(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079251
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】前面板、及び、見切り部材
(51)【国際特許分類】
A47B 97/00 20060101AFI20230601BHJP
A47K 1/00 20060101ALI20230601BHJP
A47B 67/02 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
A47B97/00 K
A47K1/00 R
A47B67/02 502Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192620
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝邉 哲成
(57)【要約】
【課題】配管を隠しつつ間口調整できる前面板を提供すること。
【解決手段】前面板10は、パネル部材11と、見切り部材30と、バネ部材40とを有する。パネル部材11は、洗面台本体5の上部におけるユーザーから見て遠い側に設置されている。見切り部材30は、パネル部材11の幅方向Xの端部に取り付けられている。バネ部材40は、見切り部材30におけるパネル部材11の反対側の面38上に配置されている。見切り部材30は、パネル部材11の端面11c上に位置する端面部31と、端面部31と繋がっており、パネル部材11の裏面11b上に位置する裏面部32とを有し、バネ部材40における少なくともパネル部材11の表面11d側の端部43は、端面部31との間に間隔W1を置いて保持されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インテリア箱体の上部におけるユーザーから見て遠い側に設置される主板と、
前記主板の幅方向の端部に取り付けられた見切り部材と、
前記見切り部材における前記主板の反対側の面上に配置されたバネ部材とを有し、
前記見切り部材は、
前記主板の端面上に位置する端面部と、
前記端面部と繋がっており、前記主板の裏面上に位置する裏面部とを有し、
前記バネ部材における少なくとも前記主板の前面側の端部は、前記端面部との間に間隔を置いて保持されている前面板。
【請求項2】
請求項1に記載の前面板であって、
前記見切り部材は、前記端面部と前記裏面部との繋がり位置から前記主板の後方側へ延びて設けられた後方部を有し、
前記後方部には、前記バネ部材を取り付ける取り付け形状部が形成されており、
前記バネ部材は、前記取り付け形状部に取り付けられている前面板。
【請求項3】
請求項2に記載の前面板であって、
前記繋がり位置から前記端面部の前端までの長さと、前記繋がり位置から前記後方部の後端までの長さとが異なり、
前記端面部にも、前記バネ部材を取り付ける取り付け形状部が形成されている前面板。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載の前面板であって、
フィラーを有し、
前記フィラーは、
前記端面部と前記バネ部材との間の隙間に差し込まれる差し込み部と、
前記差し込み部と繋がっており、前記差し込み部が前記端面部と前記バネ部材との間の隙間に差し込まれた状態では前記主板の表面(おもてめん)と並ぶ前面部とを有するものである前面板。
【請求項5】
インテリア箱体の上部におけるユーザーから見て遠い側に設置される主板の端部に取り付けられるとともに、主板と並んで配置されるフィラーを固定する見切り部材であって、
主板の端面上に位置する端面部と、
前記端面部と繋がっており、前記主板の裏面上に位置する裏面部とを有し、
前記端面部における主板の反対側の面上にバネ部材を保持する取り付け形状部が形成されている見切り部材。
【請求項6】
請求項5に記載の見切り部材であって、
前記端面部と前記裏面部との繋がり位置から前記主板の後方側へ延びて設けられた後方部を有し、
前記取り付け形状部は、前記後方部に形成されている見切り部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、前面板、及び、見切り部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面化粧台では、蛇口に接続する配管がユーザから見えないように前面板によって隠蔽されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した前面板では、間口調整することができなかった。
【0005】
本開示技術の課題は、配管を隠しつつ間口調整できる前面板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示技術の一態様における前面板は、インテリア箱体の上部におけるユーザーから見て遠い側に設置される主板と、前記主板の幅方向の端部に取り付けられた見切り部材と、前記見切り部材における前記主板の反対側の面上に配置されたバネ部材とを有し、前記見切り部材は、前記主板の端面上に位置する端面部と、前記端面部と繋がっており、前記主板の裏面上に位置する裏面部とを有し、前記バネ部材における少なくとも前記主板の前面側の端部は、前記端面部との間に間隔を置いて保持されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態の前面板を備える洗面化粧台を示す図である。
【
図4】パネル部材と台座の取り付け構造を説明する図である。
【
図6】
図5におけるフィラー差し込み前の状態を示す図である。
【
図9】
図8に示す前面板の端部構造を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示技術を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に示すのは、本発明の一実施形態である前面板10を備える洗面化粧台1である。
【0009】
洗面化粧台1は、洗面台本体5と、ミラーキャビネット6と、水栓装置7と、前面板10とを有している。洗面台本体5は「インテリア箱体」の一例である。以下の説明では、
図1の左右方向を幅方向X、
図1の手前奥方向を奥行方向Y、
図1の上下方向を高さ方向Zと呼ぶ。
図1において、洗面化粧台1の前に立ったユーザから見て近い側を「前方側」、ユーザから見て遠い側を「後方側」と呼ぶ。
【0010】
洗面台本体5では、下部キャビネット2の上面にカウンター板3が設置されている。カウンター板3には、洗面ボウル4が一体に形成されている。カウンター板3は、複数の洗面ボウル4が設けられているものであってもよい。洗面ボウル4は、カウンター板3と別体に設けられたものであってもよい。
【0011】
ミラーキャビネット6は、複数枚の扉を備えるキャビネットである。各扉には、ミラーが取り付けられている。ミラーキャビネット6は、少なくともその一部に棚が形成されているものであってもよい。水栓装置7は、ミラーキャビネット6の下部に取り付けられている。水栓装置7には蛇口8とハンドル9とが組み込まれている。蛇口8とハンドル9は洗面ボウル4の上方に設置されている。
【0012】
前面板10は洗面台本体5とミラーキャビネット6との間に配置されている。前面板10は、洗面台本体5の後方側に配置されている。
【0013】
洗面化粧台1は、設置スペースS20に設置されている。本実施形態の設置スペースS20は、一対の側方壁面72,73と後方壁面71とによって区画されたスペースである。後方壁面71は、一対の側方壁面72,73の間における後方側に設けられた壁面である。洗面化粧台1は、側方壁面72と側方壁面73との間に納められている。側方壁面72,73はどちらか一方のみ設けられていてもよい。
【0014】
図2に示すように、面72と壁面73との間に配置される前面板10は、台座60とパネル部材11とを有する。パネル部材11は「主板」の一例である。台座60は、後方壁面71に固定されている。台座60は、配管スペースS2を形成している。配管スペースS2は、蛇口8(
図1参照)に接続する水供給管80を配置するスペースである。パネル部材11は前方側から台座60に対して着脱自在に取り付けられている。パネル部材11は、配管スペースS2をユーザから見えないように隠蔽している。
【0015】
パネル部材11の図中左側の端部11aと側方壁面72との間には、空隙S11が形成されている。パネル部材11の図中左側の端部11aには、フィラー20が取り付けられている。図中左側のフィラー20は、空隙S11を隠蔽している。パネル部材11の図中右側の端部11aと側方壁面73との間には、空隙S12が形成されている。パネル部材11の図中右側の端部11aには、フィラー20が取り付けられている。図中右側のフィラー20は空隙S12を隠蔽している。前面板10の幅寸法は、側方壁面72と側方壁面73との間隔より少し小さい。その差は、フィラー20によって調整されている。
【0016】
図3、
図4に示すように、前面板10は、パネル部材11と、フィラー20と、見切り部材30と、バネ部材40と、発泡シール材50と、台座60とを有している。パネル部材11の幅方向Xの両端部11a,11aには、それぞれ、見切り部材30が固定されている。見切り部材30にはバネ部材40が固定されている。フィラー20は、見切り部材30とバネ部材40との間で挟まれて保持されている。
図4に示すように、発泡シール材50は、パネル部材11の上辺11eと下辺11fにそれぞれ配置されている。
【0017】
図3に示すように、パネル部材11は長方形状をなす。
図2に示すように、パネル部材11は、ベースプレート12と装飾プレート13とを備えている。装飾プレート13は、ユーザ側の面に装飾を施されたプレートである。
図3に示すように、本実施形態の装飾プレート13ではタイルが並べて配置されている。ベースプレート12は、装飾プレート13のサイズに合わせてカットされている。装飾プレート13は、ベースプレート12の一方の面に接着されている。
【0018】
図4に示すように、ベースプレート12の他方の面には突起部材51が複数箇所に固定されている。突起部材51は、ベースプレート12から突き出すように配置されている。台座60は複数のフレームを組み合わせて構成したものである。台座60には、キャッチ部材61が取り付けられている。キャッチ部材61は、突起部材51を着脱自在に嵌め込まれる部材である。施工者は、前方側から突起部材51をキャッチ部材61にそれぞれ嵌め込むことにより、台座60に対して工具を用いずにパネル部材11を取り付けることができる。
【0019】
図4に示すように、見切り部材30の高さ方向Zの寸法は、パネル部材11の上辺11eから下辺11fまでの長さに設定されている。見切り部材30は、パネル部材11の幅方向Xに位置する端面11c(
図5参照)を覆い隠すように、パネル部材11に固定されている。
【0020】
図5に示すように、見切り部材30は、端面部31と、裏面部32と、後方部33とを有している。端面部31と裏面部32と後方部33とは、繋がり位置P1を介して繋がっている。見切り部材30は、上方から見た形状がT字形をなす。
図5は、前面板10の端部11aを上方から見た図であり、発泡シール材50の記載を省略している。
【0021】
図6に示すように、端面部31は、パネル部材11の端面11c上に配置される部位である。繋がり位置P1から端面部31の前端31aまでの長さL1は、ベースプレート12の厚さM1より大きい値に設定されている。これは、ベースプレート12と装飾プレート13との間の段差を端面部31によって覆い隠して、フィラー20の取り付け面を形成するためである。長さL1は、パネル部材11の表面11dから裏面11bまでの厚さM2より僅かに小さく設定されている。これは、見切り部材30の前端31aとパネル部材11の表面11dとの間を見栄え良くシールするためである。
【0022】
図5及び
図6に示すように、裏面部32は、パネル部材11の裏面11b上に配置される部位である。裏面部32は、繋がり位置P1を介して端面部31の後端部分と繋がっている。裏面部32は、端面部31に対して垂直に設けられている。裏面部32は、固定ネジ39を用いて、パネル部材11の裏面11bに対して固定されている。
【0023】
本実施形態では、
図4に示すように、裏面部32の下端部分も、裏面部32の上端部分と同様に切り欠かれている。
【0024】
図6に示すように、後方部33は、繋がり位置P1からパネル部材11の後方側へ延びて設けられた部位である。後方部33は、繋がり位置P1を挟んで端面部31と反対側に設けられている。後方部33は、裏面部32に対して垂直に設けられている。繋がり位置P1から後方部33の後端33aまでの長さL2は、繋がり位置P1から端面部31の前端31aまでの長さL1と異なっている。これは、パネル部材11の厚さM2や材質や意匠性などに応じて、見切り部材30の前後を反転させてパネル部材11に固定するためである。見切り部材30を反転させて用いた場合には、後方部33が端面部として機能し、端面部31が後方部として機能する。本実施形態では、長さL2は、ベースプレート12の厚さM1と同程度に設定されている。長さL2は、長さL1より短く設定されている。
【0025】
図7に示すように、見切り部材30には、第1バネ部材取り付け部34と第2バネ部材取り付け部35とが設けられている。本実施形態の第1バネ部材取り付け部34と第2バネ部材取り付け部35は、取付ねじ49を挿通可能な貫通穴によって形成されている。バネ部材40は、第1バネ部材取り付け部34と第2バネ部材取り付け部35との何れか一方に、取付ネジ49を用いて取り付けられる。第1バネ部材取り付け部34及び第2バネ部材取り付け部35は「取り付け形状部」の一例である。
【0026】
見切り部材30には、第1バネ部材取り付け部34及び第2バネ部材取り付け部35が、パネル部材11の端面11cと反対側に位置する面38に設けられている。これは、パネル部材11に対して見切り部材30を固定した後に、バネ部材40を見切り部材30に固定するためである。第1バネ部材取り付け部34は、後方部33に設けられている。第2バネ部材取り付け部35は、端面部31に設けられている。これは、フィラー20の形状に応じて、バネ部材40の取り付け位置を奥行方向Yにおいて変更できるようにするためである。第1バネ部材取り付け部34と第2バネ部材取り付け部35は、見切り部材30の高さ方向Zに対する中央位置に設けられている。これは、見切り部材30に取り付けられるバネ部材40の数を1個にして、フィラー20を前方側から取り付けやすくするためである。
【0027】
図6に示すように、バネ部材40は、固定部41と撓み部42とを有する板バネである。固定部41は、取付ネジ49を用いて見切り部材30に固定される平坦な部位である。撓み部42は、固定部41を基点として撓むように変形する部位である。撓み部42は、固定部41に繋がる部分から見切り部材30と反対側に屈曲され、見切り部材30から離間して配置されている。撓み部材42では、パネル部材11の表面11d側に位置する端部43が見切り部材30に近づく方向に屈曲されている。撓み部材42が見切り部材30から離間する間隔は、端部43にて狭くされている。フィラー20を保持しない状態において、バネ部材40の端部43は、見切り部材30の端面部31との間に間隔W1を置いて配置されている。フィラー20を保持しないバネ部材40は、端部43と端面部31との間に隙間S10を形成している。隙間S10は、パネル部材11の表面11d側に開放されている。
【0028】
フィラー20は、差し込み部21と前面部22とを有している。差し込み部21と前面部22とはL字形に配置されている。差し込み部21は、バネ部材40と端面部31との間の隙間S10を経由して見切り部材30とバネ部材40との間に差し込まれる部位である。フィラー20を保持しない状態における間隔W1は、差し込み部21の厚さW2より小さい値に設定されている。これは、撓み部42のバネ力によって、差し込み部21を見切り部材30とバネ部材40との間で挟んで保持するためである。
【0029】
前面部22は、パネル部材11の表面11dと並んで配置される部位である。前面部22の前方側に位置する面22aは、平坦に形成されている。ユーザの目に晒される面22aには、例えば、装飾プレート13と同じタイルを貼るなどして、装飾を施してもよい。前面部22の後方側に位置する面22bには、細かい波形が形成されている。波形の溝は、高さ方向Zに沿って形成されている。これは、前面板10の施工現場において、作業者がカッターのみで前面部22を溝に沿って切断し、フィラー20の幅寸法を調整できるようにするためである。
【0030】
上記した前面板10の取り付け手順を説明する。工場出荷時における前面板10では、パネル部材11の幅方向Xの両端部11a,11aにそれぞれ、見切り部材30が固定ネジ39によって固定されている。見切り部材30は、端面部31をパネル部材11の側面11cに接触させた状態でパネル部材11に固定される。見切り部材30の端面部31の前端31aはパネル部材11の表面11dと並んで配置されている。見切り部材30とパネル部材11との間はシールされている。パネル部材11の上辺11e及び下辺11fにはそれぞれ発泡シール材50が取り付けられている。前面板10は、バネ部材40が取り付けられていない状態で梱包され、設置先に搬送される。これは、バネ部材40が搬送中に破損したり、脱落したりすることを回避するためである。パネル部材11は、台座10と一緒に梱包され、設置先に搬送される。
【0031】
作業者は、設置先において梱包を解き、パネル部材11及び台座10を取り出す。作業者は、例えば
図1及び
図2に示す設置スペースS20に設置された洗面台本体5の上方において、台座60を後方壁面71に固定する。作業者は、台座60の上方にミラーキャビネット6を固定する。作業者は、ミラーキャビネット6の下部に水栓装置7を取り付ける。作業者は、台座60の配管スペースS2を利用して、水栓装置7に水供給管80(
図2参照)を繋げる。
【0032】
作業者は、取り付けネジ49を用いて、見切り部材30の第1バネ部材取り付け部34にバネ部材40を取り付ける。作業者は、パネル部材11の突起部材51を台座60のキャッチ部材61に嵌め込む。パネル部材11は、水供給管80を覆い隠すように、前方側から台座60に取り付けられる。パネル部材11の上辺11eとミラーキャビネット6との間の隙間が上側の発泡シール材50によって塞がれる。パネル部材11の下辺11fと洗面台本体5のカウンター板3との間の隙間が下側の発泡シール材50によって塞がれる。下側の発泡シール材50はパネル部材11によってカウンター板3が傷付くのを防止する。
【0033】
作業者は、台座60に取り付けられたパネル部材11の図中右側の端面11cと側方壁面73との間の空隙S12の寸法を測る。測った寸法に合わせて、作業者は、フィラー20の前面部22をカッターで切断する。作業者は、ものさし等を使用しなくても、前面部22に形成された溝に沿って前面部22を真っ直ぐ切断することができる。フィラー20の幅寸法は、空隙S12に適した値に調整される。
【0034】
台座60に取り付けられたパネル部材11では、見切り部材30とバネ部材40との間に形成される隙間S10がパネル部材11の表面11d側に開放されている。作業者は、
図6に示すように、見切り部材30とバネ部材40との間の隙間S10に対してフィラー20の差し込み部21をパネル部材11の表面11d側から差し込む。差し込み部21は、バネ部材40の撓み部42を端面部31から離れる方向に変形させながら隙間S10に差し込まれる。
【0035】
図5に示すように、作業者は、フィラー20の前面部22がパネル部材11の表面11aに並ぶ位置まで、差し込み部21を隙間S10に差し込む。差し込み部21は、撓み部42のバネ力によって端面部31とバネ部材40の端部43との間で差し込み部21を挟みつけられる。空隙S12に合わせて幅を調整されたフィラー20は、パネル部材11の端面11cと側方壁面73との間に隙間無く納められ、空隙S12を隠蔽する。
【0036】
作業者は、パネル部材11の図中左側に配置されるフィラー20の幅寸法についても同様に調整し、空隙S11をフィラー20によって隠蔽する。
【0037】
前面板10は、パネル部材11の幅方向Xの両端部11a,11aに配置したフィラー20によって幅寸法を調整されている。前面板10は、側方壁面72と側方壁面73との間に、幅方向Xに動かないように設置される。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の前面板10では、パネル部材11の端部に固定される見切り部材30にバネ部材40が固定されている。前面板10は、見切り部材30とバネ部材40との間で、間口調整用の部材であるフィラー20を挟み込むことにより間口調整することが可能である。よって、本実施形態の前面板10によれば、配管80を隠して間口調整することが可能である。
【0039】
本実施形態の前面板10は、台座60にバネ部材40を固定する場合と比べて、パネル部材11の表面11dの近くにバネ部材40を配置することができる。本実施形態の前面板10では、台座60にバネ部材40を固定する場合と比べて、パネル部材11の表面11dとフィラー20の前面部22との間に形成される段差が小さくなる。前面板10は、
図5に示すように、フィラー20の前面部22をパネル部材11の表面11dと並んで配置できるので、
図2に示すように見栄え良く間口調整することが可能である。
【0040】
本実施形態の前面板10では、
図6に示すように、見切り部材30とバネ部材40との間に形成される隙間S10に対してフィラー20の差し込み部21を前方側から差し込むことができる。作業者は、工具を使用しなくても、例えばフィラー20を前面側から空隙S12に押し込むだけで、パネル部材11の端部11aと側方壁面73との間にフィラー12を配置できる。よって、作業者は、簡単に前面板10の間口調整を行うことができる。
【0041】
本実施形態の前面板10では、
図3に示すように、タイルを配置した装飾プレート13をベースプレート12に接着したパネル部材11を使用している。パネル部材11の幅寸法は、タイルの目地など、装飾プレート13を切断しやすい位置で調整されている。そのため、
図2に示すように、台座60がパネル部材11の端面11cより内側に配置されている。本実施形態の前面板10は、パネル部材11の端面11cに沿って見切り部材30を固定し、見切り部材30にバネ部材40を固定するように構成されたものである。そのため、本実施形態の前面板10は、パネル部材11の端面11cより内側に台座60が配置されている場合でも、フィラー20の取り付けに適した位置にバネ部材40を固定することができる。
【0042】
本実施形態の前面板10では、
図5に示すように、見切り部材30の後方部33に第1バネ部材取り付け部34を設け、バネ部材40を第1バネ部材取り付け部34に固定している。後方部34は、パネル部材11の裏面11bより後方に配置されている。よって、本実施形態の前面板10によれば、台座60にバネ部材40を固定する場合と同等の位置において、フィラー20を保持することができる。
【0043】
本実施形態の前面板10では、
図6に示すように、見切り部材30の端面部31にも第2バネ部材取り付け部35が設けられている。作業者は、バネ部材40を端面部31に取り付けることも可能である。後方部33の長さL2は端面部31の長さL1より短く設定されている。このような見切り部材30は、例えば
図8に示すように、パネル部材11をパネル部材11xで置き換えた場合にも使用することができる。前面板11xは、タイルで装飾した装飾パネル13に代えて、ガラスプレート13xをベースプレート12に接着して構成したものである。
【0044】
図9には、ガラスプレート13xを使用する前面板10の端部構造を示す。
図9は、
図5に相当する図面であり、発泡シール材50と後述する取り付け金具150の記載を省略している。
図9に示すガラスプレート13xの厚みは、
図5及び
図6に示すタイルを配置した装飾プレート13の厚みより薄い。ガラスプレート13xと装飾プレート13との厚みの差分だけ、パネル部材11xの厚さM2xは、パネル部材11の厚さM2(
図6)より薄くなっている。見切り部材30は、長さL2がベースプレート12の厚みM1と同程度に設定されている後方部33を、パネル部材11xの端面11cx上に配置するように、前後を反転させてパネル部材11xに固定されている。パネル部材11xに固定された見切り部材30では、端面部31がパネル部材11xの裏面11より後方に配置されている。バネ部材40は、端面部31に設けられた第2バネ部材取り付け部35に取り付けられる。バネ部材40は、見切り部材30を前後反転させてパネル部材11xに取り付けた場合でも、台座60に取り付けられる場合と同様の位置に取り付けられる。
【0045】
パネル部材11xに固定された見切り部材30では、後方部33の後端33aがベースプレート12の前方側に位置する面に並んで配置される。フィラー20は、前面部22を後方部33の後端33aに揃えるように、差し込み部21が見切り部材30とバネ部材40との間に差し込まれる。フィラー20がベースプレート12に並んで配置されるので、ガラスプレート13xが違和感なく配置される。よって、前面板10は、タイルを用いたパネル部材11と種類が異なるパネル部材11xを使用する場合でも、見切り部材30とバネ部材40とを共通で使用して、簡単にかつ見栄え良く設置することができる。
【0046】
例えば、
図10に示すように、パネル部材11xでは、ガラスプレート13xが取り付け金具150を介してベースプレート11に取り付けられている。見切り部材30の裏面部32の上端部分には、切り欠き部32aが設けられている。切り欠き部32aは、裏面部32と取り付け金具150とが干渉することを回避するように設けられている。裏面部32の下端部分にも同様に切り欠き部を設けてもよい。
【0047】
前面板10は、見切り部材30を備えない場合と同様に、ミラーキャビネット6と洗面台本体5との間において前方側から台座60にパネル部材11を取り付けることができる。
【0048】
本実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示技術を何ら限定するものではない。したがって本開示技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、前面板10は、システムキッチンの後方に設置されるカウンターパネルなど、設置対象物が洗面化粧台1以外の設置対象物に対しても使用することができる。ミラーキャビネット6はなくてもよい。蛇口8とハンドル9は、洗面台本体5など、ミラーキャビネット6と別の場所に設けられたものであってもよい。
【0049】
見切り部材30は、後方部33を有していないものであってもよい。ただしその場合、反転して使用することはできない。その場合、端面部31の第2バネ部材取り付け部35が、後方部33の第1バネ部材取り付け部34の代わりに機能する。第2バネ部材取り付け部35には、バネ部材40よりコンパクトなバネ部材が取り付けられる。バネ部材が端面部31より前方側に飛び出さないようにするためである。見切り部材30は、端面部31の長さL1と後方部33の長さL2とが同じものであってもよい。見切り部材30は、第1バネ部材取り付け部34と第2バネ部材取り付け部35との何れか一方だけを設けたものであってもよい。
【0050】
前面板10は、発泡シール材50を有していないものであってもよい。裏面部32に設けられる切り欠き部32aは、裏面部32の上端部分と下端部分との何れか一方のみに設けられていてもよい。例えば、取り付け金具150を使用しないパネル部材だけに適用される見切り部材30では、切り欠き32aが裏面部32に設けられていなくてもよい。
【0051】
図11に示す前面板110のように、補強フレーム101がパネル部材11に固定されていてもよい。台座60がパネル部材11の端面11cより内側に配置される場合、補強フレーム101は、パネル部材11の端部11aに沿ってパネル部材11の裏面11bに固定されている。補強フレーム101の端面101aの位置はパネル部材11の端面11cの位置に揃えられてもよい。補強フレーム101の端面101aとパネル部材11の端面11cには、平板102が固定されていてもよい。平板102は、補強フレーム101の端面101aとパネル部材11の端面11cとの間の段差を覆い隠し、フィラー20の取り付け面を形成する。バネ部材40は、平板102に取り付けられるものであってもよい。
【0052】
図12に示す前面板210に示すように、バネ部材240を台座60に固定する場合、バネ部材240として、パネル部材11の種類、台座60の位置に応じて専用のバネ部材が準備されていてもよい。
【0053】
図13に示す前面板310のように、フィラー320が第2前面部323を備えていてもよい。第2前面部323は、差し込み部21と前面部22が繋がる部分から前面部22と反対側に延びるように設けられている。前面部22と第2前面部323とは同一面上に並んで設けられている。主板311の表面11dには段差部313aが設けられているとよい。段差部313aの段差は、第2前面部323の厚さと同じ値に設定するとよい。フィラー320は、段差部313aに第2前面部323を配置した状態で主板311に固定される。第2前面部323と前面部22は、主板311の表面11dと同一面上に配置される。第2前面部323と前面部22には、装飾プレート313と同様の装飾が施されてもよい。
【0054】
前面板10は、フィラー20に代えて、
図13に示すフィラー320を使用するものであってもよい。この場合、第2前面部323はパネル部材11の表面11dに重ねて配置されてもよい。フィラー320の厚さが薄いので、第2前面部323とパネル部材11の表面11dとの間に形成される段差は小さく、目立ちにくい。
【0055】
図8、
図9に示すガラスプレート13xは鏡でもよい。
【符号の説明】
【0056】
5……洗面台本体、10……前面板、11……主板、11a……端部、11b……裏面、11c……端面、11d……表面、11e……上辺、X……幅方向、20……フィラー、21……差し込み部、22……前端部、30……見切り部材、31……端面部、31a……前端、32……裏面部、33……後方部、33a……後端、34……第1バネ部材取り付け部、35……第2バネ部材取り付け部、36……上端、38……面、40……バネ部材、50……発泡シール材、310……前面板、311……パネル部材、320……フィラー、P1……繋がり位置