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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007927
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】振動試験機及び振動試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/04 20060101AFI20230112BHJP
   B23P 19/00 20060101ALN20230112BHJP
【FI】
G01M7/04
B23P19/00 303Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111077
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】306020818
【氏名又は名称】トヨタテクニカルディベロップメント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】榎本 勇介
(72)【発明者】
【氏名】法輪 洋
(72)【発明者】
【氏名】竹端 純一
(72)【発明者】
【氏名】田中 真司
(72)【発明者】
【氏名】横山 翔大
(72)【発明者】
【氏名】毛木 飛鳥
(72)【発明者】
【氏名】森永 洋史
(72)【発明者】
【氏名】森田 健一
【テーマコード(参考)】
3C030
【Fターム(参考)】
3C030DA02
(57)【要約】
【課題】被試験物の接続作業中の振動試験機の不用意な動作への対応を可能とし、位置合わせの作業に生じる煩雑さを解消することができる振動試験機を提供する。
【解決手段】被試験物に対して振動を付与する振動本体部と、振動本体部を支持する台部と、振動本体部に隣接して設置されたバランサ部と、振動本体部に設けられ被試験物を装着するステージ部と、バランサ部に収容されステージ部に対して進退可能であり、ステージ部に接触してバランサ部とステージ部との距離を保持する進退棒部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験物に対して振動を付与する振動本体部と、
前記振動本体部を支持する台部と、
前記振動本体部に隣接して設置されたバランサ部と、
前記振動本体部に設けられ前記被試験物を装着するステージ部と、
前記バランサ部に収容され前記ステージ部に対して進退可能であり、前記ステージ部に接触して前記バランサ部と前記ステージ部との距離を保持する進退棒部と、を備える
ことを特徴とする振動試験機。
【請求項2】
前記バランサ部は、前記進退棒部を進退駆動させる進退駆動部を備える請求項1に記載の振動試験機。
【請求項3】
前記バランサ部は前記台部に設置されている請求項1または2に記載の振動試験機。
【請求項4】
前記ステージ部は、前記進退棒部の接触を検知する検知部を備える請求項1ないし3のいずれか1項に記載の振動試験機。
【請求項5】
前記進退駆動部の駆動を制御する制御部が備えられる請求項2に記載の振動試験機。
【請求項6】
前記制御部は、
前記バランサ部から前記進退棒部を前進させて前記ステージ部に接触させる制御と、
前記ステージ部に備えられ前記進退棒部の接触を検知する検知部における前記進退棒部の接触を検知して前記進退駆動部を停止させる制御と、を実行する請求項5に記載の振動試験機。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の振動試験機における振動試験方法であって、
前記バランサ部から前記進退棒部を前進させて前記ステージ部に接触させる接触工程と、
前記進退棒部により前記バランサ部と前記ステージ部との距離を保持する距離固定工程と、
前記被試験物を前記ステージ部に装着する装着工程と、
前記進退棒部を前記ステージ部から離隔する離隔工程と、
前記振動本体部を振動させて前記被試験物に対して振動を付与する振動工程と、を備える
ことを特徴とする振動試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振動試験機及び振動試験方法に関し、特に振動試験に供する被試験物の装着を容易にする振動試験機と、当該振動試験機における振動試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被試験物に振動を付与する振動試験機として、例えば、固定支持部材と、モータと、モータの回転運動を直線運動に変換する変換手段と、鉛直方向に往復直線運動し振動を加える加振部等を備える装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1をはじめとする振動試験機の場合、振動試験機により生じる上下動の振動が振動試験機に接続された被試験物に伝達され被試験物も振動する。
【0003】
このように、被試験物の振動試験機への接続(取り付け)の作業は不可避である。振動試験機の被試験物を接続する部位(ステージ)において、被試験物を上下から挟み込む機構の場合、試験機に近づいた状態で被試験物を接続する部位を昇降させる必要がある。
【0004】
この場合、従来の振動試験機では、被試験物を接続する部位を昇降させるための動力が必要であった。このため、振動試験機を起動させた状態において作業しなければならず、振動試験機の不意な作動への対応が難しい。万が一、起動中の振動試験機が故障したり、外乱ノイズが作用したりして制御できなくなる可能性も否定できない。
【0005】
また、被試験物を振動試験機の所定位置に接続(取り付け)する際に意図しないプリロードが生じてしまう。この現象は被試験物を接続する際の位置制御、挟み込み等により否応なく生じる。加えて、作業者は振動試験機における被試験物を接続する部位の位置合わせのための昇降作業に手間取る。位置合わせのための昇降作業は、振動試験機の外部の制御装置(コントローラ)を通じてステージの昇降を行うため煩雑化しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-28750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述の点に鑑みなされたものであり、被試験物の接続作業中の振動試験機の不用意な動作への対応を可能とし、位置合わせの作業に生じる煩雑さを解消することができる振動試験機と、同振動試験機による振動試験方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、実施形態の振動試験機は、被試験物に対して振動を付与する振動本体部と、振動本体部を支持する台部と、振動本体部に隣接して設置されたバランサ部と、振動本体部に設けられ被試験物を装着するステージ部と、バランサ部に収容されステージ部に対して進退可能であり、ステージ部に接触してバランサ部とステージ部との距離を保持する進退棒部とを備えることを特徴とする。
【0009】
さらに、バランサ部は、進退棒部を進退駆動させる進退駆動部を備えることとしてもよい。
【0010】
さらに、バランサ部は台部に設置されていることとしてもよい。
【0011】
さらに、ステージ部は、進退棒部の接触を検知する検知部を備えることとしてもよい。
【0012】
さらに、進退駆動部の駆動を制御する制御部が備えられることとしてもよい。
【0013】
さらに、制御部は、バランサ部から進退棒部を前進させてステージ部に接触させる制御と、ステージ部に備えられ進退棒部の接触を検知する検知部における進退棒部の接触を検知して進退駆動部を停止させる制御とを実行することとしてもよい。
【0014】
また、実施形態の振動試験機における振動試験方法は、バランサ部から進退棒部を前進させてステージ部に接触させる接触工程と、進退棒部によりバランサ部とステージ部との距離を保持する距離固定工程と、被試験物をステージ部に装着する装着工程と、進退棒部をステージ部から離隔する離隔工程と、振動本体部を振動させて被試験物に対して振動を付与する振動工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の振動試験機によると、被試験物に対して振動を付与する振動本体部と、振動本体部を支持する台部と、振動本体部に隣接して設置されたバランサ部と、振動本体部に設けられ被試験物を装着するステージ部と、バランサ部に収容されステージ部に対して進退可能であり、ステージ部に接触してバランサ部とステージ部との距離を保持する進退棒部とを備えるため、被試験物の接続作業中の振動試験機の不用意な動作への対応を可能とし、位置合わせの作業に生じる煩雑さを解消することができる。また、振動試験機における振動試験方法に関しても、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の振動試験機における進退棒部の前進時の全体斜視図である。
図2】実施形態の振動試験機における進退棒部の後退時の全体斜視図である。
図3】ステージ部の背面側の斜視図である。
図4】バランサ部内の概要図である。
図5】制御部の内部構成を示すブロック図である。
図6】振動試験方法の流れを示す工程フローチャートである。
図7】(A)振動試験方法を説明する第1概略模式図、(B)振動試験方法を説明する第2概略模式図である。
図8】(A)振動試験方法を説明する第3概略模式図、(B)振動試験方法を説明する第4概略模式図である。
図9】(A)振動試験方法を説明する第5概略模式図、(B)振動試験方法を説明する第6概略模式図である。
図10】振動試験方法を説明する第7概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施形態の振動試験機1は、上下動により生じる振動を被試験物に対して付与し、被試験物の振動、衝撃への耐性を確認するための試験機である。なお、実施形態の振動試験機の構成は横向きとして水平方向移動の振動を生じさせる試験機構成にも適用可能である。
【0018】
図1及び図2の斜視図から理解されるように、振動試験機1の台部11に振動駆動部15が固定される。振動駆動部15に被試験物に対し振動を付与する振動本体部10が接続され支持されている。そして、振動本体部10に隣接してバランサ部12が備えられる。実施形態の振動試験機1では、バランサ部12は振動本体部10に隣接するとともに台部11に固定されている。バランサ部12が台部11に固定されているため、振動本体部10の振動、衝撃は直接バランサ部12に伝わり難くなる。
【0019】
振動本体部10には被試験物を装着するステージ部13が設けられている。後述の図7図8のように、ステージ部13の上部に被試験物が装着される。図1に示される進退棒部14は、バランサ部12からステージ部13に対して進退可能でありバランサ部12に少なくとも一端が収容されている。図1は進退棒部14の前進状態を示し、図2は進退棒部14の後退状態を示している。実施形態の振動試験機1は上下動の機種である。そこで、進退棒部14の前進は上昇を意味し、進退棒部14の後退は降下を意味する(以降の説明においても同様である。)。そして、進退棒部14が前進して当該前進位置に留まることにより、進退棒部14はステージ部13に接触してバランサ部12とステージ部13との距離を保持する。進退棒部14は、実施形態の1本としても、2本以上の複数本としてもよい。
【0020】
振動駆動部15において振動を生じさせる機構には公知の装置構成が用いられる。例えば、モータに接続された適宜の偏心カムの回転により振動が生じる。または、レールと当該レールに接続される駆動体と、当該駆動体を駆動させるアクチュエータが備えられる(図示せず)。電磁石の切り替え動作により上下振動が繰り返される。実施例の振動試験機1の振動駆動部15には電磁石の駆動によるアクチュエータが備えられる。図1及び図2から理解されるように、振動本体部10は振動駆動部15の側面に貼り付いており、振動駆動部15内のアクチュエータの駆動に伴い、振動本体部10は上下移動を繰り返し、振動本体部10に振動が生じる。
【0021】
図3はステージ部13の背面側の斜視図である。ステージ部13には、進退棒部14の接触を検知する検知部30が備えられる。検知部30には公知の接触検知センサが用いられる。接触検知センサとして、例えば、圧電素子が用いられる。むろん、圧電素子以外が用いられてもよい。検知部30の接触検知センサが進退棒部14の接触を検知すると、当該検知信号は検知部30から制御部40(図5参照)に送信される。なお、進退棒部が複数本の場合、進退棒部の本数と同数の検知部が備えられる。図3中、ステージ部13の周囲の3方にはグリップ部16が備えられる。作業者はグリップ部16を掴持してステージ部13に被試験物を装着することができる。
【0022】
図4はバランサ部12の内部の概要図である。バランサ部12には、進退棒部14を進退駆動させる進退駆動部20が備えられる。実施形態の振動試験機1では、進退駆動部20は空気圧により駆動するピストンの機構である。図4から理解されるように、進退駆動部20には、シリンダ部21と、当該シリンダ部21に挿入されるピストン部22、ピストン部22を駆動させるポンプ25、バルブ23,24が備えられ、進退棒部14はピストン部22に接続されている。
【0023】
空気はポンプ25からの圧送により送気配管26を通じてシリンダ部21へ供給される。また、シリンダ部21の空気は排気配管27を通じて外部に放出される。送気配管26と排気配管27にはバルブ23,24が設置される、バルブ23,24により、管路の閉鎖、開放が行われ、空気のシリンダ部21へ供給と排気が行われる。進退駆動部20(ポンプ25、バルブ23,24)は制御部40(図5参照)に接続され、当該制御部40の制御に従って駆動する。
【0024】
進退駆動部20における進退棒部14の駆動形態は、図示し説明の空気圧駆動の形態に限られない。他に、定荷重ばね、またはモータ駆動によるボールねじ等の機械式の駆動形態、油圧による駆動形態、電磁石による電気式の駆動形態等が適宜採用される。
【0025】
進退棒部14を進退駆動させる進退駆動部20の駆動を制御するため、制御部40が備えられる。制御部40は、主にPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)、パーソナルコンピュータ、タブレット端末等の演算処理が実行可能な機器である。実施形態の制御部40はPLCを採用している。
【0026】
図5は制御部40(PLC)の内部構成を示すブロック図である。制御部40の構成は、検知部30からの信号受信、進退駆動部20との信号の送受信、演算実行、記憶等の等の各種の動作制御に必要なマイクロコンピュータ等のハードウェアからなり、CPU41、ROM42、RAM43、I/O44(インプット/アウトプットインターフェイス)等を実装している。制御部40をソフトウェアにより実現する場合、制御部40は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行することで実現される。
【0027】
制御部40は具体的に次の制御を実行する。制御部40は、バランサ部12から進退棒部14を前進させてステージ部13に接触させる。制御部40は、検知部30における進退棒部14の接触を検知して進退駆動部20を停止させる。進退棒部14は進退駆動部20の駆動を通じてステージ部13と接触する。いったん進退棒部14がステージ部13と接触した後(接触検知後)、さらに進退棒部14が前進するとステージ部13がバランサ部12から離れて位置ずれが生じる。そうなると、進退棒部14によりステージ部13とバランサ部12との位置を保持する意味が減殺される。そこで、進退駆動部20は停止するとともに、進退棒部14はステージ部13と接触した位置にて保持される。
【0028】
これまで説明してきた実施形態の振動試験機1について、当該振動試験機1を用いる振動試験方法の流れは図6の工程フローチャートとして示される。図6の工程フローチャートとともに、図7ないし図10の概略模式図を用いて説明する。図6の工程フローチャートのとおり、振動試験機1を用いる振動試験方法では、接触工程(S1)、距離固定工程(S2)、装着工程(S3)、離隔工程(S4)、振動工程(S5)の順に、各工程が進められる。図7ないし図10の各図は、説明の便宜のため振動本体部10を省略してバランサ部12、ステージ部13、進退棒部14のみを示している。
【0029】
図7(A)は、制御部40の制御下で進退駆動部20が駆動してバランサ部12から進退棒部14は前進(上昇)してステージ部13に接近している状態を示す。そして、図7(B)は、進退棒部14がさらにバランサ部12から前進(上昇)してステージ部13と接触した状態を示す。このとき、進退棒部14とステージ部13との接触は検知部30により検知される。当該段階が、バランサ部12から進退棒部14を前進させてステージ部13に接触させる「接触工程」である(図6のS1参照)。
【0030】
図8(A)は、検知部30が進退棒部14とステージ部13との接触を検知して進退駆動部20の前進駆動(上昇)に制動が加わり進退棒部14が止まった状態を示す。当該段階が、進退棒部14によりバランサ部12とステージ部13との間の距離が保持される「距離固定工程」である(図6のS2参照)。図8(A)において、ステージ部13の上部側に、振動試験に供する被試験物Teが仮置きされる。
【0031】
図7(A)、(B)から図8(A)までは、振動試験機1の振動駆動部15は駆動可能(電源ON)であり、振動本体部10の上下駆動は可能な状態である。しかし、進退棒部14によりバランサ部12とステージ部13との距離が保持されるため、突発的な振動駆動部15の誤作動によるステージ部13の降下は回避される。
【0032】
図8(B)に図示の状態では、振動試験機1の振動駆動部15は駆動停止状態(電源OFF)となる。そして、進退駆動部20の駆動が解除され、進退棒部14の進退位置(上下位置)の微調整が手動により可能となる。
【0033】
図9(A)は、被試験物Teの固定状態を示す。ステージ部13に仮置きされた被試験物Teの上部側に固定ブロック17が設置され、被試験物Teはステージ部13と固定ブロック17により挟まれるとともに、固定ブロック17は振動本体部10に接続される。こうして被試験物Teは強固に振動試験機1の振動本体部10に装着される。当該段階が、被試験物Teをステージ部13に装着する「装着工程」である(図6のS3参照)。
【0034】
図9(A)の状態では、被試験物Teのステージ部13への装着に際し、固定ブロック17の固定のため、ステージ部13の上下位置の微調整が行われる場合もある。このとき、ステージ部13は進退棒部14により下方から下支えされている。進退駆動部20の駆動は解除されているとしても、進退棒部14の位置はシリンダ部21内の空気圧によりほぼ一定に維持されている。そのため、ステージ部13の不意な降下、極端な位置ずれは進退棒部14により抑制される。
【0035】
図9(B)は、被試験物Teの振動本体部10への装着が完了した状態を示す。このとき、進退駆動部20は駆動を再開して、進退棒部14はバランサ部12側へ後退(降下)している。当該段階が、進退棒部14をステージ部13から離隔する「離隔工程」である(図6のS4参照)。
【0036】
図10は、被試験物Teに対する振動試験実施可能な状態を示す。進退棒部14が十分に後退(降下)してステージ部13からバランサ部12までの距離が確保され、ステージ部13とバランサ部12との間に障害物が存在しないことが確認される。そして、振動試験機1の振動駆動部15は駆動状態(電源ON)となり、上下振動を開始する。当該段階が、振動駆動部15により振動本体部10を振動させて被試験物Teに対して振動を付与する「振動工程」となる(図6のS5参照)。
【0037】
図7ないし図10の各段階から理解されるように、実施形態の振動試験機1を用いる振動試験方法にあっては、バランサ部12から進退(昇降)する進退棒部14により、振動本体部10に設けられるステージ部13は下方から支えられる。従って、被試験物Teのステージ部13への装着作業時、振動試験機1の振動駆動部15は停止しているため、振動試験機1自体の制御不良による影響は解消される。
【0038】
また、進退棒部14がステージ部13を支持するため、被試験物Teをステージ部13に装着する際の意図しないプリロードは生じ難くなる。加えて、振動試験機1の振動駆動部15と進退駆動部20の両方とも駆動停止状態であっても進退棒部14は位置を保持している。このため、被試験物Teをステージ部13に装着する際の位置合わせの際に振動駆動部15を作動させてステージ部13を昇降させて位置合わせをする必要はなく、操作は簡便となる。
【符号の説明】
【0039】
1 振動試験機
10 振動本体部
11 台部
12 バランサ部
13 ステージ部
14 進退棒部
15 振動駆動部
17 固定ブロック
20 進退駆動部
21 シリンダ部
22 ピストン部
23,24 バルブ
25 ポンプ
26 送気配管
27 排気配管
30 検知部
40 制御部
41 CPU
42 ROM
43 RAM
44 インプット/アウトプットインターフェイス
Te 被試験物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10