(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078978
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】フラップ装置、駐輪装置、及びフラップ装置の設置方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20230531BHJP
E04H 6/14 20060101ALI20230531BHJP
B62H 3/08 20060101ALI20230531BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230531BHJP
【FI】
E04H6/42 G
E04H6/14 601A
E04H6/14 605
B62H3/08
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192340
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】518135467
【氏名又は名称】野田 大智
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】野田 大智
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC13
(57)【要約】
【課題】設置工事を簡略化することができるフラップ装置、駐輪装置、及びフラップ装置の設置方法を提供する。
【解決手段】本開示に係るフラップ装置1は、駐車スペース21に対する車両の入出庫を許可するための許可位置と、入庫した車両の前記駐車スペース21からの出庫を阻止するための阻止位置との間で揺動するフラップ板12と、該フラップ板12と前記駐車スペース21の地面とを結ぶスロープ部材13とを備えるフラップ装置1において、前記フラップ板12及び前記スロープ部材13の少なくとも一方が非導電性素材で形成されており、前記入出庫に関する情報を送受信するための無線通信機器(制御装置6が備える通信部)が前記一方に隣り合う位置に設けられることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車スペースに対する車両の入出庫を許可するための許可位置と、入庫した車両の前記駐車スペースからの出庫を阻止するための阻止位置との間で揺動するフラップ板と、
該フラップ板と前記駐車スペースの地面とを結ぶスロープ部材と
を備えるフラップ装置において、
前記フラップ板及び前記スロープ部材の少なくとも一方が非導電性素材で形成されており、
前記入出庫に関する情報を送受信するための無線通信機器が前記一方に隣り合う位置に設けられることを特徴とするフラップ装置。
【請求項2】
前記無線通信機器は、非導電性素材で形成されている前記フラップ板が前記許可位置にある場合に前記フラップ板に覆われる位置、又は非導電性素材で形成されている前記スロープ部材に覆われる位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載のフラップ装置。
【請求項3】
前記駐車スペースにおける車両の有無を検出する車両センサを更に備え、該車両センサは、非導電性素材で形成されている前記フラップ板が前記許可位置にある場合に前記フラップ板に覆われる位置、又は非導電性素材で形成されている前記スロープ部材に覆われる位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフラップ装置。
【請求項4】
前記非導電性素材は、セルロースナノファイバー、ファインセラミックス、又は炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のフラップ装置。
【請求項5】
二輪車の車輪を収容するラックと、
該ラックに対する二輪車の入出庫に関する情報を送受信するための無線通信部と、
該無線通信部を収容しており、非導電性素材で形成されている収容部と
を備えることを特徴とする駐輪装置。
【請求項6】
前記ラックに一体的に設けられており、該ラックを支持する支持体が前記収容部を兼ねていることを特徴とする請求項5に記載の駐輪装置。
【請求項7】
前記非導電性素材は、セルロースナノファイバー、ファインセラミックス、又は炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする請求項5又は6に記載の駐輪装置。
【請求項8】
駐車スペースに対する車両の入出庫を許可するための許可位置と、入庫した車両の前記駐車スペースからの出庫を阻止するための阻止位置との間で揺動するフラップ板と、
該フラップ板と前記駐車スペースの地面とを結ぶスロープ部材と、
前記フラップ板を揺動可能に支持する基体と、
前記入出庫に関する情報を送受信するための無線通信機器と
を備えるフラップ装置を設置する方法であって、
少なくとも一方が非導電性素材で形成されている前記フラップ板と前記スロープ部材とが、入出庫する車両の進退方向に互いに隣り合い、且つ前記入庫した車両の前輪と後輪との間に位置するようにして、前記スロープ部材及び前記無線通信機器を該無線通信機器が前記一方に隣り合うようにして一体的に設けてある前記基体を前記地面に載置し、
載置した前記基体を前記地面に固定することを特徴とするフラップ装置の設置方法。
【請求項9】
前記基体を前記地面に載置する際に、前記スロープ部材及び前記無線通信機器と前記駐車スペースにおける車両の有無を検出する車両センサとが一体的に設けられている前記基体を前記地面に載置することを特徴とする請求項8に記載のフラップ装置の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フラップ装置、駐輪装置、及びフラップ装置の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有料の駐車スペースにフラップ装置が設置されていることがある。
特許文献1に記載されているフラップ装置は、管理サーバと共に駐車場管理システムを構成しており、フラップ板、車両センサ、及び制御部を備える。
【0003】
フラップ板は、駐車スペースに対する車両の入出庫を許可するための許可位置と、入庫した車両の駐車スペースからの出庫を阻止するための阻止位置との間で揺動する。許可位置から阻止位置へ揺動するフラップ板の先端部は上昇し、阻止位置から許可位置へ揺動するフラップ板の先端部は下降する。阻止位置にあるフラップ板が、不正に出庫しようとする車両の車輪に当接することによって、車両の出庫が阻止される。許可位置にあるフラップ板を車輪が乗り越えやすいように、フラップ装置はフラップ板と駐車スペースの地面との間を結ぶスロープ部材を備える。
車両センサは駐車スペースにおける車両の有無を検出する。
【0004】
フラップ装置と管理サーバとは、ネットワークを介して相互に通信する。
駐車スペースに入庫した車両を車両センサが検出した場合、制御部は、車両の入庫を通知するための入庫通知を管理サーバに送る。入庫通知を受けた管理サーバは、フラップ装置の制御部にフラップ板上昇指示を送る。フラップ板上昇指示を受けた制御部は、フラップ板を許可位置から阻止位置へ揺動させる。この結果、入庫した車両の出庫が不可能になる。
【0005】
管理サーバは駐車料金の管理処理及び決済処理等を実行する。駐車料金の決済が完了した場合、管理サーバはフラップ装置の制御部にフラップ板下降指示を送る。フラップ板下降指示を受けた制御部は、フラップ板を阻止位置から許可位置へ揺動させる。この結果、入庫した車両の出庫が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、フラップ板もスロープ部材も鉄製である。鉄製品は無線通信を阻害するので、フラップ装置は有線通信機器を備える。フラップ装置は駐車スペース毎に設置され、各フラップ装置の有線通信機器に対して通信ケーブルが敷設される。
安全のため、通信ケーブルは駐車スペースに埋設されるので、駐車スペースの数が多いほど、フラップ装置の設置工事の工期が伸び、費用が増す。
このような問題はフラップ装置に限定されず、二輪車の駐輪させるための駐輪装置においても起こり得る。
【0008】
本開示の目的は、設置工事を簡略化することができるフラップ装置、駐輪装置、及びフラップ装置の設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係るフラップ装置は、駐車スペースに対する車両の入出庫を許可するための許可位置と、入庫した車両の前記駐車スペースからの出庫を阻止するための阻止位置との間で揺動するフラップ板と、該フラップ板と前記駐車スペースの地面とを結ぶスロープ部材とを備えるフラップ装置において、前記フラップ板及び前記スロープ部材の少なくとも一方が非導電性素材で形成されており、前記入出庫に関する情報を送受信するための無線通信機器が前記一方に隣り合う位置に設けられることを特徴とする。
【0010】
本開示にあっては、フラップ板及びスロープ部材の少なくとも一方が非導電性素材で形成されており、無線通信機器は非導電性素材で形成されている物に隣り合う。非導電性素材で形成されているフラップ板及び/又はスロープ部材が無線通信を阻害する虞はない。故に、駐車スペースに対する車両の入出庫に関する情報を無線で送受信することができるので、通信ケーブルの敷設は不要である。従って、フラップ装置の設置工事を簡略化することができるので、フラップ装置の設置工事の工期を短縮することができ、費用を低減することができる。
【0011】
本開示に係るフラップ装置は、前記無線通信機器は、非導電性素材で形成されている前記フラップ板が前記許可位置にある場合に前記フラップ板に覆われる位置、又は非導電性素材で形成されている前記スロープ部材に覆われる位置に設けられることを特徴とする。
【0012】
本開示にあっては、フラップ板が非導電性素材で形成されているならば、フラップ板が許可位置にある場合にフラップ板に上側から覆われる位置に、無線通信機器が設けられる。フラップ板が許可位置にある場合、フラップ板が無線通信機器を異物との衝突から保護することができる。フラップ板が許可位置にない場合には無線通信機器は車両に上側から覆われるので、無線通信機器を保護することができる。
一方、スロープ部材が非導電性素材で形成されているならば、スロープ部材に上側から覆われる位置に、無線通信機器が設けられる。スロープ部材は揺動しないので、スロープ部材が無線通信機器を常に保護することができる。
【0013】
本開示に係るフラップ装置は、前記駐車スペースにおける車両の有無を検出する車両センサを更に備え、該車両センサは、非導電性素材で形成されている前記フラップ板が前記許可位置にある場合に前記フラップ板に覆われる位置、又は非導電性素材で形成されている前記スロープ部材に覆われる位置に設けられていることを特徴とする。
【0014】
本開示にあっては、フラップ板が非導電性素材で形成されているならば、フラップ板が許可位置にある場合にフラップ板に上側から覆われる位置に、車両センサが設けられる。フラップ板が許可位置にある場合、フラップ板が車両センサを異物との衝突から保護することができる。フラップ板が許可位置にない場合には車両センサは車両に上側から覆われるので、車両センサを保護することができる。
一方、スロープ部材が非導電性素材で形成されているならば、スロープ部材に上側から覆われる位置に、車両センサが設けられる。スロープ部材は揺動しないので、スロープ部材が車両センサを常に保護することができる。
【0015】
車両センサが磁気を利用して車両の有無を検出するループコイルセンサ、磁気センサ等であっても、非導電性素材製の部材は磁気を用いた検出を阻害しないので、車両センサによる車両の有無の誤検出を防止することができる。
【0016】
本開示に係るフラップ装置は、前記非導電性素材は、セルロースナノファイバー、ファインセラミックス、又は炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする。
【0017】
本開示にあっては、フラップ板及びスロープ部材の少なくとも一方が、セルロースナノファイバー製、ファインセラミックス製、又は炭素繊維強化プラスチック製である。
セルロースナノファイバー製品、ファインセラミックス製品、及び炭素繊維強化プラスチック製品は、鉄製品よりも軽く、強度が高く、製造過程における二酸化炭素の排出量が少ない、という利点を夫々有する。
強度的な問題がないので、鉄製のフラップ板又はスロープ部材との置き換えが可能である。また、軽量なので設置前のフラップ装置の持ち運びが容易である。しかも、フラップ装置の製造時の環境への負荷を低減することができる。
【0018】
本開示に係る駐輪装置は、二輪車の車輪を収容するラックと、該ラックに対する二輪車の入出庫に関する情報を送受信するための無線通信部と、該無線通信部を収容しており、非導電性素材で形成されている収容部とを備えることを特徴とする。
【0019】
本開示にあっては、無線通信部を収容している収容部が非導電性素材で形成されているので、収容部が無線通信を阻害する虞はない。故に、ラックに対する二輪車の入出庫に関する情報を無線で送受信することができるので、通信ケーブルの敷設は不要である。従って、駐輪装置の設置工事を簡略化することができるので、駐輪装置の設置工事の工期を短縮することができ、費用を低減することができる。
【0020】
本開示に係る駐輪装置は、前記ラックに一体的に設けられており、該ラックを支持する支持体が前記収容部を兼ねていることを特徴とする。
【0021】
本開示にあっては、ラックを支持する支持体が非導電性素材で形成されており、無線通信部を収容している。故に、支持体とは別の収容部を備える必要がないので、駐輪装置の小型化を図ることができる。
支持体とラックとは互いに一体的に設けられているので、駐輪スペースに支持体を設置することにより、ラックも同時的に設置される。故に、駐輪装置の設置工事を簡略化することができる。
【0022】
本開示に係る駐輪装置は、前記非導電性素材は、セルロースナノファイバー、ファインセラミックス、又は炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする。
【0023】
本開示にあっては、収容部がセルロースナノファイバー製、ファインセラミックス製、又は炭素繊維強化プラスチック製である。このような収容部は、軽く、強度が高く、製造過程における二酸化炭素の排出量が少ない、という利点を有する。
【0024】
本開示に係るフラップ装置の設置方法は、駐車スペースに対する車両の入出庫を許可するための許可位置と、入庫した車両の前記駐車スペースからの出庫を阻止するための阻止位置との間で揺動するフラップ板と、該フラップ板と前記駐車スペースの地面とを結ぶスロープ部材と、前記フラップ板を揺動可能に支持する基体と、前記入出庫に関する情報を送受信するための無線通信機器とを備えるフラップ装置を設置する方法であって、少なくとも一方が非導電性素材で形成されている前記フラップ板と前記スロープ部材とが、入出庫する車両の進退方向に互いに隣り合い、且つ前記入庫した車両の前輪と後輪との間に位置するようにして、前記スロープ部材及び前記無線通信機器を該無線通信機器が前記一方に隣り合うようにして一体的に設けてある前記基体を前記地面に載置し、載置した前記基体を前記地面に固定することを特徴とする。
【0025】
本開示にあっては、作業者が基体を駐車スペースの地面に載置し、固定する。
フラップ板を揺動可能に支持する基体にスロープ部材及び無線通信機器が一体的に設けられているので、これらを個別に設置する必要がない。故に、フラップ装置の設置工事を簡略化することができる。
【0026】
本開示に係るフラップ装置の設置方法は、前記基体を前記地面に載置する際に、前記スロープ部材及び前記無線通信機器と前記駐車スペースにおける車両の有無を検出する車両センサとが一体的に設けられている前記基体を前記地面に載置することを特徴とする。
【0027】
本開示にあっては、フラップ板を揺動可能に支持する基体にスロープ部材、無線通信機器、及び車両センサが一体的に設けられているので、これらを個別に設置する必要がない。故に、フラップ装置の設置工事を更に簡略化することができる。
【発明の効果】
【0028】
本開示のフラップ装置、駐輪装置、及びフラップ装置の設置方法によれば、設置工事を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施の形態1に係るフラップ装置を備える駐車場管理システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図2】フラップ装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図3】フラップ装置の構成を模式的に示す断面図である。
【
図4】フラップ装置の制御系の要部構成を示すブロック図である。
【
図6】実施の形態2に係るフラップ装置の構成を模式的に示す断面図である。
【
図7】実施の形態3に係る駐輪装置を備える駐輪場管理システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図8】駐輪装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図9】駐輪装置の制御系の要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示の実施の形態について説明する。
【0031】
実施の形態 1.
図1は、実施の形態1に係るフラップ装置を備える駐車場管理システムの構成を示すブロック図である。
図中1はフラップ装置であり、フラップ装置1は有料の駐車場2に備え付けられている。
図中3は駐車場管理システムであり、駐車場管理システム3は、複数のフラップ装置1の他、自動車41(車両)の運転者であるユーザが操作する端末装置31とシステム全体を管理する管理サーバ32とを備える。
【0032】
駐車場2は複数の駐車スペース21を有する。各駐車スペース21は一方向に長い矩形であり、駐車場2の地面を例えば白線22で区切ることによって設けられている。
以下では、駐車スペース21の長辺方向を前後方向といい、駐車スペース21の短辺方向を左右方向という。
【0033】
駐車スペース21の後部には、2つの車止め23が左右に並んでいる。駐車スペース21には自動車41が後進して入庫し、自動車41の後輪が車止め23に当接した状態で停車する。
図1に示すフラップ装置1は、駐車スペース21の前後方向中央部に位置し、且つ、駐車スペース21の左辺部から左右方向中央部にわたって配されている。駐車スペース21に自動車41が入庫した場合、フラップ装置1は、自動車41の左側の前輪と左側の後輪との間に位置し、自動車41に上側から覆われる。
【0034】
図2は、フラップ装置1の外観を模式的に示す斜視図である。
図3は、フラップ装置1の構成を模式的に示す断面図である。
図4は、フラップ装置1の制御系の要部構成を示すブロック図である。
フラップ装置1は、基体11、フラップ板12、及びスロープ部材13を備える。
【0035】
図4に示すように、基体11は一方向に長い板状をなす。基体11は、長手方向を左右に向け、一面を上向きにして、駐車スペース21の地面に固定されている。例えば
図3に示すように、駐車スペース21に埋設された雌ネジのアンカー51に、基体11に設けられた貫通孔115(後述する
図5参照)を貫通したボルト52を螺合させることによって、基体11が固定される。
【0036】
図3に示すように、基体11は、中央基板111、左側基板112、及び右側基板113を一体に有する。
中央基板111は、左右方向に長い矩形状をなす。前述した貫通孔115は、中央基板111に複数、互いに離隔して設けられている。左側基板112は中央基板111の左端部に連続し、中央基板111よりも後側まで延びる。右側基板113は中央基板111の右端部に連続し、中央基板111よりも後側まで延びる。
【0037】
基体11の上面には2つの支持部114が設けられている。各支持部114は軸受である。2つの支持部114は、夫々の軸方向が左右に向くようにして、左側基板112及び右側基板113における中央基板111に隣接する位置に1つずつ配されている。
【0038】
図2及び
図4に示すように、フラップ板12は一方向に長い矩形状をなす。
図3及び
図4に示すように、フラップ板12は枢軸121を有する。枢軸121は、フラップ板12の一方の長辺部の両端から、フラップ板12の長手方向に延びる。枢軸121は、基体11の2つの支持部114に回動可能に支持されている。支持部114に支持された枢軸121は、駐車スペース21の地面よりも高い位置にある。
【0039】
フラップ板12は、駐車スペース21に対する自動車41の入出庫を許可するための許可位置と、入庫した自動車41の駐車スペース21からの出庫を阻止するための阻止位置との間で、枢軸121を中心に揺動可能に、基体11に支持されている。
許可位置にあるフラップ板12は、
図3に実線で示してあり、阻止位置にあるフラップ板12は、
図3に二点鎖線で示してある。
【0040】
許可位置にあるフラップ板12の先端部は、基体11の中央基板111の後側にて、駐車スペース21の地面に接触する。許可位置にあるフラップ板12は、後側(先端側)から前側(基端側)に向けて高くなる傾斜姿勢で横臥する。
阻止位置にあるフラップ板12は、先端部を上向きにして起立している。阻止位置にあるフラップ板12の先端部は、フラップ板12の基端部の上側にある。
許可位置から阻止位置へ揺動するフラップ板12の先端部は弧状に上昇し、阻止位置から許可位置へ揺動するフラップ板12の先端部は弧状に下降する。
【0041】
図3及び
図4に示すように、基体11を固定するボルト52は中央基板111に配されており、許可位置にあるフラップ板12によって上側から覆われる。フラップ板12が阻止位置にある場合、ボルト52は自動車41に上側から覆われる。以上の結果、ボルト52を目隠しすることができる。
【0042】
図2に示すように、スロープ部材13は、フラップ板12の基端部と駐車スペース21の地面とを結ぶ。
図3に示すように、スロープ部材13はスロープ本体131と脚部132とを一体に有する。
スロープ本体131は一方向に長い矩形板状をなす。脚部132はスロープ本体131の一方の長辺部からスロープ本体131の一面に交差する方向に突出している。
脚部132は、スロープ本体131の長手方向が左右に向くようにして、フラップ板12の前側にて基体11の中央基板111に固定されている。スロープ本体131の前端部は、基体11の中央基板111の前側にて、駐車スペース21の地面に接触している。
【0043】
フラップ板12が許可位置にある場合、入庫する自動車41の後輪は、フラップ装置1の前側からスロープ部材13を上り、横臥しているフラップ板12を下って、フラップ装置1の後側に移動する。同様に、出庫する自動車41の後輪は、フラップ板12及びスロープ部材13をこの順に乗り越えてフラップ装置1の後側から前側に移動する。
フラップ板12が阻止位置にある場合、不正に出庫しようとする自動車41の後輪は、起立しているフラップ板12に後側から当接するので、フラップ板12を乗り越えられない。
【0044】
スロープ部材13の脚部132が基体11に固定されることにより、基体11の中央基板111とスロープ部材13のスロープ本体131との間に、側面視三角形の空間が形成される。この空間を、以下では収容空間10という。
【0045】
フラップ装置1は制御装置6を備える。
図4に示すように、制御装置6は制御部61及び通信部62と筐体とを備え、制御装置6の筐体に制御部61及び通信部62が収容されている。制御装置6の筐体は非導電性を有する。制御装置6は収容空間10に収容されており、スロープ部材13に上側及び前側から覆われるようにして、基体11の中央基板111に固定されている。
【0046】
制御部61は、フラップ装置1の制御中枢である。制御部61は、図示しない主記憶部を作業領域として用い、図示しない補助記憶部が記憶しているコンピュータプログラムに従って、各種の演算処理及び制御処理等を実行する。
通信部62は、例えばWi-Fi規格に準拠する無線通信機器である。
【0047】
フラップ装置1は、バッテリ14、モータ15、車両センサ16、及び2つのカバー171,172を備える(
図2参照)。
バッテリ14及びモータ15夫々は左側基板112に設けられている。車両センサ16は右側基板113に設けられている。カバー171は、バッテリ14及びモータ15を覆うようにして、左側基板112に取り付けられている。カバー172は、車両センサ16を覆うようにして、右側基板113に取り付けられている。フラップ板12の左右の枢軸121はカバー171,172を貫通している。
左側基板112とカバー171とで覆われた空間、及び、右側基板113とカバー172とで覆われた空間は、何れも収容空間10に連通している。
【0048】
バッテリ14は、モータ15、車両センサ16、及び制御装置6に給電する。バッテリ14から制御装置6及び車両センサ16夫々へ、収容空間10を通って図示しない給電線が配線されている。
【0049】
モータ15はサーボモータである。モータ15の出力は、図示しない減速機を介してフラップ板12の枢軸121に伝達される。モータ15が正逆に回転することによって、フラップ板12は許可位置と阻止位置との間で揺動する。モータ15のサーボロック機能により、許可位置又は阻止位置で停止したフラップ板12は、停止した位置で保持される。
制御装置6の制御部61はモータ15の動作を制御する。
【0050】
車両センサ16は2つのコイルを備え、2つのコイルの間に磁界を発生させる。駐車スペース21に自動車41が入庫している場合、車両センサ16が発生させた磁界は、自動車41を構成する金属部材の影響を受けて変化する。車両センサ16は、磁界が変化したか否かに応じて、自動車41の有無を検出する。
車両センサ16の検出結果は制御装置6の制御部61に入力される。
【0051】
基体11、フラップ板12、スロープ部材13、及びカバー171,172は非導電性素材で形成されている。これらを形成する非導電性素材は、例えばセルロースナノファイバー、ファインセラミックス、又は炭素繊維強化プラスチックである。
【0052】
図1に示す端末装置31は、例えば駐車場提供サービス専用のアプリケーションプログラム(以下、駐車場アプリという)がインストールされているスマートフォンであるが、これに限定されない。
ユーザに操作に応じて、端末装置31は駐車場アプリを実行する。駐車場アプリが実行されている場合、端末装置31はユーザが入力した情報を管理サーバ32に送信し、管理サーバ32から受信した情報を端末装置31のディスプレイに表示する。
【0053】
管理サーバ32は単数のサーバコンピュータであるが、これに限定されず、例えば分散処理を行なう複数のサーバコンピュータ又は複数の仮想マシンでもよい。管理サーバ32は、駐車スペース21の空き情報及び予約情報を管理する処理、並びに駐車料金を管理し決済する処理等を実行する。
【0054】
ネットワーク33は、例えばインターネットであるが、これに限定されない。端末装置31、管理サーバ32、及びフラップ装置1は、ネットワーク33を介して、情報の送受信が可能である。フラップ装置1においては、制御装置6の制御部61が通信部62を用いて無線通信を行なう。
【0055】
自動車41の入出庫のために、端末装置31と管理サーバ32とフラップ装置1との間で、例えば特許文献1に記載されているような情報の送受信が行なわれる。
次に、自動車41の入出庫の手順の一例を簡単に説明する。
【0056】
駐車場2の駐車スペース21には固有の識別情報が割り当てられている。管理サーバ32は、各駐車スペース21が空いているか否かを識別情報に関連付けて管理する。
自動車41の入庫を希望するユーザは、端末装置31を操作することにより、駐車場アプリを用いて、空いている駐車スペース21がある駐車場2を検索し、予約する。このとき、端末装置31から管理サーバ32に所定の予約要求が送られる。
【0057】
端末装置31からの予約要求を受けた管理サーバ32は、駐車場2の駐車スペース21が1つ予約済みであることを記憶する。
予約完了後、ユーザは予約した駐車場2にて、空いている駐車スペース21に自動車41を入庫させる。
【0058】
駐車スペース21に入庫した自動車41を車両センサ16が検出した場合、制御部61は、自動車41の入庫を通知するための入庫通知と駐車スペース21の識別情報とを管理サーバ32に送信する。
識別情報及び入庫通知を受信した管理サーバ32は、フラップ装置1にフラップ板上昇指示を送信すると共に、識別情報に対応する駐車スペース21が使用中であることを記憶する。
フラップ板上昇指示を受けた制御部61は、モータ15の動作を制御することにより、フラップ板12を許可位置から阻止位置に揺動させる。この結果、入庫した自動車41の出庫が不可能になる。
【0059】
自動車41の出庫を希望するユーザは、端末装置31を操作することにより、駐車場アプリを用いて、例えばクレジットカードを用いた駐車料金の精算を行なう。このとき、端末装置31から管理サーバ32に所定の精算要求が送られる。
端末装置31からの精算要求を受けた管理サーバ32は、駐車料金の決済処理を実行し、決済完了後、フラップ装置1の制御部61にフラップ板下降指示を送る。フラップ板下降指示を受けた制御部61は、モータ15の動作を制御することにより、フラップ板12を阻止位置から許可位置に揺動させる。この結果、駐車スペース21からの自動車41の出庫が可能になる。
【0060】
駐車スペース21から自動車41が出庫したことを車両センサ16が検出した場合、制御部61は、自動車41の出庫を通知するための出庫通知と駐車スペース21の識別情報とを管理サーバ32に送信する。管理サーバ32は、受信した識別情報に対応する駐車スペース21が空いていることを記憶する。
識別情報、入庫通知、出庫通知、フラップ板上昇指示、及びフラップ板下降指示は、駐車スペース21に対する自動車41の入出庫に関する情報である。
【0061】
図5は、フラップ装置1の設置方法の説明図である。
作業者は、駐車スペース21の地面に予めアンカー51を埋設しておく。
作業者は、フラップ装置1及びボルト52を準備する。基体11にフラップ板12、スロープ部材13、バッテリ14、モータ15、車両センサ16、カバー171,172、及び制御装置6が一体的に設けられているので、これらを個別に設置する必要はない。また、設置現場にて通信ケーブル及び給電ケーブル夫々の敷設工事を行なう必要はない。
【0062】
フラップ装置1には固有の識別情報が割り当てられている。
作業者が操作する端末装置31には、フラップ装置1の設置のためのアプリケーションプログラムがインストールされている。このアプリケーションプログラムが実行されている端末装置31を操作することにより、作業者は、フラップ装置1の識別情報とフラップ板上昇指示とをフラップ装置1に送る。
【0063】
フラップ板上昇指示を受けた制御部61は、モータ15の動作を制御することにより、フラップ板12を許可位置から阻止位置に揺動させる。この結果、基体11の中央基板111に設けられているボルト52用の貫通孔115が露出する。
次いで、作業者は、フラップ板12が後側に位置し、スロープ部材13が前側に位置する向きで、基体11の貫通孔115とアンカー51の雌ネジとが上下に重なるようにして、基体11を駐車スペース21の地面に載置する。
次に、作業者は、ボルト52を貫通孔115に挿通してアンカー51に螺合させる。この結果、基体11が駐車スペース21の地面に固定される。
【0064】
最後に、作業者は、フラップ装置1の識別情報とフラップ板下降指示とをフラップ装置1に送る。
フラップ板下降指示を受けた制御部61は、モータ15の動作を制御することにより、フラップ板12を阻止位置から許可位置に揺動させる。この結果、ボルト52がフラップ板12に上側から覆われる(
図3参照)。
【0065】
なお、作業者の端末装置31から管理サーバ32にフラップ装置1の識別情報とフラップ板の上昇要求/下降要求が送られ、管理サーバ32からフラップ装置1にフラップ板上昇指示/フラップ板下降指示が送られてもよい。
フラップ装置1の識別情報は駐車スペース21の識別情報と共通でもよい。
ボルト52は、アンカー51を用いることなく、駐車スペース21の地面に直接的に捻じ込まれるタイプのものでもよい。
【0066】
以上のようなフラップ装置1は、通信部62及び車両センサ16を内蔵している。基体11、フラップ板12、スロープ部材13、及びカバー171,172が非導電性素材で形成されているので、これらの部材が通信部62による無線通信及び車両センサ16による車両の検出を阻害する虞はない。
内蔵の通信部62により、駐車スペース21に対する自動車41の入出庫に関する情報を無線で送受信することができる。また、フラップ装置1はバッテリ14を内蔵している。故に、通信ケーブル及び給電ケーブルの敷設が不要なので、フラップ装置1の設置工事を簡略化することができる。この結果、フラップ装置1の敷設工事の工期を短縮することができ、費用を低減することができる。
【0067】
セルロースナノファイバー製、ファインセラミックス製、又は炭素繊維強化プラスチック製の基体11、フラップ板12、スロープ部材13、及びカバー171,172は、鉄製である場合よりも軽く、強度が高く、製造過程における二酸化炭素の排出量が少ない。これらの部材が軽量なので、設置前のフラップ装置1の持ち運びが容易である。しかも、フラップ装置1の製造時の環境への負荷を低減することができる。
【0068】
通信部62は制御装置6ごとスロープ部材13に上側及び前側から覆われている。スロープ部材13は揺動しないので、スロープ部材13が制御装置6を異物との衝突から常に保護することができる。
収容空間10はデッドスペースなので、収容空間10に制御装置6を収容することにより、通信部62の設置スペースを節約することができる。この結果、通信部62を備えているにも関わらず、フラップ装置1の小型化を図ることができる。
【0069】
なお、収容空間10に車両センサ16を収容してもよい。又は、車両センサ16は、駐車スペース21の地面に埋設されてもよい。以上の場合、右側基板113とカバー172とを省略してフラップ装置1を小型化することができる。右側基板113が存在しない場合、右側の支持部114は中央基板111の右端部に設けられる。
【0070】
制御装置6は収容空間10に収容される構成に限定されない。例えば、制御装置6は、左側基板112に設けられてカバー171に覆われるか、又は右側基板113に設けられてカバー172に覆われてもよい。この場合、通信部62は、非導電性素材で形成されているフラップ板12及びスロープ部材13夫々に対し左右方向に隣り合う。
通信部62は制御装置6とは別体でもよい。
通信部62による無線通信及び車両センサ16による自動車41の検出を何れも阻害しないのであれば、基体11、フラップ板12、及びカバー171は導電性素材で形成されていてもよい。
【0071】
フラップ装置1はバッテリ14を内蔵していなくてもよい。ただし、この場合には給電ケーブルの敷設工事が必要である。
基体11をボルト52で駐車スペース21の地面に固定するための貫通孔115は、中央基板111のフラップ板12に覆われる部分に設けられている構成に限定されない。例えば基体11の、カバー171,172、フラップ板12、及びスロープ部材13の何れにも覆われない部分に設けられてもよい。この場合、フラップ装置1の設置のためのアプリケーションプログラムは不要である。
駐車場2は、駐車スペース21を1つだけ設けてある構成でもよい。
【0072】
実施の形態 2.
本実施の形態のフラップ装置1は、車両センサ16の配置を除き、実施の形態1のフラップ装置1と略同様である。本実施の形態のフラップ装置1の設置方法は、実施の形態1のフラップ装置1の設置方法と略同様である。本実施の形態のフラップ装置1及びフラップ装置1の設置方法は、実施の形態1のフラップ装置1及びフラップ装置1の設置方法と略同様の作用効果を奏する。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0073】
図6は、実施の形態2に係るフラップ装置1の構成を模式的に示す断面図である。
本実施の形態のフラップ装置1は、右側基板113とカバー172とを備えておらず、フラップ装置1が小型化されている。
車両センサ16は、中央基板111におけるスロープ部材13よりも後側の部分に設けられている。車両センサ16は、許可位置にあるフラップ板12に上側から覆われる位置にある。フラップ板12が許可位置にない場合、車両センサ16は自動車41に上側から覆われる。車両センサ16はフラップ板12又は自動車41によって異物との衝突から保護される。故に、車両センサ16を別途カバーで覆う必要がない。
【0074】
なお、制御装置6が、中央基板111におけるスロープ部材13よりも後側の部分に設けられ、許可位置にあるフラップ板12に上側から覆われる位置に配されてもよい。
【0075】
実施の形態 3.
図7は、実施の形態3に係る駐輪装置を備える駐輪場管理システムの要部構成を示すブロック図である。
図中7は駐輪装置であり、駐輪装置7は有料の駐輪場20に備え付けられている。
図7に示す駐輪場管理システムは、複数の駐輪装置7の他、自転車42(二輪車)の運転者であるユーザが操作する端末装置31とシステム全体を管理する管理サーバ32とを備える。
【0076】
端末装置31は、駐輪場提供サービス専用のアプリケーションプログラム(以下、駐輪場アプリという)がインストールしてあることを除けば、実施の形態1の端末装置31と同様である。
管理サーバ32は、駐輪場20の空き情報及び予約情報を管理する処理、並びに駐輪料金を管理し決済する処理等を実行することを除けば、実施の形態1の管理サーバ32と同様である。
【0077】
図8は、駐輪装置7の外観を模式的に示す斜視図である。
図9は、駐輪装置7の制御系の要部構成を示すブロック図である。
駐輪装置7は2つの制御装置6を備える。各制御装置6は非導電性を有する筐体を備え、制御装置6の筐体に制御部61及び通信部62(無線通信部)が収容されている。制御部61及び通信部62は実施の形態1の制御部61及び通信部62と同様である。
図7に示すネットワーク33は、実施の形態1のネットワーク33と同様である。端末装置31、管理サーバ32、及び駐輪装置7は、ネットワーク33を介して、情報の送受信が可能である。駐輪装置7においては、制御装置6の制御部61が通信部62を用いて無線通信を行なう。
【0078】
図8に示すように、駐輪装置7は、支持体71(収容部)、2つのラック72、及び2つのロック部材73を備える。
支持体71は、筐体711及び2本の柱体712を備える。
筐体711は一方向に長く、長手方向を左右に向けて、駐輪場20の地面に固定されている。
【0079】
柱体712は筒状をなし、筐体711の上面から垂直に立ち上がる。2本の柱体712は左右に並ぶ。一方の柱体712は他方の柱体712よりも長い。各柱体712には制御装置6が収容されている(
図9参照)。
筐体711の内部空間と各柱体712の内部空間とは互いに連通している。
支持体71は、セルロースナノファイバー、ファインセラミックス、又は炭素繊維強化プラスチック等の非導電性素材で形成されている。
【0080】
ラック72は、柱体712毎に設けられている。ラック72は、ラック本体721、ガイドレール722、ストッパ723、及び支持柵724を備える。
ラック本体721は溝状部材であり、長さ方向が前後に向くようにして、柱体712の先端部に固定されている。ラック本体721は、
図7に示す自転車42の前輪421(車輪)を収容する。ラック本体721の内底面には、
図9に示すペダル761が設けられている。
【0081】
図8に示すように、ガイドレール722は溝状部材である。ガイドレール722は、底壁がラック本体721の後端と駐輪場20の地面とを前後に結ぶ傾斜面になるようにして、ラック本体721に連続している。自転車42の前輪421はガイドレール722の底壁上を転動する。ガイドレール722は、ラック本体721に対する前輪421の入退出を案内する。
【0082】
ストッパ723は、ラック本体721とガイドレール722との境界部分に設けられている。ストッパ723は、ラック本体721に収容された前輪421がガイドレール722に後戻りすることを阻止する。前輪421は、ラック本体721に対する入退出時に、ストッパ723を乗り越える。
【0083】
支持柵724は、ラック本体721及びガイドレール722夫々の側壁に立設された複数本の支柱と、支柱の先端同士を結ぶ棒状部とを備え、ラック本体721の前部とラック本体721及びガイドレール722夫々の左右両側部とを囲っている。支持柵724は、ラック本体721に収容された前輪421を支持して、前輪421がラック本体721から前方又は側方に脱落することを阻止する。同様に、支持柵724は、ガイドレール722上を転動する前輪421がガイドレール722から側方に脱落することを阻止する。
【0084】
ロック部材73はラック72毎に設けられている。ロック部材73は、ラック本体721に収容された前輪421を、解放可能にロックする。ロック部材73は、例えば2つのアーム731を備える。2つのアーム731は、柱体712から夫々突出しており、先端同士が接離する。ラック本体721が前輪421を収容している場合に2つのアーム731の先端同士が接触することにより、ロック部材73は、前輪421のスポーク間を貫通する環状となる。ロック部材73が前輪421をロックすることにより、ラック72から自転車42が不正に出庫することが阻止される。
【0085】
図9に示すように、駐輪装置7は、バッテリ74、2つのモータ75、及び2つの車輪センサ76を備える。
バッテリ74は、支持体71の筐体711に収容されており、モータ75、車輪センサ76、及び制御装置6に給電する。
【0086】
モータ75はラック72毎に設けられており、支持体71の柱体712に収容されている。モータ75はサーボモータであり、正逆に回転することによって、ロック部材73の2つのアーム731の先端同士を接離させる。
制御装置6の制御部61はモータ75の動作を制御する。
【0087】
車輪センサ76はラック72毎に設けられており、支持体71の柱体712に収容されている。車輪センサ76は、ラック72における自転車42の有無を検出する。車輪センサ76は例えばスイッチであり、ラック本体721のペダル761が前輪421に踏まれている場合にオンになり、踏まれていない場合にオフになる。車輪センサ76がオンである場合、ラック本体721が前輪421を収容しているので、ラック72に自転車42が入庫している。車輪センサ76がオフである場合、ラック本体721が前輪421を収容していないので、ラック72に自転車42が入庫していない。
車輪センサ76の検出結果は制御装置6の制御部61に入力される。
【0088】
ロック部材73、バッテリ74、モータ75、及び車輪センサ76は、実施の形態1のフラップ板12、バッテリ14、モータ15、及び車両センサ16に対応する。
【0089】
ここで、自転車42の入出庫の手順の一例を簡単に説明する。
駐輪場20のラック72には固有の識別情報が割り当てられている。管理サーバ32は、各ラック72が空いているか否かを識別情報に関連付けて管理する。
自転車42の入庫を希望するユーザは、端末装置31を操作することにより、駐輪場アプリを用いて、空いているラック72がある駐輪場20を検索し、予約する。このとき、端末装置31から管理サーバ32に所定の予約要求が送られる。
【0090】
端末装置31からの予約要求を受けた管理サーバ32は、駐輪場20のラック72が1つ予約済みであることを記憶する。
予約完了後、ユーザは予約した駐輪場20にて自転車42を手で押して前進させ、空いているラック72を入庫させる。このとき、前輪421がガイドレール722に沿って転動し、ストッパ723を乗り越えてラック本体721に進入し、収容される。
【0091】
ラック72に入庫した自転車42を車輪センサ76が検出した場合、制御部61は、自転車42の入庫を通知するための入庫通知とラック72の識別情報とを管理サーバ32に送信する。
識別情報及び入庫通知を受信した管理サーバ32は、駐輪装置7にロック実行指示を送信すると共に、識別情報に対応するラック72が使用中であることを記憶する。
ロック実行指示を受けた制御部61は、モータ75の動作を制御することにより、ロック部材73を用いて、ラック本体721に収容された前輪421をロックする。
【0092】
自転車42の出庫を希望するユーザは、端末装置31を操作することにより、駐輪場アプリを用いて、例えばクレジットカードを用いた駐輪料金の精算を行なう。このとき、端末装置31から管理サーバ32に所定の精算要求が送られる。
端末装置31からの精算要求を受けた管理サーバ32は、駐輪料金の決済処理を実行し、決済完了後、駐輪装置7の制御部61にロック解除指示を送る。ロック解除指示を受けた制御部61は、モータ75の動作を制御することにより、ロック部材73による前輪421のロックを解除する。
【0093】
ユーザは、自転車42を手で引いて後退させ、ラック72から出庫させる。このとき、前輪421がストッパ723を乗り越えてラック本体721からガイドレール722に退出し、更に、ガイドレール722から駐輪場20の地面に退出する。
【0094】
ラック72から自転車42が出庫したことを車輪センサ76が検出した場合、制御部61は、自転車42の出庫を通知するための出庫通知とラック72の識別情報とを管理サーバ32に送信する。管理サーバ32は、受信した識別情報に対応するラック72が空いていることを記憶する。
識別情報、入庫通知、出庫通知、ロック実行指示、及びロック解除指示は、ラック72に対する自転車42の入出庫に関する情報である。
【0095】
以上のような駐輪装置7の設置は、駐輪場20の地面に支持体71を固定することによって行なわれる。支持体71にラック72、ロック部材73、バッテリ74、モータ75、車輪センサ76、及び制御装置6が一体的に設けられているので、これらを個別に設置する必要はない。また、設置現場にて通信ケーブル及び給電ケーブル夫々の敷設工事を行なう必要はない。
【0096】
以上のような駐輪装置7は、通信部62を内蔵している。通信部62は制御装置6ごと支持体71の柱体712に収容されている。支持体71は非導電性素材で形成されているので、通信部62による無線通信を阻害する虞はない。
内蔵の通信部62により、ラック72に対する自転車42の入出庫に関する情報を無線で送受信することができる。また、駐輪装置7はバッテリ74を内蔵している。故に、通信ケーブル及び給電ケーブルの敷設が不要なので、駐輪装置7の設置工事を簡略化することができる。この結果、駐輪装置7の敷設工事の工期を短縮することができ、費用を低減することができる。
【0097】
セルロースナノファイバー製、ファインセラミックス製、又は炭素繊維強化プラスチック製の支持体71は、鉄製である場合よりも軽く、強度が高く、製造過程における二酸化炭素の排出量が少ない。
支持体71が軽量なので、設置前の駐輪装置7の持ち運びが容易である。しかも、駐輪装置7の製造時の環境への負荷を低減することができる。
【0098】
通信部62を収容する収容部を支持体71とは別に備える必要はない。また、柱体712の内部空間はデッドスペースなので、柱体712の内部空間に制御装置6を収容することにより、通信部62の設置スペースを節約することができる。以上の結果、通信部62を備えているにも関わらず、駐輪装置7の小型化を図ることができる。
【0099】
なお、支持体71の筐体711に制御装置6を収容してもよい。
駐輪装置7はバッテリ74を内蔵していなくてもよい。ただし、この場合には給電ケーブルの敷設工事が必要である。
駐輪装置7は、1つだけラック72を備える構成でもよく、3つ以上のラック72を備える構成でもよい。
【0100】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
各実施の形態に開示されている構成要件(技術的特徴)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせによって新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 フラップ装置
11 基体
12 フラップ板
13 スロープ部材
16 車両センサ
21 駐車スペース
41 自動車(車両)
42 自転車(二輪車)
421 前輪(車輪)
62 通信部(無線通信機器,無線通信部)
7 駐輪装置
71 支持体(収容部)
72 ラック