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  • 特開-温度調節システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007955
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】温度調節システム
(51)【国際特許分類】
   F22G 5/12 20060101AFI20230112BHJP
   F22G 1/16 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
F22G5/12 Z
F22G1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111136
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】591282917
【氏名又は名称】株式会社サーモテック
(71)【出願人】
【識別番号】598138028
【氏名又は名称】株式会社レイケン
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】中村 博史
(72)【発明者】
【氏名】金子 益之
(57)【要約】
【課題】対象に対して所望の温度の過熱蒸気を供給できる温度調節システムを提供する。
【解決手段】
温度調節システム1は、熱媒体を加熱して蒸気を発生させる蒸気発生ユニット2と、蒸気発生ユニット2と対象Aとの間に介在され、蒸気発生ユニット2で発生した蒸気をさらに加熱して過熱蒸気を発生させ、発生した過熱蒸気を対象Aに供給する過熱蒸気発生ユニット3とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体を加熱して蒸気を発生させる蒸気発生ユニットと、
前記蒸気発生ユニットと対象との間に介在され、前記蒸気発生ユニットで発生した蒸気をさらに加熱して過熱蒸気を発生させ、発生した過熱蒸気を前記対象に供給する過熱蒸気発生ユニットと
を備える、温度調節システム。
【請求項2】
前記蒸気発生ユニットと前記過熱蒸気発生ユニットとの間に介在され、前記蒸気発生ユニットから前記過熱蒸気発生ユニットに向かう蒸気を、前記対象を通過した熱媒体との熱交換により加熱する第1熱交換器を、さらに備える、請求項1に記載の温度調節システム。
【請求項3】
前記蒸気発生ユニットに熱媒体を供給する供給ユニットと、
前記対象から前記第1熱交換器を通って前記供給ユニットに戻る熱媒体を冷却する第2熱交換器をさらに備える、請求項2に記載の温度調節システム。
【請求項4】
前記蒸気発生ユニットは、
熱媒体を溜めるタンクであって、蒸気を排出可能な排出口を有するタンクと、
前記タンク内の熱媒体を加熱するヒータと、
前記排出口と接続されるバルブと、
を有するヒータユニットを有し、
前記バルブは、前記タンク内の熱媒体の温度が蒸気が発生する温度以上である状態で、開かれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の温度調節システム。
【請求項5】
前記蒸気発生ユニットは、複数の前記ヒータユニットを有する、請求項4に記載の温度調節システム。
【請求項6】
複数の前記ヒータユニットのうちの一の前記ヒータユニットの前記バルブは、複数の前記ヒータユニットのうちの他の前記ヒータユニットの前記バルブが閉じている状態で、開かれる、請求項5に記載の温度調節システム。
【請求項7】
前記ヒータユニットは、
前記排出口に対して互いに並列に接続され、同じタイミングで開く複数の前記バルブを有する、請求項4~6のいずれか一項に記載の温度調節システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象の温度を調節するための温度調節システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象の温度を調節するための温度調節システムとして、水を加熱して過熱水蒸気を発生させる過熱水蒸気発生器と、発生した過熱水蒸気を溜めるアキュムレータとを備え、過熱水蒸気で金型を加熱する温度制御装置が提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-45814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の温度制御装置では、アキュムレータ内の過熱水蒸気の温度を保持することが困難である。
【0005】
そのため、対象に所望の温度の過熱水蒸気を供給することが困難である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、対象に対して所望の温度の過熱蒸気を供給できる温度調節システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、熱媒体を加熱して蒸気を発生させる蒸気発生ユニットと、前記蒸気発生ユニットと対象との間に介在され、前記蒸気発生ユニットで発生した蒸気をさらに加熱して過熱蒸気を発生させ、発生した過熱蒸気を前記対象に供給する過熱蒸気発生ユニットとを備える、温度調節システムを含む。
【0008】
このような構成によれば、蒸気発生ユニットと対象との間に、過熱蒸気発生ユニットが介在されている。
【0009】
そのため、蒸気発生ユニットを、蒸気を発生可能な状態で待機させておき、対象に過熱蒸気を供給したいタイミングで、過熱蒸気発生ユニットを作動させて、過熱蒸気を発生させることができる。
【0010】
その結果、対象に対して所望の温度の過熱蒸気を供給できる。
【0011】
本発明[2]は、前記蒸気発生ユニットと前記過熱蒸気発生ユニットとの間に介在され、前記蒸気発生ユニットから前記過熱蒸気発生ユニットに向かう蒸気を、前記対象を通過した熱媒体との熱交換により加熱する第1熱交換器を、さらに備える、上記[1]の温度調節システムを含む。
【0012】
このような構成によれば、対象を通過した熱媒体の熱を利用することにより、省エネルギー化を図りつつ、蒸気発生ユニットから過熱蒸気発生ユニットに向かう蒸気を加熱できる。
【0013】
本発明[3]は、前記蒸気発生ユニットに熱媒体を供給する供給ユニットと、前記対象から前記第1熱交換器を通って前記供給ユニットに戻る熱媒体を冷却する第2熱交換器をさらに備える、上記[2]の温度調節システムを含む。
【0014】
このような構成によれば、対象と供給ユニットとの間で熱媒体を循環させることができる。
【0015】
本発明[4]は、前記蒸気発生ユニットが、熱媒体を溜めるタンクであって、蒸気を排出可能な排出口を有するタンクと、前記タンク内の熱媒体を加熱するヒータと、前記排出口と接続されるバルブとを有するヒータユニットを有し、前記バルブが、前記タンク内の熱媒体の温度が蒸気が発生する温度以上である状態で、開かれる、上記[1]~[3]のいずれか1つの温度調節システムを含む。
【0016】
このような構成によれば、タンク内の熱媒体の温度が蒸気が発生する温度以上である状態で、バルブを閉じて蒸気発生ユニットを待機させておき、対象に過熱蒸気を供給したいタイミングで、バルブを開いてタンク内の気圧を下げることにより、蒸気を発生させることができる。
【0017】
これにより、簡易な構成で、所望のタイミングで蒸気を発生させることができる。
【0018】
本発明[5]は、前記蒸気発生ユニットが、複数の前記ヒータユニットを有する、上記[4]の温度調節システムを含む。
【0019】
このような構成によれば、蒸気の発生量を確保できる。
【0020】
本発明[6]は、複数の前記ヒータユニットのうちの一の前記ヒータユニットの前記バルブが、複数の前記ヒータユニットのうちの他の前記ヒータユニットの前記バルブが閉じている状態で、開かれる、上記[5]の温度調節システムを含む。
【0021】
このような構成によれば、対象に過熱蒸気を供給するとき、他のヒータユニットのバルブを閉じた状態で、複数のヒータユニットのうちの一のヒータユニットだけ、バルブを開く。
【0022】
これにより、他のヒータユニット内の温度を、蒸気が発生する温度以上に維持した状態で、過熱蒸気発生ユニットに蒸気を送ることができる。
【0023】
本発明[7]は、前記ヒータユニットが、前記排出口に対して互いに並列に接続され、同じタイミングで開く複数の前記バルブを有する、上記[4]~[6]のいずれか1つの温度調節システムを含む。
【0024】
このような構成によれば、複数のバルブを同じタイミングで開くことにより、タンク内の気圧を一気に下げることができる。
【0025】
これにより、所望のタイミングで蒸気を大量に発生させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の温度調節システムは、対象に対して所望の温度の過熱蒸気を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る温度調節システムの配管図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
1.温度調節システム1の構成
図1に示すように、温度調節システム1は、対象Aの温度を調節するための装置である。対象Aとして、例えば、射出成形機または圧縮成形機の金型、熱間プレス機の金型、押出成形機のロール、混合機または反応釜のジャケットが挙げられる。
【0029】
温度調節システム1は、蒸気発生ユニット2と、過熱蒸気発生ユニット3と、蒸気供給ライン4と、過熱蒸気供給ライン5と、供給ユニット6と、戻しライン7と、バイパスライン8とを備える。
【0030】
(1)蒸気発生ユニット2
蒸気発生ユニット2は、熱媒体を加熱して蒸気を発生させる。熱媒体として、例えば、水が挙げられる。水の種類は、限定されない。水として、例えば、工業用水、水道水、地下水、精製水、および、清水が挙げられる。コスト面から、好ましくは、水として、工業用水が挙げられる。
【0031】
蒸気発生ユニット2は、複数のヒータユニット21を有する。本実施形態では、蒸気発生ユニット2は、2つのヒータユニット21A、21Bを有する。なお、ヒータユニット21の数は、2つに限定されない。蒸気発生ユニット2は、3つ以上のヒータユニット21を有してもよい。
【0032】
(1-1)ヒータユニット21A
ヒータユニット21Aは、複数のタンク211と、複数のヒータ212と、複数のバルブ213と、フロートスイッチ214と、循環ライン215と、ポンプ216と、温度センサ217とを有する。本実施形態では、ヒータユニット21Aは、2つのタンク211A、211Bと、2つのヒータ212A、212Bと、4つのバルブ213とを有する。
【0033】
(1-1-2)タンク211A、211B
タンク211Aは、液体の熱媒体を溜める。なお、タンク211A内の熱媒体の一部は、気体(蒸気)であってもよい。タンク211Aは、入口P1と、排出口P2と、排出口P3とを有する。
【0034】
入口P1は、供給ユニット6からの熱媒体を受け入れ可能である。
【0035】
排出口P2は、タンク211A内の蒸気を排出可能である。
【0036】
排出口P3は、タンク211A内の液体の熱媒体を排出可能である。
【0037】
タンク211Bは、液体の熱媒体を溜める。なお、タンク211B内の熱媒体の一部は、気体(蒸気)であってもよい。タンク211Bは、タンク211Aと接続される。タンク211B内の熱媒体は、タンク211A内に流入可能である。タンク211Bは、入口P11を有する。入口P11は、循環ライン215を介して、タンク211Aの排出口P3と接続される。入口P11は、排出口P3から排出された熱媒体を、循環ライン215を通して受け入れ可能である。
【0038】
(1-1-3)ヒータ212A、212B
ヒータ212Aは、タンク211A内の熱媒体を加熱する。ヒータ212Bは、タンク211B内の熱媒体を加熱する。
【0039】
(1-1-4)バルブ213
複数のバルブ213のそれぞれは、配管を介して、タンク211Aの排出口P2と接続される。複数のバルブ213のそれぞれは、排出口P2に対して、互いに並列に接続される。また、複数のバルブ213のそれぞれは、配管を介して、蒸気供給ライン4と接続される。複数のバルブ213のそれぞれは、蒸気供給ライン4に対して、互いに並列に接続される。本実施形態では、複数のバルブ213のそれぞれは、電磁バルブである。複数のバルブ213のそれぞれは、電動バルブであってもよい。
【0040】
(1-1-5)フロートスイッチ214
フロートスイッチ214は、タンク211Aと接続される。フロートスイッチ214は、タンク211A内の熱媒体の液面が所定の位置よりも下がると、オフになり、タンク211A内の熱媒体の液面が所定の位置以上になると、オンになる。所定の位置は、好ましくは、タンク211Aが満水になる位置である。タンク211Aが満水であると、供給ユニット6のブースターポンプ622によって、タンク211A内の熱媒体を加圧できる。これにより、簡易な構成で、タンク211A内の熱媒体を、標準気圧における飽和温度を超えて加熱できる。ブースターポンプ622については、後で説明する。また、ポンプ216が空気をかみこむことを抑制でき、ヒータユニット21A内において、熱媒体を安定に循環させることができる。
【0041】
(1-1-6)循環ライン215
循環ライン215は、タンク211Aからタンク211Bへの熱媒体の通過を許容する。循環ライン215の一端は、タンク211Aの排出口P3と接続される。循環ライン215の他端は、タンク211Bの入口P11と接続される。
【0042】
(1-1-7)ポンプ216
ポンプ216は、循環ライン215の途中に介在される。ポンプ216は、タンク211Aからタンク211Bへ、熱媒体を送る。
【0043】
(1-1-8)温度センサ217
温度センサ217は、タンク211Aの排出口P3から排出された熱媒体の温度を検知する。温度センサ217は、循環ライン215の一端に取り付けられる。なお、温度センサ217は、タンク211A内の熱媒体の温度を検知してもよい。
【0044】
(1-2)ヒータユニット21B
ヒータユニット21Bは、ヒータユニット21Aと同様に構成される。ヒータユニット21Bにおいて、ヒータユニット21Aと同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。ヒータユニット21Bは、蒸気供給ライン4に対して、ヒータユニット21Aと並列に接続される。ヒータユニット21Bは、供給ユニット6に対して、ヒータユニット21Aと並列に接続される。
【0045】
(2)過熱蒸気発生ユニット3
過熱蒸気発生ユニット3は、蒸気発生ユニット2と対象Aとの間に介在される。過熱蒸気発生ユニット3は、蒸気発生ユニット2で発生した蒸気をさらに加熱して、過熱蒸気を発生させる。過熱蒸気発生ユニット3は、発生した過熱蒸気を対象Aに供給する。
【0046】
過熱蒸気発生ユニット3は、複数のチャンバ31と、複数のヒータ32と、複数の温度センサ33と、スチームトラップ34と、ドレンバルブ35とを有する。本実施形態では、過熱蒸気発生ユニット3は、2つのチャンバ31A、31Bと、2つのヒータ32A、32Bと、2つの温度センサ33A、33Bとを有する。
【0047】
(3-1)チャンバ31A、31B
チャンバ31Aは、蒸気を溜める。チャンバ31Aは、入口P21と、排出口P22と、排出口P23とを有する。
【0048】
入口P21は、蒸気発生ユニット2からの蒸気を受け入れ可能である。
【0049】
排出口P22は、チャンバ31A内の蒸気を排出可能である。排出口P22は、チャンバ31Aの上端部に配置される。
【0050】
排出口P23は、チャンバ31A内の液体の熱媒体を排出可能である。なお、「チャンバ31A内の液体の熱媒体」は、チャンバ31A内の蒸気が凝縮することにより生じる。排出口P23は、チャンバ31Aの下端部に配置される。
【0051】
チャンバ31Bは、蒸気を溜める。チャンバ31Bは、チャンバ31Aと同様の構造を有する。そのため、ヒータユニット21Bにおいて、ヒータユニット21Aと同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。チャンバ31Bは、チャンバ31Aと接続される。詳しくは、チャンバ31Bの入口P21は、チャンバ31Aの排出口P22と接続される。これにより、チャンバ31A内の蒸気は、チャンバ31B内に流入可能である。
【0052】
(3-2)ヒータ32A、32B
ヒータ32Aは、チャンバ31A内の蒸気を加熱する。ヒータ32Bは、チャンバ31B内の蒸気を加熱する。蒸気発生ユニット2からの蒸気は、チャンバ31A内でヒータ32Aによって加熱され、さらに、チャンバ31B内でヒータ32Bによって加熱されることにより、過熱蒸気になる。
【0053】
なお、「蒸気」の温度の上限値は、ヒータ32A、32Bの能力等を考慮して、適宜設定できる。省エネルギー化を図るという観点から、本実施形態では、好ましくは、「蒸気」の温度は、150℃未満であり、「過熱蒸気」の温度は、150℃以上である。
【0054】
(3-3)温度センサ33A、33B
温度センサ33Aは、チャンバ31Aの排出口P23付近の温度を検知する。温度センサ33Bは、チャンバ31Bの排出口P23付近の温度を検知する。
【0055】
(3-4)スチームトラップ34
スチームトラップ34は、チャンバ31Aの排出口P23、および、チャンバ31Bの排出口P23と接続される。
【0056】
(3-5)ドレンバルブ35
ドレンバルブ35は、チャンバ31Aの排出口P23、および、チャンバ31Bの排出口P23に対して、スチームトラップ34と並列に接続される。
【0057】
ドレンバルブ35が開いている場合、チャンバ31Aの排出口P23、および、チャンバ31Bの排出口P23から排出された液体の熱媒体は、ドレンバルブ35を通って、戻しライン7に流れる。
【0058】
一方、ドレンバルブ35が閉じている場合、チャンバ31Aの排出口P23、および、チャンバ31Bの排出口P23から排出された液体の熱媒体は、スチームトラップ34を通って、戻しライン7に流れる。本実施形態では、ドレンバルブ35は、電磁バルブである。ドレンバルブ35は、電動バルブであってもよい。
【0059】
(3)蒸気供給ライン4
蒸気供給ライン4は、蒸気発生ユニット2から過熱蒸気発生ユニット3に供給される蒸気の通過を許容する。蒸気供給ライン4の一端は、蒸気発生ユニット2と接続される。詳しくは、蒸気供給ライン4の一端は、ヒータユニット21Aの複数のバルブ213、および、ヒータユニット21Bの複数のバルブ213と、配管を介して接続される。蒸気供給ライン4の他端は、過熱蒸気発生ユニット3と接続される。詳しくは、蒸気供給ライン4の他端は、チャンバ31Aの入口P21に接続される。
【0060】
蒸気供給ライン4は、ドレンセパレータ41と、スチームトラップ42と、第1熱交換器43とを有する。言い換えると、温度調節システム1は、第1熱交換器43を有する。
【0061】
(3-1)ドレンセパレータ41
ドレンセパレータ41は、蒸気発生ユニット2と第1熱交換器43との間に配置される。ドレンセパレータ41は、蒸気と液体とを分離する。ドレンセパレータ41を通過した蒸気は、第1熱交換器43に入る。
【0062】
(3-2)スチームトラップ42
スチームトラップ42は、ドレンセパレータ41と接続される。ドレンセパレータ41によって蒸気と分離された液体の熱媒体は、スチームトラップ42を通って、戻しライン7に流れる。
【0063】
(3-3)第1熱交換器43
第1熱交換器43は、蒸気発生ユニット2と過熱蒸気発生ユニット3との間に介在される。第1熱交換器43は、ドレンセパレータ41と過熱蒸気発生ユニット3との間に介在される。第1熱交換器43は、蒸気発生ユニット2から過熱蒸気発生ユニット3に向かう蒸気を、対象Aを通過した熱媒体との熱交換により加熱する。
【0064】
(4)過熱蒸気供給ライン5
過熱蒸気供給ライン5は、過熱蒸気発生ユニット3から対象Aに供給される過熱蒸気の通過を許容する。過熱蒸気供給ライン5の一端は、過熱蒸気発生ユニット3と接続される。詳しくは、過熱蒸気供給ライン5の一端は、チャンバ31Bの排出口P22に接続される。過熱蒸気供給ライン5の他端は、対象Aと接続される。
【0065】
過熱蒸気供給ライン5は、温度センサ51を有する。
【0066】
温度センサ51は、対象Aに供給される過熱蒸気の温度を検知する。温度センサ51は、過熱蒸気供給ライン5の他端部に配置される。
【0067】
(5)供給ユニット6
供給ユニット6は、蒸気発生ユニット2に熱媒体を供給する。供給ユニット6は、供給タンク61と、供給ライン62と、フロートスイッチ63と、膨張タンク64とを有する。
【0068】
(5-1)供給タンク61
供給タンク61は、液体の熱媒体を溜める。供給タンク61は、入口P31と、入口P32と、排出口P33とを有する。
【0069】
入口P31は、膨張タンク64からの熱媒体を受け入れ可能である。
【0070】
入口P32は、戻しライン7からの熱媒体を受け入れ可能である。
【0071】
排出口P33は、供給タンク61内の熱媒体を排出可能である。
【0072】
(5-2)供給ライン62
供給ライン62は、供給タンク61から蒸気発生ユニット2への熱媒体の通過を許容する。供給ライン62の一端は、供給タンク61の排出口P33と接続される。供給ライン62の他端は、配管を介して、各ヒータユニット21のタンク211Aの入口P1に接続される。
【0073】
供給ライン62は、供給ポンプ621と、ブースターポンプ622と、第1圧力スイッチ623と、第2圧力スイッチ624とを有する。
【0074】
供給ポンプ621は、供給ライン62の途中に介在される。供給ポンプ621は、供給タンク61から蒸気発生ユニット2へ熱媒体を送る。
【0075】
ブースターポンプ622は、供給ポンプ621と蒸気発生ユニット2との間に介在される。ブースターポンプ622は、供給ポンプ621とともに、供給タンク61から蒸気発生ユニット2へ熱媒体を送ることにより、タンク211A内の熱媒体を加圧する。タンク211A内の熱媒体を加圧することにより、タンク211A内の熱媒体を、標準気圧における飽和温度を超えて加熱できる。
【0076】
第1圧力スイッチ623は、供給ポンプ621とブースターポンプ622との間において、供給ライン62内の圧力を検知する。第1圧力スイッチ623は、供給ライン62内の圧力が所定の圧力未満であると、オフになり、供給ライン62内の圧力が所定の圧力以上になると、オンになる。
【0077】
第2圧力スイッチ624は、ブースターポンプ622と蒸気発生ユニット2との間において、供給ライン62内の圧力を検知する。第2圧力スイッチ624は、供給ライン62内の圧力が所定の圧力未満であると、オフになり、供給ライン62内の圧力が所定の圧力以上になると、オンになる。
【0078】
(5-3)フロートスイッチ63
フロートスイッチ63は、供給タンク61と接続される。フロートスイッチ63は、供給タンク61内の熱媒体の液面が所定の位置よりも下がると、オフになり、供給タンク61内の熱媒体の液面が所定の位置以上になると、オンになる。また、フロートスイッチ63は、膨張タンク64とも接続される。供給タンク61内の空気、および、供給タンク61の容量を超えた熱媒体は、フロートスイッチ63を通って、膨張タンク64に流入可能である。
【0079】
(5-4)膨張タンク64
膨張タンク64は、供給タンク61よりも多量の熱媒体を収容可能である。膨張タンク64は、配管65を介して、供給タンク61の入口P31に接続される。膨張タンク64内の熱媒体は、配管65を通って供給タンク61に供給される。また、膨張タンク64は、供給タンク61が満水の状態で、熱媒体が温度上昇によって膨張した場合に、供給タンク61の容量を超えた熱媒体を収容可能である。供給タンク61の容量を超えた熱媒体は、配管65およびフロートスイッチ63の少なくとも一方を通って膨張タンク64に流入する。
【0080】
(6)戻しライン7
戻しライン7は、対象Aから供給ユニット6に戻る熱媒体の通過を許容する。戻しライン7の一端部は、対象Aと接続される。戻しライン7の他端部は、供給ユニット6と接続される。詳しくは、戻しライン7の他端部は、供給タンク61の入口P32に接続される。また、戻しライン7の一部は、第1熱交換器43内を通る。これにより、対象Aを通過した熱媒体を、蒸気発生ユニット2から過熱蒸気発生ユニット3に向かう蒸気と熱交換させることができる。
【0081】
戻しライン7は、第2熱交換器71と、温度センサ72と、バルブ73とを有する。
【0082】
第2熱交換器71は、対象Aから第1熱交換器43を通って供給ユニット6に戻る熱媒体を、熱媒体が液体になる温度以下まで冷却する。「熱媒体が液体になる温度」は、具体的には、標準気圧における飽和温度未満である。本実施形態では、「熱媒体が液体になる温度」は、98℃である。第2熱交換器71は、第1熱交換器43と、供給ユニット6の供給タンク61との間に介在される。なお、第2熱交換器71の冷媒として、例えば、工業用水などの水が挙げられる。
【0083】
温度センサ72は、第2熱交換器71を通って供給タンク61に戻る熱媒体の温度を検知する。温度センサ72は、第2熱交換器71と供給タンク61との間において、戻しライン7に取り付けられる。
【0084】
バルブ73は、第2熱交換器71の冷媒ラインに取り付けられる。本実施形態では、バルブ73は、電動バルブである。バルブ73の開度を制御することにより、第2熱交換器71を通って供給タンク61に戻る熱媒体の温度を制御できる。後述する制御部は、温度センサ72によって検知された温度が「熱媒体が液体になる温度」以下になるように、バルブ73の開度を制御する。なお、バルブ73は、電磁バルブであってもよい。
【0085】
(7)バイパスライン8
バイパスライン8は、供給ライン62と戻しライン7とをバイパスする。バイパスライン8は、供給ライン62を流れる熱媒体の一部を、戻しライン7に供給する。詳しくは、バイパスライン8は、供給ポンプ621からブースターポンプ622に向かって流れる熱媒体の一部を、第1熱交換器43と第2熱交換器71との間において、戻しライン7に供給する。これにより、第2熱交換器71に入る熱媒体にバイパスライン8からの熱媒体を混ぜて、第2熱交換器71に入る熱媒体を冷却し、供給タンク61に戻る熱媒体を確実に液体にできる。バイパスライン8の一端は、供給ポンプ621とブースターポンプ622との間において、供給ライン62と接続される。バイパスライン8の他端は、第1熱交換器43と第2熱交換器71との間において、戻しライン7と接続される。バイパスライン8は、バルブ81を有する。
【0086】
バルブ81は、バイパスライン8の途中に取り付けられる。本実施形態では、バルブ81は、グローブバルブである。バルブ81は、作業者が温度調節システム1を使用するときに、作業者によって、必要により、開かれる。
【0087】
2.温度調節システム1の動作
次に、温度調節システム1の動作について説明する。
【0088】
温度調節システム1は、図示しない制御部によって制御される。温度調節システム1は、制御部によって制御されることにより、熱媒体供給ステップと、昇温ステップと、温度調節ステップとを実行可能である。
【0089】
(1)熱媒体供給ステップ
熱媒体供給ステップでは、温度調節システム1は、供給ユニット6から蒸気発生ユニット2に熱媒体を供給する。
【0090】
詳しくは、制御部は、供給ユニット6のフロートスイッチ63がオンであることを条件として、供給ポンプ621を作動させる。
【0091】
次に、制御部は、第1圧力スイッチ623がオンになったことを条件として、ブースターポンプ622を作動させる。
【0092】
すると、供給ポンプ621およびブースターポンプ622により、供給タンク61内の熱媒体が、ヒータユニット21Aのタンク211A、および、ヒータユニット21Bのタンク211Aに送られる。
【0093】
なお、このとき、ヒータユニット21Aの複数のバルブ213、および、ヒータユニット21Bの複数のバルブ213の全ては、閉じている。
【0094】
次に、制御部は、第2圧力スイッチ624がオンになったことを条件として、ヒータユニット21Aのポンプ216、および、ヒータユニット21Bのポンプ216を作動させる。
【0095】
すると、ヒータユニット21Aおよびヒータユニット21Bのそれぞれのタンク211A、211Bに熱媒体が溜まる。
【0096】
そして、ヒータユニット21Aのタンク211A、および、ヒータユニット21Bのタンク211Aに十分に熱媒体が溜まると、ヒータユニット21Aのフロートスイッチ214、および、ヒータユニット21Bのフロートスイッチ214は、オンになる。
【0097】
これにより、供給ユニット6から蒸気発生ユニット2への熱媒体の供給が、完了する。
【0098】
(2)昇温ステップ
次に、昇温ステップでは、温度調節システム1は、ヒータユニット21Aのタンク211A、211B内の熱媒体、および、ヒータユニット21Bのタンク211A、211B内の熱媒体を、所定の第1温度まで昇温する。第1温度は、例えば、120℃以上、好ましくは、125℃以上、より好ましくは、130℃以上であり、例えば、150℃未満である。本実施形態では、第1温度は、135℃である。
【0099】
詳しくは、制御部は、ヒータユニット21Aのフロートスイッチ214がオンであることを条件として、ヒータユニット21Aのヒータ212A、212Bをオンし、ヒータユニット21Bのフロートスイッチ214がオンであることを条件として、ヒータユニット21Bのヒータ212A、212Bをオンする。
【0100】
これにより、ヒータユニット21Aのタンク211A、211B内の熱媒体、および、ヒータユニット21Bのタンク211A、211B内の熱媒体の昇温が開始される。
【0101】
なお、制御部は、ヒータユニット21Aの温度センサ217によって検知された温度が第1温度になるように、ヒータユニット21Aのヒータ212A、212Bを制御する。
【0102】
また、制御部は、ヒータユニット21Bの温度センサ217によって検知された温度が第1温度になるように、ヒータユニット21Bのヒータ212A、212Bを制御する。
【0103】
ヒータユニット21Aの温度センサ217によって検知された温度が第1温度になれば、ヒータユニット21Aの昇温が完了する。
【0104】
また、ヒータユニット21Bの温度センサ217によって検知された温度が第1温度になれば、ヒータユニット21Bの昇温が完了する。
【0105】
(3)温度調節ステップ
次に、温度調節ステップでは、温度調節システム1は、対象Aの温度を調節する。
【0106】
詳しくは、対象Aを加熱する場合、制御部は、まず、ヒータユニット21Aの複数のバルブ213の全てを開く。複数のバルブ213は、タンク211A内の熱媒体の温度が、第1温度以上である状態で、開かれる。複数のバルブ213は、同じタイミングで開く。好ましくは、複数のバルブ213は、同時に開く。複数のバルブ213が同じタイミングで開くことにより、タンク211A内の気圧を一気に下げることができる。そのため、所望のタイミングで蒸気を大量に発生させることができる。
【0107】
ヒータユニット21Aからの蒸気は、蒸気供給ライン4を通って、過熱蒸気発生ユニット3のチャンバ31Aに供給される。
【0108】
ここで、ヒータユニット21Aの複数のバルブ213の全てを開くと、ヒータユニット21Aのタンク211A内の熱媒体の温度は、徐々に低下する。
【0109】
制御部は、ヒータユニット21Aの温度センサ217によって検知された温度が第2温度未満になったことを条件として、ヒータユニット21Aの複数のバルブ213の全てを閉じる。第2温度は、第1温度よりも低い。第2温度は、蒸気が発生する温度である。第2温度は、標準気圧における飽和温度である。第2温度は、例えば、110℃以上、好ましくは、120℃以上、例えば、130℃未満である。本実施形態では、第2温度は、128℃である。
【0110】
次に、制御部は、ヒータユニット21Bの温度センサ217によって検知された温度が第2温度以上であることを条件として、ヒータユニット21Bの複数のバルブ213の全てを開く。つまり、複数のヒータユニット21のうちの一のヒータユニット21Aのバルブ213は、複数のヒータユニット21のうちの他のヒータユニット21Bのバルブ213が閉じている状態で、開かれる。
【0111】
次に、制御部は、ヒータユニット21Bの温度センサ217によって検知された温度が第2温度未満になったことを条件として、ヒータユニット21Bの複数のバルブ213の全てを閉じ、ヒータユニット21Aの温度センサ217によって検知された温度が第2温度以上であることを条件として、ヒータユニット21Aの複数のバルブ213の全てを、再度開く。
【0112】
つまり、複数のバルブ213は、タンク211A内の熱媒体の温度が、蒸気が発生する温度(第2温度)以上である状態で、開かれる。また、制御部は、ヒータユニット21Aのバルブ213と、ヒータユニット21Bのバルブ213とを、交互に開く。これにより、蒸気発生ユニット2から過熱蒸気発生ユニット3へ、第2温度以上の蒸気を連続して供給できる。
【0113】
そして、制御部は、蒸気発生ユニット2から過熱蒸気発生ユニット3への蒸気の供給を開始した後、過熱蒸気発生ユニット3のヒータ32A、32Bをオンする。これにより、過熱蒸気発生ユニット3に供給された蒸気は、加熱され、過熱蒸気になる。過熱蒸気は、過熱蒸気供給ライン5を通って、対象Aに供給される。
【0114】
制御部は、過熱蒸気供給ライン5の温度センサ51によって検知された温度が第3温度になるように、ヒータ32A、32Bを制御する。第3温度は、第1温度よりも高い。本実施形態では、第3温度は、600℃である。
【0115】
過熱蒸気が対象Aに供給されることにより、対象Aは、加熱される。
【0116】
なお、対象Aを通過した熱媒体は、戻しライン7を通って、供給ユニット6に戻る。このとき、対象Aを通過した熱媒体は、第1熱交換器43を通る。対象Aを通過した熱媒体の温度が、蒸気発生ユニット2から過熱蒸気発生ユニット3に向かう蒸気の温度よりも高い場合、対象Aを通過した熱媒体は、第1熱交換器43内において、蒸気発生ユニット2から過熱蒸気発生ユニット3に向かう蒸気を加熱する。
【0117】
これにより、対象Aを通過した熱媒体の熱を利用して、省エネルギー化を図りつつ、蒸気発生ユニット2から過熱蒸気発生ユニット3に向かう蒸気を加熱できる。
【0118】
次に、加熱された対象Aを冷却する場合、制御部は、過熱蒸気発生ユニット3のヒータ32A、32Bをオフする。
【0119】
すると、蒸気発生ユニット2からの蒸気が、加熱されないまま、過熱蒸気発生ユニット3および過熱蒸気供給ライン5を通って、対象Aに供給される。これにより、過熱蒸気によって加熱されていた対象Aは、冷却される。
【0120】
ここで、過熱蒸気発生ユニット3のヒータ32A、32Bをオフすると、過熱蒸気発生ユニット3のチャンバ31A、31B内の温度が下がるので、蒸気発生ユニット2からの蒸気の一部は、チャンバ31A、31B内で凝縮し、液体となる。
【0121】
そこで、制御部は、チャンバ31A、31B内に溜まった液体の熱媒体を戻しライン7に戻すために、ドレンバルブ35を開く。
【0122】
詳しくは、制御部は、温度センサ33Aによって検知された温度、または、温度センサ33Bによって検知された温度のどちらかが第4温度以下になった場合に、ドレンバルブ35を開く。第4温度は、例えば、125℃以下、好ましくは、120℃以下である。本実施形態では、第4温度は、120℃である。
【0123】
本実施形態では、制御部は、ドレンバルブ35を間欠的に開く。具体的には、制御部は、ドレンバルブ35を第1時間開いた後、ドレンバルブ35を閉じ、第2時間経過したことを条件として、再度、温度センサ33Aによって検知された温度、および、温度センサ33Bによって検知された温度を取得する。そして、温度センサ33Aによって検知された温度、または、温度センサ33Bによって検知された温度のどちらかが第4温度以下であった場合、再度、ドレンバルブ35を開く。第1時間および第2時間は、適宜設定可能である。本実施形態では、第1時間は、5秒であり、第2時間は、7秒である。
【0124】
なお、制御部は、温度センサ33Aによって検知された温度、または、温度センサ33Bによって検知された温度のどちらかが第4温度以下であれば、対象Aを加熱する場合の初期など、対象Aを冷却する場合以外でもドレンバルブ35を開く。
【0125】
3.作用効果
(1)温度調節システム1によれば、図1に示すように、蒸気発生ユニット2と対象Aとの間に、過熱蒸気発生ユニット3が介在されている。
【0126】
そのため、蒸気発生ユニット2を、蒸気を発生可能な状態で待機させておき、対象Aに過熱蒸気を供給したいタイミングで、過熱蒸気発生ユニット3を作動させて、過熱蒸気を発生させることができる。
【0127】
その結果、対象Aに対して所望の温度の過熱蒸気を供給できる。
【0128】
(2)温度調節システム1によれば、図1に示すように、第1熱交換器43により、蒸気発生ユニット2から過熱蒸気発生ユニット3に向かう蒸気を、対象Aを通過した熱媒体との熱交換により加熱できる。
【0129】
そのため、対象Aを通過した熱媒体の熱を利用することにより、省エネルギー化を図りつつ、蒸気発生ユニット2から過熱蒸気発生ユニット3に向かう蒸気を加熱できる。
【0130】
(3)温度調節システム1によれば、図1に示すように、蒸気発生ユニット2に熱媒体を供給する供給ユニット6と、対象Aから第1熱交換器43を通って供給ユニット6に戻る熱媒体を冷却する第2熱交換器71とを備える。
【0131】
そのため、対象Aと供給ユニット6との間で熱媒体を循環させることができる。
【0132】
特に、熱媒体として工業用水または水道水を使用する場合、一般的なボイラーでは、蒸気または過熱蒸気を発生させることによって減少した分、工業用水または水道水を補充する。そのため、工業用水または水道水に含まれている硬質成分(スケール)などの不純物がボイラー内に蓄積する。そのため、熱媒体として工業用水または水道水を使用する場合、ボイラーでは、不純物を取り除くために軟水器等の設備が必要になる。
【0133】
この点、温度調節システム1によれば、対象Aと供給ユニット6との間で熱媒体を循環させるので、工業用水または水道水の補充を抑制できる。
【0134】
そのため、軟水器等の設備が無くても、温度調節システム1内における不純物の蓄積を抑制できる。
【0135】
(4)温度調節システム1によれば、ヒータユニット21のバルブ213は、タンク211A内の熱媒体の温度が、蒸気が発生する第2温度以上である状態で、開かれる。
【0136】
そのため、タンク211A内の熱媒体の温度が第2温度以上である状態で、バルブ213を閉じて蒸気発生ユニット2を待機させておき、対象Aに過熱蒸気を供給したいタイミングで、バルブ213を開いてタンク211A内の気圧を下げることにより、蒸気を発生させることができる。
【0137】
これにより、簡易な構成で、所望のタイミングで蒸気を発生させることができる。
【0138】
(5)温度調節システム1によれば、図1に示すように、蒸気発生ユニット2は、複数のヒータユニット21A、21Bを有する。
【0139】
そのため、蒸気の発生量を確保できる。
【0140】
(6)温度調節システム1によれば、複数のヒータユニット21のうちの一のヒータユニット21Aのバルブ213は、複数のヒータユニット21のうちの他のヒータユニット21Bのバルブ213が閉じている状態で、開かれる。
【0141】
言い換えると、対象Aに過熱蒸気を供給するとき、他のヒータユニット21Bのバルブ213を閉じた状態で、複数のヒータユニット21のうちの一のヒータユニット21Aだけ、バルブ213を開く。
【0142】
これにより、他のヒータユニット21B内の温度を、第2温度以上に維持した状態で、過熱蒸気発生ユニットに蒸気を送ることができる。
【0143】
(7)温度調節システム1によれば、各ヒータユニット21の複数のバルブ213は、同じタイミングで開く。
【0144】
これにより、タンク211A内の気圧を一気に下げることができる。
【0145】
その結果、所望のタイミングで蒸気を大量に発生させることができる。
【0146】
4.変形例
(1)温度調節システム1の装置構成は、限定されない。
【0147】
例えば、温度調節システム1は、1つの装置として構成されてもよい。
【0148】
また、例えば、温度調節システム1は、供給ユニット6、蒸気発生ユニット2および第2熱交換器71を備える第1の装置と、過熱蒸気発生ユニット3および第1熱交換器43を備える第2の装置とを含んでもよい。
【0149】
また、例えば、温度調節システム1は、供給ユニット6および第2熱交換器71を備える第1の装置と、蒸気発生ユニット2を備える第2の装置と、過熱蒸気発生ユニット3および第1熱交換器43を備える第3の装置とを含んでもよい。
【0150】
(2)複数のヒータユニット21のそれぞれは、複数のバルブ213の代わりに、1つの大口径のバルブを有してもよい。
【符号の説明】
【0151】
1 温度調節システム
2 蒸気発生ユニット
3 過熱蒸気発生ユニット
6 供給ユニット
21 ヒータユニット
43 第1熱交換器
71 第2熱交換器
211 タンク
212 ヒータ
213 バルブ
A 対象
図1