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  • 特開-洗濯機で洗える官帽 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007897
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】洗濯機で洗える官帽
(51)【国際特許分類】
   A42B 1/00 20210101AFI20230112BHJP
   A42B 1/02 20060101ALI20230112BHJP
   A42B 1/019 20210101ALI20230112BHJP
   A42B 1/008 20210101ALI20230112BHJP
【FI】
A42B1/00 R
A42B1/02 A
A42B1/019 G
A42B1/019 Z
A42B1/008 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111024
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】592197821
【氏名又は名称】公益財団法人日本ユニフォームセンター
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】谷山 洪栄
(57)【要約】
【課題】洗濯機により洗濯でき、洗濯しても直ぐに乾いて洗濯機による洗濯回数が増えても型崩れしにくい官帽を提供する。
【解決手段】
本発明官帽1は、通気性が高く洗濯に対する耐久性が高い天布2により形成された帽蓋部4と、通気性が高い側布3により形成されて前記帽蓋部4の下部側と繋がる環状の腰部5と、複数の通気孔6aが設けられ前記腰部5の内周面に固定される腰枠6と、複数の通気孔7aが設けられ前記腰枠6の内側面に固定されるすべり部材7と、洗濯時に洗濯槽に傷を付けにくい柔軟性を有する弾性材により形成され前記腰部5の前方部と繋がるひさし8と、前記帽蓋部4を所定形状に維持できる弾性と剛性を有する合成樹脂により形成された張り出し芯9と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性が高く洗濯機による洗濯に対する耐久性が高い天布により形成された帽蓋部と、
通気性が高く洗濯機による洗濯に対する耐久性が高い側布により形成され、前記帽蓋部の下部側と繋がる環状の腰部と、
通気性が高く洗濯機による洗濯に対する耐久性が高い素材で形成され、複数の通気口を設けて前記腰部の内周面に固定される腰枠と、
通気性が高く洗濯機による洗濯に対する耐久性が高い素材で形成され、複数の通気孔を設けて前記腰枠の内側面に固定されるすべり部材と、
洗濯機の洗濯槽に傷を付けない程度の柔軟性を有する弾性材により形成され、前記腰部の前方側と繋がるひさしと、
前記ひさしと同じ程度の柔軟性を有する弾性材により形成され、耳釦をもって前記腰部の左右側面に取り付けられるあご紐と、
前記帽蓋部を所定の形状に維持できる程度の弾性と剛性を有する合成樹脂により形成された張り出し芯と、
を備えて形成した洗濯機で洗濯できる官帽。
【請求項2】
前記帽蓋部の天布は、ナイロンメッシュで形成され、
前記側布は、ポリエステル繊維により形成された蛇腹状の編地で形成され、
前記すべり部材は、ポリエステルメッシュで形成され、
前記腰枠、前記ひさし、前記張り出し芯、及びあご紐は、発泡ポリエチレンが主体の材料で形成されている、
請求項1に記載の洗濯機で洗濯できる官帽。
【請求項3】
帯とこの帯に取り付けられた職線とを備えて前記腰部に取り付けられる帯章であって、前記帯と職線が、通気性が高く洗濯機による洗濯に対する耐久性が高いポリエステル編地を含む編地で形成されている帯章を備える請求項1又は2に記載の洗濯機で洗濯できる官帽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、官帽に関し、さらに詳細には、洗濯機で洗える官帽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、少なくとも帽蓋部と一体をなす腰部とからなる帽子本体を有し、腰部に帽章や階級線が設けられた帯章が取り付けられた帽子が、官帽として着用されている。
官帽は、着用者の利便性を向上させるために様々な工夫がされており、例えば、特許文献1には、腰部に取り付けられる腰枠が穴あき板からなり、その腰枠の内側面に取り付けられた汗止め(以下「すべり部材」という。)に多数の透孔が設けられた官帽が提案されている。特許文献1の官帽は、夏季の着帽時における暑さの緩和を図ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3139125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、官帽は、帽子本体にウールやウール混紡の厚い布が用いられることが多く、仮にメッシュ素材が用いられるとしても、帽章や水洗いすると錆が生じる素材、階級線が設けられた帯章が取り付けられているので、そもそも洗濯には不向き乃至洗濯しないものと考えられており、仮令、洗濯しても乾きにくいため、なかなか洗濯することができなかった。それは手洗いで洗濯しても型崩れするおそれがあったからである。
上記のような現状に対し、洗濯しても直ぐに乾き、洗濯機で洗濯することもでき、しかも洗濯回数が増えても型崩れしない官帽の出現が待たれている。
【0005】
従って本発明が解決しようとする課題は、洗濯しても直ぐに乾き、洗濯機で複数回洗濯しても型崩れしにくい官帽を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明の官帽の構成は、通気性が高く洗濯機による洗濯に対する耐久性が高い天布により形成された帽蓋部と、通気性が高く洗濯機による洗濯に対する耐久性が高い側布により形成され、前記帽蓋部の下側と繋がる環状の腰部と、複数の通気孔が設けられ、前記腰部の内周面に固定される腰枠と、複数の通気孔が設けられ、前記腰枠の内側面に固定されるすべり部材と、洗濯機による洗濯時に洗濯槽に傷を付けるのを抑えることができる程度の柔軟性を有する弾性材により形成され、前記腰部の外周面と繋がるひさしと、前記帽蓋部を所定の形状に維持できる程度の剛性を有する合成樹脂により形成された張り出し芯と、を備えて形成したことを特徴とする。
【0007】
前記帽蓋部は、ナイロンメッシュを前記天布として形成し、前記腰部は、ナイロンメッシュを前記側布として形成し、前記すべり部材は、ソフトで厚みがあるポリエステルメッシュで形成し、前記腰枠、ひさし及び前記張り出し芯は、発泡ポリエチレンで形成したものであることが好ましい。
【0008】
本発明官帽は、洗濯時に洗濯槽に接触したとき傷を付けない程度の柔軟性を有する弾性材により形成されて前記腰部に耳釦で取り付けられるあご紐を有することが好ましい。
【0009】
また本発明官帽では、帯とその帯に取り付けられた職線とを備えて前記腰部に取付けられる帯章において、前記帯と職線とが、通気性が高く、洗濯機による洗濯に対する耐久性が高い素材で形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明官帽は、帽子を構成する各部が、通気性や、洗濯機による洗濯に対する耐久性を有する素材で形成されていることにより、洗濯機によって洗濯することができ、洗濯してもすぐに乾き、洗濯回数が増えても型崩れせず官帽の風合いも殆んど損なわれない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る官帽の斜視図で(a)は分解図、(b)は完成図。
図2図1の官帽の一部切欠き側面図。
図3】(a)は官帽の洗濯前の状態を示す写真、(b)は官帽の30回洗濯後の状態を示す写真。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る官帽1の一実施形態について、図1図3を参照しながら説明する。
なお、図1及び図2は、本発明官帽を理解するため、構造、形態を強調して表現している。
【0013】
[官帽1]
本発明官帽1は、図1及び図2に示すように、帽蓋部4と、帽蓋部4の下部側と繋がる環状の腰部5と、腰部5の内周面に固定される腰枠6と、腰枠6の内側面に設けたすべり部材7と、腰部5の前方部に繋がるひさし8と、帽蓋部4の形を整えるための張り出し芯9と、帯章11を巻付けた腰部5に耳釦10により取り付けたあご紐12と、を有する。
【0014】
[帽蓋部4]
帽蓋部4は、図1(a)に示すように、逆向きの略浅い袋状に形成されており、前方(正面)に図示しない帽章を取り付けるための取付孔4aを有する。なお本明細書において、取付孔4aの在る側を官帽の前方(正面)、取付孔4aと反対側を後方(背面)、平面内で前方と後方を結ぶ線に直交する方向を左右側面とする。
帽蓋部4は、通気性が高く洗濯機による洗濯に対する耐久性が高い天布2により形成されている。天布2には、本実施形態では、ナイロンメッシュを用いた。本発明のナイロンメッシュの天布2では、天布に用いることがあるポリエステルメッシュやウールに比べて洗濯に対する耐久性が高く、複数回の洗濯機による洗濯を経ても官帽としての風合いを保持できることを確認した。
【0015】
[腰部5]
腰部5は、図1(a)に示すように、環状に形成され、左右側に、後述する腰枠6の2つの取付孔6bと対応する2つの固定孔5bを有する。
腰部5は、通気性が高い側布3により形成されている。
側布3は、本実施形態では、ポリエステル繊維により形成された蛇腹状の編地を使用し、複数回の洗濯機による洗濯を経ても官帽としての風合いを保持することが確認できた。
【0016】
[腰枠6]
腰枠6は、腰部5を所定の環状に維持できる程度の弾性と剛性を有する合成樹脂で形成された板を環状に曲げて形成されている。本実施形態では、発泡ポリエチレンで形成された板が用いられる。
【0017】
腰枠6は、図1(a)及び図2に示すように、全周に亙る多数の通気孔6aと、左右側の2つの取付孔6bとが、腰枠6の内外面を貫通して形成されている。
通気孔6aの形状は、図2に示すように、円形又は略円形である。この形状により、通気孔6aがひし形の場合に比べ、洗濯機による洗濯に対する耐久性が高いことを確認した。取付孔6bは、図1(a)に示すように、腰部5の左右側の固定孔5bに対応する位置に形成されている。
以上のように構成される腰枠6は、腰枠6の帽蓋部4の帽章の取付孔4aと対応する位置に前立てを挟んだ状態で、腰部5の内周面に高周波溶着されている。
【0018】
[すべり部材7]
すべり部材7は、図2に示すように、腰枠6の内側面に設けられる帯状部材であり、環状に形成されている。すべり部材7は、本実施形態では、ソフトで厚みがあるポリエステルメッシュにより形成されたものである。これにより、通気性に優れ、水捌けの良好なすべり部材7になる。
因みに、すべり部材7に、綿繊維とポリエステル繊維の混紡糸の織物生地を用いた場合には、被り心地が悪く、ポリウレタン合皮を用いた場合には、洗濯により劣化しやすい。また表面がポリエステル繊維の織物生地、裏面がナイロン繊維の織物生地、芯地がポリウレタン繊維の織物生地からなり、これらの表面、裏面、芯地を構成する繊維に活性炭を含ませたすべり部材は、洗濯機による洗濯で部分的に破損するおそれがある。しかしポリエステルメッシュを用いた本発明のすべり部材7ではこのような問題は生じない。
【0019】
環状のすべり部材7には、全周において内周面と外周面を貫通する適宜形状の多数の通気口7aが形成されている。
以上のように構成されるすべり部材7は、腰枠6の内周面に縫い付けされている。
【0020】
[ひさし8]
ひさし8は、剛性が高いと洗濯機で洗濯したとき洗濯槽に傷を付けるおそれがあるので、傷つけのおそれがない柔軟性を有する弾性材により形成されている。本実施形態では、発泡ポリエチレンで形成された板が用いられ、その板の上にビニールレザーシートが貼られひさし8に形成されている。ビニールレザーシートは、艶のないものが好ましい。艶無しであると艶のあるものに比べ、ひさし8に傷が付いても、傷が目立ちにくい。
【0021】
[張り出し芯9]
張り出し芯9は、帽蓋部4の頂部を所定の外形に整えるための整形枠であり、環状に形成され、図1に示すように、帽蓋部4の頂部側の内部周縁に配設されている。
張り出し芯9は、帽蓋部4を所定の形状に維持できる程度の弾性と剛性を有する合成樹脂材で環状に形成されたものである。因みに、スポンジパッキン状、蛇腹パッキン状の張り出し芯は、内部に水分や湿気が留まり細菌発生の原因となるおそれがあり、メガネ型パッキン状の張り出し芯のように内部に鉄などの金属製芯材を備えたものを使用すると、洗濯などで内部の金属製芯材が水分や湿気で錆びるおそれがあるが、本発明の張り出し芯9では水分や湿気が留まらず、錆びは生じない。張り出し芯9は、本実施形態では、発泡ポリエチレンで形成されている。この張り出し芯9は、図2に示すように、断面形状が略半円形状の棒材が用いられる。
【0022】
[耳釦10]
耳釦10は、座金にドーム型の被覆板をカシメつけて形成された被せ釦であり、被覆板の表面が、高級感を得られるように、梨地処理されている。座金と被覆板は、共に真鍮等の圧延素材で作られることが多いが、本実施形態では、真鍮で作られている。耳釦10は、座金と一体の、図1(a)に示すような割り足10aを備えている。
割り足10aは、腰部5の固定孔5b、腰枠6の2つの取付孔6b、及び後述する帯章11の取付孔11cに挿通される。
以上のように構成される耳釦10は、生産性に優れ、堅牢性も高い。因みに扁平型の板に割り足を直付けした耳釦では割り足部分が経年劣化するおそれがあり、ドーム型の板に割り足を直付けしている耳釦では、生産ロットが大きくなりがちのため小口対応ができない難点がある。
耳釦10は、その割り足10aを、帯章11の外側から帯章11の取付孔11c、腰部5の固定孔5b、腰枠6の取付孔6bの順に挿通させて内部で先端側を曲げて止める。
【0023】
[帯章11]
帯章11は、図2に示すように、腰部5の外周面に取り付けられるものであり、帯11aと、帯11aに取り付けられた職線11bと、を有する。
【0024】
帯11aは、ポリエステル繊維により形成された蛇腹状の編地で環状に形成されている。この素材を用いることにより、洗濯機による洗濯に対する耐久性を高くすることができる。また、ポリエステル、レーヨンを材料とするグロクランリボンを用いた帯11aに比べ通気性を高くできる。
本発明では、帯章11の帯11aがポリエステル繊維により形成された蛇腹状の編地で形成されていることにより、ポリエステル繊維により帯11aや職線11bを一枚のテープ状にジャガード織されたものを用いる場合に比べ、生産ロットが大きくなり小口対応ができないということはない。
なお、帯11aは、上述した編地の裏面に芯地を縫い付けている。芯地があると洗濯機による洗濯に対する耐久性を高くすることができる。
【0025】
職線11bは、図1(a)及び(b)に示すように、階級若しくは職制を表示するための表示線が円周方向に連続して設けられている。
職線11bは、アルミ線にポリエステルフィルムを蒸着した繊維の縞織物により形成されている。
なお、真鍮や銅を含む縞織物の織線では、錆や変色が発生するおそれがあるが、本発明では職線11bにアルミ線にポリエステルフィルムを蒸着した繊維を用いることにより、それらの問題が生じない。
【0026】
以上のように構成される帯章11は、図1(a)に示すように、あご紐12の両端を装着するための取付孔11cを有している。帯章11は、取付孔11cが固定孔5bと重なるように腰部5に配置し、耳釦10の割り足10aを挿入することにより、取り外し可能に腰部5に取り付けられる。
【0027】
[あご紐12]
あご紐12は、板状の柔軟性を有する弾性材により形成されている。
本実施形態では、発泡ポリエチレンで形成された帯状の板が用いられ、その板の上にビニールレザーシートが貼られている。因みに、あご紐が紙で形成された板にビニールレザーシートが貼られたものでは、水洗いできない。本発明では発泡ポリエチレンで形成された板を用いていることにより、あご紐12を付けたままの官帽1を水洗いすることができ、洗濯機による洗濯に対する耐久性を高くすることができる。
なおビニールレザーシートは、艶のないものが好ましい。これによりビニールレザーシートが貼られていない発泡ポリエチレンのみで形成されたものに比べて、あご紐12に傷がついたとしても、その傷を目立ち難くできる。
以上のように構成されるあご紐12は、両端が一対の耳釦10で腰部5に取り付けられている。
【0028】
<物性試験>
以上のように構成される本発明官帽1について、洗濯耐性試験を行った。
【0029】
(洗濯耐性試験)
洗濯耐性試験の目的は、洗濯を繰り返しても容易に型崩れしないことを示すことである。
洗濯耐性試験は、JIS-L-1930C4H吊干に従って行った。
【0030】
図3(a)は本発明官帽1の洗濯前の状態を示す写真であり、図3(b)は官帽1の30回洗濯後の状態を示す写真である。図3(a)及び(b)の写真に示すように、本発明官帽1は洗濯機により多数回洗濯しても型崩れせず官帽の風合いが保持されていることが分かる。
【0031】
[本発明官帽1が奏する効果について]
次に、本発明官帽1が奏する効果について説明する。
本実施形態の官帽1は、通気性が高く洗濯機による洗濯に対する耐久性が高い天布2により形成された帽蓋部4と、通気性が高い側布3により形成され、帽蓋部4の下側と繋がる環状の腰部5と、複数の通気孔6aが設けられ、腰部5の内周面に固定される腰枠6と、複数の通気孔7aが設けられ、腰枠6の内側面に固定されるすべり部材7と、洗濯時に洗濯槽に傷を付けるのを抑えることができる程度の柔軟性を有する弾性材により形成され、腰部の外周面と繋がるひさし8と、帽蓋部4を所定の形状に維持できる程度の剛性を有する合成樹脂により形成された張り出し芯9と、を有する。
具体的には、帽蓋部4は、ナイロンメッシュを天布2として形成し、腰部5は、ポリエステル繊維により形成された蛇腹状の編地を側布3として形成し、すべり部材7は、ポリエステルメッシュで形成し、腰枠6、ひさし8及び張り出し芯9は、発泡ポリエチレンで形成している。
上述のような構成を有する本発明官帽1は、水に濡れても早く乾き、洗濯機で多数回洗濯しても型崩れしにくく、官帽としての風合いが損なわれにくいという効果がある。
【0032】
本実施形態の官帽1は、あご紐12が洗濯時に洗濯槽と接触したときに傷が付くのを抑えることができる程度の柔軟性を有する弾性材により形成されている。あご紐12が上記柔軟性を有する弾性材で形成されていることにより、あご紐12を取り付けた状態で洗濯機で洗濯することができ、洗濯機で多数回洗濯してもあご紐12の質感の低下はみられない。
【0033】
また、本実施形態の官帽1では、腰部に取り付けられる帯章11の帯11aと職線11bが、洗濯機による洗濯に対する耐久性が高い素材で形成されているから、帯章11を取り付けた状態で洗濯機で洗濯することができ、洗濯しても直ぐに乾き、変形もない。
【0034】
上述のように本発明官帽の好適な実施形態の例を説明したが、本発明はこれ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることができる。
例えば、上述の実施形態例では、帽蓋部4の天布2と側布3がナイロンメッシュであるが、本発明はこれに限定されない。天布2と側布3は、ウール(羊毛)繊維とポリエステル繊維の混紡糸で形成されたものでもよい。ウール繊維とポリエステル繊維の混紡糸を用いることにより、ウール生地のみのように、洗濯によりフェルト化するのを防ぐことができる。
なお上記混紡糸でのウールの混紡率が低すぎると、本来ウール繊維が備えている高級感や、皺が回復しやすい、余分な湿気を逃す、などの利点を活かすことができない。この観点から、上記混紡糸でのウールの含有量は、25%以上、好ましくは30%以上である。一方、本発明の官帽の洗濯機による洗濯に対する耐久性や濡れたときなどの湿気の影響の受けにくさに鑑みると、上記混紡糸でのウールの含有量は、好ましくは70%以下、さらにより好ましくは50%以下である。
【0035】
次に、取付孔4aにはネジ式帽章を取り付けるためのはと目を被着する。また、天布2と側布3が、ウール繊維とポリエステル繊維の混紡糸で形成されていている場合は、帽蓋部4又は腰部5の適宜部位に通気性を向上させるための穴を明け、その穴に、はと目を被着してもよい。
はと目は、アルミニウム製であると変形しやすく洗濯機による洗濯に対する耐性が低く、また真鍮製では、水洗い後に経年劣化するおそれがある。ステンレス製のはと目では、材質が硬く量産時の効率が悪いことに鑑みると、プラスチック製のはと目を用いるのが好ましい。はと目をプラスチック製にすると、この部分の洗濯機による洗濯に対する耐久性を高くすることができる。
【0036】
耳釦10は、上述した実施形態では、割り足10aを一体に具備したものであったが、本発明はこれに限定されない。耳釦10は、割り足10aの代わりにネジ足を有するものでもよい。この場合は、腰枠6の取付孔6bがネジ穴に形成されている。この構成により、耳釦10の付け外しをより容易にすることができる。
【0037】
帯章11を構成する職線11bは、上述した実施形態では、アルミ線にポリエステルフィルムを蒸着した繊維の縞織物により形成したものであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、職線11bは、ポリエステル繊維による縞織物が取り付けられたものでもよい。
【0038】
また、帯章11は、上述した実施形態では、腰部5に取り外し可能に取り付けられているが、本発明はこれに限定されない。帯章11は、腰部5の外側面から腰枠6まで縫い付けたものであってもよい。
【0039】
本発明官帽は以上の通りであって、従来は洗濯機で洗濯することなど全く考えられなかった官帽を、洗濯機で30回洗濯しても型崩れせず、官帽としての当初の風合いも殆んど損なわれることのない官帽を提供することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 官帽
2 天布
3 側布
4 帽蓋部
5 腰部
6 腰枠
7 すべり部材
8 ひさし
9 張り出し芯
10 耳釦
11 帯章
12 あご紐
図1
図2
図3