いられることが好ましい。そうすることで、酸化チタンが用いられる場合に比べて、より優れた浄化作用が得られる。
【0053】
また、第1の光源ユニット10Aと、第2の光源ユニット10Bは、前述した光触媒部材の代わりに、光触媒銀部材を有することが好ましい。光触媒銀部材は、光触媒に加えて銀微粒子が塗布(コーティング)されている部材であって、本実施の形態では、外表面に光触媒に加えて銀微粒子が塗布(コーティング)されている場合のカバー管2に相当している。
【0054】
銀が電気分解されると、銀イオン(Ag+)が発生するが、その銀イオン(Ag+)には殺菌効果があり、レジオネラ菌、大腸菌、ブドウ球菌、一般細菌、MRSA、ヘルペスウィルス、赤痢菌、緑膿菌、ポリオウィルス、ロタウィルスなどほとんどの菌に対して有効であることが知られている。銀微粒子がカバー管2の表面に塗布されていると、その内側のCCFL1(1a,1b)の電位によって銀微粒子が電気分解されて銀イオン(Ag+)が発生し、その銀イオン(Ag+)が内気中の水分子とともに、病室R内の空間に遊離する。これら銀イオン(Ag+)が内気中を浮遊する細菌やウィルスの細胞膜を破壊し、それによって、除菌、抗菌効果が得られる。酸化チタンアパタイトや銀イオン(Ag+)は人体に対する影響がない(無害)ため、第1、第2の光源ユニット10A、10Bが露出した状態で医療用コンソールパネル40に組み込まれていても、人体には無害な状態で病室R内を浄化できる。
【0055】
(医療用室内照明空気浄化装置100の動作内容、作用効果)
医療用室内照明空気浄化装置100は、
図10に示すように、病室Rの壁面R1に設置される。その際、第1、第2の光源ユニット10A、10Bが一体となった医療用コンソールパネル40に、壁面R1に設けられた各種医療設備や病室内設備を組み付ける。この場合、読書灯スイッチ160,医療用コンセント161,ナースコールユニット162、医療用ガスアウトレット164がそれぞれ医療用コンソールパネル40の開口部60,61,62,64に裏側から嵌め込まれるなどして組み付けられる。また、ネームカード163がネームカードホルダー63に収容される。すると、本実施の形態に係る医療用室内照明空気浄化装置100は、病室Rにおいて、医療用コンソール200として使用される。その場合、医療用コンセント161に図示しない医療機器が装着される、ナースコールユニット162が操作される、医療用ガスアウトレット164に図示しない医療機器が装着されるといった形で医療用コンソール200が使用される。
【0056】
また、医療用室内照明空気浄化装置100は、病室R内の照明を得ながら、病室R内の内気を浄化する室内照明空気浄化装置として使用される。
【0057】
この場合、図示しない電源スイッチが投入されると、図示しない商用電源から第1、第2の光源ユニット10A、10Bに電力が供給され、その双方が点灯する。
【0058】
第1の光源ユニット10Aが点灯すると、CCFL1(1a,1b)のガラス管の内部で放出された電子の衝突を受けて励起された水銀から紫外線が発生する。
図9に示すように、その紫外線は、ガラス管の内面に形成された蛍光体を通って可視光VLに変換され、その可視光VLが周囲に放出される。その可視光VLは、第1のパネル端部51において、第1の光源ユニット10Aの周囲に照明光L1となって照射される。照明光L1は、病床Bから離れる方向に照射されるので、病床Bから病室Rの上方に向かって照射される。
【0059】
このとき、第1の光源ユニット10Aは、光触媒部材であるカバー管2を有している。そのため、そのカバー管2の表面に塗布されている光触媒LCに、CCFL1(1a,1b)から放出される可視光VLが照射される(
図9参照)。すると、可視光VLが照射されたことで、光触媒LCによって、カバー管2の表面に強力な酸化還元力が生まれ、それに伴い、カバー管2の表面に接触してくる有機化合物や細菌、カビ、ウィルス等が水と二酸化炭素に分解される。こうして、カバー管2の周囲にある内気cfを浄化する浄化作用が得られる。また、第2の光源ユニット10Bでも、同様の浄化作用が得られる。
【0060】
そして、第1、第2の光源ユニット10A、10Bがそれぞれ第1、第2のパネル凹部53,54に収容されることによって、医療用コンソールパネル40に組み込まれている。そのため、第1、第2の光源ユニット10A、10Bが常時、病室Rの内気に触れているから、点灯中であれば、それぞれの浄化作用が常時、医療用室内照明空気浄化装置100,医療用コンソール200よりも外側の病室Rの内気に及んでいる。
【0061】
そして、第1、第2の光源ユニット10A、10Bによる内気の浄化作用は、第1、第2の光源ユニット10A、10Bから2~3m(メートル)離れた範囲にまで及ぶことが知られている。2m(メートル)の範囲内にある大腸菌や黄色ブドウ球菌であればおよそ99%除菌でき、新型コロナウィルスの場合は、30cmの範囲内であれば99%除菌できることが知られている。そのため、第1、第2の光源ユニット10A、10Bによる内気の浄化作用は、ほかの種類の光源(例えば、LED)による浄化作用に比べて有効な効果が得られる範囲がとても広い。その広範な浄化作用を有する第1、第2の光源ユニット10A、10Bという二つの光源ユニット10が組み込まれていることによって、医療用室内照明空気浄化装置100(医療用コンソール200)が病室Rの内気をより広範囲にわたって浄化できる。
【0062】
そのうえ、第1、第2の光源ユニット10A、10Bは、それぞれ第1、第2のパネル端部51,52に組み込まれているが、それらが収容されている第1、第2のパネル凹部53,54は、底部が近づく方向に凹んでいる。そのため、第1、第2の光源ユニット10A、10Bは、共通する浄化作用を有するものの、それぞれの照明光L1、L2の方向がパネル部50を挟んでほぼ正反対に位置することとなる。すると、病室R内において、それぞれによって浄化される範囲が適切にすみ分けされ、重複する部分が生まれにくくなるため、それぞれの浄化作用が無駄なくより効率的に発揮される。さらに、第2のパネル凹部54が病床Bの側を向き、第2の光源ユニット10Bから病床Bに近づく方向に照明光L2が照射されるので、特に病床近くの内気が浄化され続けるようにすることができる。
【0063】
特に、第1、第2の光源ユニット10A、10Bによって、常時、病室Rの内気に触れている状態が得られるが、このことは内気の清浄な状態が保持されるうえで好ましい。その結果、医療用室内照明空気浄化装置100(医療用コンソール200)が病床Bの近くに配置されることと相まって、特に病床近くの内気が浄化され続けるようになる。
【0064】
その一方、照明光L1が病床Bから離れる方向に照射されることから、照明光L1では、病床Bのすぐ近くよりも、病床Bからやや離れたところの内気が浄化されやすい。とりわけ、病室Rには、患者や、医師、看護師等の医療従事者が頻繁に出入りし、そのたびに空気が入れ替わるため、第1の光源ユニット10Aによる内気の浄化作用だけでは、病床Bの近くの内気を浄化し続けることは困難である。
【0065】
そこで、医療用室内照明空気浄化装置100(医療用コンソール200)では、第1の光源ユニット10Aとともに、第2の光源ユニット10Bが設けられている。こうすることで、第1の光源ユニット10Aの浄化作用に加えて、第2の光源ユニット10Bによる浄化作用が発揮されるため、内気をより広範囲にわたって浄化することが可能となる。
【0066】
そして、第1の光源ユニット10A、第2の光源ユニット10Bのカバー管2について、光触媒として、酸化チタンアパタイトが用いられているときは、分解力とともに吸着力が同時並行的に発揮されるので、より効果の高い浄化作用が得られる。加えて、第1、第2の光源ユニット10A、10Bに酸化チタンアパタイトとともに銀微粒子が塗布されていると、よりいっそう高い浄化作用が得られる。
【0067】
第1、第2の光源ユニット10A、10Bは、他の部材に覆われることなく露出した状態で保持されている。そのため、第1、第2の光源ユニット10A、10Bが点灯すると、それによって得られる照明光L1,L2が他の部材によって遮られることなく、病室R内に届く。したがって、第1、第2の光源ユニット10A、10Bの点灯によって得られる光量が低減されるおそれがない。また、第1、第2の光源ユニット10A、10BのCCFL1(1a,1b)は全方位(360度)に可視光を放出し、LED(Light Emitting Diode)のような指向性がないので明かりを確保するのに好ましい。さらに、医療用室内照明空気浄化装置100が設置されている病室R内には、第1、第2の光源ユニット10A、10Bの点灯によって得られる照明光L1,L2が低減されることなく届くため、その室内には十分な明かりが確保される。第1、第2の光源ユニット10A、10Bは、浄化機能に加えて、室内に十分な光量の照明光を届ける照明機能を有している。
【0068】
さらに、第1のパネル凹部53、第2のパネル凹部54それぞれの内側表面が反射面になっているときは、第1、第2の光源ユニット10A、10Bの点灯によって得られる照明光L1,L2が効率よく外向きに放射されるので、より高い浄化作用と、光量の多い明かりが確保される。その結果、病室R内には、照明光がより有効に届き、その分、室内が明るくなる。そのため、医療用室内照明空気浄化装置100がより有効な照明装置として機能する。
【0069】
(医療用室内照明空気浄化装置の変形例1)
医療用室内照明空気浄化装置100は、医療用コンソールパネル40を有し、医療設備に組み付けられて、医療用コンソール200として使用される。これに対し、
図10に示す医療用室内照明空気浄化装置101のように、医療設備が組み付けられることなく、壁面R2に設置して、医療用の室内照明空気浄化装置として使用されるようにすることもできる。
【0070】
医療用室内照明空気浄化装置101は、医療用コンソールパネル40の代わりに
図11に示す医療用コンソールパネル140を有する。医療用コンソールパネル140は、医療用コンソールパネル40と同様のパネル構造を有しているが、医療用コンソールパネル40と比較して、パネル部50の代わりにパネル部150を有する点で相違している。パネル部150は、パネル部50と比較して、開口部60,61,62,64と、ネームカードホルダー63とを有していない点で相違している。医療用コンソールパネル140は、開口部60,61,62,64と、ネームカードホルダー63を有していないので、医療設備が組み付けられることがなく、医療用コンソールとして使用されることはない。
【0071】
しかしながら、医療用コンソールパネル140は、医療用コンソールパネル40と同様に第1、第2の光源ユニット10A,10Bが組み込まれているので、医療用室内照明空気浄化装置100と同様の医療用の室内照明空気浄化装置として使用することができる。
【0072】
医療用室内照明空気浄化装置101は、病室Rはもちろん、待合室や診察室などにも設置することができる。待合室のように、多くの人たちが集まる場所では、集まった人たちの中で感染症が広がるおそれがあるが、医療用室内照明空気浄化装置101が設置されることによって、そういった感染症が広がるおそれが抑制される。
【0073】
したがって、医療用室内照明空気浄化装置101によって、病室Rはもちろん、治療室、手術室、医療機関の待合室や廊下といった医療現場の衛生環境をより良好にすることができる。
【0074】
(医療用室内照明空気浄化装置の変形例2)
次に、
図12~
図14を参照して、変形例2に係る医療用室内照明空気浄化装置102、医療用コンソール202について説明する。
図12~
図14は、変形例2に係る医療用室内照明空気浄化装置102、医療用コンソール202を示した図で、
図12は、第1のパネル端部51の要部を中心に示し、他を省略した正面図、
図13は医療用室内照明空気浄化装置102の要部を示す
図7と同様の断面図、
図14は医療用室内照明空気浄化装置102の要部を示す
図5と同様の斜視図である。
【0075】
医療用室内照明空気浄化装置102と,医療用コンソール202は、前述した医療用室内照明空気浄化装置100,医療用コンソール200と同様に、共通する構成を有するので、以下では、主に医療用室内照明空気浄化装置102の構成について詳しく説明する。
【0076】
図13に示すように、医療用室内照明空気浄化装置102は、医療用室内照明空気浄化装置100と比較して、二つのパネルカバー80(第1のパネルカバー80Aと、第2のパネルカバー80B)を有する点で相違している。
【0077】
第1のパネルカバー80Aと、第2のパネルカバー80Bは共通する構成(形状、寸法、材質)を有している。第1のパネルカバー80Aは、第1のパネル凹部53を閉塞する部材、第2のパネルカバー80Bは、第2のパネル凹部54を閉塞する部材である。第1のパネルカバー80Aは、第1のパネル凹部53の開口部に応じた形状を有する平面視矩形状の板材であり、第1のパネル凹部53に着脱可能に装着されている。第2のパネルカバー80Bは、第2のパネル凹部54の開口部に応じた形状を有する平面視矩形状の板材であり、第2のパネル凹部54に着脱可能に装着されている。
【0078】
医療用室内照明空気浄化装置102(医療用コンソール202)は、第1、第2のパネルカバー80A、80Bを有する点以外は、医療用室内照明空気浄化装置100(医療用コンソール200)と共通する構成を有する。そのため、医療用室内照明空気浄化装置100(医療用コンソール200)と共通する作用効果を奏する。
【0079】
特に、第1、第2のパネルカバー80A、80Bがそれぞれ第1、第2のパネル凹部53、54に装着されていることによって、第1、第2のパネル凹部53、54に塵や埃といった異物が入り込むことを防止できる。また、何らかの部材が第1、第2の光源ユニット10A,10Bに当たる等して、第1、第2の光源ユニット10A,10Bが破損することも防止できる。さらに、第1、第2のパネルカバー80A、80Bが第1、第2のパネル凹部53、54に装着されることによって、第1、第2のパネル凹部53、54も、それらに収容されている第1、第2の光源ユニット10A、10Bも、外部から目立たなくなるので、医療用室内照明空気浄化装置102(医療用コンソール202)の視覚を通じた美観が向上する。
【0080】
なお、図示はしないが、第1、第2のパネルカバー80A、80Bの外表面にカバー管2と同様に、光触媒が塗布されてもよい。こうすると、第1、第2のパネルカバー80A、80Bには、常時、病室Rの内気が触れることになるので、係る光触媒による内気の浄化作用が、第1、第2の光源ユニット10A、10Bの点灯中であれば常時発揮される。この場合の第1、第2のパネルカバー80A、80Bは、CCFL1(1a,1b)を覆い、光触媒が表面に塗布されているので、本発明に係る光触媒部材に相当する。
【0081】
(第2の発明の実施)
続いて、
図15~
図19を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る医療用室内照明空気浄化装置120、医療用コンソール220について説明する。
図15~
図19は、本発明の第2の実施の形態に係る医療用室内照明空気浄化装置120、医療用コンソール220を示した図で、
図15は医療用コンソール220を示す
図1と同様の正面図、
図16は医療用室内照明空気浄化装置120の
図5と同様の斜視図、
図17は医療用室内照明空気浄化装置120の
図6と同様の正面図である。
図18は、医療用室内照明空気浄化装置120の
図7と同様の断面図である。
図19は、
図17の19-19線に沿った要部の断面図である。
【0082】
医療用室内照明空気浄化装置120と医療用コンソール220とは、ともに医療用コンソールパネル40を有し、その医療用コンソールパネル40に第1の光触媒光源部90Aと、第2の光触媒光源部90Bとが設けられたパネル構造を有しており、この点で、双方の構成は共通性を有している。そこで、以下では、主に医療用室内照明空気浄化装置120の構成について詳しく説明する。
【0083】
医療用室内照明空気浄化装置120は、医療用室内照明空気浄化装置100と比較して、第1の光源ユニット10Aと、第2の光源ユニット10Bが医療用コンソールパネル40に組み込まれてなく、その代わりに、第1の光触媒光源部90Aと、第2の光触媒光源部90Bとが医療用コンソールパネル40に設けられている点で相違している。
【0084】
第1の光触媒光源部90Aと、第2の光触媒光源部90Bとは、それぞれ第1のパネル端部51,第2のパネル端部52に設けられている。第1、第2の光触媒光源部90A、90Bは、それぞれCCFL1(1a,1b)と、光触媒パネル85(第1の光触媒パネル85Aと、第2の光触媒パネル85B)とを有している。第1、第2の光触媒光源部90A、90Bにおいて、そのそれぞれのCCFL1(1a,1b)が第1、第2のパネル凹部53,54に収容されている。
【0085】
図16,17,18に示すように、第1のパネル凹部53には、底部53aに固定されて一対のソケット7A、8Aが設けられている。第2のパネル凹部54には、底部54aに固定されて一対のソケット22A、23Aが設けられている。ソケット7A、8AにはCCFL1(1a,1b)の口金部分の電極が差し込まれる。ソケット22A、23Aにも、CCFL1(1a,1b)の口金部分の電極が差し込まれる。
【0086】
光触媒パネル85(第1、第2の光触媒パネル85A、85B)はポリカーボネート等の樹脂からなり、光触媒が外表面全体に塗布されている。第1、第2の光触媒パネル85A、85Bはそれぞれ第1、第2のパネル凹部53,54の開口部に応じた形状、寸法を有する平面視矩形状の平板部と、その幅方向両側の係合凸部85dとを有する部材であって、それぞれ第1、第2のパネル凹部53,54に嵌まり込み、第1、第2のパネル凹部53,54を隙間なく閉塞する。
図19に示すように、第1のパネル凹部53の内側面に係止部53dが形成されている(第2のパネル凹部54の内側面にも同様の係止部が形成されているが、図示は省略されている)。その係止部53dに光触媒パネル85(第1、第2の光触媒パネル85A、85B)の係合凸部85dが係止された状態で、光触媒パネル85(第1、第2の光触媒パネル85A、85B)が第1、第2のパネル端部51,52に装着されている。このとき、第1、第2の光触媒パネル85A、85Bが第1、第2のパネル凹部53,54に隙間なく嵌まり込むので、第1、第2のパネル端部51,52の平板部51a,52aが段差も隙間も無い平坦面になる。
【0087】
そして、第1、第2の光触媒パネル85A、85Bは、それぞれの光触媒が塗布されている外表面(光触媒塗布面)が外側を向くように、第1、第2のパネル凹部53,54の開口部に嵌め込まれる格好で第1、第2のパネル端部51,52に着脱可能な状態で装着されている。なお、第1、第2の光触媒パネル85A、85Bは、CCFL1(1a,1b)を覆い、光触媒が表面に塗布されているので、本発明に係る光触媒部材にも相当する。
【0088】
医療用室内照明空気浄化装置120と医療用コンソール220とは、第1の光源ユニット10Aと、第2の光源ユニット10Bが医療用コンソールパネル40に組み込まれていないが、その代わりに第1、第2の光触媒光源部90A、90Bが設けられている。それらは、それぞれCCFL1(1a,1b)を有しているので、図示しない電源が投入されると、CCFL1(1a,1b)が点灯して、そのCCFL1(1a,1b)から可視光が放出される。その可視光によって、病室Rの明かりが得られる。また、光触媒パネル85(第1、第2の光触媒パネル85A、85B)に光触媒が塗布されているので、その光触媒に可視光が当たったときに、その表面で強力な酸化還元力が生まれ、第1、第2の光触媒パネル85A、85Bに接触してくる有機化合物や細菌、カビ、ウィルス等が水と二酸化炭素に分解される。これにより、医療用室内照明空気浄化装置100、医療用コンソール200と同様に内気の浄化が行われる。
【0089】
ところで、前述した医療用室内照明空気浄化装置100と医療用コンソール200の場合、第1、第2の光源ユニット10A,10Bは、CCFL1(1a,1b)がカバー管2に収容されている直管型構造を有し、その第1、第2の光源ユニット10A,10Bが第1、第2のパネル凹部53,54に収容されていた。
【0090】
そのため、カバー管2の外表面の全体に光触媒LC(
図9参照)が塗布されてはいるものの、カバー管2の中で第1、第2のパネル凹部53,54の底部53a,54aに近い部分は第1、第2のパネル凹部53,54の内壁面が妨げとなってカバー管2の外表面に接触する内気(病室Rの内気)の入れ替わりが起きにくい。そのため、その部分の光触媒にCCFL1(1a,1b)の可視光VL(
図9参照)が当たり、強力な酸化還元力が生まれても、内気の入れ替わりが起きにくいがゆえに、内気の継続的な浄化が起きにくくなるおそれがある。CCFL1(1a,1b)の全方位(360度全体)から可視光VLが発生し、それがカバー管2の外表面の全方位に当たり、光触媒LCに酸化還元力が生まれても、そのうちの一部が内気の浄化に活用されにくくなるおそれがある。
【0091】
これに対し、光触媒パネル85(第1、第2の光触媒パネル85A、85B)の場合は、外表面(光触媒塗布面)が外側を向くように、第1、第2のパネル凹部53,54に嵌め込まれているので、外表面の全体が常時、病室Rの内気と接触する。また、第1、第2のパネル端部51,52が平坦面であるため、内気の入れ替わりも起きやすい。そのため、光触媒パネル85(第1、第2の光触媒パネル85A、85B)に、その全面に渡って下側(裏側)からCCFL1(1a,1b)の可視光VLが当たり、強力な酸化還元力が生まれると、その酸化還元力がフルに生かされて内気が浄化される。よって、光触媒パネル85によって、より良好な浄化作用が得られる。
【0092】
そのため、医療用室内照明空気浄化装置120(医療用コンソール220)は、光触媒パネル85(第1、第2の光触媒パネル85A、85B)を有する第1、第2の光触媒光源部90A、90Bが設けられていることで、医療用室内照明空気浄化装置100(医療用コンソール200)に比べて、より効果の高い内気の浄化作用が得られる。
【0093】
特に、第1のパネル凹部53の内側の表面と、第2のパネル凹部54の内側の表面が反射性を有する樹脂膜等が形成されて、双方の内側表面が反射面とされていると、より好ましい作用効果が得られる。第1、第2のパネル凹部53、54の内側の表面が反射面になっていると、
図21に示すように、CCFL1(1a,1b)から放出される可視光VLが光触媒パネル85(第1、第2の光触媒パネル85A、85B)に直接照射されるだけでなく、係る可視光VLのうちの底部53aに向かう可視光LRが、反射面になった底部53aや内壁面53bにより反射されて光触媒パネル85(第1、第2の光触媒パネル85A、85B)に照射される。すると、直接照射される可視光VLに加えて、可視光LRが光触媒パネル85に照射されることによって、その外表面の光触媒LCによって、よりいっそう効果の高い浄化作用が得られる。
【0094】
その一方、光触媒パネル85(第1、第2の光触媒パネル85A、85B)によって第1、第2のパネル凹部53,54が閉塞されているので、第1、第2のパネル凹部53,54の中に塵や埃といった異物が入り込むことも防止できるし、CCFL1(1a,1b)の破損も防止できる。
【0095】
さらに、光触媒パネル85(第1、第2の光触媒パネル85A、85B)には光触媒に加えて銀微粒子が塗布されていると、よりいっそう高い浄化作用が得られる。
【0096】
(変形例)
そして、
図20に示すように、変形例に係る医療用照明空気浄化装置121と医療用コンソール220とは、前述の医療用室内照明空気浄化装置120と医療用コンソール220と比較して、光触媒パネル85(第1、第2の光触媒パネル85A、85B)の代わりに、光触媒パネル86(第1、第2の光触媒パネル86A、86B)を有する点で相違している(光触媒パネル86Bは図示せず)。
【0097】
光触媒パネル85(第1、第2の光触媒パネル85A、85B)はそれぞれ第1、第2のパネル凹部53,54の開口部に応じた形状、寸法を有する平板部と、その幅方向両側の係合凸部85dとを有する部材であった。これに対し、光触媒パネル86(第1、第2の光触媒パネル86A、86Bであるが、第2の光触媒パネル86Bは図示を省略)は、それぞれ第1、第2のパネル端部51、52の形状、寸法に応じた形状、寸法を有する平面視矩形状の板材である。
【0098】
光触媒パネル86(第1、第2の光触媒パネル86A、86B)は、第1、第2のパネル凹部53,54の開口部よりも大きい大きさを有し、それぞれ第1、第2のパネル端部51,52の外表面に、螺子止め等により固定されて装着されている。また、光触媒パネル86(第1、第2の光触媒パネル86A、86B)は、外表面の全体(少なくとも第1、第2のパネル凹部53,54の開口部に対応した部分が含まれる)に光触媒が塗布されていて、その外表面が外側を向くようにして、第1、第2のパネル端部51,52に装着されている。
【0099】
医療用室内照明空気浄化装置121と医療用コンソール221も、光触媒パネル86(第1、第2の光触媒パネル86A、86B)の第1、第2のパネル凹部53,54の開口部に応じた部分全体に光触媒が塗布されている。そのため、医療用室内照明空気浄化装置120と医療用コンソール220と同様に、光触媒パネル86(第1、第2の光触媒パネル86A、86B)の第1、第2のパネル凹部53,54の開口部に対応した部分の全面に渡って下側(裏側)からCCFL1(1a,1b)の可視光が当たり、それによって光触媒による浄化作用が十分に発揮される。そのため、医療用室内照明空気浄化装置121と医療用コンソール221も医療用室内照明空気浄化装置120と医療用コンソール220と同様の作用効果が得られる。なお、第1、第2の光触媒パネル86A、86Bも、CCFL1(1a,1b)を覆い、光触媒が表面に塗布されているので、本発明に係る光触媒部材に相当する。
【0100】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。又、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組み合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。例えば、医療用室内照明空気浄化装置100が第1、第2の光源ユニット10A,10Bにおいて、CCFL1を二本より多い本数を有してもよい。
【0101】
また、以上の実施形態では、医療用コンソールパネル40、140が横長構造を有していたが、医療用コンソールパネルは、縦長構造を有していてもよい。この場合、縦長構造とは、パネル部において、第1,第2のパネル端部の間隔(縦方向の長さ)のほうが、病床Bの横幅に沿った横幅よりも大きい構造を意味している。
【0102】
さらに、第1、第2のパネル凹部53,54は、図示とは異なり、底部から外側に向かって広がり、開口部が底部よりも大きくなった形状にしてもよい。そうすることで内気が第1、第2のパネル凹部53,54に入り込みやすくなり、内気の浄化が促進される。また、CCFL1の可視光が光触媒パネル85に当たりやすくなり、この場合も、内気の浄化が促進される。医療用室内照明空気浄化装置120,121(医療用コンソール220,221)については、第1、第2のパネル凹部53,54の寸法をCCFL1に応じて小さくしたり、収容するCCFL1の本数を増やしてもよいし、第1、第2のパネル凹部53,54にCCFL1を一本ずつ収容してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明を適用することにより、病室の内気をより広範囲にわたって浄化できて、特に病床近くの内気が浄化され続けるように工夫された医療用室内照明空気浄化装置および医療用コンソールが得られる。本発明は、医療用室内照明空気浄化装置および医療用コンソールの分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0104】
1,1a,1b……CCFL、2…カバー管、10…光源ユニット、10A…第1の光源ユニット、10B…第2の光源ユニット,50,150…パネル部、40,140…医療用コンソールパネル、51…第1のパネル端部、52…第2のパネル端部、53…第1のパネル凹部、54…第2のパネル凹部、80…パネルカバー、80A…第1のパネルカバー、80B…第2のパネルカバー、85,86…光触媒パネル、85A,86A…第1の光触媒パネル、85B,86B…第2の光触媒パネル、90A…第1の光触媒光源部、90B…第2の光触媒光源部、パネルカバー100,101,102,120,121…医療用室内照明空気浄化装置、200,202,220,221…医療用コンソール。