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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000793
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】農産物箱詰め装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 35/32 20060101AFI20221222BHJP
   A23N 15/00 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
B65B35/32
A23N15/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101807
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000163501
【氏名又は名称】近江度量衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安田 学
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 裕
【テーマコード(参考)】
3E054
4B061
【Fターム(参考)】
3E054AA10
3E054BA01
3E054BA06
3E054CA01
3E054DA03
3E054DA04
3E054DD02
3E054DD03
3E054FA04
3E054FA07
3E054GA01
3E054GB04
3E054GB10
3E054HA02
3E054HA07
3E054JA02
4B061BA03
4B061BA08
4B061BA12
4B061BB13
4B061BB17
(57)【要約】
【課題】農産物の箱詰めが完了した箱を、新たな箱へ交換する作業中にも、農産物の送り出しを停止する必要がなく、箱詰め作業を効率よく行える農産物箱詰め装置の提供。
【解決手段】農産物容器50は、隔壁51によって内部が排出室502と待機室503とに区画され、排出室502の一部に農産物排出口504が形成され、供給路52は排出室502と待機室503のいずれか一方に農産物Aを供給し、供給路52から排出室502に農産物Aが供給される時、農産物排出口504から排出された農産物Aが箱詰めされ、箱詰め完了時に、供給路52からの農産物Aの供給が待機室503に向けて切り替えられ、箱Bの交換完了後、隔壁51によって、待機室503内の農産物Aを排出室502に移動させ、供給路52からの農産物Aの供給が排出室502に向けて切り替えられる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略球形の農産物を箱詰めする農産物箱詰め装置であって、
農産物容器と、前記農産物容器の内部を仕切る隔壁と、前記農産物容器に農産物を送り込む供給路と、を備え、
前記農産物容器は、前記隔壁によって内部が排出室と待機室とに区画され、前記排出室の一部に農産物排出口が形成され、前記供給路は、前記排出室と待機室のいずれか一方に向けて農産物を供給し、
前記供給路から前記排出室に向けて農産物が供給される時、前記農産物排出口から排出された農産物が箱に箱詰めされ、箱詰め完了時に、前記供給路からの農産物の供給が前記待機室に向けて切り替えられ、前記箱の交換の完了後、前記隔壁によって、前記待機室内の農産物を前記排出室に移動させ、前記供給路からの農産物の供給が前記排出室に向けて切り替えられることを特徴とする農産物箱詰め装置。
【請求項2】
前記農産物容器は底面が円形に構成されており、前記隔壁は、前記底面の直径に沿って配置されて、前記農産物容器の底面の中心を回転中心として回転可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の農産物箱詰め装置。
【請求項3】
前記供給路は、傾斜した樋よりなり、傾斜方向下端の供給口が前記排出室に向く位置と前記待機室に向く位置との間を切り替え可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の農産物箱詰め装置。
【請求項4】
前記供給路が農産物を搬送する搬送装置から延びていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の農産物箱詰め装置。
【請求項5】
複数の供給路及び農産物容器が前記搬送装置に沿って並設されていることを特徴とする請求項4に記載の農産物箱詰め装置。
【請求項6】
前記農産物容器及び供給路が上下2段に設置され、上段の農産物容器の農産物排出口と下段の農産物排出口とが周方向に異なる位置に形成され、上段の供給路と下段の供給路が前記搬送装置の異なる側から延びていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の農産物箱詰め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置から排出されるジャガイモ、玉ねぎ、ミカン等の略球形の農産物を箱詰めする農産物箱詰め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャガイモ、玉ねぎ、ミカン等の略球形の農産物は、汚れを落とす等の前処理をした後、コンベア等の搬送装置で搬送され、搬送途中で重量、大きさ、内部品質、外部品質等を測定し、その結果に応じて選別され、選別結果に対応して等階級ごとに箱詰めされるのが一般的である。
従来、選別された農産物を箱詰めする装置として、例えば、特許文献1には、選別された農作物を自重によって移送するよう傾斜姿勢の主案内経路を形成し、主案内経路から分岐する傾斜姿勢の副案内経路に農作物を送り込み、農作物の自重による移送で所定の選別回収位置に設置された箱へ送る経路切換部材を備え、案内経路に送られる農作物の選別結果に対応して経路切換部材を操作する選別操作手段を備えている農作物選別機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-15504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のような農作物選別機は、選別回収位置に設置された箱に所定重量の農産物を詰めた後、新たな箱に交換する際に、選別回収位置への農作物の送り出しを停止しなければならず、作業効率が悪かった。
本発明が解決しようとする課題は、農産物の箱詰めが完了した箱を、新たな箱へ交換する作業中にも、農産物の送り出しを停止する必要がなく、箱詰め作業を効率よく行える農産物箱詰め装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、略球形の農産物を箱詰めする農産物箱詰め装置に関し、農産物容器と、前記農産物容器の内部を仕切る隔壁と、前記農産物容器に農産物を送り込む供給路と、を備え、前記農産物容器は、前記隔壁によって内部が排出室と待機室とに区画され、前記排出室の一部に農産物排出口が形成され、前記供給路は、前記排出室と待機室のいずれか一方に向けて農産物を供給し、前記供給路から前記排出室に向けて農産物が供給される時、前記農産物排出口から排出された農産物が箱に箱詰めされ、箱詰め完了時に、前記供給路からの農産物の供給が前記待機室に向けて切り替えられ、前記箱の交換の完了後、前記隔壁によって、前記待機室内の農産物を前記排出室に移動させ、前記供給路からの農産物の供給が前記排出室に向けて切り替えられる。
【0006】
望ましくは、前記農産物容器は底面が円形に構成されており、前記隔壁は、前記底面の直径に沿って配置されて、前記農産物容器の底面の中心を回転中心として回転可能に構成されている。
【0007】
望ましくは、前記供給路は、傾斜した樋よりなり、傾斜方向下端の供給口が前記排出室に向く位置と前記待機室に向く位置との間を切り替え可能である。
【0008】
望ましくは、前記供給路が農産物を搬送する搬送装置から延びている。
【0009】
この場合、複数の供給路及び農産物容器が前記搬送装置に沿って並設されていることがある。
【0010】
前記農産物容器及び供給路が上下2段に設置され、上段の農産物容器の農産物排出口と下段の農産物排出口とが周方向に異なる位置に形成され、上段の供給路と下段の供給路が前記搬送装置の異なる側から延びていることもある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、箱詰め位置に設置されている箱への箱詰めが完了して、新たな箱に交換している間も、供給路からの農産物の供給を継続して待機室にストックしておくので、供給路への農産物の送り込みを停止することなく効率良く箱詰めできる。
【0012】
供給路を、傾斜した樋とし、その供給口が排出室に向く位置と待機室に向く位置との間を切り替え可能とすれば、農産物が自重によって排出室或いは待機室に移送されるので、農産物を強制的に排出室や待機室へ送り込む必要がなく、装置の構造が簡単で済む。
【0013】
供給路が農産物を搬送する搬送装置から延びていると、搬送中の農産物を箱詰めでき、この時、複数の供給路及び農産物容器が搬送装置に沿って並設されていることにより、複数の箱に同時に箱詰めすることが可能となる。
【0014】
農産物排出口が周方向の異なる位置に形成された農産物容器を上下2段に設置すると、箱詰め作業に要するスペースが狭くて済む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る農産物選別機を含んだ装置の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る農産物選別機を含んだ装置の側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る農産物選別機を含んだ装置の端面図である。
図4】本発明の実施形態を示す農産物箱詰め装置の箱詰め前における斜視図である。
図5】本発明の実施形態を示す農産物箱詰め装置の箱詰め中における斜視図である。
図6】本発明の実施形態を示す農産物箱詰め装置の箱詰め完了時における斜視図である。
図7】本発明の実施形態を示す農産物箱詰め装置の箱入れ替え完了時における斜視図である。
図8】本発明の実施形態を示す農産物箱詰め装置の仕切り板回転時における斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る農産物選別機を含んだ装置の斜視図であり、図2は、実施形態に係る農産物選別機を含んだ装置の側面図であり、図3は、実施形態に係る農産物選別機を含んだ装置の端面図であり、図4図8は、本発明の実施形態を示す農産物箱詰め装置の各箱詰め過程における要部斜視図である。
【0017】
図1図3に示すように、本実施形態に係る装置は、荷受け台2と、前処理装置3と、搬送装置4と、農産物箱詰め装置5と、製函装置6とを備える。また、農産物選別機1が、少なくとも搬送装置4と農産物箱詰め装置5とで構成される。
荷受け台2には、農家から集荷されたジャガイモ、玉ねぎ、ミカン等の略球形の農産物A(図5参照)が載置される。
荷受け台2に載せられた農産物Aは、荷受け台2の傾斜によって第1リフトコンベア20に送り込まれ、第1リフトコンベア20により前処理装置3へ送られる。前処理装置3では、農産物Aの種類に応じて、土や汚れを落としたり、外皮を除去する等の前処理が施される。
前処理装置3において前処理された農産物Aは第2リフトコンベア30によって搬送装置4に送られる。搬送装置4は、無限軌道を循環するコンベアであり、搬送装置4の途中には、外観、重量、糖度等を計測するセンサ40が設置されている。農産物Aは、第2リフトコンベア30から搬送装置4に送り込まれた後、搬送装置4によって、センサ40を経由して搬送され、農産物箱詰め装置5において振り分けられる。搬送装置4は、その後第2リフトコンベア30からの送り込み位置に戻るよう構成されている。
【0018】
農産物箱詰め装置5は、センサ40よりも搬送方向下流側において、搬送装置4の進行方向に対して側方に設置され、農産物容器50と、隔壁51と、供給路52とを備える。
本実施形態では、上下2段の農産物容器50が3組、搬送装置4に沿って並設され、上段の農産物容器50には、それぞれ供給路52が搬送装置4の一側から延び、下段の農産物容器50には、それぞれ供給路52が搬送装置4の他側から延びている。
【0019】
図4に示すように、農産物容器50は、円形の底面500と、底面500の周縁に沿って立設された側壁501とを有し、浅い円筒形状に形成される。底面500は、搬送装置4から遠ざかるに従って低く傾斜するように配置されている。
農産物容器50の内部には、底面500の直径に沿って隔壁51が設置され、農産物容器50の内部空間は、隔壁51によって2分割されている。
【0020】
隔壁51の長手方向中央部から底面500を貫通して、農産物容器50の中心軸に沿う図示しない回転軸が延び、回転軸がモータの出力軸に連絡される。従って、隔壁51は、モータを駆動することにより、底面500の中心を回転中心として回転可能であるが、常態では、底面500の傾斜方向と平行に配置され、農産物容器50の内部は、隔壁51で仕切られた一側が排出室502、他側が待機室503となっている。
また、排出室502の傾斜方向下部において、側壁501が切り欠かれ、農産物排出口504が形成されている。
【0021】
上段の農産物容器50と、下段の農産物容器50とは、排出室502と待機室503が隔壁51に対して左右逆となっており、農産物排出口504は互いに周方向の異なる位置に形成されている。
各農産物容器50の農産物排出口504の下方は箱詰め位置となっており、箱詰め位置には製函装置6で組み立てられた箱Bが送り込まれる。
箱詰め位置の近傍には搬出コンベア7が配置され、箱詰めされた箱Bは搬出コンベア7に乗せられて搬出される。
【0022】
供給路52は、搬送装置4から農産物容器50に向かって次第に低くなるよう傾斜した樋より成り、傾斜方向下端が農産物Aの農産物容器50に対する供給口520となっている。
また、供給路52は仕切り板を備え、仕切り板の向きを変更することによって、供給口520が排出室502に向く位置と待機室503に向く位置との間を切り替え可能である。供給路52の仕切り板の向きの切り替えは、モータ、シリンダピストン等を用いて行う。
そして、供給口520が排出室502に向いている時、搬送装置4上の農産物Aは供給路52を通して排出室502に供給され、農産物排出口504から箱詰め位置に設置された箱B内に落下する。
一方、供給口520が待機室503に向いている時、農産物Aは待機室503に供給される。待機室503は農産物排出口504とは連通していないので、待機室503に供給された農産物Aは排出されることなく待機室503内にストックされる。
【0023】
農産物Aの箱詰めを行なうにあたっては、まず、図4に示すように、供給路52の供給口520を排出室502に向け、箱詰め位置に空の箱Bを設置しておく。
この状態において、図5に示すように、農産物Aが搬送装置4から供給路52を介して排出室502に送り込まれ、農産物排出口504を通過して箱B内に落下する。
なお、各供給路52には、センサ40による選別結果により、対応した農産物Aが搬送装置4から送り込まれる。即ち、本実施形態では、6個の農産物容器50にそれぞれ連絡される6本の供給路52が設けられているので、最大6種類に選別された農産物Aが別々に送り込まれる。
【0024】
箱B内に所定重量の農産物Aが詰められると、図6に示すように、供給路52の仕切り板の向きを変更して供給口520を待機室503に向ける。
この結果、供給路52を通る農産物Aは農産物容器50の待機室503に送り込まれ、農産物排出口504からの農産物Aの落下が停止する。
この状態で、図7に示すように、農産物Aが詰められて箱詰めが完了した箱Bを搬出コンベア7に乗せて次工程に向けて搬出し、その後新たな空の箱Bに交換する。この間にも、農産物Aは、供給路52から待機室503に送り込まれてストックされる。新たな空の箱Bは、製函装置6で作成されて搬送されるが、製函装置6での作成に代えて、予め空の箱Bを用意しておき、そこから搬送するようにしてもよい。
【0025】
箱Bの交換が終了したら、図8に示すように、隔壁51を、傾斜方向下端が農産物排出口504から遠ざかる方向に180度回転させ、待機室503にストックされた農産物Aを排出室502に移動させる。隔壁51は、傾斜方向上端が農産物排出口504に接近する方向へ回転するので、供給路52から排出室502に供給された農産物Aは農産物排出口に向かって押され、待機室503に移動することはない。
図8に示す例では、上段の農産物容器50では隔壁51を時計回りに回転させ、下段の農産物容器50では隔壁51を反時計回りに回転させる。
また、供給路52の仕切り板の向きを変更して供給口520を排出室502に向ける。
すると、農産物Aは再び排出室502に供給され、農産物排出口504からの農産物の落下が再開されて箱詰めが行われる。
【0026】
そして、待機室503から排出室502に移動された農産物A、及び、供給路52から排出室502へ供給された農産物Aを農産物排出口504から落下させ、所定重量に達するまで箱Bに詰める。
これを繰り返して、供給路52から農産物容器50への農産物Aの供給を停止することなく、連続して箱詰めを行なうことができる。
【0027】
なお、供給路52の仕切り板の向きの変更、及び、隔壁51の回転は、操作ボタン等を手動操作することで行うこともでき、箱詰め位置への箱Bの送り込み装置や、箱詰め位置における箱Bの重量を検知する重量センサと連動して自動的に行うこともできる。
【0028】
農産物容器50の数は、上記実施形態に限定されず、上下2段の農産物容器50を4組以上配置することも、1組だけ配置することも可能である。
また、農産物容器50を上下に重ねずに1段のみとすることもでき、1個の農産物容器50を介して箱詰めを行なうこともできる。
さらに、上記実施形態では、円筒形の農産物容器50を、底面500の直径に沿った隔壁51によって仕切る構成としているが、隔壁51の移動によって待機室503から排出室502に農産物Aを移動可能な構成であれば、農産物容器50の形状や、隔壁51の構成を適宜変更することも可能である。
【0029】
供給路52は、仕切り板の方向を切り替え可能な樋とせず、排出室502側と待機室503側とに分岐する樋或いは管の内部に切換壁を設け、この切換壁を切換操作して、排出室502と待機室503のいずれか一方のみに農産物Aを供給してもよい。
【符号の説明】
【0030】
A 農産物
B 箱
1 農産物選別機
2 荷受け台
20 第1リフトコンベア
3 前処理装置
30 第2リフトコンベア
4 搬送装置
40 センサ
5 農産物箱詰め装置
50 農産物容器
500 底面
501 側壁
502 排出室
503 待機室
504 農産物排出口
51 隔壁
52 供給路
520 供給口
6 製函装置
7 搬出コンベア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8