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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007945
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】化粧胴差及び建物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/64 20060101AFI20230112BHJP
   E04B 1/66 20060101ALI20230112BHJP
   E04B 1/68 20060101ALI20230112BHJP
   E04F 19/02 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
E04B1/64 C
E04B1/66 A
E04B1/68 C
E04B1/68 B
E04F19/02 T
E04F19/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111122
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 知広
(72)【発明者】
【氏名】木和田 康聖
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001DA02
2E001DA03
2E001DE01
2E001FA04
2E001GA13
2E001GA24
2E001GA82
2E001HA03
2E001HA14
2E001HA21
2E001HA32
2E001HA33
2E001HB01
2E001HD02
2E001HD03
2E001HD11
2E001HE01
(57)【要約】
【課題】意匠機能と防水機能の両方を有しつつ、見え掛かり部の小型化を実現することができる化粧胴差及びこの化粧胴差を備えた建物を得る。
【解決手段】化粧胴差30は、上下に隣接する外壁パネル22A,22Bの横目地の半分以上を目隠しする意匠水切り部材30Aと、意匠水切り部材30Aの下側に位置し、意匠水切り部材30Aとは別部品で構成されて、下側に位置する外壁パネル22Aの意匠面24において水の吹き上がりに対して防水機能を有する防水水切り部材30Bと、を含む。これにより、化粧胴差30は、意匠機能と防水機能の両方を有しつつ、見え掛かり部の小型化を実現することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に隣接する外壁パネルの横目地の半分以上を目隠しする意匠水切り部材と、
該意匠水切り部材の下側に位置し、該意匠水切り部材とは別部品で構成されて、下側に位置する前記外壁パネルの意匠面において水の吹き上がりに対して防水機能を有する防水水切り部材と、
を含む化粧胴差。
【請求項2】
上端部が上側に位置する前記外壁パネルの背面に取り付けられ、下端部が前記意匠水切り部材と前記防水水切り部材との間に延設されて、前記意匠水切り部材と共に建物本体に固定される防水シートを備える請求項1に記載の化粧胴差。
【請求項3】
前記外壁パネルの意匠面側において、前記意匠水切り部材と前記防水水切り部材との間に前記防水シートから浸み込んだ水を排出する排水路を有する請求項2に記載の化粧胴差。
【請求項4】
前記防水水切り部材は、下側に位置する前記外壁パネルの小口面に配設される止水材が一体的に設けられている請求項1~3の何れか1項に記載の化粧胴差。
【請求項5】
上端部が上側に位置する前記外壁パネルの背面に取り付けられ、下端部が下側に位置する前記外壁パネルの意匠面と前記防水水切り部材との間に延設される防水シートを備える請求項1に記載の化粧胴差。
【請求項6】
前記意匠水切り部材は及び前記防水水切り部材は、相互して係合する係合手段を備えている請求項1又は請求項5に記載の化粧胴差。
【請求項7】
前記防水水切り部材は、板金部材により構成されている請求項1、請求項5及び請求項6の何れか1項に記載の化粧胴差。
【請求項8】
請求項1~請求項7の何れか1項に記載の化粧胴差を備えた建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧胴差及びこの化粧胴差を備えた建物に関する。
【背景技術】
【0002】
建物ユニットが複数個連結されて成るユニット建物等では、外観の見栄えの向上等を目的として、建物ユニット同士の連結部分(例えば建物の一階部分を構成する建物ユニットと建物の二階部分を構成する建物ユニットとの連結部分)を外部から隠蔽する化粧胴差が設けられている。特許文献1及び特許文献2には、一階の外壁パネルと二階の外壁パネルとの間を塞ぐようにして建物本体に取り付けられた化粧胴差が開示されている。特許文献1に記載された化粧胴差は、防水シートが貼り付けられた固定下地材に固定され、特許文献2に記載された化粧胴差は、外壁パネルの平坦面に貼り付けられた防水シートを押さえるようにして固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-89257号公報
【特許文献2】特開2016-180288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や特許文献2に記載された化粧胴差においては、外壁の繋ぎ目や防水シートを隠す意匠機能の他に、防水シートを押さえることによる防水機能を有している。一般的に防水シートを貼り付ける面は平坦である必要があり、化粧胴差によって平坦面に貼り付けられた防水シートを押さえ、かつ隠すためには化粧胴差の上下方向の幅、すなわち見え掛かり部が広くなってしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、意匠機能と防水機能の両方を有しつつ、見え掛かり部の小型化を実現することができる化粧胴差及びこの化粧胴差を備えた建物を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る化粧胴差は、上下に隣接する外壁パネルの横目地の半分以上を目隠しする意匠水切り部材と、該意匠水切り部材の下側に位置し、該意匠水切り部材とは別部品で構成されて、下側に位置する前記外壁パネルの意匠面において水の吹き上がりに対して防水機能を有する防水水切り部材と、を含む。
【0007】
第1の態様によれば、化粧胴差は、意匠機能を有する意匠水切り部材と、意匠水切り部材とは別部品で構成されて水の吹き上がりに対して防水機能を有する防水水切り部材とを含んでいる。このように、化粧胴差を役割毎に別部品化することにより、それぞれの役割を満足しつつ各部品を小型化することができる。これにより、意匠機能と防水機能の両方を有しつつ、見え掛かり部の小型化を実現することができる。
【0008】
第2の態様に係る化粧胴差は、第1の態様に記載の構成において、上端部が上側に位置する前記外壁パネルの背面に取り付けられ、下端部が前記意匠水切り部材と前記防水水切り部材との間に延設されて、前記意匠水切り部材と共に建物本体に固定される防水シートを備える。
【0009】
一般的に、防水シートは、両面テープ等で外壁パネル等に固定される。第2の態様によれば、防水シートは、意匠水切り部材と共に建物本体に固定されるので、例えば意匠水切り部材がビス等により建物本体に固定される場合には、防水シートもビス等により固定されることになり、防水シートの貼り付け面への密着性を向上させることができる。
【0010】
第3の態様に係る化粧胴差は、第2の態様に記載の構成において、前記外壁パネルの意匠面側において、前記意匠水切り部材と前記防水水切り部材との間に前記防水シートから浸み込んだ水を排出する排水路を有する。
【0011】
第3の態様によれば、前記外壁パネルの意匠面側において、前記意匠水切り部材と前記防水水切り部材との間に前記防水シートから浸み込んだ水を排出する排水路を有している。そのため、例えば、僅かながらであっても防水シートの固定部等から水が浸み込んだ場合に、浸み込んだ水を排水路から排出することができる。
【0012】
第4の態様に係る化粧胴差は、第1~3の何れかの態様に記載の構成において、前記防水水切り部材は、下側に位置する前記外壁パネルの小口面に配設される止水材が一体的に設けられている。
【0013】
第4の態様によれば、防水水切り部材に止水材が一体的に設けられているので、従来、外壁パネルの小口面に貼り付けられていた止水テープを削減することができる。
【0014】
第5の態様に係る化粧胴差は、第1の態様に記載の構成において、上端部が上側に位置する前記外壁パネルの背面に取り付けられ、下端部が下側に位置する前記外壁パネルの意匠面と前記防水水切り部材との間に延設される防水シートを備える。
【0015】
第5の態様によれば、防水シートの下端部は、外壁パネルの意匠面と防水水切り部材との間に延設されるので、防水水切り部材によって外壁パネルの意匠面側に防水シートの下端部を押さえることが可能となる。これにより、防水シートの外壁パネルの意匠面への密着性を向上させることができる。
【0016】
第6の態様に係る化粧胴差は、第1又は第5の態様に記載の構成において、前記意匠水切り部材及び前記防水水切り部材は、相互して係合する係合手段を備えている。
【0017】
第6の態様によれば、意匠水切り部材及び防水水切り部材は、相互して係合する係合手段を備えているので、係合手段により意匠水切り部材と防水水切り部材とを相互して係合することにより意匠水切り部材と防水水切り部材とを一体化することができる。
【0018】
第7の態様に係る化粧胴差は、第1、第5、第6の何れかの態様に記載の構成において、前記防水水切り部材は、板金部材により構成されている。
【0019】
従来の化粧胴差は、意匠面を有する面材と、防水シートを外壁パネル側に押さえるように配設された防火のための不燃材とを備えているので、建物内外方向の厚みが厚くなる。第7の態様によれば、防水水切り部材は板金部材により構成されているので、厚みを抑えることができる。防水シートは、防水水切り部材により外壁パネル側に押さえられるので、意匠水切り部材は防水シートを外壁パネル側に押さえる必要がない。このため、意匠水切り部材は、上下に隣接する外壁パネルの横目地に不燃材を配設すればよいので、外壁パネルから意匠面までの厚さを薄くすることができる。このように防水水切り部材と意匠水切り部材の両方の厚さを薄くすることができるので、化粧胴差全体としての厚みを抑えることが可能となる。
【0020】
第8の態様に係る建物は、第1の態様~第7の態様の何れかの態様に記載の化粧胴差を備えている。
【0021】
第8の態様によれば、第1の態様~第7の態様の何れかの態様に記載の化粧胴差における作用を享受することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、第1の態様に係る化粧胴差は、意匠機能と防水機能の両方を有しつつ、見え掛かり部の小型化を実現することができるという優れた効果が得られる。
【0023】
第2の態様に係る化粧胴差は、防水シートの貼り付け面への密着性を向上させることができるという優れた効果が得られる。
【0024】
第3の態様に係る化粧胴差は、防水シートの固定部等から浸み込んだ水を排水路から排出することができるという優れた効果が得られる。
【0025】
第4の態様に係る化粧胴差は、従来、外壁パネルの小口面に貼り付けられていた止水テープを削減することができるという優れた効果が得られる。
【0026】
第5の態様に係る化粧胴差は、防水シートの外壁パネルの意匠面への密着性を向上させることができるという優れた効果が得られる。
【0027】
第6の態様に係る化粧胴差は、意匠水切り部材と防水水切り部材とを一体化することができるという優れた効果が得られる。
【0028】
第7の態様に係る化粧胴差は、化粧胴差全体としての厚みを抑えることができるという優れた効果が得られる。
【0029】
第8の態様に係る建物は、第1の態様~第7の態様の化粧胴差における作用を享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1実施形態に係る化粧胴差が適用された建物を模式的に示す概略正面図である。
図2】第1実施形態に係る化粧胴差を含む外壁パネル付近の縦断面図である。
図3図2の化粧胴差付近の分解拡大横断面図である。
図4】第2実施形態に係る化粧胴差を含む外壁パネル付近の縦断面図である。
図5図4の化粧胴差付近の分解拡大横断面図である。
図6】従来の化粧胴差を含む外壁パネル付近の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<第1実施形態>
以下、図1図3を用いて、第1実施形態に係る化粧胴差30について説明する。図1には、第1実施形態に係る化粧胴差30が適用された建物10の構造が模式的な概略正面図で示されている。図2は化粧胴差30を含む外壁パネル20付近の縦断面図、図3図2の化粧胴差30付近の分解拡大横断面図である。なお、各図において、建物10の高さ方向を上下方向として説明する。本実施形態において、建物10は、一例として二階建てユニット式建物で構成された一般住宅とし、建物ユニットが複数個連結されて構成されている。なお、建物10は単一の建物ユニットで構成することも可能である。また、個々の建物ユニットとしては、例えば各々矩形枠状に組まれた天井フレームと床フレームとの間に4本の柱が立設された構成(図示省略)を採用することができるが、これに限られるものではなく、箱形の他の架構構造であってもよい。
【0032】
図1に示されるように、建物10は、図示しない基礎上に複数載置された建物ユニット12により複数階建て(一例として2階建て)に構築されている。建物ユニット12は、それぞれが直方体状を成しており、この建物ユニット12を建物上下方向に重ねて設けることで、建物10の下階(本実施形態では1階)と、上階(本実施形態では2階)とが構成されている。本実施形態においては、1階を構成する建物ユニット12を下階側ユニット12A、2階を構成する建物ユニット12を上階側ユニット12Bとする。
【0033】
下階側ユニット12A及び上階側ユニット12Bには、外壁パネル20が取り付けられている。本実施形態においては、下階側ユニット12Aには、外壁パネル20として下側外壁パネル20Aが、上階側ユニット12Bには、外壁パネル20として上側外壁パネル20Bがそれぞれ取り付けられている。
【0034】
また、建物10の外壁パネル20のうち、建物10の1階部分と2階部分との境界に相当する高さ位置には、下側外壁パネル20Aと上側外壁パネル20Bとの間隙を外部から隠蔽する長尺状の化粧胴差30が、建物10のおよそ全周に亘って配設されている。すなわち、化粧胴差30は、下側外壁パネル20Aと上側外壁パネル20Bとの間の境界部に沿って形成される横目地を目隠ししている。
【0035】
図2に示されるように、外壁パネル20、すなわち下側外壁パネル20A及び上側外壁パネル20Bは、各々、外壁面材22と、外壁面材22の建物外方側(室外側)の外周面に沿って並べられた複数の意匠面材24とを備えている。意匠面材24は、耐候性に優れた素材で構成された例えばサイディングボード等の外装材により矩形板状に形成されている。意匠面材24の建物外側面(室外側面)は、凹凸等が形成された意匠面24Aとされている。
【0036】
下側外壁パネル20Aは、下側外壁パネル20Aに対して建物内方側に配置された下階外壁フレーム13に図示しない締結具によって取り付けられている。この下階外壁フレーム13は、下側外壁パネル20Aの外壁面材22の建物上下方向における端部にそれぞれ配置されていると共に、当該端部に沿った水平方向を長手方向として延設された横フレーム14と、下側外壁パネル20Aの外壁面材22の建物上下方向における端部のそれぞれの横フレーム14を建物上下方向で連結する図示しない縦フレームとで構成されている。
【0037】
横フレーム14は、外側縦壁部14Aと、内側縦壁部14Bと、外側縦壁部14Aにおける建物上下方向の一方の端部とこれに対応した内側縦壁部14Bにおける建物上下方向の一方の端部とを略水平方向に連結する底壁部14Cと、により長手方向に直交する断面形状が略U字状に形成されている。また、下側外壁パネル20Aの外壁面材22の上端部22Aに対応した位置に設けられている横フレーム14は、断面開口が建物上方側へ向けて開放された向きに配置されている。また、内側縦壁部14Bは、底壁部14Cからの長さが外側縦壁部14Aよりも短く形成されている。
【0038】
横フレーム14の内側縦壁部14Bと内側縦壁部14Bが当接する下階側ユニット12Aの一部を構成する天井大梁40Aには、板厚方向に貫通された貫通孔(図示省略)がそれぞれ形成されており、これらの貫通孔に天井大梁40A側からボルト18Aを挿入すると共に横フレーム14側からナット18Bにて締結することで、横フレーム14ひいては下階外壁フレーム13は天井大梁40Aに固定される。
【0039】
上側外壁パネル20Bは、上側外壁パネル20Bに対して建物10側に配置された上階外壁フレーム15に図示しない締結具によって取り付けられている。この上階外壁フレーム15は、上側外壁パネル20Bの外壁面材22の建物上下方向における端部にそれぞれ配置されていると共に、当該端部に沿った水平方向を長手方向として延設された横フレーム16と、上側外壁パネル20Bの外壁面材22の建物上下方向における端部のそれぞれの横フレーム16を建物上下方向で連結する図示しない縦フレームとで構成されている。
【0040】
横フレーム16は、建物10の1階を構成する下階側ユニット12Aの下階外壁フレーム13における横フレーム14と同様に、外側縦壁部16Aと、内側縦壁部16Bと、外側縦壁部16Aにおける建物上下方向の一方の端部とこれに対応した内側縦壁部16Bにおける建物上下方向の一方の端部とを略水平方向に連結する底壁部16Cと、により長手方向に直交する断面形状が略U字状に形成されている。また、上側外壁パネル20Bの外壁面材22の下端部22Bに対応した位置に設けられている横フレーム16は、断面開口が建物下方側へ向けて開放された向きに配置されている。また、内側縦壁部16Bは、底壁部16Cからの長さが外側縦壁部16Aよりも長く形成されている。
【0041】
また、外側縦壁部16Aは、化粧胴差30を取り付けるために、下端部22Bよりも下方側に突出するように配置されている。図3に示されるように、外側縦壁部16Aの下端部22Bよりも下方側に突出した部分には、後述するタッピングビス19が挿通する挿通孔16Dが形成されている。
【0042】
横フレーム16の内側縦壁部16Bと内側縦壁部16Bが当接する上階側ユニット12Bの一部を構成する床大梁40Bには、板厚方向に貫通された貫通孔(図示省略)がそれぞれ形成されており、これらの貫通孔に横フレーム16側からボルト18Aを挿入すると共に床大梁40B側からナット18Bにて締結することで、横フレーム16ひいては上階外壁フレーム15は床大梁40Bに固定される。なお、本実施形態において、ボルト18Aとナット18Bとにより締結具18が構成されている。
【0043】
図3に示されるように、下側外壁パネル20Aと上側外壁パネル20Bとの間には、間隙Sが設けられており、この間隙Sにより横目地が形成されている。言い換えると、横目地は、下側外壁パネル20Aと上側外壁パネル20Bとのつなぎ目とされる。そしてこのつなぎ目すなわち間隙Sに化粧胴差30を配設することにより、横目地が目隠しされる。
【0044】
化粧胴差30は、横目地の半分以上を目隠しする意匠水切り部材30Aと、意匠水切り部材30Aの下側に位置し、外壁パネル20の意匠面24Aにおいて水の吹き上がりに対して防水機能を有する防水水切り部材30Bとを備えている。
【0045】
意匠水切り部材30Aは、一例として、複合樹脂、窯業系の材料等の板材により長尺状に形成されており、建物10の外観に合わせた色で構成されている。建物10の美観を引き立てるために様々な意匠が凝らされている。意匠水切り部材30Aは、上側外壁パネル20Bの外壁面材22の下端部22B側に配設される上端から建物下方側へ延設された上壁部32Aと、上壁部32Aから建物外方側に向かって斜め下方に延設される中間壁部32Bと、を有している。
【0046】
また、意匠水切り部材30Aは、中間壁部32Bの下端から建物下方側へ延設された下壁部32Cを有している。下壁部32Cには、折返し部32Dが形成されている。この折返し部32Dは、下壁部32Cの一部が建物内方側へ斜め上方に向かって折り曲げられて形成されている。また、上壁部32Aには、板厚方向に貫通形成された取付孔32Eが形成されている。この取付孔32Eは、意匠水切り部材30Aの長手方向に間隔を空けて複数形成されている。
【0047】
防水水切り部材30Aは、水切り本体部34と、不燃部36と、止水材としての止水部38とを備えている。水切り本体部34は、上側外壁パネル20Bの外壁面材22の下端部22B側に配設される上端から建物下方側へ延設された上壁部34Aと、上壁部34Aから建物外方側に向かって斜め下方に延設される中間壁部34Bと、を有している。
【0048】
また、水切り本体部34は、中間壁部34Bの下端から建物下方側へ延設された下壁部34Cを有している。下壁部34Cには、折返し部34Dが形成されている。この折返し部34Dは、下意匠水切り部材30Aの折返し部32Dと同様に、下壁部34Cの一部が建物内方側へ斜め上方に向かって折り曲げられて形成されている。また、上壁部34Aには、板厚方向に貫通形成された取付孔34Eが形成されている。この取付孔34Eは、意匠水切り部材30Aの取付孔32Eに対応する位置に形成されている。すなわち、水切り本体部34の長手方向に間隔を空けて複数形成されている。
【0049】
不燃部36は、水切り本体部34の上壁部34Aの建物内方側であって、取付孔34E付近を除く建物下方側に配設されており、一例としてロックウール又はグラスウール等の無機繊維材料で形成されている。なお、不燃部36は、ウレタンフォームやフェノールフォームなどの樹脂発泡体であってもよいし、石膏ボードや珪酸カルシウムボードなどの板材と、無機繊維材料又は樹脂発泡体とを組み合わせた複合材であってもよい。
【0050】
止水部38は、一例としてEPDMゴム(エチレンプロピレンゴム ;Ethylene Propylene Rubber)に難燃剤を混合し、混和剤を発泡させた、半独立半連続状態タイプの柔軟な発泡体であるエプトシーラー等で形成されている。止水部38は、中間壁部34Bの建物下方側で、かつ下壁部34Cの建物内方側に配設されている。
【0051】
また、化粧胴差30には、一例としてCR(クロロプレンゴム)シート等の防水部材で形成されたスタキングシート等の防水シート50が取り付けられる。図2及び図3に示されるように、防水シート50は、上端部50Aの一面が上側外壁パネル20Bの外壁面材22の下端部22Bの背面に、上端部50Aの他面が横フレーム16の外側縦壁部16Aの建物外方側面に、それぞれ例えばブチルテープ等の防水機能を有する両面テープ(図示省略)により取り付けられている。
【0052】
また、防水シート50は、図2に示されるように、下端部50Bが意匠水切り部材30Aと防水水切り部材30Bとの間に延設されている。図3に示されるように、防水シート50は、下端部50Bの建物内方側面に例えばブチルテープ等で形成された両面テープ52が貼り付けられて、図2に示されるように、防水水切り部材30Bの上壁部34Aの建物外方側面に貼り付けられる。
【0053】
また、防水シート50の下端部50Bにおける意匠水切り部材30Aと防水水切り部材30Bの取付孔32E、34E、及び横フレーム16の挿通孔16Dに対応した位置には、貫通孔(図示省略)が形成されている。
【0054】
次に、化粧胴差30の取付方法について説明する。図3に示されるように、防水シート50は、上端部50Aが上側外壁パネル20Bの外壁面材22の下端部22Bの背面と、横フレーム16の外側縦壁部16Aの建物外方側面に取り付けられた状態で、下端部50Bを建物上方側に位置させておく。この状態で、防水水切り部材30Bを間隙Sに配置する。図2に示されるように、防水水切り部材30Bは、下側外壁パネル20Aの小口面21に止水部38を圧着させ、図3に示されるように、上壁部34Aに形成された取付孔34Eと横フレーム16の挿通孔16Dとを位置合わせして上壁部34Aを横フレーム16に当接させる。なお、止水部38は、圧着した際に弾性変形する。
【0055】
次に、防水シート50の下端部50Bを防水水切り部材30Bの上壁部34Aの建物外方側面に両面テープ52により貼り付ける。そして、意匠水切り部材30Aの上壁部32Aに形成された取付孔32Eを、防水シート50の貫通孔、上壁部34Aに形成された取付孔34E、及び横フレーム16の挿通孔16Dに位置合わせした状態で、意匠水切り部材30Aの建物外方側から、意匠水切り部材30Aの取付孔32E、防水水切り部材30Bの取付孔34E、防水シート50の貫通孔、横フレーム16の挿通孔16Dの順にタッピングビス19を挿通して締結する。これにより、意匠水切り部材30A、防水水切り部材30B、及び防水シート50が横フレーム16に固定される。
【0056】
図2に示されるように、防水シート50は、横フレーム16に固定された状態においては、上端部50Aが上側外壁パネル20Bの外壁面材22の下端部22Bの背面(建物内方側面)と横フレーム16の外側縦壁部16Aの建物外方側面との間に貼り付けられ、下端部50Bが防水水切り部材30Bの上壁部34Aの建物外側面に貼り付けられるので、長手方向に直交する断面形状が略クランク状となる。
【0057】
また、図2に示されるように、化粧胴差30は、横フレーム16に取り付けられた状態で、意匠水切り部材30Aの下壁部32Cと防水水切り部材30Bの下壁部34Cの建物外側面は、略同一面上に位置するように形成されている。また、化粧胴差30は、意匠水切り部材30Aの下壁部32Cの下端と、防水水切り部材30Bの下壁部34Cの上端との間が間隙D1を有するように形成されている。本実施形態においては、間隙D1は一例として4mm以上とされる。
【0058】
図2に示されるように、化粧胴差30においては、横フレーム16に固定された状態において、上側外壁パネル20Bと防水シート50との間から浸み込んだ水は意匠水切り部材30Aの建物外方側の表面に沿って排出される。このように水が流れる経路を第1排水路W1(図2の矢印W1)とする。また、意匠水切り部材30Aと防水水切り部材30Bとの間において防水シート50から浸み込んだ水は、防水シート50の建物外方側の表面、並びに防水水切り部材30Bの中間壁部34B及び下壁部34Cの建物外方側の表面に沿って排出される。このように水が流れる経路を第2排水路W2(図2の矢印W2)とする。なお、第2排水路W2は、本発明の排水路に対応する。
【0059】
次に、第1実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0060】
図6に、従来の化粧胴差130を含む外壁付近の縦断面図を示す。図6に示されるように、従来は、防水シート150の上端部150Aは上側外壁パネル120Bと横フレーム116の間に固定され、上側外壁パネル120Bと横フレーム116の間から下方に延出した防水シート150の下端部150Bは、下側外壁パネル120Aの建物外方側の表面に貼り付けられる。一般的に、防水シート150を貼り付ける面は平坦である必要があり、下端部150Bを下側外壁パネル120Aの建物外方側の表面に貼り付けるためには、意匠面材124を削り取ることにより、平坦面を形成しなければならない。そのため、上側外壁パネル120Bと下側外壁パネル120Aとでは、意匠面124Aの形状が異なるものとなってしまう。
【0061】
また、下側外壁パネル120Aの建物外方側に形成された平坦面に貼り付けられた防水シート150は、水の吹き上がりに備えて建物上下方向の幅をある程度確保しなくてはならず、防水シート150を押さえ、かつ隠すためには、化粧胴差130の建物上下方向の幅Hが一例として125mm程度となり大きくなってしまい、化粧胴差130の見え掛かり部が大きくなってしまう。また、化粧胴差130は、防火のために、その内面に不燃材を有する必要があり、また化粧胴差130を取り付ける際の補強のための脚部200等を隠す必要があるため、建物内外方向の幅Tが一例として20mm程度となり大きくなってしまう。
【0062】
また、防水シート150において、上端部150Aと下端部150Bとの間に位置する中間部150Cは、固定されておらず、不安定な状態となっている。
【0063】
これに対して、第1実施形態の化粧胴差30は、意匠機能を有する意匠水切り部材30Aと、意匠水切り部材30Aとは別部品で構成されて水の吹き上がりに対して防水機能を有する防水水切り部材30Bとを含んでいる。化粧胴差30は、意匠水切り部材30Aによって下側外壁パネル20Aと上側外壁パネル20Bの間の横目地の半分以上を目隠しすることができる。また、化粧胴差30は、下側外壁パネル20Aの意匠面24Aにおいて風等により水が吹き上がった場合であっても、防水水切り部材30Bによって建物上方側への水の侵入を防止することができる。このように、化粧胴差30を役割毎に別部品化することにより、それぞれの役割を満足しつつ各部品を小型化することができる。
【0064】
具体的には、第1実施形態の化粧胴差30においては、防水シート50は、意匠水切り部材30Aと共に建物本体としての横フレーム16に固定されており、下端部50Bは、下側外壁パネル20Aと上側外壁パネル20Bとの間に形成される間隙S内に位置している。すなわち、防水シート50の下端部50Bは下側外壁パネル20Aの建物外方側には露出していない。そのため、隠す必要のある防水シート50の建物上下方向の幅を一例として1/3程度小さくすることができる。これにより、図2に示されるように、意匠水切り部材30Aの下壁部32Cの上端から防水水切り部材30Bの下壁部34Cの下端部までの幅H1を従来の化粧胴差130の幅H(図6参照)よりも小さくすることができるので、意匠機能と防水機能の両方を有しつつ、見え掛かり部の小型化を実現することができる。
【0065】
また、第1実施形態の化粧胴差30においては、図2に示されるように、防水水切り部材30Bの上壁部34Aの建物内方側面に不燃部36が設けられているので、間隙Sにおいて外壁パネル20の建物内方側面よりも内方側に不燃部36を位置させることができる。これにより、化粧胴差30の建物内外方向の幅を従来の幅T(図6参照)と比較して小さくすることができる。
【0066】
また、第1実施形態の化粧胴差30においては、防水シート50の下端部50Bを下側外壁パネル20Aの建物外方側の表面に貼り付けないので、意匠面材24を削り取ることにより、平坦面を形成する必要がない。そのため、上側外壁パネル20Bと下側外壁パネル20Aとは、共通の外壁パネル20を使用することができる。
【0067】
また、第1実施形態の化粧胴差30においては、意匠水切り部材30Aと共に防水シート50もタッピングビス19により横フレーム16に固定されるので、防水シート50の貼り付け面である防水水切り部材30Bへの密着性を向上させることができる。
【0068】
また、第1実施形態の化粧胴差30においては、外壁パネル20の意匠面24A側において、意匠水切り部材30Aと防水水切り部材30Bとの間に防水シート50から浸み込んだ水を排出する排水路として第2排水路W2を有している。そのため、例えば、僅かながらであっても防水シート50のタッピングビス19により固定された箇所等から水が浸み込んだ場合に、浸み込んだ水を第2排水路W2から排出することができる。
【0069】
また、第1実施形態の化粧胴差30においては、防水水切り部材30Bに止水材としての止水部38が一体的に設けられているので、従来、下側外壁パネル120Aの小口面に貼り付けられていた止水テープ138を削減することができる。
【0070】
また、意匠水切り部材30Aの下壁部32C及び防水水切り部材30Bの下壁部34Cには各々折返し部32D、34Dが設けられていることから、意匠水切り部材30A及び防水水切り部材30Bの剛性が向上される。したがって、意匠水切り部材30A及び防水水切り部材30Bの変形を抑制することができる。
【0071】
さらに、意匠水切り部材30Aの下壁部32C及び防水水切り部材30Bの下壁部34Cには各々折返し部32D、34Dが設けられていることで、建物外方側から意匠水切り部材30A及び防水水切り部材30Bを見上げた際に、間隙Sが見え難くなる。つまり、外観品質を向上させることができる。
【0072】
さらにまた、化粧胴差30は、防水水切り部材30Bの下壁部34Cには折返し部34Dが設けられていることから、風に煽られることで意匠面材24の意匠面24Aに沿って水が建物上方側へと流れた場合、すなわち水が吹き上がった場合であっても、この折返し部34Dによってそれ以上の建物上方側への流れが抑制される。また、万が一、水が浸入した場合でも、防水水切り部材30Bには止水材としての止水部38が一体的に設けられていることから、水はすぐに建物内部へ浸入しない。したがって、建物上方側へと流れる水が建物内部へと浸入するのを抑制することができる。
【0073】
また、化粧胴差30は、意匠水切り部材30Aの下壁部32Cと防水水切り部材30Bの下壁部34Cの建物外側面は、略同一面上に位置するように形成されていることから、すっきりとした建物外観とすることができる。
【0074】
また、第1実施形態の建物10は、上記化粧胴差30を備えているので、化粧胴差30における作用を享受することができる。
【0075】
なお、上記第1実施形態においては、意匠水切り部材30Aの下壁部32Cと防水水切り部材30Bの下壁部34Cの建物外側面は、略同一面上に位置するように配置されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、防水水切り部材30Bの下壁部34Cの建物外側面が意匠水切り部材30Aの下壁部32Cの建物外側面よりも多少突出していてもよいし、多少引っ込んでいてもよい。
【0076】
<第2実施形態>
以下、図4及び図5を用いて、第2実施形態に係る化粧胴差60について説明する。図4には、第2実施形態に係る化粧胴差60を含む外壁パネル20付近の縦断面図、図5図4の化粧胴差60付近の分解拡大横断面図である。なお、各図において、上記第1実施形態と同様の構成については同符号で示して詳細な説明は省略する。また、図5において、図4で示されている意匠面材24及び横フレーム16等の図示は省略されている。第2実施形態の化粧胴差60は第1実刑形態の建物10と同様の構成の建物10Aに適用される。
【0077】
図4及び図5に示されるように、化粧胴差60は、横目地の半分以上を目隠しする意匠水切り部材60Aと、意匠水切り部材60Aの下側に位置し、外壁パネル20の意匠面24Aにおいて水の吹き上がりに対して防水機能を有する防水水切り部材60Bとを備えている。
【0078】
意匠水切り部材60Aは、一例として、複合樹脂、窯業系の材料等の板材により長尺状に形成されており、建物10Aの外観に合わせた色で構成されている。建物10Aの美観を引き立てるために様々な意匠が凝らされている。意匠水切り部材60Aは、水切り本体部62と、不燃部64とを備えている。水切り本体部62は、上側外壁パネル20Bの外壁面材22の下端部22B側に配設される上端から建物下方側へ延設された上壁部62Aと、上壁部62Aの下端から建物外方側に向かって延設される水平壁部62Bと、を有している。上壁部62Aには、板厚方向に貫通形成された取付孔62Dが形成されている。この取付孔62Dは、意匠水切り部材60Aの長手方向に間隔を空けて複数形成されている。
【0079】
また、水切り本体部62は、水平壁部62Bの建物外方側端部から建物下方側へ延設された下壁部62Cを有している。下壁部62Cは、建物上下方向の中央よりも下側において建物内方側に略水平に延設された水平部62Eと、水平部62Eの建物内方側の端部から建物上方側に略垂直に延設された垂直部62Fとを有している。本実施形態においては、水平部62Eと垂直部62Fとにより後述する係合部80Bが係合される被係合部80Aが構成されている。
【0080】
不燃部64は、水切り本体部62の水平壁部62Bの建物下方側であって、下壁部62Cの建物内方側の被係合部80Aよりも建物上方側に配設されており、一例としてロックウール又はグラスウール等の無機繊維材料で形成されている。なお、不燃部36は、ウレタンフォームやフェノールフォームなどの樹脂発泡体であってもよいし、石膏ボードや珪酸カルシウムボードなどの板材と、無機繊維材料又は樹脂発泡体とを組み合わせた複合材であってもよい。
【0081】
防水水切り部材60Bは、板金部材により構成されており、下側外壁パネル20Aの外壁面材22の上端部22A側に配設される上端から建物下方側へ延設された上壁部66Aと、上壁部66Aの下端から建物外方側に向かって斜め下方に延設される中間壁部66Bと、を有している。また、防水水切り部材60Bは、中間壁部66Bの下端から建物下方側へ延設された下壁部66Cを有している。
【0082】
また、防水水切り部材60Bは、上壁部66Aの上端から建物外方側に向かって略水平に延設され水平部66Dと、水平部66Dの建物外方側の端部から建物下方側に略垂直に延設された垂直部66Eとを有している。なお、意匠水切り部材60Aの垂直部62Fは、防水水切り部材60Bの垂直部66Eよりも長く形成されている。本実施形態においては、水平部66Dと垂直部66Eとにより被係合部80Aに係合する係合部80Bが構成されている。そして、被係合部80Aと係合部Bにより係合手段80が構成される。
【0083】
また、化粧胴差60には、上述した第1実施形態の防水シート50と同様の素材により構成された防水シート70が取り付けられる。図4及び図5に示されるように、防水シート70は、上端部70Aの一面が上側外壁パネル20Bの外壁面材22の下端部22Bの背面に、上端部70Aの他面が横フレーム16の外側縦壁部16Aの建物外方側面に、それぞれ例えばブチルテープ等の防水機能を有する両面テープ72により取り付けられている。また、防水シート70は、図4に示されるように、下端部70Bが防水水切り部材60Bの上壁部66Aの背面(建物内方側面)と下側外壁パネル20Aの外壁面材22の表面(建物外方側面)との間に延設されている。図5に示されるように、防水シート70は、下端部70Bの建物内方側面に両面テープ72が貼り付けられて、図4に示されるように、外壁面材22の表面(建物外方側面)に貼り付けられる。
【0084】
また、防水シート70の上端部70Aにおける意匠水切り部材60Aの取付孔62D、及び横フレーム16の挿通孔16Dに対応した位置には、貫通孔(図示省略)が形成されている。
【0085】
次に、化粧胴差60の取付方法について説明する。図5に示されるように、防水シート70は、上端部70Aを上側外壁パネル20Bの外壁面材22の下端部22Bの背面(建物内方側面)に取り付け、下端部70Bを下側外壁パネル20Aの外壁面材22の表面(建物外方側面)に取り付けておく。そして、意匠水切り部材60Aの被係合部80Aに防水水切り部材60Bの係合部80Bを係合させておく。
【0086】
意匠水切り部材60Aの上壁部62Aに形成された取付孔62Dを、防水シート50の貫通孔、及び横フレーム16の挿通孔16Dに位置合わせした状態で、意匠水切り部材70Aの建物外方側から、意匠水切り部材60Aの取付孔62D、防水シート50の貫通孔、横フレーム16の挿通孔16Dの順にタッピングビス19を挿通して締結する。これにより、意匠水切り部材60A及び防水シート70が横フレーム16に固定される。
【0087】
図4に示されるように、防水シート70は、横フレーム16に固定された状態においては、上端部70Aが上側外壁パネル20Bの外壁面材22の下端部22Bの背面(建物内方側面)と横フレーム16の外側縦壁部16Aの建物外方側面との間に固定され、下端部70Bが防水水切り部材60Bの上壁部66Aの建物内側面と下側外壁パネル20Aの外壁面材22の表面(建物外方側面)との間に固定される。
【0088】
また、図4に示されるように、化粧胴差60は、横フレーム16に取り付けられた状態で、意匠水切り部材60Aの下壁部62Cと防水水切り部材60Bの下壁部66Cの建物外側面は、略同一面上に位置するように形成されている。また、化粧胴差60は、意匠水切り部材60Aの下壁部62Cの下端と、防水水切り部材60Bの下壁部66Cの上端との間が間隙D2を有するように形成されている。本実施形態においては、間隙D2は一例として4mm以上とされる。
【0089】
次に、第2実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0090】
第2実施形態の化粧胴差60は、意匠機能を有する意匠水切り部材60Aと、意匠水切り部材60Aとは別部品で構成されて水の吹き上がりに対して防水機能を有する防水水切り部材60Bとを含んでいる。化粧胴差60は、意匠水切り部材60Aによって下側外壁パネル20Aと上側外壁パネル20Bの間の横目地の半分以上を目隠しすることができる。また、化粧胴差60は、下側外壁パネル20Aの意匠面24Aにおいて風等により水が吹き上がった場合であっても、防水水切り部材60Bによって建物上方側への水の侵入を防止することができる。このように、化粧胴差60を役割毎に別部品化することにより、それぞれの役割を満足しつつ各部品を小型化することができる。
【0091】
具体的には、第2実施形態の化粧胴差60においては、防水シート70の下端部70Bは、防水水切り部材60Bによって押さえられている。すなわち、防水シート70の下端部50Bは下側外壁パネル20Aの建物外方側には露出していない。そのため、隠す必要のある防水シート70の建物上下方向の幅を従来と比較して小さくすることができる。これにより、図4に示されるように、意匠水切り部材60Aの下壁部62Cの上端から下端までの幅H2を従来の化粧胴差130の幅H(図6参照)よりも小さくすることができるので、意匠機能と防水機能の両方を有しつつ、見え掛かり部の小型化を実現することができる。
【0092】
また、図4に示されるように、第2実施形態の化粧胴差60によれば、横フレーム16に固定された状態において、上側外壁パネル20Bと防水シート70との間から浸み込んだ水は意匠水切り部材60Aの建物外方側の表面に沿って排出される。
【0093】
また、第2実施形態の化粧胴差60によれば、防水シート70の下端部70Bは、下側外壁パネル20Bの意匠面24Aと防水水切り部材60Bとの間に延設されるので、防水水切り部材60Bによって下側外壁パネル20Bの意匠面24A側に防水シート70の下端部70Bを押さえることが可能となる。これにより、防水シート70の下側外壁パネル20Bの意匠面24Aへの密着性を向上させることができる。
【0094】
また、第2実施形態の化粧胴差60において、意匠水切り部材60A及び防水水切り部材60Bは、相互して係合する係合手段80を備えているので、係合手段80により意匠水切り部材60A及び防水水切り部材60Bとを相互して係合することで意匠水切り部材60A及び防水水切り部材60Bを一体化することができる。
【0095】
また、第2実施形態の化粧胴差60の防水水切り部材60Bは、板金部材により構成されている。
【0096】
図6に示されるように、従来の化粧胴差130は、意匠面を有する面材と、防水シート150を下側外壁パネル120A側に押さえるように配設された防火のための不燃材とを備えているので、建物内外方向の厚みが厚くなる。第2実施形態の化粧胴差60の防水水切り部材60Bは、板金部材により構成されているので、厚みを抑えることができる。防水シート70は、防水水切り部材60Bにより下側外壁パネル20A側に押さえられるので、意匠水切り部材60Aは防水シート70を下側外壁パネル20A側に押さえる必要がない。このため、意匠水切り部材60Aは、上下に隣接する外壁パネル20の横目地に不燃材を配設すればよいので、外壁パネル20の基準線(一例として、化粧面材の建物内外方向の中央)から意匠面24Aまでの厚さを従来と比較して薄くすることができる。このように防水水切り部材60Aと意匠水切り部材60Bの両方の厚さを薄くすることができる。
【0097】
また、防水水切り部材60Bの上壁部66Aの建物内方側面全体で防水シート70を押さえることができるので、密着性を向上させることができる。
【0098】
また、第2実施形態の建物10Aは、上記化粧胴差60を備えているので、化粧胴差60における作用を享受することができる。
【0099】
なお、第2実施形態においては、係合手段80として、図5に示されるような断面コの字形状の被係合部80A及び係合部80Bを採用したが、本発明はこれに限定されない。被係合部80Aと係合部80Bとを相互に係合することができれば、例えば凹凸形状であってもよいし、形状は適宜変更することができる。
【0100】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0101】
10 建物
10A 建物
20 外壁パネル
20A 下側外壁パネル(外壁パネル)
20B 上側外壁パネル(外壁パネル)
21 小口面
30 化粧胴差
30A 意匠水切り部材
30B 防水水切り部材
38 止水部(止水材)
50 防水シート
50A 上端部
50B 下端部
60 化粧胴差
60A 意匠水切り部材
60B 防水水切り部材
70 防水シート
80 係合手段
W2 第2排水路(排水路)
図1
図2
図3
図4
図5
図6