(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079294
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】液体収容袋、容器用挿入具、容器用挿入具の製造方法、容器用挿入具と容器との組立体、および容器用挿入具と容器との組立体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 77/06 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
B65D77/06 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192688
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(71)【出願人】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 忠
(72)【発明者】
【氏名】宮谷 知久
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AB81
3E067BA01C
3E067BA12B
3E067BB11C
3E067BB14B
3E067CA02
3E067FA04
3E067FB15
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】外装容器に収容された畳み込み状態から、破損を抑制しつつ満遍なく膨らませることが可能な液体収容袋を提供する。
【解決手段】液体収容袋30は、液体取出管20が挿抜可能に挿入されるスパウト31と、収容空間を内部に有する袋体32とを備える。袋体32は、スパウト31に接合された第1シート部33と、第2シート部34と、第1シート部33および第2シート部34の周縁部同士を接合するシール部35とを含む。収容空間に収容された液体取出管20の一端20a側に沿うように当該液体取出管20の一端20a側を第2シート部34が覆い、かつ、第1シート部33が液体取出管20の一端20a側に近づくように袋体32が畳み込まれた畳み込み状態において、シール部35は、最外周に位置する部分の第1シート部33と液体取出管20の一端20a側を覆う部分の第2シート部34との間に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体取出管が挿抜可能に挿入されるスパウトと、
液体取出管の一端側を収容可能な収容空間を内部に有し、前記スパウトに接合された袋体と、を備え、
前記袋体は、前記スパウトに接合された第1シート部と、前記第1シート部に重ねられた第2シート部と、前記第1シート部および前記第2シート部の周縁部同士を接合し、前記第1シート部と前記第2シート部との間に前記収容空間を形成するシール部と、を含み、
前記収容空間に収容された液体取出管の一端側に沿うように当該液体取出管の一端側を前記第2シート部が覆い、かつ、前記第1シート部が液体取出管の一端側に近づくように前記袋体が畳み込まれた畳み込み状態において、前記シール部は、最外周に位置する部分の前記第1シート部と液体取出管の一端側を覆う部分の前記第2シート部との間に位置する、液体収容袋。
【請求項2】
前記畳み込み状態において、最外周側から内側に折り返される前記第1シート部の折り返し部は、液体取出管の軸方向において、液体取出管の一端と略同じ位置に位置する、請求項1に記載の液体収容袋。
【請求項3】
前記スパウトは、前記第1シート部を貫通するように設けられ、前記袋体の外側に位置する第1端および前記袋体の内側に位置する第2端を有する筒状体と、前記第1端に設けられた第1フランジ部と、前記第1フランジ部から前記第2端側に離れて前記筒状体に設けられ、前記第1フランジ部よりも前記筒状体の径方向外側に突出する第2フランジ部と、を含み、
前記第2フランジ部に前記第1シート部が接合されている、請求項1または2に記載の液体収容袋。
【請求項4】
容器の開口部に着脱可能に装着される液体取出管と、
収容空間を有し、前記液体取出管の一端側を前記収容空間に収容するように前記液体取出管に取り付けられた液体収容袋と、を備え、
前記液体収容袋は、前記液体取出管が挿抜可能に挿入されたスパウトと、前記スパウトに接合された袋体と、を含み、
前記袋体は、前記スパウトに接合された第1シート部と、前記第1シート部に重ねられた第2シート部と、前記第1シート部および前記第2シート部の周縁部同士を接合し、前記第1シート部と前記第2シート部との間に前記収容空間を形成するシール部と、を有し、
前記収容空間に収容された前記液体取出管の前記一端側に沿うように前記液体取出管の前記一端側を前記第2シート部が覆い、かつ、前記第1シート部が前記液体取出管の前記一端側に近づき、前記シール部が、最外周に位置する部分の前記第1シート部と前記液体取出管の前記一端側を覆う部分の前記第2シート部との間に位置するように前記袋体が畳み込まれた状態で、前記液体収容袋は、前記液体取出管に取り付けられている、容器用挿入具。
【請求項5】
容器に挿入される容器用挿入具の製造方法であって、
スパウトと、前記スパウトに接合された第1シート部、前記第1シート部に重ねられた第2シート部、前記第1シート部および前記第2シート部の周縁部同士を接合し、前記第1シート部と前記第2シート部との間に収容空間を形成するシール部を有する袋体と、を含む液体収容袋を準備する工程と、
容器の開口部に着脱可能に装着される液体取出管に前記液体収容袋を取り付ける工程とを、備え、
前記液体取出管に前記液体収容袋を取り付ける工程は、
軸方向に一端および他端を有し、前記一端側が前記スパウトを介して前記収容空間に挿入された状態で前記収容空間内の気体を外部に排気可能に設けられた筒状の第1冶具を準備する工程と、
前記第1冶具の前記一端側が挿入可能に設けられた筒状の第2冶具を準備する工程と、
前記第1冶具の前記他端側が前記袋体の外側に位置し、かつ、前記第1冶具の前記一端側が前記収容空間内に位置するように、前記スパウトを介して前記収容空間に前記第1冶具を相対的に挿入する工程と、
前記収容空間に収容された前記第1冶具の前記一端側に沿うように前記第1冶具の前記一端側を前記第2シート部で覆う工程と、
前記第2シート部で覆われた前記第1冶具の前記一端側を前記第2冶具に相対的に挿入する工程と、
前記第2冶具から露出する部分の前記袋体内の気体を前記第1冶具を介して外部に排気しながら、前記第1シート部を前記第2冶具に沿うように前記第1冶具の前記一端側に近づけて、前記シール部が、最外周に位置する部分の前記第1シート部と前記第1冶具の前記一端側を覆う部分の前記第2シート部との間に位置するように、前記袋体を畳み込む工程と、
前記袋体が畳み込まれた畳み込み状態を維持しつつ、前記スパウトを介して前記袋体から前記第1冶具を相対的に抜き取る工程と、
前記畳み込み状態が維持された前記袋体の前記収容空間に前記スパウトを介して前記液体取出管を相対的に挿入する工程と、を含む、容器用挿入具の製造方法。
【請求項6】
前記液体取出管を相対的に挿入する工程は、前記第1冶具の前記一端側を覆っていた部分の前記第2シート部によって規定され、かつ前記第2冶具の内部に収容されている部分の前記収容空間に、前記スパウトを介して前記液体取出管の一端側を相対的に挿入して、前記液体体取出管に前記液体収容袋を取り付ける工程を有する、請求項5に記載の容器用挿入具の製造方法。
【請求項7】
前記液体収容袋が取り付けられた前記液体取出管を前記第2冶具から取り外す工程を、さらに備えた、請求項6に記載の容器用挿入具の製造方法。
【請求項8】
前記第1冶具を相対的に抜き取る工程の前に、前記畳み込み状態が維持されるように前記袋体を前記第2冶具に押さえつける工程をさらに備える、請求項5から7のいずれか1項に記載の容器用挿入具の製造方法。
【請求項9】
前記スパウトは、前記第1シート部を貫通するように設けられ、前記袋体の外側に位置する第1端および前記袋体の内側に位置する第2端を有する筒状体と、前記第1端に設けられた第1フランジ部と、前記第1フランジ部から前記第2端側に離れて前記筒状体に設けられ、前記第1フランジ部よりも前記筒状体の径方向外側に突出する第2フランジ部と、を含み、
前記第2フランジ部に前記第1シート部が接合されており、
前記第1冶具を相対的に挿入する工程は、前記第1冶具を相対的に挿入する前に、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部との間に把持具を挿入して、前記液体収容袋を把持する工程を有する、請求項5から8のいずれか1項に記載の容器用挿入具の製造方法。
【請求項10】
内部空間に連通する開口部を有する容器と、
前記開口部に組み付けられた容器用挿入具と、を備え、
前記容器用挿入具は、一端を有し、かつ前記一端側が前記内部空間に位置するように前記開口部に着脱可能に装着された液体取出管と、収容空間を有し、前記液体取出管の前記一端側を前記収容空間に収容するように前記液体取出管に取り付けられた液体収容袋と、を含み、
前記液体収容袋は、前記液体取出管が挿抜可能に挿入されたスパウトと、前記スパウトに接合された袋体と、を含み、
前記袋体は、前記スパウトに接合された第1シート部と、前記第1シート部に重ねられた第2シート部と、前記第1シート部および前記第2シート部の周縁部同士を接合し、前記第1シート部と前記第2シート部との間に前記収容空間を形成するシール部と、を有し、
前記液体収容袋は、前記容器の前記内部空間に配置されており、
前記収容空間に収容された前記液体取出管の前記一端側に沿うように前記液体取出管の前記一端側を前記第2シート部が覆い、かつ、前記第1シート部が前記液体取出管の前記一端側に近づき、前記シール部が、最外周に位置する部分の前記第1シート部と前記液体取出管の前記一端側を覆う部分の前記第2シート部との間に位置するように前記袋体が畳み込まれた状態で、前記液体収容袋は、前記液体取出管に取り付けられている、容器と容器用挿入具との組立体。
【請求項11】
内部空間に連通する開口部を有する容器を準備する工程と、
前記開口部に組み付けるための容器用挿入具を準備する工程と、
前記開口部に前記容器用挿入具を組み付ける工程と、を備え、
前記容器用挿入具として、一端を有し、前記開口部に着脱可能に装着される液体取出管と、収容空間を有し、前記液体取出管の前記一端側を前記収容空間に収容するように前記液体取出管に取り付けられた液体収容袋とを含むものを用い、
前記液体収容袋は、前記液体取出管が挿抜可能に挿入されたスパウトと、前記スパウトに接合された袋体と、を含んでおり、
前記袋体は、前記スパウトに接合された第1シート部と、前記第1シート部に重ねられた第2シート部と、前記第1シート部および前記第2シート部の周縁部同士を接合し、前記第1シート部と前記第2シート部との間に前記収容空間を形成するシール部と、を有し、
前記収容空間に収容された前記液体取出管の前記一端側に沿うように前記液体取出管の前記一端側を前記第2シート部が覆い、かつ、前記第1シート部が前記液体取出管の前記一端側に近づき、前記シール部が、最外周に位置する部分の前記第1シート部と前記液体取出管の前記一端側を覆う部分の前記第2シート部との間に位置するように前記袋体が畳み込まれた状態で、前記液体収容袋は、前記液体取出管に取り付けられており、
前記開口部に前記容器用挿入具を組み付ける工程において、前記液体取出管の前記一端が前記内部空間に位置し、前記液体収容袋が前記容器の前記内部空間に配置されるように、前記液体取出管を前記開口部に装着する、容器と容器用挿入具との組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体収容袋、容器用挿入具、容器用挿入具の製造方法、容器用挿入具と容器との組立体、および容器用挿入具と容器との組立体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工業薬品分野、医薬品や化粧品原料分野等では、外装容器の内部に液体収納容器を配置し、当該液体収納容器内に液体等の流動性内容物を充填することが行われている。液体収納容器は、取り外し可能に外装容器に装着されており、内容物が使用された後には、使用済みの液体収容容器が外装容器から取り出され、新たな液体収容容器が外装容器内に装着される。これにより、液体収容容器を用いずに外装容器に直接、流動性内容物を充填する場合と比較して、外装容器を洗浄する手間を省略することができる。
【0003】
このような液体収納容器として、特許6323757号公報(特許文献1)には、注出口が設けられた袋本体を、縦方向に沿って延びる縦方向折曲線を介して蛇腹状に折り畳んだものが開示されている。
【0004】
近年、ソフトドリンク、ビール等の飲料分野においても、特表2011-501720号公報(特許文献2)に開示されるように、外側ケースの内側に配置された内側ケースに、飲料を充填することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許6323757号公報
【特許文献2】特表2011-501720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、蛇腹状に折り畳み込まれた袋本体が、外装容器に収容されて、自身の力で折り畳み状態から展開された場合には、袋体のヒートシール部が袋体の外周に位置する。このため、袋体を膨らませる際に、ヒートシール部が外装体に引っ掛かりやすくなり、袋本体がきれいに広がらず、内容物の充填量が不安定になったり、袋本体が破れたりすることが懸念される。特許文献2においても、このような懸念については、十分に考慮されていない。
【0007】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、外装容器に収容された畳み込み状態から、破損を抑制しつつ満遍なく膨らませることが可能な液体収容袋、当該液体収容袋を備えた容器用挿入具、容器用挿入具の製造方法、容器用挿入具と容器との組立体、および容器用挿入具と容器との組立体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に基づく液体収容袋は、液体取出管が挿抜可能に挿入されるスパウトと、液体取出管の一端側を収容可能な収容空間を内部に有し、上記スパウトに接合された袋体と、を備える。上記袋体は、上記スパウトに接合された第1シート部と、上記第1シート部に重ねられた第2シート部と、上記第1シート部および上記第2シート部の周縁部同士を接合し、上記第1シート部と上記第2シート部との間に上記収容空間を形成するシール部と、を含む。上記収容空間に収容された液体取出管の一端側に沿うように当該液体取出管の一端側を上記第2シート部が覆い、かつ、上記第1シート部が液体取出管の一端側に近づくように上記袋体が畳み込まれた畳み込み状態において、上記シール部は、最外周に位置する部分の上記第1シート部と液体取出管の一端側を覆う部分の上記第2シート部との間に位置する。
【0009】
上記本開示に基づく液体収容袋にあっては、上記畳み込み状態において、最外周側から内側に折り返される上記第1シート部の折り返し部は、液体取出管の軸方向において、液体取出管の一端と略同じ位置に位置することが好ましい。
【0010】
上記本開示に基づく液体収容袋にあっては、上記スパウトは、上記第1シート部を貫通するように設けられ、上記袋体の外側に位置する第1端および上記袋体の内側に位置する第2端を有する筒状体と、上記第1端に設けられた第1フランジ部と、上記第1フランジ部から上記第2端側に離れて上記筒状体に設けられ、上記第1フランジ部よりも上記筒状体の径方向外側に突出する第2フランジ部と、を含んでいてもよい。この場合には、上記第2フランジ部に上記第1シート部が接合されていてもよい。
【0011】
本開示に基づく容器用挿入具は、容器の開口部に着脱可能に装着される液体取出管と、収容空間を有し、上記液体取出管の一端側を上記収容空間に収容するように上記液体取出管に取り付けられた液体収容袋と、を備える。上記液体収容袋は、上記液体取出管が挿抜可能に挿入されたスパウトと、上記スパウトに接合された袋体と、を含む。上記袋体は、上記スパウトに接合された第1シート部と、上記第1シート部に重ねられた第2シート部と、上記第1シート部および上記第2シート部の周縁部同士を接合し、上記第1シート部と上記第2シート部との間に上記収容空間を形成するシール部と、を有する。上記収容空間に収容された上記液体取出管の上記一端側に沿うように上記液体取出管の上記一端側を上記第2シート部が覆い、かつ、上記第1シート部が上記液体取出管の一端側に近づき、上記シール部が、最外周に位置する部分の上記第1シート部と上記液体取出管の上記一端側を覆う部分の上記第2シート部との間に位置するように、上記袋体が畳み込まれた状態で、上記液体収容袋は、上記液体取出管に取り付けられている。
【0012】
本開示に基づく容器に挿入される容器用挿入具の製造方法は、スパウトと、上記スパウトに接合された第1シート部、上記第1シート部に重ねられた第2シート部、上記第1シート部および上記第2シート部の周縁部同士を接合し、上記第1シート部と上記第2シート部との間に収容空間を形成するシール部を有する袋体と、を含む液体収容袋を準備する工程と、容器の開口部に着脱可能に装着される液体取出管に上記液体収容袋を取り付ける工程とを、備える。上記液体取出管に上記液体収容袋を取り付ける工程は、軸方向に一端および他端を有し、上記一端側が上記スパウトを介して上記収容空間に挿入された状態で上記収容空間内の気体を外部に排気可能に設けられた筒状の第1冶具を準備する工程と、上記第1冶具の上記一端側が挿入可能に設けられた筒状の第2冶具を準備する工程と、上記第1冶具の上記他端側が上記袋体の外側に位置し、かつ、上記第1冶具の上記一端側が上記収容空間内に位置するように、上記スパウトを介して上記収容空間に上記第1冶具を相対的に挿入する工程と、上記収容空間に収容された上記第1冶具の上記一端側に沿うように上記第1冶具の上記一端側を上記第2シート部で覆う工程と、上記第2シート部で覆われた上記第1冶具の上記一端側を上記第2冶具に相対的に挿入する工程と、上記第2冶具から露出する部分の上記袋体内の気体を上記第1冶具を介して外部に排気しながら、上記第1シート部を上記第2冶具に沿うように上記第1冶具の上記一端側に近づけて、上記シール部が最外周に位置する部分の上記第1シート部よりも内側に位置するように、上記袋体を畳み込む工程と、上記袋体が畳み込まれた畳み込み状態を維持しつつ、上記スパウトを介して上記袋体から上記第1冶具を相対的に抜き取る工程と、上記畳み込み状態が維持された上記袋体の上記収容空間に上記スパウトを介して上記液体取出管を相対的に挿入する工程と、を含む。
【0013】
上記本開示に基づく容器用挿入具の製造方法にあっては、上記液体取出管を相対的に挿入する工程は、上記第1冶具の上記一端側を覆っていた部分の上記第2シート部によって規定され、かつ上記第2冶具の内部に収容されている上記収容空間に、上記スパウトを介して上記液体取出管の一端側を相対的に挿入して、上記液体取出管に上記液体収容袋を取り付ける工程を有していてもよい。
【0014】
上記本開示に基づく容器用挿入具の製造方法は、上記液体収容袋が取り付けられた上記液体取出管を上記第2冶具から取り外す工程を、さらに備えていてもよい。
【0015】
上記本開示に基づく容器用挿入具の製造方法は、上記第1冶具を相対的に抜き取る工程の前に、上記畳み込み状態が維持されるように上記袋体を上記第2冶具に押さえつける工さらに備えていてもよい。
【0016】
上記本開示に基づく容器用挿入具の製造方法にあっては、上記スパウトは、上記第1シート部を貫通するように設けられ、上記袋体の外側に位置する第1端および上記袋体の内側に位置する第2端を有する筒状体と、上記第1端に設けられた第1フランジ部と、上記第1フランジ部から上記第2端側に離れて上記筒状体に設けられ、上記第1フランジ部よりも上記筒状体の径方向外側に突出する第2フランジ部と、を含んでいてもよく、上記第2フランジ部に上記第1シート部が接合されていてもよい。この場合には、上記第1冶具を相対的に挿入する工程は、上記第1冶具を相対的に挿入する前に、上記第1フランジ部と上記第2フランジ部との間に把持具を挿入して、上記液体収容袋を把持する工程を有していてもよい。
【0017】
本開示に基づく容器と容器用挿入具との組立体は、内部空間および上記内部空間に連通する開口部を有する容器と、上記容器に組み付けられた容器用挿入具と、を備える。上記容器用挿入具は、一端を有し、かつ上記一端側が上記内部空間に位置するように上記開口部に着脱可能に装着された液体取出管と、収容空間を有し、上記液体取出管の上記一端側を上記収容空間に収容するように上記液体取出管に取り付けられた液体収容袋と、を含む。上記液体収容袋は、上記液体取出管が挿抜可能に挿入されたスパウトと、上記スパウトに接合された袋体と、を含む。上記袋体は、上記スパウトに接合された第1シート部と、上記第1シート部に重ねられた第2シート部と、上記第1シート部および上記第2シート部の周縁部同士を接合し、上記第1シート部と上記第2シート部との間に上記収容空間を形成するシール部と、を有する。上記液体収容袋は、上記容器の上記内部空間に配置されている。上記収容空間に収容された上記液体取出管の上記一端側に沿うように上記液体取出管の上記一端側を上記第2シート部が覆い、かつ、上記第1シート部が上記液体取出管の上記一端側に近づき、上記シール部が、最外周に位置する部分の上記第1シート部と上記液体取出管の上記一端側を覆う部分の上記第2シート部との間に位置するように上記袋体が畳み込まれた状態で、上記液体収容袋は、上記液体取出管に取り付けられている、容器と容器用挿入具との組立体。
【0018】
本開示に基づく容器と容器用挿入具との組立体の製造方法は、内部空間および上記内部空間に連通する開口部を有する容器を準備する工程と、上記容器に組み付けるための容器用挿入具を準備する工程と、上記容器に上記容器用挿入具を組み付ける工程と、を備える。上記容器用挿入具として、一端を有し、上記開口部に着脱可能に装着される液体取出管と、収容空間を有し、上記液体取出管の上記一端側を上記収容空間に収容するように上記液体取出管に取り付けられた液体収容袋とを含むものを用いる。上記液体収容袋は、上記液体取出管が挿抜可能に挿入されたスパウトと、上記スパウトに接合された袋体と、を含んでいる。上記袋体は、上記スパウトに接合された第1シート部と、上記第1シート部に重ねられた第2シート部と、上記第1シート部および上記第2シート部の周縁部同士を接合し、上記第1シート部と上記第2シート部との間に上記収容空間を形成するシール部と、を有する。上記収容空間に収容された上記液体取出管の上記一端側に沿うように上記液体取出管の上記一端側を上記第2シート部が覆い、かつ、上記第1シート部が液体取出管の一端側に近づき、上記シール部が、最外周に位置する部分の上記第1シート部と上記液体取出管の上記一端側を覆う部分の上記第2シート部との間に位置するように上記袋体が畳み込まれた状態で、上記液体収容袋は、上記液体取出管に取り付けられている。上記開口部に上記容器用挿入具を組み付ける工程において、上記液体取出管の上記一端が上記内部空間に位置し、上記液体収容袋が上記容器の上記内部空間に配置されるように、上記液体取出管を上記開口部に装着する。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、外装容器に収容された畳み込み状態から、破損を抑制しつつ満遍なく膨らませることが可能な液体収容袋、当該液体収容袋を備えた容器用挿入具、容器用挿入具の製造方法、容器用挿入具と容器との組立体、および容器用挿入具と容器との組立体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施の形態に係る容器用挿入具と外装容器との組立体を示す概略断面図である。
【
図2】実施の形態に係る組立体において液体収容袋に液体が充填された状態を示す概略断面図である。
【
図3】実施の形態に係る液体収容袋が畳み込まれる前の状態を示す液体収容袋の展開図である。
【
図4】実施の形態に係る液体収容袋に具備されるスパウトを示す斜視図である。
【
図5】
図3に示すV-V線に沿った液体収容袋の断面を拡大して示す拡大断面図である。
【
図6】実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程を示す製造フローである。
【
図7】実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程において、袋体の収容空間に第1冶具を相対的に挿入する工程を示す図である。
【
図8】実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程において、第1冶具の一端側を袋体の第2シート部で覆う工程を示す図である。
【
図9】実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程において、第2シート部で覆われた第1冶具の一端側を第2冶具に相対的に挿入する工程を示す図である。
【
図10】実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程において、袋体を畳み込む工程を示す図である。
【
図11】
図10で示す袋体を畳み込む工程の後状態を示す図である。
【
図12】実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程において、袋体が畳み込まれた畳み込み状態を維持しつつ、袋体から第1冶具を相対的に抜き取る工程を示す図である。
【
図13】実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程において、畳み込み状態が維持された袋体に液体取出管を相対的に挿入する工程を示す図である。
【
図14】
図13で示す液体取出管を相対的に挿入する工程の後状態を示す図である。
【
図15】実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程において、液体収容袋が取り付けられた液体取出管を第2冶具から取り外す工程を示す図である。
【
図16】実施の形態に係る組立体の製造工程を示す製造フロー図である。
【
図17】実施の形態に係る組立体の製造工程において、容器用挿入具の製造工程を経て製造された容器用挿入具を外装容器に組み付ける工程を示す図である。
【
図18】変形例に係る容器用挿入具の製造工程を示す製造フロー図である。
【
図19】変形例に係る容器用挿入具の製造工程において、畳み込み状態にある袋体を第2冶具に押さえつける工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0022】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る容器用挿入具と外装容器との組立体を示す概略断面図である。
図1を参照して、実施の形態に係る組立体100について説明する。
【0023】
図1に示すように、組立体100は、容器としての外装容器1に容器用挿入具10を組み付けたものであり、外装容器1と容器用挿入具10とを備える。
【0024】
外装容器1は、たとえば、ビール、発泡酒、ワイン、日本酒、または蒸留酒等のアルコール飲料、あるいは、ノンアルコールビール、ソフトドリンク、炭酸飲料等の非アルコール飲料等の飲料を充填するために用いられるものである。なお、外装容器1は、液体を充填可能な空間を有する限り、飲料用に限定されない。
【0025】
外装容器1は、本体部2、上部保護部7、および下部保護部8を含む。本体部2は、上壁部3、底壁部4および周壁部5を有する。上壁部3の略中央部には、開口部としての口金部6が設けられている。口金部6は、本体部2の内部空間に連通するように設けられている。口金部6は、筒状に形成されており、容器用挿入具10の第1筒状部21に係合可能に設けられている。周壁部5は、上壁部3および底壁部4の周縁同士を接続するように設けられている。本体部2は、たとえば、アルミニウム、スチール、ステンレス等の金属製部材によって構成されている。なお、本体部2は、樹脂部材で構成されていてもよい。
【0026】
上部保護部7は、本体部2の上部および口金部6を保護する。上部保護部7は、上壁部3の周縁に沿って環状に設けられている。上部保護部7は、口金部6を囲むように設けられている。下部保護部8は、本体部2の底部を保護する。下部保護部8は、底壁部4の周縁に沿って環状に設けられている。
【0027】
上部保護部7および下部保護部8は、たとえば、溶接等によって本体部2に接続されている。なお、上部保護部7および下部保護部8は、本体部2と一体に成形されてもよい。また、上部保護部7および下部保護部8は、省略されてもよい。
【0028】
容器用挿入具10は、液体取出管20および液体収容袋30を備える。液体取出管20は、口金部6に着脱可能に装着される。液体取出管20は、本体部2の内部(内部空間)に挿入された液体収容袋30に液体を充填したり、液体収容袋30から液体を取り出したりするために用いられる。液体取出管20は、一端20aおよび他端20bを有する。液体取出管20は、一端20a側が口金部6を介して本体部2の内部に挿入された状態で、外装容器1に装着される。
【0029】
液体取出管20は、第1筒状部21および第2筒状部22を有する。第1筒状部21は、第1部分211および第2部分212を含む。
【0030】
第1部分211および第2部分212は、筒状形状を有する。第1部分211は、第2部分212の上方に位置する。第1部分211の内径および外径は、それぞれ第2部分212の内径および外径よりも大きい。
【0031】
第1部分211の外表面には、口金部6の内周面に係合可能に設けられた係合部(不図示)が設けられている。第1部分211は、容器用挿入具10が外装容器1に装着された装着状態において、口金部6内に収容される。
【0032】
第2部分212は、第1部分211に連続するように設けられている。第2部分212の内部は、第1部分211の内部に連通している。第2部分212は、上記装着状態において、本体部2の内部に収容されている。第2部分212には、貫通孔(不図示)が設けられている。貫通孔は、上記装着状態において、本体部2の内部に連通する。
【0033】
第2筒状部22は、第1筒状部21を貫通するように設けられている。第2筒状部22の一端は、液体取出管20の一端20aを構成している。第2筒状部22の一端は、第1筒状部21の外部に位置する。第2筒状部22の他端は、第1筒状部21の内部に位置する。
【0034】
第2筒状部22の他端側には、気体が通過可能な状態と通過不能な状態とを切り替える第1切替機構(不図示)および液体が通過可能な状態と通過不能な状態とを切り替える第2切替機構(不図示)が設けられている。
【0035】
第1切替機構は、第2部分212の貫通孔、および第1筒状部21の内部を介して本体部2内に気体を供給可能あるいは本体部2内から気体を排気可能となる開状態、本体部2内に気体を供給不能あるいは本体部2内から気体を排気不能となる閉状態とを切り替え可能に設けられている。第1切替機構は、たとえば弁等によって構成されている。
【0036】
第2切替機構は、第2筒状部22を介して液体収容袋30の収容空間Sに液体を供給可能あるいは液体収容袋30から液体を排出可能となる開状態、上記収容空間Sに液体を供給不能あるいは液体を排出不能となる閉状態とを切り替え可能に設けられている。第2切替機構は、たとえば弁等によって構成されている。
【0037】
第2筒状部22は、大径部221および小径部222を有する。大径部221は、第2筒状部22の上部を構成する。大径部221の上部側は、第1筒状部21内に位置する。大径部221の下部側は、第1筒状部21の外部に位置する。大径部221の外径は、第2部分212の内径よりも小さい。第2筒状部22から露出する部分の大径部221の外周面は、後述するスパウト31の封止部313(
図5参照)に密着する。
【0038】
小径部222は、第2筒状部22の下部を構成する。小径部222は、大径部221に連続するように設けられている。大径部221の下部側および小径部222は、上記収容空間S内に収容される。
【0039】
液体収容袋30は、液体取出管20に交換可能に取り付けられている。液体収容袋30は、収容空間Sを有し、液体取出管20の一端20aを収容空間Sに収容する。
【0040】
液体収容袋30は、スパウト31および袋体32を有する。スパウト31には、液体取出管20が挿抜可能に挿入されている。なお、液体収容袋30が挿入された挿入状態においては、上述のように、大径部221の外周面が、封止部313に密着する。これにより、当該外周面と封止部313との間が気密あるいは液密に封止される。スパウト31は、袋体32に接合されている。袋体32は、畳み込まれた状態で、本体部2内に収容されている。なお、液体収容袋30の詳細な構成については、
図3から
図5も用いて後述する。
【0041】
図2は、実施の形態に係る組立体において液体収容袋に液体が充填された状態を示す概略断面図である。
【0042】
図2に示すように、上述の第1切替機構および第2切替機構を開状態として、本体部2内の空気を排気しながら、液体取出管20を介して液体収容袋30(より特定的には袋体32)内に飲料等の液体を供給する。これにより、袋体32が本体部2の内周面に沿うように膨らみつつ、袋体32内に液体が充填される。
【0043】
また、袋体32内に液体が充填された後には、上述の第1切替機構および第2切替機構を開状態として、外装容器1内に気体を供給して外装容器1の内圧を高めるで、液体収容袋30内に充填された液体を液体取出管20を介して取り出す。この際、外装容器1内に供給された気体と、液体収容袋30内に充填された液体とは直接接触しないため、液体が変質することを防ぐことができる。
【0044】
液体が取り出された後は、容器用挿入具10を外装容器1から取り外す。取り外された容器用挿入具10において、液体取出管20から液体収容袋30を取り外して、新たな液体収容袋30を液体取出管20に取り付ける。これにより、外装容器1内に直接液体を充填する場合と比較して、外装容器1を洗浄する手間を省くことができる。
【0045】
図3は、実施の形態に係る液体収容袋が畳み込まれる前の状態を示す液体収容袋の展開図である。
図4は、実施の形態に係る液体収容袋に具備されるスパウトを示す斜視図である。
図5は、
図3に示すV-V線に沿った液体収容袋の断面を拡大して示す拡大断面図である。
【0046】
図1および
図3に示すように、液体収容袋30において袋体32は、第1シート部33、第2シート部34、およびシール部35を有する。
【0047】
第1シート部33および第2シート部34は、展開状態において、多角形状を有する。本実施の形態においては、第1シート部33および第2シート部34は、たとえば、八角形状を有する。
【0048】
第1シート部33および第2シート部34は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂によって構成される。第1シート部33および第2シート部34は、高密度ポリエチレン層、低密度ポリエチレン層、ポリエチレンテレフタレート層、ナイロン層のいずれにかによって構成されていてもよいし、これらの層のうち少なくとも2層を含む積層体で構成されていてもよい。
【0049】
さらに、第1シート部33および第2シート部34には、アルミ箔またはアルミニウム蒸着層等の遮光層または酸素バリア層が複数の合成樹脂層の間に配置された積層フィルムによって構成されてもよい。
【0050】
第1シート部33および第2シート部34の周縁部同士は、シール部35によってシールされている。これにより、第1シート部33と第2シート部34との間には、収容空間Sが形成される。シール部35は、たとえば、第1シート部33および第2シート部34を溶着することで形成される。
【0051】
図4および
図5に示すように、スパウト31は、第1端31aおよび第2端31bを有する筒状体310、第1フランジ部311、第2フランジ部312、および封止部313を有する。
【0052】
スパウト31は、第1シート部33に接合されており、筒状体310は、第1シート部33を貫通する。第1端31aは、袋体32の外側に位置し、第2端31bは、袋体32の内側に位置する。
【0053】
第1フランジ部311は、第1端31aに設けられている。第2フランジ部312は、第1フランジ部311よりも筒状体310の径方向外側に突出する。第2フランジ部312は、第1フランジ部311から第2端31b側に離れて筒状体310に設けられている。これにより、後述するように液体取出管20に袋体32を取り付ける工程を実施する際に、第1フランジ部311と第2フランジ部312との間に把持具50(
図7参照)を挿入して、液体収容袋32を把持することができる。
【0054】
筒状体310の軸方向から見た場合に、第1フランジ部311から突出する部分の第2フランジ部312に第1シート部33が接合されている。第1シート部33は、第1端31a側に位置する第2フランジ部312の主面に溶着されている。具体的には、第1シート部33には、第1フランジ部311が通過可能な開口部が設けられており、当該開口部の周縁が第2フランジ部312の上記主面に溶着される。これにより、ヒートシール等を用いて、第1シート部33を容易に溶着することができる。
【0055】
封止部313は、筒状体310の内周面310aに設けられている。封止部313は、スパウト31に挿入された液体取出管20の第2筒状部22の外周面に密着することで、封止部313と当該外周面との間を気密あるいは液密に封止する。
【0056】
再び
図1に示すように、液体収容袋30は、袋体32が畳み込まれた状態で液体取出管20に取り付けられている。収容空間Sに収容された液体取出管20の一端20a側に沿うように当該液体取出管20の一端20a側を前記第2シート部34が覆い、かつ、第1シート部33が液体取出管20の一端20a側に近づくように袋体32が畳み込まれた畳み込み状態において、シール部35は、最外周に位置する部分の第1シート部33と液体取出管20の一端20a側を覆う部分の第2シート部34との間に位置する。
【0057】
このように、袋体32が畳み込まれることにより、口金部6を介して、液体収容袋30を本体部2内に挿入することができる。また、畳み込み状態において、シール部35が、最外周に位置する部分の第1シート部33と液体取出管20の一端20a側を覆う部分の第2シート部34との間に位置することにより、
図2に示すように、袋体32を膨らませる際に、シール部35が本体部2の内周面に引っ掛かることを抑制することができる。この結果、袋体32の破損を抑制しつつ、袋体32を満遍なく膨らませることができる。
【0058】
また、上記畳み込み状態において、最外周側から内側に折り返される第1シート部33の折り返し部33cは、液体取出管20の軸方向において、液体取出管20の一端20aと略同じ位置に位置する。
【0059】
これにより、袋体32を膨らませていく過程で、折り返し部33cが、本体部2の底部に引っ掛かることを抑制できる。この結果、さらに効果的に、袋体32の破損を抑制し、袋体32を満遍なく膨らませることができる。
【0060】
図6は、実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程を示す製造フローである。
図7から
図15は、容器用挿入具の製造工程の所定の工程、または、所定の工程の後状態を示す図である。
図6から
図15を参照して、容器用挿入具10の製造方法について説明する。
【0061】
図6に示すように、容器用挿入具10の製造方法は、液体収容袋30を準備する工程(S10)、液体取出管20に液体収容袋30を取り付ける工程(S20)、および、液体収容袋30が取り付けられた液体取出管20を第2冶具から取り外す工程(S30)を備える。
【0062】
容器用挿入具10を製造するに際し、まず、工程(S10)において、上述のように、スパウト31と、スパウト31に接合された第1シート部33、第1シート部33に重ねられた第2シート部34、第1シート部33および第2シート部34の周縁部同士を接合し、第1シート33部と第2シート部34との間に収容空間Sを形成するシール部35を有する袋体32と、を含む液体収容袋30を準備する。
【0063】
続いて、工程(S20)を実施する。工程(S20)を実施するにあたり、工程(S21)において、筒状の第1冶具40(
図7参照)を準備する。第1冶具40は、軸方向に一端40a(
図7参照)および他端40b(
図7参照)を有し、一端40a側がスパウト31を介して上記収容空間Sに挿入された状態で収容空間S内の気体を外部に排気可能に設けられている。
【0064】
また、工程(S22)において、筒状の第2冶具60(
図9参照)を準備する。第2冶具60は、第1冶具40の一端40a側が挿入可能に設けられている。なお、上述の第2冶具を準備する工程(S22)は、後述する工程(S25)が行われるまでに実施されればよい。
【0065】
図7は、実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程において、袋体の収容空間に第1冶具を相対的に挿入する工程を示す図である。
【0066】
続いて、
図6および
図7に示すように、工程(S23)において、袋体32の収容空間Sに第1冶具40の一端40aを相対的に挿入する。より具体的には、第1冶具40の他端40b側が袋体32の外側に位置するように、第1冶具40の一端40a側をスパウト31を介して収容空間Sに第1冶具40を挿入する。
【0067】
なお、第1冶具40を
図7中矢印で示すように移動させて、収容空間Sに第1冶具40を挿入してもよいし、第1冶具40に近づくように液体収容袋30を移動させることで、収容空間Sに第1冶具40を挿入してもよい。
【0068】
第1冶具40は、液体取出管20と略同等の形状を有する。第1冶具40は、第1筒状部41および第2筒状部42を有する。第1筒状部41は、底部411を有する。底部411の中央には、貫通孔が設けられている。
【0069】
第2筒状部42は、自身が有する内部が上記貫通孔を介して第1筒状部41の内部に連通するように上記底部411に接続されている。軸方向に沿った第2筒状部42の長さは、液体取出管20の第2筒状部22の長さと略同一である。
【0070】
第2筒状部42は、大径部421および小径部422を有する。大径部421は、第2筒状部42の上部を構成する。大径部421は、上述の大径部221とほぼ同様の形状を有する。大径部421の外径は、第1筒状部41の内径よりも小さい。大径部421の周壁部には、貫通孔423が設けられている。貫通孔423は、当該周壁部の下部側に設けられている。小径部422は、第2筒状部42の下部を構成する。小径部422は、大径部421に連続するように設けられている。
【0071】
収容空間Sに第1冶具40を収容空間に相対的に挿入する前には、第1フランジ部311と第2フランジ部312との間に把持具50を挿入して、液体収容袋30を把持してもよい。具体的には、把持具50は、先端側にフック部51が設けられており、当該フック部51を第1フランジ部311と第2フランジ部312との間に挿入する。このようにフック部51にスパウト31を引っ掛けることにより、液体収容袋30を把持する。把持具50で液体収容袋30を把持することにより、第1冶具40を容易に挿入することができる。
【0072】
第1筒状部41の底部411は、第1フランジ部311に突き当たり可能に設けられ、上述の大径部421は、スパウト31内に挿入可能に設けられている。これにより、第1冶具40を収容空間Sに挿入した場合には、第1筒状部41が収容空間Sの外側に位置する。また、第1冶具40が収容空間Sに挿入された場合には、大径部421の外周面が、スパウト31の内周面に設けられた上述の封止部313に密着する。また、大径部421の下部側および小径部422が収容空間S内に位置する。この状態において、大径部421に設けられた貫通孔423は、収容空間Sに連通する。
【0073】
なお、第1冶具40は、袋体32が膨らんだ状態で挿入してもよいし、第1冶具40の一端40a側で袋体32を押し広げながら挿入してもよい。
【0074】
図8は、実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程において、第1冶具の一端側を袋体の第2シート部で覆う工程を示す図である。
【0075】
続いて、
図6および
図8に示すように、工程(S24)において、第1冶具40の一端40a側を第2シート部34で覆う。より具体的には、収容空間Sに収容された第1冶具40の一端40a側に沿うように、第1冶具40の一端40a側を第2シート部34で覆う。これにより、小径部422の下方側および軸回りの周囲が第2シート部34で覆われる。また、第1シート部33は、第2フランジ部312から第1冶具40の径方向の外側に一端離れて略C字形状に湾曲し、当該第2フランジ部312よりも下方側でシール部35が第1冶具40の一端40aに向かう形状となる。
【0076】
図9は、実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程において、第2シート部で覆われて第1冶具の一端側を第2冶具に相対的に挿入する工程を示す図である。
【0077】
続いて、
図6および
図9に示すように、工程(S25)において、第2シート部34で覆われた第1冶具40の一端40a側を第2冶具60に相対的に挿入する。具体的には、
図9中矢印AR1に示すように、第1冶具40を移動させて、第1冶具40の一端40a側を第2冶具60に挿入する。なお、第1冶具40に近づくように第2冶具60を移動させて、第1冶具40の一端40a側を第2冶具60に挿入してもよい。
【0078】
第2冶具60は、筒状部61と、ベース部62とを有する。筒状部61は、軸方向に沿って延在する。ベース部62は、筒状部61の下端から径方向外側に突出する。ベース部62には、筒状部61に連通する開口部が設けられている。これにより、第2冶具60の洗浄が容易となり、第2冶具の衛生状態を清潔に保つことができる。第1冶具40の一端40aは、上記筒状部61の内部に挿入される。
【0079】
図10は、実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程において、袋体を畳み込む工程を示す図である。
図11は、
図10で示す袋体を畳み込む工程の後状態を示す図である。
【0080】
続いて、
図6および
図10に示すように、工程(S26)において、袋体32を畳み込む。具体的には、
図10および
図11に示すように、第2冶具60から露出している部分の袋体32内の気体を、貫通孔423および筒状の第1冶具40の内部を介して外部に排気しながら、第2冶具60(筒状部61)に沿うように第1シート部33を、図中矢印AR2に示すように第1冶具40の一端40a側に近づけて、シール部35が、最外周に位置する部分の第1シート部33と第1冶具40の一端40a側を覆う部分の第2シート部34との間に位置するように、袋体32を畳み込む。
【0081】
この際、最外周側から内側に折り返される第1シート部33の折り返し部33cは、第1冶具40の軸方向において、第1冶具40の一端40aと略同じ位置に位置する。
【0082】
図12は、実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程において、袋体が畳み込まれた畳み込み状態を維持しつつ、袋体から第1冶具を相対的に抜き取る工程を示す図である。
【0083】
続いて、
図6および
図12に示すように、工程(S27)において、袋体32が畳み込まれた畳み込み状態を維持しつつ、スパウト31を介して袋体32から第1冶具40を相対的に抜き取る。具体的には、たとえば、畳み込み状態にある袋体32と第2冶具60とを不図示の固定装置にて固定した状態で、
図12中矢印AR3に示すように、第1冶具40を移動させる。なお、第1冶具40を固定した状態で、畳み込み状態が維持されるように袋体32を第2冶具60で保持した状態で、第1冶具40から離れるように第2冶具60を移動させてもよい。
【0084】
図13は、実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程において、畳み込み状態が維持された袋体に液体取出管を相対的に挿入する工程を示す図である。
図14は、
図13で示す液体取出管を相対的に挿入する工程の後状態を示す図である。
【0085】
続いて、
図6および
図13に示すように、工程(S28)において、畳み込み状態が維持された袋体32に液体取出管20を相対的に挿入する。具体的には、
図13および
図14に示すように、畳み込み状態にある袋体32と第2冶具60とを不図示の固定装置にて固定した状態で、
図13中矢印AR4で示すように、液体取出管20を移動させて、液体取出管20の一端20a側をスパウト31を介して収容空間Sに挿入する。
【0086】
より特定的には、第1冶具40の一端40a側を覆っていた部分の第2シート部34によって規定され、かつ第2冶具60の内部に収容されている部分の収容空間に、スパウト31を介して液体取出管20の一端20a側を挿入して、液体取出管20に液体収容袋30を取り付ける。
【0087】
なお、液体取出管20を固定した状態で、畳み込み状態にある袋体32を保持した第2冶具60を移動させることで液体取出管20の一端20a側を収容空間Sに挿入してもよい。
【0088】
図14に示すように、液体取出管20が挿入された状態においては、収容空間Sに収容された液体取出管20の一端20a側に沿うように当該液体取出管20の一端20a側を第2シート部34が覆い、かつ、第1シート部33が液体取出管20の一端20a側に近づくように袋体32が畳み込まれており、シール部35は、最外周に位置する部分の第1シート部33と液体取出管20の一端20a側を覆う部分の第2シート部34との間に位置する。また、最外周側から内側に折り返される第1シート部33の折り返し部33cは、液体取出管20の軸方向において、液体取出管20の一端20aと略同じ位置に位置する。
【0089】
図15は、実施の形態に係る容器用挿入具の製造工程において、液体収容袋が取り付けられた液体取出管を第2冶具から取り外す工程を示す図である。
【0090】
続いて、
図6および
図15に示すように、工程(S30)において、液体収容袋30が取り付けられた液体取出管20を第2冶具60から取り外す。第2冶具60から液体収容袋30が取り付けられた液体取出管20を相対的に抜き取る。具体的には、第2冶具60を不図示の固定装置によって固定した状態で、
図15中矢印AR5に示すように、液体収容袋30が取り付けられた液体取出管20を移動させる。なお、液体取出管20を固定した状態で、第2冶具60を移動させてもよい。
【0091】
以上のような工程を経て、実施の形態に係る容器用挿入具10を製造することができる。
【0092】
図16は、実施の形態に係る組立体の製造工程を示す製造フロー図である。
図17は、実施の形態に係る組立体の製造工程の所定の工程を示す図である。
図16および
図17を参照して、実施の形態に係る組立体100の製造方法について説明する。
【0093】
図16に示すように、組立体100の製造する工程は、外装容器1を準備する工程(S50)、外装容器1に組み付けるための容器用挿入具10を準備する工程(S60)、および外装容器1に容器用挿入具10を組み付ける工程(S70)を備える。
【0094】
外装容器1を準備する工程(S50)においては、内部空間に連通する口金部6(開口部)を有する上述の外装容器1を準備する。また、容器用挿入具10を準備する工程(S60)において、畳み込み状態にある液体収容袋30が液体取出管20に取り付けられた上述の容器用挿入具10を準備する。
【0095】
図17は、実施の形態に係る組立体の製造工程において、容器用挿入具の製造工程を経て製造された容器用挿入具を外装容器に組み付ける工程を示す図である。続いて、
図17に示すように、液体取出管20の一端20aが本体部2の内部(内部空間)に位置し、液体収容袋30が上記内部空間に配置されるように、液体取出管20を口金部6に装着する。具体的には、容器用挿入具10の一端側(畳み込み状態にある液体収容袋30が取り付けられた液体取出管20の一端20a側)を口金部6を介して、外装容器1の内部に挿入する。なお、畳み込み状態にある袋体32の外径は、口金部6の内径よりも小さく、液体取出管20の一端20aを外装容器1の内部に挿入する際には、袋体32は、畳み込み状態を維持しつつ口金部6を通過する。続いて、容器用挿入具10の他端側(液体取出管20の他端20b側)を口金部6に係合させ、容器用挿入具10を外装容器1に装着する。これにより、組立体100が製造される。当該組立体100において、上述のように、外装容器1の本体部2内の空気を排気しながら、液体取出管20の第2筒状部22を介して液体収容袋30内に飲料等の液体を供給する。これにより、袋体32が本体部2の内周面に沿うように膨らみつつ、袋体32内に液体が充填される。
【0096】
図18は、容器用挿入具の製造工程の変形例を示す製造フロー図である。
図18を参照して、容器用挿入具10の製造方法の変形例について説明する。
【0097】
図18に示すように、当該変形例は、実施の形態に係る容器用挿入具10の製造方法と比較して、液体取出管20に液体収容袋30を取り付ける工程(S20A)において、第1冶具40を抜き取る工程(S27)の前に、畳み込み状態が維持されるように袋体32を第2冶具60に押さえつける工程(S26A)を実施する点が相違する。その他の工程は、実施の形態に係る容器用挿入具10の製造方法に準拠して実施される。
【0098】
図19は、変形例に係る容器用挿入具の製造工程の製造工程において、畳み込み状態が維持されるように袋体を第2冶具に押さえつける工程を示す図である。
【0099】
図18および
図19に示すように、工程(S26A)においては、具体的には、たとえば、伸縮可能な環状の弾性部材90を用いて袋体32を第2冶具60に押さえつける。より具体的には、伸長させた弾性部材90の内側に、第2冶具60および第2冶具60から露出する部分の袋体32を配置して、弾性部材90を収縮させる。弾性部材90の収縮力によって袋体32が第2冶具60に押さえつけられる。このように畳み込み状態が維持されるように袋体32を第2冶具60に押さえつけることにより、後工程において、第1冶具40を袋体32から容易に抜き取ることができる。
【0100】
以上のように、容器用挿入具の製造工程およびその変形例においては、上述のような畳み込み状態を有する容器用挿入具10が製造される。また、組立体および組立体の製造方向においては、当該容器用挿入具10が用いられる。このため、上述のように、液体を供給して袋体32を膨らませる際に、シール部35が本体部2の内周面に引っ掛かることを抑制することができる。この結果、袋体32の破損を抑制しつつ、袋体32を満遍なく膨らませることができる。
【0101】
以上、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0102】
1 外装容器、2 本体部、3 上壁部、4 底壁部、5 周壁部、6 口金部、7 上部保護部、8 下部保護部、10 容器用挿入具、20 液体取出管、20a 一端、20b 他端、21 第1筒状部、22 第2筒状部、30 液体収容袋、31 スパウト、31a 第1端、31b 第2端、32 袋体、33 第1シート部、33c 折り返し部、34 第2シート部、35 シール部、40 第1冶具、40a 一端、40b 他端、41 第1筒状部、42 第2筒状部、50 把持具、51 フック部、60 第2冶具、61 筒状部、62 ベース部、90 弾性部材、100 組立体、211 第1部分、212 第2部分、221 大径部、222 小径部、310 筒状体、310a 内周面、311 第1フランジ部、312 第2フランジ部、313 封止部、411 底部、421 大径部、422 小径部、423 貫通孔。