IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本プラスト株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ステアリングホイール 図1
  • 特開-ステアリングホイール 図2
  • 特開-ステアリングホイール 図3
  • 特開-ステアリングホイール 図4
  • 特開-ステアリングホイール 図5
  • 特開-ステアリングホイール 図6
  • 特開-ステアリングホイール 図7
  • 特開-ステアリングホイール 図8
  • 特開-ステアリングホイール 図9
  • 特開-ステアリングホイール 図10
  • 特開-ステアリングホイール 図11
  • 特開-ステアリングホイール 図12
  • 特開-ステアリングホイール 図13
  • 特開-ステアリングホイール 図14
  • 特開-ステアリングホイール 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079014
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
B62D1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192400
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】石下 大輔
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 秀明
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DA52
3D030DA55
3D030DA56
3D030DB13
(57)【要約】
【課題】所望の箇所に、より適切な振動を伝えることが可能なステアリングホイールを提供する。
【解決手段】ステアリングホイール1は、芯金20を有するステアリングホイール本体10を備えている。また、芯金20は、ハブ芯金21を備えている。また、芯金20は、第1リム芯金221と、第1リム芯金221をハブ芯金21に連結する第1スポーク芯金222と、を有する第1連結部22を備えている。さらに、芯金20は、第1リム芯金221とは離間した状態で配置される第2リム芯金231と、第2リム芯金231をハブ芯金21に連結する第2スポーク芯金232と、を有する第2連結部23を備えている。そして、第1連結部22には、第1連結部22を振動させることが可能な第1振動子71が少なくとも1つ設けられており、第2連結部23には、第2連結部23を振動させることが可能な第2振動子72が少なくとも1つ設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金を有するステアリングホイール本体を備え、
前記芯金は、
ハブ芯金と、
前記ステアリングホイール本体のリムの一部を構成する第1リム芯金と、前記第1リム芯金を前記ハブ芯金に連結する第1スポーク芯金と、を有する第1連結部と、
前記第1リム芯金とは離間した状態で配置され、前記リムの一部を構成する第2リム芯金と、前記第2リム芯金を前記ハブ芯金に連結する第2スポーク芯金と、を有する第2連結部と、
を備えており、
前記第1連結部には、前記第1連結部を振動させることが可能な第1振動子が少なくとも1つ設けられており、
前記第2連結部には、前記第2連結部を振動させることが可能な第2振動子が少なくとも1つ設けられている、
ステアリングホイール。
【請求項2】
前記ステアリングホイール本体を正位置にした状態で乗員側から見たときに、前記第1連結部が左側に配置されており、前記第2連結部が右側に配置されている、
請求項1に記載のステアリングホイール。
【請求項3】
前記第1リム芯金と前記第2リム芯金との間に一対の離間部が形成されており、
前記ステアリングホイール本体を正位置にした状態で乗員側から見たときに、前記離間部が前記リムの上端と下端にそれぞれ形成されている、
請求項2に記載のステアリングホイール。
【請求項4】
前記リムが周状に繋がっている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングホイールとして、下記の特許文献1に開示されているように、ステアリングホイールに電気式アクチュエータ等の振動子を取り付け、振動子を振動させることでステアリングホイール全体に振動を伝達させるようにしたものが提案されている。そして、振動子によりステアリングホイール全体に伝達された振動を、リムを握る乗員が感知することで、何らかの異常が生じた等、伝達したい事柄を乗員に伝えることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07-010007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、上記従来の技術では、ステアリングホイールを振動させることで何らかの事柄を乗員に伝えることができるようにしている。
【0005】
また、ステアリングホイールの振動を乗員に伝える場合、ステアリングホイールに複数の振動子を設けることで様々な事柄を乗員に伝えることができるようにすることが考えられる。例えば、乗員に伝えたい事柄に応じて振動させる振動子を切り替えてステアリングホイールの異なる部位を振動させることで、様々な事柄を乗員に伝えることができるようにすることが考えられる。
【0006】
このように、乗員に伝えたい事柄に応じてステアリングホイールの異なる部位を振動させる場合、振動させたい部位をより適切に振動させることができるようにするのが好ましい。
【0007】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、所望の箇所に、より適切な振動を伝えることが可能なステアリングホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に係るステアリングホイールは、芯金を有するステアリングホイール本体を備え、前記芯金は、ハブ芯金と、前記ステアリングホイール本体のリムの一部を構成する第1リム芯金と、前記第1リム芯金を前記ハブ芯金に連結する第1スポーク芯金と、を有する第1連結部と、前記第1リム芯金とは離間した状態で配置され、前記リムの一部を構成する第2リム芯金と、前記第2リム芯金を前記ハブ芯金に連結する第2スポーク芯金と、を有する第2連結部と、を備えており、前記第1連結部には、前記第1連結部を振動させることが可能な第1振動子が少なくとも1つ設けられており、前記第2連結部には、前記第2連結部を振動させることが可能な第2振動子が少なくとも1つ設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所望の箇所に、より適切な振動を伝えることが可能なステアリングホイールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るステアリングホイールの一例を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る芯金の一例を示す斜視図である。
図3】第1変形例に係るステアリングホイールを示す図であって、芯金、第1振動子および第2振動子を示す平面図である。
図4】第2変形例に係るステアリングホイールを示す図であって、芯金、第1振動子および第2振動子を示す平面図である。
図5】第3変形例に係るステアリングホイールを示す図であって、芯金、第1振動子および第2振動子を示す平面図である。
図6】第4変形例に係るステアリングホイールを示す図であって、芯金、第1振動子および第2振動子を示す平面図である。
図7】第5変形例に係るステアリングホイールを示す図であって、芯金、第1振動子および第2振動子を示す平面図である。
図8】第6変形例に係るステアリングホイールを示す図であって、芯金、第1振動子、第2振動子および第3振動子を示す平面図である。
図9】第7変形例に係るステアリングホイールを示す図であって、芯金、第1振動子および第2振動子を示す平面図である。
図10】第8変形例に係るステアリングホイールを示す図であって、芯金、第1振動子および第2振動子を示す平面図である。
図11】第9変形例に係るステアリングホイールを示す図であって、芯金、第1振動子および第2振動子を示す平面図である。
図12】第10変形例に係るステアリングホイールを示す図であって、芯金、第1振動子および第2振動子を示す平面図である。
図13】第11変形例に係るステアリングホイールを示す図であって、芯金、第1振動子および第2振動子を示す平面図である。
図14】第12変形例に係るステアリングホイールを示す図であって、芯金、第1振動子、第2振動子および第3振動子を示す平面図である。
図15】第13変形例に係るステアリングホイールを示す図であって、芯金、第1振動子、第2振動子、第3振動子および第4振動子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本実施形態に係るステアリングホイールについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0012】
また、以下では、ステアリングシャフトに取り付けたステアリングホイールを運転者(乗員)側から見た状態で上下方向を規定して説明する。また、車両の前側すなわち前側上方のフロントガラス側を背面側(前側)、車両の後側すなわち後側下方を正面側(後側:手前側)として説明する。
【0013】
本実施形態に係るステアリングホイール1は、図1に示すように、ステアリングホイール本体10を備えている。このステアリングホイール本体10は、自動車(車両)等に装備されるハンドルとしての機能を有しており、通常、自動車(車両)等に傾斜した状態で取り付けられるステアリングシャフト(図示せず)に装着されるものである。
【0014】
ステアリングホイール本体10は、図1に示すように、リム40とスポーク部50とボス部60とを備えている。
【0015】
リム40は、本実施形態では、図示省略したステアリングシャフトの軸方向に沿って見た状態で略円環状をしており、リム40の周方向に垂直な平面で切断した断面形状が略円形をしている。このリム40は、自動車(車両)等のハンドルのグリップ部(把持部)を構成するものである。
【0016】
リム40は、本実施形態では、内側に配置される金属製のリム芯金41と、リム芯金41の外周を覆う樹脂製のリム被覆部42と、を備えている。
【0017】
リム芯金41は、ステアリングシャフトの軸方向に沿って見た状態で一部(本実施形態では、上下の2か所)が途切れた略円環状をしている。なお、図1には、リム40の周方向に垂直な平面で切断した断面形状が中実の円形となるリム芯金41を例示したが、リム芯金41の断面形状は、中実の円形とする必要はなく、例えば、断面逆U字状等、様々な形状とすることが可能である。
【0018】
一方、リム被覆部42は、リム芯金41の全体を覆うように形成されており、リム芯金41の全体をリム被覆部42で覆うことで、ステアリングシャフトの軸方向に沿って見た状態で全周が繋がった略円環状のリム40が形成されるようにしている。このリム被覆部42は、例えば、軟質の発泡ポリウレタン樹脂を微細発泡させた被覆樹脂と、天然皮革や合成皮革などの皮革、あるいは合成樹脂などによりシート状に形成された表皮体と、で構成することができる。このように、被覆樹脂と表皮体とでリム被覆部42を構成した場合、表皮体が運転者(乗員)により直接把持される部分となり、ステアリングホイール1の加飾部としての機能を有する部分となる。このとき、表皮体と樹脂被覆部との間に、発熱体としての電熱線を有するシート状ヒータ部材を介在させることで、ステアリングホイール1を温めることができるようにしてもよい。
【0019】
スポーク部50は、リム40とボス部60とを連結する部材であり、リム40のリム芯金41とボス部60の後述するボスプレート61とを連結する金属製のスポーク芯金51と、スポーク芯金51を被覆する樹脂製のスポーク被覆部52と、を備えている。
【0020】
スポーク芯金51は、ボスプレート61から円環状のリム40の径方向外側に向けて、放射状に延びるように設けられている。本実施形態では、2つのスポーク芯金51が、ボスプレート61から右方向および左方向にそれぞれ延びるように設けられており、2つのスポーク芯金51がそれぞれ下方向に延びるように設けられている。このように、本実施形態では、4本のスポーク芯金51のそれぞれがリム芯金41の内周側と連結している。なお、スポーク芯金51は、すべてのスポーク部50が備えている必要はなく、一部のスポーク部50を、スポーク芯金51を用いずにフィニッシャやカバー体などにより構成することも可能である。
【0021】
一方、スポーク被覆部52は、少なくともスポーク芯金51の正面側(後側:手前側)を覆うように設けられている。このスポーク被覆部52は、例えば、軟質の発泡ポリウレタン樹脂を微細発泡させたもので形成することができる。なお、スポーク被覆部52は、上述したリム被覆部42と一体に形成することも可能であるし、リム被覆部42とは別体に形成することも可能である。
【0022】
また、ボス部60は、スポーク芯金51が連結される金属製のボスプレート61を備えている。なお、ボスプレート61の車体側となる背面側(前側)には金属製のボス(図示せず)が取り付けられている。また、ボスプレート61の乗員側には、樹脂製のパッド体(図示せず)が装着されている。
【0023】
ボスプレート61は、略矩形状の平板で形成されており、厚さ方向をステアリングシャフト(図示せず)の軸方向に略一致させた状態でリム40よりも背面側(前側)に配置されている。このように、リム40よりも背面側(前側)にボスプレート61を配置することで、ボスプレート61の正面側(後側:手前側)にエアバッグ装置やホーンスイッチ装置等の装置を配置する空間が確保されるようにしている。
【0024】
上述したように、本実施形態では、ステアリングホイール本体10は、リム芯金41と、ボスプレート61と、リム芯金41とボスプレート61とを連結するスポーク芯金51と、を備えている。そして、リム芯金41、スポーク芯金51およびボスプレート61が一体化されており、リム芯金41とスポーク芯金51とボスプレート61とで1つの芯金20を形成している。このように、本実施形態に係るステアリングホイール本体10は、芯金20を備えている。
【0025】
ここで、本実施形態では、ステアリングホイール1が、ステアリングホイール本体10に振動を伝達することが可能な振動子70を備えるようにしている。そして、振動子70を作動させることで振動を発生させ、発生させた振動をステアリングホイール本体10に伝達することで、リム40を握る乗員に感知させて、何らかの異常が生じた等、伝達したい事柄を乗員に伝えることができるようにしている。
【0026】
このような振動を発生させる振動子70としては、例えば、アクチュエータやそれに準じた振動出力装置を用いることができる。
【0027】
さらに、本実施形態では、ステアリングホイール1が複数の振動子70を備えるようにし、様々な事柄を乗員に伝えることができるようにしている。具体的には、乗員に伝えたい事柄に応じて振動させる振動子70を切り替えて、ステアリングホイール1の異なる部位を振動させるようにしている。そして、乗員に伝えたい事柄に応じてステアリングホイール1の異なる部位を振動させることで、様々な事柄を乗員に伝えることができるようにしている。
【0028】
さらに、乗員に伝えたい事柄に応じてステアリングホイール1の異なる部位を振動させる際に、振動させたい部位をより適切に振動させることができるようにしている。
【0029】
具体的には、芯金20が、ハブ芯金21と、ハブ芯金21に連結される第1連結部22と、第1連結部22とは独立した状態でハブ芯金21に連結される第2連結部23と、を備えるようにしている。ここで、本実施形態では、ステアリングシャフトに固定されるボスプレート61をハブ芯金21として機能させている。
【0030】
そして、第1連結部22に、第1連結部22を振動させることが可能な第1振動子71が少なくとも1つ設けられるようにし、第2連結部23に、第2連結部23を振動させることが可能な第2振動子72が少なくとも1つ設けられるようにしている。
【0031】
こうすることで、ステアリングホイール本体10が、互いに独立した状態でハブ芯金21に連結される第1連結部22と第2連結部23とを備えるようにしている。そして、第1振動子71を作動させることで、第1振動子71によって第1連結部22に振動が伝達されるようにし、第2振動子72を作動させることで、第2振動子72によって第2連結部23に振動が伝達されるようにしている。
【0032】
このような構成とすることで、第1振動子71によって第1連結部22に伝達される振動が、ステアリングシャフトに固定されたハブ芯金21を介して第2連結部23に伝達されるようにしている。同様に、第2振動子72によって第2連結部23に伝達される振動が、ステアリングシャフトに固定されたハブ芯金21を介して第1連結部22に伝達されるようにしている。こうすることで、第1連結部22に振動を伝達する場合に、第1振動子71によって生じた振動が第2連結部23に伝達されてしまうことを、より確実に抑制できるようにしている。同様に、第2連結部23に振動を伝達する場合に、第2振動子72によって生じた振動が第1連結部22に伝達されてしまうことを、より確実に抑制できるようにしている。
【0033】
こうすれば、ステアリングホイール本体10の振動させたい部位をより適切に振動させることができるようになって、乗員が、ステアリングホイール1の何れの部位が振動しているのかを、より正確に判断することができるようになる。その結果、伝えたい事柄をより確実に乗員に伝えることができるようになる。
【0034】
さらに、本実施形態では、第1連結部22が、リム40の一部を構成する第1リム芯金221と、第1リム芯金221をハブ芯金21に連結する第1スポーク芯金222と、を備えるようにしている。そして、第2連結部23が、第1リム芯金221とは離間した状態で配置され、リム40の一部を構成する第2リム芯金231と、第2リム芯金231をハブ芯金21に連結する第2スポーク芯金232と、を備えるようにしている。
【0035】
このように、本実施形態では、リム芯金41が、互いに離間した状態で配置される第1リム芯金221と第2リム芯金231とを備えるようにしている。言い換えると、リム芯金41は、少なくとも2ヶ所の離間部30,30を有している。具体的には、第1リム芯金221と第2リム芯金231との間に一対の離間部30,30が形成されるように、第1リム芯金221および第2リム芯金231を形成している。
【0036】
そして、本実施形態では、図1および図2に示すように、第1リム芯金221が、4本のスポーク芯金51のうち左側に位置する2本のスポーク芯金51によってハブ芯金21(ボスプレート61)に連結されている。すなわち、4本のスポーク芯金51のうち、ボスプレート61から左方向に延びるスポーク芯金51と、下方向に延びる2本のスポーク芯金51のうち左側に位置するスポーク芯金51とが、第1スポーク芯金222となっている。
【0037】
一方、第2リム芯金231が、4本のスポーク芯金51のうち右側に位置する2本のスポーク芯金51によってハブ芯金21(ボスプレート61)に連結されている。すなわち、4本のスポーク芯金51のうち、ボスプレート61から右方向に延びるスポーク芯金51と、下方向に延びる2本のスポーク芯金51のうち右側に位置するスポーク芯金51とが、第2スポーク芯金232となっている。
【0038】
なお、上述した右側および左側は、ステアリングホイール本体10を正位置にした状態で乗員側から見たときにおける右側および左側のことである。ここで、ステアリングホイール本体10の正位置とは、ステアリングホイール1を回転させていない状態におけるステアリングホイール本体10の位置、すなわち、直進走行が行われる状態におけるステアリングホイール本体10の位置のことである。
【0039】
そして、2本の第1スポーク芯金222のうち下方向に延びる第1スポーク芯金222に、第1振動子71が取り付けられるようにしている。本実施形態では、下方向に延びる第1スポーク芯金222にはボルト挿通孔222aが形成されており、このボルト挿通孔222aにボルト80を挿入することで、下方向に延びる第1スポーク芯金222に第1振動子71が取り付けられている。
【0040】
また、2本の第2スポーク芯金232のうち下方向に延びる第2スポーク芯金232に、第2振動子72が取り付けられるようにしている。本実施形態では、下方向に延びる第2スポーク芯金232にはボルト挿通孔232aが形成されており、このボルト挿通孔232aにボルト80を挿入することで、下方向に延びる第2スポーク芯金232に第2振動子72が取り付けられている。
【0041】
こうすることで、第1連結部22に、第1連結部22を振動させることが可能な第1振動子71が少なくとも1つ設けられるようにし、第2連結部23に、第2連結部23を振動させることが可能な第2振動子72が少なくとも1つ設けられるようにしている。
【0042】
さらに、本実施形態では、ステアリングホイール本体10を正位置にした状態で乗員側から見たときに、離間部30がリム40の上端と下端にそれぞれ形成されるようにしている。すなわち、正位置のステアリングホイール本体10の12時(0時)の位置と6時の位置に離間部30がそれぞれ形成されるようにしている。こうすることで、正位置のステアリングホイール本体10を乗員側から見た状態で、第1連結部22の全体がステアリングホイール本体10の左側の領域に位置し、第2連結部23の全体がステアリングホイール本体10の右側の領域に位置するようにしている。すなわち、ステアリングホイール本体10を正位置にした状態で乗員側から見たときに、第1連結部22が左側に配置されており、第2連結部23が右側に配置されるようにしている。
【0043】
こうすることで、第1連結部22の振動を左手で感知し、第2連結部23の振動を右手で感知することができるようにしている。
【0044】
このように、本実施形態では、第1連結部22と第2連結部23とがステアリングシャフトに固定されるハブ芯金21にそれぞれ独立した状態で連結されるようにし、一方に振動を伝達させる際には、他方側へはハブ芯金21を介して伝達されるようにしている。そして、一方に振動を伝達させる際における他方側への振動の伝達を抑制できるようにしている。こうすることで、ステアリングホイール本体10の所望の箇所に、より適切な振動を伝えることができるようにしている。
【0045】
乗員に伝えたい様々な事柄としては、例えば、車両の左側に危険が存在すること、車両の右側に危険が存在すること等があげられる。この場合、車両が左側の危険を検知した際には、第1振動子71を作動させて、ステアリングホイール本体10の左側半分に振動を伝達させるようにすることができる。そして、車両が右側の危険を検知した際には、第2振動子72を作動させて、ステアリングホイール本体10の右側半分に振動を伝達させるようにすることができる。
【0046】
このように、ステアリングホイール本体10の左右半分の何れかに振動を伝達できるようにし、振動を検知した方向に危険が存在することを乗員に知らせるようにすれば、車両の左右何れかに危険が存在することを乗員が的確に判断することができるようになる。
【0047】
なお、2つの離間部30の位置は様々な位置とすることが可能である。
【0048】
また、ステアリングホイール1の構成は、上述した実施形態に限られるものではなく、様々な構成とすることができる。
【0049】
例えば、図3から図7に示す構成とすることが可能である。
【0050】
図3から図7に示す芯金20は、上記実施形態で示した芯金20と同一の構成をしている。そして、図3から図7においても、第1連結部22に、第1連結部22を振動させることが可能な第1振動子71が少なくとも1つ設けられるようにし、第2連結部23に、第2連結部23を振動させることが可能な第2振動子72が少なくとも1つ設けられるようにしている。
【0051】
ここで、図3から図7においては、第1振動子71が取り付けられる位置や第2振動子72が取り付けられる位置が異なっている。
【0052】
このように、第1振動子71は第1連結部22の様々な部位に設けることができるし、第2振動子72は第2連結部23の様々な部位に設けることができる。
【0053】
また、図8に示す構成とすることも可能である。図8では、芯金20が、第3リム芯金241と第3スポーク芯金242とを有する第3連結部24を備えており、リム芯金41に、3つの離間部30が形成されるようになっている。なお、図8では、正位置のステアリングホイール本体10の12時(0時)の位置と4時の位置と8時の位置に離間部30がそれぞれ形成されるようにしているが、3つの離間部30の位置は様々な位置とすることが可能である。
【0054】
そして、第3連結部24には、第3連結部24を振動させることが可能な第3振動子73が少なくとも1つ設けられるようにしている。なお、第1から第3振動子71から73が取り付けられる位置は、図8に示す位置に限らず、様々な位置とすることが可能である。また、第3連結部24に振動子を設けないようにすることも可能である。
【0055】
また、図9から図13に示す構成とすることも可能である。図3から図8では、4本のスポーク芯金51を有するものを例示したが、図9から図13では、2本のスポーク芯金51を有している。すなわち、図9から図13では、1つの第1リム芯金221と1本の第1スポーク芯金222とで第1連結部22が形成されており、1つの第2リム芯金231と1本の第2スポーク芯金232とで第2連結部23が形成されている。そして、図9から図13においても、第1連結部22に、第1連結部22を振動させることが可能な第1振動子71が少なくとも1つ設けられるようにし、第2連結部23に、第2連結部23を振動させることが可能な第2振動子72が少なくとも1つ設けられるようにしている。
【0056】
ここで、図9から図13においては、第1振動子71が取り付けられる位置や第2振動子72が取り付けられる位置が異なっている。
【0057】
また、図14に示す構成とすることも可能である。図14では、芯金20が、第3リム芯金241と第3スポーク芯金242とを有する第3連結部24を備えており、リム芯金41に、3つの離間部30が形成されるようになっている。なお、図14では、正位置のステアリングホイール本体10の3時の位置と6時の位置と9時の位置に離間部30がそれぞれ形成されるようにしているが、3つの離間部30の位置は様々な位置とすることが可能である。また、図14では、1つの第1リム芯金221と2本の第1スポーク芯金222とで第1連結部22が形成されており、1つの第2リム芯金231と2本の第2スポーク芯金232とで第2連結部23が形成されている。そして、1つの第3リム芯金241と2本の第3スポーク芯金242とで第3連結部24が形成されている。
【0058】
そして、第3連結部24には、第3連結部24を振動させることが可能な第3振動子73が少なくとも1つ設けられるようにしている。なお、第1から第3振動子71から73が取り付けられる位置は、図14に示す位置に限らず、様々な位置とすることが可能である。また、第3連結部24に振動子を設けないようにすることも可能である。
【0059】
また、図15に示す構成とすることも可能である。図15では、芯金20が、第3リム芯金241と第3スポーク芯金242とを有する第3連結部24と、第4リム芯金251と第4スポーク芯金252とを有する第4連結部25と、を備えている。すなわち、リム芯金41に、4つの離間部30が形成されるようになっている。なお、図15では、正位置のステアリングホイール本体10の12時(0時)の位置と3時の位置と6時の位置と9時の位置に離間部30がそれぞれ形成されるようにしているが、3つの離間部30の位置は様々な位置とすることが可能である。また、図15では、1つの第1リム芯金221と2本の第1スポーク芯金222とで第1連結部22が形成されており、1つの第2リム芯金231と2本の第2スポーク芯金232とで第2連結部23が形成されている。そして、1つの第3リム芯金241と2本の第3スポーク芯金242とで第3連結部24が形成されており、1つの第4リム芯金251と2本の第4スポーク芯金252とで第4連結部25が形成されている。
【0060】
そして、第3連結部24には、第3連結部24を振動させることが可能な第3振動子73が少なくとも1つ設けられるようにしている。同様に、第4連結部25には、第4連結部25を振動させることが可能な第4振動子74が少なくとも1つ設けられるようにしている。なお、第1から第4振動子71から74が取り付けられる位置は、図15に示す位置に限らず、様々な位置とすることが可能である。また、第3連結部24に振動子を設けないようにすることも可能であるし、第4連結部25に振動子を設けないようにすることも可能である。
【0061】
図3図15に示す構成としても、上記実施形態で示した構成とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0062】
以下では、上記実施形態およびその変形例で示したステアリングホイール1の特徴的構成およびそれにより得られる効果を説明する。
【0063】
本実施形態およびその変形例で示したステアリングホイール1は、芯金20を有するステアリングホイール本体10を備えている。また、芯金20は、ハブ芯金21と、ハブ芯金21に連結される第1連結部22と、ハブ芯金21に連結される第2連結部23と、を備えている。
【0064】
ここで、第1連結部22は、ステアリングホイール本体10のリム40の一部を構成する第1リム芯金221と、第1リム芯金221をハブ芯金21に連結する第1スポーク芯金222と、を有している。
【0065】
一方、第2連結部23は、第1リム芯金221とは離間した状態で配置され、リム40の一部を構成する第2リム芯金231と、第2リム芯金231をハブ芯金21に連結する第2スポーク芯金232と、を有している。
【0066】
そして、第1連結部22には、第1連結部22を振動させることが可能な第1振動子71が少なくとも1つ設けられており、第2連結部23には、第2連結部23を振動させることが可能な第2振動子72が少なくとも1つ設けられている。
【0067】
このように、本実施形態およびその変形例で示した芯金ステアリングホイール1は、互いに独立した状態でハブ芯金21に連結される第1連結部22と第2連結部23とを備えている。そして、第1連結部22および第2連結部23には、それぞれの連結部を振動させることが可能な振動子(第1振動子71および第2振動子72)がそれぞれ設けられている。
【0068】
こうすることで、第1振動子71を作動させた場合には、第1連結部22が第1振動子71によって振動するようにしている。そして、第1振動子71によって生じた振動が、第1連結部22における第1振動子71の近傍から遠方に向かって伝達されるようにしている。このとき、第1振動子71によって生じた振動の第2連結部23への伝達は、主としてハブ芯金21を介して行われることになるため、第1振動子71によって生じた振動をハブ芯金21によって減衰させた状態で第2連結部23に伝達させることが可能になる。同様に、第2振動子72を作動させた場合には、第2振動子72によって生じた振動をハブ芯金21によって減衰させた状態で第1連結部22に伝達させることが可能になる。
【0069】
このように、本実施形態およびその変形例で示したステアリングホイール1では、振動子(第1振動子71および第2振動子72)を作動させた際に、ステアリングホイール本体10の所定の部位以外への振動の伝達を抑制することができるようになっている。そのため、より適切に、ステアリングホイールの所定の部位(振動させたい所望の部位)に振動を伝達させることができるようになる。
【0070】
このように、本実施形態およびその変形例で示したステアリングホイール1とすれば、所望の箇所に、より適切な振動を伝えることができるようになる。
【0071】
その結果、乗員が、ステアリングホイール1の何れの部位が振動しているのかを、より正確に判断することができるようになって、伝えたい事柄をより確実に乗員に伝えることができるようになる。
【0072】
さらに、本実施形態およびその変形例で示したステアリングホイール1では、第1連結部22と第2連結部23とを互いに独立した状態でハブ芯金21に連結させるだけで、所望の箇所に、より適切な振動を伝えられるようにしている。したがって、本実施形態およびその変形例で示したステアリングホイール1とすれば、構成の簡素化を図りつつ、所望の箇所に、より適切な振動を伝えることができるようになるという利点もある。
【0073】
また、ステアリングホイール本体10を正位置にした状態で乗員側から見たときに、第1連結部22が左側に配置されており、第2連結部23が右側に配置されるようにしてもよい。
【0074】
こうすれば、第1連結部22の振動を左手で感知し、第2連結部23の振動を右手で感知することが可能になるため、より確実に異なる情報を乗員に伝達することが可能になる。
【0075】
また、第1リム芯金221と第2リム芯金231との間に一対の離間部30,30が形成されていてもよい。そして、ステアリングホイール本体10を正位置にした状態で乗員側から見たときに、離間部30がリム40の上端と下端にそれぞれ形成されていてもよい。
【0076】
こうすれば、リム40の一部を構成するリム芯金を左右に分割しつつ、左右のリム芯金の大きさをできるだけ大きくすることが可能になる。そのため、リム40の剛性が低下してしまうことを抑制しつつ、所望の箇所に、より適切な振動を伝えることが可能になる。
【0077】
また、リム40が周状に繋がっていてもよい。
【0078】
このように、リム40が周状に繋がっていたとしても、第1連結部22と第2連結部23とを互いに独立した状態でハブ芯金21に連結させるようにすれば、所望の箇所に、より適切な振動を伝えることができるようになる。
【0079】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0080】
例えば、上記実施形態およびその変形例で示した構成を適宜組み合わせた構成とすることが可能である。
【0081】
また、上記実施形態およびその変形例では、リム40が円環状をしており、周状に繋がっているものを例示したが、リム40の形状はこのような形状に限られるものではなく、様々な形状とすることが可能である。例えば、楕円状(非円形)のリムとすることも可能であるし、一部が連続していない(周状に繋がっていない)リムとすることも可能である。
【0082】
また、スポーク部50は、ステアリングホイール1のデザインなどに応じて、その位置や数を任意に設定することが可能である。
【0083】
また、ステアリングホイール1は、自動車などの車両だけでなく、任意の乗物のステアリング用のハンドルとして用いることができる。
【0084】
また、ステアリングホイール本体や芯金、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 ステアリングホイール
10 ステアリングホイール本体
20 芯金
21 ハブ芯金
22 第1連結部
221 第1リム芯金
222 第1スポーク芯金
23 第2連結部
231 第2リム芯金
232 第2スポーク芯金
30 離間部(リム芯金が存在しない部位)
40 リム
71 第1振動子
72 第2振動子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15