(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078889
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤、該劣化臭抑制剤を含む油中水型乳化食品及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 3/3472 20060101AFI20230531BHJP
A23D 7/005 20060101ALN20230531BHJP
A23L 27/60 20160101ALN20230531BHJP
A21D 2/36 20060101ALN20230531BHJP
A23D 7/00 20060101ALN20230531BHJP
A21D 13/80 20170101ALN20230531BHJP
【FI】
A23L3/3472
A23D7/005
A23L27/60 A
A21D2/36
A23D7/00 500
A21D13/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192203
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 綾子
(72)【発明者】
【氏名】藤本 敏弘
【テーマコード(参考)】
4B021
4B026
4B032
4B047
【Fターム(参考)】
4B021LW07
4B021LW08
4B021LW09
4B021MC08
4B021MK05
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4B047LB09
4B047LG37
4B047LP01
4B047LP03
4B047LP05
(57)【要約】
【課題】添加剤由来の色調の変化がなく、油中水型乳化食品本来の風味を損なうことなく、保存による油中水型乳化食品の劣化臭を抑制することができる天然由来の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤、該劣化臭抑制剤を含む油中水型乳化食品及びそれらの製造方法の提供。
【解決手段】キノコ類の抽出物に含まれる固形分を前記油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中0.05~100重量%含む。前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分は、キノコ類(湿重量)/アルカリ水又は水(重量比)が0.05~10である混合物が、100~150℃で、0.05~0.3MPaの圧力で、0.2~5時間加熱処理された後、抽出残渣が除去された抽出物に含まれる固形分である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤であって、
キノコ類の抽出物に含まれる固形分を前記油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中0.05~100重量%含み、
前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分は、キノコ類(湿重量)/アルカリ水又は水(重量比)が0.05~10である混合物が、100~150℃で、0.05~0.3MPaの圧力で、0.2~5時間加熱処理された後、抽出残渣が除去された抽出物に含まれる固形分である、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤。
【請求項2】
前記キノコ類が、エノキタケ、舞茸、タモギタケ、シメジ、椎茸、エリンギ、及びマッシュルームからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を含有し、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分の含有量が、油中水型乳化食品全体中0.000004~0.025重量%である、油中水型乳化食品。
【請求項4】
請求項3に記載の油中水型乳化食品が用いられた食品。
【請求項5】
キノコ類と、アルカリ水又は水とを、キノコ類(湿重量)/アルカリ水又は水(重量比)が0.05~10となるように混ぜ合わせて混合物を得、該混合物を100~150℃で、0.05~0.3MPaの圧力で、0.2~5時間加熱処理した後、抽出残渣を除去することを特徴とする、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の製造方法。
【請求項6】
キノコ類と、アルカリ水又は水とを、キノコ類(湿重量)/アルカリ水又は水(重量比)が0.05~10となるように混ぜ合わせて混合物を得、該混合物を100~150℃で、0.05~0.3MPaの圧力で、0.2~5時間加熱処理した後、抽出残渣を除去して油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を得、
該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分の含有量が、油中水型乳化食品全体中0.000004~0.025重量%となるように、均質化して乳化する前の油中水型乳化食品の水相及び/又は油相の原料と混合した後、均質化して乳化することを特徴とする、
油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤入り油中水型乳化食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化食品に対して用いられる、劣化臭抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
マーガリンやバター等の油中水型乳化食品を高温下、光曝露下、酸素曝露下等で保存すると、揮発性アルデヒド等に由来する劣化臭が発生し、品質を大幅に低下させてしまう。例えば、マーガリンは、低温で保存していても、長期になると風味が悪くなる。また、バターを練り込んで作製したパンや菓子は、店頭の照明や酸素との接触により、比較的短い時間で劣化臭が発生し、本来のバター風味が低減する。
【0003】
このような劣化臭を抑制する目的で、従来、天然のトコフェロールが使用されているが、保存によってトコフェロール自体が酸化して色が付いたり、食品本来の風味を損なうといった問題がある。また、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアヤレチック酸等の合成酸化防止剤が使用されているが、近年、これら合成酸化防止剤は消費者の安全性に対する意識の高まりにより、使用しないことが望まれている。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1には、曝光下の保存による風味変化を抑制するためにトコフェロール及びルチンやヤマモモなどのポリフェノール系抗酸化剤が添加されたバター由来の油脂を含む可塑性油脂組成物が開示されている。しかしながら、前記可塑性油脂組成物は、トコフェロールとポリフェノール系抗酸化剤を必須成分として含有するために色調が変化し、可塑性油脂組成物本来の風味も損なわれてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、添加剤由来の色調の変化がなく、油中水型乳化食品本来の風味を損なうことなく、保存による油中水型乳化食品の劣化臭を抑制することができる天然由来の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤、該劣化臭抑制剤を含む油中水型乳化食品及びそれらの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定条件で抽出されたキノコ類の抽出物に含まれる固形分を油中水型乳化食品に特定量添加することにより、添加剤由来の色調の変化がなく、油中水型乳化食品本来の風味を損なうことなく、保存による油中水型乳化食品の劣化臭を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の第一は、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤であって、キノコ類の抽出物に含まれる固形分を前記油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中0.05~100重量%含み、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分は、キノコ類(湿重量)/アルカリ水又は水(重量比)が0.05~10である混合物が、100~150℃で、0.05~0.3MPaの圧力で、0.2~5時間加熱処理された後、抽出残渣が除去された抽出物に含まれる固形分である、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤に関する。
【0009】
前記油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤において、前記キノコ類が、エノキタケ、舞茸、タモギタケ、シメジ、椎茸、エリンギ、及びマッシュルームからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0010】
本発明の第二は、前記油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を含有し、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分の含有量が、油中水型乳化食品全体中0.000004~0.025重量%である、油中水型乳化食品に関する。
【0011】
本発明の第三は、前記油中水型乳化食品が用いられた食品に関する。
【0012】
本発明の第四は、キノコ類と、アルカリ水又は水とを、キノコ類(湿重量)/アルカリ水又は水(重量比)が0.05~10となるように混ぜ合わせて混合物を得、該混合物を100~150℃で、0.05~0.3MPaの圧力で、0.2~5時間加熱処理した後、抽出残渣を除去することを特徴とする、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の製造方法に関する。
【0013】
本発明の第五は、キノコ類と、アルカリ水又は水とを、キノコ類(湿重量)/アルカリ水又は水(重量比)が0.05~10となるように混ぜ合わせて混合物を得、該混合物を100~150℃で、0.05~0.3MPaの圧力で、0.2~5時間加熱処理した後、抽出残渣を除去して油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を得、該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分の含有量が、油中水型乳化食品全体中0.000004~0.025重量%となるように、均質化して乳化する前の油中水型乳化食品の水相及び/又は油相の原料と混合した後、均質化して乳化することを特徴とする、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤入り油中水型乳化食品の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に従えば、添加剤由来の色調の変化がなく、油中水型乳化食品本来の風味を損なうことなく、保存による油中水型乳化食品の劣化臭を抑制することができる天然由来の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤、該劣化臭抑制剤を含む油中水型乳化食品及びそれらの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態に係る油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤は、油中水型乳化食品に対して用いられる添加剤である。当該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を油中水型乳化食品に添加することにより、油中水型乳化食品の保存中に経時的に発生する劣化臭を抑制することができる。
【0016】
本実施形態に係る油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤は、キノコ類とアルカリ水又は水を特定の混合比で含む混合物が、特定温度及び特定圧力で、特定時間をかけて加熱処理された後、抽出残渣が除去されたキノコ類の抽出物を含み、それは該劣化臭抑制剤が該キノコ類の抽出物に含まれる固形分を特定量含むことを意味する。
【0017】
前記キノコ類は、食用のキノコであれば特に限定されないが、エノキタケ、舞茸、タモギタケ、シメジ、椎茸、エリンギ、マッシュルームが挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。油中水型乳化食品に対する劣化臭抑制効果、キノコの原材料費、及びキノコ自体の風味の観点から、エノキタケ、舞茸、タモギタケ、シメジがより好ましく、エノキタケ、舞茸、タモギタケが更に好ましく、エノキタケ、舞茸が特に好ましく、エノキタケが最も好ましい。
【0018】
前記エノキタケは、タマバリタケ科のキノコの一種であるFlammulina velutipes種のことをいう。例えば、人工的に栽培した白色かつもやし状の市販エノキタケ、野生種と栽培種の白色エノキタケをかけあわせたブラウン系エノキタケ、野生種等を使用することができる。前記市販エノキタケは、一般に食用とされており、容易に入手可能である。
【0019】
前記舞茸は、サルノコシカケ科マイタケ属に属するキノコの一種であるGrifola frondosa種のことをいう。舞茸の近縁種として、白舞茸も包含する。舞茸としては、子実体、菌糸体いずれも使用することができる。
【0020】
前記タモギタケは、ヒラタケ科のキノコの一種であるPleurotus cornucopiae var. citrinopileatus種のことをいう。天然のものや、人工的に栽培したものを使用することができる。
【0021】
前記シメジは、シメジ属に属するカクミノシメジ(Lyophyllum sykosporum種)、スミゾメシメジ(Lyophyllum semitale種)、シャカシメジ(Lyophyllum fumosum種)、ホンシメジ(Lyophyllum shimeji種)、ハタケシメジ(Lyophyllum decastes種)、オシロイシメジ(Lyophyllum cnnatum種)、及び、シロタモギタケ属に属するブナシメジ(Hypsizigus marmoreus種)のことをいう。天然のものや、人工的に栽培したものを使用することができる。
【0022】
前記椎茸は、ハラタケ目キシメジ科シイタケ属のキノコの一種であるLentinula edodes種のことをいう。天然のものや、人工的に栽培したものを使用することができる。
【0023】
前記エリンギは、ヒラタケ科ヒラタケ属のキノコの一種であるPleurotus eryngii種のことをいう。天然のものや、人工的に栽培したものを使用することができる。
【0024】
前記マッシュルームは、ハラタケ科ハラタケ属に属するキノコの一種である。マッシュルームの品種は特に限定されず、Agaricus bisporus種のホワイト種、オフホワイト種、クリーム種、ブラウン種、Agaricus bitorquis種などが例示され、いずれも好ましく使用することができる。天然のものや、人工的に栽培したものを使用することができる。
【0025】
前記キノコ類の抽出物を得るために使用する抽出溶媒は、アルカリ水又は水が好ましい。油中水型乳化食品に対する劣化臭抑制効果の観点から、アルカリ水がより好ましい。
【0026】
前記アルカリ水は、通常、電解アルカリ水、強アルカリ性水、強アルカリ性イオン水、超アルカリ水などの様々な名称で呼ばれているものをいう。該アルカリ水は、水道水や電解質含有水を電気分解する水電気分解法で製造することができる。また、既に数社より家庭用、工業用として市販されている酸性水製造機の副産物である電解アルカリ水を利用することもできる。
【0027】
前記アルカリ水のpHは、油中水型乳化食品に対する劣化臭抑制効果の観点から、8~14が好ましく、8.8~12がより好ましく、9.2~9.9が更に好ましい。
【0028】
前記アルカリ水又は水は、本発明の効果を損なわない限り、エタノールを含有しても良い。エタノールの含有量は、油中水型乳化食品に対する劣化臭抑制効果の観点から、アルカリ水又は水全体中、49重量%以下であることが好ましく、20重量%以下がより好ましく、5重量%以下が更に好ましく、含まないことが特に好ましい。
【0029】
前記アルカリ水又は水の使用量は、前記キノコ類(湿重量)/前記アルカリ水又は水(重量比)が0.05~10となる量であることが好ましく、0.08~5がより好ましく、0.14~1が更に好ましい。前記重量比が0.05より小さいと、油中水型乳化食品に対する劣化臭抑制効果が十分に得られない場合がある。また、前記重量比が10を超えると、抽出効率が悪くなって前記油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の製造コストが上がる場合がある。ここで、前記キノコ類の重量は湿重量であるが、使用するキノコ類は生キノコ類でもよいし、乾燥したキノコ類でもよい。ただし、乾燥したキノコ類を用いる場合は、該乾燥キノコの重量ではなく、キノコ類が生の状態の時の湿重量を用いて、前記重量比を計算する。
【0030】
前記キノコ類の抽出物を得るには、前記キノコ類と前記アルカリ水又は水の混合物は、特定温度及び特定圧力で、特定時間をかけて加熱処理されることが好ましい。
【0031】
前記加熱処理の温度は、100~150℃であることが好ましく、110~140℃がより好ましく、120~135℃が更に好ましい。加熱処理温度が100℃より低いと、抽出効率が悪くなったり、油中水型乳化食品に対する劣化臭抑制効果が十分に得られない場合がある。また、加熱処理温度が150℃を超えると、特殊な加圧設備が必要となるため、抽出方法が複雑になる場合がある。
【0032】
前記加熱処理の圧力は、0.05~0.3MPaであることが好ましく、0.1~0.3MPaがより好ましく、0.15~0.2MPaが更に好ましい。加熱処理圧力が0.05MPaより低いと、抽出効率が悪くなったり、油中水型乳化食品に対する劣化臭抑制効果が十分に得られない場合がある。また、加熱処理圧力が0.3MPaを超えると、特殊な加圧設備が必要となるため、抽出方法が複雑になる場合がある。なお、前記圧力とは、ゲージ圧を意味し、大気圧をゼロとする相対的な圧力のことである。
【0033】
前記加熱処理の時間は、0.2~5時間であることが好ましく、1~3時間がより好ましく、1.5~2時間が更に好ましい。加熱処理時間が0.2時間より短いと、抽出効率が悪くなったり、油中水型乳化食品に対する劣化臭抑制効果が十分に得られない場合がある。また、加熱処理時間が5時間を超えると、抽出に時間を要するにも関わらず油中水型乳化食品に対する劣化臭抑制効果が頭打ちになってしまい、結果的に抽出効率が悪くなる場合がある。
【0034】
前記加熱処理が終了した後、キノコ類の抽出残渣を除去することで、液状の前記キノコ類の抽出物を得ることができ、そのまま油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いることができる。当該抽出残渣の除去方法としては、特に限定されないが、例えば、ろ過、遠心分離、沈降分離、圧搾などが挙げられる。また、該キノコ類の抽出物は、濃縮した濃縮物又は希釈した希釈物であってもよい。前記希釈の際に用いる溶媒は、アルカリ水又は水であってもよいし、アルカリ水又は水以外の溶媒、即ちエタノールやプロピレングリコール等であってもよい。
【0035】
抽出効率を高める観点から、前記加熱処理を実施する前に、キノコ類を熱水浸漬処理しても良い。具体的には、キノコ類を70~100℃の熱水に常圧で0.2~5時間浸漬してから、前記加熱処理を実施することが好ましい。
【0036】
前記熱水の温度は、抽出効率を高める観点から、85~100℃がより好ましく、95~100℃が更に好ましい。
【0037】
前記浸漬する時間は、抽出効率を高める観点から、0.2~3時間がより好ましく0.5~2時間が更に好ましく、1~2時間が特に好ましい。
【0038】
また、前記油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の形態は前記抽出物を乾燥して得られる固形物であってもよい。前記固形物の形状は特に限定されず、粉末状、顆粒状、ブロック状等の形状であってもよい。前記固形物を得る際に使用できる賦形剤としては、例えば、デキストリン、乳糖、デンプン、白糖等が挙げられる。
【0039】
計量や取り扱いの容易さの観点からは、前記油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤は、液状であることが好ましい。
【0040】
前記油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤は、その形態に関わらず、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分、及び、アルカリ水又は水以外の他の成分を更に含有してもよい。そのような他の成分としては、発明の効果を阻害しない限り特に限定されず、アルカリ水又は水以外の溶媒、酒類、動植物由来の抽出物(前記キノコ類の抽出物を除く)、糖類、油脂類、塩類、調味料、香辛料、香料、着色料、乳化剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0041】
前記油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤は、油中水型乳化食品に添加されることで、油中水型乳化食品の保存中に経時的に発生する劣化臭、具体的には、該食品中の油脂の酸化に起因する油脂の劣化臭を抑制することができる。前記油中水型乳化食品は、本発明の一態様を構成する。
【0042】
前記油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤は、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分を含み、その含有量は、油中水型乳化食品に対する劣化臭抑制効果の観点から、前記油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中、0.05~100重量%であることが好ましく、0.1~60重量%がより好ましく、0.1~40重量%が更に好ましい。
【0043】
前記油中水型乳化食品の具体例としては特に限定されないが、例えば、マーガリン、バタークリーム、バター、フレンチドレッシング、ガナッシュ等が挙げられる。
【0044】
前記油中水型乳化食品において、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分の含有量は、油中水型乳化食品全体中0.000004~0.025重量%であることが好ましく、0.00001~0.02重量%がより好ましく、0.00004~0.01重量%が更に好ましく、0.00008~0.005重量%が特に好ましく、0.0003~0.0048重量%が最も好ましい。前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分の含有量が0.000004重量%より少ないと、油中水型乳化食品に対する劣化臭抑制効果が十分に得られない場合がある。また、0.025重量%より多いと、油中水型乳化食品用に対する劣化臭抑制効果が頭打ちになったり、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の原料であるキノコ類の風味が油中水型乳化食品に付与される場合がある。
【0045】
前記キノコ類の抽出物がエノキタケ抽出物である場合、前記エノキタケ抽出物に含まれる固形分の含有量を、油中水型乳化食品全体中、0.000004~0.025重量%とすることが好ましく、0.00005~0.02重量%がより好ましく、0.0001~0.02重量%が更に好ましく、0.0002~0.005重量%が特に好ましく、0.0003~0.0048重量%が最も好ましい。
【0046】
前記キノコ類の抽出物が舞茸抽出物である場合、前記舞茸抽出物に含まれる固形分の含有量を、油中水型乳化食品全体中、0.00001~0.01重量%とすることが好ましい。
【0047】
前記キノコ類の抽出物がタモギタケ抽出物である場合、前記タモギタケ抽出物に含まれる固形分の含有量を、油中水型乳化食品全体中、0.00001~0.01重量%とすることが好ましい。
【0048】
前記キノコ類の抽出物がシメジ抽出物である場合、前記シメジ抽出物に含まれる固形分の含有量を、油中水型乳化食品全体中、0.00001~0.01重量%とすることが好ましい。
【0049】
前記キノコ類の抽出物が椎茸抽出物である場合、前記椎茸抽出物に含まれる固形分の含有量を、油中水型乳化食品全体中、0.000015~0.004重量%とすることが好ましい。
【0050】
前記キノコ類の抽出物がエリンギ抽出物である場合、前記エリンギ抽出物に含まれる固形分の含有量を、油中水型乳化食品全体中、0.000015~0.01重量%とすることが好ましい。
【0051】
前記キノコ類の抽出物がマッシュルーム抽出物である場合、前記マッシュルーム抽出物に含まれる固形分の含有量を、油中水型乳化食品全体中、0.00002~0.005重量%とすることが好ましい。
【0052】
本発明の一態様は、前記油中水型乳化食品を原料として用いられた食品に関する。当該食品も、本発明の効果を享受することができる。前記油中水型乳化食品を原料として用いられた食品としては、例えば、マーガリンやバターを練り込んだり、バタークリームをトッピングして作製した菓子及びパン、並びにマーガリンやバターを使用して作製したホワイトソース及びデミグラスソースなどの調理ソース等が挙げられる。
【0053】
本発明の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の製造方法を以下に例示する。まず、キノコ類とアルカリ水又は水を、キノコ類(湿重量)/アルカリ水又は水(重量比)が0.05~10となるように混ぜ合わせる。混ぜ合わせた混合物を、好適には100~150℃で、0.2~5時間加熱処理した後、キノコ類の抽出残渣を除去することで、キノコ類の抽出物を得ることができ、そのまま又は濃縮、希釈若しくは固化して、本発明の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として使用できる。キノコ類の抽出残渣を除去する前後には、-40~50℃まで冷却することが好ましい。
【0054】
また抽出効率をより高める観点から、前記加熱処理時の圧力は、0.05~0.3MPaであることが好ましく、0.1~0.3MPaがより好ましく、0.15~0.2MPaが更に好ましい。加熱処理時の圧力が前記範囲を外れると、期待した程の抽出効率の向上効果が得られない場合がある。なお、前記圧力とは、ゲージ圧を意味し、大気圧をゼロとする相対的な圧力のことである。
【0055】
前記油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤入り油中水型乳化食品の製造方法を以下に例示する。まずは前記油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を、前記キノコ類の抽出物に含まれる固形分の含有量が、油中水型乳化食品全体中0.000004~0.025重量%となるように、均質化して乳化する前の油中水型乳化食品の水相及び/又は油相の原料と混合した後、均質化して乳化すればよい。なお、均質化後に前記油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を添加しても構わない。
【0056】
前記油中水型乳化食品を原料として食品に用いる方法としては特に限定されず、常法に従えばよい。例えば、前記食品の製造中又は製造後に、前記油中水型乳化食品を他の食品原料に添加し、混合すればよい。
【実施例0057】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
【0058】
実施例及び比較例で使用した原料は以下の通りである。
1)(株)カネカ製「パームスーパーオレイン」(ヨウ素価:65)
2)(株)カネカ製「パームシングルオレイン」(ヨウ素価:57)
3)(株)カネカ製「菜種油」
4)よつ葉乳業(株)製「よつ葉バター(食塩不使用)」
5)(株)J-オイルミルズ「AJINOMOTO オリーブオイル」
6)(株)Mizkan Holdings製「穀物酢」
7)三井製糖(株)製「スプーン印 上白糖」
8)公益財団法人塩事業センター製「精製塩」
9)三州食品(株)製「殺菌液全卵」
10)三井製糖(株)製「スプーン印 グラニュ糖」
11)日清製粉(株)製「バイオレット」
12)AGC(株)製「重炭酸ナトリウムKF」
13)日産商事(株)製「アイコクベーキングパウダー赤缶」
14)日清製粉(株)製「オーベルジュ」
15)よつ葉乳業(株)製「よつ葉 北海道脱脂粉乳」
16)(株)カネカ製「カネカインスタントドライイーストグリーン(KIDYG)」
【0059】
<油中水型乳化食品及び油中水型乳化食品を使用した食品の評価>
実施例及び比較例で得られた各油中水型乳化食品及び油中水型乳化食品を使用した食品を製造後、所定の条件で保存してから熟練した10人のパネラーが各評価を行い、その評価点の平均値を官能評価とした。その際の評価基準は以下の通りであった。
【0060】
(色調の変化)
油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤が無添加で製造直後の油中水型乳化食品(参考例1~4)又は該油中水型乳化食品を使用した製造直後の食品(参考例5~8)との比較
5点:参考例と同等で、色調の変化が全くない
4点:参考例よりも僅かに劣るが、色調の変化が殆どない
3点:参考例よりも劣り、色調の変化が若干あるが、商品品質上は問題ないレベルである
2点:参考例よりも悪く、色調の変化がある
1点:参考例よりも非常に悪く、色調の変化が明らかにある
【0061】
(油中水型乳化食品又は油中水型乳化食品を使用した食品本来の風味)
油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤が無添加で製造直後の油中水型乳化食品(参考例1~4)又は該油中水型乳化食品を使用した製造直後の食品(参考例5~8)との比較
5点:参考例と同等で、油中水型乳化食品又は油中水型乳化食品を使用した食品本来の風味がしっかりと感じられる
4点:参考例よりも僅かに劣るが、油中水型乳化食品又は油中水型乳化食品を使用した食品本来の風味が感じられる
3点:参考例よりも劣り、油中水型乳化食品又は油中水型乳化食品を使用した食品本来の風味が若干弱く感じられるが、商品品質上は問題ないレベルである
2点:参考例よりも悪く、油中水型乳化食品又は油中水型乳化食品を使用した食品本来の風味があまり感じられない
1点:参考例よりも非常に悪く、油中水型乳化食品又は油中水型乳化食品を使用した食品本来の風味が全く感じられない
【0062】
(劣化臭)
油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤が無添加で製造直後の油中水型乳化食品(参考例1~4)又は該油中水型乳化食品を使用した製造直後の食品(参考例5~8)との比較
5点:参考例と同等で、劣化臭が全く感じられない
4点:参考例よりも僅かに劣るが、劣化臭が感じられない
3点:参考例よりも劣り、劣化臭が僅かに感じられるが、商品品質上は問題ないレベルである
2点:参考例よりも悪く、劣化臭が感じられる
1点:参考例よりも非常に悪く、劣化臭が非常に強く感じられる
【0063】
(総合評価)
色調の変化、油中水型乳化食品又は油中水型乳化食品を使用した食品本来の風味、劣化臭の評価結果を基に、総合評価を行った。その際の評価基準は以下の通りである。
A:色調の変化、油中水型乳化食品又は油中水型乳化食品を使用した食品本来の風味、劣化臭の評価が全て4.0点以上5.0点以下を満たしているもの
B:色調の変化、油中水型乳化食品又は油中水型乳化食品を使用した食品本来の風味、劣化臭の評価が全て3.5点以上5.0点以下であって、且つ3.5点以上4.0点未満が少なくとも一つあるもの
C:色調の変化、油中水型乳化食品又は油中水型乳化食品を使用した食品本来の風味、劣化臭の評価が全て3.0点以上5.0点以下であって、且つ3.0点以上3.5点未満が少なくとも一つあるもの
D:色調の変化、油中水型乳化食品又は油中水型乳化食品を使用した食品本来の風味、劣化臭の評価が全て2.0点以上5.0点以下であって、且つ2.0点以上3.0点未満が少なくとも一つあるもの
E:色調の変化、油中水型乳化食品又は油中水型乳化食品を使用した食品本来の風味、劣化臭の評価において、2.0点未満が少なくとも一つあるもの
【0064】
(製造例1) エステル交換油脂Aの作製
パーム核オレイン(株式会社カネカ製):26重量部、パーム油(株式会社カネカ製)69重量部、パームステアリン(株式会社カネカ製):5重量部を混合し、90℃、真空下で脱水を行った。そこへナトリウムメチラート(日本曹達株式会社製):0.30重量部を加え、90℃、窒素気流下で30分間ランダムエステル交換反応を行い、水を加えて反応停止後、水洗した。次に、活性白土(水澤化学工業株式会社製):3.0重量部を加え、減圧下で攪拌して20分後に全量濾過してエステル交換油脂Aを得た。
【0065】
(製造例2) エステル交換油脂Bの作製
ハイエルシン硬化ナタネ油(株式会社カネカ製):50重量部、ヤシ油(株式会社カネカ製):50重量部を混合し、90℃、真空下で脱水を行った。そこへナトリウムメチラート(日本曹達株式会社製):0.30重量部を加え、90℃、窒素気流下で30分間ランダムエステル交換反応を行い、水を加えて反応停止後、水洗した。次に、活性白土(水澤化学工業株式会社製):3.0重量部を加え、減圧下で攪拌して20分後に全量濾過してエステル交換油脂Bを得た。
【0066】
(製造例3) パームステアリンのエステル交換油脂の作製
パームステアリン(株式会社カネカ製):100重量部を90℃、真空下で脱水を行った。そこへナトリウムメチラート(日本曹達株式会社製):0.20重量部を加え、90℃、窒素気流下で30分間ランダムエステル交換反応を行い、水を加えて反応停止後、水洗した。次に、活性白土(水澤化学工業株式会社製):2.0重量部を加え、減圧下で攪拌して20分後に全量濾過してパームステアリンのエステル交換油を得た。
【0067】
(実施例1) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、市販のエノキタケ(子実体)14重量部を切断して、アルカリ水(飲料水:pH9.9)100重量部を加えたキノコ類(湿重量)/アルカリ水(重量比)が0.14である混合物を、127℃で0.2MPaの圧力をかけて1.7時間保持した後、抽出残渣を濾別して、濾液を75℃でパウチ包装し、その後チラー水槽に入れて5℃まで冷却し、エノキタケ抽出物を得た。該エノキタケ抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエノキタケ抽出物固形分の含有量は1.21重量%であった。
【0068】
【0069】
(実施例2) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、キノコ類/アルカリ水(重量比)0.14を0.05に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエノキタケ抽出物固形分の含有量は0.31重量%であった。
【0070】
(実施例3) 油中水油型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、キノコ類/アルカリ水(重量比)0.14を0.5に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエノキタケ抽出物固形分の含有量は2.56重量%であった。
【0071】
(実施例4) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、キノコ類/アルカリ水(重量比)0.14を9.0に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエノキタケ抽出物固形分の含有量は4.55重量%であった。
【0072】
(実施例5) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出温度:127℃を110℃に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエノキタケ抽出物固形分の含有量は1.03重量%であった。
【0073】
(実施例6) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出温度:127℃を140℃に、抽出圧力:0.2MPaを0.25MPaに、抽出時間:1.7時間を1.5時間に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエノキタケ抽出物固形分の含有量は1.62重量%であった。
【0074】
(実施例7) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出溶媒をアルカリ水から水に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエノキタケ抽出物固形分の含有量は1.19重量%であった。
【0075】
(実施例8) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出溶媒:アルカリ水を20%エタノール(水79重量部と95%エタノール(甘糟化学産業(株)製「95%エタノール」)21重量部を混合し調製したもの)に、抽出温度:127℃を110℃に、抽出圧力:0.2MPaを0.3MPaに変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエノキタケ抽出物固形分の含有量は1.00重量%であった。
【0076】
(実施例9) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出前にエノキタケを100℃の熱水に2時間浸漬処理し、キノコ類/アルカリ水(重量比)0.14を0.5に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエノキタケ抽出物固形分の含有量は0.26重量%であった。
【0077】
(実施例10) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、実施例1と同様にして得られたエノキタケ抽出物70重量部に、プロピレングリコール((株)ADEKA製「食品添加物プロピレングリコール」)30重量部を加え、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエノキタケ抽出物固形分の含有量は0.85重量%であった。
【0078】
(実施例11) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、実施例1と同様にして得られたエノキタケ抽出物70重量部に、95%エタノール(甘糟化学産業(株)製「95%エタノール」)30重量部を加え、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエノキタケ抽出物固形分の含有量は0.85重量%であった。
【0079】
(実施例12) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、実施例1と同様にして得られた抽出物80重量部に、デキストリン(松谷化学工業(株)製「マックス1000」)20重量部を加え、スプレードライにより乾燥させ、粉末状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエノキタケ抽出物固形分の含有量は4.62重量%であった。
【0080】
(実施例13) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、エノキタケを市販の舞茸に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られた舞茸抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中の舞茸抽出物固形分の含有量は1.23重量%であった。
【0081】
(実施例14) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、エノキタケを市販のタモギタケに変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたタモギタケ抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のタモギタケ抽出物固形分の含有量は1.20重量%であった。
【0082】
(実施例15) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、エノキタケを市販の椎茸に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られた椎茸抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中の椎茸抽出物固形分の含有量は1.12重量%であった。
【0083】
(実施例16) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、エノキタケを市販のエリンギに変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエリンギ抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエリンギ抽出物固形分の含有量は1.09重量%であった。
【0084】
(実施例17) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、エノキタケを市販のホワイトマッシュルームに変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたマッシュルーム抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のマッシュルーム抽出物固形分の含有量は1.05重量%であった。
【0085】
(実施例18) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、エノキタケを市販のブナシメジに変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたシメジ抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のシメジ抽出物固形分の含有量は1.00重量%であった。
【0086】
(比較例1) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出温度:127℃を80℃に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエノキタケ抽出物固形分の含有量は0.53重量%であった。
【0087】
(比較例2) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出温度:127℃を100℃に、抽出圧力:0.2MPaを0MPaに変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエノキタケ抽出物固形分の含有量は1.01重量%であった。
【0088】
(比較例3) 油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の作製
表1に従って、抽出時間:1.7時間を0.05時間に変更した以外は、実施例1と同様に抽出を行って、得られたエノキタケ抽出物そのものを、液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤として用いた。該油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤全体中のエノキタケ抽出物固形分の含有量は0.05重量%であった。
【0089】
(実施例19) マーガリンの作製
表2の配合に従い、油相部と水相部を調製した後、前記油相部を70℃に温調したところに、60℃に温調した前記水相部を添加し、プロペラミキサーにて攪拌して混合し乳化液にした。その後、急冷捏和装置にて捏和して、マーガリンを得た。得られたマーガリンを10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表2に示した。
【0090】
【0091】
(実施例20及び21、比較例4) マーガリンの作製
表2の配合に従い、実施例1の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の配合量0.10重量部を、0.01重量部(実施例20)、1.5重量部(実施例21)、又は、添加なし(比較例4)に変更し、水で全体量を調整した以外は、実施例19と同様にして、マーガリンを得た。得られたマーガリンを10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表2に示した。
【0092】
(実施例22~24) マーガリンの作製
表2の配合に従い、実施例1の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を、実施例2の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例22)、実施例3の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例23)、又は、実施例4の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例24)に変更した以外は、実施例19と同様にして、マーガリンを得た。得られたマーガリンを10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表2に示した。
【0093】
(参考例1)
比較例4で得たマーガリンについて、製造直後で保存前に官能評価を行った結果を参考例1として表2に示し、実施例19~24及び比較例4と比較検討した。
【0094】
表2から明らかなように、キノコ類抽出物固形分の含有量がマーガリン全体中0.000004~0.025重量%の範囲にあるマーガリン(実施例19~24)は、いずれも10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。
【0095】
一方、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合しなかったマーガリン(比較例4)は、10℃で220日間保存した後に油中水型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はEであった。
【0096】
また、キノコ類(エノキタケ)/溶媒(アルカリ水)の重量比が0.05~10の範囲にある混合物から得た油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したマーガリン(実施例19~24)は、いずれも10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。
【0097】
(実施例25及び26、比較例5~7) マーガリンの作製
表3に従い、実施例1の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を、実施例5の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例25)、実施例6の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例26)、比較例1の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(比較例5)、比較例2の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(比較例6)、又は、比較例3の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(比較例7)に変更した以外は、実施例19と同様にして、マーガリンを得た。得られたマーガリンを10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表3に示した。
【0098】
【0099】
表3から明らかなように、抽出時の加熱処理条件が100~150℃で、0.05~0.3MPaの圧力で、0.2~5時間の範囲にある油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したマーガリン(実施例19、25及び26)は、いずれも10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。
【0100】
一方、抽出時の加熱温度が80℃と低い油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したマーガリン(比較例5)は、10℃で220日間保存した後に油中水型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はDであった。また、抽出時の圧力が0MPaと低い油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したマーガリン(比較例6)は、10℃で220日間保存した後に油中水型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はDであった。更に、抽出時の時間が0.05時間と短い油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したマーガリン(比較例7)は、10℃で220日間保存した後に油中水型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はDであった。
【0101】
(実施例27及び28) マーガリンの作製
表3に従い、実施例1の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を、実施例7の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例27)、又は、実施例8の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例28)に変更した以外は、実施例19と同様にして、マーガリンを得た。得られたマーガリンを10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表3に示した。
【0102】
表3から明らかなように、抽出時の溶媒としてアルカリ水又は水を使用した油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したマーガリン(実施例19、27及び28)は、いずれも10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。特に、抽出時の溶媒としてエタノールを含まないアルカリ水を使用した油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したマーガリン(実施例19)は、総合評価がAで極めて良好であった。
【0103】
(実施例29~32) マーガリンの作製
表4の配合に従い、実施例1の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を、実施例9の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例29)、実施例10の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例30)、実施例11の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例31)、又は、実施例12の粉末状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例32)に変更した以外は、実施例19と同様にして、マーガリンを得た。得られたマーガリンを10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表4に示した。
【0104】
【0105】
表4から明らかなように、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤に含まれるキノコ類抽出物固形分以外の成分や、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤の性状に関わらず、キノコ類抽出物固形分の含有量がマーガリン全体中0.000004~0.025重量%の範囲にあるマーガリン(実施例19、29~32)は、いずれも10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。
【0106】
(実施例33~38) マーガリンの作製
表5の配合に従い、実施例1の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を、実施例13の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例33)、実施例14の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例34)、実施例15の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例35)、実施例16の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例36)、実施例17の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例37)、又は、実施例18の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤(実施例38)に変更した以外は、実施例19と同様にして、マーガリンを得た。得られたマーガリンを10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表5に示した。
【0107】
【0108】
表5から明らかなように、キノコ類がエノキタケ、舞茸、タモギタケ、シメジ、椎茸、エリンギ、及びマッシュルームからなる群から選ばれる1種から抽出した油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したマーガリン(実施例19、33~38)は、いずれも10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。特に、エノキタケ又は、舞茸から抽出した油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合したマーガリン(実施例19及び33)は、総合評価がAで極めて良好であった。
【0109】
(実施例39)コンパウンドマーガリンの作製
表6の配合に従い、実施例19と同様にして、バター50重量%含有のコンパウンドマーガリン100重量部を得た。得られたコンパウンドマーガリンを10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表6に示した。
【0110】
【0111】
(実施例40) コンパウンドマーガリンの作製
表6の配合に従い、実施例1の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を、実施例9の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤に変更した以外は、実施例39と同様にして、コンパウンドマーガリンを得た。得られたコンパウンドマーガリンを10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表6に示した。
【0112】
(比較例8) コンパウンドマーガリンの作製
表6の配合に従い、実施例1の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合せず、水で全体量を調整した以外は、実施例39と同様にして、コンパウンドマーガリンを得た。得られたコンパウンドマーガリンを10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表6に示した。
【0113】
(参考例2)
比較例8で得たコンパウンドマーガリンについて、製造直後で保存前に官能評価を行った結果を参考例2として表6に示し、実施例39、40及び比較例8と比較検討した。
【0114】
表6から明らかなように、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を添加したコンパウンドマーガリン(実施例39及び40)は、どちらも10℃で220日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。一方、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合しなかったコンパウンドマーガリン(比較例8)は、10℃で220日間保存した後に油中水型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はEであった。
【0115】
(実施例41) フレンチドレッシングの作製
表7の配合に従い、実施例1の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を含む水相部の原料をミキサーボウルに投入し、ホバートミキサー(ホバート・ジャパン(株)製「N-50」)で、均一になるように低速で攪拌して混合した後、オリーブオイルを少量ずつ投入し、最後に中速で攪拌してフレンチドレッシング100重量部を得た。得られたフレンチドレッシングを75℃で2分間加熱殺菌し、25℃で365日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表7に示した。
【0116】
【0117】
(実施例42) フレンチドレッシングの作製
表7の配合に従い、実施例1の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を、実施例9の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤に変更した以外は、実施例41と同様にして、フレンチドレッシングを得た。得られたフレンチドレッシングを75℃で2分間加熱殺菌し、25℃で365日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表7に示した。
【0118】
(比較例9) フレンチドレッシングの作製
表7の配合に従い、実施例1の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を水に変更した以外は、実施例41と同様にして、フレンチドレッシングを得た。得られたフレンチドレッシングを75℃で2分間加熱殺菌し、25℃で365日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表7に示した。
【0119】
(参考例3)
比較例9で得たフレンチドレッシングについて、製造直後で保存前に官能評価を行った結果を参考例3として表7に示し、実施例41、42及び比較例9と比較検討した。
【0120】
表7から明らかなように、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を添加したフレンチドレッシング(実施例41及び42)は、どちらも25℃で365日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。一方、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合しなかったフレンチドレッシング(比較例9)は、25℃で365日間保存した後に油中水型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はEであった。
【0121】
(実施例43) バタークリームの作製
表8の配合に従い、室温に温調したバターに実施例1の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を加えてホバートミキサーを用いて白くなるまで泡立てた。そこに、殺菌全卵とグラニュ糖を55℃に達するまで温めながら泡立てた混合物を、少量ずつ投入しながら混ぜ合わせ、バタークリームを得た。得られたバタークリームを20℃で18日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表8に示した。
【0122】
【0123】
(実施例44) バタークリームの作製
表8の配合に従い、実施例1の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を、実施例9の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤に変更した以外は、実施例43と同様にして、バタークリームを得た。得られたバタークリームを20℃で18日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表8に示した。
【0124】
(比較例10) バタークリームの作製
表8の配合に従い、実施例1の液状の油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を水に変更した以外は、実施例43と同様にして、バタークリームを得た。得られたバタークリームを20℃で18日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭について評価した結果を表8に示した。
【0125】
(参考例4)
比較例10で得たバタークリームについて、製造直後で保存前に官能評価を行った結果を参考例4として表8に示し、実施例43、44及び比較例10と比較検討した。
【0126】
表8から明らかなように、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を添加したバタークリーム(実施例43及び44)は、どちらも20℃で18日間保存した後の色調の変化、油中水型乳化食品本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。一方、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を配合しなかったバタークリーム(比較例10)は、20℃で18日間保存した後に油中水型乳化食品本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はEであった。
【0127】
(実施例45) クッキーの作製
表9の配合に従い、実施例19の油中水型乳化食品(マーガリン)に上白糖を加え、ホバートミキサーを用いて低速で練った後、中速で泡立てた。更に重曹を溶かし入れた殺菌全卵を加え、低速で攪拌し乳化させた後、薄力粉を加え、中速で混ぜ合わせてクッキー生地を作製した。作製したクッキー生地を5℃で2時間冷やし、直径4cm、厚さ5mmに成型した。成型したクッキー生地をオーブン((株)コトブキベーキングマシン製「Camel」)で焼成し、クッキーを得た。得られたクッキーを50℃で30日間保存した後の色調の変化、食品(クッキー)本来の風味、劣化臭について評価した結果を表9に示した。
【0128】
【0129】
(実施例46) クッキーの作製
表9の配合に従い、実施例19の油中水型乳化食品(マーガリン)を、実施例29の油中水型乳化食品(マーガリン)に変更した以外は、実施例45と同様にして、クッキーを得た。得られたクッキーを50℃で30日間保存した後の色調の変化、食品(クッキー)本来の風味、劣化臭について評価した結果を表9に示した。
【0130】
(比較例11) クッキーの作製
表9の配合に従い、実施例19の油中水型乳化食品(マーガリン)を、比較例4の油中水型乳化食品(マーガリン)に変更した以外は、実施例45と同様にして、クッキーを得た。得られたクッキーを50℃で30日間保存した後の色調の変化、食品(クッキー)本来の風味、劣化臭について評価した結果を表9に示した。
【0131】
(参考例5)
比較例11で得たクッキーについて、製造直後で保存前に官能評価を行った結果を参考例5として表9に示し、実施例45、46及び比較例11と比較検討した。
【0132】
表9から明らかなように、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を含有する油中水型乳化食品(マーガリン:実施例19及び29)を使用したクッキー(実施例45及び46)は、どちらも50℃で30日間保存した後の色調の変化、食品(クッキー)本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。一方、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を含有しない油中水型乳化食品(マーガリン:比較例4)を使用したクッキー(比較例11)は、50℃で30日間保存した後に食品(クッキー)本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はDであった。
【0133】
(実施例47) クッキーの作製
表10の配合に従い、実施例19の油中水型乳化食品(マーガリン)を、実施例39の油中水型乳化食品(コンパウンドマーガリン)に変更した以外は、実施例45と同様にして、クッキーを得た。得られたクッキーを50℃で30日間保存した後の色調の変化、食品(クッキー)本来の風味、劣化臭について評価した結果を表10に示した。
【0134】
【0135】
(実施例48) クッキーの作製
表10の配合に従い、実施例39の油中水型乳化食品(コンパウンドマーガリン)を、実施例40の油中水型乳化食品(コンパウンドマーガリン)に変更した以外は、実施例47と同様にして、クッキーを得た。得られたクッキーを50℃で30日間保存した後の色調の変化、食品(クッキー)本来の風味、劣化臭について評価した結果を表10に示した。
【0136】
(比較例12) クッキーの作製
表10の配合に従い、実施例39の油中水型乳化食品(コンパウンドマーガリン)を、比較例8の油中水型乳化食品(コンパウンドマーガリン)に変更した以外は、実施例47と同様にして、クッキーを得た。得られたクッキーを50℃で30日間保存した後の色調の変化、食品(クッキー)本来の風味、劣化臭について評価した結果を表10に示した。
【0137】
(参考例6)
比較例12で得たクッキーについて、製造直後で保存前に官能評価を行った結果を参考例6として表10に示し、実施例47、48及び比較例12と比較検討した。
【0138】
表10から明らかなように、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を含有する油中水型乳化食品(コンパウンドマーガリン:実施例39及び40)を使用したクッキー(実施例47及び48)は、どちらも50℃で30日間保存した後の色調の変化、食品(クッキー)本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。一方、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を含有しない油中水型乳化食品(コンパウンドマーガリン:比較例8)を使用したクッキー(比較例12)は、50℃で30日間保存した後に食品(クッキー)本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はDであった。
【0139】
(実施例49) パウンドケーキの作製
表11の配合に従い、実施例19の油中水型乳化食品(マーガリン)に上白糖を加え、ホバートミキサーを用いて低速で練った後、殺菌全卵を5回に分けて投入し、低速で攪拌し乳化させた後、薄力粉とベーキングパウダーを加え、低速で混ぜ合わせてパウンドケーキ生地を得た。得られたパウンドケーキ生地を型に流し込み、オーブンで焼成し、パウンドケーキを得た。得られたパウンドケーキに20℃で10000Lx、16日間、光を照射した後の色調の変化、食品(パウンドケーキ)本来の風味、劣化臭について評価した結果を表11に示した。
【0140】
【0141】
(実施例50) パウンドケーキの作製
表11の配合に従い、実施例19の油中水型乳化食品(マーガリン)を、実施例29の油中水型乳化食品(マーガリン)に変更した以外は、実施例49と同様にして、パウンドケーキを得た。得られたパウンドケーキに20℃で16日間、光を照射した後の色調の変化、食品(パウンドケーキ)本来の風味、劣化臭について評価した結果を表11に示した。
【0142】
(比較例13) パウンドケーキの作製
表11の配合に従い、実施例19の油中水型乳化食品(マーガリン)を、比較例4の油中水型乳化食品(マーガリン)に変更した以外は、実施例49と同様にして、パウンドケーキを得た。得られたパウンドケーキに20℃で16日間、光を照射した後の色調の変化、食品(パウンドケーキ)本来の風味、劣化臭について評価した結果を表11に示した。
【0143】
(参考例7)
比較例13で得たパウンドケーキについて、製造直後で保存前に官能評価を行った結果を参考例7として表11に示し、実施例49、50及び比較例13と比較検討した。
【0144】
表11から明らかなように、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を含有する油中水型乳化食品(マーガリン:実施例19及び29)を使用したパウンドケーキ(実施例49及び50)は、どちらも光照射下、20℃で16日間保存した後の色調の変化、食品(パウンドケーキ)本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。一方、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を含有しない油中水型乳化食品(マーガリン:比較例4)を使用したパウンドケーキ(比較例13)は、光照射下、20℃で16日間保存した後に食品(パウンドケーキ)本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はDであった。
【0145】
(実施例51) ブリオッシュの作製
表12の配合に従い、準強力粉、上白糖、殺菌全卵、食塩 、脱脂粉乳、ドライイーストをミキサーボウルに投入し、ホバートミキサーを用いて捏ねた後、実施例19の油中水型乳化食品(マーガリン)を少量ずつ加えながらホバートミキサーで更に捏ね合わせ、ブリオッシュ生地を得た。得られたブリオッシュ生地を28℃で1時間発酵させ、ガスを抜いた後、5℃で一晩寝かせた。寝かせた生地を成型し、28℃で更に1時間発酵させた。発酵させたブリオッシュ生地をオーブンで焼成しブリオッシュを得た。得られたブリオッシュを20℃で3日間、光を照射した後の色調の変化、食品(ブリオッシュ)本来の風味、劣化臭について評価した結果を表12に示した。
【0146】
【0147】
(実施例52) ブリオッシュの作製
表12の配合に従い、実施例19の油中水型乳化食品(マーガリン)を、実施例29の油中水型乳化食品(マーガリン)に変更した以外は、実施例51と同様にして、ブリオッシュを得た。得られたブリオッシュを20℃で3日間、光を照射した後の色調の変化、食品(ブリオッシュ)本来の風味、劣化臭について評価した結果を表12に示した。
【0148】
(比較例14) パウンドケーキの作製
表12の配合に従い、実施例19の油中水型乳化食品(マーガリン)を、比較例4の油中水型乳化食品(マーガリン)に変更した以外は、実施例51と同様にして、ブリオッシュを得た。得られたブリオッシュを20℃で3日間、光を照射した後の色調の変化、食品(ブリオッシュ)本来の風味、劣化臭について評価した結果を表12に示した。
【0149】
(参考例8)
比較例14で得たブリオッシュについて、製造直後で保存前に官能評価を行った結果を参考例8として表12に示し、実施例51、52及び比較例14と比較検討した。
【0150】
表12から明らかなように、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を含有する油中水型乳化食品(マーガリン:実施例19及び29)を使用したブリオッシュ(実施例51及び52)は、どちらも光照射下、20℃で3日間保存した後の色調の変化、食品(ブリオッシュ)本来の風味、劣化臭の評価は良好であった。一方、油中水型乳化食品用劣化臭抑制剤を含有しない油中水型乳化食品(マーガリン:比較例4)を使用したブリオッシュ(比較例14)は、光照射下、20℃で3日間保存した後に食品(ブリオッシュ)本来の風味が損なわれ、劣化臭が感じられ、総合評価はDであった。