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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079237
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】運搬台車及び輸送システム
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20230601BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
B62B3/02 H
B62B5/00 J
B62B5/00 B
B62B3/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192598
(22)【出願日】2021-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000114879
【氏名又は名称】ヤマトホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000155045
【氏名又は名称】株式会社本宏製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】竹内 政祐
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 直樹
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB03
3D050CC05
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050FF01
3D050FF04
3D050FF05
(57)【要約】
【課題】輸送用パレットに容易に且つ安定的に載置固定することができ、さらに、輸送用パレットに対するキャスターの点荷重による過負荷が生じない運搬台車及びこの運搬台車を備える輸送システムを提供する。
【解決手段】かご状体若しくは箱状体に形成される運搬物収容部1を備え、この運搬物収容部1の底側に突設された車輪3により走行移動可能な運搬台車であって、前記運搬物収容部1の底部には脚部2が設けられ、この脚部2には前記車輪3が設けられ、この車輪3は、前記脚部2に回動自在に設けられ、回動操作により突出状態から前記脚部2内へ収納されるように構成されている運搬台車。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご状体若しくは箱状体に形成される運搬物収容部を備え、この運搬物収容部の底側に突設された車輪により走行移動可能な運搬台車であって、前記運搬物収容部の底部には脚部が設けられ、この脚部には前記車輪が設けられ、この車輪は、前記脚部に回動自在に設けられ、回動操作により突出状態から前記脚部内へ収納されるように構成されていることを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
請求項1記載の運搬台車において、前記運搬物収容部は、平面視方形状に形成され、底部の左右両側に前記脚部が設けられていることを特徴とする運搬台車。
【請求項3】
請求項2記載の運搬台車において、前記運搬物収容部は、運搬物を載置する荷台部と、この荷台部に載置された運搬物を囲うように立設された囲い部とからなり、前記囲い部は、左側面部、右側面部及び後面部を備え、前記脚部は、夫々、前記運搬物収容部の前側部から前記後面部に亘る長さの平面視長方形状に形成され、左側の脚部は前記左側面部に固定され、右側の脚部は前記右側面部に連結され、また、前記囲い部は、前記左側面部と前記後面部が連結され、さらに、前記右側面部は二分され、前記後面部側に位置する第2右側面部は、前記右側の脚部と同幅であって、前記後面部と連結され、また、残余の第1右側面部は、前記右側の脚部の所定部位と連結されると共に、前記第2右側面部に対して内方へ擺動可能に連結され、また、前記荷台部は、起立回動して前記後面部若しくは前記左側面部に重合するように構成され、前記第1右側面部の前記第2右側面部に対する内方への擺動により、前記右側の脚部が回動して前記左側の脚部と直角状態となるように構成されていることを特徴とする運搬台車。
【請求項4】
請求項2記載の運搬台車において、前記運搬物収容部は、運搬物を載置する荷台部と、この荷台部に載置された運搬物を囲うように立設された囲い部とからなり、前記囲い部は、左側面部、右側面部及び後面部を備え、前記脚部は、夫々、前記運搬物収容部の前側部から前記後面部に亘る長さの平面視長方形状に形成され、左側の脚部は前記左側面部に連結され、右側の脚部は前記右側面部に固定され、また、前記囲い部は、前記右側面部と前記後面部が連結され、さらに、前記左側面部は二分され、前記後面部側に位置する第2左側面部は、前記左側の脚部と同幅であって、前記後面部と連結され、また、残余の第1左側面部は、前記左側の脚部の所定部位と連結されると共に、前記第2左側面部に対して内方へ擺動可能に連結され、また、前記荷台部は、起立回動して前記後面部若しくは前記右側面部に重合するように構成され、前記第1左側面部の前記第2左側面部に対する内方への擺動により、前記左側の脚部が回動して前記右側の脚部と直角状態となるように構成されていることを特徴とする運搬台車。
【請求項5】
請求項3,4いずれか1項に記載の運搬台車において、前記囲い部は、前記運搬物収容部の運搬物を出し入れするための開口部に、この開口部を開閉自在に閉口する前面部が着脱自在若しくは開閉自在に設けられていることを特徴とする運搬台車。
【請求項6】
請求項2~5いずれか1項に記載の運搬台車において、前記左側の脚部及び前記右側の脚部に、夫々、2つ以上の前記車輪が設けられ、前記左側の脚部に設けられた各車輪同士及び前記右側の脚部に設けられた各車輪同士が共に連結部材で連結されていることを特徴とする運搬台車。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載の運搬台車において、前記脚部は、前記車輪が収納される車輪収納部の上方に、フォークリフトのフォークを挿入するフォーク挿入部が設けられていることを特徴とする運搬台車。
【請求項8】
運搬物を目的地まで積み替えることなく輸送する輸送システムであって、前記運搬物を収容する前記請求項1~7いずれか1項に記載の運搬台車と、この運搬台車を載置する輸送用パレットと、前記運搬台車を昇降させる運搬台車昇降手段と、前記運搬台車が載置された前記輸送用パレットを移動させるパレット移動手段とを備えることを特徴とする輸送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬台車及びこの運搬台車を備える輸送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
「かご台車」或いは「ロールボックスパレット」と呼ばれる運搬台車は、特許文献1~3に示すような、キャスターを有する荷台に3面若しくは4面の格子状に形成される側板で構成される囲い部が設けられてなるものであり、運搬機能と保管機能の両方の機能を備えることから、物流業界で幅広く用いられており、航空輸送においても、前記運搬台車を用いた輸送が日常的に行われている。
【0003】
この航空輸送においては、例えば、運搬物を運搬台車に積載し、この運搬台車のキャスターによる自走移動でトラック等の輸送手段まで移動し、前記輸送手段に運搬台車を載せ、運搬台車ごと空港へ輸送し、この空港にて別の収納体(例えばコンテナ)への積み替えを行い、このコンテナを輸送用パレットに積載して目的地がある空港まで空輸し、この空港にて再びコンテナから運搬台車に積み替えを行い、前記輸送手段にて目的地まで輸送するといった物流例がある。
【0004】
前記物流例では、運搬台車の輸送用パレットへの固定が困難で輸送中に運搬台車が動いてしまうおそれがあることや、運搬台車のキャスターが前記パレットに対して点荷重になり、輸送用パレットに大きな負荷が掛かり、輸送用パレットが破損するおそれがあることなどの理由から、前述のとおり、空港で運搬台車から別のコンテナへの積み替え作業が行われており、この積み替え作業に多くの時間と労力が費やされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-183933号公報
【特許文献2】特開2012-91557号公報
【特許文献3】特開2016-22893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような航空輸送物流の現状に鑑みなされたものであり、輸送用パレットに容易に且つ安定的に載置固定することができ、さらに、輸送用パレットに対するキャスターの点荷重による過負荷が生じない運搬台車及びこの運搬台車を備える輸送システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
かご状体若しくは箱状体に形成される運搬物収容部1を備え、この運搬物収容部1の底側に突設された車輪3により走行移動可能な運搬台車であって、前記運搬物収容部1の底部には脚部2が設けられ、この脚部2には前記車輪3が設けられ、この車輪3は、前記脚部2に回動自在に設けられ、回動操作により突出状態から前記脚部2内へ収納されるように構成されていることを特徴とする運搬台車に係るものである。
【0009】
また、請求項1記載の運搬台車において、前記運搬物収容部1は、平面視方形状に形成され、底部の左右両側に前記脚部2が設けられていることを特徴とする運搬台車に係るものである。
【0010】
また、請求項2記載の運搬台車において、前記運搬物収容部1は、運搬物を載置する荷台部5と、この荷台部5に載置された運搬物を囲うように立設された囲い部6とからなり、前記囲い部6は、左側面部8、右側面部9及び後面部10を備え、前記脚部2は、夫々、前記運搬物収容部1の前側部から前記後面部10に亘る長さの平面視長方形状に形成され、左側の脚部2は前記左側面部8に固定され、右側の脚部2は前記右側面部9に連結され、また、前記囲い部6は、前記左側面部8と前記後面部10が連結され、さらに、前記右側面部9は二分され、前記後面部10側に位置する第2右側面部9bは、前記右側の脚部2と同幅であって、前記後面部10と連結され、また、残余の第1右側面部9aは、前記右側の脚部2の所定部位と連結されると共に、前記第2右側面部9bに対して内方へ擺動可能に連結され、また、前記荷台部5は、起立回動して前記後面部10若しくは前記左側面部8に重合するように構成され、前記第1右側面部9aの前記第2右側面部9bに対する内方への擺動により、前記右側の脚部2が回動して前記左側の脚部2と直角状態となるように構成されていることを特徴とする運搬台車に係るものである。
【0011】
また、請求項2記載の運搬台車において、前記運搬物収容部1は、運搬物を載置する荷台部5と、この荷台部5に載置された運搬物を囲うように立設された囲い部6とからなり、前記囲い部6は、左側面部8、右側面部9及び後面部10を備え、前記脚部2は、夫々、前記運搬物収容部1の前側部から前記後面部10に亘る長さの平面視長方形状に形成され、左側の脚部2は前記左側面部8に連結され、右側の脚部2は前記右側面部9に固定され、また、前記囲い部6は、前記右側面部9と前記後面部10が連結され、さらに、前記左側面部8は二分され、前記後面部10側に位置する第2左側面部は、前記左側の脚部2と同幅であって、前記後面部10と連結され、また、残余の第1左側面部は、前記左側の脚部2の所定部位と連結されると共に、前記第2左側面部に対して内方へ擺動可能に連結され、また、前記荷台部5は、起立回動して前記後面部10若しくは前記右側面部に重合するように構成され、前記第1左側面部の前記第2左側面部に対する内方への擺動により、前記左側の脚部2が回動して前記右側の脚部2と直角状態となるように構成されていることを特徴とする運搬台車に係るものである。
【0012】
また、請求項3,4いずれか1項に記載の運搬台車において、前記囲い部6は、前記運搬物収容部1の運搬物を出し入れするための開口部に、この開口部を開閉自在に閉口する前面部7が着脱自在若しくは開閉自在に設けられていることを特徴とする運搬台車に係るものである。
【0013】
また、請求項2~5いずれか1項に記載の運搬台車において、前記左側の脚部2及び前記右側の脚部2に、夫々、2つ以上の前記車輪3が設けられ、前記左側の脚部2に設けられた各車輪3同士及び前記右側の脚部2に設けられた各車輪3同士が共に連結部材4で連結されていることを特徴とする運搬台車に係るものである。
【0014】
また、請求項1~6いずれか1項に記載の運搬台車において、前記脚部2は、前記車輪3が収納される車輪収納部11の上方に、フォークリフト15のフォーク15aを挿入するフォーク挿入部12が設けられていることを特徴とする運搬台車に係るものである。
【0015】
また、運搬物を目的地まで積み替えることなく輸送する輸送システムであって、前記運搬物を収容する前記請求項1~7いずれか1項に記載の運搬台車13と、この運搬台車13を載置する輸送用パレット14と、前記運搬台車13を昇降させる運搬台車昇降手段15と、前記運搬台車13が載置された前記輸送用パレット14を移動させるパレット移動手段26とを備えることを特徴とする輸送システムに係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、輸送用パレットに容易に且つ安定的に載置固定することができ、輸送中の移動が可及的低減され、さらに、輸送用パレットに対するキャスターの点荷重による過負荷も生じないので、輸送用パレットの破損も可及的に防止される実用性に優れた運搬台車となる。
【0017】
したがって、例えば、本発明の運搬台車を用いて航空輸送を行う場合、本発明の運搬台車に運搬物を積載したまま輸送用パレットに積載して輸送することが可能となり、空港での別のコンテナへの積み替え作業を省くことができ、効率的な輸送作業を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施例を示す説明正面図である。
図2】本実施例(車輪使用状態)を示す斜視図である。
図3】本実施例の前面部を示す説明斜視図である。
図4】本実施例の脚部及び車輪を示す説明側面図であり、(a)は車輪使用状態、(b)は車輪収納状態を示す。
図5】本実施例の車輪取付部及び車輪を示す説明斜視図であり、(a)は車輪使用状態、(b)は車輪収納状態を示す。
図6】本実施例(車輪収納状態)を示す斜視図である。
図7】本実施例の使用状態を示す説明図である。
図8】本実施例の折り畳み手順を示す説明図である。
図9】本実施例の折り畳み手順を示す説明図である。
図10】本実施例の折り畳み手順を示す説明図である。
図11】本実施例の収納状態を示す説明平面図である。
図12】本実施例の輸送形態例を示す説明図である。
図13】本実施例の別例を示す説明正面図である。
図14】本実施例の別例における転倒防機構の説明図であり、(a)は通常状態を示す図であり、(b)は転倒防止機構が作動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0020】
本発明は、例えばフォークリフト15を用いて接地面から上昇させ、回動操作により容易に車輪3を脚部2内に収納(格納)することができる。
【0021】
そして、この車輪3を脚部2内に収納することで、接地面への接地が車輪3から脚部2になり、これにより、例えば、輸送用パレット14に積載した場合、容易に且つ安定的に輸送用パレット14に載置固定することが可能となる。
【0022】
さらに、接地面への接地が車輪3から脚部2になることで、車輪3での接地に比べて輸送用パレット14に対する接地面積が大きくなり、車輪接地時のような輸送用パレット14への点荷重が生じず、輸送用パレット14への負荷が軽減される。
【0023】
したがって、本発明を航空輸送に用いた場合、輸送用パレット14への積載が可能となり、別コンテナへの積み替え作業を省くことができ、効率的な輸送作業を行うことができるようになる。
【実施例0024】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0025】
本実施例は、一般的に「かご台車」或いは「ロールボックスパレット」と呼ばれる運搬機能と保管機能の両方を兼ね備えた運搬台車に係るものであり、具体的には、かご状体若しくは箱状体に形成される運搬物収容部1を備え、この運搬物収容部1の底部に脚部2が設けられ、この脚部2には走行用の車輪3が設けられ、この車輪3は、回動操作により前記脚部2内に収納可能に構成されている車輪収納式運搬台車に係るものである。
【0026】
以下、本実施例に係る構成各部について詳述する。
【0027】
図1,2に示すように、運搬物収容部1は、運搬物を載置する荷台部5と、この荷台部5に載置された運搬物を囲う囲い部6とで構成されている。
【0028】
荷台部5は、平面視方形状の金属製の板状体からなり、運搬物収容部1の後面側に位置する後部側が後述する囲い部6(後面部10)に枢着され、囲い部6の後面部10側に折り畳み可能に構成されている。なお、荷台部5の材質は金属製に限定されるものでは無く、合成樹脂製、木製など他の材質でも良い。
【0029】
なお、荷台部5は、使用状態及び折り畳み状態のいずれの状態においても、係止部材(図示省略)によりその状態が保持されるように構成されている。
【0030】
また、囲い部6は、前面部7、左側面部8、右側面部9及び後面部10の4つの面部で構成され、夫々が荷台部5の各辺に沿って立設され、平面視方形状に形成されている。
【0031】
具体的には、前面部7、左側面部8、右側面部9及び後面部10は、夫々、格子状若しくは柵状に形成されている。
【0032】
また、前面部7は着脱自在に設けられ、本実施例は、この前面部7を取り外すことにより、運搬物を出し入れする開口部16が形成される(開口する)構成となっている。
【0033】
具体的には、前面部7は、左側面部8,右側面部9間に退避回動自在に架設される架設杆17に吊下部材18を介して着脱自在に吊設され、幅方向(左右方向)両側に設けられる係止機構19により両側面部8,9に固定されるように構成されている。
【0034】
また、係止機構19は、先端部がフック状に形成された係止部材19aを備え、この係止部材19aの先端部が左側面部8,右側面部9の前側縦フレームに係止することで、前面部7を左側面部8及び右側面部9に固定する構成となっている。
【0035】
具体的には、図3に示すように、係止機構19は、上述した係止部材19aと、この係止部材19aの移動をガイドするガイド部19bとからなり、ガイド部19bは、外方に向かって上がり傾斜状態に設けられ、係止部材19aを上方へ移動操作することで、この係止部材19aが上方に移動すると共に外方に向かって移動しフック状の先端部が各側面部8,9から離脱してロック解除状態となり、係止部材19aを下方へ移動操作することで、この係止部材19aが下方に移動すると共に内方に向かって移動しフック状の先端部が各側面部8,9に係止しロック状態となるように構成されている。なお、ロック状態にする際の係止部材19aの下方移動操作は、係止部材19aの自重により自動的に下方移動させることも可能である。
【0036】
なお、係止機構19は、上記に限定されるのでは無く、本実施例の上記係止機構19と同等の作用効果を奏するものであれば、適宜採用可能である。
【0037】
また、本実施例の囲い部6は、右側面部9が折り畳み可能に構成されている。
【0038】
具体的には、右側面部9は、正面側に設けられる第1右側面部9aと、背面側に設けられる第2右側面部9bとからなり、右側面部9は二分され、後面部10側に位置する第2右側面部9bは、幅が右側の脚部2の幅と同幅に設定され、後面部10に連結されており、また、前面部7側に位置する第1右側面部9aは、右側の脚部2の所定部位と連結されると共に、第2右側面部9bと擺動可能に連結されており、本実施例においては、第1右側面部9aは、枢着連結部20を介して第2右側面部9bに回動自在に設けられた構成となっている。なお、本実施例は、上述のとおり、右側面部9が折り畳み可能に構成されているが、左側面部8を上記のように構成しても良い。
【0039】
また、運搬物収容部1の底部に設けられる脚部2は、図1,2に示すように、運搬物収容部1(囲い部6)の前面部7から後面部10に亘って延設される前後の脚部2が一体となっている形状に形成され、運搬物収容部1の左右両側に設けられている。
【0040】
具体的には、各脚部2は、方形枠状体に形成され、左側脚部2は、囲い部6の左側面部8と一体的に設けられ(固定され)、また、右側脚部2は、右側面部9を構成する第1右側面部9aと一体的に設けられ、この第1右側面部9aと共に折り畳み回動可能に構成されている。
【0041】
また、各脚部2の前端部及び後端部には、夫々、車輪取付部21が設けられており、この車輪取付部21を介して車輪3が脚部2に設けられている。
【0042】
具体的には、図4に示すように、各車輪取付部21は、ヒンジ部材22を介して脚部2に回動自在に設けられており、車輪3は、この車輪取付部21の回動動作により脚部2内に収納可能に構成されている。
【0043】
また、図5に示すように、脚部2の前端部に設けられた前側車輪取付部21と、後端部に設けられた後側車輪取付部21とは連結部材4により連結され一体化されており、本実施例は、この連結部材4を操作ハンドルとして操作することで前側車輪取付部21と後側車輪取付部21とを同時に回動操作することができ、この前側車輪取付部21に設けられた前側車輪3と後側車輪取付部21に設けられた後側車輪3との2つの車輪3を1回の回動操作で同時に脚部2内に収納することができるように構成されている。
【0044】
なお、本実施例では、上記のように連結部材4を車輪収納時の操作ハンドルとしているが、例えば、連結部材4とは別の操作ハンドルを設けても良く、また、操作ハンドルを設けず自動的に収納される構成としても良い。
【0045】
また、車輪取付部21は、保持手段により回動操作が不能となり、車輪使用位置状態、車輪収納位置状態が保持されるように構成され、車輪3は、この車輪取付部21の状態保持により、使用状態、収納状態が保持されるように構成されている。
【0046】
具体的には、保持手段は、図5に示すように、車輪取付部21の車輪使用位置状態を保持する第一保持手段23aと、車輪収納位置状態を保持する第二保持手段23bとからなり、第一保持手段23a及び第二保持手段23bとしてスライドキーが用いられ、図示するように、車輪3が走行可能な状態にある場合、第一保持手段23aとしてのスライドキーが連結部材4に設けられたキー受け部24aに嵌合することにより、連結部材4の回動操作が不能となり、車輪取付部21の車輪使用位置状態が保持されて車輪3の使用状態(走行可能な状態)が保持され、また、車輪3が脚部2内に収納状態にある場合、第二保持手段23bとしてのスライドキーが車輪取付部21に設けられたキー受け部24bに嵌合することにより、連結部材4の回動操作が不能となり、車輪取付部21の車輪収納位置状態が保持され、車輪3の収納状態が保持される構成となっている。
【0047】
なお、保持手段は上記スライドキーに限定されるものではなく、車輪取付部21の使用状態、収納状態を保持する作用効果を奏するものであれば、適宜採用可能である。
【0048】
また、本実施例では、上記のように車輪取付部21の車輪使用位置状態を保持する保持手段23と車輪収納位置状態を保持する保持手段23とを、夫々、別々に備える構成としたが、例えば、一つの保持手段で車輪取付部21の車輪使用位置状態と車輪収納位置状態とを保持するように構成しても良い。
【0049】
また、本実施例の脚部2は、車輪3が収納される車輪収納部11の上方に、フォークリフト15のフォーク15aを挿入するフォーク挿入部12が設けられており、このフォーク挿入部12は、図1に示すように、脚部2の上段部に方形状に開口形成されている。これにより、図7に示すように、フォークリフト15を用いて本実施例の運搬台車13を昇降移動させる場合、フォークリフト15のフォーク15aの挿入位置が容易に確認でき、このフォーク挿入部12にフォーク15aを挿入することで安定的に運搬台車13を支持することができ安全に安心して昇降移動させることができるように構成されている。
【0050】
なお、本実施例は上述のように脚部2にフォーク挿入部12を備える構成となっているが、図13に示すように、左右の脚部2の間にフォーク挿入部12を設ける構成としても良い。その場合、図示するように、荷台部5を補強部材25で補強することが好ましい。
【0051】
また、本実施例のフォーク挿入部12は、横転防止機構を備えており、この横転防止機構は、フォークリフト15に支持された状態で傾いた場合、フォーク挿入部12の下側枠部(車輪収納部11との境界部材)がフォーク15aと当接し、それ以上の傾倒を抑制し、転倒を防止するように構成されている。
【0052】
図14は本実施例の横転防止機構が作用した状態を示しており、この図に示すように、本実施例においては、4°の傾倒でフォーク挿入部12の下側枠部12aがフォーク15aと当接し、4°以上の傾倒状態となることを防止するように構成されている。
【0053】
また、本実施例は、上述のとおり、荷台部5と右側面部9及び右側の脚部2が折り畳み可能に設けられ、この折り畳み操作により、不使用時はコンパクトな収納形態に変形させることができるように構成されている。以下に、本実施例の折り畳み手順及び収納形態について説明する。
【0054】
まず、囲い部6の前面部7の係止機構19を解除操作し、図8に示すように、前面部7を取り外し、取り外した前面部7を左側面部8に吊設収納する。
【0055】
次に、荷台部5の係止部材による囲い部6との固定状態を解除し、図9に示すように、荷台部5を折り畳み回動操作により囲い部6の後面部10側に折り畳む。
【0056】
最後に、図10に示すように、枢着連結部20を起点にして、右側面部9の第1右側面部9a及び右側脚部2を内側に折り畳む。
【0057】
上記のように折り畳み操作することで、本実施例の運搬台車13は平面視L字状のコンパクトな収納形態となり、図11に示すように、複数の運搬台車13をネスティング状態で収納でき、収納スペースを小さくすることができる。
【0058】
以上のように構成される本実施例の作用効果について、以下に説明する。
【0059】
本実施例は、運搬物収容部1の底部に脚部2を設け、この脚部2に走行用の車輪3を収納自在に設けたから、自走移動しない場合、車輪3を脚部2内に収納することで、接地面への接地を車輪3から脚部2にすることができ、これにより、車輪3に比べて接地面積が大きくなり、車輪接地時に生じる接地面への点荷重の問題が解消される。
【0060】
しかも、本実施例は、脚部2が運搬物収容部1(囲い部6)の前面部7から後面部10に亘って延設され前後の脚部2が一体的に形成されているから、脚部2の接地面積がより大きくなり、より安定的な接地状態となり、容易に且つ安定的に接地面に載置固定することができるものとなる。
【0061】
また、本実施例は、車輪3が設けられる車輪取付部21を、連結部材4を用いて前後一体化したから、連結部材4を操作ハンドルとして操作することで前側車輪3と後側車輪3とを同時に操作することができる。
【0062】
また、本実施例は、脚部2に容易に視認可能なフォーク挿入部12を設けたから、フォークリフト15のフォーク15aを挿入する操作が容易となり作業性が向上すると共に、フォーク15a挿入時、適正な位置にフォーク15aが挿入されるから、運搬台車13に不要な負荷を掛けずに安定的に支持して昇降移動させることができる。
【0063】
しかも、本実施例は、このフォーク挿入部12に転倒防止機構が備えられているから、この転倒防止機構により万が一、傾いた場合でも、その傾きが4°以下に抑えられ、よって、転倒の可能性が可及的に低減されるので、安全に安心して運搬することができる。
【0064】
また、上述のように、本実施例は、車輪3を脚部2内に収納することで、接地面に対して安定した状態で接地できるから、従来の運搬台車では難しいとされた輸送用パレット14への載置が可能となり、別コンテナへの積み替えを不要とする新しい輸送システム(航空輸送システム)の構築が可能となる。
【0065】
すなわち、従来の運搬台車を用いた航空輸送では、運搬物を運搬台車に積載し、この運搬台車のキャスターによる自走移動でトラック等の輸送手段まで移動し、前記輸送手段に運搬台車を載せ、運搬台車ごと空港へ輸送し、空港にて別の収納体(例えばコンテナ)への積み替えを行い、このコンテナを輸送用パレットに積載して目的地がある空港まで空輸し、この空港にて再びコンテナから運搬台車に積み替えを行い、前記輸送手段にて目的地まで輸送するといった具合に、途中で積み替え作業を要するものであったが、本実施例の運搬台車13と、この運搬台車13を載置する(航空)輸送用パレット14と、運搬台車13を昇降させる運搬台車昇降手段15(例えばフォークリフト15)と、パレット移動手段26とを備える輸送システムは、図12に示すように、運搬台車13を輸送用パレット14に積載し、この輸送用パレット14をパレット移動手段26で航空機まで移動させ、輸送用パレット14に積載した状態で運搬台車13を空輸することが可能なため、運搬物を目的地まで積み替えることなく輸送する輸送システムとなる。
【0066】
また、空の運搬台車13を輸送する場合、L字状に折り畳んでネスティング状態にすることで、小スペースで輸送することができ、効率的に輸送することができる画期的な輸送システムとなる。
【0067】
なお、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0068】
1 運搬物収納部
2 脚部
3 車輪
4 連結部材
5 荷台部
6 囲い部
7 前面部
8 左側面部
9 右側面部
9a 第1右側面部
9b 第2右側面部
10 後面部
11 車輪収納部
12 フォーク挿入部
13 運搬台車
14 輸送用パレット
15 フォークリフト,運搬台車昇降手段
15a フォーク
26 パレット移動手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14