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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079538
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】燃料供給システム
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/32 20100101AFI20230601BHJP
   B67D 7/08 20100101ALI20230601BHJP
【FI】
B67D7/32 A
B67D7/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193043
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】門脇 正天
(72)【発明者】
【氏名】戸田 一浩
(72)【発明者】
【氏名】富樫 純一
(72)【発明者】
【氏名】川井田 尚
(72)【発明者】
【氏名】宮本 敏之
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 栄三
(72)【発明者】
【氏名】野澤 健太郎
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA02
3E083AA06
3E083AC21
3E083AD01
3E083AD29
3E083AK10
(57)【要約】
【課題】 監視カメラ等で撮影された画像を用いてコンピュータで燃料の供給に関する情報を解析(判定)した場合における判定結果の信頼度を係員に報知することより、係員による燃料供給に関する確認をより注意深く行うよう促すことができる。
【解決手段】 自動車101の燃料タンクに対する燃料の供給を行う燃料供給システムは、燃料供給所内を撮影する監視カメラ14、顔認証用カメラ15と、監視カメラ14、顔認証用カメラ15によって撮影された画像から燃料タンクに対する燃料の供給に関する異常の有無についての判定を行う判定手段18と、判定手段18による判定結果の信頼度を係員に報知する報知手段24と、を備えている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被燃料供給体に対する燃料の供給を行う燃料供給システムであって、
燃料供給所内を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段によって撮影された画像から前記被燃料供給体に対する燃料の供給に関する情報の判定を行う判定手段と、
前記判定手段による燃料の供給に関する情報としての判定結果の信頼度を係員に報知する報知手段と、を備えた燃料供給システム。
【請求項2】
前記判定手段の判定結果の信頼度に応じて燃料の供給を制御する制御手段を備えており、
前記制御手段は、燃料の供給を許可させるために係員によって操作される操作手段を備えており、
前記制御手段は、前記判定手段の判定結果の信頼度が所定の値よりも高く、かつ前記操作手段が燃料の供給を許可させるために操作された場合に、燃料の供給を許可することを特徴とする請求項1に記載の燃料供給システム。
【請求項3】
前記燃料供給システムは、供給者の顔データが予め記憶された記憶手段を備え、
前記撮影手段は、供給者の顔を撮影する顔認証用カメラであり、
前記判定手段は、前記顔認証用カメラによって撮影された供給者の顔画像データと一致または類似する顔データを前記記憶手段から読み出し、当該読み出された顔データの信頼度を算出してなり、
前記報知手段は、前記判定手段による判定結果の信頼度を係員に報知することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料供給システム。
【請求項4】
前記撮影手段は、前記燃料供給所内を撮影する監視カメラを含むものであり、
前記判定手段は、前記監視カメラによって撮影された撮影画像から燃料の供給に関する異常の有無について判定し、その判定結果の信頼度を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料供給システム。
【請求項5】
前記記憶手段には、顔データに対応付けられて、過去に前記判定手段により判定された燃料の供給に関する情報が記憶されてなり、
前記判定手段は、当該判定手段により判定された燃料の供給に関する情報に応じて信頼度を算出することを特徴とする請求項3に記載の燃料供給システム。
【請求項6】
前記報知手段は、前記判定手段により算出された信頼度と共に、当該判定手段による判定の際に読み出された顔データに対応付けられた前記記憶手段に記憶されている燃料供給に関する情報を報知することを特徴する請求項3または5に記載の燃料供給システム。
【請求項7】
前記撮影手段は、前記燃料供給所内を撮影する監視カメラを含むものであり、
前記判定手段は、前記監視カメラによって撮影された撮影画像から燃料の供給に関する異常の有無について判定すると共に、その判定結果の信頼度を算出してなり、
前記判定手段による過去の異常の有無についての判定結果を記憶する記憶手段と、
前記燃料供給所に来所した供給者を特定する特定手段と、
を備えてなり、
前記報知手段は、前記特定手段により特定された供給者に関する前記記憶手段に記憶されている過去の異常の有無についての判定結果を報知することを特徴とする請求項1に記載の燃料供給システム。
【請求項8】
前記記憶手段に記憶されている前記判定手段による過去の判定結果が異常有りの場合には、燃料の供給を禁止させる制御手段を備えていることを特徴とする請求項7に記載の燃料供給システム。
【請求項9】
前記燃料供給システムは、
係員が操作する操作手段を備えてなり、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されている前記判定手段による過去の判定結果が異常有りの場合、前記操作手段にて操作がなされた場合には、燃料の供給を許可することを特徴する請求項8に記載の燃料供給システム。
【請求項10】
前記撮影手段は、前記燃料供給所に来所した供給者を撮影するカメラを含み、
前記記憶手段は、前記撮影手段により撮影された供給者の画像と当該供給者に関する異常判定手段による判定内容とを関連付けて記憶してなり、
前記特定手段は、前記撮影手段により撮影された供給者の画像と前記記憶手段に記憶されている供給者の画像とを照合することにより、供給者を特定することを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の燃料供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料の供給を行う燃料供給所に適用される燃料供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のような給油システムにおいては、係員は、管理コンピュータのモニタに表示された監視カメラの画像を確認して給油許可信号を送信することにより、計量機による給油を可能とする。ここでの係員による確認作業は、例えば、給油作業者が不審者であるか、給油作業者が危険な行為をしていないか、給油ノズルが給油口に正しく挿入されているか等である。係員は、これらの給油に関する事項(給油情報)に、給油作業者による危険な行為等が行われている等の異常がなければ、給油作業者による給油を許可する。これにより、給油システムは、給油ノズルを用いた給油を行えるようにする。
【0003】
ここで、係員の確認作業には、上述のように確認しなくてはならない項目が多々ある。このため、確認作業を機械的に自動で行えるようにするべく、例えば、給油所内に設けられた監視カメラ等で撮影された画像を用いてコンピュータで給油に関する情報を解析(判定)することにより、確認作業をより確実に行えるようにすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-2895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、監視カメラ等によって撮影された画像は、燃料供給時の天候、監視カメラと給油作業者(供給者)との位置関係等によって給油情報の解析(判定)を行えない場合や、解析結果(判定結果)の信頼度が低下することが考えられる。また、給油作業者が行う燃料の供給手順や動作は、給油作業者によって異なることがあるため、これによっても、解析結果(判定結果)の信頼度が低下することが考えられる。このように、燃料の供給に関する状況を、監視カメラ等で撮影した画像を用いて解析(判定)した場合には、燃料の供給に関する情報を明確に解析(判定)できない可能性がある。また、給油作業者が誰であるのかを顔認証などの画像解析技術を用いて特定し、特定された給油作業者に関する情報から、当該給油作業者による給油を許可するか否かを解析(判定)することも考えられるが、解析(判定)された給油作業者が本人でない場合も考えられ、この場合は、給油作業者と異なった者の情報に基づき、給油を許可するか否かを解析(判定)することとなってしまう。
【0006】
本発明の一実施形態の目的は、監視カメラ等で撮影された画像を用いてコンピュータで燃料供給に関する情報を解析(判定)させた場合の解析結果(判定結果)の信頼度を報知することにより、例えば解析結果(判定結果)の信頼度が低いことを係員に知らしめることにより、係員による燃料供給に関する確認をより注意深く行うよう促すことができるようにした燃料供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被燃料供給体に対する燃料の供給を行う燃料供給システムであって、燃料供給所内を撮影する撮影手段と、前記撮影手段によって撮影された画像から前記被燃料供給体に対する燃料の供給に関する情報の判定を行う判定手段と、前記判定手段による燃料の供給に関する情報としての判定結果の信頼度を係員に報知する報知手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、判定手段による判定結果の信頼度が報知されるため、この信頼度が低い場合には確認作業をより注意深く行わなくてはならないことを係員に促すことができる。この結果、確認作業をより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態による給油システムを模式的に示す全体構成図である。
図2】第1の実施形態による給油システムのシステム構成図である。
図3図2中の通信端末を示す説明図である。
図4】第1の実施形態による給油システムの制御処理を示す流れ図である。
図5図4の給油システムの制御処理に続く流れ図である。
図6】第2の実施形態による給油システムのシステム構成図である。
図7図6中の通信端末を示す説明図である。
図8】第2の実施形態による給油システムの制御処理を示す流れ図である。
図9図8の給油システムの制御処理に続く流れ図である。
図10図8の給油システムの制御処理に続く他の流れ図である。
図11】第3の実施形態による給油システムの制御処理を示す流れ図である。
図12図11の給油システムの制御処理に続く流れ図である。
図13】第3の実施形態による通信端末を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態による燃料供給システムの代表例として、ガソリン、軽油等の燃料を供給する給油所を管理する給油システムを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0011】
図1ないし図5は本発明の第1の実施形態を示している。図1は、燃料供給システムとしての給油システムを実施した給油所を模式的に示している。図1において、給油所内には、1台または複数台の地上設置式の給油機1が設けられている。給油機1は、給油機本体2内に、ポンプモータ3により駆動されるポンプ4、ポンプ4から吐出された燃料の液量を計測する流量計5が収納されている。流量計5の流出側には、内部配管6を介して流動制御のための電磁弁7が設けられている。また、給油機本体2の外部には、内部配管6に接続して給油ホース8が設けられている。給油ホース8先端には、ポンプ4から吐出された燃料を被燃料供給体としての自動車101(図3参照)の燃料タンク(図示せず)に供給する給油ノズル9が設けられている。
【0012】
給油機1において、ポンプ4により汲み上げられた燃料は、流量計5に供給され、その液量が計測される。流量計5には、流量発信器(図示せず)が付設され、流量発信器からは、単位液量毎の燃料の流れに比例した流量パルスが出力される。
【0013】
給油機本体2内には、ポンプ4、流量計5等といった機器に加え、給油機1の各部を制御する給油制御部10が収納されている。給油制御部10は、メモリ、入出力インタフェース等を備えたマイクロコンピュータを含んで構成されている。図2に示すように、給油制御部10には、ノズル掛11に対する給油ノズル9の掛け外しを検出するノズル掛スイッチ12からの検出信号等が入力され、この入力信号に基付いて、給油機1の各部を制御する。
【0014】
具体的には、給油制御部10は、ノズル掛11から給油ノズル9が外されたことをノズル掛スイッチ12が検出し、ノズル掛スイッチ12からの検出信号を受信することでポンプ4の駆動が可能になる。一方、給油制御部10は、ノズル掛11に給油ノズル9が掛けられたことをノズル掛スイッチ12が検出し、ノズル掛スイッチ12からの検出信号を受信することでポンプ4を停止させる。また、給油制御部10は、流量計5からの流量パルスの入力に基づき、給油作業時の燃料の流量を演算して給油量や金額を表示器13に表示する。
【0015】
給油所には、給油機1の周辺を撮影する監視カメラ14、給油作業を行っている供給者としての給油作業者の顔を撮影する顔認証用カメラ15等の撮影手段が設けられている。監視カメラ14、顔認証用カメラ15等(撮影手段)からの画像データは、給油の許可判定を行うための情報として用いられ、給油所監視装置16に送信される。監視カメラ14は、給油機1の周辺を撮影する。顔認証用カメラ15は、給油作業者の顔が見える位置、例えば給油機1の上部等に備えられており、人間の顔を認識したときに判定手段(解析手段)18へ顔を撮影した画像データを送信する等、必要に応じて撮影した画像データを判定手段18へ送信する。
【0016】
給油所監視装置16は、通信端末22と一緒に制御装置を構成している。給油所監視装置16は、モニタ17、判定手段18、記憶手段19、給油許可手段20を備えている。また、給油所監視装置16は、無線装置21を介して通信端末22に相互通信可能に接続されている。これにより、給油所監視装置16のモニタ17と通信端末22のモニタ23とに同じ情報を表示することができる。また、それぞれのモニタ17、23には、後述する判定手段18により算出された燃料の供給に関する異常の有無についての信頼度と共に記憶手段19に記憶されている顔データや給油履歴を報知する報知手段(17A、24)が設けられている。なお、記憶手段19は、給油所内または給油所外のサーバーやクラウド上に有ってもよい。また、給油所以外のサーバーやクラウド上に記憶手段19を配置することによって、一の給油所の情報を他の複数の給油所で共有し、他の給油所における情報を参照(利用)することできる。
【0017】
判定手段18は、監視カメラ14、顔認証用カメラ15等によって撮影された画像から自動車101の燃料タンクに対する給油に関し、正しく給油作業が行われているか、給油に関する情報を判定(解析)する。また、判定手段18は、監視カメラ14、顔認証用カメラ15等で撮影された給油作業者の画像から、当該給油作業者の顔データに一致する顔データが記憶手段19に予め記憶(登録)されている多数の給油作業者のデータの中に存在しているか否か、過去に監視カメラ14により撮影されて記憶手段19に記憶されている給油所内の撮影画像を参照し、正常な給油作業に関するデータとの比較により正しく燃料の供給作業が行われているか否か、等の燃料の供給に関する異常の有無を判断する。この上で、判定手段18は、その異常の有無(給油に関する情報)の判定結果(解析結果)の信頼度(類似度、確度)を算出する。ここで、燃料の供給に関する異常とは、給油作業者が記憶手段19に登録されていない不審者である、燃料タンクの給油口に対する給油ノズル9の挿入が浅い、給油機1の給油ホース8が捩れていたり損傷したりしている、ライターを使用しようとしている、喫煙している等が挙げられる。
【0018】
また、本実施形態の判定手段18は、顔認証用カメラ15によって撮影された給油作業者の顔の画像と過去に撮影されて記憶手段19に予め登録(保存)された給油作業者の顔データとを照合し、一致した顔データ及び類似する顔データ(具体的には顔の輪郭や目の形等の特徴となる点が一致している箇所が多い顔データ)に関連する情報を記憶手段19から読み出す(給油作業者を特定する)。ここで、記憶手段19には、給油作業者の顔データに対応する情報として、氏名や当該給油作業者による前回まで(過去)の給油作業における判定手段18により判定された異常の有無や給油履歴(給油年月日・給油油種・給油量等)、また、判定手段18により異常の有無を判定した際に、利用されたカメラの撮影画像データが記憶として蓄積されている。そして、例えば、判定手段18は、給油作業者がセルフ給油の初心者(例えば前回の給油から1年以上経過しているか否かによって判断)で困っていないか、過去に問題を起こした人物(前回の給油において、異常な給油作業を行った人物であるか否かで判断)ではないか、等の給油に関する情報としての判定結果(解析結果)の信頼度(給油作業者の信頼度)を報知手段17A、24を介して係員に報知する。
【0019】
ここでの信頼度の具体的な算出方法としては、顔認証用カメラ15により撮影された顔データと記憶手段19に記憶されている顔データとを比較する際、記憶手段19に記憶されている顔データに対し顔認証用カメラ15にて撮影された顔データの顔の輪郭や目や鼻の形等の特徴となる点が一致しているか否かを判断し、当該一致点の数を元にして信頼度(一致率)が算出される。つまり、一致点の数が多ければ信頼度の数値が高くなり、一致点の数が低いほど信頼度の数値は低くなる。
【0020】
従って、上述した内容から、例えば顔が似ている等の理由により判定手段18にて誤って判定(別の人物であると判定)がなされた場合にでも、判定手段18より判定された18当該(誤った)人物に対する判定の信頼度が低いと、係員は、当該人物では無いかもしれないと認識することができ、給油作業者と係員が記憶している人物(セルフ給油の初心者の人物や過去に問題を起こした人物)とが同一人物であるか否かの判断を容易に行うことができる。
【0021】
また、判定手段18は、記憶手段19に予め登録されている多数の給油作業者の顔データと顔認証用カメラ15で撮影された給油作業者の顔(顔画像データ)とを照合することにより、顔認証用カメラ15で撮影された給油作業者の顔画像データに一致及び類似する顔データを抽出し、抽出された顔データと顔認証用カメラ15で撮影された給油作業者の顔(顔画像データ)との一致率(信頼度)を算出する。さらに、本実施形態の判定手段18は、給油時の天候(雨、霧)、顔認証用カメラ15と給油作業者との位置関係(角度、逆光)、髪型の変更、髭の有無、着帽、眼鏡(サングラス)の有無、顔認証用カメラ15の故障(汚れ、損傷)等の要因も考慮して上述の顔の一致率(信頼度)を補正し、これを信頼度としている。具体的には、給油時の天候(雨、霧)等の影響により、顔認証用カメラ15にて撮影された画像が不鮮明となる場合がある。その場合、画像に対する不鮮明の割合等により、判定手段18により判定、算出された顔の信頼度に対し、不鮮明の割合に応じて補正(例えば、画像(100%)に対し不鮮明の割合が20%である場合には、算出された信頼度の20%を低減させた数値を補正後の顔の信頼度にする補正)を行う。また、顔認証用カメラ15が故障等により、画像が欠損した(黒く表示された)場合には、その画像に対する故障(欠損)の割合に応じて、上述した補正を行う。
【0022】
そして、判定手段18(給油所監視装置16)は、算出した信頼度、信頼度算出の基となった記憶手段19に記憶されている顔データを通信端末22に送信する。これにより、通信端末22の報知手段24に算出された信頼度と顔データが表示される。従って、係員は、表示された信頼度と顔データとを確認することで、例えば、信頼度が低い場合には、当該給油作業者の給油作業の確認をより注意深く行うように意識することができる。また、記憶手段19に顔認証用カメラ15で撮影された顔画像データと一致及び類似する顔データが複数ある場合、判定手段18は当該顔データに対し、それぞれ信頼度を算出し、算出された信頼度が最も高い数値の顔データとその信頼度を通信端末22に送信する。これにより、係員は判定手段18により判定された最も信頼度の高い顔データを確認することができ、判定手段18による判定結果を用いた給油作業の確認を行うことができる。
【0023】
なお、本実施形態では、記憶手段19には、保存されている給油作業者の顔データに対して、給油作業者を識別する人物ID、判定手段18により判定された当該給油作業者による前回まで(過去)の給油作業における異常の有無や給油履歴(給油年月日・給油油種・給油量等)に関するデータ(給油履歴データ)を対応づけし、記憶しておく。また、記憶手段19に記憶されている情報の形式は、人物IDに紐付いて、それぞれのデータ(顔データや異常の有無等)が記憶されている。この上で、判定手段18では、算出した信頼度、信頼度算出の基となった記憶手段19に記憶されている顔データに加え、当該給油作業者の氏名や給油履歴データを通信端末22に送信する。これにより、係員は、今回の給油作業者が前回の給油において異常な給油作業を行った人物か(例えば、燃料タンクの給油口に対する給油ノズルの挿入が浅かったり、喫煙したりした人物か)、また、当人である確率(信頼度)も確認できる。
【0024】
給油許可手段20は、給油所監視装置16のモニタ17に表示された許可ボタン(図示せず)または通信端末22のモニタ23に表示された許可ボタン25(図3参照)が押下されたときにだけ、ポンプ4の駆動を許可する仕組みとなっている。また、モニタ23に表示された後述の緊急停止ボタン27が押下されたときには、即座に電磁弁7を閉じて燃料の流動を停止させる仕組みとなっている。また、給油許可手段20は、判定手段18により算出された信頼度に応じて、給油を許可(ポンプ4の駆動を許可)、停止(電磁弁7を閉弁)させる。一実施形態として、信頼度が所定数値以下である場合には、モニタ17に表示された許可ボタンが押下されても、給油を許可させない等の制御を行う。これにより、信頼度が所定数値以下である場合、給油が許可されないので、燃料の供給に関する異常の有無についての信頼度が低い状態で給油がなされてしまうことを防止する。
【0025】
通信端末22は、給油所監視装置16の操作系統の一部を構成し、給油所監視装置16と一緒に制御装置を構成している。通信端末22は、例えば、携帯可能なタブレット端末、スマートフォンによって構成されている。通信端末22は、液晶パネル、有機ELパネル等からなるタッチ式のモニタ23を有している。また、通信端末22は、無線装置21を介して給油所監視装置16との間で信号の送信及び受信が可能となっている。
【0026】
通信端末22は、モニタ23、報知手段24、許可ボタン25、不許可ボタン26、緊急停止ボタン27を備えている。モニタ23には、燃料の供給に関する情報、例えば、給油機1等の稼働状況や給油作業者の情報、係員に対する各種の操作系統を表示することができる。
【0027】
モニタ23の表示例を図3に示している。モニタ23は、給油エリアに関する情報を表示する表示領域23Jと判定手段18により判定された結果を表示する表示領域23K(報知手段24)とを備えている。表示領域23Jには、給油機1に対応する給油エリアの画像を表示する画面23A及び他の給油機に対応する給油エリアの切換ボタン23B,23C,23Dと、画面23Aの表示エリアを移動させるスイングボタン23E,23Fと、が表示されている。また、表示領域23Jの下部のモニタ23には、画面23Aの表示エリアの大きさを切換える拡大ボタン(+ボタン)23G、縮小ボタン(-ボタン)23Hと、許可ボタン25、不許可ボタン26、緊急停止ボタン27と、が表示されている。さらに、表示領域23K(報知手段24)は、判定手段18によって算出された顔認証の信頼度24Aと、判定手段18による信頼度算出の基となった記憶手段19に記憶されている顔データ24Bと氏名24Cとが一緒に表示される。
【0028】
許可ボタン25は、操作手段を構成するもので、給油機1に給油を許可させるために係員によって押下される。許可ボタン25は、判定手段18によって算出された顔認証の信頼度が高い場合、例えば、70%以上のときに、この信頼度を確認した係員によって押下される。許可ボタン25が押下されたときには、画面23Aに表示された給油エリアの給油機1の給油が許可される。
【0029】
不許可ボタン26は、画面23Aに表示された画像から、給油作業者が給油作業に戸惑っていたり、作業手順を間違えたりしていることを係員が確認したときに押下される。不許可ボタン26が押下されたときには、例えば、給油操作が一時停止状態となり、係員の対応後に許可ボタン25が押下されることにより再び給油が行えるようになる。
【0030】
緊急停止ボタン27は、給油に関する状況に大きな異常、例えば、燃料タンクの給油口から給油ノズル9が外れていたり、給油作業者がライターを使用していたりしたときに、係員により押下される。緊急停止ボタン27が押下されたときには、即座に電磁弁7が閉じて給油が停止する。
【0031】
次に、図4図5を参照して、第1の実施形態による給油システムの制御処理の一部について説明する。なお、図4図5に示す流れ図のステップは、それぞれ「S」という表記を用い、例えばステップ1を「S1」として示す。
【0032】
図4図5に示す制御処理を開始する。S1では、撮影手段としての監視カメラ14、顔認証用カメラ15によって給油エリアを撮影する。続いて、S2で給油機1の給油エリアに車両が停止し、給油作業者が降車したら、S2に移行して給油作業者の顔を撮影した顔認証用カメラ15の画像を給油所監視装置16の判定手段18に送信する。S4で判定手段18は、受信した顔の画像(顔画像データ)と過去に撮影されて記憶手段19に登録(保存)された給油作業者の顔データ(保存データ)とを照合して顔の信頼度(顔の一致率)を算出する。続いて、S5では、判定手段18は、給油作業者の顔の画像の信頼度に、給油時の天候(雨、霧)、顔認証用カメラ15と給油作業者との位置関係(角度、逆光)、髪型の変更、髭の有無、着帽、眼鏡(サングラス)の有無、顔認証用カメラ15の故障(汚れ、損傷)等の要因を考慮して上述の算出した信頼度(顔の一致率)を補正する。
【0033】
S6に移って、判定手段18で算出した信頼度を判定手段18による信頼度算出の基となった記憶手段に記憶されている顔データと一緒に通信端末22の報知手段24に表示する。これにより、係員は、報知手段24に表示された信頼度を確認することで、現場に赴いて異常の有無をより慎重に確認すべきか否かの判断材料として利用することができる。
【0034】
S7では、給油機1のノズル掛11から給油ノズル9が外されたか否かを判定し、「YES」と判定されたら、S8で給油ノズル9を自動車101の給油口(図示せず)に挿入する。そして、S9では、係員によって許可ボタン25が押下されたか否かを判定し、「YES」と判定されたら、S10で給油許可手段20によって給油を許可し、S11で給油を開始させる。
【0035】
S12では、ノズル掛11に給油ノズル9が掛けられたか否かを検出し、「NO」と判定されたら、同様の判定を繰り返す。また、S12で「YES」と判定されたら、S13に移って給油を終了し、S14で通信端末22に給油終了を報知する。
【0036】
一方、S7で、「NO」と判定されたら、S15に移り、所定時間が経過したか否かを判定する。この場合の所定時間とは、給油作業者が給油機1の操作に戸惑っている、間違った給油ノズル(他の給油機のノズルや設定した油種に対応していないノズル)を取外そうとしている、給油機1に悪戯をしている、等が疑われる時間となる。S15で「NO」と判定されたら、S7の処理に戻る。S15で「YES」と判定されたら、S10で給油を中止し、S3の処理に戻る。
【0037】
さらに、S12で「NO」と判定されたら、S17に移って緊急停止ボタン27が押下されたか否かを判定する。このS17で「NO」と判定されたら、S12の処理に戻る。一方、S17で「YES」と判定されたら、緊急停止ボタン27が押下されているから、S18で給油を中止し、S19で通信端末22に緊急停止を報知する。
【0038】
かくして、第1の実施形態によれば、自動車101の燃料タンクに対する燃料の供給を行う燃料供給システムは、給油所内(燃料供給所内)を撮影する監視カメラ14、顔認証用カメラ15と、監視カメラ14、顔認証用カメラ15によって撮影された画像から燃料タンクに対する燃料の供給に関する状況(情報)、例えば、給油作業者(供給者)の顔認証を行う判定手段18と、判定手段18による顔認証の判定結果の信頼度を係員に報知する報知手段24と、を備えている。
【0039】
さらに、燃料供給時の天候(雨、霧)、顔認証用カメラ15と給油作業者との位置関係(角度、逆光)、髪型の変更、髭の有無、着帽、眼鏡(サングラス)の有無、顔認証用カメラ15の故障(汚れ、損傷)等による要因が判定手段18による顔認証の判定結果に加味された信頼度を係員に報知することができる。
【0040】
これにより、係員は、顔認証を含む燃料の供給に関する状況の判定結果の信頼度の高低から現場に赴くなどして給油状況をより注意深く確認する必要があるか否かを判断することができる。この結果、係員による確認作業をより確実に行わせることができる。
【0041】
第1の実施形態は、判定手段18の判定結果の信頼度に応じて燃料の供給を制御する制御手段としての給油所監視装置16、通信端末22を備えている。給油所監視装置16、通信端末22は、燃料の供給を許可させるために係員によって操作される操作手段としての許可ボタン25を備えている。この上で、給油所監視装置16、通信端末22は、判定手段18の判定結果の信頼度が所定の値よりも高く、かつ許可ボタン25が燃料の供給を許可させるために操作された場合に、燃料の供給を許可することができる。これにより、係員は、許可ボタン25によって燃料の供給を許可することができる。
【0042】
また、撮影手段は、給油作業者の顔を撮影する顔認証用カメラ15を含むものである。判定手段18は、顔認証用カメラ15によって撮影された給油作業者の顔と過去に撮影された顔データ(記憶手段19)とを照合することにより、一致する顔データ(給油に関する情報)を判定(解析)すると共に、この判定結果(解析結果)の信頼度を算出している。報知手段24は、判定結果の信頼度を係員に報知する。これにより、係員は、例えば、判定結果の信頼度(実際の給油作業者が判定手段18で判定された顔データの人物以外の者である可能性の高低)を確認することにより、例えば、セルフ給油の経験者(再来所者)、以前に問題を起こした(例えば、燃料タンクの給油口に対する給油ノズルの挿入が浅かったり、給油所内で喫煙したりした)ことがある人物として記憶している人物と判定手段18によって判定された人物とが同一人物である等を把握でき、的確な対応を行うことができる。
【0043】
また、撮影手段は、給油所内を撮影する監視カメラ14を含むものである。判定手段18は、監視カメラ14によって撮影された画像から給油に関する異常、例えば、給油ノズル9が給油口に確実に挿入されていない、静電気除去パッドにタッチしていない、給油機1が損傷している等の異常が発生したか否か(給油に関する情報)を判定(解析)したときの信頼度(異常の有無の信頼度)を算出することができる。これにより、係員は、給油作業者の認証以外にも、給油作業者による給油作業等の給油に関する様々な異常に対応することができる。
【0044】
以下、具体例の一つとして、燃料タンクの給油口への給油ノズル9の挿入についての信頼度を例にして説明する。ノズル掛スイッチ12により給油ノズル9がノズル掛11から外されたことを検出した際、判定手段18は、監視カメラ14で撮影された給油ノズル9または給油口の画像情報と記憶手段19に予め記憶された給油ノズル9が給油口に確実に挿入された画像データとの照合を行う。これにより、判定手段18は、給油ノズル9の筒先が給油口の奥深くまで挿入されているか否かを判定し、この判定結果の信頼度(異常の有無の信頼度)を算出する。具体的に、判定手段18は、記憶手段19に予め記憶された給油ノズル9が給油口に確実に挿入された画像データに対する、監視カメラ14で撮影された給油ノズル9または給油口の画像との一致点(例えば、給油ノズルの本体部と給油口との位置関係)に基付いて、ノズルが給油口に挿入された(異常無し)と判定したことに対する信頼度(一致度)を算出する。ここでは、予め記憶された給油ノズル9が給油口に確実に挿入された画像データに対し、給油ノズル9の本体部が給油口から離れている場合には、その信頼度は低く、給油ノズルの本体部と給油口との位置が離れていない場合には、信頼度は高くなる。そして、判定手段18は、算出された信頼度を通信端末22のモニタ23に表示させる。具体的には、図3に示すように、モニタ23の表示領域23Jに、「ノズル挿入異常(23L1):80%(23L2)」と数値で信頼度を表示させる。当該表示内容は、給油ノズル9の燃料タンクへの挿入が十分でない(つまり異常である)という判定に対する確かさとしての数値が信頼度として表示される。なお、信頼度を数値に限らずグラフで表示させてもよい。
【0045】
これにより、係員は、給油作業者による給油口への給油ノズル9の挿入状況の判定結果とその信頼度を把握することができる。これにより、係員は、例えば、信頼度23Lの数値が高い場合(図3では、給油ノズル9が給油口の奥深く(充分)に挿入されていない(異常である)と判定した確度が高い場合)には、目視による確認をするなど、現場に出向いて確認するなどの信頼度に応じた給油作業の確認を行うことができる。また、判定手段18は、記憶手段19に記憶された前述の当該給油作業者の前回(過去)の給油時に判定手段18によって異常の有無を判定された際の監視カメラ14の撮影画像データを用いて、今回の給油作業者の給油に対する異常の有無を判定してもよい。これにより、判定手段18により判定された燃料の供給に関する情報に応じた信頼度を算出することが可能となり、判定手段18による判定精度を高めることができる。
【0046】
図6乃至図10は本発明の第2の実施形態を示している。第2の実施形態の特徴は、判定手段18による顔認証に対する判定結果の信頼度が所定の値よりも低い場合に報知手段32に表示することにより、判定手段18が判定した人物が実際の給油作業者と同一人物であるか否かを係員が実際に確認する必要があるかを判断できるようにしたことにある。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
図6において、第2の実施形態による通信端末31は、報知手段32の表示方法と、表示制御手段33による不許可ボタン34と許可ボタン35との表示方法と、が第1の実施形態による通信端末22と異なっている。これ以外の点は第2の実施形態による通信端末31は、第1の実施形態による通信端末22と同様であるので、第1の実施形態による通信端末22で使用した符号を付して説明を省略する。
【0048】
第2の実施形態による報知手段32は、第1の実施形態の報知手段24と同様の機能を有している。この上で、図7に示すように、第2の実施形態による報知手段32は、例えば、判定手段18による判定結果の信頼度が高い順に上位数人(3人程度)の記憶手段19に記憶されている顔データ(32A1)と信頼度(32A2)、氏名(32A3)を表示する(図7では、85%、62%、41%の信頼度を高い順に表示)。この顔データと信頼度の表示は、選択ボタン32A,32B,32Cを兼ねている。なお、信頼度に応じて分類し、当該分類のうち信頼度の上位数人を表示してもよい(例えば、信頼度が70%以上の給油許可クラスと、信頼度が70%未満30%以上の給油再考クラスと、信頼度が30%未満の給油不可クラスとの3区分に分類し、給油再考クラスの上位3人の信頼度と顔データを表示するようにしてもよい)。
【0049】
そして、報知手段32は、選択ボタン32A,32B,32Cのいずれかが押下されると、押下された選択ボタンの顔データと給油作業者が同一人物であることを判定手段18と後述の表示制御手段33に送信する。
【0050】
表示制御手段33は、例えば、通常は不許可ボタン34をモニタ23に表示させる。一方、表示制御手段33は、判定手段18による判定結果の信頼度が70%以上の給油許可クラスである場合、判定手段18の信頼度が70%未満30%以上の給油再考クラスであり、かつ、報知手段32の選択ボタン32A,32B,32Cのいずれかが押下された場合に、不許可ボタン34に代えて許可ボタン35を表示する。
【0051】
次に、図8乃至図10を参照して、第2の実施形態による給油システムの制御処理の一部について説明する。
【0052】
図8及び図9に示す制御処理のS21~S25は、第1の実施形態の制御処理のS1~S5と同様であるので省略する。続くS26では、判定手段18による判定結果の信頼度が閾値となる70%以上か判定する。S26で「YES」と判定されたら、S27に移って、このときの信頼度と照合に用いた顔データ(登録データ)又は、信頼度と照合に用いた顔データに対応付けられた氏名や給油データ(前回まで(過去)の給油作業における異常の有無や給油履歴(給油年月日・給油油種・給油量等))を通信端末31に送信する。なお、第2の実施形態の制御処理のS28~S40は、第1の実施形態の制御処理のS7~S19と同様であるので省略する。また、通信端末に送信するデータは、信頼度、顔データ及び給油データでもよく、モニタ23には、これら全てのデータが表示されてもよい。
【0053】
一方、S26で、「NO」と判定されたら、図10のS41に移り、判定手段18による判定結果の信頼度が30%以上か判定する。S41で「YES」と判定されたら、S42に移って信頼度が高い方から順番で上位の顔データとその信頼度を通信端末31に表示する。本実施形態では、図7に示すように、信頼度が高い方から順番に3番目までの顔データとその信頼度が表示されるようになっている。次に、S43では、通信端末31の報知手段32に表示された顔データに給油作業者の顔に一致する画像が有るか否か、即ち、選択ボタン32A~32Cの何れかの操作ボタンが係員によって押下されたかを判定し、「YES」と判定された場合には、S44に進む。
【0054】
S44では、今回、撮影された顔画像データを、押下された顔データの人物IDに対応付けて記憶させる。これにより、次回、同じ給油作業者が給油を行う場合、撮影された当該給油作業者の顔画像データと記憶手段19に記憶されている顔データとの照合の際、S44で記憶した顔画像データを用いて照合することができる。これにより、今回の判定手段18による判定結果の信頼度よりも高い信頼度が算出されるようになる。そして、S44にて撮影された顔画像データを押下された顔データの人物IDに対応付けて記憶した後に、S28に遷移する。
【0055】
一方、S41で、「NO」と判定されたら、判定手段18による信頼度が30%未満の初来所者であるから、S45で給油作業者の顔画像データを、新しい人物IDに対応付けて記憶手段19に登録した後、S23の処理に戻る。なお、ここでは初来所者に対する記憶手段に記憶されるデータはIDとIDに対応付けられた顔データであるが、これ以外に、当該給油作業者による給油が終了した時点での判定手段による当該給油作業者の給油作業についての異常の有無等の判定結果が記憶され、IDと顔データと判定結果が対応付けられて記憶される。また、これらの情報が対応付けて記憶されるタイミングは、給油が終了した時点でもよいし、例えば、係員の給油所監視装置16に設けられた確認ボタン(図示せず)を操作することにより記憶手段に記憶されてもよい。
【0056】
かくして、第2の実施形態でも、第1の実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかも、第2の実施形態は、判定手段18により判定された判定結果の信頼度が所定割合以上(例えば、30%以上)のデータが複数ある場合には、それぞれのデータ(信頼度、顔データ等)がモニタ23に表示されるので、係員は判定手段18により判定された結果情報の詳細を把握することができる。これにより、係員は、現場に赴いて異常の有無をより慎重に確認すべきか否かをより正確に判断することができる。
【0057】
次に、第3の実施形態について説明する。図11乃至図13は本発明の第3の実施形態を示している。第3の実施形態の特徴は、供給者に対し、過去に判定手段により判定された供給作業についての異常の有無を係員に報知することにより、供給者がこれから供給作業を行う上で、異常が起こり得るか否かの判断を係員は容易に行うことができる。例えば、給油所に来所した供給者としての給油作業者が過去に、異常な行動を行った(例えば、給油所内で喫煙した)ことがある場合、係員へ当該情報(過去に異常有り)が報知手段に報知されることにより、係員は、これからの給油作業者の給油作業において、異常が発生する可能性が高い(例えば、給油所内で喫煙する可能性が高い)と判断でき、当該給油作業者に対し注意することができる。なお、第3の実施形態では、第1、第2の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
次に、その具体的な制御処理について説明する。なお、第1、第2の実施形態で説明した処理については省略する。図11のS54では、顔認証用カメラ15にて撮影された給油作業者の顔画像データと、記憶手段19に記憶された給油作業者の顔データとを照合し、給油作業者を特定する。また、S55では、記憶手段19に記憶されている当該特定された給油作業者のIDに紐付いた過去の給油作業の異常の有無と、異常がある場合のその異常の内容を信頼度と共に通信端末41の報知手段42に表示させる。
【0059】
この報知手段42による表示方法について、図13を用いて説明する。図13において、判定手段18により判定(特定)された当該給油作業者の顔データの信頼度42A、顔データ42Bと共に当該給油作業者の氏名42Cが表示され、さらに、当該給油作業者のIDに紐付いて記憶手段19に記憶されている当該給油作業者の過去の給油作業の異常の有無42Dと異常がある場合のその異常内容(例:喫煙)42Eが表示される。これにより、表示された情報を係員が確認することにより、係員は、当該給油作業者の過去の給油作業における異常の有無を確認できるので、給油作業者がこれから行おうとする給油作業において異常が発生する可能性の有無を把握でき、給油作業に対する注意をより意識することができる。
【0060】
次に、S55にて通信端末41に異常の有無等が表示された後、S56にて、給油作業者の過去の給油作業に関し異常があるか否かを判定し、異常が無い場合(NOと判定された場合)には、第1の実施形態のS7~S11と同様のS57~S61の処理を行い給油開始まで進む。一方、S56で異常がある場合(YESと判定された場合)には、S68にて通信端末41に設けられた許可ボタン25が押下されたか否かを判定する。押下された場合(YESの場合)には、S57に進み、押下されない場合(NOの場合)には、S69に進み、S69にて通信端末41に設けられた不許可ボタン26が押下されたか否かを判定し、押下されない場合(NOの場合)には、S68に戻り、押下された場合(YESの場合)、S70に移って給油を中止(当該給油作業者に対する給油を禁止)して処理を終了する。
【0061】
これにより、給油作業者の過去の給油作業に関し異常がある場合には、給油を行うことができない(給油禁止状態となる)ので、給油作業者がこれから行おうとする給油作業において異常が発生する可能性が高い場合において、給油が行えなくなることにより給油に関する安全性が向上する。また、仮に当該給油作業者の過去の給油作業に関し異常があった場合にでも、係員の確認を経て給油が可能となるので、給油を行う場合にでも、係員はより意識して安全確認を行うことができ、給油作業の安全性が向上する。
【0062】
次に、S62以降の処理について、図12を用いて説明する。図12に示すように、ノズル掛11から給油ノズル9が外され、給油が開始した場合、S62にて監視カメラ14で撮影された画像を取得し、S63に進む。S63にて、取得した画像から給油作業に関する異常の有無を判定し、異常が無いと判定した場合(NOの場合)には、S64に進み、第1の実施形態のS12~S14と同様のS64~S66の処理を行った後に、行い給油開始まで進む。
【0063】
そして、S66にて給油が終了したことが報知されると、S67にて判定手段18により判定された今回の異常の有無に関する情報(異常の有無及び異常が有った場合のその内容および異常有無判定の際に利用された監視カメラ14の撮影画像)が記憶手段19に記憶され、終了する。ここで、記憶手段19に記憶された異常の有無に関する情報は、当該給油作業者のIDに紐付けられて顔データと共に記憶され、次回、当該給油作業者が給油を行うために来所した際に、判定手段18(特定手段)により当該給油作業者であることが判定(特定)された場合に通信端末22に表示(報知)されることになる。なお、S64でNOと判定された場合の処理、S73~S75は、第1の実施形態のS17~S19と同様となる。
【0064】
一方、S64で異常があると判定した場合(YESの場合)には、S74に進み、給油が中止される。S64以降は、給油ノズル9が外された状態であり、かつ緊急停止ボタン27が操作されていない状態であれば、S62以降の監視カメラで撮影された画像を用いて給油作業に関する異常の有無が判定されることになる。つまり、給油作業中においては、判定手段18による異常の有無についての判定がなされる。
【0065】
なお、実施形態では、給油所監視装置16の操作系統の一部を構成し、給油所監視装置16と一緒に制御装置を構成している通信端末22を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、給油所監視装置16のみが制御装置として機能してもよい。さらに給油所監視装置16は係員が携帯可能であってもよい。
【0066】
また、実施形態では、通信端末22のモニタ23に表示された許可ボタン25が押下されたときにだけ、ポンプ4の駆動を許可する仕組みとしたが、これに限らず、判定手段18により判定された結果が異常無しで、かつ、信頼度が高い場合(例えば80%以上の場合)に、給油許可手段20が、ポンプ4の駆動を許可する構成であってもよい。
【0067】
さらに、実施形態では、ガソリン、軽油等の液体燃料を自動車101へ供給する給油機1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、CNGやLPG等の燃料を車両等に供給する燃料供給機が備えられた燃料供給所に適用してもよい。
【0068】
実施形態では、自動車101の燃料タンクに燃料を供給した場合について例示したが、本発明はこれに限らず、自動二輪車や携行タンクに燃料を供給する場合に適用してもよい。
【0069】
次に、上記実施形態に含まれる燃料供給システムとして、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
【0070】
第1の態様としては、被燃料供給体に対する燃料の供給を行う燃料供給システムであって、燃料供給所内を撮影する撮影手段と、前記撮影手段によって撮影された画像から前記被燃料供給体に対する燃料の供給に関する情報の判定を行う判定手段と、前記判定手段による燃料の供給に関する情報としての判定結果の信頼度を係員に報知する報知手段と、を備えている。
【0071】
第2の態様としては、第1の態様において、前記判定手段の判定結果の信頼度に応じて燃料の供給を制御する制御手段を備えており、前記制御手段は、燃料の供給を許可させるために係員によって操作される操作手段を備えており、前記制御手段は、前記判定手段の判定結果の信頼度が所定の値よりも高く、かつ前記操作手段が燃料の供給を許可させるために操作された場合に、燃料の供給を許可することを特徴とする。
【0072】
第3の態様としては、第1または2の態様において、前記燃料供給システムは、供給者の顔データが予め記憶された記憶手段を備え、前記撮影手段は、供給者の顔を撮影する顔認証用カメラであり、前記判定手段は、前記顔認証用カメラによって撮影された供給者の顔画像データと一致または類似する顔データを前記記憶手段から読み出し、当該読み出された顔データの信頼度を算出してなり、前記報知手段は、前記判定手段による判定結果の信頼度を係員に報知することを特徴とする。
【0073】
第4の態様としては、第1乃至3のいずれかの態様において、前記撮影手段は、前記燃料供給所内を撮影する監視カメラを含むものであり、前記判定手段は、前記監視カメラによって撮影された撮影画像から燃料の供給に関する異常の有無について判定し、その判定結果の信頼度を算出することを特徴とする。
【0074】
第5の態様としては、第3の態様において、前記記憶手段には、顔データに対応付けられて、過去に前記判定手段により判定された燃料の供給に関する情報が記憶されてなり、前記判定手段は、当該判定手段により判定された燃料の供給に関する情報に応じて信頼度を算出することを特徴とする。
【0075】
第6の態様としては、第3または5の態様において、前記報知手段は、前記判定手段により算出された信頼度と共に、当該判定手段による判定の際に読み出された顔データに対応付けられた前記記憶手段に記憶されている燃料供給に関する情報を報知することを特徴とする。
【0076】
第7の態様としては、第1の態様において、前記撮影手段は、前記燃料供給所内を撮影する監視カメラを含むものであり、前記判定手段は、前記監視カメラによって撮影された撮影画像から燃料の供給に関する異常の有無について判定すると共に、その判定結果の信頼度を算出してなり、前記判定手段による過去の異常の有無についての判定結果を記憶する記憶手段と、前記燃料供給所に来所した供給者を特定する特定手段と、を備えてなり、前記報知手段は、前記特定手段により特定された供給者に関する前記記憶手段に記憶されている過去の異常の有無についての判定結果を報知することを特徴とする。
【0077】
第8の態様としては、第7の態様において、前記記憶手段に記憶されている前記判定手段による過去の判定結果が異常有りの場合には、燃料の供給を禁止させる制御手段を備えていることを特徴とする。
【0078】
第9の態様としては、第8の態様において、前記燃料供給システムは、係員が操作する操作手段を備えてなり、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されている前記判定手段による過去の判定結果が異常有りの場合、前記操作手段にて操作がなされた場合には、燃料の供給を許可することを特徴とする。
【0079】
第10の態様としては、第7乃至9のいずれかの態様において、前記撮影手段は、前記燃料供給所に来所した供給者を撮影するカメラを含み、前記記憶手段は、前記撮影手段により撮影された供給者の画像と当該供給者に関する異常判定手段による判定内容とを関連付けて記憶してなり、前記特定手段は、前記撮影手段により撮影された供給者の画像と前記記憶手段に記憶されている供給者の画像とを照合することにより、供給者を特定することを特徴とする。
【符号の説明】
【0080】
1 給油機
14 監視カメラ(撮影手段)
15 顔認証用カメラ(撮影手段)
16 給油所監視装置(制御手段)
18 判定手段(特定手段)
19 記憶手段
22,31,41 通信端末(制御手段)
23L2 信頼度
17A,24,32,42 報知手段
24B,32A1,42B 顔データ
24C,32A3,42C 氏名(情報)
25,35 許可ボタン(操作手段)
24A,32A2,42A 顔認証の信頼度
42D 異常の有無
42E 異常の内容
101 自動車(被燃料供給体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13