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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079076
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】コンロバーナ、ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/06 20060101AFI20230531BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20230531BHJP
   F24C 3/02 20210101ALI20230531BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
F23D14/06 J
F24C3/00 J
F24C3/02 H
F24C3/12 X
F23D14/06 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192503
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 駿
(72)【発明者】
【氏名】大脇 将太
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017AA02
3K017AB01
3K017AB03
3K017AD01
3K017AD14
(57)【要約】
【課題】火力に拘わらず炎口の炎を確実に検知可能なコンロバーナ(10)およびガスコンロ(1)を実現する。
【解決手段】点火手段(30)で第1炎口(22u)に点火し、その炎を火移りさせて全ての第1炎口で燃焼を開始し、第1炎口の炎を第1炎口の上方の第2炎口(21f,22f)に火移りさせることによって、全ての第2炎口でも燃焼を開始させる。ここで、第1炎口の中で炎検知手段が炎を検知する炎検知炎口(27)は、他の第1炎口よりもバーナヘッド(20)の外周側面の半径方向内側の位置に形成されている。また、複数の第2炎口の中で炎検知炎口の上方に形成された検知上方炎口(26)についても、他の第2炎口よりもバーナヘッドの外周側面の半径方向内側の位置に形成する。こうすれば、検知上方炎口の炎によって炎検知炎口の炎が半径方向外側に移動することを抑制できるので、炎を安定して検知することが可能となる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと空気との混合ガスが供給されるバーナボディと、前記バーナボディの上に載置されて円筒面形状の外周側面に複数の炎口が形成され、前記バーナボディから流入した前記混合ガスを複数の前記炎口から流出させるバーナヘッドと、複数の前記炎口の中の一部の前記炎口から流出した前記混合ガスに点火する点火手段と、前記点火手段によって前記混合ガスが点火される前記炎口とは異なる前記炎口と向かい合う位置に設けられて、向かい合う位置の前記炎口に形成された炎を検知する炎検知手段とを備えるコンロバーナにおいて、
前記バーナヘッドは、
複数の前記炎口として、前記外周側面の周方向に配列して形成された複数の第1炎口と、前記第1炎口よりも上方の位置で前記周方向に配列して形成された複数の第2炎口とを有すると共に、
隣接する前記第1炎口同士の距離は、一方の前記第1炎口に形成された炎が他方の前記第1炎口に火移り可能な距離に設定されており、且つ、前記第1炎口と上方の前記第2炎口との距離は、前記第1炎口に形成された炎が上方の前記第2炎口に火移り可能な距離に設定されており、
前記点火手段は、前記第2炎口ではなく前記第1炎口から流出した前記混合ガスに点火しており、
前記炎検知手段は、前記第2炎口ではなく前記第1炎口に形成された炎を検知しており、
複数の前記第1炎口の中で前記炎検知手段が炎を検知する炎検知炎口は、他の前記第1炎口よりも、前記バーナヘッドの半径方向の内側の位置に形成されており、
複数の前記第2炎口の中で前記炎検知炎口の上方に形成された検知上方炎口は、他の前記第2炎口よりも、前記バーナヘッドの半径方向内側の位置に形成されている
ことを特徴とするコンロバーナ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンロバーナにおいて、
前記炎検知炎口は、隣接する複数の前記炎検知炎口が炎検知炎口列を形成しており、
前記検知上方炎口は、隣接する複数の前記検知上方炎口が検知上方炎口列を形成しており、
前記検知上方炎口列は前記炎検知炎口よりも、前記外周側面の周方向に幅広に形成されている
ことを特徴とするコンロバーナ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンロバーナにおいて、
前記外周側面には、前記炎検知炎口が形成された部分と前記検知上方炎口が形成された部分との間に、前記外周側面から半径方向に突出した突出部が形成されている
ことを特徴とするコンロバーナ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載のコンロバーナにおいて、
前記バーナヘッドは、
前記バーナボディの上に載置される下バーナヘッドと、
前記下バーナヘッドの上に載置される上バーナヘッドと
を備え、
前記下バーナヘッドは、
底面の外周部分から下方に向けて突設されて、前記バーナボディの上に載置される円筒形状の底面側筒状壁と、
上面の外周部分から上方に向けて突設された円筒形状の下側筒状壁と
を備えており、
前記上バーナヘッドは、底面の外周部分から下方に向けて突設されて、前記下バーナヘッドの前記下側筒状壁に載置される円筒形状の上側筒状壁を備えており、
前記底面側筒状壁は、前記底面側筒状壁の下端面に形成されて、前記バーナボディの上に載置されることによって前記バーナボディとの間に前記第1炎口を形成することとなる複数の第1炎口溝を有しており、
前記下側筒状壁は、前記下側筒状壁の上端面に形成されて、前記上バーナヘッドが載置されることによって前記上バーナヘッドとの間に前記第2炎口を形成することとなる複数の下側第2炎口溝を有しており、
前記上側筒状壁は、前記上側筒状壁の下端面に形成されて、前記下バーナヘッドの上に載置されることによって前記下バーナヘッドとの間に前記第2炎口を形成することとなる複数の上側第2炎口溝と
を有しており、
前記上バーナヘッドの前記上側第2炎口溝は、前記下バーナヘッドの前記下側第2炎口溝に対して、前記外周側面の周方向に互い違いとなる位置に形成されている
ことを特徴とするコンロバーナ。
【請求項5】
請求項4に記載のコンロバーナにおいて、
前記下バーナヘッドが前記バーナボディに載置された時に前記炎検知炎口を形成することとなる前記第1炎口溝の高さは、他の前記第1炎口溝の高さよりも大きな寸法に設定されており、
前記上バーナヘッドが前記下バーナヘッドに載置された時に前記検知上方炎口を形成することとなる前記下側第2炎口溝および前記上側第2炎口溝の高さの加算値は、他の前記下側第2炎口溝および前記上側第2炎口溝の高さの加算値よりも小さな値に設定されている
ことを特徴とするコンロバーナ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載のコンロバーナを搭載したガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎口を上下二段に形成して、小火力時は下段の炎口で混合ガスを燃焼させ、大火力時は上段の炎口でも混合ガスを燃焼させると共に、下段の炎口に形成された炎を検知可能なコンロバーナ、およびコンロバーナを搭載したガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスコンロは、燃料ガスを燃焼させることによって調理容器内の調理物を加熱調理しており、燃料ガスを燃焼させるためのコンロバーナが搭載されている。コンロバーナは、中空のバーナボディの上に、円筒面形状の外周側面を有するバーナヘッドが搭載された構造となっており、バーナボディには混合通路が接続され、バーナヘッドの外周側面には複数の炎口が、周方向に並んで開口した状態で形成されている。混合通路はバーナボディに接続されていない側が開口端となっており、開口端に向けて燃料ガスを噴射すると、燃料ガスが空気を巻き込みながら混合通路に流入し、混合通路内で燃料ガスと空気とが混合して形成された混合ガスがバーナボディに流入する。バーナボディに流入した混合ガスは、バーナボディからバーナヘッドに供給された後、バーナヘッドの外周側面に開口した複数の炎口から流出する。こうして炎口から流出した混合ガスに、点火プラグから火花を飛ばすなどして点火すると、コンロバーナでの燃料ガスの燃焼を開始することが可能となる。
【0003】
また、コンロバーナには、炎口で形成された炎を検知する炎センサも搭載されている。炎センサは、温度が上昇すると起電力を発生させる性質を有しており、炎口に形成された炎で炙られる位置に炎センサを搭載しておくことで、炎口に炎が形成されていることを検知することができる。このため、たとえ点火に失敗して燃焼が開始できなかったり、燃焼中に炎が消えたりした場合には、混合通路内への燃料ガスの噴射を停止して、炎口から混合ガスが流出しないようにすることができる。
【0004】
ここで、炎口に形成される炎の大きさは、コンロバーナが発生させる火力によって変化し、発生させる火力が小さい場合は炎も小さくなる。この小さな炎でも確実に検知可能とするためには、炎の中で「外炎」と呼ばれる温度が高い部分で炙られる位置に炎センサを搭載することが望ましい。その一方で、発生させる火力が大きい場合は、炎口に形成される炎も大きくなるので、小さな炎を確実に検知可能な位置に炎センサを搭載すると、炎が大きくなった時に、炎の中の「内炎」と呼ばれる温度が低い部分で炎センサが炙られることになる。その結果、炎センサで十分な起電力を発生させることができずに、炎を確実に検知することが困難となる。
【0005】
そこで、コンロバーナが発生させる火力に拘わらず、炎を確実に検知可能とするために、複数の炎口が開口するバーナヘッドの外周側面を、炎センサと向かい合わせとなる位置ではバーナヘッドの半径方向内側に凹ませたコンロバーナが提案されている(特許文献1)。この提案のコンロバーナでは、炎センサと向かい合わせの位置に形成された炎口(以下、「炎検知炎口」と称する)が、他の炎口(以下、「通常炎口」と称する)よりも奥まった位置に形成されるので、炎検知炎口から流出した混合ガスは、通常炎口から流出した混合ガスに比べて、燃焼に必要な空気が不足気味となり、炎検知炎口では通常炎口よりも炎口から離れた位置に炎が形成されることになる。このため、小さな炎が形成される位置と、大きな炎が形成される位置との差を小さくすることができるので、コンロバーナの火力が変更されて炎の大きさが変化した場合でも、炎を確実に検知することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-020705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、炎口を上下二段に形成して、必要な火力が小さい間は下段の炎口で混合ガスを燃焼させ、大きな火力が必要になると上段の炎口でも混合ガスを燃焼させるコンロバーナ(以下、上下二段バーナ)では、炎検知炎口を通常炎口に比べて凹んだ位置に形成しただけでは、大火力時に炎を確実には検知することができないという問題があった。
【0008】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、火力に拘わらず炎口に形成された炎を確実に検知することが可能なコンロバーナおよびガスコンロを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明のコンロバーナは次の構成を採用した。すなわち、
燃料ガスと空気との混合ガスが供給されるバーナボディと、前記バーナボディの上に載置されて円筒面形状の外周側面に複数の炎口が形成され、前記バーナボディから流入した前記混合ガスを複数の前記炎口から流出させるバーナヘッドと、複数の前記炎口の中の一部の前記炎口から流出した前記混合ガスに点火する点火手段と、前記点火手段によって前記混合ガスが点火される前記炎口とは異なる前記炎口と向かい合う位置に設けられて、向かい合う位置の前記炎口に形成された炎を検知する炎検知手段とを備えるコンロバーナにおいて、
前記バーナヘッドは、
複数の前記炎口として、前記外周側面の周方向に配列して形成された複数の第1炎口と、前記第1炎口よりも上方の位置で前記周方向に配列して形成された複数の第2炎口とを有すると共に、
隣接する前記第1炎口同士の距離は、一方の前記第1炎口に形成された炎が他方の前記第1炎口に火移り可能な距離に設定されており、且つ、前記第1炎口と上方の前記第2炎口との距離は、前記第1炎口に形成された炎が上方の前記第2炎口に火移り可能な距離に設定されており、
前記点火手段は、前記第2炎口ではなく前記第1炎口から流出した前記混合ガスに点火しており、
前記炎検知手段は、前記第2炎口ではなく前記第1炎口に形成された炎を検知しており、
複数の前記第1炎口の中で前記炎検知手段が炎を検知する炎検知炎口は、他の前記第1炎口よりも、前記バーナヘッドの半径方向の内側の位置に形成されており、
複数の前記第2炎口の中で前記炎検知炎口の上方に形成された検知上方炎口は、他の前記第2炎口よりも、前記バーナヘッドの半径方向内側の位置に形成されている
ことを特徴とする。
【0010】
このような本発明のコンロバーナにおいては、点火手段を用いて一部の第1炎口に点火すると、その第1炎口に形成された炎が他の第1炎口に火移りすることによって全ての第1炎口で燃焼が開始され、炎検知手段で炎を検知することが可能となる。また、全ての第1炎口で燃焼が開始されると、第1炎口の炎を、第1炎口の上方に形成された第2炎口に火移りさせることによって、全ての第2炎口でも燃焼を開始することができる。ここで、複数の第1炎口の中で炎検知手段が炎を検知する炎検知炎口は、他の第1炎口よりもバーナヘッドの外周側面の半径方向内側の位置に形成されているため、炎検知炎口に形成される炎の大きさが変わっても、炎を安定して検知することができる。また、複数の第2炎口の中で炎検知炎口の上方に形成された検知上方炎口は、炎検知手段で炎を検知するわけではないが、他の第2炎口よりもバーナヘッドの外周側面の半径方向内側の位置に形成されている。
【0011】
詳細なメカニズムについては後述するが、検知上方炎口を他の第2炎口に対して外周側面の半径方向に同じ位置に形成すると、検知上方炎口に形成された炎の影響で、炎検知炎口に形成される炎が半径方向外側に移動してしまい、炎検知手段で炎を安定して検知することができなくなることが見い出された。従って、検知上方炎口を他の第2炎口に対して外周側面の半径方向内側に形成しておけば、検知上方炎口に形成された炎の位置も半径方向内側に移動するので、炎検知炎口に形成される炎が半径方向外側に移動することを抑制することができる。このため、検知上方炎口および第2炎口で炎を形成した場合でも、炎検知炎口に形成される炎を炎検知手段で安定して検知することが可能となる。
【0012】
また、上述した本発明のコンロバーナにおいては、複数の炎検知炎口を隣接して形成し、これらの炎検知炎口の上方にも、複数の検知上方炎口を隣接して形成してもよい。そして、複数の検知上方炎口が隣接した検知上方炎口列は、複数の炎検知炎口が隣接した炎検知炎口列よりも、外周側面の周方向に幅広となるように形成してもよい。
【0013】
こうすれば、炎検知炎口の炎と、第2炎口の炎との間に必要な距離を確保することができるので、第2炎口の炎によって炎検知炎口の炎が半径方向外側に移動してしまい、炎検知手段で安定して炎を検知できなくなる事態を防止することができる。
【0014】
また、上述した本発明のコンロバーナにおいては、外周側面の中で炎検知炎口が形成された部分と、検知上方炎口が形成された部分との間に、外周側面から半径方向に突出した突出部を形成してもよい。
【0015】
こうすれば、検知上方炎口で形成された炎が突出部で遮られるため、炎検知炎口の炎に与える影響を抑制することができる。その結果、検知上方炎口および第2炎口で炎を形成した場合でも、炎検知炎口に形成される炎を炎検知手段で安定して検知することが可能となる。
【0016】
また、上述した本発明のコンロバーナにおいては、バーナヘッドを上バーナヘッドと下バーナヘッドとに分割可能として、下バーナヘッドはバーナボディの上に載置し、上バーナヘッドは下バーナヘッドの上に載置するようにしてもよい。そして、下バーナヘッドおよび上バーナヘッドを次のような形状とすることによって、第1炎口および第2炎口を形成してもよい。先ず、下バーナヘッドには、底面の外周部分から下方に向けて円筒形状の底面側筒状壁を突設させると共に、上面の外周部分からは上方に向けて円筒形状の下側筒状壁を突設させる。また、上バーナヘッドには、底面の外周部分から下方に向けて円筒形状の上側筒状壁を突設させる。そして、底面側筒状壁の下端面には、下バーナヘッドがバーナボディの上に載置されることによって第1炎口を形成することとなる複数の第1炎口溝を形成する。また、下側筒状壁には、上バーナヘッドが載置されることによって第2炎口を形成することとなる複数の下側第2炎口溝を形成し、上側筒状壁には、下バーナヘッドに載置されることによって第2炎口を形成することとなる複数の下側第2炎口溝を形成する。そして、上バーナヘッドの上側第2炎口溝は、下バーナヘッドの上に上バーナヘッドを載置した時に、下バーナヘッドの前記下側第2炎口溝に対して、外周側面の周方向に互い違いとなる位置に形成してもよい。
【0017】
こうすれば、第2炎口が、下側第2炎口溝と上側筒状壁との間に形成される部分と、上側第2炎口溝と下側筒状壁との間に形成される部分の2つに分割された状態で形成されるので、第2炎口に形成される炎も2つに分割された状態で形成される。このため、第2炎口での燃焼を安定させつつ、炎検知炎口の炎も安定して検知することが可能となる。
【0018】
また、バーナヘッドが下バーナヘッドと上バーナヘッドとに分割可能な本発明のコンロバーナにおいては、下バーナヘッドをバーナボディに載置した時に炎検知炎口を形成することとなる第1炎口溝の高さを、他の第1炎口溝の高さよりも大きな寸法に設定してもよい。これに伴って、上バーナヘッドを下バーナヘッドに載置した時に検知上方炎口を形成することとなる下側第2炎口溝および上側第2炎口溝の高さの加算値は、他の下側第2炎口溝および上側第2炎口溝の高さの加算値よりも小さな値に設定してもよい。
【0019】
こうすれば、炎検知炎口に大きな炎を形成することができるので、炎検知手段を用いて安定して炎を検知することが可能となる。
【0020】
また、こうした本発明のコンロバーナをガスコンロに搭載してもよい。
【0021】
こうすれば、炎を安定して検知可能なガスコンロを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施例のコンロバーナ10を搭載したガスコンロ1の外観形状を示した斜視図である。
図2】本実施例のコンロバーナ10の大まかな形状を示した斜視図である。
図3】本実施例のコンロバーナ10のバーナボディ11bおよびバーナヘッド20の内部構造を示した分解組立図である。
図4】バーナヘッド20を斜め下方から見上げることによって、バーナヘッド20に炎検知炎口27が形成されている部分を拡大して示した説明図である。
図5】下バーナヘッド22の炎検知炎口27aが小炎口22uに対して半径方向内側に形成されている様子、および上バーナヘッド21の検知上方炎口26が上側主炎口21fに対して半径方向内側に形成されている様子を示した説明図である。
図6】炎検知炎口27の上方の上側主炎口21fがバーナヘッド20の半径方向内側に移動されていない場合に、炎検知炎口27に形成される炎と火炎センサ32との位置関係を示した説明図である。
図7】本実施例のコンロバーナ10では、検知上方炎口26に炎が形成されても、炎検知炎口27の炎を火炎センサ32で安定して検知可能な理由を示す説明図である。
図8】変形例のコンロバーナ10についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本実施例のコンロバーナ10を搭載したガスコンロ1の外観形状を示した斜視図である。図1に例示したガスコンロ1は、図示しないシステムキッチンのカウンタートップに嵌め込んで設置されるビルトインタイプのガスコンロ1であり、上面が開口した箱形状の本体ケース2と、本体ケース2の上面を覆って設置される天板3とを備えている。
【0024】
本体ケース2の内部には、後述する親バーナと子バーナとが上下二段に組み合わされたコンロバーナ10が、左右に並べて2つ収容されており、これらのコンロバーナ10は、上部が天板3に形成された挿通孔から突出した状態となっている。また、天板3上には、それぞれのコンロバーナ10の上部が突出した箇所を囲むようにして五徳4が設置されており、五徳4上に鍋などの調理容器を置くことで、調理容器を下方からコンロバーナ10で加熱することが可能となっている。
【0025】
更に、コンロバーナ10には、中央を貫通した状態で温度センサ5が内蔵されている。温度センサ5は図示しない付勢バネによって上方に付勢されており、温度センサ5の上部がコンロバーナ10の上面中央から突出した状態となっている。そして、五徳4に調理容器を置くと、調理容器の底面が温度センサ5を押し下げることで温度センサ5の上端が調理容器の底面に当接した状態となって、調理容器の温度を検出することが可能となる。
【0026】
また、ガスコンロ1の前面にはグリル扉7が設けられており、グリル扉7の奥には図示しないグリル庫やグリルバーナが搭載されている。グリル扉7の右方には、2つのコンロバーナ10に対応して2つのコンロ操作ボタン8が設けられており、ガスコンロ1の使用者は何れかのコンロ操作ボタン8を操作することによって、対応するコンロバーナ10に点火したり、消火したり、火力を調節したりすることができる。また、グリル扉7の左方には、グリル操作ボタン9が設けられており、使用者はグリル操作ボタン9を操作することによって、グリルバーナに点火したり、消火したり、火力を調節したりすることができる。
【0027】
図2は、本実施例のコンロバーナ10の大まかな形状を示した斜視図である。図示されるようにコンロバーナ10は、板金製部材を組み合わせて形成されたバーナ本体11と、略円筒形状のバーナヘッド20とを備えている。バーナ本体11には、略円筒形状のバーナボディ11bと、バーナボディ11bに接続された親混合通路12と、親混合通路12よりも小径でバーナボディ11bに接続された子混合通路13とが形成されている。また、バーナボディ11bの上には、バーナヘッド20が載置されている。更に、バーナヘッド20の中央には挿通孔20hが形成されており、この挿通孔20hには、図1を用いて前述した温度センサ5が挿通されるようになっている。
【0028】
バーナヘッド20は、バーナヘッド20は上下二段に分割された部材であり、アルミニウム合金あるいは真鍮を用いて、鋳造あるいはダイカストによって形成されている。以下では、バーナヘッド20を構成する上側の部材を上バーナヘッド21と称し、下側の部材を下バーナヘッド22と称する。図示したように下バーナヘッド22の上に上バーナヘッド21を載置した状態では、図2中に拡大して示したように、上バーナヘッド21の外周側面に複数の上側主炎口21fが形成され、下バーナヘッド22の外周側面には複数の下側主炎口22fが形成されている。そして、上バーナヘッド21と下バーナヘッド22とは、上側主炎口21fと下側主炎口22fとが互い違いとなる位置で組み合わされるようになっている。
【0029】
また、バーナボディ11bの上にバーナヘッド20を載置すると、下バーナヘッド22とバーナボディ11bとの間に、複数の小さな炎口(以下、小炎口22u)が形成されるようになっている。後述するようにバーナボディ11bの内部には、親混合通路12が接続された空間と、子混合通路13が接続された空間とが形成されている。そして、下バーナヘッド22とバーナボディ11bとの間に形成された小炎口22uは、子混合通路13が接続された空間に連通している。また、上バーナヘッド21に形成された上側主炎口21fと、下バーナヘッド22に形成された下側主炎口22fとは、親混合通路12が接続された空間に連通している。このため、後述するように、子混合通路13に燃料ガスを供給すると、その燃料ガスが小炎口22uから流出し、親混合通路12に燃料ガスを供給すると、その燃料ガスが上側主炎口21fおよび下側主炎口22fから流出することになる。尚、本実施例の小炎口22uは、本発明における「第1炎口」に対応し、本実施例の上側主炎口21fおよび下側主炎口22fは、本発明における「第2炎口」に対応する。
【0030】
親混合通路12および子混合通路13には、次のようにして燃料ガスが供給される。先ず、親混合通路12はバーナボディ11bに接続されていない側が開口端12oとなっており、子混合通路13もバーナボディ11bに接続されていない側が開口端13oとなっている。親混合通路12の開口端12oを臨む位置にはガス噴射ノズル43pが設けられており、子混合通路13の開口端13oを臨む位置にはガス噴射ノズル43cが設けられている。尚、以下では、親混合通路12側に設けられたガス噴射ノズル43pを「親側のガス噴射ノズル43p」と称し、子混合通路13側に設けられたガス噴射ノズル43cを「子側のガス噴射ノズル43c」と称することがある。そして、親側のガス噴射ノズル43pには接続パイプ40pが接続されており、子側のガス噴射ノズル43cには接続パイプ40cが接続されている。これら2つの接続パイプ40p、40cは、ガス供給パイプ40から分岐している。
【0031】
ガス供給パイプ40に燃料ガスを供給すると、燃料ガスが接続パイプ40pと接続パイプ40cとに分岐して、親側のガス噴射ノズル43pと子側のガス噴射ノズル43cとに供給される。そして、親側のガス噴射ノズル43pの先端に形成されたノズル孔44pから、親混合通路12の開口端12oに向かって燃料ガスが噴射される。噴射された燃料ガスは、エジェクタ効果によって周囲の空気を巻き込みながら親混合通路12内に流入し、親混合通路12内で空気と混合した後、上側主炎口21fおよび下側主炎口22fから流出する。同様に、子側のガス噴射ノズル43cの先端に形成されたノズル孔44cからも、子混合通路13の開口端13oに向かって燃料ガスが噴射される。噴射された燃料ガスは、エジェクタ効果によって周囲の空気を巻き込みながら子混合通路13内に流入し、子混合通路13内で空気と混合した後、小炎口22uから流出する。
【0032】
ここで、親側のガス噴射ノズル43pに形成されたノズル孔44pは、子側のガス噴射ノズル43cに形成されたノズル孔44cよりも大きな径に設定されている。このため、親側のガス噴射ノズル43pは子側のガス噴射ノズル43cよりも多量の燃料ガスを噴射することが可能となっている。また、このことに対応して、親混合通路12は子混合通路13よりも大径に形成されている。また、ガス供給パイプ40の途中には、燃料ガスのガス流量を調節するためのガス流量調節弁41が取り付けられている。更に、親混合通路12に燃料ガスを供給する接続パイプ40pの途中には、接続パイプ40pを開閉する開閉弁42が取り付けられている。
【0033】
また、バーナ本体11には、バーナボディ11bの外周面に近接して、点火プラグ30と火炎センサ32とが設けられている。尚、本実施例の点火プラグ30は、本発明における「点火手段」に対応し、本実施例の火炎センサ32は、本発明における「炎検知手段」に対応する。更に、点火プラグ30の上方には、バーナヘッド20の外周面から図示しない点火ターゲットが突設されており、点火ターゲットの上方からは、点火プラグ30に煮零れ汁が掛かることを防止するために、点火ターゲットよりも大きな点火プラグ用庇31が突設されている。開閉弁42を全閉状態とした状態で、点火プラグ用庇31の下方の点火ターゲットに向かって、点火プラグ30から火花放電させながら、ガス流量調節弁41を開弁させると、小炎口22uから燃料ガスが流出し、その燃料ガスが着火して燃焼が開始される。
【0034】
ここで、隣接する小炎口22uの間隔は、一方の小炎口22uに炎が形成されると、その炎によって隣の小炎口22uにも炎が形成される間隔に設定されている。このため、点火プラグ30の近くの小炎口22uで燃焼が開始されると、その炎が隣の小炎口22uに次々と火移りしていく結果、全ての小炎口22uで燃料ガスの燃焼が開始されるようになっている。火炎センサ32は、小炎口22uで生じた炎を検知することができる。
【0035】
更に、小炎口22uで炎が形成されている状態で開閉弁42を開弁させると、上側主炎口21fおよび下側主炎口22fからも燃料ガスが流出する。ここで、小炎口22uと、その上方の下側主炎口22fとの距離は、小炎口22uに炎が形成されると、その炎によって上方の下側主炎口22fにも炎が形成される距離に設定されている。このため、小炎口22uの炎によって、下側主炎口22fおよび上側主炎口21fでも燃料ガスの燃焼が開始されるようになっている。
【0036】
また、本実施例のコンロバーナ10は、小炎口22uから流出する燃料ガスに点火するための点火プラグ30は備えているが、下側主炎口22fや上側主炎口21fから流出する燃料ガスに点火するための点火プラグは備えていない。この理由は次のようなものである。図2を用いて上述したように、上側主炎口21fおよび下側主炎口22fは、小炎口22uに比べて大きな開口面積に設定されている。また、バーナ本体11の内部で上側主炎口21fおよび下側主炎口22fと連通している親混合通路12は、小炎口22uと連通している子混合通路13よりも大径に形成されている。更に、ガス噴射ノズル43pはガス噴射ノズル43cよりも多量の燃料ガスを噴射することができる。従って、上側主炎口21fおよび下側主炎口22fでは、小炎口22uよりも多量の燃料ガスを燃焼させて、大火力を発生させることができる。このため、コンロバーナ10は、必要な火力が小さい間は小炎口22uで燃料ガスを燃焼させておき、大火力が必要になったら上側主炎口21fおよび下側主炎口22fでも燃料ガスを燃焼させる。その後、小さな火力に戻す場合は、小炎口22uでの燃焼は継続したままで、上側主炎口21fおよび下側主炎口22fでの燃焼を終了させる。
【0037】
このように、本実施例のコンロバーナ10は、上側主炎口21fおよび下側主炎口22fの燃焼を開始する際には、必ず小炎口22uで燃料ガスが燃焼中となっている。従って、小炎口22uから流出する燃料ガスに、点火プラグ30で点火することができれば、小炎口22uの炎を火移りさせることによって、下側主炎口22fおよび上側主炎口21fでの燃焼も開始させることができる。このような理由から、小炎口22uに点火する点火プラグ30を搭載しておけば、下側主炎口22fや上側主炎口21fに点火するための点火プラグは搭載する必要がないためである。尚、コンロバーナ10の中の小炎口22uの部分は「子バーナ」と呼称され、コンロバーナ10の中の上側主炎口21fおよび下側主炎口22fの部分は「親バーナ」と呼称されることがある。
【0038】
図3は、本実施例のコンロバーナ10のバーナボディ11bおよびバーナヘッド20の内部構造を示した分解組立図である。図示されるように、略円筒形状のバーナボディ11bは、上端側が内向きに折り曲げられることによって、バーナヘッド20を載置する円環状の載置面11aが形成されている。また、バーナボディ11bの内側には、円筒形状の中央筒体14が立設されており、バーナボディ11bと中央筒体14との間に、混合ガスが供給される環状の混合室16が形成されている。
【0039】
更に、バーナボディ11bと中央筒体14との間には、略円筒形状の仕切り筒体15が設けられており、この仕切り筒体15によって、混合室16は仕切り筒体15よりも内側の空間と、仕切り筒体15よりも外側の空間とに分けられている。仕切り筒体15よりも内側の空間が後述する親混合室16pとなり、仕切り筒体15よりも外側の空間が後述する子混合室16cとなる。仕切り筒体15は、バーナボディ11bと同様に板金部材によって形成されており、円筒形状の上端側が内向きに折り曲げられた後、折り曲げられた部分の内縁が下向きに折り曲げられることによって短い円筒形状の嵌合面15aが形成されている。
【0040】
バーナヘッド20は、前述したように上バーナヘッド21と下バーナヘッド22とから形成されており、バーナボディ11bの載置面11aの上に下バーナヘッド22を載置して、その下バーナヘッド22の上に上バーナヘッド21を載置するようになっている。図示されるように、下バーナヘッド22は略円環形状の部材であり、円環形状の内縁部分からは下方に向けて円筒形状の隔壁筒22aが垂設されている。また、下バーナヘッド22の周縁部分の底面側からは、隔壁筒22aよりは短い円筒形状の底面側筒状壁22bが、下方に向けて垂設されており、底面側筒状壁22bの下端面(バーナボディ11bの載置面11aに当接する面)には、下バーナヘッド22の中心に対して放射状に複数の小炎口溝22cが上方に向けて穿設されている。更に、下バーナヘッド22の周縁部分の上面側からは、底面側筒状壁22bよりも長い円筒形状の下側筒状壁22dが、上方に向けて立設されており、下側筒状壁22dの上端面には、下側筒状壁22dの中心に対して放射状に複数の下側主炎口溝22eが下方に向けて穿設されている。更に、下バーナヘッド22の下側筒状壁22dの外周側面からは、前述した点火プラグ30の上方の位置まで、点火プラグ用庇31が突設されている。尚、本実施例の小炎口溝22cは、本発明における「第1炎口溝」に対応する。また、本実施例の下側主炎口溝22eは、本発明における「下側第2炎口溝」に対応する。
【0041】
一方、上バーナヘッド21は円環形状に形成されており、内縁部分からは、図示しない円筒形状の内筒が下方に向けて垂設されている。更に、周縁部分からは下方に向けて筒状の上側筒状壁21aが設けられており、上側筒状壁21aの下端面には、上側筒状壁21aの中心に対して放射状に複数の上側主炎口溝21bが形成されている。尚、本実施例の上側主炎口溝21bは、本発明における「上側第2炎口溝」に対応する。
【0042】
以上のような形状の上バーナヘッド21を、下バーナヘッド22の上に載置する際には、上バーナヘッド21の上側主炎口溝21bと、下バーナヘッド22の下側主炎口溝22eとが重ならないように位置決めした状態で載置する。このため、下バーナヘッド22の下側筒状壁22dの上端面に穿設された下側主炎口溝22eの上面が、上バーナヘッド21の上側筒状壁21aの下端面で塞がれて、その結果、下側筒状壁22dの外周側面に下側主炎口溝22eが開口した箇所には下側主炎口22f(図2参照)が形成されることになる。また、上バーナヘッド21の上側筒状壁21aの下端面に穿設された底面側筒状壁22bの底面が、下バーナヘッド22の下側筒状壁22dの上端面で塞がれて、上側筒状壁21aの外周側面に上側主炎口溝21bが開口した箇所には上側主炎口21f(図2参照)が形成されることになる。その結果、上側主炎口21fと下側主炎口22fとは、図2に示したように、互い違いの位置に(従って、周方向に位置をずらした状態で)形成される。
【0043】
また、バーナヘッド20をバーナボディ11bに載置する際には、下バーナヘッド22の内縁部分から下方に垂設された隔壁筒22aを、仕切り筒体15の嵌合面15aの内側に挿入しつつ、上バーナヘッド21の内縁部分から下方に垂設された図示しない内筒を、中央筒体14の内側に挿入しながら、バーナヘッド20を下降させる。すると、下バーナヘッド22の周縁部分から下方に突設された下側主炎口溝22eが、バーナボディ11bの載置面11aに当接して、バーナヘッド20がバーナボディ11bに載置される。
【0044】
バーナヘッド20をバーナボディ11bに載置した状態では、下バーナヘッド22の隔壁筒22aが仕切り筒体15の嵌合面15aに嵌合し、上バーナヘッド21の図示しない内筒が中央筒体14の上部の内周面に嵌合した状態となる。その結果、仕切り筒体15の外側には、仕切り筒体15とバーナボディ11bと下バーナヘッド22とで囲まれた子混合室16cが形成される。この子混合室16cは子混合通路13と連通している。また、仕切り筒体15の内側には、中央筒体14と仕切り筒体15と隔壁筒22aと上バーナヘッド21とで囲まれた親混合室16pが形成される。この親混合室16pは親混合通路12と連通している。
【0045】
以上のような構造を有する本実施例のコンロバーナ10は、少なくとも1つの小炎口22uから流出する燃料ガスに点火すれば、その炎を全ての小炎口22uに火移りさせることができ、更に、小炎口22uに形成された炎を、小炎口22uの上方に形成された下側主炎口22fおよび上側主炎口21fに火移りさせることができる。従って、本実施例のコンロバーナ10の点火プラグ30は、小炎口22uから流出する燃料ガスに点火できれば十分であり、また、火炎センサ32は小炎口22uに形成された炎を検知できれば良い。このため、点火プラグ30および火炎センサ32は小炎口22uと向き合う位置に搭載されている。ここで、小炎口22uに形成される炎の大きさが変わっても、火炎センサ32で炎を確実に検知可能とするために、火炎センサ32と向き合う位置の小炎口22uは、他の位置の小炎口22uとは異なる形に形成されている。以下では、火炎センサ32と向き合う位置の小炎口22uを「炎検知炎口27」と称することにする。
【0046】
図4は、バーナヘッド20を斜め下方から見上げることによって、バーナヘッド20に炎検知炎口27が形成されている部分を拡大して示した説明図である。尚、図4では、火炎センサ32や点火プラグ30については、輪郭だけが破線で表示されている。図示されるように、下バーナヘッド22はバーナボディ11bに載置されることによって、底面側筒状壁22bに複数の小炎口22uが形成されている。また、火炎センサ32と向き合う位置では、底面側筒状壁22bが半径方向内側に凹んだ形状となっており、凹んだ部分に複数(本実施例では3つ)の炎検知炎口27が形成されている。図4では、炎検知炎口27が、細かい斜線を付された状態で表示されている。これら3つの炎検知炎口27の中で、真ん中の炎検知炎口27は、小炎口22uよりも高さ方向の寸法が小さな炎検知炎口27bとなっており、両側の炎検知炎口27は、小炎口22uよりも高さ方向の寸法が大きな炎検知炎口27aとなっている。尚、以下では、これら複数の炎検知炎口27の列を「炎検知炎口列27L」と称することがある。
【0047】
また、本実施例のコンロバーナ10には、火炎センサ32の隣に点火プラグ30が搭載されており、点火プラグ30と向き合う位置の底面側筒状壁22bは、火炎センサ32と向き合う位置の底面側筒状壁22bと同じ位置まで、半径方向内側に凹んだ形状となっている。そして、凹んだ部分には複数(本実施例では5つ)の点火炎口28が形成されている。従って、複数の点火炎口28は、炎検知炎口27と同じ半径の底面側筒状壁22b上に形成されていることになる。そして、複数の点火炎口28の上方には、下側筒状壁22dから点火ターゲット31tが突設されている。
【0048】
更に、小炎口22uの上方に形成された下側筒状壁22dには、複数の下側主炎口22fが形成されている。但し、炎検知炎口列27Lの上方では、下側主炎口22fが形成されていない。この理由は、炎検知炎口27aの高さ方向の寸法が小炎口22uよりも大きくなっている関係上、下側主炎口22fを形成するスペースが取れなかったためである。従って、炎検知炎口27aの高さ方向の寸法を減少させることによって、炎検知炎口列27Lの上方の位置にも、高さ方向の寸法の小さな複数の下側主炎口22fを形成するようにしてもよい。しかし、炎検知炎口27aは小炎口22uよりは高さ方向の寸法が大きくなっているので、炎検知炎口27aの上方に下側主炎口22fを形成する場合でも、下側主炎口22fの高さ方向の寸法と、検知上方炎口26の高さ方向の寸法とを加算した値は、小炎口22uの上方に形成された下側主炎口22fの高さ方向の寸法と、上側主炎口21fの高さ方向の寸法とを加算した値よりも小さくなる。また、本実施例では、炎検知炎口27aの上方には下側主炎口22fが形成されていないので、下側主炎口22fの高さ方向の寸法が0の場合に該当する。
【0049】
また、本実施例のコンロバーナ10では、複数の点火炎口28の上方の下側筒状壁22dにも下側主炎口22fが形成されていない。この理由は、複数の点火炎口28の上方には点火ターゲット31tが形成されているため、下側主炎口22fを形成するスペースが取れなかったためである。従って、点火ターゲット31tの高さ方向の寸法を減少させることによって、複数の点火炎口28の上方の下側筒状壁22dにも、高さ方向の寸法の小さな複数の下側主炎口22fを形成してもよい。
【0050】
下バーナヘッド22の上に載置される上バーナヘッド21の上側筒状壁21aには、複数の上側主炎口21fが形成されている。また、上側筒状壁21aは、下バーナヘッド22の炎検知炎口列27Lの上方に位置する部分では、半径方向内側に凹んだ形状となっており、凹んだ部分には複数(本実施例では5つ)の検知上方炎口26が形成されている。図4では、検知上方炎口26が、粗い斜線を付された状態で表示されている。検知上方炎口26の形状は、上側主炎口21fと同じであるが、検知上方炎口26は上側主炎口21fよりも半径方向内側に凹んだ位置に形成されている。尚、以下では、複数の検知上方炎口26の列を「検知上方炎口列26L」と称することがある。また、図4に示されるように、上バーナヘッド21に形成された検知上方炎口列26Lの横幅(上バーナヘッド21の周方向の幅)は、下バーナヘッド22に形成された炎検知炎口列27Lの横幅(下バーナヘッド22の周方向の幅)よりも大きくなっている。
【0051】
図5は、下バーナヘッド22の炎検知炎口27aが小炎口22uよりも半径方向内側に形成されている様子、および上バーナヘッド21の検知上方炎口26が上側主炎口21fよりも半径方向内側に形成されている様子を示した説明図である。図5(a)には、炎検知炎口27aおよび検知上方炎口26を通る平面でコンロバーナ10を切断した時の断面図が示されている。また、図5(b)には、参考として、小炎口22uを通る平面でコンロバーナ10を切断した時の断面図が示されている。
【0052】
図5(a)には、火炎センサ32の輪郭が細い破線で示されている。また、参考として、小炎口22uや下側主炎口22fや上側主炎口21fの位置も太い破線で示されている(図5(b)も参照のこと)。図示されるように、下バーナヘッド22の下方に形成された炎検知炎口27(炎検知炎口27a,27b)は、破線で示した小炎口22uよりも下バーナヘッド22の半径方向内側の位置に形成されている。また、上バーナヘッド21の下方に形成された検知上方炎口26は、破線で示した上側主炎口21fよりも上バーナヘッド21の半径方向内側の位置に形成されている。更に、炎検知炎口27(炎検知炎口27a,27b)と検知上方炎口26との間には、炎検知炎口27および検知上方炎口26よりも半径方向外側に突出した突出部29が形成されている。
【0053】
このように、本実施例のコンロバーナ10では、火炎センサ32と向き合う炎検知炎口27(炎検知炎口27a,27b)を、小炎口22uよりもバーナヘッド20の半径方向内側の位置に形成し、更に、炎検知炎口27の上方に形成された検知上方炎口26についても、上側主炎口21fよりもバーナヘッド20の半径方向内側の位置に形成している。こうすることで、小炎口22uのみで燃料ガスを燃焼させる状態(以下、小火力時)から、小炎口22uに加えて上側主炎口21fおよび下側主炎口22fでも燃料ガスを燃焼させる状態(以下、大火力時)に移行した時に、火炎センサ32で炎を検知できなくなって、燃焼が中断されてしまう事態を回避することができる。以下、この理由について説明する。
【0054】
図6は、従来のコンロバーナ10(すなわち、炎検知炎口27の上方の上側主炎口21fが他の上側主炎口21fに対して、バーナヘッド20の半径方向内側に移動されていないコンロバーナ10)で、炎検知炎口27に形成される炎と火炎センサ32との位置関係を示した説明図である。図6(a)には、上側主炎口21fには炎が形成されていない場合(すなわち、小炎口22uおよび炎検知炎口27だけに炎が形成される場合)が示されており、図6(b)には、上側主炎口21f(および下側主炎口22f)でも炎が形成された場合が示されている。
【0055】
図6(a)中には、最小火力時に炎検知炎口27で形成される炎が、実線で示されている。前述したように、炎検知炎口27は他の小炎口22uに対してバーナヘッド20の半径方向内側に奥まった位置に形成されているため、燃焼に必要な空気が炎検知炎口27の位置まで届きにくい。このため、図中に白抜きの矢印で示したように、最小火力時であっても炎検知炎口27の炎は炎検知炎口27から離れた位置(バーナヘッド20の半径方向外側の位置)に形成される。また、図中の破線は、小火力の範囲内(すなわち、小炎口22uおよび炎検知炎口27だけで燃料ガスを燃焼させる火力範囲内)で火力を増加させた場合に炎検知炎口27で形成される炎を表している。火力を増加させたことに伴って、炎検知炎口27に形成される炎は大きくなるが、最小火力時の炎が炎検知炎口27から離れた位置に形成されているので、火力が増加しても炎の位置が大きく移動することがない。このため、図6(a)に示したように、最小火力時から火力を増加させても、火炎センサ32は炎検知炎口27の炎によって同じように炙られることになり、安定して炎を検知することができる。
【0056】
図6(b)には、更に火力が増加して、上側主炎口21f(および下側主炎口22f)でも炎が形成された状態(すなわち、大火力時)が示されている。図6(b)中では、上側主炎口21fに形成された炎を一点鎖線で表している。上側主炎口21fでも炎が形成されると、炎検知炎口27の炎にとっては、すぐ上方の位置で大きな炎が形成されることになるので、燃焼に必要な空気が不足する。このため、図中に黒塗りの矢印で示したように、炎検知炎口27の炎は、燃焼に必要な空気を求めて、炎検知炎口27から更に離れた位置(バーナヘッド20の半径方向外側の位置)に移動する。その結果、図6(b)に示したように、火炎センサ32は、炎検知炎口27の炎の内炎と呼ばれる温度の低い部分で炙られることになり、炎を安定して検知することができなくなる。
【0057】
図7は、本実施例のコンロバーナ10で、炎検知炎口27に形成される炎と火炎センサ32との位置関係を示した説明図である。図7(a)には、検知上方炎口26には炎が形成されていない場合(すなわち、小火力時)が示されており、図7(b)には、検知上方炎口26でも炎が形成された場合(すなわち、大火力時)が示されている。
【0058】
図7(a)でも、最小火力時に炎検知炎口27で形成される炎が実線で示されており、小火力の範囲内で火力を増加させた場合に炎検知炎口27で形成される炎が破線で示されている。図7(a)では検知上方炎口26で炎が形成されていないので、前述した図6(a)と全く同様である。すなわち、図中に白抜きの矢印で示したように、最小火力時に炎検知炎口27に形成される炎は、炎検知炎口27から離れた位置(バーナヘッド20の半径方向外側の位置)に形成される。このため、最小火力時から小火力の範囲内で火力を増加させても、火炎センサ32は炎検知炎口27の炎によって同じように炙られるので、安定して炎を検知することができる。
【0059】
図7(b)には、検知上方炎口26でも炎が形成された状態(すなわち、大火力時)が示されている。図中に一点鎖線で示した炎は、検知上方炎口26に形成された炎を表している。前述したように、検知上方炎口26は上側主炎口21fに対して、バーナヘッド20の半径方向内側の位置に形成されているので、検知上方炎口26に形成される炎も、上側主炎口21fの炎よりは半径方向内側に形成されることになる。このため、炎検知炎口27の炎が形成される位置も、図6(b)を用いて前述した従来の場合に比べて、半径方向内側に形成されることになり、その結果、検知上方炎口26に炎が形成された時に、炎検知炎口27の炎が半径方向外側に移動することを抑制することができる。このため、本実施例のコンロバーナ10では、検知上方炎口26に炎が形成された場合でも、火炎センサ32が炎検知炎口27の炎で炙られる状態が大きくは変わらないようにすることができるので、炎を安定して検知することが可能となる。
【0060】
また、本実施例のコンロバーナ10では、検知上方炎口26と炎検知炎口27との間に、半径方向外側に突出した突出部29が形成されているため、検知上方炎口26に形成された炎と、炎検知炎口27に形成された炎とが、炎の根元の部分で突出部29によって区切られた状態となっている。このため、検知上方炎口26の炎は下方に伸びないようにガイドされることとなり、炎検知炎口27の炎に与える影響を軽減させることができる。その結果、本実施例のコンロバーナ10では、検知上方炎口26に炎が形成された場合でも、火炎センサ32が炎検知炎口27の炎で炙られる状態が大きくは変わらないようにすることができるので、炎を安定して検知することが可能となる。
【0061】
尚、上述した実施例では、検知上方炎口26は、上側主炎口21fに対してバーナヘッド20の半径方向内側の位置に形成されているものとして説明した。しかし、検知上方炎口26の位置を半径方向内側に形成するのではなく、検知上方炎口26の底面の傾斜を、上側主炎口21fよりも大きくする(すなわち、半径方向外側の位置ほど底面が高くなる)ようにしてもよい。
【0062】
図8は、このような変形例のコンロバーナ10についての説明図である。図8(a)には、炎検知炎口27aおよび検知上方炎口26を通る平面で、変形例のコンロバーナ10を切断した時の断面図が示されている。また、図8(b)には、変形例のコンロバーナ10で、炎検知炎口27および検知上方炎口26で炎が形成された状態(すなわち、大火力時)が示されている。
【0063】
図8(a)に示すように、変形例のコンロバーナ10では、炎検知炎口27は小炎口22uよりも半径方向内側の位置に形成されているが、検知上方炎口26については内側の位置に形成されていない。その代わりに、検知上方炎口26の底面の半径方向外側の部分には、上側主炎口21fよりも傾斜が大きくなった傾斜部26aが形成されている。尚、図8(a)では、検知上方炎口26の底面の半径方向外側の部分に傾斜部26aが形成されているものとしているが、検知上方炎口26の底面全体を傾斜部26aとすることによって、上側主炎口21fよりも傾斜を大きくする(半径方向外側の位置ほど底面が高くなる)ようにしてもよい。
【0064】
このような変形例のコンロバーナ10では、傾斜部26aの作用によって、検知上方炎口26に形成される炎は、上側主炎口21fに形成される炎よりも、上方に向かって延びる形状(すなわち、炎検知炎口27の炎から離れる形状)となる。このため、図8(b)に示したように、検知上方炎口26に炎が形成されても、炎検知炎口27の炎の位置が移動することを抑制できるので、火炎センサ32で炎検知炎口27の炎を安定して検知することが可能となる。
【0065】
以上、本実施例のコンロバーナ10やガスコンロ1について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0066】
例えば、上述した本実施例のコンロバーナ10は、バーナヘッド20が上バーナヘッド21と下バーナヘッド22とに分割可能となっており、上バーナヘッド21に形成された上側主炎口溝21bと、下バーナヘッド22に形成された下側主炎口溝22eとが互い違いとなるように組み合わされることによって、上側主炎口溝21bと下側主炎口溝22eとが別個の炎口を形成するものとして説明した。しかし、上バーナヘッド21の上側主炎口溝21bと、下バーナヘッド22の下側主炎口溝22eとを上下に合わせて組み合わせることによって、一体の炎口を形成するようにしてもよい。
【0067】
また、上述した本実施例のコンロバーナ10は、上バーナヘッド21および下バーナヘッド22の何れにも主炎口溝(上側主炎口溝21bまたは下側主炎口溝22e)が形成されているものとして説明した。上バーナヘッド21および下バーナヘッド22の何れか一方にだけ主炎口溝を形成しておき、下バーナヘッド22の上に上バーナヘッド21を載置すると主炎口が形成されるようにしてもよい。
【0068】
また、上述した本実施例のコンロバーナ10は、バーナボディ11bの上に下バーナヘッド22を載置した時に、バーナボディ11bと下バーナヘッド22との間に小炎口22uが形成されるようにするために、下バーナヘッド22の下面側に小炎口溝22cを形成するものとして説明した。しかし、バーナボディ11bの上面側に小炎口溝を形成することによって、バーナボディ11bの上に下バーナヘッド22が載置された時に小炎口が形成されるようにしてもよい。
【0069】
また、上述した本実施例のコンロバーナ10は、点火プラグ30から火花を飛ばすことによって混合ガスに点火するものしているが、ヒータを用いて混合ガスを加熱することによって点火するようにしてもよい。
【0070】
また、上述した本実施例のコンロバーナ10は、バーナヘッド20の中央に挿通孔20hが形成された円環形状のバーナヘッド20を搭載しているが、これに限らず、例えば挿通孔20hの部分が閉塞された円板形状のバーナヘッドを搭載したコンロバーナであってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…ガスコンロ、 2…本体ケース、 3…天板、 4…五徳、
5…温度センサ、 7…グリル扉、 8…コンロ操作ボタン、
9…グリル操作ボタン、 10…コンロバーナ、 11…バーナ本体、
11a…載置面、 11b…バーナボディ、 12…親混合通路、
12o…開口端、 13…子混合通路、 13o…開口端、
14…中央筒体、 15…仕切り筒体、 15a…嵌合面、 16…混合室、
16c…子混合室、 16p…親混合室、 20…バーナヘッド、
20h…挿通孔、 21…上バーナヘッド、 21a…上側筒状壁、
21b…上側主炎口溝、 21f…上側主炎口、 22…下バーナヘッド、
22a…隔壁筒、 22b…底面側筒状壁、 22c…小炎口溝、
22d…下側筒状壁、 22e…下側主炎口溝、 22f…下側主炎口、
22u…小炎口、 26…検知上方炎口、 26L…検知上方炎口列、
26a…傾斜部、 27…炎検知炎口、 27L…炎検知炎口列、
27a…炎検知炎口、 27b…炎検知炎口、 28…点火炎口、
29…突出部、 30…点火プラグ、 31…点火プラグ用庇、
31t…点火ターゲット、 32…火炎センサ、 40…ガス供給パイプ、
40c…接続パイプ、 40p…接続パイプ、 41…ガス流量調節弁、
42…開閉弁、 43c…ガス噴射ノズル、 43p…ガス噴射ノズル、
44c…ノズル孔、 44p…ノズル孔。
図1
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図3
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図8