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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007928
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/02 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
H02K1/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111078
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】390022806
【氏名又は名称】日本ピストンリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】坂本 正文
(72)【発明者】
【氏名】藤井 功隆
(72)【発明者】
【氏名】星野 正宏
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA29
5H601DD12
5H601GD02
5H601GD08
5H601GD09
5H601GD18
5H601HH05
(57)【要約】
【課題】複数分割された圧粉鉄心の接合部の磁気抵抗を減少させ、高効率化、高トルク化を実現させる回転電機を提供する。
【解決手段】回転軸の軸線方向にコイルの巻き線軸を有すると共に、前記回転軸の軸線方向に突き出た複数のティース部が周方向に分布配置された固定子と、前記回転軸を備える回転子とを有し、前記固定子と前記回転子の間に前記回転軸の軸線方向にギャップを有するアキシャルギャップ式の回転電機であって、前記固定子は、周方向に複数個に分割された圧粉鉄心の接合よりなり、前記圧粉鉄心同士の接合部は、接合面積が増加するように前記回転軸の軸線方向に部分的に突き出した突出部を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の軸線方向にコイルの巻き線軸を有すると共に、前記回転軸の軸線方向に突き出た複数のティース部が周方向に分布配置された固定子と、前記回転軸を備える回転子とを有し、前記固定子と前記回転子の間に前記回転軸の軸線方向にギャップを有するアキシャルギャップ式の回転電機であって、
前記固定子は、周方向に複数個に分割された圧粉鉄心の接合よりなり、
前記圧粉鉄心同士の接合部は、接合面積が増加するように前記回転軸の軸線方向に部分的に突き出した突出部を備えることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機において、
前記突出部は、ブラケットに設けた窓部に格納されることを特徴とする回転電機。
【請求項3】
請求項1に記載の回転電機において、
前記突出部は、ブラケットに設けた軸線方向の窪み部に格納されることを特徴とする回転電機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の回転電機において、
前記接合部の接合面は、前記回転軸の軸線を通り、前記回転軸の軸線を中心に回転する仮想平面に対して、平行とならないことを特徴とする回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機や発電機として用いられるアキシャルギャップ式回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機は、市場より軽薄短小化の要求が強く、また最近は地球温暖化対策として、省エネルギー化や高効率化の要求も増加してきている。更に、低振動化、低騒音化、そして安価であることも強く要求される。その中で、回転軸の軸線方向にエアギャップを有するアキシャルギャップ式回転電機は扁平で薄型に構成するのに有利な構造であることから、近年注目される回転電機の形態である。
【0003】
しかし、ラジアルギャップ式回転電機は珪素鋼鈑の積層鉄心により固定子や回転子を構成するのに対し、アキシャルギャップ式回転電機では磁束が回転軸の軸線方向に通過することから、磁束の通過に方向性を有する積層鉄心は使用できない。そのため、アキシャルギャップ式回転電機では鉄心として磁束通過に方向性を持たない圧粉鉄心が使用される。圧粉鉄心は、鉄粉などの金属磁性粉末を樹脂でコーテングし、加圧成形後、熱処理して製造される。このような圧粉鉄心の成形に要する圧力は約8ton/cmと高圧であり、回転電機のサイズが大きくなると、大型のプレス成型機が必要になる。その場合、高額な設備投資が必要となり、コストの増加となる欠点がある。
【0004】
このため、回転電機のサイズが大きくなる場合は、通常、圧粉鉄心を同一形状に複数分割して成形し、所望の形状に組み合わせて、アキシャルギャップ式回転電機の固定子や回転子として使用される。例えば、特許文献1に記載されている従来技術のように、ヨーク部から2個のティース部が突出する圧粉鉄心を一部品として成形し、複数の圧粉鉄心を環状に組み合わせて、12個のティース部からなる圧粉鉄心とする構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6228633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されるような、複数に分割された圧粉鉄心を接合し一体化して使用する場合には、接合部の接合面間の隙間や、高トルクを得ようとするための巻き線スペースの増大による接合面積の不足等により、接合部の磁気抵抗は無視できないレベルに増加することがあり、トルク減少等の不具合を発生させる問題があった。
【0007】
また、図13に示す従来技術の圧粉鉄心200のように、隣り合う圧粉鉄心との接合面201に、面取り等の加工が施される場合には、接合面積が減少し、接合部の磁気抵抗の増加を招く恐れがあった。また、面取り等が施されていない場合であっても、接合面の精度によっては部分的な隙間が発生し、有効接合面積が本来の接合面の面積よりも減少して、上記と同様の問題が生じる恐れがあった。
【0008】
そこで、本発明は上記の事項に鑑みてなされたものであり、安価で信頼性の高い手法によって、複数分割された圧粉鉄心の接合部の磁気抵抗を減少させ、高効率化、高トルク化を実現させる回転電機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記課題を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0010】
本願発明に係る回転電機は、回転軸の軸線方向にコイルの巻き線軸を有すると共に、前記回転軸の軸線方向に突き出た複数のティース部が周方向に分布配置された固定子と、前記回転軸を備える回転子とを有し、前記固定子と前記回転子の間に前記回転軸の軸線方向にギャップを有するアキシャルギャップ式の回転電機であって、前記固定子は、周方向に複数個に分割された圧粉鉄心の接合よりなり、前記圧粉鉄心同士の接合部は、接合面積が増加するように前記回転軸の軸線方向に部分的に突き出した突出部を備えることを特徴とする。
【0011】
本願発明に係る回転電機において、前記突出部は、ブラケットに設けた窓部に格納されると好適である。
【0012】
本願発明に係る回転電機において、前記突出部は、ブラケットに設けた軸線方向の窪み部に格納されると好適である。
【0013】
本願発明に係る回転電機において、前記接合部の接合面は、前記回転軸の軸線を通り、前記回転軸の軸線を中心に回転する仮想平面に対して、平行とならないと好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る回転電機によれば、圧粉鉄心の外径サイズを拡大させることなく、分割された圧粉鉄心の接合面積を増大でき、磁気抵抗を減少させてトルクの増加を図ることができる。また、回転軸の軸線方向に突き出た突出部をブラケットに設けた窓部に格納するため、回転電機の軸線方向の全長を増加させることなく接合部の磁気抵抗を減少させることができる。また、接合面の形状を曲面や斜面とすることで、接合部の接合面積を増加させて磁気抵抗を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る回転電機を示す分解斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る圧粉鉄心の一例を示す斜視図。
図3】本発明の実施形態に係る圧粉鉄心であって、ブラケット側の突出部にテーパ面が施された変形例を示す斜視図。
図4】本発明の実施形態に係る圧粉鉄心であって、ブラケット側の突出部に曲面が施された変形例を示す斜視図。
図5】(a)本発明の実施形態に係る回転電機を示す平面図であって、(b)は図5(a)のA-A断面図。
図6】本発明の実施形態に係る圧粉鉄心の接合部の磁気抵抗について説明する参考図。
図7】本発明の実施形態に係る圧粉鉄心であって、コイル側に突出部を有する変形例を示す斜視図。
図8】本発明の実施形態に係る圧粉鉄心であって、ヨーク部に波型の接合面が形成された変形例を示す斜視図。
図9】本発明の実施形態に係る圧粉鉄心であって、ティース部に波型の接合面が形成された変形例を示す斜視図。
図10】本発明の実施形態に係る圧粉鉄心であって、ヨーク部にテーパ状の接合面が形成された変形例を示す斜視図。
図11】本発明の実施形態に係る圧粉鉄心の接合面の向きを説明する参考図。
図12】本発明の実施形態に係る圧粉鉄心であって、ティース部を軸線方向に分割する波型面の接合面が設けられた変形例を示す斜視図。
図13】従来技術の圧粉鉄心を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る回転電機を示す分解斜視図、図2は、本発明の実施形態に係る圧粉鉄心の一例を示す斜視図、図5(a)は、本発明の実施形態に係る回転電機を示す平面図であって、図5(b)は図5(a)のA-A断面図である。なお、本明細書において、「軸線」及び「軸線方向」とは、回転電機の回転軸の軸線及びその方向と定義する。
【0018】
[回転電機の部品構成]
本実施形態に係る回転電機1は、図1に示すように、複数の圧粉鉄心21と複数のコイル31によって構成される固定子20と、複数の永久磁石41を含む回転子40を有する。また、本実施形態に係る回転電機1は、例えば、ブラシレスDCモータに適用される。
【0019】
固定子20は、複数の同一形状に分割された圧粉鉄心21を環状に組み合わせ、一体となるように接合した鉄心と、軸線方向に突き出た圧粉鉄心21のティース部22に嵌合する複数のコイル31によって構成される。
【0020】
圧粉鉄心21は、前述したように、成形に約8ton/cmの圧力密度が必要となる。圧粉鉄心21は、回転電機が小型の場合には、一体の圧縮鉄心として加圧成形ができるが、回転電機が大型となる場合には、図1に示すように、複数の圧粉鉄心21として分割して成形し、環状に組み合わせて接合される。
【0021】
圧粉鉄心21は、図2に示すように、ヨーク部23と、ヨーク部23から軸線方向に突出したティース部22からなる。また、ヨーク部23の両端部には、圧粉鉄心21を複数組み合わせて接合する際に、隣り合う圧粉鉄心21との接合部となる、接合面25と突出部26が形成される。
【0022】
接合面25は、図1に示すように、隣り合う圧粉鉄心21の接合面25と接合する。また、本実施形態において、接合面25の形状は、接合面積の増加を目的とした複数の実施形態を有しており、後ほど詳しく説明を行う。
【0023】
突出部26は、図1に示すように、回転電機1の組み立て状態において、後述するブラケット11側に突出する。突出部26は、図2に示すように、ヨーク部23の両端部において、接合面25を延設するようにヨーク部端面24から軸線方向に突出する。また、本実施形態におけるヨーク部端面24から延出する突出部26の壁面の形状は、図2に示すような矩形状である場合について説明を行うが、当該壁面の形状はこれに限らず、図3に示すようなテーパ面としてもよく、図4に示すような曲面であっても構わない。
【0024】
ブラケット11は、図5(b)に示すように、後述するカバー61と共に、内部に固定子20と回転子40を収容する。また、ブラケット11には、軸線方向の端面13に複数の窓部12が設けられている。
【0025】
窓部12は、ブラケット11の軸線方向の端面13を貫通する矩形状の貫通孔であって、回転電機1の組み立て状態において、突出部26に対応する位置に形成され、図5(b)に示すように、突出部26を格納する。このように、突出部26を窓部12に格納することにより、ヨーク部端面24から部分的に突き出した突出部26の突出高さを、ブラケット11の端面13の板厚内で吸収することができるため、突出部26は、回転電機1の軸線方向の長さに影響を与えることがない。なお、本実施形態において、窓部12は、図1及び図5において、矩形状の貫通孔であるとして例示したが、窓部12の形状はこれに限らず、回転電機1の組み立て状態において、突出部26がブラケット11と軸線方向に干渉しなければよく、例えば、端面13の内側に施された窪みであっても構わない。
【0026】
回転子40は、界磁用永久磁石であってN極S極が周方向に交互に配置される複数の永久磁石41と、永久磁石41を固着するバックヨーク42と、バックヨーク42を固着する回転軸43からなる。回転軸43は、図1及び図5において、中空軸であるとして例示したが、本実施形態に係る回転軸43は、これに限らず、中実軸であっても構わない。また、回転軸43は、軸線方向の両端部にボールベアリング等の軸受51を備える。
【0027】
カバー61は、図5(b)に示すように、ブラケット11と共に、軸受51を介して回転子40を回転自在に保持する。
【0028】
[圧粉鉄心の接合部における磁気抵抗]
次に、複数の圧粉鉄心21を接合する場合の、接合面における磁気抵抗について説明を行う。図6は、本発明の実施形態に係る圧粉鉄心21の接合部の磁気抵抗について説明する参考図である。
【0029】
本発明の実施形態に係る圧粉鉄心21の接合面25間の磁気抵抗Rは、数式1で表せる。
=L/(μ・S) …(数式1)
また 圧粉鉄心21のヨーク部23の磁気抵抗Rは、数式2で表せる。
=L/(μ・S) …(数式2)

ここで、夫々の記号は以下の通りである。
:接合面間隙間距離
:ヨーク有効長
μ:空気の透磁率
μ:鉄の透磁率
S :接合面積
【0030】
ここで、鉄の透磁率μは空気の透磁率μに比較して、一般的に4000倍程度大きいため、接合面25間の隙間が僅かであっても、接合面25間の磁気抵抗Rは、ヨーク部23の磁気抵抗Rと比較して、その割合は無視できる大きさではなくなる。また、このように圧粉鉄心21の間に複数の接合部を有する回転電機1の特性は、ヨーク部23の磁気抵抗Rと接合面25間の磁気抵抗Rの値に大きく影響され、磁気抵抗Rが零に近いことが望ましく、磁気抵抗Rが大きいと、特にトルク等の減少としてモータ特性に影響を与えることになる。
【0031】
上述したように、接合面25間の磁気抵抗Rは、本来、零に近いことが望まれる。また、数式1により明らかなように、接合面積Sを増加させることで、接合面25間の磁気抵抗Rを減少させることができる。
【0032】
本発明の実施形態におけるヨーク部23の両端部には、図2に示すように、ブラケット11側に突き出す突出部26が、接合面25を延設するように形成されているため、接合面積を増加させることができる。したがって、接合面25同士を接合すれば、突出部26を持たないヨーク部同士を接合する場合と比較して、数式1における接合面積Sが増加し、接合面25間の磁気抵抗Rを減少させることができる。この場合磁束が増加して回転電機1の発生トルクは増加することになる。
【0033】
このように、本発明の実施形態によれば、回転電機1の外径を拡大することなく、また、突出部26が窓部12に格納されるため、回転電機1の軸線方向の長さも増加させることなく、接合面25の面積を拡大することができ、回転電機1の発生トルクを増加させることができる。また、接合面25での接合は、部品精度のバラツキ等で部分的に接触したり、部分的に隙間を有している場合が多いため、本発明はその有効性が高いものである。
【0034】
[接合面の実施形態]
次に、接合面積の増加を目的とした本発明の接合面の実施形態について説明を行う。
【0035】
図7は、接合部の部分的な突き出しを、ブラケット11側だけでなくコイル31側にも補助的に設けた実施例を示す斜視図である。
【0036】
コイル側突出部27は、ヨーク部23の両端部において、接合面25を延設するように、コイル31側に突出する。コイル側突出部27の突出高さは、コイル31の巻線面積を減少させることがないように、コイル31と干渉しない高さに形成される必要がある。また、コイル31との干渉を避けるため、コイル側突出部27のティース部22側の壁面は、図7に示すように、テーパ面に形成されると好適である。本実施形態は、このようにコイル側突出部27の突出高さについての制約が大きいことから、コイル31の巻き数が比較的少ない場合に適したものとなる。また、本実施形態のコイル側突出部27は、図7に示すように、ブラケット11側の突出部26と併用して補助的に用いてもよく、また、ブラケット11側の突出部26を形成せずにコイル側突出部27のみを接合面積の増加手段として用いても構わない。
【0037】
図8は、圧粉鉄心21の接合面25がヨーク部23にあり、波型に形成された実施例を示す斜視図である。図9は、圧粉鉄心21の接合面25がティース部22にあり、波型に形成された実施例を示す斜視図である。図10は、圧粉鉄心21の接合面25がヨーク部23にあり、斜面に形成された実施例を示す斜視図である。
【0038】
図8から10に示す実施例は、接合面25を波型の曲面や斜面となるよう形成して、接合面積を増加させた場合の実施例である。
【0039】
接合面25の接合面積は、圧粉鉄心21を環状に接合し回転電機1に組付けた状態において、図11の参考図に示すような、図示しない回転軸43の軸線を通り、回転軸43の軸線を中心に回転する仮想平面100と、接合面25とが一致する場合に、最小の接合面積となる。図8から10に示す実施例では、接合面25はいずれも、図11に示す仮想平面100と一致せず、仮想平面100に対して平行とならない面に形成されている。そのため、これらの接合面25は、最小接合面積よりも大きな接合面積を有していることが確認できる。
【0040】
なお、接合面間の隙間から出る磁力線は、接合面に垂直に、即ち法線方向に出る性質があるので、接合面積が大きいほど磁束量を増加させ、磁気抵抗を減らすことができる。したがって、本実施形態のように、接合面25の形状を波型の曲面や斜面とすることで、接合面積を増やすことができ、磁束量を増加させ磁気抵抗を減らすことができる。またこのような接合面25の形状を有することで、突出部26のような軸線方向への突き出しがなくとも、磁気抵抗を減少させることが可能である。
【0041】
図12は、本発明の実施形態に係る圧粉鉄心の変形例であって、ティース部を軸線方向に分割する波型の接合面が設けられた変形例を示す斜視図である。
【0042】
圧粉鉄心21の成形工程において、ティース部22の高さ方向の成形に制約が生じる場合、図12に示すように、軸線方向に分割されたティース部22を成形し、接合して使用しても構わない。その際、接合面25の形状を波型の曲面や斜面とすることで、上述したように接合部の磁気抵抗を減少させることができる。
【0043】
上述したように、本発明に係る回転電機によれば、安価で信頼性の高い手法によって、圧粉鉄心の外径サイズを拡大させることなく、分割された圧粉鉄心の接合面積を増大でき、磁気抵抗を減少させて回転電機の高効率化及び高トルクを図ることができる。また、回転軸の軸線方向に突き出た突出部をブラケットに設けた窓部に格納するため、外径サイズだけでなく軸線方向の全長も増加させることがなく、回転電機の軽薄短小化を図ることができる。
【0044】
なお、本発明に係る回転電機の適用例として、回転子に永久磁石を用いるブラシレスDCモータを例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、回転子に永久磁石を有してないSR(スイッチドレラクタンス)モータであってもよい。また、外部から軸を回転させる発電機に適用しても構わず、この場合、磁気抵抗の減少は発電効率の向上に寄与する。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0045】
1 回転電機, 11 ブラケット, 12 窓部, 13 端面, 20 固定子, 21 圧粉鉄心, 22 ティース部, 23 ヨーク部, 24 ヨーク部端面, 25 接合部, 26 突出部, 27 コイル側突出部, 31 コイル, 40 回転子, 41 永久磁石, 42 バックヨーク, 43 回転軸, 51 軸受, 61 カバー, 100 仮想平面。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13