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特開2023-79372タッチパネルコントローラ、タッチパネルシステム、および制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079372
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】タッチパネルコントローラ、タッチパネルシステム、および制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230601BHJP
   G06F 3/044 20060101ALN20230601BHJP
   G06F 3/042 20060101ALN20230601BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/041 530
G06F3/041 580
G06F3/044 120
G06F3/042 472
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192817
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】512093491
【氏名又は名称】株式会社アスコ
(71)【出願人】
【識別番号】393019436
【氏名又は名称】株式会社デイ・エム・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】岡坂 治利
(57)【要約】
【課題】タッチパネルへの接触が無くても選択された位置を正確に検出する。
【解決手段】タッチパネルコントローラ(10)は、複数の駆動電極(33)および複数の検出電極(34)がマトリクスに配列されたタッチパネル(30)で表示する表示画像に含まれ、ユーザによって選択される選択領域に関する選択領域情報を取得するスキャン位置取得部(13)と、タッチパネル30で検出処理を行うとき、該検出処理時に表示されている前記選択領域の選択領域情報に基づいて、複数の駆動電極(33)のうちの一部の複数の駆動電極(33)のみを同時に駆動させる駆動制御部(11)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電極を複数、同時に駆動させることにより近接検出が可能なタッチパネルであって、複数の前記駆動電極および複数の検出電極がマトリクスに配列されたタッチパネルを制御するタッチパネルコントローラであって、
前記タッチパネルで表示する表示画像に含まれ、ユーザによって選択される選択領域に関する選択領域情報を取得する取得部と、
前記タッチパネルで検出処理を行うとき、該検出処理時に表示されている前記表示画像に含まれる前記選択領域に関する前記選択領域情報に基づいて、前記複数の駆動電極のうちの一部の複数の駆動電極のみを同時に駆動させる駆動制御部と、を備えることを特徴とする、タッチパネルコントローラ。
【請求項2】
前記選択領域情報には、当該選択領域の前記表示画像における位置および大きさを示す情報が含まれており、
前記駆動制御部は、前記選択領域の前記位置および前記大きさに対応する、前記一部の複数の駆動電極を同時に駆動させる、請求項1に記載のタッチパネルコントローラ。
【請求項3】
前記駆動制御部は、前記選択領域に対応する前記複数の駆動電極のみを駆動させる、請求項2に記載のタッチパネルコントローラ。
【請求項4】
前記選択領域が複数の場合、
前記駆動制御部は、前記複数の選択領域それぞれに対応する前記複数の駆動電極のみを、前記選択領域毎に、順次、繰り返し駆動させる、請求項3に記載のタッチパネルコントローラ。
【請求項5】
前記駆動制御部は、前記選択領域に対応する前記駆動電極のうち、該選択領域の両端に対応する前記駆動電極から所定数の前記駆動電極を駆動させない、請求項3または4に記載のタッチパネルコントローラ。
【請求項6】
前記選択領域の前記マトリクスの行方向の大きさが第1閾値よりも大きいか否かを判定する判定部を備え、
前記選択領域の前記マトリクスの行方向の大きさが第1閾値よりも大きい場合、前記駆動制御部は、当該選択領域に対応する前記駆動電極のうち、該選択領域の両端に対応する前記駆動電極から所定数の前記駆動電極を駆動させない、請求項5に記載のタッチパネルコントローラ。
【請求項7】
前記選択領域の前記マトリクスの行方向の大きさが第2閾値よりも小さいか否かを判定する判定部を備え、
前記選択領域の前記マトリクスの行方向の大きさが第2閾値よりも小さい場合、前記駆動制御部は、当該選択領域に対応する前記駆動電極に加え、該選択領域の両端に対応する前記駆動電極に隣接する前記駆動電極から所定数の前記駆動電極を駆動させる、請求項3~6のいずれか1項に記載のタッチパネルコントローラ。
【請求項8】
前記駆動制御部は、前記選択領域に対応する駆動電極に電圧を印加することで生成される前記タッチパネル上の電界の強度が所定の範囲内となるように前記駆動電極に印加する電圧を制御する、請求項1~7のいずれか1項に記載のタッチパネルコントローラ。
【請求項9】
前記取得部は、前記表示画像が更新される毎に、前記選択領域情報を取得する、請求項1~8のいずれか1項に記載のタッチパネルコントローラ。
【請求項10】
前記複数の検出電極のうち、所定数の検出電極で同時に検出処理を行う検出処理部を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載のタッチパネルコントローラ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のタッチパネルコントローラと、
複数の駆動電極および複数の検出電極がマトリクスを形成するように配列されたタッチパネルと、
前記タッチパネルを表示面に重畳して配置した表示部と、を備えるタッチパネルシステム。
【請求項12】
表示部の表示領域を挟んで対向して配置された複数の投光部および複数の受光部を備え、前記表示部へ接触した位置、または接近した位置を検出するタッチパネルを制御するタッチパネルコントローラであって、
前記タッチパネルで表示する表示画像に含まれ、ユーザによって選択される選択領域に関する選択領域情報を取得する取得部と、
前記タッチパネルで検出処理を行うとき、該検出処理時に表示されている前記表示画像に含まれる前記選択領域に関する前記選択領域情報に基づいて、前記複数の投光部のうちの一部の複数の投光部のみを同時に駆動させる駆動制御部と、を備えるタッチパネルコントローラ。
【請求項13】
駆動電極を複数、同時に駆動させることにより近接検出が可能なタッチパネルであって、複数の前記駆動電極および複数の検出電極がマトリクスに配列されたタッチパネルを制御するタッチパネルコントローラの制御方法であって、
前記タッチパネルで表示する表示画像に含まれ、ユーザによって選択される選択領域に関する選択領域情報を取得する取得ステップと、
前記タッチパネルで検出処理を行うとき、該検出処理時に表示されている前記表示画像に含まれる前記選択領域に関する前記選択領域情報に基づいて、前記複数の駆動電極のうちの一部の複数の駆動電極のみを同時に駆動させる駆動制御ステップと、を含むことを特徴とする、タッチパネルコントローラの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルコントローラ、当該タッチパネルコントローラを含むタッチパネルシステム、および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置と一体に形成され、表示装置に表示された画像の特定箇所を指などの指示体で接触したときに、当該接触した位置を検出するタッチパネルが従来から知られている。
【0003】
図20に、従来の投影型静電容量方式のタッチパネル(PCAP: projective capacitive touch panel)の例を示す。図20には、約6mmピッチでドライブ側の電極T1~T5、およびスキャン側の電極R1~R7が配置されている例を示す。このタッチパネルで検出処理を行う場合、まず、ドライブ側の電極T1を駆動して、スキャン側の電極R1~R7でスキャンを行い、次に、ドライブ側の電極T2を駆動して、スキャン側の電極R1~R7でスキャンを行い、次に、ドライブ側の電極T3を駆動して、スキャン側の電極R1~R7でスキャンを行い、…というように、ドライブ側の電極T1~T5について順次駆動する処理を繰り返す。
【0004】
また、電極を数本束ねてドライブおよびスキャンすることで、センサの感度を上げ、センサから離れた指を感知する構成も知られている。この場合、例えば、ドライブ側の電極T1+T2+T3を駆動して、スキャン側の電極R1+R2+R3、R2+R3+R4、…でスキャンを行い、次に、ドライブ側の電極T2+T3+T4を駆動して、スキャン側の電極R1+R2+R3、R2+R3+R4、…でスキャンを行う。
【0005】
また、近年では感染症予防等の観点から、赤外線またはレーザなどによる投光センサと受光センサとを用いて、タッチパネルから離れた空間も検出領域とするタッチパネルも提案されている。
【0006】
また、特許文献1には、静電容量式のタッチパネルにおいて、マトリクスに配列された電極の行の最上と最下の電極、および列の最左と最右の電極のみに伝送信号を供給する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2017-524912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、センサの感度を上げるために、複数の電極を同時に駆動させるとともに、駆動させる電極を順次、移動させていく場合、検出位置が不正確になる可能性がある。
【0009】
また、投光センサと受光センサとを用いる場合、タッチパネルの外枠に当該投光センサと受光センサを設けるための枠等が必要となり、表示画像が見にくくなる、装置自体が重くなる、見栄えが悪い等の弊害がある。
【0010】
また、電極の行の最上と最下の電極、および列の最左と最右の電極のみに伝送信号を供給する構成では、タッチパネルへの近接の検出を行うことが難しい。
【0011】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動電極を複数駆動させることにより、近接検知を行うタッチパネルにおいて、タッチパネルへの接触が無くても選択された位置を正確に検出可能なタッチパネルのタッチパネルコントローラ等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るタッチパネルコントローラは、駆動電極を複数、同時に駆動させることにより近接検出が可能なタッチパネルであって、複数の前記駆動電極および複数の検出電極がマトリクスに配列されたタッチパネルを制御するタッチパネルコントローラであって、前記タッチパネルで表示する表示画像に含まれ、ユーザによって選択される選択領域に関する選択領域情報を取得する取得部と、前記タッチパネルで検出処理を行うとき、該検出処理時に表示されている前記表示画像に含まれる前記選択領域に関する前記選択領域情報に基づいて、前記複数の駆動電極のうちの一部の複数の駆動電極のみを同時に駆動させる駆動制御部と、を備える。
【0013】
前記の構成によれば、表示画像に基づいて複数の駆動電極を駆動させるので、ユーザが選択する可能性がある領域に対応する複数の駆動電極のみを駆動させることができる。これにより、ユーザがタッチパネルに表示された画像の所望の位置を選択する場合に、指等を当該位置に接触させず、当該位置に近接させるのみで、当該位置の検出を行うことができる。また、駆動させる駆動電極数を限定することができるので省電力も削減できる。
【0014】
本発明の一態様に係るタッチパネルコントローラでは、前記選択領域情報には、当該選択領域の前記表示画像における位置および大きさを示す情報が含まれており、前記駆動制御部は、前記選択領域の前記位置および前記大きさに対応する、前記一部の複数の駆動電極を同時に駆動させるものであってよい。
【0015】
前記の構成によれば、選択領域の位置および大きさに基づいて駆動電極を駆動させるので、選択の検出に必要な駆動電極のみを駆動させることができる。
【0016】
本発明の一態様に係るタッチパネルコントローラでは、前記駆動制御部は、前記選択領域に対応する前記複数の駆動電極のみを駆動させるものであってよい。
【0017】
前記の構成によれば、選択領域に対応する駆動電極のみを駆動させるので、検出に伴う処理量の削減しつつ、検出を正確に行うことができる。
【0018】
本発明の一態様に係るタッチパネルコントローラでは、前記選択領域が複数の場合、前記駆動制御部は、前記複数の選択領域それぞれに対応する前記複数の電極のみを、前記選択領域毎に、順次、繰り返し駆動させるものであってもよい。
【0019】
前記の構成によれば、選択領域が複数存在する場合、何れの選択領域が選択された場合でも正確に選択された位置を検出することができる。
【0020】
本発明の一態様に係るタッチパネルコントローラでは、前記駆動制御部は、前記選択領域に対応する前記駆動電極のうち、該選択領域の両端に対応する前記駆動電極から所定数の前記駆動電極を駆動させないものであってもよい。
【0021】
前記の構成によれば、複数の選択領域の距離が近い場合に、誤った選択領域が選択されたと判断してしまう可能性を低減することができる。なお、所定数の駆動電極は、選択領域の両端に対応する駆動電極のみ、すなわち、各端の1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0022】
本発明の一態様に係るタッチパネルコントローラでは、前記選択領域の前記マトリクスの行方向の大きさが第1閾値よりも大きいか否かを判定する判定部を備え、前記選択領域の前記マトリクスの行方向の大きさが第1閾値よりも大きい場合、前記駆動制御部は、当該選択領域に対応する前記駆動電極のうち、該選択領域の両端に対応する前記駆動電極から所定数の前記駆動電極を駆動させないものであってもよい。
【0023】
選択領域の行方向の大きさが大きく、対応する駆動電極を駆動させると、感度が大きくなりすぎ、正確にユーザの指等を検出できない可能性がある。前記の構成によれば、このような場合に、駆動する駆動電極を減らすことができ、検出を正確に行うことができる。
【0024】
本発明の一態様に係るタッチパネルコントローラでは、前記選択領域の前記マトリクスの行方向の大きさが第2閾値よりも小さいか否かを判定する判定部を備え、前記選択領域の前記マトリクスの行方向の大きさが第2閾値よりも小さい場合、前記駆動制御部は、当該選択領域に対応する前記駆動電極に加え、該選択領域の両端に対応する前記駆動電極に隣接する前記駆動電極から所定数の前記駆動電極を駆動させるものであってもよい。
【0025】
選択領域の行方向の大きさが小さく、対応する駆動電極を駆動させると、感度が小さくなりすぎ、正確にユーザの指等を検出できない可能性がある。前記の構成によれば、このような場合に、駆動する駆動電極を増やすことができ、検出を正確に行うことができる。
【0026】
本発明の一態様に係るタッチパネルコントローラでは、前記駆動制御部は、前記選択領域に対応する駆動電極に電圧を印加することで生成される前記タッチパネル上の電界の強度が所定の範囲内となるように前記駆動電極に印加する電圧を制御するものであってもよい。
【0027】
前記の構成によれば、タッチパネル上に生成する電界を所定の範囲とすることでき、選択領域が大きい場合であっても、小さい場合であっても、適切に選択領域の選択があったか否かを判断することができる。
【0028】
選択領域の行方向の大きさが大きく、対応する駆動電極を駆動させると、感度が大きくなりすぎ、正確にユーザの指等を検出できない可能性がある。また、選択領域の行方向の大きさが小さく、対応する駆動電極を駆動させると、感度が小さくなりすぎ、正確にユーザの指等を検出できない可能性がある。前記の構成によれば、このような場合に、駆動電極を駆動させる電圧を変化させることができ、検出を正確に行うことができる。
【0029】
本発明の一態様に係るタッチパネルコントローラでは、前記取得部は、前記表示画像が更新される毎に、前記選択領域情報を取得するものであってもよい。
【0030】
前記の構成によれば、表示画像毎に、適切に駆動電極を駆動させることができる。
【0031】
本発明の一態様に係るタッチパネルコントローラでは、前記複数の検出電極のうち、所定数の検出電極で同時に検出処理を行う検出処理部を備えるものであってもよい。
【0032】
前記の構成によれば、複数の検出電極で同時に検出処理を行うことができるので、検知に係る処理時間を短縮することができる。
【0033】
前記課題を解決するために、本発明の一態様に係るタッチパネルシステムは、前記タッチパネルコントローラと、複数の駆動電極および複数の検出電極がマトリクスに配列されたタッチパネルと、前記タッチパネルを表示面に重畳して配置した表示部と、を備える。
【0034】
前記課題を解決するために、本発明の一態様にタッチパネルコントローラは、表示部の表示領域を挟んで対向して配置された複数の投光部および複数の受光部を備え、前記表示部へ接触した位置、または接近した位置を検出するタッチパネルを制御するタッチパネルコントローラであって、前記タッチパネルで表示する表示画像に含まれ、ユーザによって選択される選択領域に関する選択領域情報を取得する取得部と、前記タッチパネルで検出処理を行うとき、該検出処理時に表示されている前記表示画像に含まれる前記選択領域に関する前記選択領域情報に基づいて、前記複数の投光部のうちの一部の複数の投光部のみを同時に駆動させる駆動制御部と、を備える。
【0035】
前記の構成によれば、表示画像に基づいて複数の投光部を投光させるので、ユーザが選択する可能性がある領域に対応する複数の投光部のみを投光させることができる。これにより、ユーザがタッチパネルに表示された画像の所望の位置を選択する場合に、指等を当該位置に接触させず、当該位置に近接させるのみで、当該位置の検出を行うことができる。
【0036】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るタッチパネルコントローラの制御方法は、駆動電極を複数、同時に駆動させることにより近接検出が可能なタッチパネルであって、複数の前記駆動電極および複数の検出電極がマトリクスに配列されたタッチパネルを制御するタッチパネルコントローラの制御方法であって、前記タッチパネルで表示する表示画像に含まれ、ユーザによって選択される選択領域に関する選択領域情報を取得する取得ステップと、前記タッチパネルで検出処理を行うとき、該検出処理時に表示されている前記表示画像に含まれる前記選択領域に関する前記選択領域情報に基づいて、前記複数の駆動電極のうちの一部の複数の駆動電極のみを同時に駆動させる駆動制御ステップと、を含む。
【0037】
本発明の各態様に係るタッチパネルコントローラは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータをタッチパネルコントローラが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記タッチパネルコントローラをコンピュータにて実現させるタッチパネルコントローラの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0038】
本発明の一態様によれば、ユーザがタッチパネルに表示された画像の所望の位置を選択する場合に、指等を当該位置に接触させず、当該位置に近接させるのみで、当該位置の検出を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の実施形態に係るタッチパネルシステムの概要を示す機能ブロック図である。
図2】管理データの例を示す図である。
図3】管理データに含まれるボタンセットの例を示す図である。
図4】タッチパネルと一体で形成されている表示部におけるボタンの表示例を示す図である。
図5】表示部のボタンと、駆動電極および検出電極との関係を示す図である。
図6】ボタンに対応する駆動電極を示す図である。
図7】ボタンに対応する駆動電極を示す図である。
図8】ボタンに対応する駆動電極を示す図である。
図9】表示部における表示例を示す図である。
図10】表示部のボタンと、駆動電極および検出電極との関係を示す図である。
図11】表示部に表示されているボタンの縦のサイズが所定サイズより大きい場合の例を示す図である。
図12】表示部に表示されているボタンの縦のサイズが所定サイズより小さい場合の例を示す図である。
図13】タッチパネルシステムのホストにおける処理の流れを示すフローチャートである。
図14】タッチパネルシステムのタッチパネルコントローラにおける処理の流れを示すフローチャートである。
図15】駆動回路の回路例を示す図である。
図16】可変電圧器の回路例を示す図である。
図17】検出回路の回路例を示す図である。
図18】検出回路の検出部の回路例を示す図である。
図19】スイッチのオン/オフと出力される電圧との関係を示す図である。
図20】従来の投影型静電容量方式のタッチパネルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。本実施形態に係るタッチパネルシステム1は、タッチパネル30における複数の電極を同時に駆動することで、指等の対象物が、タッチパネル30にタッチされず、タッチパネル30から離れた位置であっても、検出できるものである。また、予めタッチパネル30と一体で形成されている表示画面に表示されている、ユーザの選択対象であるボタン(選択領域)の位置を把握しておき、当該ボタン位置に対応する電極のみを駆動することにより、誤検出の可能性を低減するとともに、処理量を軽減するものである。
【0041】
まず、図1を参照して、タッチパネルシステム1の概要について説明する。図1は、タッチパネルシステム1の概要を示す機能ブロック図である。図1に示すように、タッチパネルシステム1は、タッチパネル30、表示部301、タッチパネルコントローラ10、およびホスト20を含む。
【0042】
タッチパネル30は、ユーザ等の指、ペン等によるタッチにより指示された位置を検出するタッチパネルである。本実施形態では、タッチパネル30は、投影型静電容量方式のタッチパネルを想定しており、駆動回路31、検出回路32、駆動電極33、および検出電極34を含む。駆動電極33および検出電極34は、行方向に配列された複数の駆動電極33および列方向に配列された複数の検出電極34によりマトリクスを形成するように構成されている。
【0043】
タッチパネルコントローラ10は、タッチパネル30における検出処理を制御するものであり、駆動制御部11、検出制御部12、および、スキャン位置取得部13を含む。
【0044】
駆動制御部11は、タッチパネル30の駆動回路31を制御することにより、駆動電極33の駆動を行うものである。より詳細には、駆動制御部11は、スキャン位置取得部13から通知されたボタン位置およびボタンサイズに基づき、当該ボタンに対応する領域の駆動電極33を駆動するように、駆動回路31を制御する。ボタン位置およびボタンサイズは、選択領域に関する情報であるので、選択領域情報ということができる。
【0045】
換言すれば、駆動制御部11は、タッチパネル30で検出処理を行うとき、該検出処理時に表示されている表示画像に含まれ、ユーザによって選択される選択領域に関する選択領域情報に基づいて、複数の駆動電極33のうちの一部の複数の駆動電極33のみを同時に駆動させる。
【0046】
より詳細には、駆動制御部11は、ボタンの位置および大きさに基づいて、一部の複数の駆動電極33のみを同時に駆動させる。
【0047】
検出制御部12は、タッチパネル30の検出回路32を制御することにより、検出電極34での検出処理を行うものである。よって、検出制御部12は検出処理部ということもできる。検出制御部12は、検出電極34それぞれを1ラインずつ制御して検出処理を行ってもよいし、複数ラインを纏めて制御して検出処理をおこなってもよい。また、検出制御部12は、スキャン位置取得部13から通知されたボタン位置およびボタンサイズに基づき、当該ボタンに対応する領域の検出電極34のみを制御して検出処理を行ってもよい。
【0048】
スキャン位置取得部13は、タッチパネル30においてタッチされる領域となるボタン位置、およびボタンサイズを取得し、駆動制御部11および検出制御部12に通知する。スキャン位置取得部13は、表示画像における選択領域としてのボタンのボタン位置およびボタンサイズを示す選択領域情報を取得するということもできる。また、スキャン位置取得部13は、表示画像が更新される毎に、ボタン位置、およびボタンサイズを取得する。
【0049】
ホスト20は、タッチパネル30での表示、タッチパネル30における検出に伴う各種処理等を実行するものであり、スキャン管理部21、スキャン指示部22、および管理データ設定部23を含む。なお、ここでは、管理データ211は、ホスト20に格納されているものとして説明するが、タッチパネルコントローラ10に格納されているものであってもよい。この場合、タッチパネルコントローラ10は直接、管理データ211の書き込み、および読み込みを行い、ホスト20は、タッチパネルコントローラ10を介して、管理データ211の書き込み、および読み込みを行うことになる。
【0050】
スキャン管理部21は、タッチパネル30における検出処理を管理するものであり、管理データ211、および表示データ212を含む。図2および図3に、管理データ211の例を示す。図2に示すように、管理データ211は、スキャン実行フラグ201、スキャン中フラグ202、ボタンセット203、および検出フラグ204を含む。スキャン実行フラグ201、スキャン中フラグ202、ボタンセット203、および検出フラグ204は、表示画像毎に格納される。
【0051】
スキャン実行フラグ201は、タッチパネル30におけるスキャン、すなわち検出処理を実行するか否かを示すフラグである。スキャン実行フラグ201が「0」であれば、タッチパネルコントローラ10は、タッチパネル30に検出処理を実行させない。スキャン実行フラグ201が「1」であれば、タッチパネルコントローラ10は、タッチパネル30に検出処理を実行させる。
【0052】
スキャン中フラグ202は、タッチパネル30において検出処理が実行中であるか否かを示すフラグである。スキャン中フラグ202が「0」であれば、検出処理は実行中ではない。スキャン中フラグ202が「1」であれば、検出処理が実行中である。スキャン中フラグ202を用いることにより、タッチパネル30において検出処理が実行中であるにもかかわらず、さらにタッチパネル30に検出処理を実行させてしまうということを防止できる。
【0053】
ボタンセット203は、ユーザによって選択されるボタンに関する情報である。図3を参照して具体的に説明する。図3は、ボタンセット203の例を示す図である。図3に示すように、ボタンセット203は、ボタンサイズ231およびボタン位置232を含む。
【0054】
ボタンサイズ231は、ボタンのサイズを示す情報である。ここでは、ボタンが矩形である場合を示しており、縦の長さ(画素数)、および横の長さ(画素数)を示す。例えば、ボタンサイズ231が縦3×横4であれば、縦が3画素、横が4画素のボタンであることを示す。また、ボタン位置232は、当該ボタンの表示画面における位置を示す。例えば、表示画面の縦をx、横をyとしたとき、ボタン位置232の縦は、当該ボタンの左上のx座標を示し、ボタン位置232の横は、当該ボタンの左上のy座標を示す。ボタンセット203は、当該表示画像において表示されているボタンの数だけ格納されている。図3に示す例では、それぞれボタンは、「1、2、3、…N」で示しており、計N個のボタンが表示されていることを示している。
【0055】
検出フラグ204は、当該ボタンが選択されたか否かを示すフラグである。例えば、当該ボタンが選択されたら検出フラグ204には「1」が入力され、検出されなければ「0」が入力される。検出フラグ204に「1」が入力された場合、検出処理を中断し、検出された位置に対応する処理をホスト20にて行う。その後は、再度、検出処理が実行されてもよいし、検出処理を停止してもよい。
【0056】
表示データ212は、表示部301で表示されるデータである。
【0057】
スキャン指示部22は、タッチパネルコントローラ10に対し、スキャンすなわち検出処理の実行を指示する。
【0058】
管理データ設定部23は、スキャン管理部21に格納されている管理データ211の設定を行うものである。管理データ設定部23は、例えば、表示画像毎に、ボタンセット203の設定を行う。
【0059】
〔スキャン位置の設定〕
次に、図4図12を参照して、タッチパネル30におけるスキャン位置について説明する。
【0060】
まず、図4は、タッチパネル30と一体で形成されている表示部301におけるボタンの表示例を示す。ここでは、ボタンA、ボタンB、およびボタンCの3つのボタンがされている。ユーザは、所望のボタンを選択することにより、当該ボタンに対応付けられた処理を行わせることができる。
【0061】
図4に示す例の場合、管理データ211のボタンセット203には、ボタンAに対応するボタンサイズ231として、縦XA、横YAの情報が、ボタン位置232として、(TA,RA)の情報が格納されている。同様に、ボタンBに対応するボタンサイズ231として、縦XB、横YBの情報が、ボタン位置232として、(TB,RB)の情報が格納されている。同様に、ボタンCに対応するボタンサイズ231として、縦XC、横YCの情報が、ボタン位置232として、(TC,RC)の情報が格納されている。
【0062】
図5に、ボタンA、ボタン、およびボタンCと、駆動電極33および検出電極34との関係を示す。図5に示すように、ボタンAは、駆動電極33のうち、DAに対応する位置に表示されている。また、ボタンBは、駆動電極33のうち、DBに対応する位置に表示されている。また、ボタンCは、駆動電極33のうち、DCに対応する位置に表示されている。
【0063】
タッチパネルコントローラ10のスキャン位置取得部13は、管理データ211のボタンセット203を取得して、駆動制御部11に通知する。駆動制御部11は、ボタンセット203を用いて、これらの3つのボタンに対応する駆動電極33のみ、すなわち、DA、DB、およびDCに含まれる駆動電極33のみを駆動させる。また、駆動制御部11は、DAに含まれる駆動電極33を駆動させるときは、DAに含まれる駆動電極33の全てを同時に駆動させる。すなわち、3つの駆動電極33を同時に駆動させる。同様に、DBに含まれる駆動電極33を駆動させるときには、DBに含まれる駆動電極33の全ての同時に駆動させる。また、DCに含まれる駆動電極33を駆動させるときは、DCに含まれる駆動電極33すべてを同時に駆動させる。
【0064】
図6図8を参照して、より詳細に説明する。図6に示すように、まず、駆動制御部11は、ボタンセット203を用いて、ボタンAに対応する駆動電極33のみ、すなわち、DAに含まれる駆動電極33のみを同時に駆動させる。このとき、検出制御部12は、ボタンAに対応する検出電極34のみ、すなわちCAに含まれる検出電極34のみで検出処理を行わせてもよい。
【0065】
次に、図7に示すように、駆動制御部11は、ボタンセット203を用いて、ボタンBに対応する駆動電極33のみ、すなわち、DBに含まれる駆動電極33のみを同時に駆動させる。このとき、検出制御部12は、ボタンBに対応する検出電極34のみ、すなわちCBに含まれる検出電極34のみで検出処理を行わせてもよい。
【0066】
次に、図8に示すように、駆動制御部11は、ボタンセット203を用いて、ボタンCに対応する駆動電極33のみ、すなわち、DCAに含まれる駆動電極33のみを同時に駆動させる。このとき、検出制御部12は、ボタンCに対応する検出電極34のみ、すなわちCCに含まれる検出電極34のみで検出処理を行わせてもよい。
【0067】
図4に示すような表示画面の場合、ユーザは、ボタンA、ボタンB、およびボタンCの何れかを選択することしかしないので、DA、DB、DCに含まれる駆動電極33を駆動させるのみで、所望の検出を実行することができる。また、DA、DB、DCに含まれる駆動電極33をそれぞれ同時に駆動させることにより、駆動電極33を1ラインのみ駆動させる場合と比較して、感度を上げることができ、タッチパネル30に接触していなくても、ユーザの選択を検出することができる。
【0068】
また、タッチパネルコントローラ10のスキャン位置取得部13は、管理データ211のボタンセット203を取得して、検出制御部12に通知してもよい。この場合、検出制御部12は、ボタンセット203を用いて、これらの3つのボタンに対応する検出電極34のみ、すなわち、CA、CB、およびCCに含まれる検出電極34のみで検出処理を行ってもよい。
【0069】
また、図9に示すように、表示部301に、ボタンD、ボタンE、ボタンFが横一列に表示され、ボタンG、ボタンH、ボタンJが横一列に表示されている場合を考える。この場合、管理データ211のボタンセット203には、ボタンDに対応するボタンサイズ231として、縦XD、横YDの情報が、ボタン位置232として、(TD,RD)の情報が格納されている。以下、ボタンE、ボタンF、ボタンG、ボタンH、ボタンJについても同様である。
【0070】
この場合、駆動制御部11は、駆動制御部11は、ボタンセット203を用いて、これらの6つのボタンに対応する駆動電極33のみ、すなわち、DDおよびDGに含まれる駆動電極33のみを駆動させる。
【0071】
また、検出制御部12は、ボタンセット203を用いて、これらの6つのボタンに対応する検出電極34のみ、すなわち、CD、CE、CF、CG、CH、およびCJに含まれる検出電極34のみで検出処理を行ってもよい。
【0072】
以上のように、ボタンが複数存在する場合、駆動制御部11、複数のボタンそれぞれに対応する複数の駆動電極のみを、順次、繰り返し駆動させる。
【0073】
また、駆動制御部11は、ボタンに対応する駆動電極33のうち、ボタンの両端に対応する駆動電極33から所定数の駆動電極33を駆動させないものであってもよい。所定数の駆動電極は、ボタンの両端に対応する駆動電極のみ、すなわち、各端の1つであってもよいし、複数であってもよい。複数のボタンの距離が近い場合、何れのボタンが選択されたのか、誤った判断が行われる可能性がある。ボタンの両端に対応する駆動電極33、
または、両端から所定数の駆動電極33を駆動させないことにより、ボタンの中央近傍を検出することになるので、隣のボタンが選択されたと判断するような誤検出を低減することができる。
【0074】
また、駆動電極33を駆動させることにより生じる電界は、タッチパネル30から離れるに従って広がっていく。よって、ボタンの両端に対応する駆動電極33により生じる電界は、タッチパネル30から離れるに従ってボタンの領域から外れるところまで広がっていく。これにより、当該ボタンを選択していないにもかかわらず、選択されたと誤認識する可能性がある。上記の構成によれば、このような誤認識が生じる可能性を抑制することができる。
【0075】
また、図11に示すように、表示部301に表示されているボタンKの縦のサイズが所定サイズ(第1閾値)より大きい場合、駆動制御部11は、ボタンKの一部のみに対応する駆動電極33のみを駆動させる構成であってもよい。例えば、図11に示すように、DKAに含まれる駆動電極33がボタンKに対応するものである場合に、DKBに含まれる駆動電極33のみを駆動させるものであってもよい。
【0076】
これにより、ボタンのサイズに対応する駆動電極33の数が多く、対応する全ての駆動電極33を同時に駆動させると、感度が強くなりすぎる場合等に、駆動させる駆動電極33を減少させて、所望の感度とすることができる。
【0077】
また、図12に示すように、表示部301に表示されているボタンLの縦のサイズが所定サイズ(第2閾値)より小さい場合、駆動制御部11は、ボタンLのサイズを超える範囲の駆動電極33のみを駆動させる構成であってもよい。例えば、図12に示すように、DLAに含まれる駆動電極33がボタンLに対応するものである場合に、DLBに含まれる駆動電極33を駆動させるものであってもよい。
【0078】
これにより、ボタンのサイズに対応させた駆動電極33のみでは、電極数が少なく、所望の感度を得ることができない場合であっても、駆動させる電極数を増やすことで、所望の感度を得ることができる。
【0079】
以上のように、駆動制御部11は、ボタンの行方向の大きさが第1閾値よりも大きい場合、ボタンの行方向の大きさよりも小さい領域に対応する複数の駆動電極33を同時に駆動させるものであってもよい。
【0080】
また、駆動制御部11は、ボタンの行方向の大きさが第2閾値よりも小さい場合、当該選択領域の行方向の大きさよりも大きい領域に対応する複数の駆動電極33を同時に駆動させるものであってもよい。
【0081】
また、駆動制御部11は、ボタンに対応する駆動電極33に電圧を印加することで生成されるタッチパネル30上の電界の強度が所定の範囲内となるように駆動電極33に印加する電圧を制御するものであってもよい。印加する電圧の制御は、駆動回路31に含まれる可変電圧器311を制御することにより可能である。電界の強度が所定の範囲内にあるとは、タッチパネル30から数センチ程度にあるユーザの指等を検出可能な電界の強度であるということである。
【0082】
タッチパネル30上に生成する電界の強度を所定の範囲とすることで、ボタンのサイズが大きい場合であっても、逆に小さい場合であっても、ボタンの選択があったか否かを適切に判断することができる。
【0083】
〔処理の流れ〕
次に、図13および図14を参照して、タッチパネルシステム1における処理の流れを説明する。図13は、タッチパネルシステム1のホスト20における処理の流れを示すフローチャートである。
【0084】
図13に示すように、ホスト20では、まず、スキャン管理部21が、スキャンを実行するか否かを示す、管理データ211のスキャン実行フラグ201を「0」に設定する(S101)。次に、スキャン管理部21は、管理データ211のスキャン中フラグ202を確認する(S102)。スキャン中フラグ202が「1」であれば(S103でYES)、そのまま、ステップS102に戻る。
【0085】
一方、スキャンを実行中であるか否かを示すスキャン中フラグ202が「0」であれば(S103でNO)、スキャン実行中ではないので、管理データ設定部23は、表示画面に対応したボタンセット203を設定する(S104)。そして、スキャン管理部21は、スキャン実行フラグ201を「1」に設定する(S105)。
【0086】
その後、ホスト20は、タッチパネルコントローラ10から、ボタンの選択があったか否か、およびあったのであればその位置を示す検出結果を取得して(S106)、ボタンの選択があったか否かを確認する(S107)。ボタンの選択があれば(S107でYES)、ホスト20は、選択されたボタンに従った処理を実行し(S108)、スキャン管理部21は、選択をリセットする(S109)。そして、ステップS110に進む。
【0087】
一方、ステップS107でボタンの選択が無ければ(S107でNO)、表示画面の変更があるかないかを確認し(S110)、画面の変更があれば(S110でYES)、ステップ101に戻る。一方、画面の変更がなければ(S110でNO)、ステップS107に戻る。
【0088】
次に、図14を参照して、タッチパネルコントローラ10における処理の流れを説明する。図14は、タッチパネルコントローラ10における処理の流れを示すフローチャートである。
【0089】
図14に示すように、タッチパネルコントローラ10では、まず、駆動制御部11は、ホスト20のスキャン実行フラグ201を確認する(S201)。そして、スキャン実行フラグ201が「1」であれば(S202でYES)、スキャン中フラグ202を「1」に設定する(S203)。そして、タッチパネルコントローラ10は、ボタンセット203を読み込み(取得ステップ)、ボタンセット203に基づいて、駆動させる駆動電極33を決定する(S204)。そして、決定した駆動電極33を駆動させるように駆動回路31を制御して、駆動電極33を駆動させ(S205、駆動制御ステップ)、検出処理を行う(S206)。ボタンセット203に含まれるボタン全ての検出処理が完了すると、タッチパネルコントローラ10は、スキャン中フラグ202を「0」に設定して(S207)、ステップS201に戻る。
【0090】
以上が、タッチパネルシステム1における処理の流れである。
【0091】
〔回路例〕
次に、図15図18を参照して、回路例について説明する。なお、ここで示す回路は一例であり、これに限られるものではない。同様の機能を有するものであれば、どのような構成であってもよい。
【0092】
図15は、駆動回路31の回路例を示す図である。図15に示す回路例では、駆動回路31は、可変電圧器311、パルス発生回路312、フリップフロップ313、アナログゲート314を含む。
【0093】
パルス発生回路312は、可変電圧器311からの電圧を用いて、パルス波を発生させる回路である。パルス発生回路312はアナログゲート314を介してタッチパネル30の駆動電極33との端子と接続している。
【0094】
アナログゲート314は、フリップフロップ(F/F)313の指示により開閉されるスイッチである。フリップフロップ313は、駆動制御部11が取得した管理データ211のボタンセット203に基づいて制御される。すなわち、ボタンセット203に基づいて、駆動される駆動電極33が決定され、対応する駆動電極33に対応するアナログゲート314に接続しているフリップフロップ313を「1」に設定することにより、所望の駆動電極33のみを駆動させるものである。
【0095】
フリップフロップ313は、ボタンセット203に設定されたそれぞれのボタンに応じて、「1」または「0」に設定される。
【0096】
例えば、タッチパネルシステム1では、ボタンセット203のボタンサイズ231から、対応する駆動電極33に接続されているフリップフロップ313を「1」にセットし、この駆動電極33を同時に駆動する。これを、設定されているボタンセット203すべてについて繰り返し行う。
【0097】
図16は、可変電圧器311の回路例を示す図である。ここでは、駆動制御部11の制御に基づき、アナログゲート51を開閉することにより、1.5V、3V、5V、6V、および9Vの電圧を出力可能な可変電圧器311を示している。具体的には、アナログゲート51のAG51-1を閉じれば、出力電圧は1.5Vになる。アナログゲート51のAG51-2を閉じれば、出力電圧は3Vになる。アナログゲート51のAG51-3を閉じれば、出力電圧は5Vになる。アナログゲート51のAG51-4を閉じれば、出力電圧は6Vになる。アナログゲート51のAG51-5を閉じれば、出力電圧は9Vになる。
【0098】
図17および図18は、検出回路32の回路例を示す図である。ここでは、複数の検出電極34で同時に検出する場合の例を示す。図17に示すように、検出回路32は、マルチプレクサ321および検出部322を含む。検出部322から出力先である検出レジスタ60は、検出結果を示すフラグであり、管理データ211の検出フラグ204に対応する。
【0099】
マルチプレクサ321は、複数の入力から一部を選択して出力するものである。ここでは、検出電極34からの出力を8ラインごとに1つとし、所望の8ラインの出力を選択して、検出部322に出力している。8ラインの検出電極34を1つとして、同時に検出処理を行い、8ラインごとに検出処理を行うので、検出処理に係る処理時間を短縮することができる。また、検出処理に用いる検出電極34がオーバーラップすることがないので、無駄も排除することができる。
【0100】
以上のように、検出回路(検出処理部)32は、複数の検出電極34のうち、所定数の検出電極34で同時に検知処理を行うものであってもよい。
【0101】
図18に検出部322の回路例を示す。また、図19に、スイッチのオン/オフと出力される電圧との関係を示す。
【0102】
図19に示すように、スイッチSWAおよびスイッチSWBがオン(ON)の状態で、タッチパネルの駆動電圧(Drive)がVss(=0)、検出回路32の駆動電圧(Strob)がVss(=0)のとき、駆動電極33と検出電極34との間の相互キャパシタンスCxy内の電気量は0である。また、サンプリングコンデンサのキャパシタンスCs内の電気量も0である。検出電圧(Sense)も0(=Vss)である。
【0103】
そのまま、スイッチSWAおよびスイッチSWBがオン(ON)の状態で、タッチパネルの駆動電圧(Drive)をVcとし、検出回路32の駆動電圧(Strob)がVss(=0)のとき、駆動電極33と検出電極34との間の相互キャパシタンスCxy内の電気量はCxy*Vcである。また、サンプリングコンデンサのキャパシタンスCs内の電気量は0である。検出電圧(Sense)も0(=Vss)である。
【0104】
次に、スイッチSWAをオフ(OFF)とし、スイッチSWBがオン(ON)の状態で、タッチパネルの駆動電圧(Drive)がVss(=0)、検出回路32の駆動電圧(Strob)がVss(=0)のとき、駆動電極33と検出電極34との間の相互キャパシタンスCxy内の電気量はCxy*Cxy*Vc/(Cxy+Cs)となる。また、サンプリングコンデンサのキャパシタンスCs内の電気量は、Cs*Cxy*Vc/(Cxy+Cs)となる。そして、検出電圧(Sense)は、-Cxy*Vc/(Cxy+Cs)となる。
【0105】
次に、スイッチSWAをオン(ON)とし、スイッチSWBをオフ(OFF)として、タッチパネルの駆動電圧(Drive)がVss(=0)、検出回路32の駆動電圧(Strob)がVcのとき、駆動電極33と検出電極34との間の相互キャパシタンスCxy内の電気量は0となり、サンプリングコンデンサのキャパシタンスCs内の電気量はCs*Cxy*Vc/(Cxy+Cs)である。そして、検出電圧(Sense)は、-Cxy*Vc/(Cxy+Cs)である。
【0106】
〔変形例〕
上記では、投影型静電容量方式のタッチパネルを例に挙げて説明した。しかし、本発明に係る技術は、投影型静電容量方式のタッチパネルに限られず、赤外線、レーザ等の投光センサと受光センサとを用いたタッチパネルにも適用可能である。すなわち、表示画像におけるボタン位置に対応する投光センサのみを駆動させることにより、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0107】
換言すれば、タッチパネルコントローラ10は、表示部の表示領域を挟んで対向して配置された複数の投光部および複数の受光部を備え、表示部へ接触した位置、または接近した位置を検出するタッチパネルを制御するタッチパネルコントローラ10であって、タッチパネルで表示する表示画像に含まれ、ユーザによって選択される選択領域に関する選択領域情報を取得する取得部と、前記タッチパネルで検出処理を行うとき、該検出処理時に表示されている前記表示画像に含まれる前記選択領域に関する前記選択領域情報に基づいて、前記複数の投光部のうちの一部の複数の投光部のみを同時に駆動させる駆動制御部と、を備えるものであってもよい。
【0108】
以上のように、本実施形態に係るタッチパネルシステム1では、タッチパネル30に直接、接触することなく、選択位置を検出することができるので、衛生的である。また、ユーザが選択するボタンを表示している領域に対応する駆動電極33のみを駆動させるので、処理量が少なくて済む。また、従来のタッチパネルシステムにおけるファームウェアを変更するのみで実現可能であるので、コストも低廉である。
【0109】
タッチパネルシステム1が利用される機器としては、例えば、プログラマブル表示器のようなFA機器、エレベータの操作部等が挙げられる。
【0110】
〔ソフトウェアによる実現例〕
タッチパネルコントローラ10(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロックとしてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0111】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0112】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0113】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0114】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 タッチパネルシステム
10 タッチパネルコントローラ
11 駆動制御部
12 検出制御部
13 スキャン位置取得部
20 ホスト
21 スキャン管理部
22 スキャン指示部
23 管理データ設定部
30 タッチパネル
31 駆動回路
32 検出回路
33 駆動電極
34 検出電極
51 アナログゲート
60 検出レジスタ
201 スキャン実行フラグ
202 スキャン中フラグ
203 ボタンセット
204 検出フラグ
211 管理データ
231 ボタンサイズ
232 ボタン位置
301 表示部
311 可変電圧器
312 パルス発生回路
313 フリップフロップ
314 アナログゲート
321 マルチプレクサ
322 検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20