(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079463
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】非接触式情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20230601BHJP
G06K 7/00 20060101ALI20230601BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20230601BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20230601BHJP
G06F 3/048 20130101ALI20230601BHJP
【FI】
G06K7/10 152
G06K7/10 232
G06K7/00 004
G06K7/14 017
G06K7/10 264
G06F3/042 483
G06F3/048
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192947
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】塩見 寿朗
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA11
5E555AA25
5E555BA01
5E555BB01
5E555BC16
5E555CA41
5E555CA42
5E555CB33
5E555CB48
5E555DA11
5E555DB53
5E555DC13
5E555DD06
5E555EA09
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】非接触式のICカード等の通信対象物と非接触かつ手動で情報の通信を行うための非接触式情報処理装置において、通信用のアンテナの配置位置をユーザに容易に知らせることが可能で、かつ、アンテナにかざされた物体が正規の通信対象物であるのか否かを認識することが可能な非接触式情報処理装置を提供する。
【解決手段】非接触式情報処理装置1は、通信用のアンテナ6と、空中像が表示される領域である空中像表示領域Rにかざされる物体の大きさを検知するための検知機構4とを備えている。画像を空間に投射することで空中像として結像させる空中結像機構は、アンテナ6が配置されていることを示すためのマークMを空中像表示領域Rに表示する。制御部9は、検知機構4の検知結果に基づいて空中像表示領域Rにかざされた物体が所定の大きさであることを認識すると、アンテナ6を用いた通信を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信対象物と非接触かつ手動で情報の通信を行うための非接触式情報処理装置において、
画像を表示する表示面を有する表示機構と、前記表示面に表示される画像を空間に投射することで空中像として結像させる空中結像機構と、前記空中像が表示される領域である空中像表示領域において前記非接触式情報処理装置のユーザの指先の位置を検知するとともに前記空中像表示領域にかざされる物体の大きさを検知するための検知機構と、前記通信対象物と非接触で情報の通信を行うための通信用のアンテナと、前記非接触式情報処理装置を制御するための制御部とを備え、
前記表示機構は、前記アンテナが配置されていることを示すための所定のマークを前記表示面に表示し、
前記空中結像機構は、前記表示面に表示された前記マークを前記空中像として前記空中像表示領域に表示し、
前記制御部は、前記検知機構の検知結果に基づいて前記空中像表示領域にかざされた前記物体が所定の大きさであることを認識すると、前記アンテナを用いた情報の通信を行うことを特徴とする非接触式情報処理装置。
【請求項2】
前記アンテナは、環状に形成され、前記空中像表示領域を囲むように前記空中像表示領域の外周側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の非接触式情報処理装置。
【請求項3】
二次元コードを読み取るための二次元コード読取機構を備え、
前記二次元コード読取機構は、前記空中像表示領域の周囲に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の非接触式情報処理装置。
【請求項4】
前記検知機構は、前記空中像表示領域を挟むように配置される発光部および受光部を有する透過型の光学式センサであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の非接触式情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式のICカードやスマートフォン等の通信対象物と非接触かつ手動で情報の通信を行うための非接触式情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非接触式のICカードと非接触で情報の通信を行うための非接触式のICカードリーダが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のICカードリーダは、ATM(Automated Teller Machine)等の所定の上位装置に搭載されて使用される。このICカードリーダは、環状に形成される通信用のアンテナと、アンテナが実装される基板とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、非接触式のICカードやスマートフォン等の通信対象物と非接触かつ手動で情報の通信を行うための非接触式情報処理装置を開発している。この非接触式情報処理装置は、特許文献1に記載のICカードリーダと同様に、環状に形成される通信用のアンテナを備えている。
【0005】
この非接触式情報処理装置では、ユーザが手に持っている通信対象物をアンテナにかざして非接触式情報処理装置と通信対象物との間で情報の通信を行う必要があるため、アンテナの配置位置をユーザに容易に知らせることが可能であることが好ましい。また、この非接触式情報処理装置では、アンテナにかざされた物体が正規の通信対象物であるのか否かを認識することが可能であることが好ましい。
【0006】
そこで、本発明の課題は、非接触式のICカードやスマートフォン等の通信対象物と非接触かつ手動で情報の通信を行うための非接触式情報処理装置において、通信用のアンテナの配置位置をユーザに容易に知らせることが可能で、かつ、アンテナにかざされた物体が正規の通信対象物であるのか否かを認識することが可能な非接触式情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様の非接触式情報処理装置は、通信対象物と非接触かつ手動で情報の通信を行うための非接触式情報処理装置において、画像を表示する表示面を有する表示機構と、表示面に表示される画像を空間に投射することで空中像として結像させる空中結像機構と、空中像が表示される領域である空中像表示領域において非接触式情報処理装置のユーザの指先の位置を検知するとともに空中像表示領域にかざされる物体の大きさを検知するための検知機構と、通信対象物と非接触で情報の通信を行うための通信用のアンテナと、非接触式情報処理装置を制御するための制御部とを備え、表示機構は、アンテナが配置されていることを示すための所定のマークを表示面に表示し、空中結像機構は、表示面に表示されたマークを空中像として空中像表示領域に表示し、制御部は、検知機構の検知結果に基づいて空中像表示領域にかざされた物体が所定の大きさであることを認識すると、アンテナを用いた情報の通信を行うことを特徴とする。
【0008】
本態様において、たとえば、アンテナは、環状に形成され、空中像表示領域を囲むように空中像表示領域の外周側に配置されている。
【0009】
本態様の非接触式情報処理装置では、表示機構は、アンテナが配置されていることを示すための所定のマークを表示面に表示し、空中結像機構は、表示面に表示されたマークを空中像として空中像表示領域に表示する。そのため、本態様では、空中像表示領域に表示されるマーク(ロゴ)を用いてアンテナの配置位置をユーザに容易に知らせることが可能になる。また、本態様では、空中像表示領域に表示されるマークを目印にしてユーザが意図的に通信対象物をかざすことが可能になるため、ユーザが望んでいる処理を非接触式情報処理装置に行わせることが可能になる。
【0010】
また、本態様の非接触式情報処理装置は、空中像表示領域において非接触式情報処理装置のユーザの指先の位置を検知するとともに空中像表示領域にかざされる物体の大きさを検知するための検知機構を備えている。そのため、本態様では、非接触式情報処理装置は、検知機構の検知結果に基づいて特定される物体の大きさに基づいて、アンテナにかざされた物体が正規の通信対象物であるのか否かを認識することが可能になる。
【0011】
また、本態様では、制御部は、検知機構の検知結果に基づいて空中像表示領域にかざされた物体が所定の大きさであることを認識すると、アンテナを用いた通信を行っており、空中像表示領域にかざされた物体が所定の大きさではなくて正規の通信対象物でないと判断される場合に、制御部は、アンテナを用いた情報の通信を行わない。そのため、本態様では、非接触式情報処理装置が、正規の通信対象物でない物体に対して無駄な通信を行うのを防止することが可能になる。
【0012】
本態様において、非接触式情報処理装置は、たとえば、二次元コードを読み取るための二次元コード読取機構を備え、二次元コード読取機構は、空中像表示領域の周囲に配置されている。この場合には、ユーザは、たとえば、通信対象物に表示される二次元コードを、空中像表示領域の周囲に配置される二次元コード読取機構に意図的にかざすことが可能になるため、ユーザが望んでいる処理を非接触式情報処理装置に行わせることが可能になる。
【0013】
本態様において、検知機構は、空中像表示領域を挟むように配置される発光部および受光部を有する透過型の光学式センサであることが好ましい。本願発明者の検討によれば、このように構成すると、検知機構によって、空中像表示領域にかざされる物体の大きさをより精度良く検知することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明では、非接触式のICカードやスマートフォン等の通信対象物と非接触かつ手動で情報の通信を行うための非接触式情報処理装置において、通信用のアンテナの配置位置をユーザに容易に知らせることが可能になるとともに、非接触式情報処理装置は、アンテナにかざされた物体が正規の通信対象物であるのか否かを認識することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる非接触式情報処理装置の構成を説明するための概略図である。
【
図2】
図1に示す非接触式情報処理装置で使用される空中像表示装置の構成を説明するための概略図である。
【
図3】
図1に示す空中像表示領域に表示される空中像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(非接触式情報処理装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる非接触式情報処理装置1の構成を説明するための概略図である。
図2は、
図1に示す非接触式情報処理装置1で使用される空中像表示装置3の構成を説明するための概略図である。
図3は、
図1に示す空中像表示領域Rに表示される空中像の一例を示す図である。
【0018】
本形態の非接触式情報処理装置1(以下、「情報処理装置1」とする。)は、通信対象物2と非接触かつ手動で情報の通信を行うための装置である。本形態の通信対象物2は、非接触式のICカードまたはスマートフォンである。通信対象物2には、ICチップと、ICチップに電気的に接続される通信用のアンテナとが内蔵されている。以下の説明では、通信対象物2である非接触式のICカードと通信対象物2であるスマートフォンとを区別して表す場合には、非接触式のICカードを「カード2A」とし、スマートフォンを「スマホ2B」とする。なお、カード2Aは、国際規格およびJIS規格に準拠するカードであり、カード2Aは、スマホ2Bよりも小さくなっている。
【0019】
本形態の情報処理装置1は、具体的には、キャッシュレス決済を行うための決済端末機である。情報処理装置1は、通信対象物2(具体的には、カード2Aおよびスマホ2B)と非接触で情報の通信を行うための情報通信機能と、スマホ2Bの画面に表示されたQRコード(登録商標)等の二次元コードを読み取るための二次元コード読取機能と、ユーザの指先を用いて暗証番号を入力するための情報入力機能とを備えている。
【0020】
情報処理装置1は、三次元空間に空中像を表示する空中像表示装置3と、空中像が表示される領域である空中像表示領域Rにおいてユーザの指先の位置を検知するための検知機構4と、空中像表示装置3および検知機構4が収容される筐体5と、通信対象物2と非接触で情報の通信を行うための通信用のアンテナ6と、アンテナ6が実装される環状の基板7と、二次元コードを読み取るための二次元コード読取機構8とを備えている。また、情報処理装置1は、情報処理装置1を制御するための制御部9を備えている。なお、
図1では、空中像表示装置3の図示を省略している。また、
図1(A)では、アンテナ6および基板7の図示を省略し、
図1(B)では、検知機構4の図示を省略している。
【0021】
空中像表示装置3は、画像を表示する表示面11aを有する表示機構11と、表示面11aに表示される画像を空間に投射することで空中像として結像させる空中結像機構12とを備えている。表示機構11および空中結像機構12は、筐体5に収容されている。空中結像機構12は、ビームスプリッタ13と、再帰性反射材14とを備えている。以下の説明では、上下方向(鉛直方向)に直交する
図2のY方向を左右方向とし、上下方向と左右方向とに直交する方向を前後方向とする。また、前後方向の一方側である
図2のX1方向側を「前」側とし、その反対側である
図2のX2方向側を「後ろ」側とする。本形態では、情報処理装置1の前側に立つユーザが情報処理装置1の前面側でキャッシュレス決済を行うための操作を行う。
【0022】
表示機構11は、たとえば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイであり、表示面11aは、ディスプレイの画面である。表示機構11は、制御部9に電気的に接続されている。表示面11aは、斜め前下側を向いている。ビームスプリッタ13は、平板状に形成されている。ビームスプリッタ13は、表示機構11の前側に配置されている。ビームスプリッタ13は、表示面11aから射出された光の一部を反射する。すなわち、ビームスプリッタ13の一方の面は、表示面11aから射出された光の一部を反射する反射面13aとなっている。反射面13aは、斜め後ろ下側を向いている。
【0023】
再帰性反射材14は、平板状に形成されている。再帰性反射材14は、表示機構11の下側に配置されるとともにビームスプリッタ13の後ろ側に配置されている。再帰性反射材14には、ビームスプリッタ13で反射した光が入射する。再帰性反射材14は、入射した光をビームスプリッタ13に向かって入射方向と同じ方向へ反射する。すなわち、再帰性反射材14の一方の面は、ビームスプリッタ13で反射した光が入射するとともに入射した光をビームスプリッタ13に向かって入射方向と同じ方向へ反射する再帰反射面14aとなっている。再帰反射面14aには、1/4波長板が取り付けられている。再帰反射面14aは、斜め前上側を向いている。
【0024】
表示機構11の表示面11aから射出された光の一部は、ビームスプリッタ13の反射面13aで反射して、再帰性反射材14の再帰反射面14aに入射する。反射面13aで反射した光は、斜め後ろ下側に向かう。再帰反射面14aに入射した光は、再帰反射面14aへの光の入射方向と同じ方向に反射する。再帰反射面14aで反射した光は、斜め前上側に向かい、ビームスプリッタ13を透過する。本形態では、表示面11aから射出される光の光軸L1と、ビームスプリッタ13で反射した光の光軸L2とが直交している。また、再帰性反射材14で反射した光の光軸は、光軸L2と一致している。
【0025】
ビームスプリッタ13を透過した光によって、空中像表示領域Rに空中像が形成される。空中像表示領域Rは、ビームスプリッタ13の斜め前上側に配置されている。空中像表示領域Rに形成される空中像は、情報処理装置1の前側に立つユーザに、前側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜している画像として認識される。
【0026】
筐体5は、たとえば、直方体の箱状に形成されている。筐体5は、樹脂で形成されている。筐体5は、空中像表示領域Rを囲む枠体17を備えている。枠体17は、長方形または正方形の枠状に形成されるとともに平板状に形成されている。枠体17は、筐体5の前上側の面を構成している。平板状に形成される枠体17は、前側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜している。
【0027】
枠体17の内周側は、筐体5の内部に通じる開口部17aとなっている。開口部17aは、長方形状または正方形状に形成されている。開口部17aの大きさは、通信対象物2の大きさよりも大きくなっている。すなわち、開口部17aの大きさは、カード2Aおよびスマホ2Bの大きさよりも大きくなっている。空中像表示領域Rは、開口部17aの中に形成される。空中像表示領域Rは、ユーザが指先を用いて暗証番号を入力するための入力部18となっている。
【0028】
検知機構4は、筐体5に収容されている。検知機構4は、制御部9に電気的に接続されている。検知機構4は、上述のように、空中像表示領域Rにおいてユーザの指先の位置を検知する。すなわち、入力部18は、検知機構4の検知範囲に含まれている。また、検知機構4は、空中像表示領域Rにおいて空中像表示領域Rにかざされる物体の大きさを検知する機能も果たしており、空中像表示領域Rにかざされる通信対象物2の大きさを検知する。
【0029】
検知機構4は、光学式のセンサである。具体的には、検知機構4は、赤外線センサである。また、検知機構4は、ラインセンサである。本形態の検知機構4は、第1検知機構20と第2検知機構21とによって構成されている。第1検知機構20は、左右方向において空中像表示領域Rを挟むように配置される発光部22および受光部23を有する透過型の光学式センサである。第2検知機構21は、光軸L2に直交するとともに左右方向に直交する方向において空中像表示領域Rを挟むように配置される発光部24および受光部25とを有する透過型の光学式センサである。すなわち、検知機構4は、透過型の光学式センサである。
【0030】
発光部22は、光軸L2に直交するとともに左右方向に直交する方向に配列される複数の発光素子を備え、受光部23は、光軸L2に直交するとともに左右方向に直交する方向に配列される複数の受光素子を備えている。発光部24は、左右方向に直交する方向に配列される複数の発光素子を備え、受光部25は、左右方向に配列される複数の受光素子を備えている。発光部22、24の発光素子は、赤外光を射出する。受光部23、25の受光素子には、発光部22、24の発光素子から射出された赤外光が入射する。発光部22、24および受光部23、25は、開口部17aの側方に配置されている。
【0031】
空中像表示領域Rを含む所定の領域(すなわち、入力部18を含む所定の領域)にユーザの指先が配置されると、受光部23、25が有する複数の受光素子のうちの特定の受光素子に赤外光が入射しなくなる。そのため、検知機構4によって、空中像表示領域Rを含む所定の領域においてユーザの指先の位置が検知される。また、空中像表示領域Rを含む所定の領域に物体がかざされると、受光部23、25が有する複数の受光素子のうちの特定の範囲に配置される受光素子に赤外光が入射しなくなる。そのため、検知機構4によって、空中像表示領域Rを含む所定の領域において空中像表示領域Rにかざされる物体の大きさが検知される。
【0032】
基板7は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板またはフレキシブルプリント基板である。基板7は、長方形または正方形の枠状に形成されている。基板7の内周側は、長方形状または正方形状の貫通穴7aとなっている。アンテナ6は、コイルが環状に巻回されることで形成されたアンテナコイル(ループアンテナ)である。アンテナ6は、長方形または正方形の環状に形成されており、貫通穴7aを囲むように基板7に実装されている。基板7には、たとえば、アンテナ6が接続されるアンテナ回路等が実装されている。基板7は、制御部9に電気的に接続されている。すなわち、アンテナ6は、制御部9に電気的に接続されている。
【0033】
基板7は、枠体17の後ろ下側の面に固定されている。貫通穴7aは、開口部17aよりも大きくなっており、基板7は、開口部17aよりも外周側に配置されている。貫通穴7aの中には、空中像表示領域Rが形成される。すなわち、基板7の内周側には、空中像表示領域Rが形成される。また、貫通穴7aを囲むように基板7に実装されるアンテナ6は、空中像表示領域Rを囲むように空中像表示領域Rの外周側に配置されている。
【0034】
二次元コード読取機構8は、たとえば、レンズおよび撮像素子等を有するカメラである。二次元コード読取機構8は、筐体5に収容されている。二次元コード読取機構8は、制御部9に電気的に接続されている。二次元コード読取機構8は、開口部17aの周囲に配置されている。すなわち、二次元コード読取機構8は、開口部17aの中に形成される空中像表示領域Rの周囲(周辺)に配置されている。たとえば、二次元コード読取機構8は、開口部17aの前下側に配置されており、空中像表示領域Rの前下側に配置されている。枠体17には、二次元コード読取機構8のレンズを露出させるための貫通穴17bが形成されている。
【0035】
情報処理装置1では、通常、ユーザが空中像表示領域Rに通信対象物2をかざすことで、情報処理装置1と通信対象物2との間において非接触で情報の通信を行うことが可能になっている。また、情報処理装置1では、通常、スマホ2Bの画面に表示された二次元コードをユーザが二次元コード読取機構8にかざすことで、二次元コード読取機構8によって二次元コードを読み取ることが可能になっている。
【0036】
このときには、表示機構11は、アンテナ6が配置されていることを示すための所定のマークMを表示面11aに表示する。具体的には、表示機構11は、アンテナ6の配置位置(より具体的には、アンテナ6の中心位置)を示すためのマークMを表示面11aに表示する。空中結像機構12は、表示面11aに表示されたマークMを空中像として空中像表示領域Rに表示する(
図1(A)参照)。マークMは、たとえば、国際規格であるEMVで規定されたロゴマーク(リップルマーク)である。
【0037】
ユーザは、空中像表示領域Rに表示されたマークMを目印にして、空中像表示領域Rに通信対象物2をかざす。上述のように、検知機構4は、空中像表示領域Rにかざされた物体の大きさを検知する。制御部9は、検知機構4の検知結果に基づいて空中像表示領域Rにかざされた物体が所定の大きさであることを認識すると、アンテナ6を用いた情報の通信を行う。
【0038】
具体的には、たとえば、空中像表示領域Rにかざされて検知機構4によって検知される物体の大きさがカード2Aの大きさ以上であって、かつ、スマホ2Bの大きさ以下である場合には、空中像表示領域Rにかざされた物体が通信対象物2であると想定されるため(すなわち、カード2Aまたはスマホ2Bであると想定されるため)、制御部9は、検知機構4の検知結果に基づいて空中像表示領域Rにかざされた物体がカード2A以上の大きさであって、かつ、スマホ2B以下の大きさであることを認識すると、アンテナ6を用いた情報の通信を開始して、情報処理装置1と通信対象物2との間で情報の通信を行う。また、制御部9は、スマホ2Bの画面に表示された二次元コードが二次元コード読取機構8にかざされると、二次元コード読取機構8に二次元コードを読み取らせる。
【0039】
また、情報処理装置1では、必要に応じて暗証番号の入力が可能になる。たとえば、情報処理装置1では、情報処理装置1と通信対象物2との通信が終了すると、必要に応じて、入力部18において指先を用いて暗証番号を入力することが可能になる。このときには、表示機構11は、たとえば、暗証番号を入力するためのキーパッドを表示面11aに表示し、空中結像機構12は、表示面11aに表示されたキーパッドを空中像として空中像表示領域Rに表示する(
図3参照)。
【0040】
ユーザは、空中像表示領域Rに表示されるキーパッドを利用して暗証番号を入力する。具体的には、ユーザは、空中像表示領域Rに表示されたキーパッドの中の所定のキー(数字)の位置に指先を順次移動させることで、暗証番号を入力する。すなわち、ユーザは、入力部18で指先を順次移動させて、暗証番号を入力する。入力部18で入力された暗証番号は、検知機構4の検知結果に基づいて制御部9で認識される。
【0041】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、アンテナ6は、空中像表示領域Rを囲むように空中像表示領域Rの外周側に配置されている。また、本形態では、通常、アンテナ6の配置位置を示すためのマークMが空中像表示領域Rに表示されている。そのため、本形態では、空中像表示領域Rに表示されるマークMを用いてアンテナ6の配置位置をユーザに容易に知らせることが可能になる。また、本形態では、空中像表示領域Rに表示されるマークMを目印にしてユーザが意図的に通信対象物2をかざすことが可能になるため、ユーザが望んでいる処理を情報処理装置1に行わせることが可能になる。
【0042】
本形態では、検知機構4は、空中像表示領域Rにおいて空中像表示領域Rにかざされる物体の大きさを検知する機能を果たしている。そのため、本形態では、情報処理装置1は、検知機構4の検知結果に基づいて特定される物体の大きさに基づいて、空中像表示領域Rにかざされた物体が正規の通信対象物2であるのか否かを認識することが可能になる。すなわち、本形態では、情報処理装置1は、検知機構4の検知結果に基づいて特定される物体の大きさに基づいて、空中像表示領域Rを囲むように配置されるアンテナ6にかざされた物体が正規の通信対象物2であるのか否かを認識することが可能になる。
【0043】
本形態では、制御部9は、検知機構4の検知結果に基づいて、たとえば、空中像表示領域Rにかざされた物体の大きさがカード2Aの大きさ以上であって、かつ、スマホ2Bの大きさ以下であることを認識すると、アンテナ6を用いた情報の通信を行っており、空中像表示領域Rにかざされた物体がこの大きさではなくて正規の通信対象物2でないと判断される場合に、制御部9は、アンテナ6を用いた情報の通信を行わない。そのため、本形態では、情報処理装置1が、正規の通信対象物2でない物体に対して無駄な通信を行うのを防止することが可能になる。
【0044】
本形態では、二次元コード読取機構8が空中像表示領域Rの周囲に配置されており、ユーザは、たとえば、スマホ2Bの画面に表示される二次元コードを、二次元コード読取機構8を目印にして二次元コード読取機構8に意図的にかざすことが可能になっている。そのため、本形態では、ユーザが望んでいる処理を情報処理装置1に行わせることが可能になる。
【0045】
本形態では、検知機構4は、空中像表示領域Rを挟むように配置される発光部22、24および受光部23、25を有する透過型の光学式センサである。そのため、本願発明者の検討によれば、本形態では、検知機構4によって、空中像表示領域Rにかざされる物体の大きさをより精度良く検知することが可能になるとともに、空中像表示領域Rにおいてユーザの指先の位置を精度良く検知することが可能になる。
【0046】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0047】
上述した形態において、第1検知機構20および第2検知機構21は、赤外光を射出する発光部と、発光部から射出されてユーザの指先や空中像表示領域Rにかざされる物体で反射した赤外光が入射する受光部とを備える反射型の光学式センサであっても良い。すなわち、検知機構4は、反射型の光学式センサであっても良い。また、検知機構4は、2台のカメラによって構成されていても良い。また、検知機構4は、静電容量センサであっても良い。
【0048】
上述した形態において、入力部18で暗証番号以外の情報が入力されても良い。たとえば、ユーザの署名(サイン)が入力部18で入力されても良い。また、上述した形態において、二次元コード読取機構8は、空中像表示領域Rの周囲(周辺)ではなく、開口部17aの内側である空中結像機構12の内部に配置されていても良い。さらに、上述した形態において、情報処理装置1は、二次元コード読取機構8を備えていなくても良い。すなわち、情報処理装置1は、二次元コード読取機能を備えていなくても良い。また、情報処理装置1は、情報入力機能を備えていなくても良い。
【0049】
上述した形態において、カード2Aに磁気データが記録されている場合には、情報処理装置1は、カード2Aに記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッドを備えていても良い。また、カード2AにICチップの外部接続端子が形成されている場合には、情報処理装置1は、カード2Aの外部接続端子に接触する複数のIC接点バネを有するIC接点ブロックを備えていても良い。また、上述した形態において、通信対象物2は、カード2Aおよびスマホ2B以外の物であっても良い。たとえば、通信対象物2は、RFIDタグであっても良い。また、本発明が適用される情報処理装置1は、決済端末機以外の装置であっても良い。
【符号の説明】
【0050】
1 情報処理装置(非接触式情報処理装置)
2 通信対象物
2A カード(非接触式のICカード、通信対象物)
2B スマホ(スマートフォン、通信対象物)
4 検知機構
6 アンテナ
8 二次元コード読取機構
9 制御部
11 表示機構
11a 表示面
12 空中結像機構
22、24 発光部
23、25 受光部
M マーク
R 空中像表示領域