(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079064
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】バックアップ電源システム
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20230531BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
H02J9/06 110
H02J1/00 306L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192486
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】明石 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】永冨 雄太
(72)【発明者】
【氏名】中村 政富美
(72)【発明者】
【氏名】中世 政利
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義宏
【テーマコード(参考)】
5G015
5G165
【Fターム(参考)】
5G015FA16
5G015GB05
5G015HA15
5G015HA16
5G015JA08
5G015JA60
5G165CA01
5G165DA01
5G165DA02
5G165EA02
5G165HA16
5G165JA04
(57)【要約】
【課題】回路の小型化を図ったバックアップ電源システムを提供する。
【解決手段】第1のトランジスタTr13と第2のトランジスタTr14とは、第2の電界効果トランジスタSW3のソースと基準電位との間に直列に接続され、第2の電界効果トランジスタSW3のゲートにそれぞれのエミッタが接続される。第1ドライブ回路21は、電流指令値S11と第2の電界効果トランジスタSW3に流れる電流の電流値とに基づく駆動信号S12を第1及び第2のトランジスタTr13,Tr14のベースに出力することによって第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で動作させる。第2ドライブ回路22は、第2のトランジスタTr14のコレクタ・ベース間に接続された第1のスイッチング素子Q14を有する。制御部10から入力されるオン信号Sonによって第1のスイッチング素子Q14がオンになると第2の電界効果トランジスタSW3がオンになる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源が接続される第1接続端子と、
負荷が接続される第2接続端子と、
前記第1接続端子と前記第2接続端子との間に接続される第1の電界効果トランジスタと、
前記第1の電界効果トランジスタ及び前記第2接続端子の接続点と蓄電デバイスとの間に接続されるNチャネル型の第2の電界効果トランジスタと、
制御部と、
前記第2の電界効果トランジスタを駆動するドライブ回路と、を備え、
前記主電源が失陥していない非失陥状態において、前記制御部は、前記第1の電界効果トランジスタをオンに制御し、前記ドライブ回路を制御して前記第2の電界効果トランジスタを能動領域で動作させることによって、前記主電源から前記第1の電界効果トランジスタと前記第2の電界効果トランジスタとを通る充電経路を介して前記蓄電デバイスを充電し、
前記主電源が失陥している失陥状態において、前記制御部は、前記第1の電界効果トランジスタをオフに制御し、前記ドライブ回路を制御して前記第2の電界効果トランジスタをオンに制御することによって、前記蓄電デバイスから前記第2の電界効果トランジスタを通るバックアップ経路を介して前記負荷に電力を供給し、
前記ドライブ回路は、
制御電源の正極と負極との間に直列に接続されて、前記第2の電界効果トランジスタのゲートにそれぞれのエミッタが接続された第1のトランジスタと第2のトランジスタとのプッシュプル回路と、
前記第2の電界効果トランジスタを能動領域で動作させるための第1ドライブ回路と、
前記第2の電界効果トランジスタをオンにする第2ドライブ回路と、
前記第2の電界効果トランジスタをオフにする第3ドライブ回路と、を有し、
前記第1ドライブ回路は、前記制御部から入力される電流指令値と前記第2の電界効果トランジスタに流れる電流の電流値とに基づく駆動信号を前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのベースに出力することによって前記第2の電界効果トランジスタを能動領域で動作させ、
前記第2ドライブ回路は、前記第1のトランジスタのコレクタ・ベース間に接続され、前記制御部から入力されるオン信号によってオンになる第1のスイッチング素子を有する、
バックアップ電源システム。
【請求項2】
前記第3ドライブ回路は、前記第2のトランジスタのコレクタ・ベース間に接続されたインピーダンス要素を有する、
請求項1に記載のバックアップ電源システム。
【請求項3】
前記第3ドライブ回路は、前記第2のトランジスタのコレクタ・ベース間に接続された第2のスイッチング素子を有し、
前記第2のスイッチング素子が前記制御部から入力されるオフ信号によってオンになることで、前記第2の電界効果トランジスタがオフになる、
請求項1に記載のバックアップ電源システム。
【請求項4】
前記第3ドライブ回路は、
前記第2のトランジスタのコレクタ・ベース間に接続されたインピーダンス要素と、
前記第2のトランジスタのコレクタ・ベース間に接続された第2のスイッチング素子と、を有し、
前記第2のスイッチング素子が前記制御部から入力されるオフ信号によってオンになることで、前記第2の電界効果トランジスタがオフになる、
請求項1に記載のバックアップ電源システム。
【請求項5】
主電源が接続される第1接続端子と、
負荷が接続される第2接続端子と、
前記第1接続端子と前記第2接続端子との間に接続される第1の電界効果トランジスタと、
前記第1の電界効果トランジスタ及び前記第2接続端子の接続点と蓄電デバイスとの間に接続されるPチャネル型の第2の電界効果トランジスタと、
制御部と、
前記第2の電界効果トランジスタを駆動するドライブ回路と、を備え、
前記主電源が失陥していない非失陥状態において、前記制御部は、前記第1の電界効果トランジスタをオンに制御し、前記ドライブ回路を制御して前記第2の電界効果トランジスタを能動領域で動作させることによって、前記主電源から前記第1の電界効果トランジスタと前記第2の電界効果トランジスタとを通る充電経路を介して前記蓄電デバイスを充電し、
前記主電源が失陥している失陥状態において、前記制御部は、前記第1の電界効果トランジスタをオフに制御し、前記ドライブ回路を制御して前記第2の電界効果トランジスタをオンに制御することによって、前記蓄電デバイスから前記第2の電界効果トランジスタを通るバックアップ経路を介して前記負荷に電力を供給し、
前記ドライブ回路は、
前記第2の電界効果トランジスタのソースと基準電位との間に直列に接続されて、前記第2の電界効果トランジスタのゲートにそれぞれのエミッタが接続された第1のトランジスタと第2のトランジスタとのプッシュプル回路と、
前記第2の電界効果トランジスタを能動領域で動作させる第1ドライブ回路と、
前記第2の電界効果トランジスタをオンにする第2ドライブ回路と、
前記第2の電界効果トランジスタをオフにする第3ドライブ回路と、を有し、
前記第1ドライブ回路は、前記制御部から入力される電流指令値と前記第2の電界効果トランジスタに流れる電流の電流値とに基づく駆動信号を前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのベースに出力することによって前記第2の電界効果トランジスタを能動領域で動作させ、
前記第2ドライブ回路は、前記第2のトランジスタのコレクタ・ベース間に接続され、前記制御部から入力されるオン信号によってオンになる第1のスイッチング素子を有する、
バックアップ電源システム。
【請求項6】
前記第3ドライブ回路は、前記第1のトランジスタのコレクタ・ベース間に接続されたインピーダンス要素を有する、
請求項5に記載のバックアップ電源システム。
【請求項7】
前記第3ドライブ回路は、前記第1のトランジスタのコレクタ・ベース間に接続された第2のスイッチング素子を有し、
前記第2のスイッチング素子が前記制御部から入力されるオフ信号によってオンになることで、前記第2の電界効果トランジスタがオフになる、
請求項5に記載のバックアップ電源システム。
【請求項8】
前記第3ドライブ回路は、
前記第1のトランジスタのコレクタ・ベース間に接続されたインピーダンス要素と、
前記第1のトランジスタのコレクタ・ベース間に接続された第2のスイッチング素子と、を有し、
前記第2のスイッチング素子が前記制御部から入力されるオフ信号によってオンになることで、前記第2の電界効果トランジスタがオフになる、
請求項5に記載のバックアップ電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バックアップ電源システムに関する。より詳細には、本開示は、主電源の失陥時に負荷に対して電力を供給するバックアップ電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、主電源部の電源バックアップユニットを開示する。特許文献1に記載の電源バックアップユニットは、主電源部から、ダイオードと、電流制御スイッチを構成するPチャネルFETと、充電制御回路を構成するPチャネルFETとを介して補助電源部を充電する充電経路を有している。補助電源部から、負荷である電子制御部に電力供給を行う場合は、補助電源部から、充電制御回路を構成するPチャネルFETに並列接続されたダイオードと、電流制御スイッチを構成するPチャネルFETとを経由するバップアップ経路を介して電子制御部に電力供給を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の電源バックアップユニット(バックアップ電源システム)において、電流制御スイッチを構成するPチャネルFET、及び充電制御回路を構成するPチャネルFET等を駆動する回路を小型化したいという要望があった。
【0005】
本開示の目的は、回路の小型化を図ったバックアップ電源システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様のバックアップ電源システムは、第1接続端子と、第2接続端子と、第1の電界効果トランジスタと、Nチャネル型の第2の電界効果トランジスタと、制御部と、ドライブ回路と、を備える。前記第1接続端子には主電源が接続される。前記第2接続端子には負荷が接続される。前記第1の電界効果トランジスタは、前記第1接続端子と前記第2接続端子との間に接続される。前記第2の電界効果トランジスタは、前記第1の電界効果トランジスタ及び前記第2接続端子の接続点と蓄電デバイスとの間に接続される。前記ドライブ回路は前記第2の電界効果トランジスタを駆動する。前記主電源が失陥していない非失陥状態において、前記制御部は、前記第1の電界効果トランジスタをオンに制御し、前記ドライブ回路を制御して前記第2の電界効果トランジスタを能動領域で動作させることによって、充電経路を介して前記蓄電デバイスを充電する。前記充電経路は、前記主電源から前記第1の電界効果トランジスタと前記第2の電界効果トランジスタとを通る経路である。前記主電源が失陥している失陥状態において、前記制御部は、前記第1の電界効果トランジスタをオフに制御し、前記ドライブ回路を制御して前記第2の電界効果トランジスタをオンに制御することによって、バックアップ経路を介して前記負荷に電力を供給する。前記バックアップ経路は、前記蓄電デバイスから前記第2の電界効果トランジスタを通る経路である。前記ドライブ回路は、第1のトランジスタと第2のトランジスタとのプッシュプル回路と、第1ドライブ回路と、第2ドライブ回路と、第3ドライブ回路と、を有する。前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとの前記プッシュプル回路は、制御電源の正極と負極との間に直列に接続される。前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとは、前記第2の電界効果トランジスタのゲートにそれぞれのエミッタが接続されている。前記第2ドライブ回路は前記第2の電界効果トランジスタをオンにする。前記第3ドライブ回路は前記第2の電界効果トランジスタをオフにする。前記第1ドライブ回路は、前記制御部から入力される電流指令値と前記第2の電界効果トランジスタに流れる電流の電流値とに基づく駆動信号を前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのベースに出力することによって前記第2の電界効果トランジスタを能動領域で動作させる。前記第2ドライブ回路は、前記第1のトランジスタのコレクタ・ベース間に接続され、前記制御部から入力されるオン信号によってオンになる第1のスイッチング素子を有する。
【0007】
本開示の一態様のバックアップ電源システムは、第1接続端子と、第2接続端子と、第1の電界効果トランジスタと、Pチャネル型の第2の電界効果トランジスタと、制御部と、ドライブ回路と、を備える。前記第1接続端子には主電源が接続される。前記第2接続端子には負荷が接続される。前記第1の電界効果トランジスタは、前記第1接続端子と前記第2接続端子との間に接続される。前記第2の電界効果トランジスタは、前記第1の電界効果トランジスタ及び前記第2接続端子の接続点と蓄電デバイスとの間に接続される。前記ドライブ回路は前記第2の電界効果トランジスタを駆動する。前記主電源が失陥していない非失陥状態において、前記制御部は、前記第1の電界効果トランジスタをオンに制御し、前記ドライブ回路を制御して前記第2の電界効果トランジスタを能動領域で動作させることによって、充電経路を介して前記蓄電デバイスを充電する。前記充電経路は、前記主電源から前記第1の電界効果トランジスタと前記第2の電界効果トランジスタとを通る経路である。前記主電源が失陥している失陥状態において、前記制御部は、前記第1の電界効果トランジスタをオフに制御し、前記ドライブ回路を制御して前記第2の電界効果トランジスタをオンに制御することによって、バックアップ経路を介して前記負荷に電力を供給する。前記バックアップ経路は、前記蓄電デバイスから前記第2の電界効果トランジスタを通る経路である。前記ドライブ回路は、第1のトランジスタと第2のトランジスタとのプッシュプル回路と、第1ドライブ回路と、第2ドライブ回路と、第3ドライブ回路と、を有する。前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとの前記プッシュプル回路は、前記第2の電界効果トランジスタのソースと基準電位との間に直列に接続される。前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとは、前記第2の電界効果トランジスタのゲートにそれぞれのエミッタが接続されている。前記第2ドライブ回路は前記第2の電界効果トランジスタをオンにする。前記第3ドライブ回路は前記第2の電界効果トランジスタをオフにする。前記第1ドライブ回路は、前記制御部から入力される電流指令値と前記第2の電界効果トランジスタに流れる電流の電流値とに基づく駆動信号を前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのベースに出力することによって前記第2の電界効果トランジスタを能動領域で動作させる。前記第2ドライブ回路は、前記第2のトランジスタのコレクタ・ベース間に接続され、前記制御部から入力されるオン信号によってオンになる第1のスイッチング素子を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、回路の小型化を図ったバックアップ電源システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1に係るバックアップ電源システムの概要を示す回路図である。
【
図2】
図2は、同上のバックアップ電源システムの概略的な回路図である。
【
図3】
図3は、同上のバックアップ電源システムの具体回路図である。
【
図4】
図4は、同上のバックアップ電源システムの動作を説明する説明図である。
【
図5】
図5は、同上のバックアップ電源システムの動作を説明する説明図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態2に係るバックアップ電源システムの具体回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、バックアップ電源システムの実施形態を説明する。以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態のバックアップ電源システム1は、
図1に示すように、第1接続端子T1と、第2接続端子T2と、第1の電界効果トランジスタSW1と、電界効果トランジスタSW2と、第2の電界効果トランジスタSW3と、制御部10と、を備える。また、バックアップ電源システム1は、第2の電界効果トランジスタSW3を駆動するドライブ回路20を更に備える。なお、ドライブ回路20については「(2.1)構成」において詳しく説明する。また、以下では、第1の電界効果トランジスタSW1を電界効果トランジスタSW1と略称し、第2の電界効果トランジスタSW3を電界効果トランジスタSW3と略称する場合もある。
【0012】
第1接続端子T1には主電源2が接続される。第2接続端子T2には負荷4が接続される。第1の電界効果トランジスタSW1は、第1接続端子T1と第2接続端子T2との間に接続される。電界効果トランジスタSW2及びPチャネル型の第2の電界効果トランジスタSW3の直列回路は、第1の電界効果トランジスタSW1及び第2接続端子T2の接続点P1と蓄電デバイス3との間に接続される。電界効果トランジスタSW2が備えるボディダイオードD2は、接続点P1から蓄電デバイス3に電流が流れる向きに接続され、第2の電界効果トランジスタSW3が備えるボディダイオードD3は、蓄電デバイス3から接続点P1に電流が流れる向きに接続される。
【0013】
主電源2が失陥していない非失陥状態において、制御部10は、第1の電界効果トランジスタSW1をオンに制御し、ドライブ回路20を制御して第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で動作させることによって、充電経路RT1を介して蓄電デバイス3を充電する。充電経路RT1は、主電源2から第1の電界効果トランジスタSW1と電界効果トランジスタSW2と第2の電界効果トランジスタSW3とを通って蓄電デバイス3に電流が流れる経路である。また、主電源2が失陥している失陥状態において、制御部10が、第1の電界効果トランジスタSW1をオフ、電界効果トランジスタSW2をオンに制御し、ドライブ回路20を制御して第2の電界効果トランジスタSW3をオンにすることによって、蓄電デバイス3からバックアップ経路RT2を介して負荷4に電力を供給する。失陥状態において、蓄電デバイス3からの放電電流が負荷4に流れる経路は、バックアップ経路RT2を含み得る。バックアップ経路RT2は、蓄電デバイス3から第2の電界効果トランジスタSW3と電界効果トランジスタSW2とを通って負荷4に電流が流れる経路である。
【0014】
非失陥状態では、主電源2から第1の電界効果トランジスタSW1を介して負荷4に電力が供給され、主電源2から蓄電デバイス3に充電電流が流れて蓄電デバイス3が充電される。本実施形態のバックアップ電源システム1は、失陥状態において、蓄電デバイス3から負荷4に給電するために用いられる。
【0015】
ここにおいて、主電源2が失陥する失陥状態とは、主電源2の故障、劣化又は断線等によって、主電源2から負荷4への電力の供給が停止している状態である。主電源2が失陥していない非失陥状態は、主電源2から負荷4に電力が供給され、負荷4が主電源2から供給される電力で動作可能な状態である。制御部10が電界効果トランジスタSW1~SW3をオンに制御するとは、電界効果トランジスタSW1~SW3を飽和領域で動作させることをいう。また、制御部10が電界効果トランジスタSW1~SW3をオフに制御するとは、電界効果トランジスタSW1~SW3を遮断領域で動作させることをいう。なお、電界効果トランジスタSW1~SW3が遮断領域に制御されている状態でも、電界効果トランジスタSW1~SW3はボディダイオードD1~D3を備えているため、ボディダイオードD1~D3を介して順方向の電流を流すことができる。
【0016】
また、制御部10は、蓄電デバイス3に流れる充電電流を制御するために第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で動作させる。制御部10は、例えば、蓄電デバイス3の充電電圧が所定の目標値(目標電圧値)に到達するまでは電流制御を実行する。また、制御部10は、例えば、蓄電デバイス3の充電電圧が目標値に到達した後は、セルの内部抵抗成分による放電で電圧が低下しないように定電圧制御を実行して、充電電圧を一定に維持する制御(例えばトリクル充電)を行う。制御部10は、電流制御又は定電圧制御を実行するために、第2の電界効果トランジスタSW3を飽和領域又は能動領域(線形領域)で動作させ、第2の電界効果トランジスタSW3に流れる電流の大きさを制御する。
【0017】
上述のように、本実施形態のバックアップ電源システム1は、充電経路RT1とバックアップ経路RT2とで電界効果トランジスタSW2と第2の電界効果トランジスタSW3とを共用しているので、電界効果トランジスタの個数を削減できる。したがって、回路基板において電界効果トランジスタを実装する実装スペースを小さくでき、回路基板の小型化を実現できるという利点がある。
【0018】
また、充電経路RT1は、主電源2から第1の電界効果トランジスタSW1と電界効果トランジスタSW2と第2の電界効果トランジスタSW3とを通って蓄電デバイス3に電流が流れる経路である。第1の電界効果トランジスタSW1と電界効果トランジスタSW2とをオンにすれば、ダイオードの順方向電圧による電圧降下が発生しない。また、制御部10は第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で動作させるので、第2の電界効果トランジスタSW3のオン抵抗は小さく、第2の電界効果トランジスタSW3で発生する電圧降下はダイオードの順方向電圧に比べて小さくなる。したがって、充電経路RT1を介して蓄電デバイス3を充電する場合に、ダイオードの順方向電圧による電圧降下が発生しないので、蓄電デバイス3の充電電圧の低下を抑制できる。
【0019】
また、バックアップ経路RT2は、蓄電デバイス3から第2の電界効果トランジスタSW3と電界効果トランジスタSW2とを通って負荷4に電流が流れる経路である。第2の電界効果トランジスタSW3と電界効果トランジスタSW2とをオンにすれば、ダイオードの順方向電圧による電圧降下が発生しないので、負荷4に供給する電圧の低下を抑制できる。
【0020】
このように、充電経路RT1及びバックアップ経路RT2のそれぞれでダイオードの順方向電圧による電圧降下が発生しないので、バックアップ給電を行う場合に負荷4に供給する電圧の低下を抑制できるという利点がある。
【0021】
(2)詳細
以下、本実施形態に係るバックアップ電源システム1について図面を参照して詳しく説明する。
【0022】
(2.1)構成
図2は、上述したバックアップ電源システム1(
図1参照)の具体回路図である。バックアップ電源システム1は、上述のように、第1接続端子T1と、第2接続端子T2と、第1の電界効果トランジスタSW1と、電界効果トランジスタSW2と、第2の電界効果トランジスタSW3と、制御部10と、蓄電デバイス3と、ドライブ回路20と、を備える。また、バックアップ電源システム1は、電流検出抵抗R1と、失陥検知部11と、充電電圧検出部14と、を更に備えている。
【0023】
蓄電デバイス3は、例えば、急速な充放電が可能な電気二重層キャパシタ(EDLC:Electrical Double Layer Capacitor)である。蓄電デバイス3は、電気的に並列又は、直列に接続された2個以上の蓄電装置(例えば電気二重層キャパシタ)にて構成されていてもよいし、電気的に並列かつ直列に接続された複数の蓄電装置(例えば電気二重層キャパシタ)にて構成されていてもよい。すなわち、蓄電デバイス3は、2個以上の蓄電装置の並列回路若しくは直列回路、又はその組み合わせによって実現されてもよい。
【0024】
第1接続端子T1には、車両が備える主スイッチMS1を介して、車両のバッテリのような主電源2が接続されている。主スイッチMS1がオンになると、主電源2から主スイッチMS1を介して第1接続端子T1に電源電圧V1が入力される。
【0025】
第2接続端子T2には、負荷4が接続される。負荷4は、例えば車両に搭載された電動ブレーキシステムである。なお、負荷4は電動ブレーキシステムに限定されず、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)関連の制御系又は駆動系の装置でもよい。
【0026】
電界効果トランジスタSW1~SW3は、例えばPチャネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。
【0027】
第1の電界効果トランジスタSW1のドレインは第1接続端子T1に接続され、第1の電界効果トランジスタSW1のソースは第2接続端子T2に接続されている。第1の電界効果トランジスタSW1のボディダイオードD1は、第1接続端子T1から第2接続端子T2に電流が流れる向きに接続されている。
【0028】
電界効果トランジスタSW2のドレインは接続点P1に接続され、電界効果トランジスタSW2のソースは電流検出抵抗R1を介して第2の電界効果トランジスタSW3のソースに接続されている。第2の電界効果トランジスタSW3のドレインは蓄電デバイス3の正極側の端子に接続されている。蓄電デバイス3の負極側の端子はバックアップ電源システム1の基準電位に接続されている。ここで、電界効果トランジスタSW2がオフの状態では、電界効果トランジスタSW2のボディダイオードD2が、蓄電デバイス3から接続点P1に向かって電流が流れるのを阻止する。また、第2の電界効果トランジスタSW3がオフの状態では、第2の電界効果トランジスタSW3のボディダイオードD3が、接続点P1から蓄電デバイス3に向かって電流が流れるのを阻止する。
【0029】
失陥検知部11は、検出部12と、比較部13と、を備える。
【0030】
検出部12は、第1接続端子T1に入力される電源電圧V1の電圧値を検出する。
【0031】
比較部13は、検出部12によって検出された電源電圧V1の電圧値と閾値との高低を比較することによって、主電源2が失陥している失陥状態であるか主電源2が失陥していない非失陥状態であるかを検出する。比較部13は、失陥状態又は非失陥状態の検出結果を制御部10に出力する。
【0032】
閾値は、非失陥状態とみなせる電圧範囲の下限値であり、例えば、主電源2の定格電圧よりも低い値に設定されている。なお、閾値は、失陥状態が発生したことを検知するための第1閾値と、失陥状態から非失陥状態に復帰したことを検知する第2閾値とを含んでもよい。第1閾値と第2閾値とは同じ値でもよいし、異なる値でもよい。
【0033】
充電電圧検出部14は、検出部15と、比較部16と、を備える。
【0034】
検出部15は、第2の電界効果トランジスタSW3と蓄電デバイス3との接続点の電圧値、つまり蓄電デバイス3の両端間の電圧である充電電圧V2の電圧値を検出する。
【0035】
比較部16は、検出部15によって検出された充電電圧V2の電圧値と目標電圧値との高低を比較し、比較結果を制御部10に出力する。
【0036】
制御部10は、第1の電界効果トランジスタSW1、電界効果トランジスタSW2、及び第2の電界効果トランジスタSW3を制御する。なお、制御部10は、ドライブ回路20の動作を制御することによって、第2の電界効果トランジスタSW3を制御する。
【0037】
ここで、ドライブ回路20の具体回路を
図3等に基づいて説明する。なお、
図3では主スイッチMS1、失陥検知部11、及び充電電圧検出部14の図示を省略している。
【0038】
ドライブ回路20は、プッシュプル回路24と、第1ドライブ回路21と、第2ドライブ回路22と、第3ドライブ回路23と、を備える。
【0039】
プッシュプル回路24は、第2の電界効果トランジスタSW3のソースと基準電位との間に直列に接続された第1のトランジスタTr13と第2のトランジスタTr14とを有する。第1のトランジスタTr13は例えばnpn形のバイポーラトランジスタ、第2のトランジスタTr14はpnp形のバイポーラトランジスタである。第1のトランジスタTr13と第2のトランジスタTr14とは、ベース同士が接続されるとともに、エミッタ同士が接続されており、第1のトランジスタTr13と第2のトランジスタTr14とでプッシュプル回路24が構成されている。第1のトランジスタTr13及び第2のトランジスタTr14のそれぞれのエミッタは第2の電界効果トランジスタSW3のゲートに接続されている。
【0040】
第1ドライブ回路21は、第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で動作させる。第1ドライブ回路21は、例えば、電流検出アンプA11と、差動アンプA12と、基準電圧源V10と、を備えている。
【0041】
電流検出アンプA11は、電流検出抵抗R1の両端電圧を増幅し、第2の電界効果トランジスタSW3に流れる電流(蓄電デバイス3に流れる充電電流、又は蓄電デバイス3から流れる放電電流)の大きさに比例した電圧を出力する。
【0042】
基準電圧源V10は、出力電圧が可変の電圧源である。基準電圧源V10は、制御部10から入力される電流指令値S11に応じて、電流指令値S11に比例した大きさの直流電圧を出力する。
【0043】
差動アンプA12は、電流検出アンプA11の出力電圧と基準電圧源V10の出力電圧との差電圧に比例した電圧信号である駆動信号S12を出力する。差動アンプA12の出力端子は、抵抗R13を介して、第1のトランジスタTr13及び第2のトランジスタTr14のベースに接続されている。
【0044】
このように、第1ドライブ回路21は、制御部10から入力される電流指令値S11と第2の電界効果トランジスタSW3に流れる電流の電流値とに基づく駆動信号S12を、第1のトランジスタTr13及び第2のトランジスタTr14のベースに出力することによって第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で動作させる。
【0045】
ここで、第2の電界効果トランジスタSW3に流れる電流の電流値が、電流指令値S11に対応する電流値よりも高ければ、電流検出アンプA11の出力電圧が基準電圧源V10の出力電圧よりも高くなる。この場合、差動アンプA12から出力される駆動信号S12の電圧値が上昇し、プッシュプル回路24の出力電圧が上昇するので、第2の電界効果トランジスタSW3のゲート・ソース間電圧が低下して、第2の電界効果トランジスタSW3に流れる電流が低下する。
【0046】
また、第2の電界効果トランジスタSW3に流れる電流の電流値が、電流指令値S11に対応する電流値よりも低くなると、電流検出アンプA11の出力電圧が基準電圧源V10の出力電圧よりも低くなる。この場合、差動アンプA12から出力される駆動信号S12の電圧値が低下し、プッシュプル回路24の出力電圧が低下するので、第2の電界効果トランジスタSW3のゲート・ソース間電圧が増加して、第2の電界効果トランジスタSW3に流れる電流が増加する。
【0047】
つまり、第1ドライブ回路21は、第2の電界効果トランジスタSW3に流れる電流が電流指令値S11に応じた電流値となるように、第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域(線形領域)で制御する。
【0048】
第2ドライブ回路22は、第2の電界効果トランジスタSW3をオンにする。第2ドライブ回路22は、第2のトランジスタTr14のコレクタ・ベース間に接続され、制御部10から入力されるオン信号Sonによってオンになる第1のスイッチング素子Q14を有する。第1のスイッチング素子Q14は、例えばNチャネル型のMOSFETで構成されている。
【0049】
第1のスイッチング素子Q14は、制御部10から入力されるオン信号Sonによってオンになる。第1のスイッチング素子Q14がオンになると、第1のトランジスタTr13及び第2のトランジスタTr14のベース電位が基準電位となり、プッシュプル回路24の出力電圧が基準電位に等しくなる。これにより、第2の電界効果トランジスタSW3のゲート・ソース間にピンチオフ電圧を超える電圧が印加され、第2の電界効果トランジスタSW3が飽和状態で動作、つまりオンになる。第1のスイッチング素子Q14は第2のトランジスタTr14の後段に設けられているので、第2の電界効果トランジスタSW3の電極間にスイッチング素子を接続する場合に比べて、第1のスイッチング素子Q14を小容量のスイッチング素子で実現でき、回路の小型化を図ることができる。
【0050】
第3ドライブ回路23は、第2の電界効果トランジスタSW3をオフにする。
【0051】
第3ドライブ回路23は、第1のトランジスタTr13のコレクタ・ベース間に接続されたインピーダンス要素(例えば抵抗R14)と、第1のトランジスタTr13のコレクタ・ベース間に接続された第2のスイッチング素子Q13と、を有する。第2のスイッチング素子Q13が制御部10から入力されるオフ信号Soffによってオンになることで、第2の電界効果トランジスタSW3がオフになる。第2のスイッチング素子Q13は、例えばNチャネル型のMOSFETで構成されている。インピーダンス要素は例えば抵抗R14であるが、インピーダンス成分を有する回路素子であれば、抵抗以外でもよい。
【0052】
第2のスイッチング素子Q13は、制御部10から入力されるオフ信号Soffによってオンになる。第2のスイッチング素子Q13がオンになると、第1のトランジスタTr13及び第2のトランジスタTr14のベース電位が第2の電界効果トランジスタSW3のソースの電位に等しくなり、プッシュプル回路24の出力電圧も第2の電界効果トランジスタSW3のソースの電位に等しくなる。これにより、第2の電界効果トランジスタSW3のゲート・ソース間電圧がほぼゼロになり、第2の電界効果トランジスタSW3が遮断領域で動作、つまりオフになる。
【0053】
第2のスイッチング素子Q13は、第1のトランジスタTr13の後段に設けられているので、第2の電界効果トランジスタSW3の電極間にスイッチング素子を接続する場合に比べて、第2のスイッチング素子Q13を小容量のスイッチング素子で実現でき、回路の小型化を図ることができる。
【0054】
(2.2)動作説明
実施形態1のバックアップ電源システム1の動作を
図1~
図5等に基づいて説明する。
【0055】
(2.2.1)充電中に失陥が発生した場合の動作
蓄電デバイス3の充電中に主電源2が失陥した場合のバックアップ電源システム1の動作を
図4等に基づいて説明する。
【0056】
時点t101で主スイッチMS1がオンになると、バックアップ電源システム1に主電源2から電源電圧V1が供給される。時点t101から時点t103までは電源電圧V1の電圧値が所定の閾値Lv1を超えているので、失陥検知部11は、主電源2が非失陥状態であると検知する。制御部10は、失陥検知部11が非失陥状態を検知している間(時点t101から時点t103までの間)は、第1の電界効果トランジスタSW1をオンに制御する。また、時点t101から時点t102までの第1期間では、蓄電デバイス3の充電電圧V2の電圧値が目標電圧値Lv2以下であるので、制御部10は、電界効果トランジスタSW2をオンに制御する。また制御部10は、充電電圧検出部14の検出結果に基づいて、蓄電デバイス3の充電電圧V2の電圧値を目標電圧値Lv2に制御するように、第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で制御する。これにより、主電源2から充電経路RT1を介して蓄電デバイス3に充電電流が流れ、蓄電デバイス3の充電電圧V2が徐々に増加する。
【0057】
時点t102において蓄電デバイス3の充電電圧V2が目標電圧値Lv2に達すると、制御部10は、充電電圧検出部14の検出結果に基づいて、第1の電界効果トランジスタSW1をオン、電界効果トランジスタSW2をオフに制御する。また、充電電圧V2が目標電圧値Lv2に達した時点t102から時点t103までの第2期間では、制御部10は、蓄電デバイス3のセルの内部抵抗成分による放電で充電電圧が低下しないよう、第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で制御する。
【0058】
つまり、制御部10は、非失陥状態において、第1期間の後の第2期間では、蓄電デバイス3の充電電圧V2を目標電圧値Lv2で維持するように第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で制御して定電圧制御を行う。ここで、第2期間において第2の電界効果トランジスタSW3に流れる電流は第1期間に比べて小さい値となるので、第2の電界効果トランジスタSW3のドレイン・ソース間抵抗は第1期間に比べて高くなる。なお、
図4中の期間LA(第1期間及び第2期間)は、第2の電界効果トランジスタSW3が能動領域で動作する期間を示している。
【0059】
その後、主電源2の失陥が発生し、時点t103において電源電圧V1が閾値Lv1を下回ると、失陥検知部11は、主電源2の失陥状態を検知し、検知結果を制御部10に出力する。制御部10は、時点t103から所定のマスク期間DT1が経過するまでの間は、第1の電界効果トランジスタSW1をオン、電界効果トランジスタSW2をオフに維持し、第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で制御する。そして、時点t103から失陥状態がマスク期間DT1継続すると、時点t104において、制御部10は、第1の電界効果トランジスタSW1をオフに制御し、電界効果トランジスタSW2及び第2の電界効果トランジスタSW3をオンに制御する。このとき、制御部10はオン信号Sonを第2ドライブ回路22に出力して、第2ドライブ回路22により第2の電界効果トランジスタSW3をオンにする。これにより、蓄電デバイス3からバックアップ経路RT2を介して負荷4に電力が供給されるので、負荷4は、失陥状態が発生した場合でも蓄電デバイス3から電力供給を受けて動作することができる。
【0060】
ここで、マスク期間DT1は例えば数十μSec~数百μSec程度の時間に設定されている。例えば主電源2に埃等が付着して一時的に短絡状態が発生したとしても、失陥検知部11による失陥状態の検知がマスク期間DT1以上継続しない場合、蓄電デバイス3からのバックアップ給電が行われないので、バックアップ電源システム1の誤動作を抑制できる。
【0061】
なお、蓄電デバイス3から負荷4に給電している状態で、制御部10は、充電電圧検出部14の検出結果に基づいて、蓄電デバイス3の充電電圧V2が所定の停止電圧を下回ったと判断すると、電界効果トランジスタSW2及び第2の電界効果トランジスタSW3をオフにすることが好ましい。これにより、制御部10は、蓄電デバイス3の過放電を抑制でき、蓄電デバイス3の劣化を抑制できる。ここで、制御部10は、第3ドライブ回路23にオフ信号Soffを出力することによって、第2の電界効果トランジスタSW3をオフにする。
【0062】
なお、バックアップ電源システム1が車両に用いられる場合には、例えばイグニッションスイッチがオフのときに、制御部10が、電界効果トランジスタSW2及び第2の電界効果トランジスタSW3をオンに制御して、蓄電デバイス3の充電電圧を放電させるのが好ましい。ここで、制御部10は、イグニッションスイッチがオンのときに比べて蓄電デバイス3の充電電圧を低下させればよく、蓄電デバイス3の充電電圧を0Vまで低下させてもよい。イグニッションスイッチがオフの場合、車両は停車中であり、負荷4にバックアップ給電する必要がないので、蓄電デバイス3を放電させることで、蓄電デバイス3の寿命を延ばすことができる。
【0063】
(2.2.2)充電完了後に失陥が発生し、その後、主電源が復帰した場合の動作
次に、蓄電デバイス3の充電が完了した後に主電源2が失陥してバックアップ給電を行い、その後、主電源2が復帰した場合のバックアップ電源システム1の動作を
図5等に基づいて説明する。
【0064】
時点t111で主スイッチMS1がオンになると、バックアップ電源システム1に主電源2から電源電圧V1が供給される。時点t111から時点t113までは電源電圧V1の電圧値が閾値Lv1を超えているので、失陥検知部11は、主電源2が非失陥状態であると検知する。制御部10は、失陥検知部11が非失陥状態を検知している間(時点t111から時点t113までの間)は、第1の電界効果トランジスタSW1をオンに制御する。また、時点t111から時点t112までの第1期間では、蓄電デバイス3の充電電圧V2の電圧値が目標電圧値Lv2以下であるので、制御部10は、電界効果トランジスタSW2をオンに制御する。
【0065】
また、時点t111から時点t112までの第1期間では、蓄電デバイス3の充電電圧V2の電圧値が目標電圧値Lv2以下であるので、制御部10は、充電電圧検出部14の検出結果に基づいて、蓄電デバイス3の充電電圧V2の電圧値を目標電圧値Lv2に制御するように、第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で制御する。これにより、主電源2から充電経路RT1を介して蓄電デバイス3に充電電流が流れ、蓄電デバイス3の充電電圧V2が徐々に増加する。
【0066】
時点t112において蓄電デバイス3の充電電圧V2が目標電圧値Lv2に達すると、制御部10は、充電電圧検出部14の検出結果に基づいて、第1の電界効果トランジスタSW1をオン、電界効果トランジスタSW2をオフに制御する。また、充電電圧V2が目標電圧値Lv2に達した時点t112から時点t113までの第2期間では、制御部10は、蓄電デバイス3のセルの内部抵抗成分による放電で充電電圧が低下しないよう、第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で制御し、充電電圧V2が目標電圧値Lv2で維持されるように定電圧制御を行う。つまり、制御部10は、非失陥状態において、第1期間の後の第2期間では、蓄電デバイス3の充電電圧V2を目標電圧値Lv2で維持するように第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で制御して電圧制御を行う。ここで、第2期間において第2の電界効果トランジスタSW3に流れる電流は第1期間に比べて小さい値となるので、第2の電界効果トランジスタSW3のドレイン・ソース間抵抗は第1期間に比べて高くなる。なお、
図5中の期間LA(第1期間及び第2期間)は、第2の電界効果トランジスタSW3が能動領域で制御される期間を示している。
【0067】
その後、主電源2の失陥が発生し、時点t113において電源電圧V1が閾値Lv1を下回ると、失陥検知部11は、主電源2の失陥状態を検知し、検知結果を制御部10に出力する。制御部10は、時点t113から所定のマスク期間DT1が経過するまでの間は、第1の電界効果トランジスタSW1をオン、電界効果トランジスタSW2をオフに維持し、第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で制御する。そして、時点t113から失陥状態がマスク期間DT1継続すると、時点t114において、制御部10は、第1の電界効果トランジスタSW1をオフに制御し、電界効果トランジスタSW2及び第2の電界効果トランジスタSW3をオンに制御する。このとき、制御部10はオン信号Sonを第2ドライブ回路22に出力して、第2ドライブ回路22により第2の電界効果トランジスタSW3をオンにする。これにより、蓄電デバイス3からバックアップ経路RT2を介して負荷4に電力が供給されるので、負荷4は、失陥状態が発生した場合でも蓄電デバイス3から電力供給を受けて動作することができる。
【0068】
その後、時点t115において、主電源2の失陥状態が解消し、電源電圧V1が閾値Lv1を超えると、失陥検知部11は、主電源2が非失陥状態であると検知し、検知結果を制御部10に出力する。制御部10は、失陥検知部11の検知結果に基づいて、電界効果トランジスタSW2をオン、第2の電界効果トランジスタSW3をオフに制御する。制御部10は、オン信号Sonの出力を停止し、第3ドライブ回路23にオフ信号Soffを出力することによって、第2の電界効果トランジスタSW3をオフに制御する。また、制御部10は、主電源2の失陥が発生すると、その後に主電源2の失陥状態が解消しても、第1の電界効果トランジスタSW1をオフに制御している。
【0069】
このとき、電源電圧V1が充電電圧V2よりも高ければ、主電源2から第1の電界効果トランジスタSW1のボディダイオードD1を介して負荷4に電力が供給される。一方、電源電圧V1が充電電圧V2よりも低ければ、蓄電デバイス3からバックアップ経路RT2を介して負荷4に電力が供給される。なお、第2の電界効果トランジスタSW3はオフであるので、主電源2の電源電圧V1が蓄電デバイス3の充電電圧V2よりも高い場合に、主電源2から蓄電デバイス3に大電流が流れこむのを第2の電界効果トランジスタSW3によって阻止できる。また、第1の電界効果トランジスタSW1はオフに制御されているので、蓄電デバイス3から主電源2側に電流が流れる可能性を低減できる。
【0070】
また、蓄電デバイス3から負荷4に給電している状態で、制御部10は、充電電圧検出部14の検出結果に基づいて、蓄電デバイス3の充電電圧V2が所定の停止電圧を下回ったと判断すると、電界効果トランジスタSW2及び第2の電界効果トランジスタSW3をオフにすることが好ましい。これにより、制御部10は、蓄電デバイス3の過放電を抑制でき、蓄電デバイス3の劣化を抑制できる。ここで、制御部10は、第3ドライブ回路23にオフ信号Soffを出力することによって、第2の電界効果トランジスタSW3をオフにする。
【0071】
なお、本実施形態では第3ドライブ回路23が、インピーダンス要素(例えば抵抗R14)と、第2のスイッチング素子Q13とを有しているが、第3ドライブ回路23がインピーダンス要素と第2のスイッチング素子Q13との両方を有することは必須ではない。
【0072】
第3ドライブ回路23は、第2のスイッチング素子Q13のみを有するものでもよい。つまり、第3ドライブ回路23は、第1のトランジスタTr13のコレクタ・ベース間に接続された第2のスイッチング素子Q13を有していればよい。この場合も、第2のスイッチング素子Q13が制御部10から入力されるオフ信号Soffによってオンになることで、第2の電界効果トランジスタSW3がオフになる。第2のスイッチング素子Q13は、第1のトランジスタTr13の後段に設けられているので、第2の電界効果トランジスタSW3の電極間に第2の電界効果トランジスタSW3をオフにするためのスイッチング素子を接続する場合に比べて、第2のスイッチング素子Q13を小容量のスイッチング素子で実現でき、回路の小型化を図ることができる。
【0073】
なお、
図3に示す回路では、第2の電界効果トランジスタSW3をオンからオフに切り替える際に、第1及び第2のトランジスタTr13,Tr14のベースの電荷を引き抜くためのインピーダンス要素である抵抗R14が第1のトランジスタTr13のコレクタ・ベース間に接続されている。したがって、第2の電界効果トランジスタSW3をオンからオフに切り替える際に、制御部10がオン信号Sonの出力を停止して、第1のスイッチング素子Q14をオフにすると、第1及び第2のトランジスタTr13,Tr14のベースの電荷を、インピーダンス要素を介して徐々に引き抜くことができる。よって、その後に制御部10がオフ信号Soffを出力して第2のスイッチング素子Q13をオンにした場合に、第1及び第2のトランジスタTr13,Tr14のベースの電荷が第2のスイッチング素子Q13を介して短時間で引き抜かれ、第2の電界効果トランジスタSW3を短時間でオンからオフに切り替えることができる。
【0074】
なお、第3ドライブ回路23は、第1のトランジスタTr13のコレクタ・ベース間に接続されたインピーダンス要素(例えば抵抗R14)のみを有していてもよい。第2の電界効果トランジスタSW3をオンからオフに切り替える際に、制御部10がオン信号Sonの出力を停止して、第1のスイッチング素子Q14をオフにすると、第1及び第2のトランジスタTr13,Tr14のベースの電荷を、インピーダンス要素を介して徐々に引き抜き、第2の電界効果トランジスタSW3をオフにすることができる。よって、第2の電界効果トランジスタSW3をオフにするための第2のスイッチング素子Q13を備える場合に比べて、回路の小型化を図ることができる。
【0075】
なお、本実施形態では、第1のスイッチング素子Q14及び第2のスイッチング素子Q13が電界効果トランジスタで構成されているが、第1のスイッチング素子Q14及び第2のスイッチング素子Q13は電界効果トランジスタに限定されない。第1のスイッチング素子Q14及び第2のスイッチング素子Q13はバイポーラトランジスタ等で構成されてもよい。
【0076】
(実施形態2)
実施形態2のバックアップ電源システム1について
図6を参照して説明する。なお、
図6では主スイッチMS1、失陥検知部11、及び充電電圧検出部14の図示を省略している。
【0077】
実施形態2のバックアップ電源システム1は、第2の電界効果トランジスタSW3がNチャネル型の電界効果トランジスタであり、ドライブ回路20がNチャネル型の電界効果トランジスタを駆動するための回路構成を有している点で実施形態1と相違する。なお、実施形態1と共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0078】
ドライブ回路20は、プッシュプル回路24と、第1ドライブ回路21と、第2ドライブ回路22と、第3ドライブ回路23と、を備える。
【0079】
プッシュプル回路24は、制御電源VCの正極と負極との間に直列に接続された第1のトランジスタTr11と第2のトランジスタTr12とを有する。第1のトランジスタTr11は例えばnpn形のバイポーラトランジスタ、第2のトランジスタTr12はpnp形のバイポーラトランジスタである。第1のトランジスタTr11と第2のトランジスタTr12とは、ベース同士が接続されるとともに、エミッタ同士が接続されており、第1のトランジスタTr11と第2のトランジスタTr12とでプッシュプル回路24が構成されている。第1のトランジスタTr11と第2のトランジスタTr12のそれぞれのエミッタは、第2の電界効果トランジスタSW3のゲートに接続されている。
【0080】
第1ドライブ回路21は、第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で動作させる。第1ドライブ回路21は、制御部10から入力される電流指令値S11と第2の電界効果トランジスタSW3に流れる電流の電流値とに基づく駆動信号S12を、第1のトランジスタTr11及び第2のトランジスタTr12のベースに出力することによって第2の電界効果トランジスタSW3を能動領域で動作させる。第1ドライブ回路21は、実施形態1と同様の構成を有しているので、その説明は省略する。
【0081】
第2ドライブ回路22は、第2の電界効果トランジスタSW3をオンにする。
【0082】
第2ドライブ回路22は、第1のトランジスタTr11のコレクタ・ベース間に接続され、制御部10から入力されるオン信号Sonによってオンになる第1のスイッチング素子Q11を有する。第1のスイッチング素子Q11は、例えばNチャネル型のMOSFETで構成されている。
【0083】
第1のスイッチング素子Q11は、制御部10から入力されるオン信号Sonによってオンになる。第1のスイッチング素子Q11がオンになると、第1のトランジスタTr11及び第2のトランジスタTr12のベース電位が制御電源VCの正極側の電位に等しくなり、プッシュプル回路24の出力電圧が制御電源VCの正極側の電位に等しくなる。これにより、第2の電界効果トランジスタSW3のゲート・ソース間にピンチオフ電圧を超える電圧が印加され、第2の電界効果トランジスタSW3が飽和状態で動作、つまりオンになる。第1のスイッチング素子Q11は第1のトランジスタTr11の後段に設けられているので、第2の電界効果トランジスタSW3の電極間にスイッチング素子を接続する場合に比べて、第1のスイッチング素子Q14を小容量のスイッチング素子で実現でき、回路の小型化を図ることができる。
【0084】
第3ドライブ回路23は、第2の電界効果トランジスタSW3をオフにする。
【0085】
第3ドライブ回路23は、第2のトランジスタTr12のコレクタ・ベース間に接続されたインピーダンス要素(例えば抵抗R12)と、第2のトランジスタTr12のコレクタ・ベース間に接続された第2のスイッチング素子Q12と、を有する。第2のスイッチング素子Q12が制御部10から入力されるオフ信号Soffによってオンになることで、第2の電界効果トランジスタSW3がオフになる。第2のスイッチング素子Q12は、例えばNチャネル型のMOSFETで構成されている。インピーダンス要素は例えば抵抗R12であるが、インピーダンス成分を有する回路素子であれば、抵抗以外でもよい。
【0086】
第2のスイッチング素子Q12は、制御部10から入力されるオフ信号Soffによってオンになる。第2のスイッチング素子Q12がオンになると、第1のトランジスタTr11及び第2のトランジスタTr12のベース電位が第2の電界効果トランジスタSW3のソースの電位に等しくなり、プッシュプル回路24の出力電圧も第2の電界効果トランジスタSW3のソースの電位に等しくなる。これにより、第2の電界効果トランジスタSW3のゲート・ソース間電圧がほぼゼロになり、第2の電界効果トランジスタSW3が遮断領域で動作、つまりオフになる。
【0087】
第2のスイッチング素子Q12は、第2のトランジスタTr12の後段に設けられているので、第2の電界効果トランジスタSW3の電極間にスイッチング素子を接続する場合に比べて、第2のスイッチング素子Q12を小容量のスイッチング素子で実現でき、回路の小型化を図ることができる。
【0088】
なお、本実施形態では第3ドライブ回路23が、インピーダンス要素(抵抗R12)と、第2のスイッチング素子Q12とを有しているが、第3ドライブ回路23がインピーダンス要素と第2のスイッチング素子Q12との両方を有することは必須ではない。
【0089】
第3ドライブ回路23は、第2のスイッチング素子Q12のみを有するものでもよい。つまり、第3ドライブ回路23は、第2のトランジスタTr12のコレクタ・ベース間に接続された第2のスイッチング素子Q12を有していればよい。そして、第2のスイッチング素子Q12が制御部10から入力されるオフ信号Soffによってオンになることで、第2の電界効果トランジスタSW3がオフになる。第2のスイッチング素子Q12は、第2のトランジスタTr12の後段に設けられているので、第2の電界効果トランジスタSW3の電極間に第2の電界効果トランジスタSW3をオフにするためのスイッチング素子を接続する場合に比べて、第2のスイッチング素子Q12を小容量のスイッチング素子で実現でき、回路の小型化を図ることができる。
【0090】
なお、本実施形態では、第2の電界効果トランジスタSW3をオンからオフに切り替える際に、第1及び第2のトランジスタTr11,Tr12のベースの電荷を引き抜くためのインピーダンス要素である抵抗R12が第2のトランジスタTr12のコレクタ・ベース間に接続されている。したがって、第2の電界効果トランジスタSW3をオンからオフに切り替える際に、制御部10がオン信号Sonの出力を停止し、第1のスイッチング素子Q11をオフにすると、第1及び第2のトランジスタTr11,Tr12のベースの電荷を、インピーダンス要素を介して引き抜くことができる。よって、その後に制御部10がオフ信号Soffを出力して第2のスイッチング素子Q12をオンにした場合に、第1及び第2のトランジスタTr11,Tr12のベースの電荷が第2のスイッチング素子Q12を介して短時間で引き抜かれ、第2の電界効果トランジスタSW3を短時間でオンからオフに切り替えることができる。
【0091】
なお、第3ドライブ回路23は、第2のトランジスタTr12のコレクタ・ベース間に接続されたインピーダンス要素(例えば抵抗R12)のみを有していてもよい。第2の電界効果トランジスタSW3をオンからオフに切り替える際に、オン信号Sonが停止して、第1のスイッチング素子Q11がオフになると、第1及び第2のトランジスタTr11,Tr12のベースの電荷を、インピーダンス要素を介して引き抜くことができ、第2の電界効果トランジスタSW3をオフにすることができる。よって、第2の電界効果トランジスタSW3をオフにするための第2のスイッチング素子Q12を備える場合に比べて、回路の小型化を図ることができる。
【0092】
なお、本実施形態では、第1のスイッチング素子Q11及び第2のスイッチング素子Q12が電界効果トランジスタで構成されているが、第1のスイッチング素子Q11及び第2のスイッチング素子Q12は電界効果トランジスタに限定されない。第1のスイッチング素子Q11及び第2のスイッチング素子Q12はバイポーラトランジスタ等で構成されてもよい。
【0093】
(3)変形例
バックアップ電源システム1は、例えば車両のような移動体に搭載されている。すなわち、移動体は、バックアップ電源システム1と、移動体本体(例えば車両の車体)と、を備える。移動体本体は、バックアップ電源システム1と、主電源2と、負荷4とを搭載する。バックアップ電源システム1は、車両の主電源2(例えば車両のバッテリ)が失陥した場合に、蓄電デバイス3から負荷4(例えば電動ブレーキシステム等)に電力を供給する。これにより、負荷4は、主電源2が失陥した場合でも、蓄電デバイス3からの電力供給によって動作を継続可能である。
【0094】
なお、バックアップ電源システム1を搭載する移動体は車両に限定されず、飛行機、船舶又は電車等でもよい。また、バックアップ電源システム1は移動体に搭載されるものに限定されず、施設等に設置されて使用されるものでもよい。
【0095】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様のバックアップ電源システム(1)は、第1接続端子(T1)と、第2接続端子(T2)と、第1の電界効果トランジスタ(SW1)と、Nチャネル型の第2の電界効果トランジスタ(SW3)と、制御部(10)と、ドライブ回路(20)と、を備える。第1接続端子(T1)には主電源(2)が接続される。第2接続端子(T2)には負荷(4)が接続される。第1の電界効果トランジスタ(SW1)は、第1接続端子(T1)と第2接続端子(T2)との間に接続される。第2の電界効果トランジスタ(SW3)は、第1の電界効果トランジスタ(SW1)及び第2接続端子(T2)の接続点と蓄電デバイス(3)との間に接続される。ドライブ回路(20)は第2の電界効果トランジスタ(SW3)を駆動する。主電源(2)が失陥していない非失陥状態において、制御部(10)は、第1の電界効果トランジスタ(SW1)をオンに制御し、ドライブ回路(20)を制御して第2の電界効果トランジスタ(SW3)を能動領域で動作させることによって、充電経路(RT1)を介して蓄電デバイス(3)を充電する。充電経路(RT1)は、主電源(2)から第1の電界効果トランジスタ(SW1)と第2の電界効果トランジスタ(SW3)とを通る経路である。主電源(2)が失陥している失陥状態において、制御部(10)は、第1の電界効果トランジスタ(SW1)をオフに制御し、ドライブ回路(20)を制御して第2の電界効果トランジスタ(SW3)をオンに制御することによって、バックアップ経路(RT2)を介して負荷(4)に電力を供給する。バックアップ経路(RT2)は、蓄電デバイス(3)から第2の電界効果トランジスタ(SW3)を通る経路である。ドライブ回路(20)は、第1のトランジスタ(Tr11)と第2のトランジスタ(Tr12)とのプッシュプル回路(24)と、第1ドライブ回路(21)と、第2ドライブ回路(22)と、第3ドライブ回路(23)と、を有する。第1のトランジスタ(Tr11)と第2のトランジスタ(Tr12)とのプッシュプル回路(24)は、制御電源(VC)の正極と負極との間に直列に接続される。第1のトランジスタ(Tr11)と第2のトランジスタ(Tr12)とは、第2の電界効果トランジスタ(SW3)のゲートにそれぞれのエミッタが接続されている。第2ドライブ回路(22)は第2の電界効果トランジスタ(SW3)をオンにする。第3ドライブ回路(23)は第2の電界効果トランジスタ(SW3)をオフにする。第1ドライブ回路(21)は、制御部(10)から入力される電流指令値(S11)と第2の電界効果トランジスタ(SW3)に流れる電流の電流値とに基づく駆動信号(S12)を第1のトランジスタ(Tr11)及び第2のトランジスタ(Tr12)のベースに出力することによって第2の電界効果トランジスタ(SW3)を能動領域で動作させる。第2ドライブ回路(22)は、第1のトランジスタ(Tr11)のコレクタ・ベース間に接続され、制御部(10)から入力されるオン信号(Son)によってオンになる第1のスイッチング素子(Q11)を有する。
【0096】
この態様によれば、回路の小型化を図ることができる。
【0097】
第2の態様のバックアップ電源システム(1)では、第1の態様において、第3ドライブ回路(23)は、第2のトランジスタ(Tr12)のコレクタ・ベース間に接続されたインピーダンス要素(R12)を有する。
【0098】
この態様によれば、回路の小型化を図ることができる。
【0099】
第3の態様のバックアップ電源システム(1)では、第1の態様において、第3ドライブ回路(23)は、第2のトランジスタ(Tr12)のコレクタ・ベース間に接続された第2のスイッチング素子(Q12)を有する。第2のスイッチング素子(Q12)が制御部(10)から入力されるオフ信号(Soff)によってオンになることで、第2の電界効果トランジスタ(SW3)がオフになる。
【0100】
この態様によれば、回路の小型化を図ることができる。
【0101】
第4の態様のバックアップ電源システム(1)では、第1の態様において、第3ドライブ回路(23)は、インピーダンス要素(R12)と、第2のスイッチング素子(Q12)と、を有する。インピーダンス要素(R12)は第2のトランジスタ(Tr12)のコレクタ・ベース間に接続されている。第2のスイッチング素子(Q12)は、第2のトランジスタ(Tr12)のコレクタ・ベース間に接続されている。第2のスイッチング素子(Q12)が制御部(10)から入力されるオフ信号(Soff)によってオンになることで、第2の電界効果トランジスタ(SW3)がオフになる。
【0102】
この態様によれば、回路の小型化を図ることができる。また、第2の電界効果トランジスタ(SW3)がオンからオフに切り替わる時間を短縮することができる。
【0103】
第5の態様のバックアップ電源システム(1)は、第1接続端子(T1)と、第2接続端子(T2)と、第1の電界効果トランジスタ(SW1)と、Pチャネル型の第2の電界効果トランジスタ(SW3)と、制御部(10)と、ドライブ回路(20)と、を備える。第1接続端子(T1)には主電源(2)が接続される。第2接続端子(T2)には負荷(4)が接続される。第1の電界効果トランジスタ(SW1)は、第1接続端子(T1)と第2接続端子(T2)との間に接続される。第2の電界効果トランジスタ(SW3)は、第1の電界効果トランジスタ(SW1)及び第2接続端子(T2)の接続点と蓄電デバイス(3)との間に接続される。ドライブ回路(20)は第2の電界効果トランジスタ(SW3)を駆動する。主電源(2)が失陥していない非失陥状態において、制御部(10)は、第1の電界効果トランジスタ(SW1)をオンに制御し、ドライブ回路(20)を制御して第2の電界効果トランジスタ(SW3)を能動領域で動作させることによって、充電経路(RT1)を介して蓄電デバイス(3)を充電する。充電経路(RT1)は、主電源(2)から第1の電界効果トランジスタ(SW1)と第2の電界効果トランジスタ(SW3)とを通る経路である。主電源(2)が失陥している失陥状態において、制御部(10)は、第1の電界効果トランジスタ(SW1)をオフに制御し、ドライブ回路(20)を制御して第2の電界効果トランジスタ(SW3)をオンに制御することによって、バックアップ経路(RT2)を介して負荷(4)に電力を供給する。バックアップ経路(RT2)は、蓄電デバイス(3)から第2の電界効果トランジスタ(SW3)を通る経路である。ドライブ回路(20)は、第1のトランジスタ(Tr13)と第2のトランジスタ(Tr14)とのプッシュプル回路(24)と、第1ドライブ回路(21)と、第2ドライブ回路(22)と、第3ドライブ回路(23)と、を有する。第1のトランジスタ(Tr13)と第2のトランジスタ(Tr14)とのプッシュプル回路(24)は、第2の電界効果トランジスタ(SW3)のソースと基準電位との間に直列に接続される。第1のトランジスタ(Tr13)と第2のトランジスタ(Tr14)とは、第2の電界効果トランジスタ(SW3)のゲートにそれぞれのエミッタが接続されている。第2ドライブ回路(22)は第2の電界効果トランジスタ(SW3)をオンにする。第3ドライブ回路(23)は第2の電界効果トランジスタ(SW3)をオフにする。第1ドライブ回路(21)は、制御部(10)から入力される電流指令値(S11)と第2の電界効果トランジスタ(SW3)に流れる電流の電流値とに基づく駆動信号(S12)を第1のトランジスタ(Tr13)及び第2のトランジスタ(Tr14)のベースに出力することによって第2の電界効果トランジスタ(SW3)を能動領域で動作させる。第2ドライブ回路(22)は、第2のトランジスタ(Tr14)のコレクタ・ベース間に接続され、制御部(10)から入力されるオン信号(Son)によってオンになる第1のスイッチング素子(Q14)を有する。
【0104】
この態様によれば、回路の小型化を図ることができる。
【0105】
第6の態様のバックアップ電源システム(1)では、第5の態様において、第3ドライブ回路(23)は、第1のトランジスタ(Tr13)のコレクタ・ベース間に接続されたインピーダンス要素(R14)を有する。
【0106】
この態様によれば、回路の小型化を図ることができる。
【0107】
第7の態様のバックアップ電源システム(1)では、第5の態様において、第3ドライブ回路(23)は、第1のトランジスタ(Tr13)のコレクタ・ベース間に接続された第2のスイッチング素子(Q13)を有する。第2のスイッチング素子(Q13)が制御部(10)から入力されるオフ信号(Soff)によってオンになることで、第2の電界効果トランジスタ(SW3)がオフになる。
【0108】
この態様によれば、回路の小型化を図ることができる。
【0109】
第8の態様のバックアップ電源システム(1)では、第5の態様において、第3ドライブ回路(23)は、インピーダンス要素(R14)と、第2のスイッチング素子(Q13)と、を有する。インピーダンス要素(R14)は、第1のトランジスタ(Tr13)のコレクタ・ベース間に接続されている。第2のスイッチング素子(Q13)は、第1のトランジスタ(Tr13)のコレクタ・ベース間に接続されている。第2のスイッチング素子(Q13)が制御部(10)から入力されるオフ信号(Soff)によってオンになることで、第2の電界効果トランジスタ(SW3)がオフになる。
【0110】
この態様によれば、回路の小型化を図ることができる。また、第2の電界効果トランジスタ(SW3)がオンからオフに切り替わる時間を短縮することができる。
【0111】
第2~第4の態様に係る構成については、第1の態様に係るバックアップ電源システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。第6~第8の態様に係る構成については、第5の態様に係るバックアップ電源システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 バックアップ電源システム
2 主電源
3 蓄電デバイス
4 負荷
10 制御部
20 ドライブ回路
21 第1ドライブ回路
22 第2ドライブ回路
23 第3ドライブ回路
24 プッシュプル回路
Q11,Q14 第1のスイッチング素子
Q12,Q13 第2のスイッチング素子
R12,R14 抵抗(インピーダンス要素)
RT1 充電経路
RT2 バックアップ経路
S11 電流指令値
S12 駆動信号
Soff オフ信号
Son オン信号
SW1 第1の電界効果トランジスタ
SW3 第2の電界効果トランジスタ
T1 第1接続端子
T2 第2接続端子
Tr11,Tr13 第1のトランジスタ
Tr12,Tr14 第2のトランジスタ
VC 制御電源