IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 宗教法人高蔵寺の特許一覧

<>
  • 特開-永代供養墓及び永代供養墓建立方法 図1
  • 特開-永代供養墓及び永代供養墓建立方法 図2
  • 特開-永代供養墓及び永代供養墓建立方法 図3
  • 特開-永代供養墓及び永代供養墓建立方法 図4
  • 特開-永代供養墓及び永代供養墓建立方法 図5
  • 特開-永代供養墓及び永代供養墓建立方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079248
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】永代供養墓及び永代供養墓建立方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/01 20060101AFI20230601BHJP
   E02D 27/32 20060101ALI20230601BHJP
   E04H 13/00 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
E02D27/01 102Z
E02D27/32 Z
E04H13/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192617
(22)【出願日】2021-11-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】521520658
【氏名又は名称】宗教法人高蔵寺
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 照典
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046BA31
2D046DA00
(57)【要約】
【課題】盛土及び供養塔を十分な強度で支持できる基礎を備えた永代供養墓地を提供する。
【解決手段】永代供養墓1は、それぞれの墓碑銘を外方に向けて多角形状に配列された複数の納骨室により多角形状を呈する納骨室群と、納骨室群の内側に設けられた盛土と、該盛土の中央部に配置された供養塔と、鉄筋コンクリート製の基礎とを備える。基礎は、地盤上に設けられた第1基礎と、第1基礎の上に設けられ、前記多角形状と同様の多角形状を有し、納骨室群及び盛土を支持する第2基礎とを備える。前記多角形状は、相互に平行で対向する辺の対を3対以上有し、第2基礎は、各辺の対の両辺に対応する位置の間に渡された複数の辺間鉄筋を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形状の各辺に沿って複数の納骨室がそれぞれの墓碑銘を外方に向けて配列されて該多角形状を呈する納骨室群と、該納骨室群の内側に設けられた盛土と、該盛土の中央部に配置された供養塔と、鉄筋コンクリート製の基礎とを備える永代供養墓であって、
前記基礎は、
地盤の上に設けられた第1基礎と、
前記第1基礎の上に設けられ、前記多角形状と同様の多角形状を有し、前記納骨室群及び前記盛土を支持する第2基礎とを備え、
前記多角形状は、相互に平行で対向する辺の対を3対以上有し、
前記第2基礎は、各辺の対の両辺に対応する位置の間に渡された複数の辺間鉄筋を備えることを特徴とする永代供養墓。
【請求項2】
前記第2基礎は、前記多角形状における相互に反対側の角部に対応する位置の間に渡された角間鉄筋を備えることを特徴とする請求項1に記載の永代供養墓。
【請求項3】
前記第1基礎は、該第2基礎よりも面積が大きく、該第2基礎の外側における該第1基礎の上面に、各納骨室の墓碑銘に対峙する敷石が配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の永代供養墓。
【請求項4】
各納骨室の底面から前記地盤に至る貫通孔が、前記第1基礎及び前記第2基礎を貫通して設けられ、該貫通孔には土壌が充填されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の永代供養墓。
【請求項5】
各納骨室の上面は拝石により閉塞され、各納骨室の前面は前記墓碑銘を有する蓋石で閉塞され、各納骨室の該蓋石は、該納骨室の該拝石を開いたときのみに取り外すことができるように構成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の永代供養墓。
【請求項6】
前記納骨室は、上部に前記拝石を受ける受石を備え、該拝石及び該受石は、前記閉塞時に少なくとも相互に接触する部分が鏡面仕上げとなっており、該受石における該拝石と接する部分には、水の侵入を防止する溝及び該溝に設置されたOリングが設けられることを特徴とする請求項5に記載の永代供養墓。
【請求項7】
基礎杭を地盤に打ち込む杭打工程と、
前記基礎杭により支持された鉄筋コンクリートの第1基礎を設ける第1基礎工程と、
前記第1基礎の上に、相互に平行で対向する3以上の辺の対を有する多角形状の第2基礎を設ける第2基礎工程と、
前記第2基礎の上に、前記多角形状の各辺の内側に沿って複数の納骨室をそれぞれの墓碑銘を外方に向けて配列した納骨室群を設置する納骨室設置工程と、
前記納骨室群の内側に盛土を形成する盛土形成工程と、
前記盛土の中心部に供養塔を設置する供養塔設置工程とを備え、
前記第2基礎工程は、
前記多角形状の各辺の対の両辺に対応する位置の間に渡される複数の辺間鉄筋を配筋する辺間配筋工程と、
前記辺間鉄筋を有する前記第2基礎が形成されるようにコンクリートを打設する第2基礎打設工程とを備えることを特徴とする永代供養墓建立方法。
【請求項8】
前記第2基礎工程は、前記第2基礎打設工程に先立ち、前記多角形状における相互に反対側の角部に対応する位置の間に渡されて前記第2基礎に含まれる角間鉄筋を配筋する角間鉄筋配筋工程を備えることを特徴とする請求項7に記載の永代供養墓建立方法。
【請求項9】
前記第2基礎工程は、前記第2基礎打設工程に先立ち、
各納骨室の底面から前記地盤に至る貫通孔を形成するための上側筒状部材を、前記第1基礎の上に配置する上側筒状部材配置工程と、
各上側筒状部材の底部を通る排水用の管路を前記第1基礎の上に配置する配管工程とを備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の永代供養墓建立方法。
【請求項10】
前記第1基礎工程は、
前記貫通孔における前記第1基礎に係る貫通孔部分を形成するための下側筒状部材を前記地盤上に配置する下側筒状部材配置工程と、
前記第1基礎に係る鉄筋を碁盤目状に配筋する碁盤目状配筋工程と、
前記第1基礎を形成するためのコンクリートを打設する第1基礎打設工程とを備えることを特徴とする請求項9に記載の永代供養墓建立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永代供養墓及び永代供養墓建立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中央部に供養塔を有し、その周囲に複数の納骨室(カロート)を配置した永代供養墓が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の永代供養墓では、各納骨室が側壁を介して隣接し、各納骨室の上面を覆う蓋が供養塔の周囲に碁盤目状を呈している。各納骨室の蓋の上面には、故人の俗名や、年齢、没年月日などが刻印される。供養塔の下には、合祀用の共同納骨室が設けられる。
【0003】
一方、永代供養墓として、正8角形状の各辺に沿って複数の納骨室を、それぞれの墓碑銘を外方に向けて配列して正8角形状を呈する納骨室群と、該納骨室群の内側に中央部ほど高くなるように設けられた盛土と、該盛土の中央部に配置された供養塔とを備えた永代供養墓も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-235697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の永代供養墓によれば、各納骨室の上面を覆う蓋が供養塔の周囲に碁盤目状をなして平面的に配置されているので、各納骨室に対して個別に参拝したい場合においては、不都合を生じるおそれがある。
【0006】
一方、上述の各納骨室を正8角形状の各辺に沿って各墓碑銘を外方に向けて配列した永代供養墓は、各納骨室に対して個別に参拝するのに何ら不都合はないが、中央部に盛土及び供養塔を有するので、立派な供養塔を設置するためには、盛土及び供養塔を支障なく支持するための強度を有する基礎が必要となる。
【0007】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、盛土及び供養塔を十分な強度で支持できる基礎を備えた永代供養墓地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の永代供養墓は、
多角形状の各辺に沿って複数の納骨室がそれぞれの墓碑銘を外方に向けて配列されて該多角形状を呈する納骨室群と、該納骨室群の内側に設けられた盛土と、該盛土の中央部に配置された供養塔と、鉄筋コンクリート製の基礎とを備える永代供養墓であって、
前記基礎は、
地盤上に設けられた第1基礎と、
前記第1基礎の上に設けられ、前記多角形状と同様の多角形状を有し、前記納骨室群及び前記盛土を支持する第2基礎とを備え、
前記多角形状は、相互に平行で対向する辺の対を3対以上有し、
前記第2基礎は、各辺の対の両辺に対応する位置の間に渡された複数の辺間鉄筋を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第2基礎は、上述の辺間鉄筋を有するので、第2基礎の周辺部よりも中央部に近づくほど、鉄筋の密度が増大する。このため、第2基礎は、盛土及び供養塔を十分な強度で確実に支持することができる。
【0010】
本発明において、前記第2基礎は、前記多角形状における相互に反対側の角部に対応する位置の間に渡された角間鉄筋を備えてもよい。これによれば、第2基礎の中央部の鉄筋密度がさらに増大する。これにより、第2基礎は、盛土及び供養塔をさらに十分な強度で確実に支持することができる。
【0011】
本発明において、前記第1基礎は、該第2基礎よりも面積が大きく、該第2基礎の外側における該第1基礎の上面に、各納骨室の墓碑銘に対峙する敷石が配置されてもよい。これによれば、所望の墓碑銘に対峙する敷石を踏みしめて参拝を行うことができる。
【0012】
本発明において、各納骨室の底面から前記地盤に至る貫通孔が、前記第1基礎及び前記第2基礎を貫通して設けられ、該貫通孔には土壌が充填されてもよい。これによれば、各納骨室に対応する遺族は、該納骨室に安置されている遺骨が大地に戻るという安らぎを得ることができる。
【0013】
本発明において、各納骨室の上面は拝石により閉塞され、各納骨室の前面は前記墓碑銘を有する蓋石で閉塞され、各納骨室の該蓋石は、該納骨室の該拝石を開いたときのみに取り外すことができるように構成されてもよい。
【0014】
これによれば、拝石を人の力では容易には開けないような重さの石板で構成することにより、納骨室の保安と確保するとともに、遺骨の確認や追加にも対応することができる。
【0015】
この場合、前記納骨室は、上部に前記拝石を受ける受石を備え、該拝石及び該受石は、前記閉塞時に少なくとも相互に接触する部分が鏡面仕上げとなっており、該受石における該拝石と接する部分には、水の侵入を防止する溝及び該溝に設置されたOリングが設けられてもよい。これによれば、拝石で閉塞された納骨室内への雨水などの侵入防止と、拝石を開く際の拝石持上げの容易化を図ることができる。
【0016】
本発明の永代供養墓建立方法は、
基礎杭を地盤に打ち込む杭打工程と、
前記基礎杭により支持された鉄筋コンクリートの第1基礎を設ける第1基礎工程と、
前記第1基礎の上に、相互に平行で対向する3以上の辺の対を有する多角形状の第2基礎を設ける第2基礎工程と、
前記第2基礎の上に、前記多角形状の各辺の内側に沿って複数の納骨室をそれぞれの墓碑銘を外方に向けて配列した納骨室群を設置する納骨室設置工程と、
前記納骨室群の内側に盛土を形成する盛土形成工程と、
前記盛土の中心部に供養塔を設置する供養塔設置工程とを備え、
前記第2基礎工程は、
前記多角形状の各辺の対の両辺に対応する位置の間に渡される複数の辺間鉄筋を配筋する辺間配筋工程と、
前記辺間鉄筋を有する前記第2基礎が形成されるようにコンクリートを打設する第2基礎打設工程とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、第2基礎に、上述の辺間鉄筋を配筋できるので、第2基礎の周辺部よりも中央部に近づくほど、鉄筋の密度を増大させ、盛土及び供養塔を十分な強度で確実に支持することができる第2基礎を形成することができる。
【0018】
この場合、第2基礎工程は、前記第2基礎打設工程に先立ち、前記多角形状における相互に反対側の角部に対応する位置の間に渡されて前記第2基礎に含まれる角間鉄筋を配筋する角間鉄筋配筋工程を備えてもよい。
【0019】
これによれば、第2基礎に、さらに角間鉄筋をを配筋できるので、第2基礎の中央部における鉄筋の密度をさらに増大させ、盛土及び供養塔をさらに十分な強度で確実に支持することができる第2基礎を形成することができる。
【0020】
また、第2基礎工程は、前記第2基礎打設工程に先立ち、
各納骨室の底面から前記地盤に至る貫通孔を形成するための上側筒状部材を、前記第1基礎の上に配置する上側筒状部材配置工程と、
各上側筒状部材の底部を通る排水用の管路を前記第1基礎の上に配置する配管工程とを備えてもよい。
【0021】
これによれば、第2基礎に、上述の上側筒状部材により貫通孔の一部を形成するとともに、上側筒状部材の底部に流入する雨水などを排水するための管路を組み込むことができる。
【0022】
また、前記第1基礎工程は、
前記貫通孔における前記第1基礎に係る貫通孔部分を形成するための下側筒状部材を前記地盤上に配置する下側筒状部材配置工程と、
前記第1基礎に係る鉄筋を碁盤目状に配筋する碁盤目状配筋工程と、
前記第1基礎を形成するためのコンクリートを打設する第1基礎打設工程とを備えてもよい。
【0023】
これによれば、第2基礎を支持する第1基礎を構築し、第2基礎による納骨室群、盛土、及び供養塔の支持を、より確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る永代供養墓の斜視図である。
図2図1の永代供養墓の第1基礎の配筋などの構成を示す配筋構成図である。
図3図1の永代供養墓の第2基礎の配筋などの構成を示す配筋構成図である。
図4図1の永代供養墓の建立方法を示すフローチャートである。
図5図4のフローチャートにおける第1基礎工程を示すフローチャートである。
図6図4のフローチャートにおける第2基礎工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る永代供養墓を示す。同図に示すように、この永代供養墓1は、正8角形の各辺に沿って複数の納骨室2を、それぞれの墓碑銘を外方に向けて配列して正8角形状を呈する納骨室群3と、納骨室群3の内側に中央部ほど高くなるように設けられた盛土4と、盛土4の中央部に配置された供養塔5と、前記正8角形状と同様の8角形状を有する鉄筋コンクリート製の基礎6とを備え、基礎6の上に建立される。
【0026】
基礎6は、地盤に打ち込まれた基礎杭により支持される第1基礎7とその上の第2基礎8とを備える。基礎6における外部に面する表面や側面は、板状の石で覆われる。第2基礎8は、上述の正8角形状を呈しており、第2基礎8の上に納骨室群3及び盛土4が構築される。
【0027】
第1基礎7は、第2基礎8の中心から外方に向けて正8角形状を拡大したような形状を有する。第1基礎7における第2基礎8の外側に、各納骨室2の墓碑銘に対峙する敷石9が配置される。したがって、参拝者は、敷石9上で、所望の納骨室2の墓碑銘に対峙し、参拝することができる。
【0028】
納骨室群3は、板状の石や柱状の石で構成される。正8角形状の納骨室群3における一辺の外側には、香炉10及び花立11が設けられる。各納骨室2は、2人分の骨壺を上下に収納できるスペースを有する。納骨室群3の一部、例えば香炉10及び花立11に対峙する部分は、より多くの骨壺を収納できる大納骨室12として利用できるようにしてもよい。
【0029】
第1基礎7の8角形状における香炉10及び花立11に対峙する辺は、他の同一長さを有する7辺よりも短い。すなわち、第1基礎7の香炉10及び花立11が配置される部分の上面は、香炉10及び花立11が存在する分だけ、外方に延出している。これにより、参拝者が、香炉10及び花立11に対峙して参拝する十分な参拝スペース13が確保されている。参拝スペース13の外側には、参拝者が参拝スペース13に昇段し易いように昇段ステップ14が設けられる。
【0030】
各納骨室2の上面は、拝石15により閉塞される。各納骨室2の前面は、墓碑銘が刻印された蓋石16で閉塞される。拝石15は、かなり重く、人の力のみによっては開かないが、例えば、吸盤付きの重機などで、上面を吸着しつつ持ち上げて開くことができるように構成される。
【0031】
納骨室2及び蓋石16は、納骨室2の拝石15を持ち上げて納骨室2を開いたときに、蓋石16が納骨室2に対して取外し及び取付けができるように構成される。納骨室2は、この取外し及び取付けが容易に行えるように、蓋石16を保持する枠部を有する。この枠部には、蓋石16を、その端縁を挿入して、保持、若干のスライド、又は若干の回動を行うことが可能となるように該端縁と協働する溝が設けられる。
【0032】
これにより、拝石15を開いて取り外した後、例えば、蓋石16を両手で内側と外側から挟み、水平方向の一方向側に若干スライドさせ、蓋石16の該一方向側の端縁を中心として他方向側を外側にやや回動させ、そして該他方向に沿って蓋石16を引き抜くことにより取り外すことが可能とされる。
【0033】
納骨室2は、上部に納骨室2を閉塞する拝石15を受ける受石を備える。拝石15とこの受石は、閉塞時に少なくとも相互に接触する部分が、鏡面仕上げとなっている。この受石における拝石15と接する部分の中央線に沿って幅10mm、深さ5mm程度の溝が形成されており、この溝にOリングが設置される。これにより、拝石15で閉塞された納骨室2内への雨水などの侵入防止と、拝石15を開く際の拝石15持上げの容易化が図られる。
【0034】
各納骨室2の底面から地盤に至る貫通孔が、基礎6を貫通して設けられ、該貫通孔には土壌が充填される。
【0035】
供養塔5は、盛土4の中心部に配置された芝台(下台)23及びその上の中大24によって支持される。芝台23及び中大24は、基礎6を構成する後述の鉄筋と連結された鉄筋コンクリート造りとなっている。これにより、供養塔5は芝台23及び中大24によって確実に支持されるので、供養塔5の転倒防止が図られる。
【0036】
盛土4の下には、砂利が適量敷設される。これにより、排水性の向上や、地震などによる横揺れ・縦揺れの吸収などが図られ、永代供養墓1の長期安定性が維持される。
【0037】
盛土4は、赤土で形成される。盛土4の表面には芝が敷き詰められる。これにより、盛土4の表面における雑草育成の阻害が図られる。
【0038】
図2は、第1基礎7の構成を示す。同図に示すように、第1基礎7は、地盤に打ち込まれた複数の基礎杭17により支持される。第1基礎7は、碁盤目状に配筋された鉄筋25を有する。第1基礎7には、各納骨室2の底面から地盤に至る上述の貫通孔のうちの第1基礎7に存在する部分を形成する下側筒状部材18が組み込まれる。
【0039】
図3は、第2基礎8の構成を示す。同図に示すように、第2基礎8の正8角形状は、相互に平行で対向する4つの辺の対を有する。第2基礎8は、各辺の対における両辺に対応する位置の間に渡された複数の辺間鉄筋19を備える。また、第2基礎8は、その正8角形状の相互に反対側の角部に対応する位置の間に渡された角間鉄筋20を備える。
【0040】
辺間鉄筋19及び角間鉄筋20は、第2基礎8の周辺部よりも中央部に近づくほど、鉄筋の密度を増大させる。これにより、第2基礎8は、盛土4及び供養塔5を確実に支持している。
【0041】
第2基礎8の正8角形状の各辺の内側に沿って、各納骨室2の底面から地盤に至る上記貫通孔のうちの第2基礎8に存在する部分を形成する上側筒状部材21が組み込まれる。ただし、大納骨室12に対応する部分の上側筒状部材21としては、大納骨室12の底面の大きさに断面形状が適合した四角筒状の形態を有する上側筒状部材21bが採用される。第2基礎8には、上側筒状部材21、21bの底部を通る排水用の管路22が組み込まれる。
【0042】
図4は永代供養墓1の建立方法を示す。同図に示すように、この建立方法は、基礎杭17を地盤に打ち込む杭打工程S1と、第1基礎7を設ける第1基礎工程S2と、第1基礎7の上に第2基礎8を設ける第2基礎工程S3と、第2基礎8の上に納骨室群3を設置する納骨室設置工程S4と、納骨室群3の内側に盛土4を形成する盛土形成工程S5と、盛土4の中心部に供養塔5を設置する供養塔設置工程S6とを備える。
【0043】
杭打工程S1では、第1基礎7の下の地盤に対し、第1基礎7の面積に対してほぼ均等となるように、図2に示す位置に、基礎杭17が打ち込まれる。
【0044】
第1基礎工程S2では、第1基礎7が、基礎杭17により支持された鉄筋コンクリートによる8角形状のものとして設けられる。すなわち、第1基礎工程S2は、図5に示すように、各納骨室2の底面から地盤に至る上述の貫通孔における第1基礎7に係る貫通孔部分を形成するための下側筒状部材18を地盤上に配置する下側筒状部材配置工程S21と、第1基礎7に係る鉄筋を碁盤目状に配筋する碁盤目状配筋工程S22と、第1基礎7を形成するためのコンクリートを打設する第1基礎打設工程S23とを備える。
【0045】
第2基礎工程S3では、第1基礎7の上に、正8角形状の第2基礎8が設けられる。すなわち、第2基礎工程S3は、図6に示すように、該正8角形状の各辺の対における両辺の間に渡される複数の辺間鉄筋19を配筋する辺間配筋工程S31と、該正8角形状における相互に反対側の角部の間に渡される角間鉄筋20を配筋する角間配筋工程S32と、各納骨室2の底面から地盤に至る貫通孔を形成するための上側筒状部材21を第1基礎7の上に配置する上側筒状部材配置工程S33と、各上側筒状部材21の底部を接続する排水用の管路22を前記第1基礎7の上に配置する配管工程S34と、辺間鉄筋19及び角間鉄筋20を含み、かる管路22が第1基礎に組み込まれるようにコンクリートを打設する第2基礎打設工程S35とを備える。
【0046】
納骨室設置工程S4における納骨室群3の設置は、納骨室群3を構成する複数の納骨室2が、第2基礎8の正8角形状の各辺の内側に沿って、それぞれの墓碑銘が外方に向けて配列されるように行われる。
【0047】
盛土形成工程S5における盛土4の形成に際しては、納骨室群3の内側の中央部が高くなった墳丘状の盛土4が形成される。供養塔設置工程S6における供養塔5の設置に際しては、例えば、図1に示すように、盛土4の中心部に芝台(下台)23及び中大24が配置され、その上に供養塔5としての五輪塔が設置される。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、第2基礎8は、上述の辺間鉄筋19を有するので、第2基礎8の周辺部よりも中央部に近づくほど、鉄筋の密度が増大する。このため、盛土4及び供養塔5を確実に支持することができる。また、第2基礎8は、角間鉄筋20を備えるので、さらに基礎6の中央部の鉄筋密度が増大する。これにより、盛土4及び供養塔5をさらに十分な強度で確実に支持することができる。
【0049】
また、基礎6は、第1基礎7と、その上の第2基礎8とを備え、第2基礎8が辺間鉄筋19及び角間鉄筋20を備えるので、盛土4及び供養塔5を、第2基礎8により、直接的かつ強固に支持することができる。また、第1基礎7は、第2基礎8の外側に、各納骨室2の墓碑銘に対峙する敷石9が配置されるので、敷石9の上から所望の墓碑銘に対峙して参拝を行うことができる。
【0050】
また、各納骨室2の底面から地盤に至る貫通孔が設けられ、貫通孔には土壌が充填されるので、遺族は、納骨室2内に安置された遺骨が大地に戻るという安らぎを得ることができる。
【0051】
また、各納骨室2の蓋石16を、該納骨室2の拝石15を開いたときのみに取り外すことができるので、拝石15を人の力では容易には開けないような重さの石板で構成することにより、納骨室2の保安と確保するとともに、遺骨の確認や追加にも対応することができる。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、納骨室群3が呈する8角形状は、6角形状や10角形などの他の多角形状であってもよい。また、この多角形状は、の対向する辺が平行であれば、隣接する辺の長さが異なる多角形状であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…永代供養墓、2…納骨室、3…納骨室群、4…盛土、5…供養塔、6…基礎、7…第1基礎、8…第2基礎、9…敷石、10…香炉、11…花立、12…大納骨室、13…参拝スペース、14…昇段ステップ、15…拝石、16…蓋石、17…基礎杭、18…下側筒状部材、19…辺間鉄筋、20…角間鉄筋、21、21b…上側筒状部材、22…管路、23…芝台、24…中大、25…鉄筋。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-04-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形状の各辺に沿って複数の納骨室がそれぞれの墓碑銘を外方に向けて配列されて該多角形状を呈する納骨室群と、該納骨室群の内側に設けられた盛土と、該盛土の中央部に配置された供養塔と、鉄筋コンクリート製の基礎とを備える永代供養墓であって、
前記基礎は、
地盤の上に設けられた第1基礎と、
前記第1基礎の上に設けられ、前記多角形状と同様の多角形状を有し、前記納骨室群及び前記盛土を支持する第2基礎とを備え、
前記多角形状は、相互に平行で対向する辺の対を3対以上有し、
前記第2基礎は、前記各辺の対の両辺に対応する位置の間に渡された複数の辺間鉄筋と、前記多角形状における各相互に反対側の角部に対応する位置の間に渡された角間鉄筋とを備え、
各納骨室の上面は、拝石により閉塞され、かつ該拝石を持ち上げて開放できるように構成され、
前記拝石は、人の力のみでは持ち上げられない重量を有し、かつ重機に設けた吸盤で上面を吸着しつつ該重機で持ち上げることができる鏡面仕上げのものであり、
各納骨室は、前記閉塞時に前記拝石を受ける受石を備え、該拝石と該受石の少なくとも相互に接触する部分が鏡面仕上げとなっており、該受石における該拝石と接する部分には、水の侵入を防止する溝及び該溝に設置されたOリングが設けられ、
各納骨室は、さらに、前記墓碑銘を有して該納骨室の前面を閉塞する蓋石と、該蓋石の端縁を保持する溝を有する枠部とを備え、該溝は、該納骨室の上面が開放された場合に、該蓋石について、内側と外側から挟んだ両手による水平方向の一方向側への若干のスライド、該スライド後の該一方向側の端縁を中心とする外側への若干の回動、及び該回動後の該一方向側への引き抜きを許容するように構成されることを特徴とする永代供養墓。
【請求項2】
前記第1基礎は、該第2基礎よりも面積が大きく、該第2基礎の外側における該第1基礎の上面に、各納骨室の墓碑銘に対峙する敷石が配置されることを特徴とする請求項に記載の永代供養墓。
【請求項3】
各納骨室の底面から前記地盤に至る貫通孔が、前記第1基礎及び前記第2基礎を貫通して設けられ、該貫通孔には土壌が充填されることを特徴とする請求項1又は2に記載の永代供養墓。
【請求項4】
基礎杭を地盤に打ち込む杭打工程と、
前記基礎杭により支持された鉄筋コンクリートの第1基礎を設ける第1基礎工程と、
前記第1基礎の上に、相互に平行で対向する3以上の辺の対を有する多角形状の第2基礎を設ける第2基礎工程と、
前記第2基礎の上に、前記多角形状の各辺の内側に沿って複数の請求項1で規定される納骨室をそれぞれの墓碑銘を外方に向けて配列した納骨室群を設置する納骨室設置工程と、
前記納骨室群の内側に盛土を形成する盛土形成工程と、
前記盛土の中心部に供養塔を設置する供養塔設置工程とを備え、
前記第2基礎工程は、
前記多角形状の各辺の対の両辺に対応する位置の間に渡される複数の辺間鉄筋を配筋する辺間配筋工程と、
前記多角形状における各相互に反対側の角部に対応する位置の間に渡されて前記第2基礎に含まれる角間鉄筋を配筋する角間鉄筋配筋工程と、
前記辺間鉄筋及び前記角間鉄筋を有する前記第2基礎が形成されるようにコンクリートを打設する第2基礎打設工程とを備えることを特徴とする永代供養墓建立方法。
【請求項5】
前記第2基礎工程は、前記第2基礎打設工程に先立ち、
各納骨室の底面から前記地盤に至る貫通孔を形成するための上側筒状部材を、前記第1基礎の上に配置する上側筒状部材配置工程と、
各上側筒状部材の底部を通る排水用の管路を前記第1基礎の上に配置する配管工程とを備えることを特徴とする請求項に記載の永代供養墓建立方法。
【請求項6】
前記第1基礎工程は、
前記貫通孔における前記第1基礎に係る貫通孔部分を形成するための下側筒状部材を前記地盤上に配置する下側筒状部材配置工程と、
前記第1基礎に係る鉄筋を碁盤目状に配筋する碁盤目状配筋工程と、
前記第1基礎を形成するためのコンクリートを打設する第1基礎打設工程とを備えることを特徴とする請求項に記載の永代供養墓建立方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の永代供養墓は、
多角形状の各辺に沿って複数の納骨室がそれぞれの墓碑銘を外方に向けて配列されて該多角形状を呈する納骨室群と、該納骨室群の内側に設けられた盛土と、該盛土の中央部に配置された供養塔と、鉄筋コンクリート製の基礎とを備える永代供養墓であって、
前記基礎は、
地盤の上に設けられた第1基礎と、
前記第1基礎の上に設けられ、前記多角形状と同様の多角形状を有し、前記納骨室群及び前記盛土を支持する第2基礎とを備え、
前記多角形状は、相互に平行で対向する辺の対を3対以上有し、
前記第2基礎は、前記各辺の対の両辺に対応する位置の間に渡された複数の辺間鉄筋と、前記多角形状における各相互に反対側の角部に対応する位置の間に渡された角間鉄筋とを備え、
各納骨室の上面は、拝石により閉塞され、かつ該拝石を持ち上げて開放できるように構成され、
前記拝石は、人の力のみでは持ち上げられない重量を有し、かつ重機に設けた吸盤で上面を吸着しつつ該重機で持ち上げることができる鏡面仕上げのものであり、
各納骨室は、前記閉塞時に前記拝石を受ける受石を備え、該拝石と該受石の少なくとも相互に接触する部分が鏡面仕上げとなっており、該受石における該拝石と接する部分には、水の侵入を防止する溝及び該溝に設置されたOリングが設けられ、
各納骨室は、さらに、前記墓碑銘を有して該納骨室の前面を閉塞する蓋石と、該蓋石の端縁を保持する溝を有する枠部とを備え、該溝は、該納骨室の上面が開放された場合に、該蓋石について、内側と外側から挟んだ両手による水平方向の一方向側への若干のスライド、該スライド後の該一方向側の端縁を中心とする外側への若干の回動、及び該回動後の該一方向側への引き抜きを許容するように構成されることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、第2基礎は、角間鉄筋を有するので、第2基礎の中央部の鉄筋密度がさらに増大する。これにより、第2基礎は、盛土及び供養塔をさらに十分な強度で確実に支持することができる。
また、各納骨室の上面は、人の力では容易には開けないような重さの拝石により閉塞され、各納骨室の前面は墓碑銘を有する蓋石で閉塞され、該蓋石は、納骨室の拝石を重機で持ち上げて開いた場合に取り外すことができるので、納骨室の保安を確保するとともに、遺骨の確認や追加にも対応することができる。
また、納骨室は、拝石及び受石の相互に接触する部分が鏡面仕上げとなっており、該受石における拝石と接する部分には、水の侵入を防止する溝及び該溝に設置されたOリングが設けられるので、拝石で閉塞された納骨室内への雨水などの侵入防止と、拝石を開く際の拝石持上げの容易化を図ることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明の永代供養墓建立方法は、
基礎杭を地盤に打ち込む杭打工程と、
前記基礎杭により支持された鉄筋コンクリートの第1基礎を設ける第1基礎工程と、
前記第1基礎の上に、相互に平行で対向する3以上の辺の対を有する多角形状の第2基礎を設ける第2基礎工程と、
前記第2基礎の上に、前記多角形状の各辺の内側に沿って複数の請求項1で規定される納骨室をそれぞれの墓碑銘を外方に向けて配列した納骨室群を設置する納骨室設置工程と、
前記納骨室群の内側に盛土を形成する盛土形成工程と、
前記盛土の中心部に供養塔を設置する供養塔設置工程とを備え、
前記第2基礎工程は、
前記多角形状の各辺の対の両辺に対応する位置の間に渡される複数の辺間鉄筋を配筋する辺間配筋工程と、
前記多角形状における各相互に反対側の角部に対応する位置の間に渡されて前記第2基礎に含まれる角間鉄筋を配筋する角間鉄筋配筋工程と、
前記辺間鉄筋及び前記角間鉄筋を有する前記第2基礎が形成されるようにコンクリートを打設する第2基礎打設工程とを備えることを特徴とする永代供養墓建立方法。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
また、第2基礎に、さらに角間鉄筋を配筋するので、第2基礎の中央部における鉄筋の密度をさらに増大させ、盛土及び供養塔をさらに十分な強度で確実に支持することができる第2基礎を形成することができる。