(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079142
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20230531BHJP
【FI】
G06Q30/06 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056038
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2021571024の分割
【原出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】316014722
【氏名又は名称】株式会社VRC
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝 英弟
(72)【発明者】
【氏名】井口 道久
(72)【発明者】
【氏名】張 彦鵬
(72)【発明者】
【氏名】許 夢▲セン▼
(72)【発明者】
【氏名】劉 雨佳
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB66
(57)【要約】 (修正有)
【課題】仮想試着中のユーザの行動に関する情報のフィードバックを得ることを容易にする情報処理装置、情報処理方法、情報処理システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】仮想試着システム1において、衣服を着せた生命体の3Dモデルを3Dモデル提供手段21から取得する3Dモデル取得手段11、衣服及び生命体の少なくとも一方に関する客観情報を取得する客観情報取得手段12、仮想空間において3Dモデルを表示する表示手段14、仮想空間におけるユーザの行動を示す指示の入力を受け付ける受け付け手段13及び客観情報と、表示手段14が3Dモデルを表示している間におけるユーザの行動を示す行動情報を含むフィードバック情報とを3Dモデル提供手段11に対応する宛先にフィードバックするフィードバック手段15と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服を着せた生命体の3Dモデルを3Dモデル提供手段から取得する3Dモデル取得手段と、
前記衣服及び生命体の少なくとも一方に関する客観情報を取得する客観情報取得手段と、
仮想空間において前記3Dモデルを表示する表示手段と前記仮想空間におけるユーザの行動を示す指示の入力を受け付ける受け付け手段と、
前記客観情報及び前記表示手段が前記3Dモデルを表示している間における前記ユーザの行動を示す行動情報を含むフィードバック情報を、前記3Dモデル提供手段に対応する宛先にフィードバックするフィードバック手段と
を有する情報処理装置。
【請求項2】
サーバと、
情報処理装置と
を有し、
前記サーバは、
衣服を着せた生命体の3Dモデルを提供する3Dモデル提供手段
を有し、
前記情報処理装置は、
前記衣服を着せた生命体の前記3Dモデルを前記3Dモデル提供手段から取得する3Dモデル取得手段と、
前記衣服及び生命体の少なくとも一方に関する客観情報を取得する客観情報取得手段と、
仮想空間において前記3Dモデルを表示する表示手段と、前記仮想空間におけるユーザの行動を示す指示の入力を受け付ける受け付け手段と、
前記客観情報及び前記表示手段が前記3Dモデルを表示している間における前記ユーザの行動を示す行動情報を含むフィードバック情報を、前記3Dモデル提供手段に対応する宛先にフィードバックするフィードバック手段と
を有する情報処理システム。
【請求項3】
コンピュータに、
衣服を着せた生命体の3Dモデルを3Dモデル提供手段から取得するステップと、
前記衣服及び生命体の少なくとも一方に関する客観情報を取得するステップと、
仮想空間において前記3Dモデルを表示するステップと、
前記仮想空間におけるユーザの行動を示す指示の入力を受け付けるステップと、
前記客観情報及び前記3Dモデルを表示している間における前記ユーザの行動を示す行動情報を含むフィードバック情報を、前記3Dモデル提供手段に対応する宛先にフィードバックするステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項4】
衣服を着せた生命体の3Dモデルを3Dモデル提供手段から取得するステップと、
前記衣服及び生命体の少なくとも一方に関する客観情報を取得するステップと、
仮想空間において前記3Dモデルを表示するステップと、
前記仮想空間におけるユーザの行動を示す指示の入力を受け付けるステップと、
前記客観情報及び前記3Dモデルを表示している間における前記ユーザの行動を示す行動情報を含むフィードバック情報を、前記3Dモデル提供手段に対応する宛先にフィードバックするステップと
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の衣服の中からユーザの嗜好に適合した衣服を選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
仮想試着に関する技術が知られている。例えば特許文献1には、所望の衣服を試着したユーザの画像を提供する仮想試着システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仮想試着は様々な要素で構成されているが、特許文献1に記載の仮想試着システムにおいては、仮想試着中のユーザの行動に関する情報のフィードバックを得ることが難しかった。
【0005】
これに対し本発明は、仮想試着中のユーザの行動に関する情報のフィードバックを得ることを容易にする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、衣服を着せた生命体の3Dモデルを3Dモデル提供手段から取得する3Dモデル取得手段と、前記衣服及び生命体の少なくとも一方に関する客観情報を取得する客観情報取得手段と、仮想空間において前記3Dモデルを表示する表示手段と、前記仮想空間におけるユーザの行動を示す指示の入力を受け付ける受け付け手段と、前記客観情報及び前記表示手段が前記3Dモデルを表示している間における前記ユーザの行動を示す行動情報を含むフィードバック情報を、前記3Dモデル提供手段に対応する宛先にフィードバックするフィードバック手段と、を有する情報処理装置を提供する。
【0007】
前記行動情報が、前記仮想空間において前記3Dモデルを表示するときの視点の位置に関する情報を含むものであってもよい。
【0008】
前記行動情報が、前記衣服を着せた状態において前記生命体にさせる動きに関する情報を含むものであってもよい。
【0009】
前記動きに関する情報が、あらかじめ定義された複数の動きの中から選択された動きに関する情報を含むものであってもよい。
【0010】
前記行動情報が、所定の期間において前記生命体が前記衣服を着た回数を含むものであってもよい。
【0011】
前記行動情報が、前記3Dモデルを閲覧した時間長に関する情報を含むものであってもよい。
【0012】
前記行動情報が、前記衣服に対して入力されたユーザの好みに関する情報を含むものであってもよい。
【0013】
前記行動情報が、前記衣服に対する購買行動に関する情報を含むものであってもよい。
【0014】
前記客観情報が、前記生命体と前記衣服との形状又はサイズの差に関する情報を含むものであってもよい。
【0015】
前記客観情報が、前記衣服を前記生命体に着せたときに前記生命体に係る圧力、又は前記衣服に生じる張力に関する情報を含むものであってもよい。
【0016】
前記客観情報が、前記衣服の素材に関する情報を含むものであってもよい。
【0017】
前記客観情報が、前記仮想空間において前記3Dモデルを表示するときの背景に関する情報を含むものであってもよい。
【0018】
前記フィードバック情報が、前記行動情報が取得された時期における世間のトレンドに関するトレンド情報を含むものであってもよい。
【0019】
前記3Dモデル取得手段が、過去に取得された前記フィードバック情報に基づいて選択された前記衣服を前記生命体に着せた前記3Dモデルを取得するものであってもよい。
【0020】
本開示の別の一態様は、サーバと、情報処理装置とを有し、前記サーバは、衣服を着せた生命体の3Dモデルを提供する3Dモデル提供手段を有し、前記情報処理装置は、衣服を着せた生命体の3Dモデルを前記3Dモデル提供手段から取得する3Dモデル取得手段と、前記衣服及び生命体の少なくとも一方に関する客観情報を取得する客観情報取得手段と、仮想空間において前記3Dモデルを表示する表示手段と、前記仮想空間におけるユーザの行動を示す指示の入力を受け付ける受け付け手段と、前記客観情報及び前記表示手段が前記3Dモデルを表示している間における前記ユーザの行動を示す行動情報を含むフィードバック情報を、前記3Dモデル提供手段に対応する宛先にフィードバックするフィードバック手段と、を有する情報処理システムを提供する。
【0021】
本開示のさらに別の一態様は、コンピュータに、衣服を着せた生命体の3Dモデルを3Dモデル提供手段から取得するステップと、前記衣服及び生命体の少なくとも一方に関する客観情報を取得するステップと、仮想空間において前記3Dモデルを表示するステップと、前記仮想空間におけるユーザの行動を示す指示の入力を受け付けるステップと、前記客観情報及び前記3Dモデルを表示している間における前記ユーザの行動を示す行動情報を含むフィードバック情報を、前記3Dモデル提供手段に対応する宛先にフィードバックするステップと、を実行させるためのプログラムを提供する。
【0022】
本開示のさらに別の一態様は、衣服を着せた生命体の3Dモデルを3Dモデル提供手段から取得するステップと、前記衣服及び生命体の少なくとも一方に関する客観情報を取得するステップと、仮想空間において前記3Dモデルを表示するステップと、前記仮想空間におけるユーザの行動を示す指示の入力を受け付けるステップと、前記客観情報及び前記3Dモデルを表示している間における前記ユーザの行動を示す行動情報を含むフィードバック情報を、前記3Dモデル提供手段に対応する宛先にフィードバックするステップと、を含む情報処理方法を提供する。発明の効果
【0023】
本発明によれば、客観情報及び行動情報を含むフィードバック情報が3Dモデル提供手段に対応する宛先にフィードバックされるので、3Dモデル提供手段がユーザの好みに合った衣服を着せた生命体の3Dモデルを提供できるようになる。従って、仮想試着の対象となる多くの衣服があるときに、ユーザがその中から自分の好みに合う衣服を選ぶことが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】仮想試着システム1の機能構成を例示する図。
【
図2】仮想試着システム1の機能構成を例示するブロック図。
【
図3】ユーザ端末10のハードウェア構成を示すブロック図。
【
図4】仮想試着システム1の動作を示すシーケンス図。
【
図8】フィードバック情報DB221の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
1.構成
図1は、本開示の情報処理システムの一実施形態である仮想試着システム1の機能構成を例示する図である。仮想試着システム1は、衣服に関する情報を提供するシステムであり、より詳細には、人体の3Dモデルに衣服の3Dモデルを着せたシミュレーションを行った結果に関する情報を出力するシステムである。一例において、仮想試着システム1は、ユーザが複数の衣服の中から自分の嗜好に合う衣服を検索する目的で用いられる。3Dモデルとは、仮想空間における対象物の3次元形状を表現する立体的な仮想オブジェクトをいう。
【0026】
仮想試着システム1は、衣服検索サービスを提供する。仮想試着システム1は、ハードウェアとしては、サーバ20及びユーザ端末10を有する。サーバ20とユーザ端末10とは、ネットワーク300を介して接続される。サーバ20は、衣服検索サービスにおけるサーバとして機能するコンピュータである。ユーザ端末10は、本開示における情報処理装置の一例であり、衣服検索サービスにおけるクライアントとして機能するコンピュータである。なお、
図1では、1台のユーザ端末10が図示されているが、ユーザ端末10は複数台あってもよい。
【0027】
図2は仮想試着システム1の機能構成を示すブロック図である。仮想試着システム1は、3Dモデル取得手段11、客観情報取得手段12、受け付け手段13、表示手段14、フィードバック手段15、行動情報取得手段16、記憶手段17、制御手段19、3Dモデル提供手段21、分析手段22、記憶手段23、及び制御手段29を有する。この例において、3Dモデル取得手段11、客観情報取得手段12、受け付け手段13、表示手段14、フィードバック手段15、記憶手段17、及び制御手段19はユーザ端末10に実装される。3Dモデル提供手段21、分析手段22、記憶手段23、及び制御手段29はサーバ20に実装される。
【0028】
3Dモデル提供手段21は、ユーザ端末10に3Dモデルを提供する。3Dモデル提供手段21は、衣服モデルDB211及びユーザモデルDB212を記憶している。衣服モデルDB211は、複数の衣服に関する情報を記憶したDBである。この衣服に関する情報はその衣服の3次元形状を表現した3Dモデルを含む。また、ユーザモデルDBは、複数のユーザに関する情報を記憶したDBである。このユーザに関する情報は、そのユーザの人体(生命体の一例)の3次元形状を表現した3Dモデルを含む。3Dモデル提供手段21は、衣服モデルDB211とユーザモデルDB212とを利用することにより、ユーザ端末10のユーザが着るのに適した衣服を検索し、その衣服の3Dモデルをユーザ端末10に提供する。また、3Dモデル提供手段21は、衣服モデルDB211とユーザモデルDB212とを利用することにより、所望の衣服を着た人体(ユーザ端末10のユーザの人体)の3Dモデルを合成し(すなわち、仮想試着し)、ユーザ端末10に提供する。
【0029】
3Dモデル取得手段11は、衣服の3Dモデルまたは衣服を着た人体(例えばユーザ端末10のユーザの人体)の3Dモデルを3Dモデル提供手段21から取得する。
【0030】
客観情報取得手段12は、3Dモデル取得手段11が取得した3Dモデルに基づき、衣服及び人体の少なくとも一方に関する客観情報を取得する。一例において、客観情報は、衣服を人体に着せたときの人体の3Dモデルと衣服の3Dモデルとの特定部位(例えば腰及び/又は首)のサイズ差に関する情報を含む。また、客観情報は、衣服を人体に着せたときに人体の特定部位(例えば胸及び/又は二の腕)にかかる圧力、又は衣服に生じる張力に関する情報を含む。圧力又は張力に関する情報は、圧力マップ又は張力マップの形態で提供されてもよい。また、客観情報は、衣服の素材に関する情報(例えば綿、ポリエステル、絹等の素材。あるいは摩擦係数などのパラメータ)を含む。また、客観情報は、仮想空間において3Dモデルを表示するときの背景(例えば山、海、オフィス街、家の中など)に関する情報を含む。
【0031】
受け付け手段13は、ユーザの行動を示す指示の入力を受け付ける。表示手段14は、3Dモデル取得手段11によって取得された3Dモデル(衣服の3Dモデル、衣服を着た人体の3Dモデル)であって、仮想空間において3Dモデルを表示する。表示手段14は、受け付け手段13が受け付けた指示に従って、表示中の3Dモデルの外観又は動きを変化させてもよい。
【0032】
フィードバック手段15は、3Dモデル提供手段21に対応する宛先、具体的には分析手段22にフィードバック情報を出力する手段である。このフィードバック情報は、客観情報及び行動情報を含む。ここで、行動情報は、ユーザ端末10を操作するユーザの行動情報と、仮想空間内のユーザ(人体)の行動情報とを含む。
【0033】
前者の行動情報の例として、仮想空間において3Dモデルを表示するときの視点の位置、又は位置の移動履歴に関する情報と、3Dモデルを閲覧した時間長に関する情報と、衣服に対して入力されたユーザの好みに関する情報(例えば「いいねボタン」等の入力)と、衣服に対する購買行動(例えば表示された衣服を買ったかどうか)に関する情報とが挙げられる。
【0034】
また、後者の行動情報として、衣服を着せた状態においてユーザ(人体)にさせる動き(例えば歩く、走る、手を上げる等)に関する情報と、所定の期間においてユーザ(人体)が衣服を着た回数、表示中の衣服に着替えた回数、あるいは他の衣服に着替えた回数とが挙げられる。ユーザ(人体)にさせる動きに関する情報は、あらかじめ定義された複数の動きの中から選択された動きに関する情報であってもよい。ユーザ(人体)にさせる動きに関する情報は、開始ポーズ(例えばAポーズ)及び終了ポーズ(例えば椅子に座ったポーズ)を指定するものであってもよい。仮想試着においては、指定された開始ポーズから終了ポーズまで、衣服を着せたユーザの3Dモデルが動かされる。
【0035】
記憶手段17は、各種のデータ及びプログラムを記憶する。制御手段19は、各種の制御を行う。
【0036】
分析手段22は、1又は複数のユーザ端末10から取得したフィードバック情報を分析する。分析手段22は、フィードバック情報DB221を記憶する。このフィードバック情報DB221は、衣服の仮想試着のための処理を実行するユーザ端末10からのフィードバック情報を蓄積したDBである。分析手段22は、このフィードバック情報DB221を分析し、その分析結果に基づいて、3Dモデル提供手段21がユーザの好みに合った衣服を検索する能力を高めるための情報を、例えば3Dモデル提供手段21に提供する。
【0037】
記憶手段23は、各種のデータ及びプログラムを記憶する。制御手段29は、各種の制御を行う。
【0038】
図3は、ユーザ端末10のハードウェア構成を例示するブロック図である。ユーザ端末10は、CPU101、メモリ102、ストレージ103、通信装置104、入力装置105、及び出力装置106を有するコンピュータ装置、例えばスマートフォン又はパーソナルコンピュータである。CPU101は、プログラムに従ってユーザ端末10の他の要素を制御するプロセッサである。メモリ102は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する主記憶装置である。メモリ102は例えばRAMを含む。ストレージ103は各種のデータ及びプログラムを記憶する補助記憶装置であり、例えばHDD又はSSDを含む。通信装置104は所定の通信規格(例えば、LTE、WiFi、イーサネットなど)に従って他の装置と通信する装置である。入力装置105はユーザ端末10に情報又は命令を入力するための装置であり、例えば、タッチスクリーン、キーパッド、ボタン、及びマイクロフォンの少なくとも一種を含む。出力装置106はユーザに情報を出力するための装置であり、例えば、ディスプレイ及び/又はスピーカを含む。
【0039】
この例において、ストレージ103には、衣服の仮想試着のための処理を実行するアプリケーションプログラム(以下「クライアントプログラム」という)がインストールされている。CPU101がこのクライアントプログラムを実行することにより、
図2に示す機能が実装される。CPU101がクライアントプログラムを実行している状態において、CPU101が3Dモデル取得手段11、客観情報取得手段12、フィードバック手段15、及び制御手段19の一例であり、入力装置105が受け付け手段13の一例であり、メモリ102及びストレージ103の少なくとも一方が記憶手段17の一例である。
【0040】
図示は省略するが、サーバ20は、CPU、メモリ、ストレージ、及び通信IFを有するコンピュータ装置である。このストレージには、コンピュータ装置を仮想試着システム1におけるサーバとして機能させるためのプログラム(以下「サーバプログラム」という)が記憶される。このCPUがサーバプログラムを実行することにより、図に示す機能が実装される。CPUがサーバプログラムを実行している状態において、CPUが3Dモデル提供手段21、分析手段22、及び制御手段29の一例であり、メモリ及びストレージの少なくとも一方が記憶手段23の一例である。
【0041】
2.動作
図4は仮想試着システム1の動作例を示すシーケンス図である。この動作例では、ユーザ端末10の3Dモデル取得手段11が、衣服の検索要求(又は抽出要求)をサーバ20に送信する(ステップS2)。この検索要求は、衣服を抽出又は検索する検索キーとなる情報(すなわち衣服を絞り込むための検索条件)を含む。検索キーは、例えば、ユーザ端末10のユーザのユーザID、衣服の種別、サイズ、及び価格帯などの情報を含む。
【0042】
サーバ20の3Dモデル提供手段21は、この検索要求を受け取ると、衣服モデルDB211に記録されているレコードの中から、この検索要求(又は検索条件)に適合する衣服のレコードを抽出する(ステップS4)。
【0043】
図5は衣服モデルDB211の構成例を示す図である。衣服モデルDB211は複数のレコードを含む。各レコードは1つの衣服に対応する。各レコードは、衣服ID211a、ブランド211b、種別211c、サイズ211d、価格211e、及び3Dモデル211fを含む。衣服ID211aは、衣服を一意に特定する識別情報である。ブランド211bは、その衣服のブランドを示す。種別211cは、その衣服の種別(例えば、シャツ、ジャケット、スカート、パンツなど)を示す。サイズ211dは、その衣服のサイズを示す。価格211eは、その衣服の価格を示す。3Dモデル211fは、その衣服の3Dモデリングデータそのもの又は3Dモデリングデータの所在を示す。なおここで図示したデータは一例であり、衣服モデルDB211はこれらの情報に加え、又は代えて、衣服の色、衣服のデザイナー、衣服の製造者、衣服に使用される生地、生地のブランド、衣服の販売年、生地の生産地、衣服の販売地などの情報を含んでもよい。
【0044】
この例において、3Dモデル提供手段21は、衣服モデルDB211から衣服を抽出する際、分析手段22から提供される分析結果を参照する。3Dモデル提供手段21は、例えばユーザ端末10から検索要求を受信したことを契機として、分析手段22から分析結果を取得する。この分析結果は、(a)対象となる検索要求をしたユーザ個人の嗜好及び(b)仮想試着システム1を利用する複数のユーザの嗜好の少なくとも一方を含む。この分析結果については後述する。
【0045】
3Dモデル提供手段21は、ユーザ端末10から受信した検索要求及び分析手段22から取得した分析結果に適合する衣服を、衣服モデルDB211から抽出する。例えば、検索要求が、種別「シャツ」、サイズ「M」、価格帯「10,000~20,000円」という情報を含んでおり、分析結果が、「このユーザは柔らかい肌触り、緩めのフィッティングを好む」及び「今シーズンは紺色が流行している」という情報を含んでいた場合、3Dモデル提供手段21は、衣服モデルDB211から、これらの条件を満たす衣服のレコードを抽出する。この例において、3Dモデル提供手段21は、これらの条件を満たす複数のレコードを抽出する。
【0046】
再び4を参照する。3Dモデル提供手段21は、抽出した衣服に関する情報をユーザ端末10に対して送信する(ステップS6)。この情報は、例えば、抽出された複数の衣服の一覧及びサムネイル画像を含む。これらの衣服は、仮想試着の候補となる。
【0047】
ユーザ端末10において、3Dモデル取得手段11がこの衣服に関する情報を取得する。表示手段14は、この衣服に関する情報を表示する。さらに、表示手段14は、複数の衣服の中から仮想試着する衣服を選択するようユーザに促す画面を表示する。受け付け手段13は、ユーザによる衣服の選択を受け付ける(ステップS8)。
【0048】
ユーザが衣服を選択すると、3Dモデル取得手段11は、仮想試着の要求をサーバ20に送信する(ステップS10)。仮想試着の要求は、ユーザにより選択された衣服の衣服IDを含む。
【0049】
ユーザ端末10から仮想試着の要求を受信すると、サーバ20の3Dモデル提供手段21は、ステップS2において受信したユーザIDに対応したレコードをユーザモデルDB212から読み出し、このレコードから当該ユーザの人体の3Dモデル212cを取得する(ステップS12)。さらに、3Dモデル提供手段21は、仮想試着要求に含まれる衣服IDに対応するレコードを衣服モデルDB211から読み出し、このレコードから3Dモデルを取得する。
【0050】
図6はユーザモデルDB212の構成例を示す図である。ユーザモデルDB212は、複数のレコードを含む。各レコードは1人のユーザに対応する。各レコードは、ユーザID212a、属性212b、3Dモデル212c、及び購買履歴212dを含む。ユーザID212aは、ユーザを一意に特定する識別情報である。属性212bは、そのユーザの属性を示す情報であり、例えば、そのユーザの氏名212b1、性別212b2、及び年齢212b3を含む。3Dモデル212cは、そのユーザの人体の3Dモデリングデータそのもの又は3Dモデリングデータの所在を示す。購買履歴212dは、そのユーザが過去に購入した衣服の履歴を示す。
【0051】
3Dモデル提供手段21は、この3Dモデル211fと3Dモデル212cとを用いて、選択した衣服を着たユーザ(人体)の3次元形状を表現した3Dモデルを生成する(ステップS14)。この例において、衣服を着たユーザの3Dモデルを生成する処理は、人体に衣服を着せたときに、体型に沿って衣服にシワができたり、重力によって衣服の裾又は袖が垂れ下がったりする変化をシミュレーションする処理を含む。3Dモデル提供手段21は、この衣服を着た人体の3Dモデルのシミュレーション結果を示すデータをユーザ端末10に送信する(ステップS16)。シミュレーション結果を示すデータは、例えば、衣服を着た人体の3Dモデリングデータそのもの、衣服を着た人体の3Dモデルに所定のポーズを取らせた静止画のデータ、衣服を着た人体の3Dモデルに所定の動き(歩く、走る、ジャンプする、右手を上げるなど)をさせた動画データ、又は衣服を着た人体の圧力マップを示す画像データである。
【0052】
ユーザ端末10において、3Dモデル取得手段11は、サーバ20からシミュレーション結果を示すデータを取得する。表示手段14は、このシミュレーション結果を表示する(ステップS18)。
【0053】
図7は、ユーザ端末10に表示される仮想試着画面を例示する図である。仮想試着画面は、3Dモデルを表示する領域91及びユーザの指示を入力するためのUIオブジェクト92を含む。領域91には、衣服を着た人体の3Dモデルの画像UDが表示される。UIオブジェクト92は、例えば、衣服の購入、視点の変更等、ユーザの行動の指示を受け付けるためのソフトボタンを含む。
【0054】
表示手段14が仮想試着の3Dモデルを表示している間、受け付け手段13は、ユーザの行動に関する指示を受け付ける(ステップS20)。シミュレーション結果が衣服を着た人体の3Dモデリングデータそのものである場合、表示手段14は、受け付け手段13が受け付けた操作に応じて3Dモデルの表示を変更してもよい。例えば、ユーザのボタン操作に応じてリアルタイムで3Dモデルの視点を変更したり、3Dモデルのポーズを変更したりしてもよい。受け付け手段13は、受け付けた指示に関する情報を記憶手段17に記憶する。
【0055】
行動情報取得手段16は、表示手段14が衣服を着た人体の3Dモデルを表示している間に受け付け手段13が受け付けたユーザの行動に関する指示に基づいて、ユーザの行動を示す行動情報を取得する(ステップS22)。この例において、行動情報取得手段16は、記憶手段17から行動情報を取得する。上述したように、行動情報には、ユーザ端末10を操作するユーザの行動情報、及び表示手段14によって表示される仮想空間内のユーザ(人体)の行動情報の少なくとも一方が含まれる。受け付け手段13が後者の行動情報を取得した場合、表示手段14は、取得された行動情報に従って表示中の3Dモデルを行動させる。
【0056】
次に、客観情報取得手段12は、3Dモデル取得手段11によって取得された3Dモデル(ステップS16)に関する客観情報を取得する(ステップS24)。一例において、3Dモデルに関する客観情報は、3Dモデルと一緒にサーバ20から取得され、記憶手段17に記憶される。客観情報取得手段12は、記憶手段17から客観情報を取得する。
【0057】
ステップS26において、フィードバック手段15が、フィードバック情報をサーバ20に送信する。フィードバック情報は、ステップS24において取得された客観情報と、ステップS22において取得された行動情報と、現在時刻を示すタイムスタンプとを含む。ステップS26は、所定のイベントを契機として実行される。このイベントは、例えば、表示中の3Dモデルの表示を中止するイベントであり、具体的には、例えば他の衣服へ着替える指示、仮想試着の終了指示、又はその衣服を購入する指示である。
【0058】
サーバ20において、分析手段22がこのフィードバック情報を受信し、受信したフィードバック情報をフィードバック情報DB221に記憶する(ステップS28)。
【0059】
図8はフィードバック情報DB221の構成例を示す図である。
図8に示すように、フィードバック情報DB221では、ユーザID221a及び衣服ID221bの組に対して、客観情報221c及び行動情報221dが対応付けられている。
【0060】
ここで、ユーザID221aは、フィードバック情報の提供元であるユーザの識別情報であり、ステップS2において3Dモデル取得手段11が送信したユーザIDである。衣服ID221bは、ステップS16において3Dモデル取得手段11が取得した衣服を着たユーザ(人体)の3Dモデルにおける当該衣服のIDである。
【0061】
客観情報221cは、この衣服を着たユーザ(人体)の3Dモデルから客観情報取得手段12が取得した情報である。客観情報は、例えば、この3Dモデルにおける衣服と人体との(所定の部位における)サイズ差221c1と、人体が衣服を着た場合において人体の各部にかかる圧力の分布を示すプレッシャマップにおける代表値(例えば特定部位にかかる圧力)221c2と、当該衣服の素材221c3と、当該3Dモデルを表示する背景を示す情報221c4の各情報を含む。
【0062】
行動情報221dは、衣服を着たユーザの3Dモデルがディスプレイに表示されている間に、受け付け手段13が受け付けたユーザの行動に関する指示を示す情報である。行動情報は、仮想空間内の3Dモデルを表示する際に仮想空間内において3Dモデル212cを見る視点221d1と、表示される3Dモデルの動き221d2と、3Dモデルの閲覧時間(すなわち、表示時間)221d3と、表示された衣服をユーザが購入したかどうかを示す購買行動221d4の各情報を含む。
【0063】
次にサーバ20では、分析手段22がフィードバック情報DB221を分析する(ステップS30)。分析手段22がフィードバック情報DB221を用いて行う分析には、大きく分けて次の2つがある。(a)特定の個人を対象とする分析。(b)特定の個人を対象としないユーザ群を対象とする分析。前者の分析において、分析手段22は、フィードバック情報DB221に記録されたそのユーザからのフィードバック情報を分析することにより、各ユーザの衣服に関する嗜好を求める。そして、分析手段22は、この分析結果を示す情報を3Dモデル提供手段21に提供する。分析手段22から提供される情報を用いて、3Dモデル提供手段21は、衣服の3Dモデルを抽出する際に、ユーザの嗜好に合った衣服が抽出されるようにフィルタリング(絞り込み)を行う。例えば、あるユーザに対応した複数のフィードバック情報を分析したところ、そのユーザは、フィッティングが緩めのシャツ(例えば、胸、胴、及び二の腕におけるサイズ差221c1いずれも基準値よりも大きな正の値である衣服)を購買する傾向があるということが分析により判明した場合、3Dモデル提供手段21は、フィッティングが緩めの衣服の優先度を上げて衣服の抽出を行う、といった処理が可能である。
【0064】
後者の分析において、分析手段22は、フィードバック情報DB221に記録されたユーザ群からのフィードバック情報を分析することにより、そのユーザ群における衣服に関する嗜好を求める。ユーザ群は、例えばユーザの属性(年齢、性別、居住地、身長、体重、購買履歴など)に基づいて設定される。あるいは、全てのユーザが単一のユーザ群として扱われてもよい。例えば、身長が基準よりも高い男性のユーザがタイトなフィッティングのパンツ(例えば、ウエスト、ヒップ、及び太ももにおけるサイズ差221c1いずれも基準値よりも小さな正の値である衣服)を購買する傾向があるということが分析により判明した場合、3Dモデル提供手段21は、タイトなフィッティングのパンツの優先度を上げて衣服の抽出を行う、といった処理が可能である。
【0065】
以上のように、本実施形態によれば、客観情報及び行動情報を含むフィードバック情報が3Dモデル提供手段21に対応する分析手段22にフィードバックされるので、3Dモデル提供手段21がユーザの好みに合った衣服を着せた生命体の3Dモデルを提供できるようになる。従って、仮想試着の対象となる多くの衣服があるときに、ユーザがその中から自分の好みに合う衣服を選ぶことが容易になる。
【0066】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく種々の変形実施が可能である。以下、変形例を説明する。以下の変形例に記載した事項の一部が、他の一部と組み合わせて実施されてもよい。
【0067】
(1)ユーザ端末10からサーバ20に送信するフィードバック情報は、トレンド情報を含んでもよい。トレンド情報は、ファッションに関する情報(例えば今年は赤が流行等)、社会情勢に関する情報(例えばSDGs、環境問題の関心が高い等)に関するトレンド情報を含んでもよい。この場合、ユーザがユーザ端末10を操作してインターネットのサイトにアクセスする場合に、そのアクセス履歴からトレンド情報を生成し、フィードバック情報に含めてもよい。
【0068】
(2)上記実施形態では、生命体として人体に仮想試着を行わせたが、例えばペットとしての動物等、人体以外の生命体に仮想試着を行わせてもよい。また、上記実施形態では、ユーザ端末10のユーザ本人の3Dモデルに仮想試着を行わせたが、ユーザ以外の他人の3Dモデルを使って仮想試着を行ってもよい。例えばユーザが他人に衣服を仮想試着させ、気に入った衣服を他人にプレゼントするといった態様が考えられる。
【0069】
(3)行動情報に含まれる購買行動に関する情報は実施形態において例示したものに限定されない。購買行動に関する情報は、例えば、衣服の(実物ではなく)3Dモデリングデータを購入したかどうかを示す情報であってもよい。また、購買行動は、購入だけではなく、レンタル又は無償ダウンロードの履歴を含んでもよい。3Dモデリングデータの場合には(実物の衣服よりも)その用途の特定が容易である。例えば、衣服の3Dモデリングデータがどのアプリケーションで使用されたのか、ゲームタイトル又はアプリケーション名の履歴を記録することも容易である。あるいは、あるユーザが3Dモデリングデータを購入した後でその衣服の実物を購入した場合、実物の衣服の代金を割り引きするなどのサービスを提供することも可能である。
【0070】
また、購買行動に関する情報は、特にユーザが仮想試着後にその衣服を購入しなかった場合における「その衣服を購入しなかった理由」を含んでもよい。実店舗における実衣服の試着においては、顧客が試着した衣服を購入しなかった理由を記録及び保存するのは難しい場合が多い。しかし、仮想試着システム1は、例えば、衣服とユーザの人体とのサイズ差などの客観情報を容易に取得することができるし、購入に至らなかった場合にその理由を聞き取るアンケートを仮想試着システムで実施することにより、その理由を記録することもできる。また、仮想試着システム1は、衣服毎に、その衣服を試着したユーザのうち実際に購入に至ったユーザの割合を記録することもできる。これらの購買行動に関する情報を用いれば、試着後に購入されやすい服、購入されにくい服のような分類も可能である。
【0071】
(4)仮想試着システム1のハードウェア構成は実施形態において例示したものに限定されない。要求される機能を実現できるものであれば、仮想試着システム1はどのようはハードウェア構成を有していてもよい。例えば、物理的に複数の装置が協働してサーバ20として機能してもよい。サーバ20は物理サーバでもよいし、仮想サーバ(いわゆるクラウドを含む)であってもよい。また、機能要素とハードウェアとの対応関係は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、実施形態においてユーザ端末10に実装されるものとして説明した機能の少なくとも一部がサーバ20に実装されてもよい。
【0072】
(5)CPU101によって実行されるアプリケーションプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードにより提供されるものであってもよいし、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体に記録された状態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…仮想試着システム、20…サーバ、10…ユーザ端末、300…ネットワーク、11…3Dモデル取得手段、12…客観情報取得手段、13…受け付け手段、14…表示手段、15…フィードバック手段、21…3Dモデル提供手段、22…分析手段、211…衣服モデルDB、212…ユーザモデルDB、221…フィードバック情報DB