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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079136
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
H01G4/30 201L
H01G4/30 201M
H01G4/30 201K
H01G4/30 512
H01G4/30 515
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033965
(22)【出願日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0166008
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ド イェオン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェ ジョーン
(72)【発明者】
【氏名】リー、セウン リョル
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
(57)【要約】
【課題】積層型電子部品を積層及び圧着する過程で誘電体シート及び内部電極が伸びて耐電圧特性及び高温信頼性に悪影響を及ぼす問題を解決し、高集積化、小型化、高容量化を達成するために内部セラミック電極及び誘電体層を薄層化する場合、耐電圧特性と高温信頼性がさらに弱くなるという問題点を解決する。
【解決手段】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び上記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面から上記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体を含むことができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面から前記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記本体の外側に配置され、前記第1内部電極及び前記第2内部電極とそれぞれ連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、
前記本体は、前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される前記第1内部電極及び前記第2内部電極を含んで容量が形成される容量形成部、前記容量形成部の第1方向の一面及び他面に形成されたカバー部、前記容量形成部の前記第3方向の一面及び他面に配置された第2マージン部を含み、
前記カバー部の平均硬度をHc、前記第2マージン部の平均硬度をH2とするとき、-3.0<{1-(Hc/H2)}x100≦0.4を満たす、積層型電子部品。
【請求項2】
前記第2マージン部の平均硬度と前記容量形成部に含まれる前記誘電体層の平均硬度とは実質的に同一である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第2マージン部の平均厚さは20μm以下である、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記誘電体層の平均厚さは0.4μm以下であり、前記第1内部電極及び前記第2内部電極の平均厚さは0.4μmである、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記カバー部の平均厚さは20μm以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第3面及び前記第4面間の距離をL、前記第5面及び前記第6面間の距離をWとするとき、前記Lは0.4mm以下であり、前記Wは0.2mm以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面から前記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記本体の外側に配置され、前記第1内部電極及び前記第2内部電極とそれぞれ連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、
前記本体は、前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される前記第1内部電極及び前記第2内部電極を含んで容量が形成される容量形成部、前記容量形成部の前記第1方向の一面及び他面に形成されたカバー部、前記容量形成部の前記第2方向の一面及び他面に配置された第1マージン部を含み、
前記カバー部の平均硬度をHc、前記第1マージン部の平均硬度をH1とするとき、-3.0<{1-(Hc/H1)}x100≦0.4を満たす、積層型電子部品。
【請求項8】
前記第1マージン部の平均硬度と前記容量形成部に含まれる前記誘電体層の平均硬度とは実質的に同一である、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記第1マージン部の平均厚さは20μm以下である、請求項7または8に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記誘電体層の平均厚さは0.4μm以下であり、前記第1内部電極及び前記第2内部電極の平均厚さは0.4μmである、請求項7から9のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記カバー部の平均厚さは20μm以下である、請求項7から10のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記第3面及び前記第4面間の距離をL、前記第5面及び前記第6面間の距離をWとするとき、前記Lは0.4mm以下であり、前記Wは0.2mm以下である、請求項7から11のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
[背景技術]
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0002】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子機器の部品として使用されることができる。最近は、電子製品の小型化、多機能化に伴う積層セラミックキャパシタの高集積化、高容量化に対する要求が増大し、積層セラミックキャパシタ間の空間が最小化している。
【0003】
また、自動車またはインフォテインメントシステムにも積層セラミックキャパシタを使用するにつれて、高信頼性、高強度特性及び小型化に対する要求が増加している。このような高集積化、小型化、高容量化を達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くして積層数を増加させる必要がある。現在、誘電体層の厚さは約0.4μmのレベルまで達した状態であり、引き続き薄層化が進んでいる。
【0004】
しかし、誘電体層を0.4μm未満の厚さに形成する場合、耐電圧特性を確保しにくいという問題点があり、誘電体層の薄層化により高温での温度安定性が確保されないという問題点がある。従来の積層セラミックキャパシタは、製造工程中に積層及び圧着工程により誘電体シート及び内部電極が伸びて、耐電圧特性及び高温信頼性が悪いという問題点が発生する可能性がある。このような問題は、高集積化、小型化、高容量化を達成するために内部電極及び誘電体層を薄層化することによって深刻化し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のいくつかの目的の一つは、積層型電子部品を積層及び圧着する過程で誘電体シート及び内部電極が伸びて、耐電圧特性及び高温信頼性に悪影響を及ぼす問題を解決することにある。本発明のいくつかの目的の一つは、高集積化、小型化、高容量化を達成するために内部セラミック電極及び誘電体層を薄層化する場合、耐電圧特性と高温信頼性がさらに弱くなるという問題点を解決することにある。
【0006】
ただし、本発明の目的は上記内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層を間に挟んで対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記本体の外側に配置され、上記第1内部電極及び第2内部電極とそれぞれ連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、上記本体は、上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される上記第1内部電極及び第2内部電極を含んで容量が形成される容量形成部、上記容量形成部の上部及び下部に形成されたカバー部、上記容量形成部の上記第2方向の一面及び他面に配置された第1マージン部を含み、上記カバー部の平均硬度をHc、上記第1マージン部の平均硬度をH1とするとき、-3.0<{1-(Hc/H1)}x100≦0.4を満たすことができる。
【0008】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記本体の外側に配置され、上記第1内部電極及び第2内部電極とそれぞれ連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、上記本体は、上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される上記第1内部電極及び第2内部電極を含んで容量が形成される容量形成部、上記容量形成部の第1方向の一面及び他面に形成されたカバー部、上記容量形成部の上記第3方向の一面及び他面に配置された第2マージン部を含み、上記カバー部の平均硬度をHc、上記第2マージン部の平均硬度をH2とするとき、-3.0<{1-(Hc/H2)}x100≦0.4を満たすことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のいくつかの効果の一つは、積層型電子部品の積層及び圧着工程時に、誘電体層と内部電極が伸びる現象を最小化して耐電圧特性及び高温信頼性を向上させることである。本発明のいくつかの効果の一つは、内部電極及び誘電体層が薄層化した積層型電子部品においても優れた耐電圧特性及び高温信頼性を確保することである。
【0010】
ただし、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態及び他の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
図2図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示したものである。
図3図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示したものである。
図4】本発明の一実施形態または他の一実施形態による誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
図5図1のI-I'線に沿った断面図において、平均硬度を測定する領域を概略的に示したものである。
図6】II-II'線に沿った断面図において、平均硬度を測定する領域を概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、具体的な実施形態及び添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0013】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示されたものに限定されない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0014】
図面において、第1方向は積層方向または厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0015】
積層型電子部品
以下、図1図6を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品について詳細に説明する。
【0016】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体を含むことができる。
【0017】
本体110は、誘電体層111と第1内部電極及び第2内部電極121、122が交互に積層されている。本体110の具体的な形状に特に限定はないが、図示のように本体110は六面体形状またはこれと類似の形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0018】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に互いに対向する第3面3及び第4面4、第1面1及び第2面2と連結され、第3面3及び第4面4と連結され、第3方向に互いに対向する第5面5及び第6面6を有することができる。
【0019】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0020】
上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り特に限定されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶された(Ba1‐xCa)TiO、Ba(Ti1‐yCa)O、(Ba1‐xCa)(Ti1‐yZr)OまたはBa(Ti1‐yZr)O等が挙げられる。
【0021】
上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーに、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などを添加することができる。
【0022】
図2を参照すると、本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Aと、上記容量形成部Aの上部及び下部に形成されたカバー部112、113とを含むことができる。
【0023】
また、上記容量形成部Aは、積層型電子部品100の容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1内部電極121及び第2内部電極122を反復的に積層して形成することができる。
【0024】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Aの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0025】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、セラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0026】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100の本体110は、上記容量形成部Aの第2方向の一面及び他面に配置された第1マージン部114、115を含むことができる。
【0027】
図2を参照すると、第2方向のマージン部114、115は、本体110の第3面3に配置された第1マージン部114と第4面4に配置された第1マージン部115とを含むことができる。すなわち、第1マージン部114、115は、上記本体110の長さ方向の両側面に配置されてよい。
【0028】
第1マージン部114、115は、図2に示すように、上記本体110を第1方向及び第2方向に切断した断面において、容量形成部の第2方向の端と第3面及び第4面の間の領域で誘電体層が占める領域を意味することができる。
【0029】
第1マージン部114、115は、基本的に第1内部電極と第2外部電極が電気的に連結されないようにしたり、第2内部電極と第1外部電極が電気的に連結されないようにする役割を果たすことができ、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0030】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100の本体110は、上記容量形成部Aの第3方向の一面及び他面に配置された第2マージン部116、117を含むことができる。図3を参照すると、第3方向のマージン部116、117は、本体110の第5面5に配置された第2マージン部116と第6面6に配置された第2マージン部117とを含むことができる。すなわち、第2マージン部116、117は、上記本体110の幅方向の両側面に配置されることができる。
【0031】
第2マージン部は、図3に示すように、上記本体110を第1方向及び第3方向に切断した断面において、容量形成部の第2方向の端と第5面及び第6面の間の領域で誘電体層が占める領域を意味することができる。第2マージン部116、117は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0032】
第2マージン部116、117は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成される箇所を除いて導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することにより形成されたものであってよい。また、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極が本体の第5面5及び第6面6に露出するように切断した後、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Aの両側面に幅方向に積層して第2マージン部116、117を形成してもよい。
【0033】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に配置することができる。内部電極121、122は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができる。第1内部電極121及び第2内部電極122は、本体110を構成する誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3面3及び第4面4でそれぞれ第1外部電極及び第2外部電極と接触することができる。
【0034】
図2を参照すると、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3で第1外部電極と接触し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4で第2外部電極と接触することができる。このとき、第12内部電極121及び第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに分離されてよい。
【0035】
図4を参照すると、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0036】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上であってよく、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
また、内部電極121、122は、セラミックグリーンシート上に導電性ペーストを印刷して内部電極を形成することができ、内部電極用導電性ペーストの印刷方法はスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを使用することができる。
【0038】
図1図2を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、上記本体100及び上記本体110の外側に配置され、上記第1内部電極121と連結される第1外部電極131及び上記第2内部電極122と連結される第2外部電極132を含むことができる。
【0039】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてよく、さらに多層構造を有してよい。
【0040】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a及び電極層131a、132a上に形成されためっき層131b、132bを含むことができる。電極層131a、132aに対するより具体的な例を挙げると、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成電極、又は導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であってよい。
【0041】
また、電極層131a、132aは、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次に形成された形態であってよい。また、電極層131a、132aは、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、又は焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する形式で形成されたものであってよい。
【0042】
電極層131a、132aに含まれる導電性金属として、電気伝導性に優れた材料を使用することができるが、特に限定されない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びこれらの合金のうち1つ以上であってよい。
【0043】
めっき層131b、132bは、実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち1つ以上を含むめっき層であってよく、複数の層で形成されてよい。
【0044】
めっき層131b、132bに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131b、132bは、Niめっき層またはSnめっき層であってよく、電極層131a、132a上にNiめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってよく、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってよい。また、めっき層131b、132bは、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0045】
従来の積層型電子部品の場合、製造工程によりマージン部に隣接した内部電極が中央部に対して薄くなる現象が発生することがある。この現象は、キャパシタの製造工程中に積層及び圧着工程により積層型電子部品に圧力が加わり、誘電体層と内部電極が伸びながら発生する可能性がある。特に、このように製造された積層型電子部品の場合、高温高圧の環境で耐電圧特性不良及び高温信頼性不良に至る可能性がある。したがって、積層型電子部品の高温信頼性及び高温加速寿命を向上させるためには、内部電極及び誘電体層の伸びを最小化する必要がある。
【0046】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、上記カバー部112、113の平均硬度をHc、上記第1マージン部114、115の平均硬度をH1とするとき、-3.0<{1-(Hc/H1)}x100≦0.4を満たすことができる。
【0047】
{1-(Hc/H1)}x100の値が-3.0以下の場合、誘電体層と内部電極が伸びる程度を減少させることができず、高温信頼性及び耐電圧特性の向上効果が不足する。{1-(Hc/H1)}x100の値が-3.0を超えて0.4以下の場合、誘電体層と内部電極が伸びる程度が少なく、高温信頼性及び耐電圧特性を向上させることができる。{1-(Hc/H1)}x100の値が0.4を超える場合、硬度差を実現するために過剰なコストが消耗されたり、工程の難易度が上昇して信頼性及び耐電圧特性を向上させにくい可能性がある。
【0048】
したがって、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、{1-(Hc/H1)}x100の値が-3.0を超えて0.4以下を満たして誘電体層及び内部電極が伸びる程度を減少させることにより、高温信頼性及び耐電圧特性を向上させることができる。
【0049】
また、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、上記カバー部112、113の平均硬度をHc、上記第2マージン部116、117の平均硬度をH2とするとき、-3.0<{1-(Hc/H2)}x100≦0.4を満たすことができる。
【0050】
{1-(Hc/H2)}x100の値が-3.0以下の場合、誘電体層と内部電極が伸びる程度を減少させることができず、高温信頼性及び耐電圧特性の向上効果が不足する。{1-(Hc/H2)}x100の値が-3.0を超えて0.4以下の場合、誘電体層と内部電極が伸びる程度が少なく、高温信頼性及び耐電圧特性を向上させることができる。{1-(Hc/H2)}x100の値が0.4を超える場合、硬度差を実現するために過剰なコストが消耗されたり、工程の難易度が上昇して信頼性及び耐電圧特性を向上させにくい可能性がある。
【0051】
したがって、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、{1-(Hc/H2)}x100の値が-3.0を超えて0.4以下を満たして誘電体層及び内部電極が伸びる程度を減少させることにより、高温信頼性及び耐電圧特性を向上させることができる。
【0052】
第1マージン部114、115、第2マージン部116、117及びカバー部112、113の平均硬度を測定する方法は以下の通りである。第1マージン部114、115及びカバー部112、113の平均硬度を測定する方法は、まず、積層型電子部品100の幅方向の中央部でL-T断面を切断してモールドする。その後、ナノインデンタ(KLA社、製品名G200)を用いてLT断面における第1マージン部114、115及びカバー部112、113のそれぞれ任意の20個の地点P1、P2で硬度を測定した値の平均値であることができる。
【0053】
第2マージン部 116、117の平均硬度を測定する方法は、まず、積層型電子部品100の長さ方向の中央部でW-T断面を切断してモールドする。その後、ナノインデンタを用いてW-T断面における第2マージン部116、117の任意の20個の地点P3で硬度を測定した値の平均値であることができる。
【0054】
一方、第1マージン部114、115、第2マージン部116、117及びカバー部112、113の平均硬度を制御する方法は特に限定されないが、例えば、第1マージン部114、115、第2マージン部116、117及びカバー部112、113を形成するシートにミネラルスピリット(Mineral spirits)を添加し、その量を調節して平均硬度を制御することができる。
【0055】
ミネラルスピリット(Mineral spirits)は、石油の特定の液体炭化水素油分を含む石油溶剤(Petroleum Solvent)の一つである。精油会社で生産する灯油[kerosene;沸点150~320℃]あるいはナフサ[naphtha;沸点35~220℃]を原料として不純物除去と脱硫工程を経た後、蒸留分離工程を経て所望の沸点分布の製品を得るが、以後、芳香族の含量調節を経て所望の組成のミネラルスピリットを得ることができる。このような沸点の差により、セラミックシートに通気性及び流動性を付与するようになる。
【0056】
具体的に、第1マージン部114、115、第2マージン部116、117及びカバー部112、113を形成するセラミックグリーンシートに含まれるミネラルスピリットの含量が高くなるほどマージン部への有機物の流動性が良くなるため結果的に平均硬度が高くなり、ミネラルスピリット(Mineral spirits)の含量が低くなるほど平均硬度が低くなる。
【0057】
セラミックグリーンシートに含まれるミネラルスピリットの含量は、セラミックグリーンシートの総重量に対して2.5wt%以下であってよい。ただし、ミネラルスピリットは焼結過程で蒸発して最終製品では検出されない可能性がある。
【0058】
一実施形態において、第1マージン部114、115の平均硬度と容量形成部Aに含まれる上記誘電体層111の平均硬度とは実質的に同一であってよい。これにより、積層型電子部品100の積層及び圧着工程で発生し得る段差を減らすことにより、積層型電子部品100の耐電圧特性及び高温信頼性をさらに向上させることができる。
【0059】
一実施形態において、第2マージン部116、117の平均硬度と容量形成部Aに含まれる上記誘電体層111の平均硬度とは実質的に同一であってよい。これにより、積層型電子部品100の積層及び圧着工程で発生し得る段差を減らすことにより、積層型電子部品100の耐電圧特性及び高温信頼性をさらに向上させることができる。
【0060】
平均硬度が実質的に同一であるとは、上記平均硬度を測定する方法によって測定された平均硬度の値が数値的に必ずしも一致する必要はなく、平均硬度の値が0.1%以内または0.05%以内、または0.01%以内で差がある場合を意味することができる。
【0061】
積層型電子部品100の小型化及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くして積層数を増加させる必要がある。しかし、誘電体層を薄い層で形成する場合、耐電圧特性を確保しにくいという問題点があり、誘電体層の高温信頼性が確保できないという問題点などが発生する可能性がある。
【0062】
また、誘電体層の厚さは特に限定する必要はない。ただし、誘電体層の平均厚さを0.4μm以下に形成する場合、マージン部で発生し得る工程欠陥を制御しにくく、耐電圧特性を確保することが困難であり、高温信頼性を確保することも困難であるという問題点がある。
【0063】
本発明の一実施形態に基づいて-3.0<{1-(Hc/H1)}x100≦0.4を満たすか、-3.0<{1-(Hc/H2)}x100≦0.4を満たす場合、誘電体層111の平均厚さが0.4μm以下の場合であっても優れた耐電圧特性を確保すると同時に、優れた高温信頼性を確保することができる。したがって、誘電体層111の平均厚さが0.4μm以下の場合に本発明による耐電圧特性、及び高温信頼性の向上効果がより顕著になることができる。
【0064】
一方、誘電体層111の平均厚さが0.4μm以下とは、必ずしも0.4μm以下の数値を有するべきという意味ではなく、従来の積層型電子部品100の誘電体層の厚さより薄い厚さの誘電体層を有する場合を意味することができる。
【0065】
上記誘電体層111の平均厚さは、上記第1内部電極121及び第2内部電極122の間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味することができる。上記誘電体層111の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向の断面(L-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。
【0066】
例えば、本体110の幅方向の中央部で切断した長さ及び厚さ方向の断面(L-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でスキャンしたイメージから抽出された任意の誘電体層について、長さ方向において等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、第1内部電極121及び第2内部電極122が互いに重なる領域を意味する容量形成部で測定することができる。
【0067】
第1マージン部114、115、第2マージン部116、117及びカバー部112、113の厚さは特に限定する必要はない。ただし、第1マージン部114、115、第2マージン部116、117及びカバー部112、113のうち少なくともいずれか一つの平均厚さを20μm以下に形成する場合、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止しにくい可能性がある。
【0068】
本発明の一実施形態に基づいて-3.0<{1-(Hc/H1)}x100≦0.4を満たすか、-3.0<{1-(Hc/H2)}x100≦0.4を満たす場合、第2マージン部116、117及びカバー部112、113の厚さは特に限定する必要はない。ただし、第1マージン部114、115、第2マージン部116、117及びカバー部112、113のうち少なくともいずれか一つの平均厚さが20μm以下の場合であっても、内部電極の損傷を防止し、優れた耐電圧特性を確保すると同時に、優れた高温信頼性を確保することができる。
【0069】
したがって、一実施形態において、上記第1マージン部114、115または第2マージン部116、117の平均厚さは20μm以下であってよい。また、一実施形態において、上記カバー部112、114の平均厚さは20μm以下であってよい。
【0070】
上記第1マージン部114、115の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向の断面(L-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。
【0071】
例えば、本体110の幅W方向の中央部で切断した長さ及び厚さ方向の断面(L-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でスキャンしたイメージから抽出された任意の第1マージン部114、115について、厚さ方向において等間隔の10個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。
【0072】
上記第2マージン部116、117の平均厚さは、本体110の幅及び厚さ方向の断面(W-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。
【0073】
例えば、本体110の長さL方向の中央部で切断した幅及び厚さ方向の断面(W-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でスキャンしたイメージから抽出された任意の第2マージン部116、117について、厚さ方向において等間隔の10個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。
【0074】
上記カバー部112、113の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向の断面(L-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。
【0075】
例えば、本体110の幅W方向の中央部で切断した長さ及び厚さ方向の断面(L-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でスキャンしたイメージから抽出された任意のカバー部112、113について、長さ方向において等間隔の10個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。
【0076】
また、第1内部電極121及び第2内部電極122の厚さは特に限定する必要はない。ただし、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、第1内部電極121及び第2内部電極122の平均厚さは0.4μm以下であってよい。
【0077】
しかし、第1内部電極121及び第2内部電極122の平均厚さを0.4μm以下に形成する場合、積層及び圧着工程で内部電極が伸びやすく、耐電圧特性を確保しにくく、高温信頼性を確保することも困難であるという問題点がある。
【0078】
本発明の一実施形態に基づいて-3.0<{1-(Hc/H1)}x100≦0.4を満たすか、-3.0<{1-(Hc/H2)}x100≦0.4を満たす場合、内部電極121、122の平均厚さが0.4μm以下の場合であっても、優れた耐電圧特性を確保すると同時に、優れた高温信頼性を確保することができる。したがって、第1内部電極121及び第2内部電極122の平均厚さが0.4μm以下の場合であっても、本発明による耐電圧特性、及び高温信頼性の向上効果がより顕著になることができる。
【0079】
上記第1内部電極121及び第2内部電極122の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向の断面(L-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。
【0080】
例えば、本体110の幅W方向の中央部で切断した長さ及び厚さ方向の断面(L-T断面)を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でスキャンしたイメージから抽出された任意の第1内部電極121及び第2内部電極122について、長さ方向において等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、第1内部電極121及び第2内部電極122が互いに重なる領域を意味する容量形成部で測定することができる。
【0081】
積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。ただし、小型化及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くして積層数を増加させる必要があるため、0402(長さ×幅、0.4mm×0.2mm)以下のサイズを有する積層型電子部品100において、本発明による信頼性及び絶縁抵抗の向上効果がより顕著になることができる。
【0082】
したがって、本体の第3面及び第4面間の距離をL、上記第5面及び第6面間の距離をWと定義するとき、上記Lは0.4mm以下であり、上記Wは0.2mm以下であってよい。すなわち、0402(長さ×幅、0.4mm×0.2mm)サイズ以下の積層型電子部品100であってよい。
【0083】
(実施例1)
下記の表1は、第2マージン部116、117及びカバー部112、113を形成するセラミックグリーンシートに含まれるミネラルスピリット(Mineral spitits)の含量による第2マージン部116、117の平均硬度H2及びカバー部112、113の平均硬度Hcの変化を測定して記載したものである。
【0084】
【表1】
*:比較例
【0085】
試験番号1~5の場合、セラミックグリーンシートに含まれるミネラルスピリット(Mineral spitits)の含量を調節する場合は、第2マージン部116、117及びカバー部112、113の平均硬度を調節できることが分かる。ただし、ミネラルスピリット(Mineral spitits)の含量が2.5wt%を超える試験番号4及び5の場合、平均硬度が向上する効率が大きくないことが分かる。
【0086】
したがって、一実施形態において、第2マージン部116、117またはカバー部112、113は、ミネラルスピリットを含む誘電体グリーンシートを焼成して形成されてよく、上記ミネラルスピリットの含量は2.5wt%であってよい。一方、ミネラルスピリットが2.5wt%以下を満たすことで平均硬度を調節する方法は、第1マージン部114、115の場合にも同様に適用することができる。
【0087】
(実施例2)
下記の表2は、第2マージン部の平均硬度及びカバー部の平均硬度の割合が耐電圧特性及び高温信頼性に及ぼす影響を測定して記載したものである。まず、3225サイズ(長さ×幅、3.2mm×2.5mm)、公称容量10μF、定格電圧50Vの積層型電子部品のサンプルを準備する。
【0088】
耐電圧特性は、400個のサンプルに常温において0Vから絶縁破壊が起こるまで電圧を印加し、通電し始めた最小電圧(BDV、Break Down Voltage)を測定して平均値をとった。高温信頼性の実験は、400個のサンプルに150℃の高温雰囲気中で60Vの電圧を24時間印加したとき、絶縁抵抗の劣化またはショートが起こるサンプルの個数を測定した。
【0089】
【表2】
*:比較例
【0090】
試験番号1~3は、{1-(Hc/H2)}x100の値が-3.0以下の場合であって、絶縁破壊が起こりやすいため耐電圧特性が悪く、高温信頼性を向上させる効果が不足していることが確認できる。試験番号4~6は、{1-(Hc/H2)}x100の値が-3.0を超えて0.4以下の場合であり、優れた耐電圧特性及び高温信頼性を有することが確認できる。
【0091】
本発明の一実施形態によると、{1-(Hc/H2)}x100の値が-3.0を超えて0.4以下を満たすことにより、積層型電子部品の積層及び圧着工程時に誘電体層と内部電極が伸びる現象を最小化し、耐電圧特性及び高温信頼性を向上させることができる。
【0092】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当該技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0093】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:カバー部
114、115:第1マージン部
116、117:第2マージン部
121:第1内部電極
122:第2内部電極
131:第1外部電極
132:第2外部電極
131a、132a:電極層
131b、132b:めっき層
図1
図2
図3
図4
図5
図6