(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079341
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】光学情報読取装置の設定装置、光学情報読取システム及び光学情報読取方法
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20230601BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
G06K7/10 412
G06K7/14 017
G06K7/14 065
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192765
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊▲崎▼ 知己
(72)【発明者】
【氏名】平野 高志
(57)【要約】
【課題】複数の光学情報読取装置の読取データを空間軸で比較可能にする。
【解決手段】設定装置は、各光学情報読取装置と通信するための通信部と、通信部を介して取得され、複数の光学情報読取装置の内のいずれか一つの光学情報読取装置の読取データの一覧を表示する表示部と、表示部に表示された読取データの一覧からいずれか一つの読取データの選択入力を受け付ける入力部と、入力部により選択された読取データを有するコード画像を、ネットワーク上に接続された他の光学情報読取装置から取得し、異なる複数の光学情報読取装置でそれぞれ取得された複数のコード画像を表示部に比較表示する制御部とを備えている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光学情報読取装置とネットワークを介して接続され、各光学情報読取装置の設定を行う光学情報読取装置の設定装置であって、
各光学情報読取装置と通信するための通信部と、
前記通信部を介して取得され、前記複数の光学情報読取装置の内のいずれか一つの光学情報読取装置の読取データの一覧を表示する表示部と、
前記表示部に表示された読取データの一覧からいずれか一つの読取データの選択入力を受け付ける入力部と、
前記入力部により選択された読取データを有するコード画像を、前記ネットワーク上に接続された他の光学情報読取装置から取得し、異なる複数の光学情報読取装置でそれぞれ取得された複数のコード画像を前記表示部に比較表示する制御部と、を備える設定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の設定装置において、
前記各光学情報読取装置はWebサーバを有し、
前記通信部は、前記複数の光学情報読取装置のうちの第1の光学情報読取装置の前記Webサーバにアクセスして、前記コード画像及び読取データを取得し、
前記制御部は、前記第1の光学情報読取装置の読取データを時系列に前記表示部に表示させ、時系列に表示された読取データの中から前記入力部により選択された読取データに対応する前記第1の光学情報読取装置で取得されたコード画像と、前記入力部により選択された読取データに対応する他の光学情報読取装置で取得されたコード画像とを前記表示部に比較表示する設定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の設定装置において、
前記通信部は、前記各光学情報読取装置のデコードの余裕度を示すマッチングレベル又はデコード時間を更に取得し、
前記制御部は、前記時系列に表示された読取データの中から前記入力部により選択された読取データに対応する前記第1の光学情報読取装置のマッチングレベル又はデコード時間と、前記入力部により選択された読取データに対応する他の光学情報読取装置のマッチングレベル又はデコード時間とを前記表示部に比較表示する設定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の設定装置において、
同一のネットワーク上に存在する光学情報読取装置を探索する探索部と、
前記探索部により探索された光学情報読取装置のIPアドレスを取得し、登録する登録部と、
前記登録部により登録されたIPアドレスに対応する光学情報読取装置の中から、比較表示の対象とする光学情報読取装置を選択する選択部と、を更に備え、
前記制御部は、前記選択部により選択された光学情報読取装置の情報を前記表示部に表示する設定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の設定装置において、
前記通信部は、各光学情報読取装置のデコードの成否情報を更に取得し、
前記制御部は、いずれかの光学情報読取装置でデコードに成功又は失敗したデコード情報のみを抽出して前記表示部に表示する設定装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の設定装置において、
前記通信部は、各光学情報読取装置の読取条件を更に取得し、
前記制御部は、同一のデコード情報に対応する互いに異なる光学情報読取装置により撮影された複数のコード画像とともに、そのコード画像を撮影した時の読取条件を前記表示部に比較表示する設定装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の設定装置において、
前記制御部は、前記複数の光学情報読取装置の情報を、共通の前記読取データを使ってリンクして表示するリンク表示モードと、一の光学情報読取装置の情報のみを表示する単一表示モードとに切り替えが可能であり、前記単一表示モードでは、前記一の光学情報読取装置で取得され、前記入力部により選択された読取データに対応するコード画像を表示するとともに、当該読取データを取得した時の読取条件を表示する設定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の設定装置において、
前記制御部は、前記単一表示モードにおいて、前記一の光学情報読取装置のデコードに関するトレンド情報を表示する設定装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の設定装置において、
前記ネットワーク上に接続されている複数の光学情報読取装置の状態を確認するためのモニターアプリケーションと、各光学情報読取装置の設定を行うための設定アプリケーションとが実行可能である設定装置。
【請求項10】
請求項9に記載の設定装置において、
前記入力部は、前記設定アプリケーションが選択された場合に、光学情報読取装置の使用状態の選択を受け付け可能であり、
前記制御部は、前記入力部により選択された使用状態に対応する設定項目を前記表示部に表示する設定装置。
【請求項11】
同一ライン上の各工程に設置された複数の光学情報読取装置と、前記複数の光学情報読取装置とネットワークを介して接続され、各光学情報読取装置の設定を行う設定装置とを備える光学情報読取システムであって、
前記各光学情報読取装置は、
前記設定装置と通信を行うWebサーバと、
コードが付与されたワークを撮影し、コードを含むコード画像を取得するカメラと、
前記カメラにより取得されたコード画像をデコードするデコード部と、
前記コード画像と、前記デコード部による読取データとを記憶する記憶部と、を備え、
前記設定装置は、
一の工程に設置された前記光学情報読取装置の前記Webサーバと通信し、当該光学情報読取装置の前記記憶部に記憶された読取データを取得する通信部と、
前記通信部を介して取得された読取データの一覧を、Webブラウザを介して表示する表示部と、
前記表示部に表示された読取データの一覧から、いずれか一つの読取データの選択入力を受け付ける入力部と、
前記入力部により選択された読取データに対応するワークのコード画像の出力を、他の工程に設置された光学情報読取装置に対して要求し、同一の読取データに対応する各工程で得られた複数のコード画像を比較表示する制御部とを備える、光学情報読取システム。
【請求項12】
複数の光学情報読取装置とネットワークを介して接続され、各光学情報読取装置の設定を行う光学情報読取方法であって、
前記複数の光学情報読取装置の内のいずれか一つの光学情報読取装置の読取データの一覧を表示する表示ステップと、
前記表示ステップで表示された読取データの一覧からいずれか一つの読取データの選択入力を受け付ける入力ステップと、
前記入力ステップで選択された読取データを有するコード画像を、前記ネットワーク上に接続された他の光学情報読取装置から取得し、異なる複数の光学情報読取装置でそれぞれ取得された複数のコード画像を表示部に比較表示する表示ステップと、を備える光学情報読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワークに付与されたコードを読み取る光学情報読取装置の設定装置、光学情報読取システム及び光学情報読取装置の設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、光学情報読取装置は、ワークに付与されたバーコードや二次元コード等のコードをカメラによって撮影し、得られた画像に含まれるコードを画像処理によって切り出して二値化し、デコード処理して情報を読み取ることができるように構成されている。
【0003】
この種の光学情報読取装置は、例えば各種物品の製造工場や物流現場等に導入されており、物品のトレーサビリティ等に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したように製造現場では物品のトレーサビリティのために、各物品にコードを付与し、管理している。トレーサビリティの観点では、前工程と後工程等のように異なる工程間、即ち空間軸での読取結果の変化が重要である。
【0006】
ところが、これまでの光学情報読取装置の利用形態では、1台の光学情報読取装置から出力された読取データを時間軸方向に比較可能に並べて時間軸方向の変化を確認するだけであり、読取データの空間軸における変化を確認することはできなかった。
【0007】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、複数の光学情報読取装置のコード画像を空間軸で比較可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、複数の光学情報読取装置とネットワークを介して接続され、各光学情報読取装置の設定を行う光学情報読取装置の設定装置を前提とすることができる。設定装置は、各光学情報読取装置と通信するための通信部と、前記通信部を介して取得され、前記複数の光学情報読取装置の内のいずれか一つの光学情報読取装置の読取データの一覧を表示する表示部と、前記表示部に表示された読取データの一覧からいずれか一つの読取データの選択入力を受け付ける入力部と、前記入力部により選択された読取データを有するコード画像を、前記ネットワーク上に接続された他の光学情報読取装置から取得し、異なる複数の光学情報読取装置でそれぞれ取得された複数のコード画像を前記表示部に比較表示する制御部と、を備えている。
【0009】
すなわち、一例として、第1の光学情報読取装置と、第2の光学情報読取装置とを設定装置に接続しておくことで、第1の光学情報読取装置が前工程で物品のコードを撮影して読取データを取得した場合、その読取データの一覧を表示部に表示することができる。表示部に表示された読取データの一覧からいずれか一つの読取データが選択されると、選択された読取データを有するコード画像を、後工程で物品のコードを撮影する第2の光学情報読取装置から取得することができる。第1の光学情報読取装置で取得されたコード画像と、第2の光学情報読取装置で取得されたコード画像とを表示部に比較表示することで、ユーザは複数の光学情報読取装置の読取データを空間軸で比較することができるので、特にトレーサビリティに有効である。比較表示とは、異なる複数の光学情報読取装置でそれぞれ取得された複数のコード画像を並べて表示する形態であってもよいし、異なる複数の光学情報読取装置でそれぞれ取得された複数のコード画像を切り替えて一つずつ表示する形態であってもよい。
【0010】
他の形態では、同一ライン上の各工程に設置された複数の光学情報読取装置と、前記複数の光学情報読取装置とネットワークを介して接続され、各光学情報読取装置の設定を行う設定装置とを備える光学情報読取システムを構築することができる。この場合、各光学情報読取装置がWebサーバを有しており、読取データの一覧を、Webブラウザを介して表示することができる。
【0011】
他の形態では、通信部が、各光学情報読取装置のデコードの余裕度を示すマッチングレベル又はデコード時間を更に取得してもよい。この場合、入力部により選択された読取データに対応する第1の光学情報読取装置のマッチングレベル又はデコード時間と、入力部により選択された読取データに対応する他の光学情報読取装置のマッチングレベル又はデコード時間とを表示部に比較表示することができる。また、比較表示項目としては、例えばデコード時間の最小時間と最大時間に対するデコード時間や、光学情報読取装置の形式等が分かる光学情報読取装置の外観、デコード実行時の時刻等を挙げることができ、これら比較表示項目は、全て通信部を介して取得できる。
【0012】
他の形態では、同一のネットワーク上に存在する光学情報読取装置を探索し、探索された光学情報読取装置のIPアドレスを取得し、登録することもできる。この場合、登録されたIPアドレスに対応する光学情報読取装置の中から、比較表示の対象とする光学情報読取装置を選択すれば、選択された光学情報読取装置の情報を表示部に表示できる。
【0013】
他の形態では、各光学情報読取装置のデコードの成否情報を更に取得し、いずれかの光学情報読取装置でデコードに成功又は失敗したデコード情報のみを抽出して表示部に表示することもできる。
【0014】
他の形態では、複数の光学情報読取装置の情報を、共通の読取データを使ってリンクして表示するリンク表示モードと、一の光学情報読取装置の情報のみを表示する単一表示モードとに切り替えが可能である。単一表示モードではリンク表示モードよりもコード画像を大きく表示することができる。
【0015】
他の形態では、単一表示モードにおいて、単一の光学情報読取装置のデコードに関するトレンド情報を表示することもできる。トレンド情報として、例えば読取回数、読取時間、バンク使用率等を含んでいてもよい。トレンド情報の種類に応じて表示形態を変えることもできる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、一の光学情報読取装置の読取データの一覧を表示し、読取データの一覧からいずれか一つの読取データを選択した場合に、選択された読取データを有するコード画像を、ネットワーク上に接続された他の光学情報読取装置から取得し、複数のコード画像を表示部に比較表示することができるので、ユーザが複数の光学情報読取装置の読取データを空間軸で比較できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】光学的情報読取システムの運用時を説明する図である。
【
図6】光学情報読取装置に指定するIPアドレスの例及びWebブラウザを介した情報の表示例を示す図である。
【
図7】設定装置による制御を示すタイミングチャートである。
【
図8】読取データ等の表示形態の一例を示す図である。
【
図9】読取異常のレコードが選択された場合の
図8相当図である。
【
図10】設定比較が可能な表示形態の一例を示す図である。
【
図11】複数の光学情報読取装置の情報を表示する形態の一例を示す図である。
【
図12】一の光学情報読取装置の情報のみを表示する形態の一例を示す図である。
【
図13】一の光学情報読取装置のトレンド情報を表示する形態の一例を示す図である。
【
図14】使用状態の選択処理を示すフローチャートである。
【
図15】使用状態の設定の表示の一例を示す図である。
【
図16】運用時の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの運用時、並びに、それら光学情報読取装置1A、1B、1C、1D及び設定装置100を備えた光学情報読取システムSの運用時を模式的に示す図である。光学情報読取システムSを構成する光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの数は特に限定されるものではなく、任意の複数台であってもよい。
図1に示す例では、第1光学情報読取装置1A、第2光学情報読取装置1B、第3光学情報読取装置1C、第4光学情報読取装置1Dの4台の光学情報読取装置を備えている。
【0020】
また、
図1に示す例では、ワークW1が搬送用ベルトコンベアBの上面に載置された状態で
図1における矢印Yの方向へ搬送されている。ワークW1は、例えば荷物、商品、各種部品、電気製品、電子機器等の物品であり、ベルトコンベアBの送り方向について最上流ではワークW1に対して第1工程が行われ、中間部では同ワークW1に対して第2工程及び第3工程が行われ、最下流では同ワークW1に対して第4工程が行われるようになっている。各工程では、例えば印刷、貼付、部品等の取付作業、各種加工、塗装、調整等が行われる。
【0021】
第1工程でベルトコンベアB上に置かれているワークW1から上方へ離れた所に、第1光学情報読取装置1Aが設置されている。第1光学情報読取装置1Aは、ワークW1に付与されているコードを撮影し、撮影により取得されたコード画像に含まれるコードをデコード処理して各種情報(文字列データ)を読み取ることができるように構成されたコードリーダである。また、第2工程でベルトコンベアB上に置かれているワークW1から上方へ離れた所に、第2光学情報読取装置1Bが設置され、また、第3工程でベルトコンベアB上に置かれているワークW1から上方へ離れた所に、第3光学情報読取装置1Cが設置され、さらに、第4工程でベルトコンベアB上に置かれているワークW1から上方へ離れた所に、第4光学情報読取装置1Dが設置されている。つまり、第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dは、同一ライン上の各工程に設置されている。
【0022】
図1に示す例では、第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dが定置式の場合である。この定置式の第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの運用時には、第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dが動かないようにブラケット等(図示せず)に固定して使用する。尚、定置式の第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dをロボット(図示せず)が把持した状態で使用してもよい。また、静止状態にあるワークW1のコードを第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dによって読み取るようにしてもよい。定置式の第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの運用時とは、搬送用ベルトコンベアBによって搬送されるワークW1のコードを順に読み取る動作を行っている時である。
【0023】
第1~第4工程を同一のベルトコンベアB上で行ってもよいし、一部の工程を別のベルトコンベア(図示せず)上で行ってもよいし、全ての工程を異なるベルトコンベア上で行ってもよい。ベルトコンベアB以外の搬送装置(図示せず)でワークW1を搬送してもよい。第1~第4工程は同一工場内で行ってもよいし、異なる工場内で行ってもよい。工程の数は4つに限られるものではない。
【0024】
また、
図1の下側に示すように、各ワークW1の外面にはコードが付されている。コードには、バーコード及び二次元コードの両方が含まれる。二次元コードとしては、たとえば、QRコード(登録商標)、マイクロQRコード、データマトリクス(Data matrix;Data code)、ベリコード(Veri code)、アズテックコード(Aztec code)、PDF417、マキシコード(Maxi code)などがある。二次元コードにはスタック型とマトリクス型があるが、本発明はいずれの二次元コードに対しても適用できる。コードは、ワークWに直接印刷あるいは刻印することによって付してもよいし、ラベルに印刷した後にワークWに貼付することによって付してもよく、その手段、方法は問わない。
【0025】
第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dは、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)130に信号線130aによって有線接続されているが、これに限らず、第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dと、PLC130に通信モジュールを内蔵し、第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dと、PLC130とを無線接続するようにしてもよい。PLC130は、搬送用ベルトコンベアB及び光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dをシーケンス制御するための制御装置であり、汎用のPLCを利用することができる。
【0026】
また、光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dは、その運用時において、PLC130から信号線130aを介して、コード読取の開始タイミングを規定する読取開始トリガ信号を受信する。そして、光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dは、この読取開始トリガ信号に基づいてコードの撮影やデコードを行う。その後、デコードした結果は、信号線130aを介してPLC130へ送信される。このように、光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの運用時には、光学情報読取装置1A、1B、1C、1DとPLC130等の外部制御装置との間で、信号線130aを介して読取開始トリガ信号の入力とデコード結果の出力が繰り返し行われる。なお、読取開始トリガ信号の入力やデコード結果の出力は、上述したように、光学情報読取装置1A、1B、1C、1DとPLC130との間の信号線130aを介して行ってもよいし、それ以外の図示しない信号線を介して行ってもよい。例えば、ワークW1の到着を検知するためのセンサと光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dとを直接的に接続し、そのセンサから光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dへ読取開始トリガ信号を入力するようにしてもよい。
【0027】
図2に示すように、光学情報読取装置1は、箱状のハウジング2と、偏光フィルタアタッチメント3と、照明部4と、カメラ5と、表示部6と、電源コネクタ7と、信号線コネクタ8とが設けられている。さらに、ハウジング2には、インジケータ9と、エイマー光照射部10と、操作ボタン11、12とが設けられており、インジケータ9、エイマー光照射部10及び操作ボタン11、12も光学情報読取装置1の構成要素である。
【0028】
ハウジング2は、所定方向に長い形状となっているが、ハウジング2の形状は図示した形状に限られるものではない。ハウジング2の前側の外面には、偏光フィルタアタッチメント3が脱着可能に取り付けられている。このハウジング2の内部に、照明部4、カメラ5、エイマー光照射部10、プロセッサ20、記憶部30、ROM40、RAM41等が収容されている。プロセッサ20、記憶部30、ROM40及びRAM41も光学情報読取装置1の構成要素である。
【0029】
ハウジング2の前側には、照明部4が設けられている。照明部4は、光学情報読取装置1の前方へ向けて光を照射することによってワークWの少なくともコードを照明するための部分である。
図3にも示すように、照明部4は、複数の発光ダイオード((LED:Light Emission Diode)からなる第1照明部4aと、複数の発光ダイオードからなる第2照明部4bと、第1照明部4a及び第2照明部4bを駆動するLEDドライバ等からなる照明駆動部4cとを備えている。第1照明部4a及び第2照明部4bは、照明駆動部4cにより個別に駆動され、別々に点灯及び消灯させることができるようになっている。照明駆動部4cはプロセッサ20に接続されており、プロセッサ20によって照明駆動部4cが制御されるようになっている。尚、第1照明部4a及び第2照明部4bのうち、一方を省略してもよい。
【0030】
図2に示すように、ハウジング2の前側の中央部には、カメラ5が設けられている。カメラ5の光軸方向は、照明部4による光の照射方向と略一致している。カメラ5は、コードを撮影し、コードを含むコード画像を取得する部分である。カメラ5で取得されたコード画像は、記憶部30の画像データ記憶部30aに記憶される。カメラ5は、ワークW1に付与されていて上記照明部4によって照明されているコードからの反射光を受光する撮像素子5aと、レンズ等を有する光学系5bと、AFモジュール(オートフォーカスモジュール)5cとを備えている。光学系5bには、ワークW1のコードが付された部分から反射した光が入射するようになっており、入射した光は撮像素子5aへ向けて出射されて撮像素子5aの撮像面上で結像する。
【0031】
撮像素子5aは、光学系5bを通して得られたコードの画像を電気信号に変換するCCD(charge-coupled device)やCMOS(complementary metal oxide semiconductor)等の受光素子からなるイメージセンサである。撮像素子5aはプロセッサ20に接続されていて、撮像素子5aによって変換された電気信号は、コード画像のデータとしてプロセッサ20に入力される。また、AFモジュール5cは、光学系5bを構成するレンズのうち、合焦用レンズの位置や屈折率を変更することによってピント合わせを行う機構である。AFモジュール5cもプロセッサ20に接続され、プロセッサ20により制御される。
【0032】
図2に示すように、ハウジング2の側面には表示部6が設けられている。表示部6は、たとえば有機ELディスプレイや液晶ディスプレイ等からなるものである。表示部6は、プロセッサ20に接続され、たとえばカメラ5で撮影されたコード、コードのデコード結果である文字列、読み取り成功率、マッチングレベル等を表示させることができる。読み取り成功率とは、複数回読み取り処理を実行したときの平均読み取り成功率である。マッチングレベルとは、デコードが成功したコードの読み取りのしやすさを示す読取余裕度である。これはデコード時に発生した誤り訂正の数等から求めることができ、たとえば数値で表すことができる。誤り訂正が少なければ少ないほどマッチングレベル(読取余裕度)が高くなり、一方、誤り訂正が多ければ多いほどマッチングレベルが低くなる。
【0033】
電源コネクタ7には、光学情報読取装置1に外部から電源を供給するための電源ケーブル(図示せず)が接続される。また、信号線コネクタ8には、設定装置100及びPLC130と通信を行うための信号線130a等が接続される。信号線コネクタ8は、例えばEthernetコネクタ、RS232C等のシリアル通信用コネクタ、USBコネクタ等で構成することができる。
【0034】
ハウジング2には、インジケータ9が設けられている。インジケータ9は、プロセッサ20に接続されていて、たとえば発光ダイオード等の発光体で構成することができる。光学情報読取装置1の作動状態をインジケータ9の点灯状態によって外部に報知することができる。
【0035】
ハウジング2の前側には、カメラ5を挟むように一対のエイマー光照射部10が設けられている。
図3に示すように、エイマー光照射部10は、発光ダイオード等からなるエイマー10aと、エイマー10aを駆動するエイマー駆動部10bとを備えている。エイマー10aは、光学情報読取装置1の前方へ向けて光(エイマー光)を照射することによってカメラ5の撮影範囲や視野中心、照明部4の光軸の目安等を示すためのものである。具体的には、エイマー10aは、カメラ5の撮影視野範囲内へ向けて環境光とは異なる色(例えば赤色や緑色等)の可視光を照射し、その可視光が照射された面に肉眼で視認可能な目印を形成する。目印は各種図形や記号、文字等であってもよい。ユーザは、エイマー10aから照射される光を参照して光学情報読取装置1を設置することもできる。
【0036】
図2に示すように、ハウジング2の側面には、光学情報読取装置1の設定時等に使用する操作ボタン11、12が設けられている。操作ボタン11、12は、例えばセレクトボタンやエンターボタン等を含んでいる。操作ボタン11、12以外にも、例えばタッチパネル式の操作手段が設けられていてもよい。操作ボタン11、12はプロセッサ20に接続されていて、プロセッサ20は操作ボタン11、12の操作状態を検出可能になっている。操作ボタン11、12の操作により、表示部6に表示された複数の選択肢の中から1つを選択することや、選択した結果を確定することができる。
【0037】
(プロセッサの構成)
図3に示すように、プロセッサ20は、例えばCPUコア及びDSPコアを備えた構成とすることができる。これらコアは複数設けられていてもよい。プロセッサ20には、高速なRAM41が接続されており、各コアがRAM41にアクセス可能となっている。また、プロセッサ20には、ROM40が接続されており、各コアがROM40にアクセス可能となっている。
【0038】
プロセッサ20により、撮像制御部21、前処理部22、抽出部23、デコード部24、チューニング実行部25が構成される。撮像制御部21、前処理部22、抽出部23、デコード部24、チューニング実行部25は、プロセッサ20の演算処理によって構成される部分であり、例えばハードウェアのみで構成されていてもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって構成されていてもよい。
【0039】
(撮像制御部の構成)
撮像制御部21は、
図3に示すAFモジュール5cを制御するユニットであり、従来から周知のコントラストAFや位相差AFによって光学系5bのピント合わせを行うことができるように構成されている。また、撮像制御部21は、カメラ5のゲインを調整したり、照明部4の光量を制御したり、撮像素子5aの露光時間(シャッタースピード)を制御するユニットでもある。ここで、カメラ5のゲインとは、撮像素子5aから出力された画像の明るさをデジタル画像処理によって増幅する際の増幅率(倍率とも呼ばれる)のことである。照明部4の光量については、第1照明部4aと第2照明部4bを別々に制御して変更することができる。ゲイン、照明部4の光量及び露光時間は、カメラ5の撮影条件である。
【0040】
(前処理部の構成)
前処理部22は、コード画像に対して画像処理フィルタを実行する部分である。前処理部22は、カメラ5により生成された画像に含まれるノイズを除去するノイズ除去フィルタや、コントラストを補正するコントラスト補正フィルタ、平均化フィルタ等を実行する。前処理部22が実行する画像処理フィルタは、ノイズ除去フィルタ、コントラスト補正フィルタ、平均化フィルタに限られるものではなく、他の画像処理フィルタを含んでいてもよい。
【0041】
(抽出部の構成)
抽出部23は、カメラ5により取得されたコード画像の中からコードが存在する可能性が高いコード候補領域を抽出する部分である。コード候補領域は、コードらしさを示す特徴量に基づいて抽出することができ、この場合、コードらしさを示す特徴量はコードを特定するための情報となる。例えば、抽出部23は、コード画像を取得し、取得したコード画像に対して、コードらしさを示す特徴量に基づいてコードを探索することができる。具体的には、取得したコード画像の中に、コードらしさを示す特徴量を所定以上持った部分が存在するか否かを探索し、その結果、コードらしさを示す特徴量を持った部分を探索することができれば、その部分を含む領域をコード候補領域として抽出する。コード候補領域には、コード以外の領域が含まれていてもよいが、少なくともコードである可能性が所定以上高い部分を含んでいる。尚、コード候補領域は、あくまでもコードが存在する可能性が高い領域であることから、結果的にコードが含まれない領域の場合もあり得る。
【0042】
(デコード部の構成)
デコード部24は、白黒の二値化されたデータをデコードする部分である。デコードには、符号化されたデータの対照関係を示すテーブルを使用することができる。さらに、デコード部24は、デコードした結果が正しいか否かを所定のチェック方式に従ってチェックする。データに誤りが発見された場合にはエラー訂正機能を使用して正しいデータを演算する。エラー訂正機能はコードの種類によって異なる。デコード部24は、コードをデコードして得られた文字列データ等の読取データは、デコード結果として、
図3に示す記憶部30のデコード結果記憶部30bに記憶するように構成されている。
【0043】
デコード結果には、後述するマッチングレベルと、デコードの要したデコード時間(読取時間)との一方または両方が含まれていてもよい。この場合、マッチングレベルとデコード時間の少なくとも一方が、デコード結果記憶部30bに記憶される。
【0044】
また、デコード結果記憶部30bには、デコードの成否情報を記憶することもできる。コード画像の状態が比較的良好であれば、デコードは殆ど成功するので、そのデコード結果の一部としてデコードが成功したことを示す情報をデコード結果記憶部30bに記憶できる。一方、コード画像の状態が悪く、デコードに失敗した場合には、デコードが失敗したことを示す情報をデコード結果記憶部30bに記憶できる。
【0045】
(チューニング実行部の構成)
チューニング実行部25は、AFモジュール5cを作動させてピント合わせを行った後、カメラ5の撮影条件及びデコード処理のデコード条件等を変化させて、コードの撮影及びデコード処理を繰り返し、各撮影条件及びデコード条件にて算出されたコードの読み取りのしやすさ(デコードの余裕度)を示すマッチングレベルに基づいて、最適な撮影条件及びデコード条件を決定するチューニング処理を実行する。具体的には、チューニング実行部25は、光学情報読取装置1Aの設定時に、カメラ5のゲイン、照明部4の光量及び露光時間等の撮影条件や、前処理部22における画像処理条件を変更してデコードに適した条件となるように各種条件(チューニングパラメータ)を設定する部分である。前処理部22における画像処理条件とは、画像処理フィルタの係数(フィルタの強弱)や、複数の画像処理フィルタがある場合に画像処理フィルタの切替、種類の異なる画像処理フィルタの組み合わせ等である。搬送時のワークW1に対する外光の影響や、コードが付されている面の色及び材質等によって適切な撮影条件及び画像処理条件は異なる。よって、チューニング実行部25は、より適切な撮影条件及び画像処理条件を探索して、撮像制御部21、前処理部22による処理を設定する。
【0046】
(記憶部の構成)
図3に示す記憶部30は、例えばSSD(ソリッドステートドライブ)等のような読み書き可能な記憶装置で構成することができるが、各記憶部30a、30b、30cは、上記記憶装置ではなく、ROM40に設けられていてもよい。すなわち、本実施形態では、画像データ記憶部30aと、デコード結果記憶部30bと、パラメータセット記憶部30cとがROM40に含まれている形態も対象である。画像データ記憶部30aは、カメラ5で取得されたコード画像を記憶する部分である。デコード結果記憶部30bは、デコード部24で実行されたコードのデコード結果を記憶する部分である。パラメータセット記憶部30cは、チューニング実行部25が実行したチューニングの結果、設定された各種条件やユーザが設定した各種条件を記憶する部分である。
【0047】
チューニング実行部25が実行したチューニングの結果、設定された各種条件やユーザが設定した各種条件を構成するパラメータがセットになったものが上記パラメータセットであり、このパラメータセットは、コード画像をデコードするときに適用される読取条件でもある。パラメータセットは、バンクと呼ぶこともでき、この実施形態では、パラメータセットを複数通り記憶することができる。コード画像をデコードするときに適用された読取条件と、読取データとは関連付けられて記憶される。
【0048】
この光学情報読取装置1Aでは、パラメータセット記憶部30cに記憶されている複数のパラメータセットのうち、一のパラメータセットから他のパラメータセットに切り替えることができるように構成されている。パラメータセットの切替は、ユーザが行うこともできるし、PLC130等の外部制御装置からの切替信号によって行うように構成することもできる。パラメータセットの切替をユーザが行う場合には設定装置100や、操作ボタン11、12を操作すればよい。選択されたパラメータセットが光学情報読取装置1Aの運用時に使用され、また、選択されなかったパラメータセットが光学情報読取装置1の運用時に使用されないようになる。つまり、一のパラメータセットから他のパラメータセットに切り替えることが可能になっている。
【0049】
光学情報読取装置1Aは、Webサーバ15も備えている。Webサーバ15は、設定装置100や他の光学情報読取装置1B、1C、1D等と通信を行う部分である。具体的には、Webサーバ15は、クライアントソフトウェア(設定装置100等で動作するソフトウェア)とHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やHTTPS等のプロトコルによる通信を行う部分であり、Webブラウザからの要求に応じて設定装置100や他の光学情報読取装置1B、1C、1D等へデータを送信する機能を有している。ハードウェアまたはソフトウェア、あるいはそれら両方の組み合わせによってWebサーバ15を第1光学情報読取装置1Aに構築することができる。Webサーバ15は、インターネット等のネットワークNに接続され、設定装置100や他の光学情報読取装置1B、1C、1D等と相互に通信可能になっている。尚、第2~第4光学情報読取装置1B~1Dは、第1光学情報読取装置1Aと同様に構成されている。
【0050】
(設定装置の構成)
設定装置100は、複数の光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dとネットワークを介して接続され、各光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの設定を行うための装置である。設定装置100は、
図4にブロック図で示すように、表示部101と、キーボード102及びマウス103と、各光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dと通信するための通信部104と、プロセッサ105と、記憶部106とを備えている。光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dを小型化することで、光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの表示部6やボタン11、12等だけでは、光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの全ての設定を行うことが困難になるので、光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dとは別に設定装置100を用意し、設定装置100で光学的情報読取装置1A、1B、1C、1Dの各種設定を行って設定情報を光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dに転送することができる。
【0051】
設定装置100は、汎用あるいは専用の電子計算機や携帯型端末等を利用することができる。通信部104は、光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dと同一のネットワークNに接続される部分であり、この通信部104を介して各光学情報読取装置1A、1B、1C、1DのWebサーバ15と通信し、データの送受信が可能になる。通信部104は、例えば第1光学情報読取装置1AのWebサーバ15にアクセスして、第1光学情報読取装置1Aの画像データ記憶部30aに記憶されているコード画像、及びデコード結果記憶部30bに記憶されている読取データ、読取条件、設定条件、設置条件等を取得可能になっている。これに限らず、通信部104は、任意の一の工程に設定された光学情報読取装置1A、1B、1C、1DのWebサーバ15と通信可能であり、また、全ての光学情報読取装置1A、1B、1C、1DのWebサーバ15とも通信可能である。
【0052】
マッチングレベルとデコード時間の少なくとも一方がデコード結果記憶部30bに記憶されている場合、通信部104は、デコード結果記憶部30bに記憶されているマッチングレベルとデコード時間の少なくとも一方を取得することが可能である。デコード結果とマッチングレベルまたはデコード時間とは関連付けられて記憶されているので、デコード結果が特定されれば、マッチングレベルまたはデコード時間も自動的に特定され、両方を取得できる。また、デコードの成否情報がデコード結果記憶部30bに記憶されている場合、通信部104は、デコード結果記憶部30bに記憶されているデコードの成否情報を取得することが可能である。
【0053】
パラメータセット記憶部30cに読取条件が記憶されている場合には、通信部104は、パラメータセット記憶部30cに記憶されている読取条件も取得することが可能である。デコード結果と読取条件とは関連付けられて記憶されているので、デコード結果が特定されれば、読取条件も自動的に特定され、両方を取得できる。
【0054】
表示部101は、液晶ディスプレイ等で構成されている。表示部101には、複数の光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの内のいずれか一つの光学情報読取装置の読取データを、通信部104を介して取得し、この取得した読取データを一覧形式で表示することができる。通信部104を介して取得された読取データの一覧は、例えばWebブラウザを介して表示することができる。
【0055】
ここで、
図5に示すように、ワークW1、W2、W3がベルトコンベアB上を順に流れている場合を想定する。ワークW1に着目すると、第1工程、第2工程、第3工程、第4工程の順に到達する。ワークW1の管理データとして、ワークW1が第1~第4工程まで途中を飛ばすことなく流れたものであるか否かを登録したい場合がある。ワークW2、W3についても同様である。
【0056】
図6に示すように、第1~第4工程に設置されている第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1D(図中ではそれぞれ簡略化して第1~第4リーダという。他の図面においても同様)のIPアドレスを予め設定しておく。一例として示しているように、設定装置100の表示部101には、第1光学情報読取装置1AのIPアドレスを指定することで、Webブラウザを介して第1光学情報読取装置1Aの読取データや第1光学情報読取装置1Aのカメラ5で取得したコード画像等を表示させることができる。第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dに記憶されている読取データやコード画像をレコードと呼ぶ。
【0057】
以下、
図7に示すタイミングチャートを使用して設定装置100の具体的な処理について説明する。
図7における「アクセス先のリーダ」とは、Webサーバとして機能する光学情報読取装置のことであり、「他のリーダ」とは、「アクセス先のリーダ」以外の光学情報読取装置のことである。
【0058】
まず、ユーザは「1.IPアドレスを入力」を実行する。IPアドレスの例は
図6に示している。次に、Webブラウザは「2.アクセス先のリーダに問い合わせ」を実行する。例えば第1光学情報読取装置1Aがアクセス先のリーダである場合、第1光学情報読取装置1Aに問い合わせを実行すると、第1光学情報読取装置1Aが「3.Webアプリケーションのコードを返信」する。Webブラウザは、コードを受信すると、「4.アプリケーション起動」を実行する。
【0059】
その後、ユーザが「5.リンクモニター」を起動する。このリンクモニターは、リンクモニターアプリケーションのことであり、ネットワークN上に接続されている複数の光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの状態を確認するためのアプリケーションである。アプリケーションの画面は、
図8や
図9、
図10等に示すとおりであるが、これらについては後述する。
【0060】
ユーザが「5.リンクモニター」を起動すると、Webブラウザは「6.読取結果の一覧を問い合わせ」を、アクセス先のリーダである第1光学情報読取装置1Aに対して実行する。問い合わせを受けた第1光学情報読取装置1Aは、「7.読取結果の一覧を返信」する。この返信時には、第1光学情報読取装置1Aに記憶されている複数の読取データが設定装置100に送信される。送信された読取データは、設定装置100の記憶部106に記憶される。また、Webブラウザは「8.他のリーダに読取結果の一覧を問い合わせ」を実行する。問い合わせを受けた第2~第4光学情報読取装置1B、1C、1Dは、「9.読取結果の一覧を返信」する。この返信時には、第2~第4光学情報読取装置1B、1C、1Dに記憶されている複数の読取データが設定装置100に送信される。送信された読取データは、設定装置100の記憶部106に記憶される。
【0061】
読取データが送信された後、設定装置100は「10.アクセス先のリーダの結果一覧を表示」する。これが表示ステップである。アクセス先のリーダが第1光学情報読取装置1Aである場合には、第1光学情報読取装置1Aから送信された結果一覧を表示部101に表示する。Webブラウザを介した表示形態の具体例は
図8に示す。
【0062】
図8は、複数の光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dから同一の読取データを持つレコードを抽出し、コード画像や読取時間等を表示するためのリンクモニター画面300の一例を示している。リンクモニター画面300のヘッダー部301には、フィルタ/検索の条件設定が可能になっており、フィルタ設定領域301a、検索設定領域301b、リーダ選択領域301c、期間指定領域301dが設けられている。フィルタ設定領域301aでは、多数のレコードの中からリンクモニター画面300に表示する対象(表示対象)を選別する際の条件が設定され、例えば「すべてを表示」、「エラーのみ表示」等の条件設定が可能である。エラーとは、読取不可または読取失敗であったレコードである。検索設定領域301bでは、表示対象のレコードの中から指定した読取データを持つレコードを検索する条件設定が可能である。期間指定領域301dでは、表示対象を抽出する期間の指定が可能である。
【0063】
リーダ選択領域301cでは、ヘッダー部301の下に表示する光学情報読取装置を複数の光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの中から選択する。例えば
図4に示すように、設定装置100は、探索部105c、登録部105d、選択部105eを備えている。探索部105cは、同一のネットワークN上に存在する第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dを探索する部分である。第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1D以外にもネットワークN上に光学情報読取装置が存在する場合には、その光学情報読取装置も探索する。登録部105dは、探索部105cにより探索された光学情報読取装置のIPアドレスを取得し、登録する部分である。光学情報読取装置のIPアドレスの登録先は、記憶部106であってもよい。選択部105eは、登録部105dにより登録されたIPアドレスに対応する光学情報読取装置の中から、比較表示の対象とする光学情報読取装置を選択する部分である。具体的には、ユーザがリーダ選択領域301cを操作して第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの選択操作を行うと、その選択操作を選択部105eが検出し、第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dを選択する。
【0064】
リンクモニター画面300のヘッダー部301の下には、リーダ表示領域302と、読取データの一覧を表示するレコード表示領域303とが設けられている。リーダ表示領域302には、選択部105eで選択された光学情報読取装置の情報が表示される。本例では、第1~第4光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dが表示されているが、1つのみが選択された場合には1つのみ表示することも可能である。リーダ表示領域302には、光学情報読取装置の情報として、光学情報読取装置を特定するための名称、型式、光学情報読取装置の外観を示すイラストや写真等が表示される第1領域302aが設けられており、制御部105aが、選択部105eにより選択された光学情報読取装置の情報を第1領域302aに表示させる。光学情報読取装置の外観から型式等を判別することが可能になるので、どの型式の光学情報読取装置がどの工程に設置されているかが簡単に分かる。
【0065】
また、リーダ表示領域302には、光学情報読取装置で撮影されたコード画像が表示される第2領域302bが設けられている。また、リーダ表示領域302には、光学情報読取装置でデコードした際のマッチングレベル(MLV)と、デコード時間(時間)と、グレードを表示する第3領域302cも設けられている。グレードとは、コードの印字品質のことであり、Aが最も良く、Fが最も悪い。第3領域302cの下には、デコード時間をグラフ表示するグラフ表示領域302dが設けられている。グラフ表示領域302dにおける上の横線は、読取時間の最大値を示し、下の横線は読取時間の最小値を示している。これを見ることで、読取時間がどの程度ばらついているか分かる。
【0066】
レコード表示領域303にはヘッダー部301で抽出、選択された読取データの一覧が表示される。読取に成功すればID(識別情報)が付与されて記憶部30に記憶されており、そのIDがレコード表示領域303に表示される。レコード表示領域303には、読取データが取得された日時と、読取時間とがIDに関連付けられて表示される。レコード表示領域303に表示されている「エラー」は、読取に失敗したデータである。レコード表示領域303には、選択された光学情報読取装置の読取データを時系列に表示させてもよい。読取データの表示の方向は、上下方向であってもよいし、左右方向であってもよい。上下方向の場合、上が最も古いデータであってもよいし、下が最も古いデータであってもよい。左右方向の場合、左が最も古いデータであってもよいし、右が最も古いデータであってもよい。
【0067】
図4に示すように、設定装置100のプロセッサ105には、制御部105a及び入力部105bが構成されている。ユーザは、リンクモニター画面300のリーダ表示領域302に表示されている光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dのうち、例えば太線の枠で囲まれた第1光学情報読取装置1Aがマウス103等の操作によって選択されると、その入力操作を入力部105bが受け付ける。第1光学情報読取装置1Aが選択されると、制御部105aは、第1光学情報読取装置1Aが取得した読取データのみ抽出して、レコード表示領域303に表示する。
【0068】
また、レコード表示領域303には、いずれかの光学情報読取装置でデコードに成功又は失敗したデコード情報のみを抽出して表示することもできる。例えば、設定装置100の通信部104は、各光学情報読取装置のデコードの成否情報も取得しているので、制御部105aは、その成否情報に基づいて、いずれかの光学情報読取装置でデコードに成功したデコード情報のみを抽出してレコード表示領域303に表示させてもよいし、いずれかの光学情報読取装置でデコードに失敗したデコード情報のみを抽出してレコード表示領域303に表示させることができる。
【0069】
次いで、
図7の「11.結果を1つ選択」では、レコード表示領域303に表示されている結果一覧からいずれか一つの読取データの選択を実行する。読取データが時系列に表示されている場合には、時系列に表示された読取データの中から、任意の一つの読取データの選択が可能である。
【0070】
このとき、ユーザによる入力操作は、入力部105bで受け付ける。つまり、入力部105bは、表示部101のリンクモニター画面300のレコード表示領域303に表示された読取データの一覧から、いずれか一つの読取データのユーザによる選択入力を受け付ける部分である。具体的には、マウス103等の操作を検出することで、レコード表示領域303に表示されている読取データの中からどの読取データが選択されたかを検出できる。このステップが入力ステップである。
【0071】
その後、Webブラウザは
図7の「12.アクセス先のリーダの結果を表示」を実行する。さらに、Webブラウザは「13.対応する画像の取得を要求」する。対応する画像とは、ユーザにより選択された読取データを有するコード画像のことである。要求を受けたアクセス先のリーダである第1光学情報読取装置1Aは、「14.対応する画像の返信」を実行し、読取データを有するコード画像を設定装置100に送信する。
【0072】
Webブラウザは、「15.画像表示」を実行し、第1光学情報読取装置1Aから送信されたコード画像を
図8に示すリンクモニター画面300の第2領域302bに表示する。
【0073】
次いで、Webブラウザが「16.他のリーダの結果一覧から同一の結果を検索、表示」し、「17.対応する画像の取得を要求」する。具体的には、制御部105aは、入力部105bにより選択された読取データと同一のワークの読取データを有するコード画像を、ネットワークN上に接続された第2~第4光学情報読取装置1B、1C、1Dに対して要求する。
【0074】
要求された第2~第4光学情報読取装置1B、1C、1Dは、「18.対応する画像の返信」を実行し、Webブラウザは、「19.リーダの結果を比較表示」する。すなわち、制御部105aは、入力部105bにより選択された読取データと同一のワークの読取データを有するコード画像を第2~第4光学情報読取装置1B、1C、1Dから取得し、異なる複数の光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dでそれぞれ取得された複数のコード画像を表示部101に比較表示する。ここで表示されるコード画像は、すべて同じワークを撮影したものであるが、異なる工程で取得された画像である。
【0075】
例えば、
図8のリーダ表示領域302の第2領域302bに示すように、光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dでそれぞれ取得された複数のコード画像を横並びで表示することができる他、図示しないが、光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dでそれぞれ取得された複数のコード画像を縦並びで表示してもよい。また、比較表示とは、光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dでそれぞれ取得された複数のコード画像を同時に表示する形態以外にも、切り替えて順に表示する形態であってもよい。複数のコード画像を同時に表示せずに切り替えて表示しても比較可能である。このステップが表示ステップである。
【0076】
表示部101に表示されるリンクモニター画面300のリーダ表示領域302には、マッチングレベルと、デコード時間とを表示可能な第3領域302cが設けられているので、制御部105aは、読取データの中から入力部105bにより選択された読取データに対応する第1光学情報読取装置1Aのマッチングレベル又はデコード時間と、入力部105bにより選択された読取データに対応する他の光学情報読取装置1B、1C、1Dのマッチングレベル又はデコード時間とを比較表示することができる。マッチングレベルとデコード時間の両方を比較表示してもよいし、一方のみ比較表示してもよい。コード画像の真下にマッチングレベル又はデコード時間を表示することで、コード画像と、マッチングレベル又はデコード時間との関連が直感的に分かる。
【0077】
図9に示すように、レコード表示領域303に表示されているレコードのうち、「エラー」と表示されているレコードを選択すると、他の光学情報読取装置1B、1C、1Dの読取データとの関連付けができないので、リーダ表示領域302にはコード画像が表示されず、また各領域302a、302b、302cには情報が表示されない。
【0078】
図10に示すように、コード画像を撮影した時の設定を比較可能な形態で表示することも可能である。
図10に示す設定比較画面400は、リンクモニター画面300と同様に、ヘッダー部401、リーダ表示領域402、レコード表示領域403が設けられている。リーダ表示領域402は、リンクモニター画面300と同様に、第1領域402a、第2領域402b及び第3領域402cを有しているが、グラフ表示領域302dを有しておらず、その代わりに設定比較画面400には条件表示領域404が設けられている。
【0079】
条件表示領域404には、コード画像を撮影した時の設定が表示されるようになっている。表示される設定項目としては、例えば光学情報読取装置とワークとの距離(読取距離)、光学情報読取装置の設置角度(チルト角、ピッチ角等)、バンク情報、照明情報、適用した画像処理フィルタ等を挙げることができるが、これら以外の撮影や照明、画像処理に関する条件等が含まれていてもよい。バンク情報とは、どのパラメータセットを使用してコード画像を取得したかを表す情報である。照明情報とは、第1照明部4a及び第2照明部4bの点灯状態に関する情報である。
【0080】
このように、制御部105aは、同一のデコード情報に対応する互いに異なる光学情報読取装置により撮影された複数のコード画像とともに、そのコード画像を撮影した時の読取条件を取得し、表示部101に比較表示する。
【0081】
図11に示すように、制御部105aは、複数の光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの情報を、読取データをキーとしてリンクして表示することができる。この表示モードをリンク表示モードと呼ぶ。リンク表示モードでは、制御部105aが
図11に示すようなリンク表示画面410を生成して表示部101に表示させる。リンク表示画面410は、光学情報読取装置の情報を表示する表示領域411が複数設けられている。リンク表示モードでは、複数の光学情報読取装置1A、1B、1Cで取得され、入力部105bにより選択された読取データに対応するコード画像及び読取結果を光学情報読取装置ごとに表示する。また、各光学情報読取装置が読取データを取得した時の読取条件を表示することもできる。
【0082】
また、
図12に示すように、制御部105aは、ユーザにより選択された一の光学情報読取装置1Aの情報のみを表示部101に表示することも可能になっている。
図12に示す単一表示画面415は、一の光学情報読取装置1Aの情報を表示する表示領域416が設けられている。単一表示モードでは、一の光学情報読取装置1Aで取得され、入力部105bにより選択された読取データに対応するコード画像を表示するとともに、当該読取データを取得した時の読取条件を表示する。つまり、制御部105aは、リンク表示モードと、単一表示モードに切り替えが可能である。表示モードの切替は、ユーザの操作を検出することによって行われる。
【0083】
図12に示す単一表示モードでは、1つの光学情報読取装置の情報のみ表示すればよいので、
図11に示すリンク表示モード時の表示画面410に比べてコード画像が拡大される。これにより、コード画像の確認が容易に行える。
【0084】
図13に示すように、制御部105aは、単一表示モード時に、一の光学情報読取装置1Aのデコードに関するトレンド情報を取得し、表示部101に表示させることもできる。
図13はトレンド情報表示画面420を示している。トレンド情報表示画面420には、光学情報読取装置を選択する選択領域421が設けられている。ユーザが選択領域421を操作することで、任意の光学情報読取装置を選択することができる。制御部105aは、選択された光学情報読取装置の読取回数を所定期間分、収集する。所定期間は、数日であってもよいし、1週間、1ヶ月等であってもよい。本例では、第1光学情報読取装置1Aが選択されているので、第1光学情報読取装置1Aの読取回数を収集する。
【0085】
トレンド情報表示画面420には、グラフ表示領域422が設けられている。グラフ表示領域422には、横軸が日にち(時間)、縦軸が読取回数のグラフが表示される。グラフには、第1光学情報読取装置1Aが受信した読取開始トリガの回数を示す線と、第1光学情報読取装置1Aの読取成功回数を示す線と、第1光学情報読取装置1Aの読取失敗回数を示す線とが生成される。これにより、ユーザは、第1光学情報読取装置1Aのトレンド情報を容易に把握することができる。
【0086】
トレンド情報としては、読取回数以外にも、例えば、読取時間、バンク使用率等であってもよい。読取回数、読取時間、バンク使用率の中からユーザが選択してトレンド情報を得ることができる。選択されたトレンド情報に応じてグラフを切り替えることができ、例えば読取回数の場合、最大、最小、平均を制御部105aが算出し、表示させることができる。バンク使用率を表示させることで、どのバンクがよく使用されているかを把握できる。
【0087】
(使用状態の選択)
図14は使用状態の設定を示すフローチャートである。ユーザが使用状態の設定をする際は、
図15に示す設定画面430のチューニング設定ボタン432が操作されると、
図14に示すフローチャートのステップSA1に進み、各光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの使用状態の選択を受け付ける。具体的には、入力部105bは、設定アプリケーションの実行が選択された場合に、各光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの使用状態の選択を受け付け可能に構成されている。例えば、「停止ワークを読む」、「移動ワークを読む」、「ハンズフリー」及び「印字検証」のうちから任意の1つの使用状態を選択可能な画面を生成して表示部101に表示させることで、ユーザはマウス103等を操作し、各光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの使用状態を上記4つの選択肢の中から選択できる。この選択操作は入力部105bで受け付けられる。
【0088】
「停止ワークを読む」とは、ワークが止まった状態でコードを読み取る使用状態である。「移動ワークを読む」とは、ワークが移動している状態でコードを読み取る使用状態である。「ハンズフリー」とは、各光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dを固定しておき、例えば手でワークを各光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの前にかざして読み取る使用状態である。「印字検証」とは、コードに付与されている印字を検証する使用状態である。
【0089】
ステップSA1で「停止ワークを読む」が選択された場合には、ステップSA2で選択結果の確認をユーザに対して行う。確認の結果、問題無ければ、ステップSA3に進んで設定を送信し、読み取りを実行する画面へ進む。確認の結果、キャンセルする場合には、ステップSA5に進んで1つ前に戻る。
【0090】
ステップSA1で「移動ワークを読む」が選択された場合には、ステップSA6に進み、「移動ワークを読む」のオプションとしてワーク位置の設定を実行した後、露光時間の上限設定処理を行う。露光時間の上限設定処理では、コード長の設定と、ワークの移動速度の設定を行い、その後、ステップSA2に進む。これら設定項目は、表示部101に表示される。
【0091】
また、ステップSA1で「ハンズフリー」が選択された場合には、ステップSA7に進み、ハンズフリーオプションとしてワーク位置の設定を実行した後、露光時間の上限設定処理を行う。露光時間の上限設定処理では、コード長の設定と、ワークの移動速度の設定を行い、その後、ステップSA2に進む。これら設定項目は、表示部101に表示される。
【0092】
また、ステップSA1で「印字検証」が選択された場合には、ステップSA8に進み、印字検証オプションとして印字検証の規格選択と、キャリブレーションの有無の設定を行う。これら設定項目は、表示部101に表示される。
【0093】
このように、制御部105aは、例えば「停止ワークを読む」で使用する場合と、「移動ワークを読む」で使用する場合とで、異なる設定項目を表示部101に表示させるように構成されている。つまり、入力部105bにより選択された使用状態に対応する設定項目を表示部101に表示させるので、ユーザはその設定項目に従ってチューニング設定を実行すればよい。
【0094】
(設定アプリケーション)
上述したチューニング実行部25によるチューニングは、各光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの設定を行う際に行われる。各光学情報読取装置1A、1B、1C、1Dの運用を開始する前には、設定を行うための設定アプリケーションの立ち上げ操作をユーザが行う。設定アプリケーションが立ち上がると、制御部105aは、例えば
図15に示すような設定画面430を生成して表示部101に表示する。
【0095】
設定画面430には、カメラ5で撮影されたコード画像が表示される画像表示領域431と、チューニング設定ボタン432と、チューニング開始ボタン433と、テストボタン434と、結果表示領域435とが設けられている。チューニング設定ボタン432が操作されたことを検出すると、チューニングに関する各種設定が行えるようになる。また、チューニング開始ボタン433が操作されたことを検出すると、チューニング実行部25が上述したチューニングを実行する。テストボタン434は、チューニング後に操作するボタンであり、コードの読取処理を試行する。試行した結果は、結果表示領域435に表示される。
【0096】
(光学情報読取システムの運用)
次に、
図16に示すフローチャートに基づいて光学情報読取システムSの運用時の具体例について説明する。このフローチャートは、コードの読み取りに異常が発生した場合にスタートする。ステップSB1では、ユーザが
図11に示すリンク表示画面410を見て、光学情報読取システムSの稼働状態を確認する。ステップSB1においてユーザが各種設定の修正が必要であると判断すれば、ステップSB4に進み、そうでない場合にはステップSB2に進む。ステップSB2では、読取異常にある光学情報読取装置の読取履歴を確認する。このとき、例えば
図13に示すトレンド情報表示画面420でトレンド情報を確認することもできる。ステップSB2においてユーザが各種設定の修正が必要であると判断すれば、ステップSB4に進み、そうでない場合にはステップSB3に進む。
【0097】
ステップSB3では、
図8に示すリンクモニター画面300や、
図10に示す設定比較画面400で読取データや各種情報について前工程との差分を比較し、確認する。例えば、第1工程と第2工程との差分や、第2工程と第4工程との差分を比較する。ステップSB3においてユーザが各種設定の修正が必要であると判断すれば、ステップSB4に進む。ステップSB4では、読取異常が発生した原因を解消するための設定編集を行う。例えば、
図14に示す設定画面430を表示させる。
【0098】
つまり、読取異常の解析の際には、ステップSB2で1つの光学情報読取装置の読取履歴を確認し、設定の修正が必要と判断した場合には、設定アプリケーションを起動して設定画面430にてチューニングの実行等をユーザに促すとともに、設定編集のサポートを行うことができる。
【0099】
また、ステップSB2で1つの光学情報読取装置の読取履歴を確認し、読取成功のデータを選択して他の光学情報読取装置の読取データと比較することができる。これにより、同一のコードに対して、異なる光学情報読取装置間での差異を確認できる。差異を確認した結果、特定の工程が、他の工程に比べて相対的に読取時間のばらつきが大きい場合には、そのばらつきの大きな工程の読取条件や設置条件等を再検討する。このように、リンクモニターは予知保全の観点で利用することもできる。
【0100】
(タイムライン表示)
図17は、
図8に示すリンクモニター画面300に変わる表示形態であるタイムライン表示画面500を示している。タイムライン表示画面500のヘッダー部501は、
図8に示すリンクモニター画面300と同様に、フィルタ設定領域501a、検索設定領域501b、リーダ選択領域501c、期間指定領域501dが設けられている。タイムライン表示画面500のヘッダー部501の下には、リーダ表示領域502と、コード画像表示領域503と、読取時刻表示領域504とが設けられている。読取時刻表示領域504は左から右へ向かって時刻が進む方向となっており、コードを読み取った時刻が縦線504aで表示されている。これは、全体のタイムスパンに対してコードの読取に要する時間が極めて短いためである。縦線504aの色は、例えば読取に成功したものと、失敗したものとで変えることができる。また、縦線504aの色は、読取が不安定であったものと、読取に成功したものとで変えることもできる。さらに、縦線504aの色は、読取が不安定であったものと、失敗したものとで変えることもできる。
【0101】
読取時刻表示領域504には、カーソル線504bも表示される。カーソル線504bは、ユーザによって選択されたレコードが得られた時刻に表示されるので、ユーザが別のレコードを選択するとそれに応じてカーソル線504bが移動するように表示される。
【0102】
第2工程に設置されている第2光学情報読取装置1Bで得られた読取結果のうち、例えば縦線504cが読取失敗であったとする。この場合、後工程である第3工程にはワークが流れてこないので、第3光学情報読取装置1Cでは、縦線504cに対応する読取結果を取得できていないことは分かる。
【0103】
また、読取時刻表示領域504には、各種イベントが発生した時刻を示すイベントマーク504dも表示される。イベントの種類は、アプリケーションの起動、設定の変更、システムエラーの発生等であり、イベントマーク504dを表示することで、読取に対して何らかの影響があったか確認できる。
【0104】
読取時刻表示領域504のタイムスケールは、1日を例として示しているが、これに限らず、調整部504eの操作によって変更することができる。調整部504eをユーザが操作することで、タイムスケールを1日よりも短くしたり、長くすることができる。また、読取時刻表示領域504には表示切替部504fも設けられている。この表示切替部504fをユーザが操作することで、各インジケータの表示、非表示を切り替えることもできる。
【0105】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、表示部101に表示された読取データの一覧からいずれか一つの読取データを選択すると、その読取データを有するコード画像を、ネットワークN上に接続された他の光学情報読取装置から取得し、異なる複数の光学情報読取装置でそれぞれ取得された複数のコード画像を表示部101に比較表示することができる。したがって、例えば前工程でワークW1のコードを撮影して読取データを取得した場合、後工程で取得された同じワークW1のコード画像を空間軸で比較できるので、特にトレーサビリティに有効である。
【0106】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上説明したように、本発明に係る光学情報読取装置は、例えば二次元コード等のコードを読み取る場合に使用することができる。
【符号の説明】
【0108】
1A 第1光学情報読取装置
1B 第2光学情報読取装置
15 Webサーバ
100 設定装置
101 表示部
104 通信部
105a 制御部
105b 入力部
105c 探索部
105d 登録部
105e 選択部
N ネットワーク
S 光学情報読取システム