(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079366
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】カップ押し潰し装置
(51)【国際特許分類】
B30B 9/32 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
B30B9/32 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192809
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海老沢 昌之
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カップの位置決めが容易で、比較的に小さな力量でカップを押し潰すことが可能なカップ押し潰し装置を提供する。
【解決手段】カップ押し潰し装置は、投入口から延び、カップを軸方向に滑らせることが可能な底面を有する滑り台と、前記滑り台の前記投入口とは反対側の端部に設けられたストッパと、前記ストッパの近傍で前記滑り台の延びる方向に沿って延び且つ前記カップの直径よりも小さい幅で前記底面に設けられた溝部と、前記滑り台に対して前記溝部を間に挟んだ反対側に設けられた保持部と、前記溝部から離間する第1位置と、前記保持部側に位置した第2位置と、の間で移動可能に設けられた板状の押刃部であって、前記移動により、前記カップを半径方向に折り畳んで前記溝部内に押し込み、前記カップを前記保持部に向けて凸になるように前記溝部で絞りつつ前記保持部内に移動させる押刃部と、前記押刃部を移動させる移動機構部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口から延び、カップを軸方向に滑らせることが可能な底面を有する滑り台と、
前記滑り台の前記投入口とは反対側の端部に設けられたストッパと、
前記ストッパの近傍で前記滑り台の延びる方向に沿って延び且つ前記カップの直径よりも小さい幅で前記底面に設けられた溝部であって、前記底面に接続された第1端部と前記第1端部とは反対側に位置した第2端部とを有する溝部と、
前記滑り台に対して前記溝部を間に挟んだ反対側に設けられた保持部と、
前記溝部から離間するとともに前記溝部に対向した第1位置と、前記溝部内に位置してその先端が前記第2端部よりも前記保持部側に位置した第2位置と、の間で移動可能に設けられた板状の押刃部であって、前記第1位置から前記第2位置への移動により、前記ストッパで停止された前記カップを半径方向に折り畳んで前記溝部内に押し込み、前記溝部内に押し込まれた前記カップを前記保持部に向けて凸になるように前記溝部で絞りつつ前記保持部内に移動させる押刃部と、
前記押刃部を前記第1位置と前記第2位置との間で移動させる移動機構部と、
を備えるカップ押し潰し装置。
【請求項2】
前記滑り台の延びる方向と交差する方向に関する前記底面および前記溝部の断面は、漏斗形をなした請求項1に記載のカップ押し潰し装置。
【請求項3】
前記押刃部の前記先端は、実質的に鋭角をなした請求項1又は請求項2に記載のカップ押し潰し装置。
【請求項4】
前記カップは、紙カップである請求項1~3のいずれか1項に記載のカップ押し潰し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップを嵩張らないように押し潰すことが可能なカップ押し潰し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
軸方向に紙カップを押し潰し可能な紙カップ潰し装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この紙カップ潰し装置は、紙カップ底部の溝に嵌り込める突起(ヘッド)と、受け台と、受け台に設けられ突起が適度に嵌り込める穴(可動部)と、を有している。紙カップ潰し装置を用いて紙カップを潰すには、まず受け台に紙カップを逆さ向きに設置し、突起(ヘッド)を上方から降下させる。それによって、突起が紙カップ底部の溝に嵌り込み、ヘッドは、紙カップ全体を受け台の可動部の上面まで押し潰すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の紙カップ潰し装置では、紙カップを逆さ向きにして穴(可動部)の上側に正確に置く必要があり、位置決めのために利用者に負担を強いる構造となっている。紙カップを正しく位置決めできない場合には、紙カップを正確に押し潰すことができない問題がある。また、紙カップの軸方向への押し潰し(座屈)は、紙カップの剛性が最も高い方向に関する変形であるので、紙カップを押し潰すために相当に大きな力が必要になる問題がある。そのため、駆動力の大きなモータを利用する必要があり、コスト増につながる問題がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、カップの位置決めが容易で、比較的に小さな力量でカップを押し潰すことが可能なカップ押し潰し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)のカップ押し潰し装置は、投入口から延び、カップを軸方向に滑らせることが可能な底面を有する滑り台と、
前記滑り台の前記投入口とは反対側の端部に設けられたストッパと、
前記ストッパの近傍で前記滑り台の延びる方向に沿って延び且つ前記カップの直径よりも小さい幅で前記底面に設けられた溝部であって、前記底面に接続された第1端部と前記第1端部とは反対側に位置した第2端部とを有する溝部と、
前記滑り台に対して前記溝部を間に挟んだ反対側に設けられた保持部と、
前記溝部から離間するとともに前記溝部に対向した第1位置と、前記溝部内に位置してその先端が前記第2端部よりも前記保持部側に位置した第2位置と、の間で移動可能に設けられた板状の押刃部であって、前記第1位置から前記第2位置への移動により、前記ストッパで停止された前記カップを半径方向に折り畳んで前記溝部内に押し込み、前記溝部内に押し込まれた前記カップを前記保持部に向けて凸になるように前記溝部で絞りつつ前記保持部内に移動させる押刃部と、
前記押刃部を前記第1位置と前記第2位置との間で移動させる移動機構部と、
を備える。
【0007】
また、本発明(2)のカップ押し潰し装置は、(1)に記載のカップ押し潰し装置であって、
前記滑り台の延びる方向と交差する方向に関する前記底面および前記溝部の断面は、漏斗形をなした。
【0008】
また、本発明(3)のカップ押し潰し装置は、(1)又は(2)記載のカップ押し潰し装置であって、
前記押刃部の前記先端は、実質的に鋭角をなした。
【0009】
また、本発明(4)のカップ押し潰し装置は、(1)~(3)のいずれか1項に記載のカップ押し潰し装置であって、
前記カップは、紙カップである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カップの位置決めが容易で、比較的に小さな力量でカップを押し潰すことが可能なカップ押し潰し装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態のカップ押し潰し装置の全体像および筐体内部の保持部を示す模式的な斜視図である。
【
図2】
図1に示すカップ押し潰し装置の筐体内部の滑り台、押刃部、および保持部を示した模式的な斜視図である。
【
図3】
図1に示すカップ押し潰し装置の筐体内部の滑り台、ストッパ、および押刃部を示した模式的な側面図である。
【
図4】
図1に示すカップ押し潰し装置の筐体内部の滑り台、溝部、押刃部、および移動機構部を示した模式的な正面図である。
【
図5】
図4に示す滑り台、溝部、および押刃部において、押刃部がさらに前進(下降)し、カップを押刃部と溝部とによって絞りを加えている状態を示した模式的な正面図である。
【
図6】
図5に示す滑り台、溝部、および押刃部において、押刃部がさらに第2位置まで前進(下降)し、カップを保持部に落下させた状態を示した模式的な正面図である。
【
図7】
図1に示す保持部および保持部内で折り畳み状態で保管されたカップを示す断面図である。
【
図8】対比例としての、保持部および保持部内で折り畳まれていない状態で保管されたカップを示す断面図である。
【
図9】変形例のカップ押し潰し装置の全体像および移動機構部を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、カップ押し潰し装置の実施形態について説明する。実施形態のカップ押し潰し装置は、例えば、喫茶店や商店において使用済みのカップをリサイクルのために回収・保管する際に、カップの収納スペースを低減して高密度でカップを回収・保管できるものである。
[実施形態]
【0013】
図1~
図8を参照して、実施形態のカップ押し潰し装置11について説明する。
図1~
図4に示すように、カップ押し潰し装置11は、筐体12と、筐体12の前面に設けられた投入口13と、筐体12の前面で投入口13よりも下側に設けられたドア部14と、投入口13から筐体12内部に向かって下斜め方向に延びる滑り台15と、滑り台15の投入口13とは反対側の端部に設けられたストッパ16と、ストッパ16の近傍で滑り台15の底面15Aに設けられた溝部17と、滑り台15に対して溝部17を間に挟んだ反対側に設けられた保持部18と、滑り台15(溝部17)と対向した第1位置P1と溝部17内に位置した第2位置P2との間で移動可能な押刃部21と、押刃部21を第1位置P1と第2位置P2との間で移動させる移動機構部22と、を備える。
【0014】
図1に示すように、筐体12は、例えば金属製の平板(パネル)を組み合わせて箱状に形成されている。投入口13は、カップ23を差し入れることが可能な十分な大きさの貫通孔で構成されている。投入口13は、上側に向けて凸になった半円形又は四角形に形成されている。筐体12は、投入口13の周囲に、「紙カップ投入口」であることを記載した表示部24を有する。
【0015】
筐体12は、筐体本体25と、筐体本体25に対して開閉可能なドア部14と、を有する。ドア部14は、平板状(パネル状)に形成されている。ドア部14は、筐体本体25に対して、ヒンジ機構等を介して開閉可能に構成されている。
図1に示すように、ドア部14は、例えば、筐体本体25に対して閉塞された閉塞位置Q1と、筐体本体25に対して開放された開放位置Q2と、の間で回動可能に構成されている。ドア部14が開放位置Q2にある状態で、店舗管理者は、筐体12の内部から保持部18を取り出して折り畳まれたカップ23を回収したり、空になった保持部18を筐体12の内部に戻したりすることができる。
【0016】
滑り台15は、金属製又は樹脂製の板材によって形成されている。
図2、
図3に示すように、滑り台15の底面15Aは、中央から外側に行くにつれて設置高さが高くなるように斜めに形成されている。すなわち、底面15Aは、上方に向けて拡開した形状をなしている。滑り台15の外側部分は、筐体12の内面に溶接又はねじ止め等で固定されている。滑り台15は、カップ23をカップ23の軸方向(長軸方向)に滑らせることができる。滑り台15の形状は、これに限られるものではなく、例えば、遊具の滑り台のように、断面U字型の形態であってもよい。
【0017】
ストッパ16は、金属製又は樹脂製の板材によって形成されている。
図3に示すように、ストッパ16は、滑り台15の端部(末端)から上方に立ち上がるように設けられている。ストッパ16は、滑り台15を滑り降りるカップ23をその位置で受け止めて保持することができる。ストッパ16は、滑り台15と一体に形成されており、板金加工(プレス加工)によって滑り台15に対して立ち上がるように折り曲げられて形成されている。ストッパ16が樹脂で形成される場合には、ストッパ16は滑り台15に対してねじ止め又は嵌合によって固定される。
【0018】
溝部17は、金属製又は樹脂製の板材によって形成されている。
図2~
図4に示すように、溝部17は、滑り台15の底面15Aの中央部に設けられている。溝部17は、滑り台15の延びる方向に沿って細長く延びている。溝部17は、対向した2つの平板によって形成されている。溝部17は、鉛直方向に延びており、滑り台15の底面15Aを貫通している。
図6に示すように、溝部17は、底面15Aに接続された第1端部31と、第1端部31とは反対側に位置した第2端部32と、第1端部31と第2端部32とを接続する溝部本体33と、を有する。溝部17は、第1端部31において滑り台15と一体に形成されている。溝部17が樹脂で形成される場合には、溝部17は滑り台15に対してねじ止め又は嵌合によって固定される。
【0019】
図4~
図6に示すように、滑り台15の延びる方向と交差する方向(直交する方向)に関する滑り台15および溝部17の断面は、漏斗状(Y字状)をなしている。溝部17は、板金加工(プレス加工)によって滑り台15に対して下方(鉛直方向下向き)に行くように折り曲げられて形成されている。滑り台15の延びる方向と交差する方向(直交する方向)に関する溝部17の幅は、同方向に関する押刃部21の厚さよりも若干大きい長さであって、且つ、カップ23の直径よりも小さい長さで形成される。溝部17の幅は、カップ23の大きさやカップ23の剛性、押刃部21の厚さ等に応じて適宜に設定することができる。
【0020】
図1、
図2に示すように、保持部18は、一般的なダストボックスで構成され、上方に向けて開放したバケツ状に形成されている。
【0021】
図2、
図3に示すように、押刃部21は、金属製の板材によって平板状に形成されており、縦方向(鉛直方向)およびカップ押し潰し装置11の奥行き方向に細長く延びている。押刃部21の先端21A(下端)は、鋭利に形成されており、例えば鋭角に形成されている。また、押刃部21の先端21A(下端)は、全体として見れば鋭角であるが、安全性を考慮して角を除去して丸みを帯びた形状、すなわち実質的な鋭角をなしていてもよい。或いは、押刃部21は、中華包丁のような形態の薄手の板状であってもよい。押刃部21は、金属製に限られるものではなく、例えば、アクリル、塩化ビニル等の合成樹脂によって形成されてもよい。押刃部21の鋭角をなした先端21Aは、カップ23に当接することで、カップ23を二つ折りに折り畳むことができる。その際、カップ23を折り畳む方向は、カップ23の半径方向である。
図2、
図3、
図6に示すように、押刃部21は、溝部17から離間するとともに溝部17に対向した第1位置P1と、溝部17内に位置してその先端21Aが第2端部32よりも保持部18側に位置した第2位置P2と、の間で移動可能である。
【0022】
図4に示すように、移動機構部22は、例えば、一般的な空気圧シリンダで構成されている。移動機構部22は、ロッド22Aを含み、ロッド22Aを上下方向に進退移動させることができる。ロッド22Aの先端には、押刃部21が固定されている。移動機構部22は、例えば、筐体12の天板12Aの内面に対して逆さ吊り状態で固定されている。移動機構部22の構成は、空気圧シリンダに限られるものではなく、油圧シリンダ、直動モータ、ソレノイド、その他の直動式アクチュエータのいずれかであってもよい。
【0023】
カップ23は、紙カップ(紙コップ)であることが好ましい。カップ23は、プラスチックや生分解性プラスチック、その他の材料で形成されるカップであってもよい。
【0024】
続いて、
図2~
図8を参照して、本実施形態のカップ押し潰し装置11を用いたカップ押し潰し方法について説明する。
【0025】
喫茶店や商店を訪れた顧客は、使用済みカップ23をカップ押し潰し装置11に投入する前に、必要に応じてカップ23の内面を水等で洗浄することができる。顧客が使用済みカップ23を投入口13に投入すると、
図2、
図3に示すように、カップ23は滑り台15を滑り降りて、ストッパ16に当接してその位置で保持される。
【0026】
顧客が図示しない動作ボタンを押すと、移動機構部22(空気圧シリンダ)が作動して、押刃部21を下方に移動させる。押刃部21が、溝部17から離間した第1位置P1(
図2又は
図3に実線で示す)から、溝部17内に位置してその先端21Aが第2端部32よりも保持部18側に位置した第2位置P2(
図3に2点鎖線又は
図6に実線で示す)に移動すると、
図4に示すように、押刃部21の先端21Aがカップ23の外周面に当接してカップ23を半径方向に押圧し、カップ23を二つ折り状態に折り畳む。
【0027】
押刃部21が第2位置P2に向けてさらに前進(下降)すると、
図5に示すように、押刃部21がカップ23を溝部17内に押し込むこととなる。そのまま押刃部21が前進(下降)すると、押刃部21は、絞り加工のように保持部18に向けて凸になるようにカップ23を絞りつつ保持部18に向けてカップ23を押し込む。その際、
図5、
図6に示すように、カップ23は、溝部17、特に溝部17の第1端部31によってしごかれるようになり、押刃部21と溝部17(第1端部31)とによる絞り作用によって、V字型になるように完全に降伏する。これによって、カップ23にこしを無くすことができ、カップ23が保持部18内で元の円筒形に復元してしまうことが防止される。その結果、
図7、
図8に示すように、カップ23の容積は、潰し操作を加える前の円筒形の状態に比して、半分以下になる。
【0028】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。カップ押し潰し装置11は、投入口13から延び、カップ23を軸方向に滑らせることが可能な底面15Aを有する滑り台15と、滑り台15の投入口13とは反対側の端部に設けられたストッパ16と、ストッパ16の近傍で滑り台15の延びる方向に沿って延び且つカップ23の直径よりも小さい幅で底面15Aに設けられた溝部17であって、底面15Aに接続された第1端部31と第1端部31とは反対側に位置した第2端部32とを有する溝部17と、滑り台15に対して溝部17を間に挟んだ反対側に設けられた保持部18と、溝部17から離間するとともに溝部17に対向した第1位置P1と、溝部17内に位置してその先端が第2端部32よりも保持部18側に位置した第2位置P2と、の間で移動可能に設けられた板状の押刃部21であって、第1位置P1から第2位置P2への移動により、ストッパ16で停止されたカップ23を半径方向に折り畳んで溝部17内に押し込み、溝部17内に押し込まれたカップ23を保持部18に向けて凸になるように溝部17で絞りつつ保持部18内に移動させる押刃部21と、押刃部21を第1位置P1と第2位置P2との間で移動させる移動機構部22と、を備える。
【0029】
この構成によれば、カップ23が半径方向に折り畳まれ、且つ溝部17内に押し込まれて、溝部17内で絞り加工のように絞られた後に保持部18に落下されるため、カップ23を折り畳み状態に降伏させることができる。これによって、保持部18内でカップ23が再び円筒形に戻ることを防止でき、保持部18内でカップ23が嵩張ってしまうことを有効に防止できる。このため、保持部18内で高密度でカップを保持することができる。また、上記構成によれば、カップ23をカップ23の剛性の小さい半径方向に変形させることができるために、軸方向にカップを変形させる従来技術に比して、比較的に小さな力量でカップ23を潰すことができる。よって、駆動力の小さい移動機構部22で実現でき、カップ押し潰し装置11の製造コストを低減できる。或いは、例えば後述する変形例のように、人力でカップ23を押し潰す構造とする場合であっても、利用者に大きな作業力を要求することがなく、利用者の作業負担を低減できる。また、上記構成によれば、カップ23を半径方向に変形させることができるために、軸方向にカップを変形させる従来技術に比して、第1位置P1と第2位置P2との間で移動する押刃部21のストロークを小さくすることができる。これによって、移動機構部22のコストを低減したり、或いは後述する変形例のように人力でカップ23を押し潰す構造とする場合には、移動機構部22の構造を簡略化したりできる。
【0030】
この場合、滑り台15の延びる方向と交差する方向に関する底面15Aおよび溝部17の断面は、漏斗形をなしている。この構成によれば、底面15Aの断面をすり鉢状にすることができ、種々の大きさのカップ23を溝部17に付近に位置決めすることができる。これによって、カップ23が位置ずれすることなく、カップ23の位置ずれに起因して、押刃部21によって溝部17内にカップ23を押し込めなくなってしまう不具合を生じることを防止できる。
【0031】
この場合、押刃部21の先端21Aは、実質的に鋭角をなしている。この構成によれば、カップ23にシャープな折り目をつけることができる。これによって、カップ23の折り畳みおよびその後のカップ23の降伏をより円滑に進めることができる。このため、保持部18内でカップ23が再び円筒形に復元してしまう不具合を防止できる。
【0032】
この場合、カップ23は、紙カップである。この構成によれば、嵩張るが変形が容易な紙カップを嵩張らないように保持部18内で貯めることができる。これによって、紙カップを効率的にリサイクルに回すことができる。
【0033】
続いて、
図9を参照して、上記した実施形態のカップ押し潰し装置11の変形例について説明する。以下の変形例では、主として実施形態と異なる部分について説明し、実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
【0034】
実施形態と同様に、移動機構部22は、押刃部21を第1位置P1と第2位置P2との間で移動させることができる。
図9に示すように、移動機構部22の構成は、例えば足踏みペダル41を介して、人力によって押刃部21を上下に進退移動させるものであってもよい。すなわち、移動機構部22は、足踏みペダル41と、足踏みペダル41の操作力を伝達する動力伝達機構42と、を有する。動力伝達機構42は、一例として、ロッド状のてこ部43を介したリンク機構44と、リンク機構44に接続されるワイヤ45と、ワイヤ45を吊り下げる滑車46と、滑車46を覆う図示しないカバーと、リンク機構44を元の位置に戻すばね部47と、を含む。ばね部47は、例えば、引張コイルばねで構成されている。ワイヤ45は、可撓性がある材料、例えば、鋼線等の金属材料によって形成されている。カバーは、滑車46に巻き掛けられたワイヤ45を滑車46から脱落しないように保持できる。なお、
図9は、移動機構部22を模式的に示したものであり、てこ部43の位置やリンク機構44の数量・長さ・角度、滑車46の数を適宜調整したり、カム機構を介在させたりすることで、押刃部21の進退移動のストローク長さ等を適宜に調整できる。押刃部21は、カップ23自重で押し潰して保持部18まで落下させることができるように、十分な質量を有する。或いは、押刃部21は、紙の裁断機のような構造を有していてもよい。すなわち、押刃部21は、支軸を中心に回動可能に構成され、支軸とは反対側の力点においてワイヤ45を介してカップ23に向けて牽引され、カップ23を半径方向に折り畳むことができるような構造であってもよい。
【0035】
続いて、
図9を参照して、本変形例のカップ押し潰し装置11を用いたカップ押し潰し方法について説明する。
【0036】
喫茶店や商店を訪れた顧客は、使用済みカップ23をカップ押し潰し装置11に投入する前に、必要に応じてカップ23内面を水等で洗浄することができる。顧客が使用済みカップ23を投入口13に投入すると、カップ23は滑り台15を滑り降りて、ストッパ16に当接してその位置で停止される。
【0037】
顧客が足踏みペダル41を足で踏み込むと、移動機構部22のリンク機構44がてこ部43を中心に回動する。その際、リンク機構44の回動は、ばね部47の引っ張り力に抗してなされる。リンク機構44の端部が上方に向けて回動すると、リンク機構44の端部44Aに接続されたワイヤ45が上昇する。このワイヤ45の推進力(押し込み力)によって、ワイヤ45および滑車46によって吊り下げられた押刃部21は、第1位置P1から第2位置P2に移動する。押刃部21は、カップ23を二つ折り状態に折り畳むのと同時に、折り畳まれたカップ23を溝部17内に押し込んで、そのままの勢いで保持部18内に落下させることができる。その際、カップ23を折り畳む方向は、カップ23の半径方向である。また、カップ23は、上記実施形態と同様に、溝部17、特に溝部17の第1端部31によってしごかれるようになり、押刃部21と溝部17(第1端部31)とによる絞り作用によって、保持部18に向けて凸になるようにV字型に完全に降伏する。これによって、カップ23にこしを無くすことができ、カップ23が保持部18内で元の円筒形に復元してしまうことがない。その結果、
図7、
図8に示すように、カップ23の容積は、潰し操作を加える前の円筒形の状態に比して、半分以下になる。
【0038】
顧客が足踏みペダル41から足を離すと、ばね部47の作用によって、てこ部43を中心にリンク機構44が元の位置に回動する。これによって、足踏みペダル41はドア部14に形成されたスリットに沿って上方に回動する。端部44Aに接続されたワイヤ45が下方に牽引され、押刃部21が上方に移動して、第2位置P2から第1位置P1まで移動する。
【0039】
なお、本変形例において、押刃部21が正しく溝部17内に正しく挿入されるように、押刃部21を溝部17に案内するためのガイドを押刃部21の移動経路に沿って設けても当然によい。或いは、足踏みペダル41の踏み込みに伴い、押刃部21を下側からワイヤ45で牽引する構造にしても当然によい。
【0040】
上記した実施形態および変形例は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。その他、実施形態と変形例とを適宜に組み合わせて適宜に発明を構成することも当然にできる。
【符号の説明】
【0041】
11 カップ押し潰し装置
13 投入口
15 滑り台
15A 底面
16 ストッパ
17 溝部
18 保持部
P1 第1位置
P2 第2位置
21 押刃部
21A 先端
22 移動機構部
23 カップ
31 第1端部
32 第2端部