(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079269
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】システム
(51)【国際特許分類】
B65B 57/10 20060101AFI20230601BHJP
B65B 23/02 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
B65B57/10 A
B65B23/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192650
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】才田 和輝
(72)【発明者】
【氏名】増澤 季則
(72)【発明者】
【氏名】杉田 塩
【テーマコード(参考)】
3E043
【Fターム(参考)】
3E043AA01
3E043BA19
3E043CA02
3E043CA04
3E043DB04
3E043EA03
3E043FA02
3E043GA01
3E043GA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】トレイが段ボール箱に収容される前に、トレイの各収容座に収容された卵について検査を行うシステムを提供する。
【解決手段】複数の収容座を備えるトレイTの各収容座に卵Eが入っているか否かを検査するシステムであって、検査部と、制御部とを備える。検査部は、各収容座を検査する。制御部は、1つの段ボール箱Gに収容される複数枚のトレイTのうち、一のトレイTに関する検査と、他のトレイTに関する検査とで、検査部における検査方法を切り替える。システムは、さらに、検査部に搬送されるトレイTの枚数をカウントするカウント部を備え、制御部は、カウント部から得られるトレイの枚数情報に基づいて、検査方法を切り替える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の収容座を備えるトレイの各収容座に卵が入っているか否かを検査するシステムであって、
各収容座を検査する検査部と、
1つの段ボール箱に収容される複数枚のトレイのうち、一のトレイに関する検査と、他のトレイに関する検査とで、前記検査部における検査方法を切り替える制御部とを備える、システム。
【請求項2】
前記検査部に搬送されるトレイの枚数をカウントするカウント部を備え、
前記制御部は、前記カウント部から得られるトレイの枚数情報に基づいて、前記検査方法を切り替える、請求項1記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の収容座を備えるトレイの各収容座に卵が入っているか否かを検査するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の収容座を備えるトレイを複数段積み重ねて、自動で箱詰めする装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
箱詰めの場合、特許文献1に示されているようにトレイの収容座全てに卵が収容された状態で箱詰めされる場合がある。また、卵独特の取引方法として、1箱で定重量(例えば、10キログラムや5キログラム)とするものも知られている。
【0005】
10キログラムの定重量の場合は、例えば、1~3段目のトレイの収容座の全てに卵が収容される。一方、4段目のトレイは、一部の収容座には卵が収容されているが、それ以外の収容座は空の状態で3段目のトレイの上に積み重ねられ、出荷される。このようにして、1~4段目のトレイに収容された卵の重量の合計が10キログラムになるように設定されている。なお、卵は自然物であり、1個1個の重量が異なるため、10キログラムにするために必要な卵の個数は一定ではない。
【0006】
5キログラムの定重量の場合は、例えば、1段目のトレイの収容座の全てに卵が収容され、2段目のトレイは、一部の収容座には卵が収容されているが、それ以外の収容座は空の状態で1段目のトレイの上に積み重ねられ、出荷される。このようにして、1段目と2段目のトレイに収容された卵の重量の合計が5キログラムになるように設定されている。
【0007】
トレイが積み重ねられ、段ボール箱に入れられた状態では、段ボール箱の外部から卵の状態を確認することができない。そのため、箱詰めの自動化に伴って、箱詰めする前のトレイ上の卵の状態の検査を自動化したいという要望がある。
【0008】
そこで、本発明は、トレイが段ボール箱に収容される前に、トレイの各収容座に収容された卵について検査を行うシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。すなわち、本発明のシステムは、複数の収容座を備えるトレイの各収容座に卵が入っているか否かを検査するシステムであって、各収容座を検査する検査部と、1つの段ボール箱に収容される複数枚のトレイのうち、一のトレイに関する検査と、他のトレイに関する検査とで、検査部における検査方法を切り替える制御部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トレイが段ボール箱に収容される前に、トレイの各収容座に収容された卵について検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態を示す卵トレイ移載装置の全体図構成である。
【
図6】卵トレイの移載方法の一実施の形態を示すフローチャート。
【
図7】卵トレイの検査方法の一実施の形態を示すフローチャート。
【
図8】卵トレイの検査方法の変形例を示すフローチャート。
【
図9】卵トレイ移載装置を含むシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0013】
卵トレイ移載装置は、卵トレイTに収納された卵Eの頂面を着脱自在に吸着する卵吸着装置1を有する。卵トレイ移載装置は、卵トレイTの外周に形成された凹部T1内において、卵トレイTを保持するトレイ保持装置2を有する。卵トレイ移載装置は、卵吸着装置1とトレイ保持装置2とを段ボール箱Gに対して移動させる移動装置3を有する。
【0014】
移動装置3の近傍に、卵トレイTを搬送するトレイ搬送装置4と、段ボール箱Gを搬送する段ボール搬送装置5とが設けられている。
【0015】
トレイ搬送装置4には、複数の収容座T2を備える卵トレイTの各収容座T2に卵が入っているか否かを検査するトレイ検査装置31(本発明の「検査部」に相当する。)と、このトレイ検査装置31の検査結果に応じて卵トレイTの搬送を制御するトレイ停止装置とを備える。トレイ検査装置31は、光電センサや画像などこの分野で用いられるものを種々適用可能である。
【0016】
トレイ搬送装置4には、中蓋用の卵トレイTを供給する中蓋用のトレイ供給装置33を備える。
【0017】
トレイ搬送装置4に搬送される卵トレイTは、カウント部(図示しない)によってカウントされる。例えば、移動装置3がトレイ搬送装置4と段ボール箱Gとの間を移動すると、カウントが更新され記録される。カウント部に記録された情報に基づいて、次に移動装置3が移動させる卵トレイTの情報、具体的には、1枚目の卵トレイTか、2枚目の卵トレイTか、3枚目の卵トレイTか、4枚目の卵トレイTか、蓋用のトレイTTかがわかる。
【0018】
移動装置3は、卵吸着装置1とトレイ保持装置2とを備えたヘッド部6と、このヘッド部6を移動させる移動部7とを有する。
【0019】
移動部7は、多関節ロボットで構成されたものが例示されている。多関節ロボットは、床面に設置された基部8と、基部8に設けられた多関節アーム部9とを有する。アーム部9の先端に前記ヘッド部6が設けられている。
【0020】
卵トレイ移載装置は、卵吸着装置1、トレイ保持装置2、移動装置3、トレイ搬送装置4、段ボール搬送装置5、カウント部、トレイ検査装置31、トレイ停止装置、中蓋用のトレイ供給装置33などの各種装置の動作を制御する制御装置Cを有する。
【0021】
制御装置Cは、1つの段ボール箱Gに収容される複数枚の卵トレイTのうち、一の卵トレイTに関する検査と、他の卵トレイTに関する検査とで、トレイ検査装置31における検査方法を切り替える。制御装置Cは、カウント部から得られる卵トレイTの枚数情報に基づいて、検査方法を切り替える。
【0022】
この実施の形態では、卵トレイ移載装置は、卵トレイTを段ボール箱Gに収納する卵トレイ収納装置として例示されている。卵トレイTの外周縁と卵トレイTを収納する段ボール箱Gの内周面との隙間がほぼゼロの状態で、卵トレイTを保持して卵トレイTを段ボール箱G内に収納するよう構成されている。
【0023】
図2は、トレイ搬送装置4によって搬送される卵トレイTの平面図である。卵トレイTは、
図2の右手方向に搬送される。
【0024】
卵トレイTは、紙製のモールドトレイで構成されており、卵Eを収納する収容座T2が縦横に凹設されている。収容座T2は、図例では、縦5列、横8列の碁盤目状に配列されて、下方に突出している。卵トレイTの上面には、収容座T2の周縁に沿うように突出部T3が形成されている。卵トレイTの平面視形状は長方形である。
【0025】
卵トレイTに卵Eを収納しない空の状態では、卵トレイTは、
図2の状態で積み重ねられている。卵トレイTの収容座T2に卵Eを収納した状態では、
図2の状態から、卵トレイTが180度向きを変えて、積み重ねられる。このとき、上の収容座T2の底面が、下の突出部T3の頂面に載置されるよう、収容座T2と突出部T3が配置されている。下の収容座T2に収容された卵Eの頂面が、上の突出部T3の内部に位置するよう、突出部T3は、上方に膨出している。
【0026】
本実施形態では、1段目、2段目、3段目に積み重ねられる卵トレイTの収容座T2には、全て卵Eが収容される。4段目に積み重ねられる卵トレイTの収容座T2には、一部しか卵Eが収容されていない。すなわち、4段目は、一部の収容座T2には卵Eが収容されているが、それ以外の収容座T2は空の状態である。4枚目に収容される卵トレイTは、例えば、1~4列目は5つの収容座T2に対して5個ずつ卵Eが収容され、5列目は5つの収容座T2に対して3個だけ卵Eが収容され、6~8列目は5つの収容座T2に対して卵Eが一つも収容されていない状態、が一例として挙げられる。選別装置40の積算定重量機能によって、1~4段目の卵トレイTに収容された卵Eの重量の合計が10キログラムになるように設定されている。
【0027】
卵トレイTの外周は、段ボール箱Gの内周面との隙間がほぼゼロの状態で段ボール箱Gに収納される形状に形成されている。卵トレイTの外周に指掛け用の凹部T1が形成されている。この凹部T1は、対向する外周に形成されている。
図2の右手に一か所と、左手に二か所に、凹部T1が形成されている。
【0028】
卵Eが収納されていない空の卵トレイTは、同じ向きで多数枚が積層されている。この積層されたものから一枚の卵トレイTが取り出されて、空の卵トレイTの収容座T2に卵Eが収納される。
図1のトレイ搬送装置4の左端に示すように、卵Eが収納された卵トレイTは、トレイ搬送装置4により右手方向に搬送される。トレイ搬送装置4の右端において、卵Eと卵トレイTとは、移動装置3によって、段ボール箱Gに収納される。
【0029】
図1の段ボール搬送装置5の右端において、空の段ボール箱Gが待機している。段ボール箱Gは、卵トレイTの外周をほぼ隙間なしで収納する形状とされている。
【0030】
卵トレイTに収納された卵Eは、卵吸着装置1により吸着保持され、卵トレイT自体は、トレイ保持装置2により保持される。この保持状態においては、卵Eの重さは収容座T2にあまり作用していない。
【0031】
卵Eを保持した卵吸着装置1と卵トレイTを保持したトレイ保持装置2は、移動装置3により、空の段ボール箱Gの上方に移動する。移動装置3は、多関節ロボットのヘッド部6を有するものであるから、ヘッド部6の移動により、卵Eと卵トレイTが段ボール箱Gの上方から、段ボール箱G内に移動する。そして、卵吸着装置1の吸着解除とトレイ保持装置2の保持解除により、卵Eと卵トレイTは、段ボール箱Gに収納される。
【0032】
卵Eと卵トレイTが、多段にわたって収納され、段ボール箱Gが満杯になると、段ボール搬送装置5により、
図1の左手に搬送される。そして、段ボール箱Gは、梱包されて出荷される。
【0033】
なお、段ボール箱Gに収納された卵トレイTは、各段、180度転回して向きを変えて積み重ねられている。卵トレイTの上面の突出部T3の頂面に、その上の段の卵トレイTの収容座T2の底面が載置されている。180度転回は、ヘッド部6の回転で達成される。
【0034】
【0035】
ヘッド部6は、多関節ロボットのアーム部9の先端に設けられている。ヘッド部6は、卵吸着装置1とトレイ保持装置2とを有する。
【0036】
ヘッド部6は、アーム部9の先端に回動自在に設けられる基板10を有し、基板10は、ほぼ長方形を呈し、基板10の中央部に、アーム部9との接続部11が設けられている。この基板10の左右両側の上面にトレイ保持装置2が設けられている。基板10の下面側に卵吸着装置1が設けられている。
【0037】
なお、トレイ保持装置2と卵吸着装置1は分離可能に設けられ、メンテナンス容易とされている。
【0038】
トレイ保持装置2は、卵トレイTを保持する保持部材12を有する。保持部材12は、基板10の上面に設けられた保持部材移動装置13に設けられている。保持部材12は、棒状部材で構成されている。保持部材移動装置13は、シリンダにより構成されている。基板10の左右両側の上面に固定されたシリンダ本体14の中央にシリンダロッド15が移動自在に設けられ、シリンダロッド15の両側にガイドロッド16が設けられている。シリンダロッド15とガイドロッド16の先端は、ヘッドプレート17で連結されている。ヘッドプレート17に、棒状に形成された保持部材12の上端が固定されている。
【0039】
保持部材12の表面に、卵トレイTの凹部T1の外周に係合する係合部(図示しない)が設けられている。係合部は、凹凸部で構成されている。凹凸部は、ネジで構成されている。ネジ棒として構成された保持部材12の直径は、卵トレイTの凹部T1の深さよりも小さなものとされている。すなわち、保持部材12は、上下方向の移動で、凹部T1内に挿脱されるよう構成されている。そして、挿入後、保持部材移動装置13により、卵トレイTの凹部T1表面側に移動して、係合部が凹部T1表面を押圧して保持するよう構成されている。この実施の形態では、卵トレイTの凹部T1は、
図2に示すように、右側が一か所で、左側が二か所であるので、保持部材12もそれに適合するように、一方は一本、他方は2本、配置されている。
【0040】
卵吸着装置1は、基板10の前後両側に設けられた卵吸着装置取付け部19により、着脱自在に基板10に取り付けられている。卵吸着装置1は、基板10と同じ形状の周壁付きトレイ20を有し、このトレイ20が卵吸着装置取付け部19により基板10下面に気密状に取り付けられて、気密室を形成する。トレイ20の下面に吸着パッド21が、卵トレイTの収容座T2に収納された卵Eの頂面を吸着可能に収容座T2の数だけ設けられている。トレイ20には、通気パイプ(図示しない)がトレイ20を貫通して設けられ、通気パイプの下端に蛇腹状の吸着パッド21が設けられている。
【0041】
基板10とトレイ20で形成される気密室は、基板10の上面に形成された接続部11を介して真空装置(図示しない)に接続されている。
【0042】
次に、卵吸着装置1とトレイ保持装置2の詳細な動作を説明する。卵トレイTの外縁と、段ボール箱Gの内面との距離は、ほぼゼロか卵トレイTの方が大きいくらいである。指掛け用凹部T1の一番凹んでいる部分の縁と段ボール箱Gの内面との距離は11mmである。保持部材12の直径は6mmである。保持部材12が2本設けられた側の保持部材移動装置13のシリンダのストロークは40mmである。保持部材12が1本設けられた側の保持部材移動装置13のシリンダのストロークは15mmである。なお、これら距離、直径、ストロークの数値は、トレイTの種類によって種々変更可能である。
【0043】
図1のトレイ搬送装置4上での卵トレイTの保持と卵Eの吸着は、ヘッド部6を卵トレイTの上方に位置させ、次いで下降させて、トレイ保持装置2の保持部材12を卵トレイTの凹部T1内に位置させる。卵吸着装置1の吸着パッド21で卵Eの頂面を吸着して、卵Eを保持する。保持部材12が2本のシリンダロッド15を40mm内側に動かし、かつ、保持部材12が1本のシリンダロッド15を15mm内側に動かして、左右両側の保持部材12の係合部で卵トレイTを保持する。この状態で、
図4に示すように卵トレイTは左右両側の保持部材12により押されて下方に少し撓み、卵Eは卵吸着装置1の吸着パッド21により保持されてその重みは卵トレイTにあまり作用していない。
【0044】
ヘッド部6を上方に移動させて、次いで、段ボール搬送装置5上の空の段ボール箱Gの上方まで移動させ、次いで、下降させて卵トレイTと卵Eを段ボール箱G内に移動させる。卵吸着手段1による卵Eの吸着保持を解除する。保持部材12が1本のシリンダロッド15を15mm外側に移動させて、保持部材12の係合部と卵トレイTの係合を解除する。ヘッド部6を5mm、左側に移動させて、2本の保持部材12の係合部と卵トレイTの係合を解除する。その後、ヘッド部6を上昇させて段ボール箱G外へ移動させる。
【0045】
なお、この実施の形態では、保持部材12であるネジ棒の下端に直径10mmのナットが固着されて、卵トレイTの不慮の落下を防止している。
【0046】
図6は、卵トレイ移載装置を用いた卵トレイ移載方法のフローチャートである。
【0047】
卵トレイ移載方法は、卵トレイTに収納された卵Eを、前記卵吸着装置1で吸着保持するステップS2、S6、S10、S14と、卵トレイTをトレイ保持装置2で保持するステップS3、S7、S11、S15と、移動装置3により卵Eと卵トレイTを段ボール箱Gに対して移動させるステップS4、S8、S12、S16とを含む。
【0048】
収納方法につき、より詳しく説明すれば、空の段ボール箱Gを配置する(ステップS1)。卵吸着装置1で、1段目用の卵Eを吸着する(ステップS2)。トレイ保持装置2で、1段目用の卵トレイTの凹部T1を保持する(ステップS3)。移動装置3により卵吸着装置1とトレイ保持装置2を段ボール箱Gに移動させる(ステップS4)。1段目のトレイ保持と卵吸着を解除する(ステップS5)。
【0049】
2段目用の卵Eを吸着する(ステップS6)。2段目用のトレイTを保持する(ステップS7)。移動装置3のヘッド部6を転回させて後、卵吸着装置1とトレイ保持装置2を段ボール箱Gに移動させる(ステップS8)。2段目のトレイ保持と卵吸着を解除する(ステップS9)。
【0050】
3段目用の卵Eを吸着する(ステップS10)。3段目用のトレイTを保持する(ステップS11)。段ボール箱Gに移動させる(ステップS12)。3段目のトレイ保持と卵吸着を解除する(ステップS13)。
【0051】
4段目用の卵Eを吸着する(ステップS14)。4段目用のトレイTを保持する(ステップS15)。ヘッド部6を転回させて、段ボール箱Gに移動させる(ステップS16)。4段目のトレイ保持と卵吸着を解除する(ステップS17)。
【0052】
以上の動作を繰り返し、段ボール箱Gが満杯になると、中蓋用の卵トレイTTをトレイ保持装置2で保持する(ステップS18)。段ボール箱Gに移動させる(ステップS19)。中蓋用の卵トレイTTの保持を解除する(ステップS20)。
【0053】
完成した段ボール箱Gを段ボール搬送装置5により排出する(ステップS21)。
【0054】
なお、ステップS2とステップS3、ステップS6とステップS7、ステップS10とステップS11、ステップS14とステップS15は、この順序に限られず、逆であってもよく、また同時であってもよい。
【0055】
次に、
図7のフローチャートについて説明する。
図7は、卵トレイTの各収容座T2に卵Eが入っているか否かを検査するシステムを用いた卵トレイの検査方法のフローチャートである。
【0056】
卵トレイの検査方法は、カウント部から得られる卵トレイTの枚数情報に基づいて、一の卵トレイTに関する検査と、他の卵トレイTに関する検査とで、トレイ検査装置31における検査方法を切り替える。具体的には、1~3段目の卵トレイTの場合、卵トレイT上の全ての収容座T2についてトレイ検査装置31が検査を行い、4段目の卵トレイTの場合、卵トレイT上の全ての収容座T2についてトレイ検査装置31が検査を行わない。
【0057】
検査方法につき、より詳しく説明すれば、卵トレイTが到来したときに、その卵トレイTが1~3段目に積まれる卵トレイTであれば(ステップS31)、制御装置Cは、トレイ検査装置31が全ての収容座T2について検査を行うように制御する(ステップS32)。トレイ検査装置31は、卵トレイTがトレイ搬送装置4で搬送されながら1列ずつ行われる。
【0058】
ステップS32の検査で異常がみつかれば(ステップS33)、例えば、卵Eが収容されているべき収容座T2に卵Eが検出できない場合には、ステップS34に進む。ステップS34では、制御装置Cは、エラーを報知する。また、制御装置Cは、トレイ停止装置を作動させる。トレイ停止装置は、トレイ搬送装置4を停止させ、ストッパー32の解除を行わない。
【0059】
その後、該当する卵収容座T2に卵Eが補充され(ステップ35)、例えば、手動で再起動ボタンが押されると、ステップS37に進む。ステップS32の検査で異常がみつからない場合にも(ステップS33)、ステップS37に進む。
【0060】
一方、ステップS31で、卵トレイTが4段目に積まれる卵トレイTであれば、卵トレイT上の全ての収容座T2についてトレイ検査装置31が検査を行わないように制御する(ステップS36)。そして、ステップS37に進む。ステップS37では、ストッパー32を解除して、卵トレイTを次工程、すなわち、卵トレイ移載装置の方へ移動させる。
【0061】
以上の動作を繰り返す。
【0062】
なお、本発明は上述した実施形態に限られない。
【0063】
<変形例(
図8)>
卵トレイの検査方法のフローチャートは、
図8に示すようなものであってもよい。具体的に説明すれば、
図8に示す卵トレイTの各収容座T2に卵Eが入っているか否かを検査するシステムは、列制御された情報(以下、「ホール情報」と記す。)に基づいて、端数の卵トレイT(例えば、4枚目の卵トレイT)の検査を行うものである。
【0064】
まず、列ごとのホール情報を取得する(ステップS41)。ホール情報は、選別装置から取得してもよいし、制御装置Cに予め入力されたものであってもよい。選別装置では、計量された卵の重量に基づいて、10kgになるように卵トレイTに卵Eを収容して、トレイ検査装置31へと卵トレイTを順に送り出す。ホール情報は、選別装置で各卵トレイTのどのホール(収容座T2)に向けて卵Eが放出されたかの情報である。特に、4枚目の卵トレイTは、例えば、1~4列目は5つの収容座T2に対して5個ずつ卵Eが放出され、5~8列目は5つの収容座T2に対しては卵Eが放出されていない、などである。
【0065】
その後、卵トレイTが到来したときに、その卵トレイTが1~3段目に積まれるトレイであれば(ステップS42)、制御装置Cは、トレイ検査装置31が全ての収容座T2について検査を行うように制御する(ステップS43)。トレイ検査装置31は、卵トレイTがトレイ搬送装置4で搬送されながら1列ずつ行われる。
【0066】
一方、ステップS42で卵トレイTが4段目に積まれる卵トレイTであれば、卵トレイT上の一部の収容座T2についてトレイ検査装置31が検査を行わないように制御する(ステップS44)。具体的には、選別装置から取得したホール情報に基づいて、トレイ検査装置31が検査を行う。例えば、1~4列目はトレイ検査装置31が検査を行い、5~8列目はトレイ検査装置31が検査を行わない、などである。
【0067】
ステップS43、S44の検査で異常がみつかれば(ステップS45)、例えば、卵Eが収容されているべき収容座T2に卵Eが検出できない場合には、ステップS46に進む。ステップS46では、制御装置Cは、エラーを報知する。また、制御装置Cは、トレイ停止装置を作動させる。トレイ停止装置は、トレイ搬送装置4を停止させ、ストッパー32の解除を行わない。
【0068】
その後、該当する卵収容座T2に卵Eが補充され(ステップ47)、例えば、手動で再起動ボタンが押されると、ステップS48に進む。ステップS43、S44の検査で異常がみつからない場合にも(ステップS45)、ステップS48に進む。
【0069】
ステップS48では、ストッパー32を解除して、卵トレイTを次工程、すなわち、卵トレイ移載装置の方へ移動させる。
【0070】
以上の動作を繰り返す。
【0071】
<他の変形例>
また、別の変形例として、卵トレイ移載装置を備えるシステムは、ウエイトチェッカー41を備え、トレイ検査装置の検査結果に基づいて、トレイ搬送装置4を止めない制御を行い、異常が生じた場合のトレイTへの卵補充作業をウエイトチェッカー41部分で行う。ウエイトチェッカー41は、本実施形態のシステムを用いて箱詰めされた後の段ボール箱G全体の重量を計測する。なお、
図9の符号40は選別装置、符号42は段ボール箱Gの蓋を閉めるための封緘装置である。
【0072】
この変形例の卵トレイの検査方法では、ステップS32、ステップS42、ステップS44などで説明した検査で異常がみつかれば(ステップS45)、制御装置Cは、頭出し処理を行う。頭出し処理は、卵トレイ移載装置を用いた卵トレイ移載方法を、
図6に示すような一連の卵トレイ移載方法から変更するものである。
【0073】
例えば、2枚目の卵トレイTで異常が見つかれば、制御装置Cは、卵トレイ移載装置を制御して、当該2枚目の卵トレイTを段ボール箱Gに移動させ、段ボール搬送装置5を制御して、当該段ボール箱Gを未完成のまま下流側へと送り出す。この段ボール箱Gは、ウエイトチェッカー41まで送られた段階で異常が検出され、止められる。
【0074】
続いて、制御装置Cは、段ボール搬送装置5を制御して新しい空の段ボール箱Gをセットする。制御装置Cは、卵トレイ移載装置を制御して、3枚目の卵トレイT、4枚目の卵トレイTを段ボール箱Gのそれぞれ1段目、2段目に収容する。この状態から、制御装置Cは、段ボール搬送装置5を制御して、当該段ボール箱Gを未完成のまま下流側へと送り出す。この段ボール箱Gも、ウエイトチェッカー41まで送られた段階で異常が検出され、止められる。
【0075】
一方、卵トレイ移載装置には、次に、新しい空の段ボール箱Gと1枚目の収容すべき卵トレイTが準備され、頭出し作業が完了する。
【0076】
このようなものであれば、トレイ検査装置で異常を検出した場合に、トレイ搬送装置4上などの卵の補充作業を行いにくい場所で、卵トレイTを停止させる必要がなくなる。そして、例えば、ウエイトチェッカー41の配置されている場所など、比較的空間に余裕のある場所で卵トレイTの修正作業を行うことができる。
【0077】
<その他の変形例>
卵トレイTの形状、収容座T2の数や配置は、図に示すものに限定されない。トレイTは、紙製のモールドトレイに限られず、プラスチック製のトレイでもよい。
【0078】
段ボール箱Gに収容される卵トレイTの枚数も4枚には限られない。例えば、1段目と2段目の卵トレイTに収容された卵Eの重量の合計が5キログラムになるように設定され、取引されるものにも本発明を適用可能である。
【0079】
移動装置3は多関節ロボットに限らず、ヘッド部6を水平面内と垂直面内で多方向に移動させるものであってもよい。
【0080】
また、卵トレイTの外周に形成される凹部T1は、指掛け用に限定されるものではなく、卵トレイ保持装置2が凹部T1内で作動できるものであればよい。係合部の凹凸部は、ネジで構成されたものを例示したが、鋸刃状のものであってもよい。保持部材移動装置13は、シリンダに限らずソレノイドやモータ駆動のものであってもよい。
【0081】
さらに別の変形例として、本実施形態のシステムを用いて、選別装置から順番通りに卵トレイTが卵トレイ移載装置まで到達しているか否かについて検査することも可能である。4枚目以外は、収容座T2が満充填されている必要がある。そのため、満充填されていない卵トレイTが、4枚目が到達するべきタイミング以外で検出されると、制御装置Cが、エラーを報知するようにしてもよい。
【0082】
本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1 卵吸着装置
2 トレイ保持装置
3 移動装置
4 トレイ搬送装置
5 段ボール搬送装置
6 ヘッド部
7 移動部
8 基部
9 アーム部
10 基板
11 接続部
12 保持部材
13 保持部材移動装置
14 シリンダ本体
15 シリンダロッド
16 ガイドロッド
17 ヘッドプレート
19 卵吸着装置取付け部
20 トレイ
21 吸着パッド
31 トレイ検査装置
32 ストッパー
33 中蓋用のトレイ供給装置
40 選別装置
41 ウエイトチェッカー
42 封緘装置
C 制御装置
E 卵
G 段ボール箱
T 卵トレイ
T1 凹部
T2 収容座
T3 突出部
TT 中蓋用の卵トレイ