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  • 特開-有機系廃棄物の炭化方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007890
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】有機系廃棄物の炭化方法
(51)【国際特許分類】
   C10B 53/00 20060101AFI20230112BHJP
   C10J 3/00 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
C10B53/00 A
C10J3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111010
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
4H012
【Fターム(参考)】
4H012HA01
(57)【要約】
【課題】今までにはない新たな代替エネルギーを実現することができる有機系廃棄物の炭化方法を提供しようとするもの。
【解決手段】有機系廃棄物(U)を炭化して炭化物を得るようにしたことを特徴とする。この有機系廃棄物の炭化方法では、有機系廃棄物を炭化して炭化物を得るようにしたので、有機系廃棄物由来の炭化物をエネルギー資源として再利用することが出来る。また、有機系廃棄物を炭化して得られた炭化物を活性炭や石膏ボードなどとして再利用することが出来る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機系廃棄物を炭化して炭化物を得るようにしたことを特徴とする有機系廃棄物の炭化方法。
【請求項2】
前記有機系廃棄物を熱分解して炭化水素ガスを抽出するようにした請求項1記載の有機系廃棄物の炭化方法。
【請求項3】
前記抽出した炭化水素ガスを有機系廃棄物の加熱エネルギーとして利用するようにした請求項2記載の有機系廃棄物の炭化方法。
【請求項4】
前記抽出した炭化水素ガスでエンジンを駆動して発電エネルギーとして利用するようにした請求項2又は3記載の有機系廃棄物の炭化方法。
【請求項5】
前記抽出した炭化水素ガスで蒸気を発生させて発電エネルギーとして利用するようにした請求項2乃至4のいずれかに記載の有機系廃棄物の炭化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有機系廃棄物の炭化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、再生可能エネルギーに関する提言があった(非特許文献1)。
すなわち、再生可能エネルギー(Renewable Energy)とは、石油や石炭、天然ガスといった有限な資源である化石エネルギーとは違い、太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギーのことである。
その大きな特徴は、「枯渇しない」「どこにでも存在する」「CO2を排出しない(増加させない)」の3点である。
日本では、平成21年8月施行の「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用および化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」および「同施行令」において、定義および具体的な種類が規定されている。
法における定義:非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用できると認められるもの(法第2条第3項)
具体的な種類:(1)太陽光、(2)風力、(3)水力、(4)地熱、(5)太陽熱、(6)大気中の熱その他の自然界に存在する熱、(7)バイオマス(動植物に由来する有機物)の7種類(施行令第4条)、というものである。
つまり、石油や石炭、天然ガスといった有限な資源である化石エネルギーではない今までにはない新たな代替エネルギーに対する要望があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】関西電力HP「再生可能エネルギーについて」https://www.kepco.co.jp/siteinfo/faq/new_energy/9098953_10603.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、今までにはない新たな代替エネルギーを実現することができる有機系廃棄物の炭化方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の有機系廃棄物の炭化方法は、有機系廃棄物を炭化して炭化物を得るようにしたことを特徴とする。
この有機系廃棄物の炭化方法では、有機系廃棄物を炭化して炭化物を得るようにしたので、有機系廃棄物由来の炭化物をエネルギー資源として再利用することが出来る。また、有機系廃棄物を炭化して得られた炭化物を活性炭や石膏ボードなどとして再利用することが出来る。
ここで、前記有機系廃棄物として、有機汚泥、消化汚泥、高濃度排水、廃プラスチック類、廃材、食品残渣、レストランの調理場の生ごみ、家庭の台所の残飯、生ごみ、布地、紙類などを例示することが出来る。
生ごみ、食品残渣、残飯などの有機系廃棄物は、腐敗防止などのために真空パックして保管しておくことが望ましい。
【0006】
(2)前記有機系廃棄物を熱分解して炭化水素ガスを抽出するようにしてもよい。
このように、有機系廃棄物を熱分解して炭化水素ガスを抽出(回収)するようにすると、炭化水素ガスをエネルギー資源として再利用することが出来る。
前記炭化水素ガス(可燃性ガス)として、メタンガス、エタンガス、プロパンガスなどを例示することが出来る。
【0007】
(3)前記抽出した炭化水素ガスを有機系廃棄物の加熱エネルギーとして利用するようにしてもよい。
このように、抽出した炭化水素ガスを有機系廃棄物の加熱エネルギーとして利用するようにすると、有機系廃棄物の加熱エネルギー(LNGガス、電気など)の補助としたり、代替したり、更にはその余剰分を他にエネルギー利用することが出来る。
【0008】
(4)前記抽出した炭化水素ガスでエンジンを駆動して発電エネルギーとして利用するようにしてもよい。
このように、抽出した炭化水素ガスでエンジンを駆動して発電エネルギーとして利用(炭化水素ガスでエンジンを回して電気に変換)するようにすると、炭化水素ガスを発電のためのエネルギー資源として再利用することが出来る。
【0009】
(5)前記抽出した炭化水素ガスで蒸気を発生させて発電エネルギーとして利用するようにしてもよい。
このように、抽出した炭化水素ガスで蒸気を発生させて発電エネルギーとして利用する(炭化水素ガスで発電機のタービンを回して電気を発生させる)するようにすると、炭化水素ガスを発電のためのエネルギー資源として再利用することが出来る。
【発明の効果】
【0010】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
有機系廃棄物由来の炭化物をエネルギー資源として再利用することが出来るので、今までにはない新たな代替エネルギーを実現することができる有機系廃棄物の炭化方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の有機系廃棄物の炭化方法の実施形態を説明するシステム・フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
この実施形態の有機系廃棄物の炭化方法は、有機系廃棄物を炭化して炭化物(燃焼熱 394kJ/mol)を得るようにした。前記有機系廃棄物として、廃プラスチックたるウレタンフォームを処理した。
また、前記有機系廃棄物を熱分解して、炭化水素ガス(可燃性ガス)を抽出(回収)するようにした。さらに、前記抽出した炭化水素ガス(メタンガスなど)を、有機系廃棄物の加熱エネルギーとして利用するようにした。
【0013】
図1に示すように、有機系廃棄物の炭化装置は、有機系廃棄物U(ウレタンフォーム)を受け入れるホッパー1を有し、このホッパー1からシリンダー2により、炭化室3(約900℃)へと有機系廃棄物Uを押し込むようにしている。炭化室3は回転駆動して、有機系廃棄物Uが変移しながらむらなく加熱されるようにした。そして、炭化物は、炭化室3の終端(図示右側)からその下方の水槽4へと落下させて冷却させるようにした。
前記炭化室へは、LNGバーナー5(約1,000℃)の燃焼ガスを吹き込むようにした。有機系廃棄物を熱分解して抽出した炭化水素ガスは、LNGガスと合流させてLNGバーナー5に供給するようにした。
【0014】
次に、この実施形態の有機系廃棄物の炭化方法の使用状態を説明する。
この有機系廃棄物の炭化方法では、有機系廃棄物Uを炭化して炭化物を得るようにしたので、有機系廃棄物由来の炭化物(燃焼熱 394kJ/mol)をエネルギー資源として再利用することができ、今までにはない新たな代替エネルギーを実現することが出来た。
【0015】
また、有機系廃棄物Uを熱分解して炭化水素ガス(可燃性ガス)を抽出して同時にLNGと一緒に燃焼するようにしたので、炭化水素ガスをエネルギー資源として再利用することが出来た。
さらに、抽出した炭化水素ガスを有機系廃棄物Uの加熱エネルギーとして利用するようにしたので、有機系廃棄物の加熱エネルギー(LNGガス)の補助とすることが出来た。
【実施例0016】
有機系廃棄物Uたるウレタンフォームの熱分解前の重量1,500 kgに対し、炭化室3において900℃で熱分解すると、約1,400m3の炭化水素ガス(発熱量 約6,000,000kcal)が発生した。
ここで、ウレタンフォームの昇温に必要な熱量は、約800,000kcal (LNGガス)であった。このウレタンフォームの昇温熱量は、ウレタンフォームを熱分解してなる炭化水素ガスの発生熱量(約6,000,000kcal)でまかなえるものであった。
また、ウレタンフォーム1500 kgの焼却により発生するCO量は約1,700m3であるが、焼却ではなく熱分解したのでウレタンフォームからCOガスは発生しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0017】
今までにはない新たな代替エネルギーを実現することができることによって、種々の有機系廃棄物の炭化方法の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0018】
U 有機系廃棄物
図1