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特開2023-79189コンピュータプログラム、情報処理装置及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079189
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20230531BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
A61B5/055 380
G01T1/161 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185822
(22)【出願日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2021192329
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517168211
【氏名又は名称】株式会社Splink
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】坂口 潤将
(72)【発明者】
【氏名】紫藤 浩史
【テーマコード(参考)】
4C096
4C188
【Fターム(参考)】
4C096AA03
4C096AB37
4C096AB41
4C096AC01
4C096AD14
4C096AD24
4C096DC19
4C096DC22
4C096DC33
4C096DC35
4C096DD07
4C096DD08
4C096DD11
4C188EE02
4C188EE25
4C188FF04
4C188FF07
4C188KK31
4C188MM10
(57)【要約】
【課題】機能画像上で脳の各組織に対応する部分の画素値を容易に確認することができるコンピュータプログラム、情報処理装置及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】コンピュータプログラムは、コンピュータに、脳機能画像を取得し、取得した脳機能画像上に脳組織間の境界線を重畳し、境界線が重畳された脳機能画像を表示する、処理を実行させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
脳機能画像を取得し、
取得した脳機能画像上に脳組織間の境界線を重畳し、
前記境界線が重畳された脳機能画像を表示する、
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項2】
コンピュータに、
前記境界線を強調して表示する、
処理を実行させる請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
コンピュータに、
複数の脳組織を選択する操作を受け付け、
選択された脳組織間の境界線を表示する、
処理を実行させる請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
コンピュータに、
脳組織を選択する操作を受け付け、
選択された脳組織の境界線を表示する、
処理を実行させる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコンピュータプログラ
ム。
【請求項5】
コンピュータに、
前記境界線の強調表示又は非強調表示の選択を受け付け、
受け付けた選択に応じて前記境界線を強調表示又は非強調表示する、
処理を実行させる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコンピュータプログラ
ム。
【請求項6】
コンピュータに、
脳構造画像を取得し、
取得した脳構造画像に基づいて複数の脳組織を特定し、
特定した脳組織間の境界線を抽出する、
処理を実行させる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコンピュータプログラ
ム。
【請求項7】
コンピュータに、
取得した脳構造画像を、取得した脳機能画像に位置合わせし、
位置合わせした脳構造画像に基づいて前記複数の脳組織を特定する、
処理を実行させる請求項6に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
脳機能画像を取得し、
取得した脳機能画像上に脳組織画像を色若しくは模様を付した状態又は透過させた状態で重畳し、
前記脳組織画像が重畳された脳機能画像を表示する、
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項9】
脳機能画像を取得する取得部と、
取得した脳機能画像上に脳組織間の境界線を重畳する重畳部と、
前記境界線が重畳された脳機能画像を表示する表示部と
を備える、
情報処理装置。
【請求項10】
脳機能画像を取得する取得部と、
取得した脳機能画像上に脳組織画像を色若しくは模様を付した状態又は透過させた状態で重畳する重畳部と、
前記脳組織画像が重畳された脳機能画像を表示する表示部と
を備える、
情報処理装置。
【請求項11】
脳機能画像を取得し、
取得した脳機能画像上に脳組織間の境界線を重畳し、
前記境界線が重畳された脳機能画像を表示する、
情報処理方法。
【請求項12】
脳機能画像を取得し、
取得した脳機能画像上に脳組織画像を色若しくは模様を付した状態又は透過させた状態で重畳し、
前記脳組織画像が重畳された脳機能画像を表示する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータプログラム、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脳画像解析の分野は、主に「構造(形態)」と「機能」の2つに分類することができる。構造画像(構造情報)には、例えば、MRI画像、CT画像などが含まれる。特許文献1には、頭部全体について撮像されたMRI画像からマスク画像を用いてセグメンテーションを行って脳に対応する部分の画像を取得する装置が開示されている。
【0003】
機能画像には、例えば、PET画像などが含まれる。PET画像は、異なる放射性薬剤を使用することで、生体の種々の機能や神経受容体の密度などを計測できる。このような機能画像は、脳内の構造的区分に基づいて解釈することが重要である場合が多く、実際の診療や臨床研究では、機能画像と構造画像とを重畳して、あるいは並べて表示することで、多くの情報を読み取ることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-247534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、機能画像と構造画像とを並べて表示すると、両者の対応関係を把握することが難しい場合がある。また、機能画像と構造画像とを重畳させて表示すると、機能画像上で脳の各組織に対応する部分の画素値を視覚的に確認することが難しい。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、機能画像上で脳の各組織に対応する部分の画素値を容易に確認することができるコンピュータプログラム、情報処理装置及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、コンピュータプログラムは、コンピュータに、脳機能画像を取得し、取得した脳機能画像上に脳組織間の境界線を重畳し、前記境界線が重畳された脳機能画像を表示する、処理を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、機能画像上で脳の各組織に対応する部分の画素値を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図2】情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図3】脳組織間の境界線抽出の一例を示す図である。
図4】情報処理装置の処理結果画面の第1例を示す図である。
図5】脳組織選択の一例を示す図である。
図6】境界線選択の一例を示す図である。
図7】情報処理装置による処理手順の第1例を示す図である。
図8】情報処理装置の処理結果画面の第2例を示す図である。
図9】情報処理装置による処理手順の第2例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態の情報処理システムの構成の一例を示す図である。情報処理システムは、情報処理装置50を備える。情報処理装置50には、通信ネットワーク1を介して、クライアント装置40が接続されている。クライアント装置40は、例えば、パーソナルコンピュータ等で構成することができ、画像ビューワ等がインストールされている。クライアント装置40には、画像サーバ30が接続されている。画像サーバ30は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置10、PET(Positron Emission Tomography)装置20から医用画像を受信し、データベースに保存する。クライアント装置40は、画像サーバ30から医用画像を取得し、取得した医用画像を情報処理装置50へ送信する。情報処理装置50は、医用画像に対して所定の処理を行い、処理結果をクライアント装置40に送信することができる。クライアント装置40は、処理結果を表示することができる。所定の処理の詳細は後述する。
【0011】
MRI装置10は、磁気共鳴現象を利用して断層画像を撮像することができる装置であり、MRI画像(MR画像とも称する)を得ることができる。撮像条件を選択することにより、組織の密度、緩和時間(縦緩和時間T1、横緩和時間T2)、血流、水素原子の量(プロトン密度)などを反映したMRI画像が得られる。MRI画像は、位置情報を含むMRI信号に再構成処理を施すことで生成できる。MRI画像には、例えば、T1強調画像、T2強調画像、プロトン密度強調画像、FLAIR(Fluid-Attenuated Inversion Recovery)画像、拡散強調画像、MRA(Magnetic Resonance Angiography)画像、T2(T2スター)強調画像、SWI(Susceptibility-Weighted Imaging)画像などがある。また、MRI画像には、QSM(Quantitative Susceptibility Mapping)画像やR2画像が含まれる。QSM画像は、T2強調画像に所定の演算を施して生成することができる。また、T2強調画像に所定の演算を施してR2(R2スター)画像を生成することもできる。MRI装置10は、例えば、病院などの医療機関内に設置されている。MRI装置10で得られたMRI画像は、画像サーバ30に蓄積される。MRI画像は、構造画像とも称する。
【0012】
PET装置20は、陽電子を放出する検査薬を静脈から注射し、検査薬を取り込む細胞から放出される陽電子が消滅する際に放出されるガンマ線を検出することで、PET画像を得ることができる。PET装置20には、PET専用機だけでなく、X線CT(Computed Tomography)装置を組み込んだ装置、あるいはSPECT(single photon emission CT)装置を組み込んだ装置も含まれる。すなわち、PET装置20から、PET画像、PET-CT画像、SPECT画像を取得することができる。PET装置20は、例えば、病院などの医療機関内に設置されている。PET装置20で得られた各種画像は、画像サーバ30に蓄積される。PET画像、SPECT画像は、機能画像とも称する。
【0013】
PET画像及びSPECT画像は、静脈注射等により、放射性薬剤を被験者の体内に投与し、体内において当該薬剤から放出される放射線を撮像することにより、画像が生成される。薬剤を用いた画像によれば、体内の各部位の形態のみならず、体内に投与された薬剤がどのように分布するか、または当該薬剤と反応する体内の物質の集積の様子などを医師に把握させることができるので、疾病の診断精度の向上に寄与しうる。例えば、通称ピッツバーグ化合物BをPET用放射性薬剤(トレーサー)として用いてPET画像を撮像し、撮像されたPET画像を基に脳内のアミロイドβ蛋白の蓄積度合いを測定することにより、アルツハイマー型認知症の鑑別診断又は早期診断に役立たせることができる。また、SPECT画像についても、薬剤の種類によって、脳血管障害や認知症に対する脳血流検査など様々な部位の検査が可能である。
【0014】
本明細書では、医用画像は、MRI画像、PET画像、PET-CT画像、SPECT画像、CT画像などを含む。また、医用画像は、脳に関する医用画像だけでなく、脳以外の部分に関する医用画像も含む。
【0015】
画像サーバ30は、患者毎の医用画像(脳機能画像及び脳構造画像)を記録している。例えば、患者毎に、医用画像を撮影した撮影日、撮影条件、撮影時の投薬の有無又は投薬回数、投薬時の治療薬の名称や量などが、医用画像と関連付けて記録されている。
【0016】
図2は情報処理装置50の構成の一例を示す図である。情報処理装置50は、コンピュータで構成することができ、情報処理装置50全体を制御する制御部51、通信部52、メモリ53、画像処理部54、表示制御部57、及び記憶部58を備える。画像処理部54は、セグメンテーション部55、及びエッジ処理部56を備える。記憶部58は、コンピュータプログラム59を記憶する。
【0017】
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等で構成することができる。制御部51は、コンピュータプログラム59で定められた処理を実行することができる。すなわち、制御部51による処理は、コンピュータプログラム59による処理でもある。
【0018】
通信部52は、例えば、通信モジュールを備え、通信ネットワーク1を介してクライアント装置40との間の通信機能を有する。通信部52は、クライアント装置40から医用画像(例えば、ある患者の脳機能画像及び脳構造画像)を取得(受信)することができる。ある患者の脳機能画像及び脳構造画像は、例えば、同じタイミングで撮影された画像を含むとともに、脳の構造変化や機能変化が許容範囲内であれば異なるタイミングで撮影された画像も含む。
【0019】
メモリ53は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリで構成することができる。コンピュータプログラム59をメモリ53に展開して、制御部51がコンピュータプログラム59を実行することができる。
【0020】
画像処理部54は、所定の処理を行う。画像処理部54は、通信部52を介して取得した脳機能画像及び脳構造画像に基づいて、脳構造画像の位置合わせ(レジストレーション)を行う。複数時期や複数のモダリティで計測した画像の位置合わせは、アフィン変換、非線形変換、平行移動や回転などの剛体変換の少なくとも1つを用いることができる。
【0021】
セグメンテーション部55は、位置合わせした脳構造画像に基づいて複数の脳組織を特定する。具体的には、MRI画像のT1強調画像からベイズ推定アルゴリズムを用いて、組織毎に画像内の各画素領域に当該組織が存在する確率を画素値とするマスク画像を生成し、生成したマスク画像を用いてセグメンテーションを行ってもよい。また、ベイズ推定アルゴリズム以外の機械学習によって生成された学習モデルを用いてもよい。学習モデルは、例えば、U-Net、GAN(Generative Adversarial Network)、SegNet等を用いればよい。複数の脳組織は、例えば、白質、灰白質、脳髄液(CSF)を含む。セグメンテーション部55は、複数の脳組織を特定することで脳組織画像を生成することができる。
【0022】
エッジ処理部56は、特定した脳組織間の境界線を抽出する。具体的には、セグメンテーションにより得られた各画像に対してエッジ検出(例えば、キャニー法:Canny法)を行うことにより、境界線を抽出できる。境界線は、例えば、白質と灰白質との間の境界線、白質と脳髄液との間の境界線、灰白質と脳髄液との間の境界線など、異なる脳組織間の境界である。
【0023】
図3は脳組織間の境界線抽出の一例を示す図である。図3は、脳構造画像、セグメンテーション画像、及び抽出した境界線の例を模式的に示すものであり、実際の画像とは異なる場合がある。脳構造画像(例えば、T1強調画像)に対してセグメンテーション処理を行うことにより、セグメンテーション画像を生成することができる。図3に示すセグメンテーション画像は、白質と灰白質とをセグメンテーションした例を示す。セグメンテーション画像に対してエッジ検出処理を行うことにより、境界線を抽出できる。図3に示す境界線は、白質と灰白質との境界線である。
【0024】
表示制御部57は、所定の処理として、エッジ処理部56で抽出した境界線を脳機能画像上に重畳した表示用画像を生成する。表示制御部57は、クライアント装置40の表示画面に所要の情報を表示するための表示制御を行うことができる。
【0025】
記憶部58は、例えば、ハードディスク又は半導体メモリ等で構成することができ、コンピュータプログラム59の他に所要の情報を記憶してもよい。
【0026】
次に、情報処理装置50の処理結果について説明する。
【0027】
図4は情報処理装置50の処理結果画面の第1例を示す図である。図4に示すように、処理結果画面には、患者に関する属性情報として、患者ID(氏名を含めてもよい)、生年月日、性別、医用画像の撮影日(投薬時の撮影日)、薬剤、投薬履歴などの情報が表示される。患者IDは、複数の患者の中から選択できるようにしてもよい。また、撮影日が複数ある場合、撮影日を選択できるようにしてもよい。
【0028】
処理結果画面には、複数の断層画像(例えば、PET画像の如く脳機能画像)のうち、所要のスライス画像を、サジタル断面(Sagittal)、コロナル断面(Coronal)、及びアキシャル断面(Axial)それぞれの形式で表示することができる。
【0029】
PET画像は、例えば、脳内のアミロイドβの分布を可視化した分布情報(例えば、ボクセル毎のSUVR値)を含む。SUVR(Standardized Uptake Value Ratio)は、大脳灰白質の4つの部位(前頭前野、前後帯状皮質、頭頂葉、及び外側側頭葉)のSUV(Standardized Uptake Value:アミロイドβ蛋白の集積度)の合算を、特定の参照領域(例えば、小脳など)のSUVで除算することにより求めることができる。アミロイドβの集積度(SUV)は、例えば、所要部位を構成する各ボクセルの輝度を示す値が所定の閾値以上であるボクセルの数をカウントすることにより求めることができる。所要部位の総ボクセル数に対するカウント値の比率により集積(例えば、OO%等)が算出できる。
【0030】
また、PET画像上には、脳組織間の境界線が重畳して表示されている。図4の例では、境界線は白質と灰白質との間の境界線である。境界線を、どの脳組織間の境界線とするかは、予め設定されたものでもよく、医師などのユーザが医用画像を情報処理装置50にアップロードする際に設定してもよい。制御部51は、脳機能画像を取得し、取得した脳機能画像上に脳組織間の境界線を重畳し、境界線が重畳された脳機能画像を表示することができる。これにより、機能画像の脳組織に対応する領域内の画素値に影響を与えないので、機能画像上で脳の各組織に対応する部分の画素値を容易に確認することができる。
【0031】
処理結果画面には、脳組織選択欄が表示され、脳組織を選択して「境界線表示」アイコンを操作することにより、所要の脳組織を選択して脳組織間の境界線を表示することができる。
【0032】
図5は脳組織選択の一例を示す図である。図5に示すように、脳組織A、B、及びCが選択されて、「境界線表示」アイコンを操作すると、脳組織A、B、及びCそれぞれの間の境界線が表示される。制御部51は、複数の脳組織を選択する操作を受け付け、選択された脳組織間の境界線を表示することができる。脳組織は、白質、灰白質、脳髄液(CSF)に限定されない。また、制御部51は、1つの脳組織を選択する操作を受け付け、選択された脳組織の境界線(すなわち、選択された脳組織と他の組織との境界線)を表示してもよい。これにより、所要の脳組織の境界線を容易に確認することができる。
【0033】
処理結果画面には、境界線選択欄が表示され、境界線を選択して「境界線表示」アイコンを操作することにより、選択した境界線を表示することができる。
【0034】
図6は境界線選択の一例を示す図である。図6に示すように、境界線L、M、及びNが選択されて、「境界線表示」アイコンを操作すると、複数の境界線の中から境界線L、M、及びNが表示される。制御部51は、複数の境界線の中から所要の境界線を選択する操作を受け付け、選択された境界線を表示することができる。これにより、境界線の中から所要の境界線だけを容易に確認することができる。
【0035】
処理結果画面には、選択結果が表示される。例えば、図4に示すように、脳組織として白質と灰白質とが選択された場合、表示される境界線が、白質と灰白質との間の境界線であることが分かるように図式される。これにより、表示されている境界線が、脳組織のうち、どの組織の境界線であるかを直感的に把握することができる。
【0036】
処理結果画面で、「選択解除」アイコンを操作すると、選択した脳組織又は境界線を解除(非選択)できる。また、「境界線非表示」アイコンを操作すると、境界線を非表示にすることができる。また、「強調・非強調表示」アイコンを操作することにより、境界線の表示を強調と非強調とに切り替えることができる。制御部51は、境界線の強調表示又は非強調表示の選択を受け付け、受け付けた選択に応じて境界線を強調表示又は非強調表示することができる。例えば、境界線の色を変える、明るさ(輝度)を変える等によって、強調表示又は非強調表示することができる。これにより、注目している組織又は組織間の境界線だけを選択して強調することが可能となる。
【0037】
図7は情報処理装置50による処理手順の第1例を示す図である。以下では便宜上、処理の主体を制御部51として説明する。制御部51は、脳構造画像を取得し(S11)、脳機能画像を取得する(S12)。取得する脳構造画像及び脳機能画像は、同一の患者の画像であって、両者の画像それぞれの撮影時点は同一時点でもよく、脳内の変化が許容範囲内であれば異なる時点でもよい。
【0038】
制御部51は、取得した脳構造画像と脳機能画像との位置合わせを行い(S13)、位置合わせした脳構造画像に基づいて脳組織のセグメンテーション画像を生成する(S14)。制御部51は、セグメンテーション画像に基づいて脳組織の境界線を抽出する(S15)。
【0039】
制御部51は、取得した脳機能画像を表示し(S16)、脳組織間の境界線を脳機能画像に重畳して表示する(S17)。なお、ステップS16とS17の処理は、ユーザの操作を必要とすることなく、自動的に続けて処理をしてもよく、ステップS16の処理の後に、ユーザの操作を待ち、操作があった場合にステップS17の処理を続けてもよい。
【0040】
制御部51は、所定の操作の有無を判定する(S18)。所定の操作は、図4で例示したように、脳組織選択、境界線選択、強調・非強調表示などの操作を含む。所定の操作があった場合(S18でYES)、制御部51は、操作に応じた表示処理を行い(S19)、処理を終了する。所定の操作がない場合(S18でNO)、制御部51は、処理を終了する。
【0041】
図8は情報処理装置50の処理結果画面の第2例を示す図である。図8に示す処理結果画面では、脳機能画像上に脳組織の画像(脳組織画像)を色若しくは模様を付した状態又は透過させた状態で重畳表示することができる。図4に示した第1例と同様に、処理結果画面には、患者に関する属性情報が表示される。なお、脳機能画像上に複数の脳組織画像を表示する場合、色を付した一部の脳組織画像(脳組織)と模様を付した残りの脳機能画像(脳組織)とを混在させてもよい。すなわち、脳組織毎に色を付すか模様を付すかを設定してもよい。同様に、脳組織毎に色を付すか、模様を付すか、あるいは透過させるかを設定してもよい。
【0042】
また、処理結果画面には、図4に示した第1例と同様に、複数の断層画像(例えば、PET画像の如く脳機能画像)のうち、所要のスライス画像を、サジタル断面(Sagittal)、コロナル断面(Coronal)、及びアキシャル断面(Axial)それぞれの形式で表示することができる。
【0043】
PET画像上には、脳組織画像が重畳して表示されている。図8の例では、脳組織画像を色若しくは模様を付した状態で脳機能画像上に重畳して表示されている。処理結果画面には、「色又は模様表示」アイコン、及び「透過表示」アイコンが表示されている。「色又は模様表示」アイコンを操作することにより、脳組織画像を色若しくは模様を付した状態で脳機能画像上に重畳して表示される。「透過表示」アイコンを操作することにより、脳組織画像が透過された状態で脳機能画像上に重畳して表示される。情報処理装置50は、「色又は模様表示」アイコンが操作された場合、色を付した状態の脳組織画像を脳機能画像上に重畳してもよく、あるいは、模様を付した状態の脳組織画像を脳機能画像上に重畳してもよい。色を付すか模様を付すかは予め設定しておくことができる。また、図示していないが、「色又は模様表示」アイコン代えて、「色」アイコン及び「模様」アイコンを表示して、脳組織画像に色を付すか、模様を付すかを選択するようにしてもよい。
【0044】
すなわち、制御部51は、脳機能画像を取得し、取得した脳機能画像上に脳組織画像を重畳し、脳組織画像が重畳された脳機能画像を表示することができる。これにより、機能画像上で脳の各組織に対応する部分の画素値を容易に確認することができる。
【0045】
また、制御部51は、脳組織画像を色若しくは模様を付した状態又は透過させた状態で脳機能画像上に重畳して表示してもよい。脳組織画像を色若しくは模様を付した状態で表示させることで脳組織を容易に確認できる。また、脳組織画像を透過させた状態で表示させることで脳機能画像と脳組織画像を対比して確認できる。脳組織画像を色若しくは模様を付した状態で表示させるか、あるいは脳組織画像を透過させた状態で表示させるかは、医師などのユーザが注目するポイントに応じて適宜変更できる。
【0046】
処理結果画面には、脳組織選択欄が表示され、脳組織を選択することにより、所要の脳組織を選択して脳組織画像を表示することができる。
【0047】
図9は情報処理装置50による処理手順の第2例を示す図である。制御部51は、脳構造画像を取得し(S31)、脳機能画像を取得する(S32)。取得する脳構造画像及び脳機能画像は、同一の患者の画像であって、両者の画像それぞれの撮影時点は同一時点でもよく、脳内の変化が許容範囲内であれば異なる時点でもよい。
【0048】
制御部51は、取得した脳構造画像と脳機能画像との位置合わせを行い(S33)、位置合わせした脳構造画像に基づいて脳組織のセグメンテーション画像を生成する(S34)。制御部51は、取得した脳機能画像を表示する(S35)。
【0049】
制御部51は、色若しくは模様表示又は透過表示の選択の有無を判定し(S36)、色若しくは模様表示の操作があった場合(S36で色若しくは模様表示)、脳機能画像上に脳組織(脳組織画像)を色又は模様を付して重畳表示し(S37)、後述のステップS39の処理を行う。透過表示の操作があった場合(S36で透過表示)、制御部51は、脳機能画像上に脳組織(脳組織画像)を透過させて重畳表示する(S38)。
【0050】
制御部51は、所定の操作の有無を判定する(S39)。所定の操作は、図8で例示したように、脳組織選択操作を含む。所定の操作があった場合(S39でYES)、制御部51は、操作に応じた表示処理を行い(S40)、処理を終了する。所定の操作がない場合(S39でNO)、制御部51は、処理を終了する。なお、図9の例では、色若しくは模様表示と、透過表示とのいずれかを選択する処理であるが、これに限定されるものではなく、色若しくは模様表示と透過表示の両方を選択することで、予め設定した条件で脳組織画像毎に色を付す、模様を付す、及び透過させて表示するようにしてもよい。
【0051】
(付記1)コンピュータプログラムは、コンピュータに、脳機能画像を取得し、取得した脳機能画像上に脳組織間の境界線を重畳し、前記境界線が重畳された脳機能画像を表示する、処理を実行させる。
【0052】
(付記2)コンピュータプログラムは、付記1において、コンピュータに、前記境界線を強調して表示する、処理を実行させる。
【0053】
(付記3)コンピュータプログラムは、付記1又は付記2において、コンピュータに、複数の脳組織を選択する操作を受け付け、選択された脳組織間の境界線を表示する、処理を実行させる。
【0054】
(付記4)コンピュータプログラムは、付記1から付記3のいずれか一つにおいて、コンピュータに、脳組織を選択する操作を受け付け、選択された脳組織の境界線を表示する、処理を実行させる。
【0055】
(付記5)コンピュータプログラムは、付記1から付記4のいずれか一つにおいて、コンピュータに、前記境界線の強調表示又は非強調表示の選択を受け付け、受け付けた選択に応じて前記境界線を強調表示又は非強調表示する、処理を実行させる。
【0056】
(付記6)コンピュータプログラムは、付記1から付記5のいずれか一つにおいて、コンピュータに、脳構造画像を取得し、取得した脳構造画像に基づいて複数の脳組織を特定し、特定した脳組織間の境界線を抽出する、処理を実行させる。
【0057】
(付記7)コンピュータプログラムは、付記6において、コンピュータに、取得した脳構造画像を、取得した脳機能画像に位置合わせし、位置合わせした脳構造画像に基づいて前記複数の脳組織を特定する、処理を実行させる。
【0058】
(付記8)コンピュータプログラムは、コンピュータに、脳機能画像を取得し、取得した脳機能画像上に脳組織画像を色若しくは模様を付した状態又は透過させた状態で重畳し、前記脳組織画像が重畳された脳機能画像を表示する、処理を実行させる。
【0059】
(付記9)情報処理装置は、脳機能画像を取得する取得部と、取得した脳機能画像上に脳組織間の境界線を重畳する重畳部と、前記境界線が重畳された脳機能画像を表示する表示部とを備える。
【0060】
(付記10)情報処理装置は、脳機能画像を取得する取得部と、取得した脳機能画像上に脳組織画像を色若しくは模様を付した状態又は透過させた状態で重畳する重畳部と、前記脳組織画像が重畳された脳機能画像を表示する表示部とを備える。
【0061】
(付記11)情報処理方法は、脳機能画像を取得し、取得した脳機能画像上に脳組織間の境界線を重畳し、前記境界線が重畳された脳機能画像を表示する。
【0062】
(付記12)情報処理方法は、脳機能画像を取得し、取得した脳機能画像上に脳組織画像を色若しくは模様を付した状態又は透過させた状態で重畳し、前記脳組織画像が重畳された脳機能画像を表示する。
【0063】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 通信ネットワーク
10 MRI装置
20 PET装置
30 画像サーバ
40 クライアント装置
50 情報処理装置
51 制御部
52 通信部
53 メモリ
54 画像処理部
55 セグメンテーション部
56 エッジ処理部
57 表示制御部
58 記憶部
59 コンピュータプログラム
図1
図2
図3
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図9