(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079164
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 79/00 20060101AFI20230531BHJP
C08K 3/00 20180101ALI20230531BHJP
C08L 21/02 20060101ALI20230531BHJP
C08L 71/12 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
C08L79/00
C08K3/00
C08L21/02
C08L71/12
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022149651
(22)【出願日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】110144102
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.201,TUNG HWA N.RD.,TAIPEI,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195017
【弁理士】
【氏名又は名称】水間 章子
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲テ▼超
(72)【発明者】
【氏名】魏 千凱
(72)【発明者】
【氏名】張 宏毅
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC033
4J002AC083
4J002AC113
4J002BC053
4J002BC083
4J002CH073
4J002CM02W
4J002CM02X
4J002DJ016
4J002EA047
4J002EH097
4J002EH147
4J002EK029
4J002EK039
4J002EU119
4J002EU188
4J002EU197
4J002EW048
4J002EW138
4J002EW158
4J002EX019
4J002EX049
4J002EX059
4J002EX069
4J002EX079
4J002FA086
4J002FD138
4J002FD147
4J002FD159
4J002GQ00
4J002GQ01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】5G高周波にさらに適用可能な基板材料としての樹脂組成物を提供する。
【解決手段】樹脂組成物は、樹脂と無機充填剤とを含み、樹脂は、CE樹脂とBMI樹脂とを含み、無機充填剤の純度は、少なくとも99%超である。前記樹脂は、以下の群、すなわち、液状ゴム樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、及び架橋剤から選択される少なくとも1種を更に含むことができる。前記樹脂組成物は、難燃剤、シラン、又は又は促進剤のうちの少なくとも1種をさらに含むことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアン酸エステル樹脂とビスマレイミド樹脂とを含む樹脂と、
無機充填剤とを含み、前記無機充填剤の純度は、少なくとも99%超である、樹脂組成物。
【請求項2】
前記無機充填剤は、球状のSiO2である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記無機充填剤の平均粒子径は、0.3μmからから5μmである、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記無機充填剤のメジアン粒子径は、0.5μmからから2.3μmであり、前記無機充填剤の最大粒子径は、0.6μmからから2.9μmである、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記無機充填剤の使用量は、前記樹脂の全100重量部に対して、80重量部からから180重量部である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記樹脂中の前記シアン酸エステル樹脂の割合は、10重量%からから30重量%であり、前記樹脂中の前記ビスマレイミド樹脂の割合は、20重量%からから50重量%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂は、以下の群、すなわち、液状ゴム樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、及び及び架橋剤から選択される少なくとも1種を更に含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記樹脂中に使用される前記液状ゴム樹脂の割合は、0重量%からから20重量%であり、前記樹脂中に使用される前記ポリフェニレンエーテル樹脂の割合は、0重量%からから30重量%であり、前記樹脂中に使用される前記架橋剤の割合は、0重量%からから20重量重量%である、請求項7に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記樹脂組成物は、難燃剤、シラン、又は又は促進剤のうちの少なくとも1種をさらに含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記難燃剤の使用量は、前記樹脂の全100重量部に対して、5重量部からから30重量部である、請求項9に記載の樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は組成物に関し、特に、樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性樹脂組成物は、架橋構造を有し、高い耐熱性又は寸法安定性を示すため、電子機器分野及びその他の分野で広く使用されている。さらに、熱硬化性樹脂中に使用されるシアン酸エステル(CE)樹脂は、難燃性及び高いガラス転移温度(Tg)などの特性を有する。しかしながら、樹脂からなる基材は、反応性のため、良好な耐熱性及び電気的性能を有しない。さらに、近年、通信の5Gシステム及びミリメートル波(ミリ波)通信システムの発展に伴い、携帯電話、基地局、サーバーなどの用途では、より高い周波数(例えば6~77GHz)が必要とされる。したがって、5G高周波にさらに適用可能な基板材料の設計が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
5G高周波にさらに適用可能な基板材料の設計が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、5G高周波基板材料として機能し、樹脂組成物からなる基材の電気的性能を良好に維持すると同時に熱膨張係数を低減することが可能な樹脂組成物に関する。
【0005】
本開示の樹脂組成物は、樹脂と無機充填剤とを含む。樹脂は、シアン酸エステル樹脂とビスマレイミド樹脂とを含み、無機充填剤の純度は少なくとも99%超である。
【0006】
本開示の一実施形態において、無機充填剤は、球状のSiO2である。
【0007】
本開示の一実施形態において、無機充填剤の平均粒子径は、0.3μmから5μmである。
【0008】
本開示の一実施形態において、無機充填剤のメジアン粒子径(D50)は、0.5μmから2.3μmであり、無機充填剤の最大粒子径は、0.6μmから2.9μmである。
【0009】
本開示の一実施形態において、樹脂の全100重量部に対して、無機充填剤の使用量は、80重量部から180重量部である。
【0010】
本開示の一実施形態において、樹脂中のシアン酸エステル樹脂の割合は、10重量%から30重量%であり、樹脂中のビスマレイミド樹脂の割合は、20重量%から50重量%である。
【0011】
本開示の一実施形態において、樹脂は、以下の群、すなわち、液状ゴム樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、及び架橋剤から選択される少なくとも1種を更に含む。
【0012】
本開示の一実施形態において、樹脂中に用いられる液状ゴム樹脂の割合は、0重量%から20重量%であり、樹脂中に用いられるポリフェニレンエーテル樹脂の割合は、0重量%から30重量%であり、樹脂中に用いられる架橋剤の割合は、0重量%から20重量%である。
【0013】
本開示の一実施形態において、樹脂組成物は、難燃剤、シラン、促進剤、又は過酸化物の少なくとも1種を更に含む。
【0014】
本開示の一実施形態において、樹脂の全100重量部に対して、難燃剤の使用量は、5重量部から30重量部である。
【発明の効果】
【0015】
上記に基づいて、本開示の樹脂組成物は、少なくとも99%超の純度を有し金属残渣を有しない無機充填剤を選択することによって、電気的な値を低減し得る。このようにして、樹脂組成物は、5G高周波基板材料として機能し、樹脂組成物からなる基材の良好な電気的性能を維持すると同時に、熱膨張係数を低減し得る。
【0016】
本開示の特徴及び利点をより理解しやすくするために、以下のように実施形態を挙げ、詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態において、樹脂組成物は、樹脂を含む。樹脂は、シアン酸エステル樹脂と、ビスマレイミド(BMI)樹脂とを含む。さらに、本実施形態の樹脂組成物は、少なくとも純度が99%超の無機充填剤を含む。少なくとも99%超の純度を有し金属残渣を有しない無機充填剤を選択することによって、電気的な値を効果的に低減し得る。このようにして、樹脂組成物は、5G高周波基板材料として機能し、樹脂組成物からなる基材の電気的性能を良好に維持すると同時に、熱膨張係数(CTE)を低減し得る。電気的性能は、例えば、3.3から3.6の誘電率(Dk)及び0.002から0.004の誘電正接(Df)であるが、本開示はそれに限定されない。さらにまた、無機充填剤は、硬化後の樹脂組成物の機械的強度及び寸法安定性を向上し得る。一実施形態において、無機充填剤の組成は、球状のSiO2である。不規則なSiO2に比べて、球状のSiO2は形成及び積層が比較的容易であり、最密集積を効果的に実現する。このようにして、熱膨張係数を効果的に低減し得るが、本開示はそれに限定されない。
【0018】
一実施形態において、無機充填剤の平均粒子径は、0.3μm(マイクロメートル)から5μmである。さらに、無機充填剤のメジアン粒子径は、0.5μmから2.3μmであり得、無機充填剤の最大粒子径は、0.6μmから2.9μmであり得る。唯一、最大粒子径は、メジアン粒子径よりも大きくなければならない。その結果、本実施形態の樹脂組成物は、配列密度を高めるために、比較的狭い範囲の粒子径を有し得る。このようにして熱膨張係数を効果的に低減し得るが、本開示はそれに限定されない。
【0019】
一実施形態において、樹脂の全100重量部に対して、無機充填剤の使用量は、80重量部から180重量部(例えば、80重量部、85重量部、90重量部、100重量部、120重量部、140重量部、180重量部、又は80重量部から180重量部の範囲内の任意の値)である。
【0020】
一実施形態において、樹脂中のシアン酸エステル樹脂の重量割合は、10重量%から30重量%(例えば10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、又は10重量%から30重量%の範囲内の任意の値)であり、樹脂中のビスマレイミド樹脂の重量割合は20重量%から50重量%(例えば、20重量%、25重量%、30重量%、40重量%、50重量%、又は20重量%から50重量%の範囲内の任意の値)である。
【0021】
一実施形態において、シアン酸エステル樹脂は、シアン酸エステル基を有する1つ以上の化合物又はポリマーを含み得る。一実施形態において、シアン酸エステル樹脂は、平均で2つ以上のシアン酸エステル基を有する。別の実施形態において、シアン酸エステル樹脂は対称構造であり、これはシアン酸エステル樹脂が以下の化学式「NCO-R-OCN」で表され得ることを意味する。例えば、それはビスフェノールAシアン酸エステルであり得るが、本開示はそれに限定されない。
【0022】
一実施形態において、ビスマレイミド樹脂は、ビスフェノールAを主構造とし、マレイミドで末端をキャップし、ビスフェノールAの主構造に炭素数1から5のアルキル基をグラフト化させたものを使用し得る。具体的には、ビスマレイミド樹脂の構造は以下の構造式で表され、Ra、Rb、Rc及びRdの各々は、炭素数1から5のアルキル基である。好ましくは、Ra、Rb、Rc及びRdの各々は、炭素数1から3のアルキル基である。別の実施形態において、Ra及びRcはメチル基であり、一方、Rb及びRdはエチル基であるが、本開示はそれに限定されない。
【化1】
【0023】
一実施形態において、樹脂は、ポリフェニレンエーテル樹脂、架橋剤、及び液状ゴム樹脂のうちの1種以上をさらに含み得る。樹脂中のポリフェニレンエーテル樹脂の重量割合は、0重量%から30重量%(例えば、0重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、又は0重量%から30重量%の範囲の任意の値)であり、樹脂中の架橋剤の重量割合は、0重量%から20重量%(例えば、0重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、又は0重量%から20重量%の範囲の任意の値)であり、樹脂中の液状ゴム樹脂の重量割合は、0重量%から20重量%(例えば、0重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、又は0重量%から20重量%の範囲の任意の値)である。
【0024】
一実施形態において、液状ゴム樹脂はポリブタジエンであり、以下の構造を有し、ここで、n=15から25であり、好ましくはn=16から22である。
【化2】
【0025】
一実施形態において、液状ゴム樹脂は、ポリオレフィンであり得、スチレン-ブタジエン-ジビニルベンゼンターポリマー、スチレン-ブタジエン-無水マレイン酸ターポリマー、ビニル-ポリブタジエン-ウレタンオリゴマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、水素化スチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-イソプレンコポリマー、水素化スチレン-イソプレンコポリマー、水素化スチレン-ブタジエン-ジビニルベンゼンコポリマー、ポリブタジエン(ブタジエンのホモポリマー)、無水マレイン酸-スチレン-ブタジエンコポリマー、メチルスチレンコポリマー、又はそれらの組み合わせから形成される基を含むが、それらに限定されない。
【0026】
一実施形態において、液状ゴム樹脂は、10mol%から90mol%の1,2-ビニル及び0mol%から50mol%のスチレンを有し、分子量は、他の樹脂と効果的に架橋して相溶性を改善するために1000から5000であり得るが、本開示はそれに限定されない。
【0027】
一実施形態において、ポリフェニレンエーテル樹脂は、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂であり、スチレンタイプのポリフェニレンエーテルと末端アクリルポリフェニレンエーテルとを有する末端基を有する組成物である。例えば、スチレンタイプのポリフェニレンエーテルの構造は、化学式(A)で示される。
【化3】
【0028】
化学式(A)中、R1からR8は、水素原子、アリル基、C1からC6アルキル基、又はこれらの基の1つ以上から選択され得、R1からR8のうちの2つは、同一でも異なっていてもよく、Xは、単結合、O(酸素原子)又は以下の連結基:
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
又は
【化10】
であり得、P1は、スチリル
【化11】
であり得、mは、1から99の整数であり得る。
【0029】
末端アクリルポリフェニレンエーテルを有する構造は、化学式(B)で示される。
【化12】
【0030】
化学式(B)中、R9からR16は、水素原子、アリル基、C1からC6アルキル基、又はこれらの基の1つ以上から選択され得、R9からR16の2つは同一でも異なっていてもよく、Zは、単結合、O(酸素原子)、又は以下の連結基:
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
又は
【化19】
であり得、P2は、
【化20】
又は
【化21】
であり得、qは、1から99の整数であり得る。
【0031】
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例は、ビスヒドロキシポリフェニレンエーテル樹脂(例えば、サウジ基礎産業公社又はSABIC製のSA-90樹脂)、ビニルベンジルポリフェニレンエーテル樹脂(例えば、三菱ガス化学製OPE-2st樹脂)、メタクリル酸ポリフェニレンエーテル樹脂(例えば、SABIC製SA-9000樹脂)、ビニルベンジル変性ビスフェノールAポリフェニレンエーテル樹脂、又はビニル伸びきり鎖ポリフェニレンエーテル樹脂を含むが、これらに限定されない。ポリフェニレンエーテルは、好ましくは、ビニルポリフェニレンエーテルである。
【0032】
一実施形態において、架橋剤は、熱硬化性樹脂の架橋度を高め、基材の剛性及び靭性を調整し、加工性を調整するために使用される。使用する架橋剤の種類は、1,3,5-トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC;CAS:1025-15-6)、トリメチルアリルイソシアヌレート(TMAIC)、フタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、1,2,4-トリメリット酸トリアリル等、又はこれらの1種以上の組み合わせであり得る。
【0033】
一実施形態において、樹脂組成物は、難燃剤、シラン、又は促進剤のうちの少なくとも1種を更に含む。樹脂の全100重量部に対して、難燃剤の使用量は、5重量部から30重量部(例えば、5重量部、10重量部、20重量部、30重量部、又は5重量部から30重量部の範囲の任意の値)である。樹脂の全100重量部に対して、シランの使用量は、0.1重量部から3重量部(例えば、0.1重量部、0.3重量部、0.5重量部、1重量部、3重量部、又は0.1重量部から3重量部の範囲の任意の値)である。樹脂の全100重量部に対して、促進剤の使用量は、0.1重量部から2重量部(例えば、0.1重量部、0.3重量部、0.5重量部、1重量部、2重量部、又は0.1重量部から2重量部の範囲の任意の値)である。ただし、本開示はそれに限定されるものではなく、上記の量は、実際の設計上の要求に応じて調整され得る。
【0034】
一実施形態において、難燃剤は、ハロゲンフリー難燃剤であってもよく、難燃剤の具体例は、リン系難燃剤であってもよく、これは、TPP、RDP、BPAPP、BBC、CR-733S及びPX-200などのリン酸塩から選択されてもよく、SPB-100などのホスファゼン、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン(MPP)及びメラミンシアヌレートから選択されてもよく、DOPO(例えば、以下の化学式(C))、DOPO-HQ(例えば、以下の化学式(D))、二重DOPO誘導構造(例えば、以下の化学式(E))等のDOPO難燃剤の複数の組み合わせ、及びアルミニウム含有次亜リン酸塩(例えば、以下の化学式(F))から選択されてもよい。
【化22】
【化23】
【化24】
ここでRは、
【化25】
【化26】
又は(CH
2)r、
【化27】
であり得、rは、1から4の整数であり得る。
【化28】
【0035】
一実施形態において、シランは、シロキサンを含み得るが、これに限定されない。さらに、官能基の種類によって、シランは、アミノシラン、エポキシドシラン、ビニルシラン、エステルシラン、ヒドロキシシラン、イソシアネートシラン、メチルアクリロキシシラン、及びアクリロキシシランに分類され得る。
【0036】
一実施形態において、系の反応性を高めるために、促進剤は、触媒及び過酸化物を含み得る。具体的には、触媒は、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール(2PZCN;CAS:23996-12-5)、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール(1B2PZ;CAS:37734-89-7)、チアベンダゾール(TBZ;CAS:7724-48-3)、又は上記の組み合わせを含む。改善効果が最も高いイミダゾールは、例えば、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールであるが、これらに限定されない。その他の適切な触媒は、実際の設計上の要求に応じて選択され得る。
【0037】
一実施形態において、過酸化物は、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド(DCP)、過酸化ベンゾイル(BPO)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン)、ジ(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、Lufであり得るが、本開示は上記例に限定されない。
【0038】
上記の具体的な実施形態は、本開示を限定せず、樹脂組成物の樹脂がシアン酸エステル樹脂とビスマレイミド樹脂とを含み、少なくとも99%超の純度の無機充填剤を使用する限り、すべてが本開示の保護範囲内であることに留意されたい。さらに、上記構造式又は官能基のいくつかでは、分かりやすくするために炭素上の水素を省略している。
【0039】
本開示の効果を説明するために以下の実施例及び比較例を挙げるが、本開示の権利範囲は、実施例の範囲に限定されない。
【0040】
各実施例及び各比較例で製造した銅クラッド積層体について、以下の方法で評価した。
【0041】
動的粘弾性測定(DMA)によってガラス転移温度(℃)を試験した。
【0042】
288℃のはんだ耐性及び耐熱性(秒):試料を圧力釜内で120℃、2atmで120分間加熱した後、288℃のはんだ炉内に試料を浸漬し、試料が離層するまでの時間を記録した。
【0043】
誘電率Dk:誘電率測定器HP Agilent E4991Aによって、周波数10GHzで誘電率Dkを測定した。
【0044】
誘電損失Df:誘電率測定器HP Agilent E4991Aによって、周波数10GHzで誘電損失Dfを測定した。
【0045】
銅箔の剥離強度(lb/in):銅箔と回路担体との間の剥離強度を試験した。
【0046】
熱膨張係数:4.5mm×30mm×0.1mmの試料を使用した。この試料を熱機械分析装置(TAInstruments製)で40℃から340℃まで10℃/分の加熱速度で加熱し、60℃から60℃、50℃から120℃の平面方向に沿って熱膨張係数の線形係数を測定した。測定方向は、積層体のガラス繊維織物の縦方向である。
【0047】
<実施例1及び実施例2、比較例1>
表1に示す樹脂組成物をトルエンと混合し、熱硬化性樹脂組成物のワニスを形成した。このワニスを南亜ファイバーガラスクロス(南亜プラスチックコーポレーション製のクロスタイプ2013)に室温で含浸させた。その後、130℃(含浸器)で数分間乾燥させた後、60重量%の樹脂含有率のプリプレグを得た。最後に、プリプレグ4片を厚さ35μmの2層の銅箔間に交互に積層した。圧力25kg/cm2、温度85℃の条件下で、20分間一定温度を保った。その後、加熱速度3℃/分で185℃まで加熱した後、再び120分間一定温度を保った。その後、130℃まで徐冷し、厚さ0.5mmの銅クラッド積層体を得た。
【0048】
製造した銅クラッド積層体の物性を試験し、その結果を表1に示す。表1の実施例1及び2の結果と比較例1の結果とを比較すると、以下の結論が得られる。比較例1と比べて、実施例1及び2は、樹脂組成物からなる基材の良好な電気的性能を維持すると同時に、熱膨張係数を低減し得る。ここで、表1の実施例1で用いた無機充填剤(EQ02410SDM)の純度は99.92%であり、メジアン粒子径は、2.3μmであり、最大粒子径は2.9μmである。実施例2で用いた無機充填剤(EQ0610SDM)の純度は99.93%であり、メジアン粒子径は0.5μmであり、最大粒子径は0.6μmである。比較例1で用いた無機充填剤(SC2500)の純度は98.9%であり、メジアン粒子径は0.6μmであり、最大粒子径は15μmである。
【0049】
【0050】
上記をまとめると、本開示の樹脂組成物は、少なくとも99%超の純度を有し、金属残渣を有しない無機充填剤を選択することによって、電気的な値を低減することができる。このようにして、樹脂組成物は、5G高周波基板材料として機能し、樹脂組成物からなる基材の良好な電気的性能を維持すると同時に、熱膨張係数を低減し得る。
【0051】
本開示を上記の実施形態で開示したが、実施形態は、本開示を限定しない。当業者は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、いくつかの変更及び修正を行い得る。本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0052】
樹脂組成物は、樹脂組成物の分野に適用し得る。
【外国語明細書】