(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078971
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】空き容量検出装置及び空き容量検出装置を備えた冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
F25D23/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192332
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】小松 肇
(72)【発明者】
【氏名】増田 英夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直樹
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA12
3L345AA14
3L345AA24
3L345AA26
3L345BB01
3L345BB02
3L345BB05
3L345EE03
3L345EE32
3L345EE53
3L345EE55
3L345HH06
3L345HH13
3L345HH32
3L345HH34
3L345HH36
3L345HH42
3L345JJ07
3L345JJ12
3L345JJ23
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低コストのシンプルな装備で短時間に引き出し式容器内の収納領域の空き容量を検出可能な空き容量検出装置、及び冷蔵庫を提供する。
【解決手段】引き出し式容器6の上側の位置に固定され、引き出し式容器の内部を上から俯瞰するように、引き出し式容器6の幅方向(X軸方向)に並んで配置された距離センサである複数の第1センサ20と、引き出し式容器6の移動方向(Y軸方向)における位置を検出する第2センサ30と、第1センサ20及び第2センサ30と電気的に接続された制御部と、を備え、制御部は、第2センサ30の検出値に基づいて、移動方向に移動する引き出し式容器6が所定の検出位置に到達したと判別したとき、各々の第1センサ20の測定値に基づく引き出し式容器6の内部の深さデータを取得し、深さデータを用いて引き出し式容器6の内部の空き容量を算出する容量検出装置、及びこの空き容量検出装置を備えた冷蔵庫を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き出し式容器の上側の位置に固定され、前記引き出し式容器の内部を上から俯瞰するように、前記引き出し式容器の幅方向に並んで配置された距離センサである複数の第1センサと、
前記引き出し式容器の移動方向における位置を検出する第2センサと、
前記第1センサ及び前記第2センサと電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2センサの検出値に基づいて、前記移動方向に移動する前記引き出し式容器が所定の検出位置に到達したと判別したとき、各々の前記第1センサの測定値に基づく前記引き出し式容器の内部の深さデータを取得し、該深さデータを用いて前記引き出し式容器の内部の空き容量を算出することを特徴とする空き容量検出装置。
【請求項2】
m個の前記第1センサが、個々の前記幅方向の検出範囲が均等になるように配置され、
n個の前記検出位置が、個々の前記移動方向の検出範囲が均等になるように定められ、
前記第1センサによる前記幅方向の全検出範囲の長さをWとし、前記移動方向の全検出範囲の長さをLとし、
各々の前記検出位置における各々の前記第1センサの測定値に基づき定められた前記深さデータをDとすると、
各々の前記検出位置における各々の前記第1センサの検出範囲に対応する個別空き容量が、W/m×L/n×Dで算出され、
該個別空き容量を合計することにより、引き出し式容器の内部の空き容量が算出されることを特徴とする請求項1に記載の空き容量検出装置。
【請求項3】
前記検出位置で前記第1センサの測定値が得られないとき、隣接する前記検出位置における前記第1センサの測定値を用いて、該検出位置における前記個別空き容量を算出することを特徴とする請求項2に記載の空き容量検出装置。
【請求項4】
前記第2センサの検出値に基づいて、前記引き出し式容器の開閉を検出することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の空き容量検出装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の空き容量検出装置及び引き出し式容器を備えたことを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納領域の空き容量を検出する空き容量検出装置、及びこの空き容量検出装置を備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷蔵庫の中の様子を事前に確認せずに買い物に行ったとき、冷蔵庫に収納しきれない程の量の食品を購入してしまう事態も生じる。このような事態が生じるのを防ぐため、冷蔵庫の収納領域の空き容量を検出する情報処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の情報処理装置は、冷蔵庫の収納室の内部を異なる位置から撮像する複数の撮像装置を備え、それぞれの撮像装置が撮像した画像を比較することにより、収納室の空き容量を計測するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の情報処理装置は、複数の撮像装置を備える必要があり、制御装置は画像処理や画像解析を含む複雑な制御処理を行う必要がある。このため、装置の製造コストが上昇し、複雑な制御処理のため、計測結果が出るまで時間を要する虞がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、低コストのシンプルな構成で短時間に収納領域の空き容量を検出可能な空き容量検出装置、及びこの空き容量検出装置を備えた冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の空き容量検出装置は、
引き出し式容器の上側の位置に固定され、前記引き出し式容器の内部を上から俯瞰するように前記引き出し式容器の幅方向に並んで配置された距離センサである複数の第1センサと、
前記引き出し式容器の移動方向における位置を検出する第2センサと、
前記第1センサ及び前記第2センサと電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2センサの検出値に基づいて、前記移動方向に移動する前記引き出し式容器が所定の検出位置に到達したと判別したとき、各々の前記第1センサの測定値に基づく前記引き出し式容器の内部の深さデータを取得し、該深さデータを用いて前記引き出し式容器の内部の空き容量を算出することを特徴とする
【0007】
本発明によれば、撮像装置を要さず、画像解析のような時間を要する複雑な制御処理を行うことなく、距離センサを用いたシンプルな構成で短時間に空き容量を算出できる。これにより、低コストでシンプルな構成で短時間に収納領域の空き容量を検出可能な空き容量検出装置を提供できる。
【0008】
また、本発明の空き容量検出装置は、
m個の前記第1センサが、個々の前記幅方向の検出範囲が均等になるように配置され、
n個の前記検出位置が、個々の前記移動方向の検出範囲が均等になるように定められ、
前記第1センサによる前記幅方向の全検出範囲の長さをWとし、前記移動方向の全検出範囲の長さをLとし、
各々の前記検出位置における各々の前記第1センサの測定値に基づき定められた前記深さデータをDとすると、
各々の前記検出位置における各々の前記第1センサの検出範囲に対応する個別空き容量が、W/m×L/n×Dで算出され、
該個別空き容量を合計することにより、引き出し式容器の内部の空き容量が算出されることを特徴とする。
【0009】
このように、距離センサである第1センサの測定データを用いた簡易な計算で、引き出し式容器の内部の空き容量を短時間に確実に算出することができる。
【0010】
また、本発明の空き容量検出装置は、
前記検出位置で前記第1センサの測定値が得られないとき、隣接する前記検出位置における前記第1センサの測定値を用いて、該検出位置における前記個別空き容量を算出することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、ある検出位置において第1センサで測定ができなかった場合でも、確実に実用上利用可能なレベルの精度を有する空き容量を得ることがきる。
【0012】
また、本発明の空き容量検出装置は、
前記第2センサの検出値に基づいて、前記引き出し式容器の開閉を検出することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、第2センサの検出値に基づいて、引き出し式容器の開閉を検出することにより、扉の開閉センサを別途設けることなく、引き出し式容器の開閉を的確に監視することができる。
【0014】
本発明の冷蔵庫は、
上記の引き出し式容器及び容量検出装置を備えていることを特徴とする。
【0015】
このような引き出し式容器及び空き容量検出装置を備えた冷蔵庫では、上記と同様に、低コストでシンプルな構成で短時間に引き出し式容器内の収納領域の空き容量を検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明においては、低コストのシンプルな装備で短時間に引き出し式容器内の収納領域の空き容量を検出可能な空き容量検出装置、及びこの空き容量検出装置を備えた冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の1つの実施形態に係る空き容量検出装置を備えた冷蔵庫の概要を示す斜視図である。
【
図2】本発明の1つの実施形態に係る空き容量検出装置のシステム構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1の矢視A-Aを模式的に示す平面図である。
【
図4A】
図1の矢視B-Bを模式的に示す側面図であって、引き出し式容器が閉から開となる場合の開始位置にあるところを示す図である。
【
図4B】
図1の矢視B-B図を模式的に示す側面図であって、引き出し式容器が閉から開となる場合の最初の検出位置に到達したところを示す図である。
【
図4C】
図1の矢視B-Bを模式的に示す側面図であって、引き出し式容器が閉から開となる場合の中間の検出位置に到達したところを示す図である。
【
図4D】
図1の矢視B-B図を模式的に示す側面図であって、引き出し式容器が閉から開となる場合の最終の検出位置に到達したところを示す図である。
【
図4E】
図1の矢視B-Bを模式的に示す側面図であって、引き出し式容器が閉から開の場合の終了位置に到達したところを示す図である。
【
図5】空き容量の計算を説明するために収納物の入った引き出し式容器を模式的に示した側面図である。
【
図6】空き容量の計算を説明するためのテーブルの一例を示す図である。
【
図7】制御部で行う空き容量の計算のための制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。下記の記載及び図面では、引き出し式容器の幅方向をX軸方向とし、引き出し式容器の移動方向(つまり前後方向)をY軸方向とし、高さ方向をZ軸方向として記載する。
【0019】
(1つの実施形態に係る空き容量検出装置)
図1は、本発明の1つの実施形態に係る空き容量検出装置10を備えた冷蔵庫2の概要を示す斜視図である。
図2は、本発明の1つの実施形態に係る空き容量検出装置10のシステム構成を示すブロック図である。
【0020】
本実施形態では、空き容量検出装置10が冷蔵庫2に備えられ、空き容量検出装置10が、冷蔵庫2の引き出し式容器6の内部の空き容量を検出する場合を例にとって説明する。引き出し式容器6は、前側に扉部材4が配置され、移動方向(X軸方向)に移動可能になっている。
【0021】
図1では、後述するセンサ20,30を示すため、引き出し式容器6を透明に示してある。また、センサ20,30は、太線の楕円で囲まれて示されている。引き出し式容器6は、扉部材4が閉じられた後方の収納位置と、収納物の出し入れを行う前方の出し入れ位置との間を移動する。引き出し式容器6は、例えば、冷蔵室に配置された場合も、冷凍室に配置された場合も、野菜室として機能する場合もあり得る。
また、空き容量検出装置10が冷蔵庫2の引き出し式容器6の空き容量を検出する場合に限られず、引き出し式容器6を有するその他の任意の装置や収納機器に適用することができる。
【0022】
本実施形態に係る空き容量検出装置10は、引き出し式容器6を後方の収納位置から前方の出し入れ位置に移動させたときに、センサの測定データに基づいて、引き出し式容器6の内部の空き容量を検出する。更に、空き容量検出装置10は、再び、引き出し式容器6を前方の出し入れ位置から後方の収納位置に戻すとき、引き出し式容器6の内部の空き容量を検出する。
【0023】
本実施形態に係る空き容量検出装置10は、センサとして、第1センサ20と、第2センサ30とを備え、更に、第1センサ20及び第2センサ30と電気的に接続された制御部50を備える。更に詳細に述べれば、本実施形態では、第1センサ20及び第2センサ30が距離センサで構成されている。距離センサはアナログ信号を出力するので、ノイズの影響を受け易い。このため、第1センサ20及び第2センサ30の近傍に配置されたセンサ処理部40でAD変換を行って、センサ処理部40からデジタル信号を制御部50へ送信するようになっている。
【0024】
制御部50は、送信部60と電気的に繋がっており、制御部50から制御処理の結果を送信部60へ送信し、送信部60から、無線または有線で制御処理の結果を使用者の携帯端末や表示装置に送信することができる。
【0025】
本実施形態では、空き容量検出装置10が、冷蔵庫2とは個別の装置となっている。このため、制御部50は、冷蔵庫2の制御装置とは個別の制御装置として存在する。ただし、これに限られるものではなく、空き容量検出装置10が、冷蔵庫2の一部を構成する場合もあり得る。その場合には、空き容量検出装置10の制御部50が、冷蔵庫2の制御装置の一部を構成する場合もあり得る。
【0026】
本実施形態では、複数(ここでは5個)の第1センサ20が、引き出し式容器6の上側の位置に固定され、引き出し式容器6の内部を上から俯瞰するように、引き出し式容器6の幅方向(X軸方向)に並んで配置されている。例えば、引き出し式容器6の上側に配置された冷蔵庫本体のトレーの前方の下面に、送受光面が下側を向くように第1センサ20を取り付けることができる。同様に、引き出し式容器6の上側に配置された扉の下部に、送受光面が下側を向くように第1センサ20を取り付けることもできる。
【0027】
第1センサ20及び第2センサ30を構成する距離センサは、一般的に、LEDやレーザダイオードからなる光源と、受光素子とを備え、光源から出射された光が測定対象物に当たると反射され、その反射光を受光素子が受光する。受光した反射光を評価、演算することにより、距離に換算して出力することができる。本実施形態では、受光素子における受光位置に基づいて、三角測距方式で距離を測定する距離センサが用いられている。ただし、これに限られるものではなく、例えば、光の出射から受光までの時間に基づいて距離を測定する距離センサを用いることもできるし、パルス幅のレーザ光によるパルス伝搬を用いた距離センサを用いることもできる。
【0028】
隣接する第1センサ20の間隔が短すぎると、互いに干渉する虞があり、離れすぎると検出精度が低下する虞がある。これらを勘案すると、隣接する第1センサ20の間隔は60~120mm程度となるのが好ましい。例えば、引き出し式容器6の内壁間の幅寸法が450mmとすると、5つの第1センサ20を均等に配置する場合、両端の第1センサ20の光軸と引き出し式容器6の内壁との間の距離が45mmであり、隣接する第1センサ20の光軸間の距離が90mmとなる。よって、1つの第1センサ20で光軸の両側に45mmずつ振り分けられた90mm幅の範囲を検出領域とすることができる。これにより、互いに干渉することがない高い精度の検出が期待できる。
【0029】
ただし、第1センサ20の数は5に限られず、引き出し式容器6の幅寸法、必要精度、用途等に応じて、その他の任意の数を選択することができる。また、第1センサ20の配置間隔が均等に配置された場合に限られるものではない。空き容量の検出精度に問題が生じない範囲において、第1センサ20の配置間隔が異なる場合もあり得る。例えば、収納物の出し入れの多い領域の第1センサ20の配置間隔を、収納物の出し入れの少ない領域より短く設定することもできる。
【0030】
距離センサである第1センサ20が、引き出し式容器6の内部を上から俯瞰するように配置されているので、第1センサ20(詳細には受光面)から引き出し式容器6の内部の測定対象物までの高さ方向(Z軸方向)の距離を測定できる。この測定データから、第1センサ20及び引き出し式容器6の上面の間の距離を減じることにより、引き出し式容器6の中の深さデータを取得できる。
【0031】
引き出し式容器6の中が空であれば、引き出し式容器6の上面及び底面の間の距離が深さデータとなる。一方、引き出し式容器6の中に収納物があれば、引き出し式容器6の上面から収納物の上面(反射面)までの距離が深さデータとなる。このような測定により、収納物の反射面より上方の空き領域の深さデータを把握することができる。後述するように、制御部50は、この深さデータを用いて、引き出し式容器6の内部の空き容量を計算する。
【0032】
本実施形態に係る第2センサ30も、第1センサ20と同様な距離センサで構成されている。1つの第2センサ30が引き出し式容器6の側方の冷蔵庫2の本体側に固定され、引き出し式容器6の前側に配置された扉部材4の後面までの距離を測定するようになっている。つまり、第2センサ30の光源から出射された光が、扉部材4の後面で反射され、第2センサ30の受光部に入射する。これにより、第2センサ30から扉部材4の後面までの距離が測定される。第2センサ30の移動方向(Y軸方向)の位置は定まっているので、第2センサ30の測定データにより、引き出し式容器6の移動方向(Y軸方向)の位置を検出することができる。
【0033】
これにより、引き出し式容器6が後方の収納位置及び前方の出し入れ位置の間を移動方向(Y軸方向)に移動するとき、制御部50が、第2センサ30の測定データに基づいて、所定の間隔で配置された検出位置に到達したと判別したとき、5つの第1センサ20の測定値に基づいて、引き出し式容器6の幅方向の5カ所における深さデータを取得する。これにより、制御部50は、引き出し式容器6の幅方向(X軸方向)及び移動方向(Y軸方向)における全検出領域の空き容量を計算できる。
【0034】
移動方向(Y軸方向)における検出位置の間隔としては、求められる空き容量の精度、制御処理の負荷、所要時間のバランスを考慮して、10mm程度を例示できる。例えば、移動方向(Y軸方向)の検出範囲である引き出し式容器6の底面の前端及び後端の間の距離を350mmとすれば、35個の検出位置が設定される。
【0035】
ただし、これに限られるものではなく、検出位置の間隔、個数は、引き出し式容器6の前後寸法、必要精度、用途等に応じてその他の任意の値を採用できる。また、検出位置の間隔が一定でない場合もあり得る。例えば、収納物の出し入れの多い引き出し式容器6の前側の領域の検出位置の間隔が、収納物の出し入れの少ない引き出し式容器6の奥の領域よりも短く設定することもできる。
【0036】
第2センサ30は、上記のような距離センサを用いる場合に限られない。例えば、第2センサ30としてリニアスケールを用いて、引き出し式容器6の移動方向(Y軸方向)の位置を直接測定することもできる。また、引き出し式容器6をステッピングモータやでエンコーダを備えた電動モータで駆動して移動させる場合には、引き出し式容器6の移動方向(Y軸方向)の位置をさらに確実に把握することができる。
【0037】
(引き出し式容器6の内部の測定方法)
図3は、
図1の矢視A-Aを模式的に示す平面図である。
図4Aから
図4Dは、
図1の矢視B-Bを模式的に示す側面図であり、
図4Aは、引き出し式容器6が閉から開となる場合の開始位置にあるところを示す図であり、
図4Bは、引き出し式容器6が閉から開となる場合の最初の検出位置(j=1)に到達したところを示す図であり、
図4Cは、引き出し式容器6が閉から開となる場合の中間の検出位置(j)に到達したところを示す図であり、
図4Dは、引き出し式容器6が閉から開となる場合の最終の検出位置(j=n)に到達したところを示す図であり、
図4Eは、引き出し式容器6が閉から開の場合の終了位置に到達したところを示す図である。
【0038】
本実施形態に係る空き容量検出装置10では、m個の第1センサ20が、個々の幅方向(X軸方向)の検出範囲が均等になるように配置されている。第1センサ20は、冷蔵庫2の本体側に固定され、引き出し式容器6が移動しても位置は動かない。図示された例では、5個(m=5)の第1センサ20が配置された場合を示す。第1センサ20による幅方向(X軸方向)の全検出範囲の長さはWである。長さWは、引き出し式容器6の底面の巾寸法に一致する。
【0039】
隣接する第1センサ20は、光軸の間隔でW/mの間隔を空けて配置されている。両端の第1センサ20は、光軸が幅方向の検出領域の端部(つまり、引き出し式容器6の底面の幅方向の端部)に対して、W/2mだけ離れて配置されている。これにより、各々の第1センサ20は、幅方向(X軸方向)において、光軸から両側にW/2mだけ振り分けられた幅W/mの領域を各々の検出領域とする。
【0040】
一方、引き出し式容器6の移動方向(Y軸方向)においては、n個の検出位置が、個々の移動方向の検出範囲が均等になるように定められている。移動方向(Y軸方向)の全検出範囲の長さはLである。長さLは、引き出し式容器6の底面の前後(移動方向)の寸法に一致する。
【0041】
これにより、
図3に示すように、各々の検出位置における各々の第1センサ20の検出範囲に対応する領域である、マトリックス状に区分された検出領域Area(i)(j)が画定される。ここで、幅方向(X軸方向)の”i”は、1~m(ここではm=5)の整数であり、移動方向(Y軸方向)の”j”は、1~n(例えば、n=35)の整数である。個々の検出領域Area(i)(j)における空き容量である個別空き容量AV(i)(j)を算出し、それらを合計することにより、引き出し式容器6の空き容量VTを算出できる。
【0042】
次に、
図4Aから
図4Dを参照しながら、移動方向(Y軸方向)における検出位置の説明を行う。基本的に、収納位置(
図4A参照)にある引き出し式容器6を出し入れ位置(
図4E参照)まで引き出すときに空き容量を検出し、引き出し式容器6を出し入れ位置(
図4E参照)から収納位置(
図4A参照)まで押して戻したときにも空き容量を検出する。引き出し式容器6を開くときと閉じるときに検出した空き容量の差により、引き出し式容器6の空き容量VTの変化を把握できる。更に、引き出し式容器6内において、どの領域でどれぐらいの大きさの収納物が取り出されたか、またはどの領域でどれぐらいの大きさの収納物が収納されたか把握することもできる。
【0043】
図4Aに示すような引き出し式容器6が収納位置にあるとき、第1センサ20の光軸が起点P1の位置にある。この位置が測定の開始位置となる。
図4Aでは、起点P1の位置は、扉部材4の移動方向の略中央の位置に一致している。このとき、第2センサ30と扉部材4の後面との距離がLSとなっている。後述するように、引き出し式容器6を収納位置から出し入れ位置に引き出すときの起点P1は、引き出し式容器6を出し入れ位置から収納位置へ押し戻すときの終点となる。第2センサ30の検出データがLSとなっているとき、制御部50は、引き出し式容器6が開始位置にあると判別する。
【0044】
図4Aに示す開始位置から、引き出し式容器6の最初の検出位置(j=1)と扉部材4の後面との間の距離である距離SAだけ、引き出し式容器6を引き出すと、
図4Bに示すような最初の検出位置(j=1)に到達する。最初の検出位置(j=1)は、引き出し式容器6の底面の前側の端部に該当する。このとき、第2センサ30の測定データはLS+SAとなっている。制御部50は、最初の検出位置(j=1)における第1センサ20の測定値に基づく深さデータDを取得する。つまり、検出領域Area(i)(1)[i=1~5]の深さデータ(i)(1)を取得する。第1センサ20の測定値に基づく深さデータの算出方法は、追って詳細に述べる。後述するように、移動方向における検出位置j=1~nは、引き出し式容器6を引き出すときと押し込むときで位置が対称になる。
【0045】
図4Bに示す、最初の検出位置(j=1)から引き出し式容器6を更に引き出していくと、制御部50は、第2センサ30の測定データに基づいて、引き出し式容器6がL/nだけ移動するごとに、第1センサ20の測定データに基づく深さデータを取得する。
図4Cは、j番目の検出位置に到達して、制御部50が第1センサ20の測定データに基づく深さデータを取得したところを示す。つまり、検出領域Area(i)(j)[i=1~5]の深さデータD(i)(j)を取得する。このとき、第2センサ30の測定データは、LS+SA+L/n×(j-1)となっている。
【0046】
そして、
図4Dに示すように、最終の検出位置(j=n)の位置に到達して、制御部50が第1センサ20の測定データに基づく深さデータを取得する。つまり、検出領域Area(i)(n)[i=1~5]の深さデータD(i)(n)を取得する。このとき、第2センサ30の測定データは、LS+SA+L(1-1/n)となっている。
【0047】
最終の検出位置(j=n)の位置から引き出し式容器6を更にL/nだけ引き出すと、
図4Eに示すように、引き出し式容器6が出し入れ位置に達する。このとき、第1センサ20の光軸が終点P2の位置にある。この位置が測定の終了位置となる。
図4Eでは、終点P2の位置は、引き出し式容器6の底面の後ろ側の端部の位置に一致している。第2センサ30の測定データは、LS+SA+Lとなっている。引き出し式容器6は、この出し入れ位置より前側には引き出せなくなっている。
【0048】
これにより、制御部50は、Area(i)(j)[i=1~5、j=1~n]の深さデータD(i)(j)を取り込み、取り込んだ深さデータD(i)(j)を用いて、Area(i)(j)に対応した個別空き容量AV(i)(j)を算出する。更に、算出した個別空き容量AV(i)(j)を合計することにより、引き出し式容器6全体の空き容量VTを算出できる。空き容量VTの算出方法については、追って詳細に述べる。
【0049】
出し入れ位置において、引き出し式容器6の収納物の出し入れを行った後、引き出し式容器6を出し入れ位置から収納位置まで押し込むときにも、同様な制御処理で引き出し式容器6の全体の空き容量VTを算出する。この場合、引き出し式容器6が引き出し位置にあるとき、第1センサ20の光軸が起点P2(引き出し時の終点)の位置にある。この位置が、測定の開始位置となる。そして、引き出し式容器6を起点P2からL/nだけ押し込むと、最初の検出位置(j=1)に達する。
【0050】
移動方向における検出位置j=1~nは、引き出し式容器6を引き出すときと押し込むときで位置が対称になる。つまり、引き出すときの最終の検出位置(j=n)の位置が最初の検出位置(j=1)となり、引き出すときの最初の検出位置(j=1)が最終の検出位置(j=n)となる。幅方向(X軸方向)については(つまりiの値は)、引き出す方向、押し戻す方向で変わりがない。
【0051】
最初の検出位置(j=1)から最終の検出位置(j=n)まで、引き出し式容器6をL/nだけ押し込むごとに、制御部50が第1センサ20の測定データに基づく深さデータDを取り込む。そして、最終の検出位置(j=n)から引き出し式容器6を更に距離SAだけ押し込むと、収納位置に達する。このとき、第1センサ20の光軸が終点P1(引き出し時の始点)の位置にある。この位置が、測定の終了位置となる。
【0052】
本実施形態では、引き出し式容器6を引き出す時の開始位置(押し戻すときの終了位置)が、扉部材4が閉となった引き出し式容器6が収納位置にある状態であり、引き出し式容器6を引き出す時の終了位置(押し戻すときの開始位置)が、引き出し式容器6が出し入れ位置にある状態となっている。ただし、これに限られるものではなく、引き出し式容器6の底面の前端から後端の間の検出領域が開始位置及び終了位置の間に入っているのであれば、開始位置及び終了位置をその他の位置に設定することが可能である。
【0053】
(引き出し式容器6の空き容量の計算方法)
図5は、空き容量VTの計算を説明するために収納物Gの入った引き出し式容器6を模式的に示した側面図である。
図6は、空き容量VTの計算を説明するためのテーブルの一例を示す図である。次に、
図5及び
図6を参照しながら、各検出領域Area(i)(j)[i=1~m、j=1~n]で取得した深さデータD(i)(j)を用いて、個々の検出領域Area(i)(j)における個別空き容量AV(i)(j)を算出し、延いては、引き出し式容器6の全体の空き容量VTを算出する方法について説明する。
【0054】
図5では、Area(i)(j)及び移動方向(Y軸方向)でその前後のArea(i)(j-1),Area(i)(j+1)における個別空き容量AVの算出方法を示している。
【0055】
Area(i)(j)を例に取れば、第1センサ20で測定した第1センサ20から収納物Gの上面までの距離から、第1センサ20及び引き出し式容器6の上面の間の距離Hを減じることにより、引き出し式容器6の上面から収納物Gの上面までの距離である深さデータD(i)(j)を取得することができる。本実施形態では、第1センサ20が同じ高さに配置されているが、これに限られるものではない。第1センサ20が異なる高さに配置されている場合でも、第1センサ20及び引き出し式容器6の上面の間の個々の距離を用いることにより、深さデータD(i)(j)を的確に取得することができる。
【0056】
移動方向(Y軸方向)において、深さデータD(i)(j)の検出位置から後方にL/n延びた領域をArea(i)(j)とする。また、幅方向(X軸方向)において、
図3に示すように、深さデータD(i)(j)の検出位置から左右にW/2m延びた領域がArea(i)(j)となる。
【0057】
ただし、これに限られるものではなく、例えば、移動方向(Y軸方向)において、深さデータD(i)(j)の検出位置から前方にL/n延びた領域をArea(i)(j)とすることもできるし、深さデータD(i)(j)の検出位置から前後にL/2n延びた領域をArea(i)(j)とすることもできる。幅方向(X軸方向)についても、例えば、深さデータD(i)(j)の検出位置から左側または右側にW/m延びた領域をArea(i)(j)とすることができる。
【0058】
Area(i)(j)において、幅方向(X軸方向)及び移動方向(Y軸方向)で、収納物Gの上面は平面ではない場合もあり得るが、収納物Gの上面を平面として近似することにより(つまり、Area(i)(j)の個別空き容量AVを直方体とみなすことにより)、下記の計算式で、簡易に個別空き容量AV(i)(j)を計算することができる。
【0059】
個別空き容量AV(i)(j)=W/m×L/n×D(i)(j)
Area(i)(j)と前後で隣接するArea(i)(j-1),Area(i)(j+1)も、同様に、下記のような計算式で、個別空き容量をAV(i)(j-1),AV(i)(j+1)を算出できる。
個別空き容量AV(i)(j-1)=W/m×L/n×D(i)(j-1)
個別空き容量AV(i)(j+1)=W/m×L/n×D(i)(j+1)
【0060】
収納位置から引き出し式容器6を引き出していくと、開始位置P1に到達した時点で、第1センサ20の測定に基づいて深さデータD(i)(1)を取得する。この深さデータD(i)(1)を用いて、個別空き容量AV(i)(1)を算出できる。その後、検出位置に到達することに、第1センサ20の測定に基づいて深さデータD(i)(j)を取得できる。この深さデータD(i)(j)を用いて、個別空き容量AV(i)(j)を算出できる。そして、終了位置P2よりL/nだけ手前の検出位置に到達したとき、第1センサ20の測定に基づいて深さデータD(i)(n)を取得できる。この深さデータD(i)(n)を用いて、個別空き容量AV(i)(n)を算出できる。そして、引き出し式容器6が終了位置P2に達した時点で一連の検出が終了する。
【0061】
このように、引き出し式容器6を、収納位置から引き出し位置まで引き出すことにより、開始位置P1から終了位置P2までのマトリックス状に配置された全てのArea(i)(j)の深さデータD(i)(j)を取得して、それぞれの個別空き容量AV(i)(j)を算出できる。算出した全ての個別空き容量AV(i)(j)を合計することにより、引き出し式容器6全体の空き容量VTを算出できる。個別空き容量AV(i)(j)の算出は、引き出し式容器6が移動している間に、Area(i)(j)の深さデータD(i)(j)を取得したごとに行うこともできるし、後述するように、全てのArea(i)(j)の深さデータD(i)(j)を取得した後にまとめて行うこともできる。
【0062】
個別空き容量AV(i)(j)を合計する処理の一例を
図6のテーブルに示す。
図6では、引き出し式容器6の幅方向(X軸方向)で5つの検出領域Area(1)(j)~Area(5)(j)について、移動方向(Y軸方向)でj=1~nについて、第1センサ20の測定値に基づく深さデータD(1)(j)~D(5)(j)を取得し、取得した深さデータD(1)(j)~D(5)(j)に、W/m及びL/nを乗じることで、個別空き容量AV(1)(j)~AV(5)(j)を算出する。全ての個別空き容量AV(i)(j)[i=1~5、j=1~n]を合計することにより、引き出し式容器6の空き容量VTを算出できる。
制御部50で算出された引き出し式容器6の空き容量VTは、送信部60を介して、例えば、使用者の携帯端末に送信することもできるし、表示装置に表示することができる。
【0063】
出し入れ位置で引き出し式容器6の収納物の出し入れを行った後、引き出し式容器6を押し戻していくとき、同様な計算でマトリックス状に配置されたArea(i)(j)の個別空き容量AV(i)(j)を算出し、算出した全ての個別空き容量AV(i)(j)を合計することにより、引き出し式容器6の空き容量VTを算出できる。移動方向(Y軸方向)において、押し戻すときのjの値は、引き出すときのn~1が、押し戻すときの1~nとなる。幅方向(X軸方向)のjの値は、引き出す方向、押し戻す方向で変わりがない。
【0064】
以上のように、本実施形態に係る空き容量検出装置10では、m個の第1センサ20が、個々の幅方向の検出範囲が均等になるように配置され、n個の検出位置が、個々の移動方向の検出範囲が均等になるように定められている。第1センサ20による幅方向(X軸方向)の全検出範囲の長さをWとし、移動方向(Y軸方向)の全検出範囲の長さをLとし、各々の検出位置における各々の第1センサ20の測定値に基づき定められた深さデータをD(i)(j)[i=1~m、j=1~n]とすると、各々の検出位置における各々の第1センサ20の検出範囲に対応する個別空き容量AV(i)(j)が、W/m×L/n×D(i)(j)で算出され、これらの個別空き容量AV(i)(j)を合計することにより、引き出し式容器6の内部の空き容量VTが算出される。
【0065】
このように、距離センサである第1センサ20の測定データを用いた簡易な計算で、引き出し式容器6の内部の空き容量VTを短時間に確実に算出することができる。
【0066】
(空き容量VTの計算方法の変形例)
図5に示す空き容量VTの計算において、例えば、Area(i)(j)の検出位置で第1センサ20の測定値が得られなかった場合、移動方向(Y軸方向)で隣接するArea(i)(j-1)またはArea(i)(j+1)の検出位置における第1センサ20の測定値を用いて、深さデータD(i)(j)を取得することが考えられる。この深さデータD(i)(j)を用いて、検出領域Area(i)(j)の個別空き容量AV(i)(j)を算出することもできる。この場合、同一の第1センサ20の測定値を用いることになる。
【0067】
隣接する測定値で同一の収納物Gが存在する場合、隣接する検出位置では近似した測定値が得られる可能性が高い。よって、実用上利用可能なレベルの精度を有する空き容量VTを得ることが期待できる。
【0068】
同様に、Area(i)(j)の検出位置で第1センサ20の測定値が得られなかった場合、幅方向(X軸方向)で隣接するArea(i-1)(j)またはArea(i+1)(j)の検出位置における第1センサ20の測定値を用いて、深さデータD(i)(j)を取得することが考えられる。この深さデータD(i)(j)を用いて、検出領域Area(i)(j)の個別空き容量AV(i)(j)を算出することができる。
【0069】
以上のように、検出位置(i,j)で第1センサ20の測定値が得られないとき、隣接する検出位置(i-1,i+1,J-1またはj+1)における第1センサ20の測定値を用いて、検出位置(i,j)における個別空き容量AVを算出する。これにより、ある検出位置において、第1センサ20で測定ができなかった場合でも、確実に実用上利用可能なレベルの精度を有する空き容量VTを得ることがきる。
【0070】
(第2センサの測定データのその他の利用方法)
第2センサ30の測定値を上記のような検出位置の検出だけでなく、その他の制御処理に用いることもできる。例えば、第2センサ30の検出値に基づいて、引き出し式容器6の開閉を検出することできる。これにより、扉の開閉センサを別途設けることなく、引き出し式容器6の開閉を的確に監視することができる。例えば、引き出し式容器6が開けられた状態が所定時間経過したとき、制御部50がアラ-ムを出す制御を行うこともできる。
【0071】
以上のように、第2センサ30の検出値に基づいて、引き出し式容器6の開閉を検出することにより、扉の開閉センサを別途設けることなく、引き出し式容器6の開閉を的確に監視することができる。
【0072】
(制御部50の処理フロー)
図7は、制御部50で行う空き容量VTの計算のための制御処理の一例を示すフローチャートである。次に、
図7を参照しながら、上記のような引き出し式容器6の全体の空き容量VTを算出するために制御部50が行う制御フローの説明を行う。
【0073】
はじめに、第2センサ30の検出値が変化したか否か判断する(ステップS2)。この判断で、第2センサ30の検出値が変化していない(NO)、つまり、引き出し式容器6が移動していないと判別したときには、この判断処理を繰り返す。ステップS2の判断で、もし、第2センサ30の検出値が変化した(YES)、つまり、引き出し式容器6が移動した判別したときには、次に、それが開始位置からの変化であるか判断する(ステップS4)。収納位置にある引き出し式容器6を引き出すときには、収納位置が開始位置となり、出し入れ位置にある引き出し式容器6を押し戻すときには、出し入れ位置が開始位置となる。何れも、第2センサ30の検出値から判別できる。
【0074】
ステップS4の判断で、開始位置からの変化ではない(NO)と判別したときには、本制御処理を終了する。ステップS4の判断で、もし、開始位置からの変化である(YES)と判別したときには、次に、第1センサ20からの測定データの取り込みを開始する(ステップS6)。そして、第2センサ30の測定値が検出位置に対応した値に達したか否か判断する(ステップS8)。この判断で、第2センサ30の測定値がまだ検出位置に対応した値に達していない(NO)と判別したときには、測定データの取り込み開始(ステップS6参照)または前回の深さデータD取得(ステップS14参照)から時間Tが経過したか否か判断する(ステップ10)。
【0075】
測定データの取り込み開始または前回の深さデータ取得から時間Tが経過していない(NO)と判別したときには、再びステップS8に踊り、ステップS8及びS10の判断処理を繰り返す。仮に、測定データ取り込み開始後、または深さデータDの取得後、引き出し式容器6が停止状態となって時間Tが経過した場合には、制御部50は、測定データの取り込み開始または前回の深さデータD取得から時間Tが経過した(YES)と判別して、ステップS12に進む。ステップS12では、長時間、引き出し式容器6が開いた状態で長時間停止状態となっているので、検出エラーを報知する制御処理を行って(ステップS12)、本制御処理を終了する。
【0076】
ステップS8の判断で、第2センサ30の測定値が検出位置に対応した値に達した(YES)と判別したときには、次に、検出位置における第1センサ20の測定値に基づいて、深さデータDを取得する(ステップS14)。そして、第2センサ30の検出値に基づいて、終了位置へ到達したか否か判断する(ステップS16)。この判断で、まだ終了位置へ到達していない(NO)と判別したときには、ステップS8に戻り、ステップS8からS14に示された検出位置で深さデータDを取得する制御処理及びステップS16の判断処理を繰り返す。
【0077】
j=1~nの全ての検出位置で全て(i=1~m)の第1センサ20の測定値に基づく深さデータD(i)(j)を所得した後、ステップS16の判断で、終了位置へ到達した(YES)と判別したとき、制御部50は、取得した深さデータD(i)(j)から個別空き容量AV(i)(j)を算出し、それらを合計して、引き出し式容器6の全体に空き容量VTを算出する(ステップS18)。そして、空き容量VTのデータを送信部60に送信して(ステップS20)、本制御処理を終了する。
【0078】
以上のように、本実施形態に係る空き容量検出装置10は、引き出し式容器6の上側の位置に固定され、引き出し式容器6の内部を上から俯瞰するように、引き出し式容器6の幅方向(X軸方向)に並んで配置された距離センサである複数の第1センサ20と、引き出し式容器6の移動方向(Y軸方向)における位置を検出する第2センサ30と、第1センサ20及び第2センサ30と電気的に接続された制御部50と、を備え、制御部50は、第2センサ30の検出値に基づいて、移動方向に移動する引き出し式容器6が所定の検出位置に到達したと判別したとき、各々の第1センサ20の測定値に基づく引き出し式容器6の内部の深さデータDを取得し、深さデータDを用いて引き出し式容器6の内部の空き容量VTを算出するようになっている。
【0079】
算出された引き出し式容器6の内部の空き容量VTは、送信部60を介して、使用者の携帯端末に送信したり表示装置に表示したりすることができる。
更に、制御部50は、引き出し式容器6が引き出されて戻されたときの検出データに基づいて、どの領域でどのぐらいの空き容量が増減したかわかるプロファイルを示す図やグラフ(例えば、三次元のヒストグラム)を作成して、送信部60を介して、使用者の携帯端末に送信する、または表示装置に表示することもできる。
【0080】
本実施形態に係る空き容量検出装置10によれば、撮像装置を要さず、画像解析のような時間を要する複雑な制御処理を行うことなく、距離センサである第1センサ20を用いたシンプルな構成で短時間に空き容量VTを算出できる。これにより、低コストでシンプルな構成で短時間に引き出し式容器6内の収納領域の空き容量VTを検出可能な空き容量検出装置10を提供できる。
【0081】
更に、このような空き容量検出装置10及び引き出し式容器6を備えた冷蔵庫2では、同様に、低コストでシンプルな構成で短時間に引き出し式容器6内の収納領域の空き容量VTを検出することができる。
【0082】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0083】
2 冷蔵庫
4 扉部材
6 引き出し式容器
10 空き容量検出装置
20 第1センサ
30 第2センサ
40 センサ処理部
50 制御部
60 送信部