(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078902
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】風速加速型風車
(51)【国際特許分類】
F03D 1/04 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
F03D1/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192226
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】521518910
【氏名又は名称】合同会社加速流グリーンパワー研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 龍郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
(72)【発明者】
【氏名】浅井 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 邦光
(72)【発明者】
【氏名】清徳 則雄
(72)【発明者】
【氏名】吉場 康隆
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩司
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA02
3H178AA40
3H178AA56
3H178BB31
3H178CC21
3H178DD30X
(57)【要約】 (修正有)
【課題】風車背面の風速を上げると共に風胴体の出口部分の風速を上げる、その結果、羽根の回転効率を向上せしめると共に、装置の高さの問題、装置の安定性及び風胴体支持の安定性を改良した風速加速型風車を提供する。
【解決手段】風胴体22と風車21とからなり、風胴体22は断面略長方形状でその断面積が風流入口22aから直線的又は曲線的に縮小するように形成されている前方風胴部材22-1と、その縮小した断面積の位置から風流出口22bまでの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成された後方風胴部材22-2と、からなり、前記風車21は両側の空間部を吹き抜ける高速気流及び後方風胴部材22-2で拡散し低速、高圧となった風流を風胴体22外部の高速の風流と摩擦によって高速化させることの二段構えで風速加速を行う風速加速型風車を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風胴体と風車とからなり、風胴体は断面略長方形状でその断面積が風流入口から直線的又は曲線的に縮小した断面積に形成されている前方風胴部材と、その縮小した断面積の位置から風流出口までの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されている断面略長方形状の後方風胴部材と、からなり、前記風車は両側に空間部を形成して断面略長方形状の縮小部に設置されてなることを特徴とする風速加速型風車。
【請求項2】
前記風車と風胴体の長辺部間との間隔を最小とし、風胴体の短辺部と長辺部の比を1~10倍とし、後方風胴部材の出口部分の短辺部と長辺部の比を1~10倍としたことを特徴とする請求項1に記載の風速加速型風車。
【請求項3】
前記後方風胴部材の流出口の口縁に風の分散部を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の風速加速型風車。
【請求項4】
水力の利用が可能であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の風速加速型風車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風速加速型風車に関し、風車背面の風速を上げると共に風胴体の出口部分の風速を上げる、その結果、風車の羽根の回転効率を向上せしめて、発電電力を高めると共に、設置の高さの問題、装置の安定性及び風胴体支持の安定性を改良した風速加速型風車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止が叫ばれて、新しいクリーンエネルギーの開発が急務となっている。該クリーンエネルギーの一つとして注目されているのがCO2を排出しない風力発電システムである。しかしながら、風力発電は、現在開発中であるが、現状では石油代替えエネルギーとしての位置は低い。風力エネルギーを有効に捕捉する手段を開発していかなければならない。
【0003】
従来、風力エネルギーの補足手段は揚力型プロペラ式風車による風力発電が主流となっている。該揚力型プロペラ式風車の場合は長大なブレード(プロペラ翼)を必要とするため、風車自体が大型化するという問題がある。また、そのエネルギー効率は40%前後、すなわち、風力エネルギーの40%前後を捕捉しているのが現状である。ちなみに理論的最高効率は59.3%(ベッツの法則)である。
【0004】
前記の風力発電用風車は、(1)できるだけ回転直径の大きな羽根を備え、(2)できるだけ背の高い風車を、(3)できるだけ風が吹く場所に設置する、という方向で発展してきた。
【0005】
しかし、できるだけ多くの風を捕捉するために回転羽根の直径を大きくすると支柱を高くしなければならず、強風に対しては不安定になり、風が強すぎると破損を恐れて運転を停止しなければならない、という問題があり、建設費にしても数億円と莫大である。
【0006】
時に、人がビルの谷間やアーケード街を通過する時、思いもよらぬ強風に出会うことがある。これは、ビルの壁などに堰き止められた風が空隙を求めて谷間やアーケード街の通過可能地点に集中するためである。これは一種のラバール管効果と考えられる。したがって、ラッパ管を前後に繋ぎ合わせた形のラバール管の中央部、すなわち、最小断面積の近傍に風車を置く風力発電装置が提案されている(特許文献1)。
【0007】
本発明者は、扇風機と風車との間に隔壁を設け、その壁面に穴をあけ、その穴を通して扇風機で風を送り、その穴の直後に風車を置き、風車の回転数を検討した。その結果、驚いたことに、隔壁を設けずに扇風機から直接風車に風を送った場合に比べてはるかに風車の回転数が落ちることが判明した。すなわち、風車の回転には、風車に当たる前面の風だけではなく、風車の周辺から背面へと通過する風の量も重要であることが判明し、二重構造風胴体の外側の風胴体により収束した大量の風力を風車背面へと送ることにより風車の発電効率を高める集風型風車が提案されている(特許文献2)。
【0008】
前記した集風型風車は以下に述べる原理で機能する。風車を通過する空気の速度をV、密度をρ、圧力をPとすれば、単位体積当たりの風の全エネルギーは(1/2)ρV2+P=一定であるから、集風は圧力エネルギーが減り、運動エネルギーを増やす。これは、V、Pの整流化(ランダム化の反対)だからエントロピー(S)の減少である。従って、―TΔS(T:温度)だけ自由エネルギーが増大する。従って、集風型の方がエネルギー効率が高い。しかし、これは、ベルヌーイ流管の定常流を想定した場合である。これに風車を置き、エネルギーを取り出せば、風車の背後のVは減少し、Pは増大する。従って、これを定常流に近づけるためには流管外測の高速流の摩擦によって低速流を高速化する必要がある。換言すれば、高速空気分子によって低速化した風車背後の空気分子を後方へ叩き出すのである(特許文献3)。
【0009】
さらに、風車背後の空気分子を叩き出すには中間風胴体の内部に設置されている風車の側面の両側又は側面の両側と上下面側との両方に風が吹き抜ける隙間を設け高い風速を持った風を流すことが有効である(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008-520900号公報
【特許文献2】特開2011-140887号公報
【特許文献3】特許第6033870号公報
【特許文献4】特許第6110455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記特許文献3、特許文献4が基本的な考えである。その詳細を以下に説明する。
【0012】
人がビルの谷間やアーケード街を通過する時、しばしば思いもよらぬ強風に出会うことがある。これは、ビルの壁等に堰き止められた風が空隙を求めて谷間やアーケード街の通過可能地点に集中するためである。通過空気の密度をρ、風速をVとすれば、単位体積当たりの風のエネルギーは、(1/2)ρV2+P=一定であるから、壁で堰き止められて速度が0になればエネルギーは圧力だけとなり、谷間等の入り口の両側の壁に圧力の高い空気の壁が生じる。これが風胴ダクトとなり、風速が上がるものと考えられる。
【0013】
そこで、
図9(a)及び(b)に示すように、扇風機11(φ=240mm)と風車12(φ150mm)とを約750mmの間隔で配置し、風車12の風の流入口の口縁の外側には、それぞれ鍔状の壁部材13 a及び13bを設け、扇風機11から送風した場合の風車12の回転数を観測した。この壁部材13aの外径は扇風機11の風束よりも大きく、また、壁部材13bの外径は扇風機11の風束以下になるように構成した。また、図示していないが、壁部材を設けない場合についても同様にして回転数を観測した。
【0014】
その結果、壁部材13aを設けた場合(
図9(a))は、壁部材を設けなかった場合よりも風車12の回転数が大幅に落ちた。これは風源が扇風機であるために、基本的には扇風機11の羽根の直径に相当する風束しか得られないので、壁部材の外径を扇風機11の風速より大きくすると、風車12の背面への風流が完全に遮断されるためである。また、壁部材13bを設けた場合(
図9(b)は、壁部材13aを設けた場合よりも風車の回転数が増大した。これは扇風機11の風束以下の外径を有する壁部材13bを設けた場合、風量の一部が風車の背面に流れるため、風車12を通過する風が引っ張られて速度が上がるためであると考えられる。
【0015】
風が風車を通過すると、エネルギーが奪われて風速が下がる。このことは、分子運動論的には温度が下がることである。上記の実験は風車の背面風流の低下エネルギーを外側の風速の大きい、すなわち、動圧・運動エネルギーの大きい空気流との混合・摩擦により補い、風車背面の風流の速度が上がることを示している。その結果、風車の回転数を上げるためには風車を通過する風を風車後方へ強制的に追い出すことが重要であることが分かる。
【0016】
本発明は、前記事情を踏まえて、従来技術の問題点を解決することにあり、風車背面の風速を上げると共に風胴体の出口部分で風速を上げる、その結果、風車の回転効率を向上せしめて、発電電力を高めると共に、装置の高さの問題、設置の安定性及び風胴体支持の安定性を改良した風速加速型風車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成する本発明の風速加速型風車は、風胴体と風車とからなり、風胴体は断面略長方形状でその断面積が風流入口から直線的又は曲線的に縮小した断面積に形成されている前方風胴部材と、その縮小した断面積の位置から風流出口までの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されている断面略長方形状の後方風胴部材と、からなり、前記風車は両側に空間部を形成して断面略長方形状の縮小部に設置されてなることを特徴とする(請求項1)。
【0018】
前記断面略長方形状とは長辺部及び短辺部を有する楕円形状、その他の多角形状なども含む。本発明は風胴体を断面略長方形状にすることにより、風胴体を円形状や正方形状とした場合と比べて風車の脇を流れる風速を風車の上下に逃がすことなく風車の両側の空間部へ供給して風車の背面の速度が低下した気流を効果的に叩き出して風車背面の気流の速度エネルギーを回復させることができる。
【0019】
本発明では、風流入口から風を受けると、該風が前方風胴部材を通って断面略長方形状の縮小部に設置された風車に至り該風車を回転させる。同時に、風車の両側の空間部からの高速気流が吹き抜ける。そして、風車によってエネルギーが奪われた風車背面の速度の低下した気流を、風車の両側の空間部から吹き抜ける高速気流が叩き出して風車背面の気流の速度エネルギーを回復させる。その結果、断面積が風流入口から風車の設置された位置までの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成された前方風胴部材により風が速度を上げて風車に導かれて風車を通過する風の量及び速度が上昇させられて後方風胴部材に供給される。
【0020】
つぎに、前記風車を通過した風は後方風胴部材に供給される。該後方風胴部材は縮小した断面積が風車の設置された位置から風流出口までの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されている。該後方風胴部材に供給された前記風車を通過した風に対し、後方風胴部材の外側を吹き抜ける、より速い、より低圧の気流と接触させて混合・摩擦、吸収により供給された、より低速、より高圧の後方風胴部材内の風を風流出口から引きずり出し、再度、風車を通過する風の量及び速度を上昇させる。すなわち、本発明は二段構えの風速加速により風車背面の風速を上げ、風車の回転効率を向上せしめて、発電効率を高めるものである。 なお、本発明の構成・作用及び効果は風胴体を横長に配置した場合も縦長に配置した場合も変化を生じない。したがって、装置の高さの問題、設置の安定性及び風胴体支持の安定性が改良される。
【0021】
本発明の実施の一形態は、風車と風胴体の長辺部間との間隔を最小とし、風胴体の短辺部と長辺部の比を1~10倍とし、後方風胴部材の出口部分の短辺部と長辺部の比を1~10倍としたことを特徴とする(請求項2)。本発明では、風車の両側の空間部を吹き抜ける高速気流及び後方風胴部材で拡散し低速、高圧となった風流を風胴体外部の高速の風流と摩擦によって高速化させることの二段構えによって、風車によってエネルギーが奪われた風車背面の速度の低下した気流を叩き出して風車背面の気流の速度エネルギーを効果的に回復させることができる。 例えば、後方風胴部材の出口部分で風胴体内外の風流の摩擦を多くするためにはその断面積に対する周長を長くしなければならない。これは正方形及び円形より長方形と
した方がよい(面積に対する周長の増加割合が大きいことによる)。前記比1~10倍において、前記比10倍を超えると面積に対する周長/面積比の増加が大きくならない。また、10倍を超えると装置の大型化を招くという問題も生じるものである。
【0022】
本発明の他の実施の一形態は、後方風胴部材の風流出口の口縁に風の分散部を形成したことを特徴とする(請求項3)。後方風胴部材の風流出口の口縁に風の分散部を構成することにより、風胴体の外側の風が分散され、該風胴体の外側の風と風胴体内からの風との接触面積が増やされ風胴内の風が後方風胴部材の風流出口から強制的に追い出されて風車を通過する風の量及び速度を向上させることができる。なお、分散部の形状は限定されない。分散部により風胴体の外側を流れる風が分散され、該分散された風と後方風胴部材の風流出口から流れ出す風との接触面積を増やすことができ、風の混合を促進して、ひいては流出風の速度を上昇させることができる形状であれば前記に限定されない。
【0023】
本発明の実施の一形態は、水力の利用が可能であることを特徴とする(請求項4)。前記は風力の利用について述べたが本発明の風速加速型風車はそのまま水力の利用が可能であり水速加速型水車として機能させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、風車背面の風速を上げると共に風胴体の出口部分で風速を上げる、その結果、風車の羽根の回転効率を向上せしめて、発電電力を高めると共に、装置の高さの問題、設置の安定性及び風胴体支持の安定性を改良した風速加速型風車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図4】星形分散部(a)、(b)、(c)の例を示す正面図である。
【
図6】切欠き状突起分散部の側面図及び正面図である。
【
図8】星形分散部の大きさを説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に図面に基づいて本発明の実施の一形態を説明する。
【0027】
図1は本発明の風速加速型風車の斜視図、
図2は風胴体の風車設置位置の端面図である。図中、21は風車、22dは縮小部、22は風胴体であり、22-1は前方風胴部材、22-2は後方風胴部材、22aは風流入口、22bは風流出口、Sは風車21の両側に形成された空間部である。
【0028】
本発明では、前記風胴体22、すなわち、前方風胴部材22-1及び後方風胴部材22-2がそれぞれ断面略長方形状に形成される。なお、この断面略長方形状には長辺部及び短辺部を有する楕円形、その他の多角形などを含む。図中、23は長辺部、24は短辺部、また、26は後方風胴部材22-2の出口部分の長辺部、27は後方風胴部材22-1の出口部分の短辺部である。
【0029】
さらに、前記前方風胴部材22-1は断面積が風流入口22aから直線的又は曲線的に縮小した断面積に形成され、前記後方風胴部材22-2は前記前方風胴部材22-1の縮小した断面積の位置から風流出口22bまでの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成される。そして、風車21は両側に空間部Sを形成して断面略長方形状の縮小部22dに設置される。 そして、風車21と風胴体22の長辺部23との間隔を最小とし、風胴体22の短辺部24と長辺部23の比を1~10倍とされる。さらに、後方風胴部材22-2の出口部分の短辺部27と長辺部26の比を1~10倍とされる。
【0030】
図3は前記後方風胴部材22-2の風流出口22bの口縁に風胴体22の外側の風を分散する分散部25を形成した実施例である。同図では、分散部として後に述べる切り欠き状突起分散部が形成されている。
【0031】
分散部の例としては、
図4( a )(b)(c)に示す星形分散部、
図5に示す鍔状分散部、
図6に示す切り欠き状突起分散部、
図7に示す歯車形分散部などが考えられるがこれらの形状に限定されない。
【0032】
図4の星形分散部の一例としては、同図(a)(b)(c)に示すように6角形、8連形、16連形などがある。なお、
図8に示すように星形分散部の最外部を結ぶ外周円Dが描く円の面積が風胴体22の風流出口22bの外径dが描く円の面積の2倍以上であることが好ましい。
【0033】
また、分散部25による圧力損失を外側風胴体への風の流入を妨げないような抵抗とするためには分散部25の面積を風が通過する部分の面積よりも小さくすることが好ましい。
図8において、外側の点線で描かれる円は星形分散部の頂点を繋ぐ仮想円径であり、内側の実線で示された円は風胴体22の風流出口22bの外径である。仮想円径D及び風流出口外径dで挟まれた円径帯状空間において星形分散部の面積はそれ以外の部分の面積の半分未満程度であることが好ましい。
【0034】
また、
図7に示すように歯車形も可能である。これ以外にも波形や鍔形も使用可能でこれらに限定されない。多孔板形も適用可能であるが圧力損失を大きくしないような設計が必要である。
【0035】
図5の鍔状分散部の場合は、同図に示すように、鍔の高さは鍔の外径Dと風流出口22bの内径d差の半分は内径dの1/10~1/5であることが好ましい。
【0036】
図6の切り欠き状突起分散部の場合は、切り欠きは連続に限らず、間隔を開いてもよいが切り欠き部での圧力損失の観点から切り欠き部の総面積が切り欠きのある周囲部の面積の半分を超える程度が好ましい。
【0037】
前記の各構成において風流入口22aから風を受けると、該風は前方風胴部材22-1から縮小部22dの風車21に供給される。同時に風車21の両側に形成された空間部Sを高速気流が吹き抜ける。 そして、風車21の両側の空間部Sを吹き抜ける高速気流によって、風車21によってエネルギーを奪われた風車21の背面の速度が低下した気流を後方風胴部材22-2に叩き出して風車21背面の気流の速度エネルギーの回復を図る。
【0038】
つぎに、後方風胴部材22-2に供給された気流を後方風胴部材22-2の外側を吹き抜ける、より速い、より低圧の気流と接触させて、混合・摩擦・吸収により、より低速、より高圧の後方風胴部材内の風を風流出口から引きずり出して再度、風車21を通過する風の量及び速度を上昇させる。すなわち、本発明は、二段構えの風速加速により風車21背面の風速を上げ、風車21の回転効率を向上せしめて、発電効率を高めるものである。
【産業上の利用分野】
【0039】
本発明は風胴体と風車からなり、風車背面の風速を上げると共に風胴体の出口部分で風速を上げる、その結果、風車の羽根の回転効率を向上せしめて、発電電力を高めると共に、装置高さの問題、設置の安定性及び風胴体支持の安定性を改良したことにより、高い風力エネルギーを必要とする技術分野、例えば風力発電等の分野で利用可能性が大である。
【符号の説明】
【0040】
21 風車21d 縮小部22 風胴体22-1 前方風胴部材22-2 後方風胴部材22a 風流入口22b 風流出口23、26 長辺部24、27 短辺部25 分散部