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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079577
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】歯車の製造方法及び歯車
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/32 20060101AFI20230601BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20230601BHJP
   C22C 38/22 20060101ALI20230601BHJP
   F16H 55/17 20060101ALI20230601BHJP
   C21D 1/06 20060101ALN20230601BHJP
   C21D 7/06 20060101ALN20230601BHJP
【FI】
C21D9/32 A
C22C38/00 301Z
C22C38/22
F16H55/17 Z
C21D1/06 A
C21D7/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193098
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】村松 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】石黒 太浩
(72)【発明者】
【氏名】田和 久佳
(72)【発明者】
【氏名】成宮 洋輝
(72)【発明者】
【氏名】山下 朋広
(72)【発明者】
【氏名】千葉 圭介
(72)【発明者】
【氏名】平上 大輔
【テーマコード(参考)】
3J030
4K042
【Fターム(参考)】
3J030BC03
4K042AA18
4K042BA01
4K042BA03
4K042BA09
4K042CA06
4K042CA08
4K042DA01
4K042DA02
4K042DA03
4K042DA04
4K042DC01
4K042DC02
4K042DC03
4K042DC04
(57)【要約】
【課題】効果的に歯車の強度を向上することができる歯車の製造方法及び歯車を提供すること。
【解決手段】歯車の製造方法は、原料鋼材を加熱することにより原料鋼材をオーステナイト状態としてオーステナイト化鋼材を生成するステップと、オーステナイト化鋼材に対して転造加工により歯面を成形した後、マルテンサイト変態温度以下に急冷するステップと、を有し、原料鋼材は、炭素を0.75~1.10質量%と、ケイ素を1.60~2.50質量%と、マンガンを0.20~1.50質量%と、硫黄を0.005~0.025質量%と、クロムを1.60~3.00質量%と、モリブデンを0.10~0.60質量%と、アルミニウムを0.005~0.100質量%と、窒素を0.010~0.025質量%と、を含有し、残部は鉄及び不純物の成分組成を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料鋼材を加熱することにより前記原料鋼材をオーステナイト状態としてオーステナイト化鋼材を生成するステップと、
前記オーステナイト化鋼材に対して転造加工により歯面を成形した後、マルテンサイト変態温度以下に急冷するステップと、を有し、
前記原料鋼材は、炭素を0.75~1.10質量%と、ケイ素を1.60~2.50質量%と、マンガンを0.20~1.50質量%と、硫黄を0.005~0.025質量%と、クロムを1.60~3.00質量%と、モリブデンを0.10~0.60質量%と、アルミニウムを0.005~0.100質量%と、窒素を0.010~0.025質量%と、を含有し、残部は鉄及び不純物の成分組成を有する歯車の製造方法。
【請求項2】
原料鋼材は、炭素を0.75~1.10質量%と、ケイ素を1.60~2.50質量%と、マンガンを0.20~1.50質量%と、硫黄を0.005~0.025質量%と、クロムを1.60~3.00質量%と、モリブデンを0.10~0.60質量%と、アルミニウムを0.005~0.100質量%と、窒素を0.010~0.025質量%と、を含有し、残部は鉄及び不純物の成分組成を有し、
歯面及び歯元の表層から300μmの範囲における旧オーステナイト粒の平均アスペクト比が8以上であり、
300℃で焼戻した時の歯面のビッカース硬さが850HV以上であり、
歯元の表層から300μmの範囲における最大圧縮残留応力が1500MPa以上である歯車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯車の製造方法及び歯車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の低燃費化及び低コスト化を目的として、自動車部品の小型軽量化が求められている。一方で、自動車に搭載されるエンジンの高出力化に伴い、その負荷に耐え得る高強度な自動車部品が強く望まれている。そこで、自動車部品をはじめとする機械部品の強度を向上させるために、材料及び表面処理等の改良が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、パワーローラの外輪(または内輪)素材に浸炭または浸炭窒化処理を施したのち、ローラまたはボールを用いた熱間転造によりベアリング溝部を形成し、焼入れ・焼戻しを行ったのち、研削超仕上げを行うトロイダル式無段変速用パワーローラ―及びその製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-234658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、鋼の強度向上に有効である浸炭または浸炭窒化処理と熱間転造とを施しても、製造されたパワーローラにおける強度向上の効果が低いという問題があった。
【0006】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、効果的に歯車の強度を向上することができる歯車の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
さらに、本発明の他の目的は、強度に優れた歯車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態にかかる歯車の製造方法は、原料鋼材を加熱することにより原料鋼材をオーステナイト状態としてオーステナイト化鋼材を生成するステップと、オーステナイト化鋼材に対して転造加工により歯面を成形した後、マルテンサイト変態温度以下に急冷するステップと、を有し、原料鋼材は、炭素を0.75~1.10質量%と、ケイ素を1.60~2.50質量%と、マンガンを0.20~1.50質量%と、硫黄を0.005~0.025質量%と、クロムを1.60~3.00質量%と、モリブデンを0.10~0.60質量%と、アルミニウムを0.005~0.100質量%と、窒素を0.010~0.025質量%と、を含有し、残部は鉄及び不純物の成分組成を有する。
【0009】
また、一実施の形態にかかる歯車は、原料鋼材は、炭素を0.75~1.10質量%と、ケイ素を1.60~2.50質量%と、マンガンを0.20~1.50質量%と、硫黄を0.005~0.025質量%と、クロムを1.60~3.00質量%と、モリブデンを0.10~0.60質量%と、アルミニウムを0.005~0.100質量%と、窒素を0.010~0.025質量%と、を含有し、残部は鉄及び不純物の成分組成を有し、歯面及び歯元の表層から300μmの範囲における旧オーステナイト粒の平均アスペクト比が8以上であり、300℃で焼戻した時の歯面のビッカース硬さが850HV以上であり、歯元の表層から300μmの範囲における最大圧縮残留応力が1500MPa以上である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、効果的に歯車の強度を向上することができる歯車の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、強度に優れた歯車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】比較例の歯車の製造方法及び実施の形態1にかかる歯車の製造方法を示すフローチャートである。
図2】実施の形態1にかかる歯車の製造方法における転造焼入れ工程を例示した図である。
図3】浸炭焼入れの熱履歴及び実施の形態1にかかる転造焼入れの熱履歴を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0013】
まず、本実施形態にかかる歯車の製造方法に用いる原料鋼材の成分組成について説明する。原料鋼材において、炭素は0.75~1.10質量%とする。炭素は、歯車の強度に大きく影響を及ぼす重要な元素である。転造加工後に十分な強度を確保する上で、炭素の含有量は0.75質量%以上とする必要があり、好ましくは0.80質量%以上である。一方、炭素の含有量が1.10質量%を超えると鋼の延性及び靭性が低下することに伴い加工性が低下する。そのため、炭素の含有量は1.10質量%以下とする必要があり、好ましくは1.05質量%以下である。
【0014】
また、ケイ素は1.60~2.50質量%とする。ケイ素は、鋼の焼戻し軟化抵抗を向上させ、温度上昇に伴う鋼の軟化を抑制する有用な元素である。鋼は、焼入れ後に冷間加工を施すことにより、硬度が向上する。特にケイ素を多量に含有する場合には、冷間加工後に行う焼戻しにより、鋼が軟化することを顕著に抑制する効果がある。この効果を得るために、ケイ素の含有量は1.60質量%以上とする必要があり、好ましくは1.80質量%以上である。一方、ケイ素の含有量が過剰であると、鋼の延性及び靭性が低下することに伴い加工性が低下するだけでなく、鋼が軟化することを顕著に抑制する効果が飽和してケイ素の含有量に見合う効果が期待できなくなる。そのため、ケイ素の含有量は2.50質量%以下とする。
【0015】
また、マンガンは0.20~1.50質量%とする。マンガンは、鋼の焼入れ性を高める効果がある元素である。この効果を得るために、マンガンの含有量は0.20質量%以上とする。一方、マンガンの含有量が1.50質量%を超えると、加工硬化性が過大になり加工性が低下するため、マンガンの含有量は1.50質量%以下とする。
【0016】
また、硫黄は0.005~0.025質量%とする。硫黄は、鋼の被削性を向上させる効果がある元素である。この効果を得るために、硫黄の含有量は0.005質量%以上とする。一方、硫黄の含有量が過剰であると、大量に生成した硫化マンガンによって延性が低下する。そのため、硫黄の含有量は0.025質量%以下とする。
【0017】
また、クロムは1.60~3.00質量%とする。クロムは、鋼の焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗を向上させる効果がある有用な元素である。この効果を得るために、クロムの含有量は1.60質量%以上とする。しかし、クロムの含有量が過剰であると、焼戻し軟化抵抗を向上させる効果は飽和する一方で、焼入れ性が高くなり過ぎる。そのため、クロムの含有量は3.00質量%以下とする。
【0018】
また、モリブデンは0.10~0.60質量%とする。モリブデンは、鋼の焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を向上させる効果がある有用な元素である。この効果を得るために、モリブデンの含有量は0.10質量%以上とする。しかし、モリブデンの含有量が0.60質量%を超えると鋼の焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を向上させる効果が飽和する一方で、加工性が低下する。そのため、モリブデンの含有量は0.60質量%以下とする。
【0019】
また、アルミニウムは0.005~0.100質量%とする。アルミニウムは、脱酸作用を有する。また、アルミニウムは、熱処理の際に窒素と結合して窒化アルミニウムを生成することにより、オーステナイト粒の粗大化を防止し、靭性を高める効果を持つ。この効果を得るために、アルミニウムの含有量は0.005質量%以上とする。一方、アルミニウムの含有量が0.100質量%を超えると、鋼の清浄度が低下するとともに、靭性を高める効果が飽和する。そのため、アルミニウムの含有量は0.100質量%以下とする。
【0020】
また、窒素は0.0010~0.0250質量%とする。窒素は、アルミニウムと結合して窒化アルミニウムを生成することにより、オーステナイト粒の粗大化を防止し、靭性を高める効果を持つ。この効果を得るために、窒素の含有量は0.0010質量%以上とする。一方、窒素の含有量が0.0250質量%を超えると靭性を高める効果が飽和するため、窒素の含有量は0.0250質量%以下とする。
【0021】
そして、原料鋼材が含有する成分の残部は、鉄及び不純物である。不純物の1つであるリンは、0.030質量%以下とする。リンは、粒界に偏析して粒界強度を下げるため、リンの含有量はなるべく低い方がよい。そのため、リンの含有量は0.030質量%以下とする。そして、不純物は、鋼の原料として使用される鉱石、スクラップ、又は製造工程の環境等から混入する成分であって、原料鋼材に意図的に含有させた成分ではない成分を意味する。以上が本実施形態にかかる歯車の製造方法に用いる原料鋼材の好適な成分組成である。
【0022】
本実施形態にかかる歯車の製造方法では、上記の成分組成を有する原料鋼材を歯車の母材として用いる。そこで、図1を参照して、歯車の製造工程について説明する。図1は、比較例の歯車の製造方法及び実施の形態1にかかる歯車の製造方法を示すフローチャートである。まず、図1に示す比較例の歯車の製造方法は、切削加工により歯面を成形する歯車の製造方法であって、浸炭処理の工程を含む。図1に示すように、比較例の歯車の製造方法は、以下のステップS1~S7の工程を有する。
【0023】
ステップS1の熱間鍛造工程では、用意した原料鋼材に対して熱間鍛造を行い、粗形状の鍛造品を得る。ステップS2の焼ならし工程では、鍛造品に対して焼ならしを行うことにより、鋼の組織を均一化した焼ならし品を得る。ステップS3のブランク加工工程では、焼ならし品の中心部に軸穴が形成されたブランク品を得る。ステップS4のホブ工程では、ブランク品に対して切削加工により歯車の歯面を成形したホブ品を得る。ステップS5の浸炭処理工程では、ホブ品の表面に炭素を拡散浸透させた浸炭処理品を得る。ステップS6のショット工程では、ショットピーニングにより、浸炭処理品の歯面及び歯元の表層部に圧縮残留応力を生じさせた後加工品を得る。ステップS7の歯研工程では、後加工品の歯面を滑らかにした歯車を得る。
【0024】
上述の工程について、以下に詳細に説明する。ステップS1の熱間鍛造工程では、歯車の材料として原料鋼材を用意する。用意した原料鋼材は、例えば1200±30℃に加熱した状態で、熱間鍛造を行うことにより、予備成形した鍛造品を得る。この工程により得られる鍛造品は、例えば、略円柱形状を有する。より具体的には、当該円柱の軸方向の中央部分が他の部分より径が大きい円柱形状を有する大径部と、当該軸方向の大径部を除く両端部分の径が大径部よりも径が小さい円柱形状を有する小径部と、から構成されるものである。熱間鍛造により得られた鍛造品は、鍛造品の内部にその形状に沿ったファイバーフローが形成され、鋼の強度及び靭性が高められる。
【0025】
ステップS2の焼ならし工程では、ステップS1で得られた鍛造品を900±20℃で60分間保持した後に空冷することにより焼ならしを行い、焼ならし品を得る。この工程により、鋼の結晶粒の微細化、結晶組織の均一化、被削性の向上、及び残留応力の除去を行うことができる。
【0026】
ステップS3のブランク加工工程では、ステップS2で得られた焼ならし品の中心部に、旋盤を用いて軸穴を穴開け加工することによりブランク品を得る。ステップS4のホブ工程では、ステップS3で得られたブランク品に対してホブ盤を用いた切削加工を行うことにより、ブランク品の歯面を歯車形状に成形したホブ品を得る。
【0027】
ステップS5の浸炭処理工程では、ガス浸炭法を用いる。ステップS4で得られたホブ品を、カーボンポテンシャル0.8質量%、950℃で加熱保持し、その後、カーボンポテンシャル0.8質量%のまま、845℃まで降温した後、油焼入れを行う。さらに、150℃で60分間の焼き戻しを行う。なお、浸炭処理工程の条件は特に限定されず、公知又は任意の条件とすればよい。以上の浸炭処理により、浸炭部分を硬化させた浸炭処理品を得る。浸炭処理により、材料の表面における硬度が向上する。
【0028】
ステップS6のショット工程では、ステップS5で得られた浸炭処理品にショットピーニングを行うことにより後加工品を得る。ショットピーニングでは、浸炭処理品に無数のショットを投射することにより、歯面及び歯元の表層部に圧縮残留応力を生じさせ、歯面及び歯元の疲労強度を高めることができる。ステップS7では、ステップS6で得られた後加工品に対して、研磨等により後加工品の歯面を滑らかにする歯研工程を行うことにより、歯車を得る。
【0029】
続いて、図1に示す実施の形態1にかかる歯車の製造方法は、転造加工により歯面を成形する歯車の製造方法であって、工程中に浸炭処理を必要としない。図1に示すように、実施の形態1にかかる歯車の製造方法は、以下のステップS11~S16の工程を有する。
【0030】
ステップS11の熱間鍛造工程では、用意した原料鋼材に対して熱間鍛造を行い、粗形状の鍛造品を得る。ステップS12の球状化焼なまし工程では、鍛造品に対して球状化焼なましを行うことにより、鋼の被塑性加工性及び靭性を向上させた焼なまし品を得る。ステップS13のブランク加工工程では、焼なまし品の中心部に軸穴が形成されたブランク品を得る。ステップS14の転造焼入れ工程では、ブランク品を加熱することによりオーステナイト状態とし、この状態において、転造加工により歯面を成形した後、マルテンサイト変態温度以下に急冷することにより、転造焼入れ品を得る。ステップS15のショット工程では、ショットピーニングにより、転造焼入れ品の歯面及び歯元の表層部に圧縮残留応力を生じさせた後加工品を得る。ステップS16の歯研工程では、後加工品の歯面を滑らかにした歯車を得る。
【0031】
上述の工程について、以下に詳細に説明する。ステップS11の熱間鍛造工程は、用いる原料鋼材が異なる点を除いて、比較例の歯車の製造方法におけるステップS1と同様である。原料鋼材は、上述した通り、本実施形態にかかる歯車の製造方法に好適な成分組成を有する原料鋼材を用いる。すなわち、原料鋼材は、炭素を0.75~1.10質量%と、ケイ素を1.60~2.50質量%と、マンガンを0.20~1.50質量%と、硫黄を0.005~0.025質量%と、クロムを1.60~3.00質量%と、モリブデンを0.10~0.60質量%と、アルミニウムを0.005~0.100質量%と、窒素を0.010~0.025質量%と、を含有し、残部は鉄及び不純物の成分組成を有する。熱間鍛造により得られた鍛造品は、鍛造品の内部にその形状に沿ったファイバーフローが形成され、鋼の強度及び靭性が高められる。
【0032】
ステップS12の球状化焼なまし工程では、ステップS11で得られた鍛造品を例えば820±10℃に加熱した後、10時間かけて700℃±10℃へ徐冷してから空冷することにより球状化焼なましを行い、焼なまし品を得る。なお、球状化焼なまし工程の条件は特に限定されず、鋼中のセメンタイトを球状化させることができる公知又は任意の条件とすればよい。この工程により、鋼の結晶組織の均一化を行うとともに、鋼中のセメンタイトを球状化することができる。球状化焼なましを施した鋼は軟らかくなり、加工性が向上する。
【0033】
ステップS13のブランク加工工程では、ステップS12で得られた焼なまし品の中心部に、旋盤を用いて軸穴を穴開け加工することによりブランク品を得る。ステップS14の転造焼入れ工程では、ステップS13で得られたブランク品に対して、その金属組織がオーステナイト状態となるように、例えば1000±25℃の温度に30秒で昇温した後、5秒間保持する。これにより、オーステナイト化鋼材を得る。なお、金属組織がオーステナイト状態となる変態点は原料鋼材の炭素含有量により変化する。そのため、加熱温度と保持時間は特に限定されず、原料鋼材の炭素含有量に応じて適切な条件を選択することができる。
【0034】
続いて、得られたオーステナイト化鋼材は転造装置に設置され、転造ダイスを用いた塑性加工を行うことにより、ブランク品の歯面を歯車形状に成形する。ここで、図2を参照して、ステップS14の転造焼入れ工程に用いられる転造装置の一例について説明する。図2は、実施の形態1にかかる歯車の製造方法における転造焼入れ工程を例示した図である。
【0035】
まず、図2のステップS101及びS102に示すように、転造装置110は、対向する一対の転造ダイス111、112と、支持具113と、を有する。転造ダイス111、112は、略円柱形状を有する。転造ダイス111、112は、外周面に成形材料の歯面に歯形を形成するための転造面を有する。また、転造ダイス111、112は、転造ダイス111、112の中心軸を中心として回動可能なように、転造装置110により支持される。転造装置110において、転造ダイス111、112は、転造ダイス111の外周面と、転造ダイス112の外周面と、が対向するように、所定距離だけ離間して配置される。そして、支持具113は、先端に棒状の軸部を有し、成形材料を支持するものである。
【0036】
このような転造装置110を用いて成形する成形材料として、上述のステップS11~S13により得られたブランク品を用いることができる。図2のステップS101に示すように、ブランク品W1は、円柱の軸方向の中央部分が他の部分より径が大きい円柱形状を有する大径部W2と、当該軸方向の大径部W2を除く両端部分の径が大径部W2よりも径が小さい円柱形状を有する小径部W3と、から構成される略円柱形状である。そして、ブランク品W1には、当該円柱の中央部に軸穴W4が形成されている。
【0037】
軸穴W4には、転造装置110が有する支持具113の軸部が挿入される。これにより、ブランク品W1は、転造装置110が有する転造ダイス111と転造ダイス112との間に設置される。軸穴W4に支持具113の軸部が挿入された状態において、ブランク品W1は、支持具113により支持されるとともに、ブランク品W1の中心軸を中心として回動可能である。
【0038】
そして、ステップS101に示すように、転造装置110にブランク品W1が設置された状態において、同一方向に回転する転造ダイス111、112がブランク品W1に向かって移動する。これにより、転造ダイス111、112は大径部W2の外周面を押圧するように当該外周面に当接する。転造ダイス111、112は大径部W2の外周面を押圧しながら、転造ダイス111、112とブランク品W1とが回動する。
【0039】
上述の成形動作を行うことにより、ステップS102に示すように、大径部W2の外周面が塑性変形して、溝部W5が形成された転造品W10が得られる。さらに、所望の形状に成形された転造品W10は、780~950℃の温度範囲から水焼入れが施され、例えば10秒間で50℃以下まで急冷される。これにより、大径部W2の外周面は急冷されるため、当該外周面の表層部における金属組織がマルテンサイト組織に変態する。
【0040】
なお、水焼入れ開始時点の温度が780℃未満である場合、鋼中にオーステナイト組織が存在しない状態で焼入れられるため、マルテンサイト組織が得られない。水焼入れ開始時点の温度が950℃を超える場合、オーステナイト組織中の炭素濃度が過剰な状態で焼入れられ、後工程において冷間加工を施しても、鋼中に多量の未変態オーステナイト組織が残存してしまう。これは、300℃焼戻し硬さ(歯車を300℃で焼戻した時の歯面のビッカース硬さ)の低下を招く。したがって、780~950℃の温度範囲から水焼入れを開始することが好ましい。
【0041】
水焼入れの後、例えば150℃で1時間の焼戻しが施される。以上の転造焼入れ工程により、ステップS14では、大径部W2の外周面に転造ダイス111、112の外周面の形状が転写され、歯面が歯車形状に成形された成形品が得られる。この転造焼入れ工程における加熱には、例えば高周波誘導加熱装置を用いることができる。
【0042】
このように、転造加工では、成形材料表面の材料流動によって歯面を成形するため、成形品における歯面は緻密化して強度が向上する。さらに、急冷を行うことにより、金属組織はマルテンサイト組織に変態するため、成形品における歯面の表層部の硬度が向上する。ステップS11~S14を経て得られた成形品は、300℃焼戻し硬さが850HV以上であることが好ましい。
【0043】
成形品に対して後加工を施すステップS15のショット工程は、比較例の歯車の製造方法におけるステップS6と同様である。ステップS15では、ステップS14で得られた成形品にショットピーニングを行うことにより後加工品を得る。ショットピーニングでは、成形品に無数のショットを投射することにより、成形品の歯面及び歯元の表層部に圧縮残留応力を生じさせ、歯面及び歯元の疲労強度を高めることができる。後加工品の表面硬さは950HV以上であることが好ましく、1050HV以上であることがさらに好ましい。
【0044】
後加工の手法は、ショットピーニングに限らず、ローラーバニシングや冷間転造等であってもよい。成形品の表層に圧縮残留応力を導入できる冷間加工であって、表面粗さを極力大きくしない方法であればこれらに限定されない。そして、ステップS16では、ステップS15で得られた後加工品に対して、研磨等により後加工品の歯面を滑らかにする歯研工程を行うことにより、歯車を得る。
【0045】
ところで、比較例の歯車の製造方法では、歯面の成形方法は切削加工(歯切り加工)であるため、原料鋼材には良好な被削性が求められる。したがって、原料鋼材の成分組成は、鋼の強度を向上させるために有用である炭素とケイ素といった元素の含有量を少なくして、被削性の低下を防ぐ必要がある。すなわち、歯車の歯切り加工では、原料鋼材として低炭素鋼を用いることに伴い、後工程において浸炭処理が施される。また、浸炭処理を施す場合、ケイ素の含有量が多い鋼では浸炭性が悪化するという問題が生じるため、原料鋼材におけるケイ素の含有量は低減する必要がある。このように、比較例の歯車の製造方法では、工具破損や工具寿命の観点からも高硬度の原料鋼材を用いることが困難である。
【0046】
また、比較例の歯車の製造方法では、ステップS1の熱間鍛造工程で形成されたファイバーフローは、ステップS4のホブ工程で施される切削加工により切断される。そのため、製造された歯車においてファイバーフローに起因する強度及び靭性の向上が望めない。
【0047】
一方、本実施形態にかかる歯車の製造方法では、歯面の成形方法は転造加工であるため、炭素とケイ素といった元素の含有量が高い高硬度の原料鋼材を加工することができるという特徴を有する。また、原料鋼材が高炭素鋼であれば、浸炭処理を施す必要がないため、切削加工と比較して原料鋼材におけるケイ素の含有量を増量することができる。原料鋼材におけるケイ素の含有量が増加すると、歯車の面圧疲労強度が向上する。よって、製造された歯車の強度の向上が望める。
【0048】
また、本実施形態にかかる歯車の製造方法では、ステップS11の熱間鍛造工程でファイバーフローが形成された後に、ファイバーフローの切断を伴う工程はない。そのため、製造された歯車においてファイバーフローに起因する強度及び靭性の向上が望める。
【0049】
さらに、本実施形態にかかる歯車の製造方法によれば、転造加工により鋼材の結晶中に転位が蓄積されて鋼材の表面に加工硬化が生じる。このようなひずみの効果が得られるという特徴を有する。ここで、図3を参照して、本実施形態におけるひずみの効果の導入について説明する。図3は浸炭焼入れの熱履歴及び実施の形態1にかかる転造焼入れの熱履歴を示す説明図である。図3の浸炭焼入れの熱履歴は、成形材料に対して、例えば冷間鍛造のような塑性加工により形状を付与するとともに、ひずみの効果を導入した後、浸炭焼入れを施すことにより強度を付与する製造工程を示す。この場合、冷間鍛造期間201にひずみの効果が導入されて硬化した鋼材に対して、浸炭処理温度で浸炭処理期間202の加熱を行った後に、焼入れ期間203の焼入れが施される。浸炭処理は、鋼材の強度を向上するために行われるものであるが、浸炭処理の加熱温度は転位を消失させる程の高温であるため、浸炭処理期間202にひずみの効果が消失してしまう。したがって、このような製造工程により製造された製品では、ひずみの効果が得られない。
【0050】
一方、図3の実施の形態1にかかる転造焼入れの熱履歴は、成形材料に対して、転造加工により形状及び強度を付与するとともに、ひずみの効果を導入する製造工程を示す。この場合、転造期間212にひずみの効果が導入されて硬化した鋼材に対して、焼入れ期間213の焼入れが施される。このような製造工程によれば、ひずみの効果を消失させる加熱を行う必要がない。したがって、焼入れが完了した後にもひずみの効果が導入された状態を維持することができる。よって、得られた歯車の強度が向上する。
【0051】
以下、比較例の歯車の製造方法、或いは、実施の形態1にかかる歯車の製造方法に基づいて製造された歯車の製造例について、表1及び表2を参照して説明する。表1は原料鋼材の成分組成を示す。表1に示す原料鋼材A~Jのうち、原料鋼材A~F、I及びJは、本実施形態にかかる歯車の製造方法に好適な範囲内の成分組成を有する。原料鋼材G及びHは、当該好適な成分組成を満たさない原料鋼材である。具体的には、原料鋼材Gはケイ素含量が低く、原料鋼材Hは炭素含量が低いものである。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
表2は歯車の製造例を示す。表2に示す区分のうち、実施例1~6は、本実施形態にかかる歯車の製造方法により製造された歯車の製造例である。参考例7~10は、本実施形態にかかる歯車の製造方法の条件を満たさない場合における歯車の製造例である。なお、表1及び表2において、本実施形態の範囲外であるデータにはアンダーラインを付して表示している。
【0055】
また、以下の説明において、各製造方法を歯面の成形方法により分類し、比較例の歯車の製造方法(ステップS1~S7)をホブ法と称し、実施の形態1にかかる歯車の製造方法(ステップS11~S16)を転造法と称する場合がある。また、製造された歯車のそれぞれについて、旧オーステナイト粒の平均アスペクト比と、300℃焼戻し硬さと、最大圧縮残留応力と、を調査した。各測定方法について、説明する。
【0056】
旧オーステナイト粒の平均アスペクト比の測定方法は、まず、歯車の歯面に対して垂直な面で歯車を切断し、切断面を研磨した後、腐食によって旧オーステナイト粒を現出させる。これを被観察試料とする。次に、被観察試料の切断面を光学顕微鏡にて観察する。さらに、歯面及び歯元の表層から300μmの範囲における旧オーステナイト粒をランダムに100個抽出し、長径を短径で除した値を各旧オーステナイト粒のアスペクト比として算出した。算出された各旧オーステナイト粒のアスペクト比から平均値を算出し、旧オーステナイト粒の平均アスペクト比とした。
【0057】
なお、歯車においては、歯面及び歯元の表層から300μmの範囲に高い応力が作用するため、歯車を高強度化するためには当該範囲を強化する必要がある。旧オーステナイト粒の平均アスペクト比は、値が大きいほど、焼入れ後の製品(本実施形態における転造焼入れ品)にひずみの効果が残存していることを意味する。歯車の歯面及び歯元の表層から300μmにおける旧オーステナイト粒の平均アスペクト比が8未満の場合、ひずみの効果が不十分と考えられる。ひずみの効果を確実に得るためには、歯車の歯面及び歯元の表層から300μmの範囲における旧オーステナイト粒の平均アスペクト比は8以上であることが好ましい。
【0058】
300℃焼戻し硬さの測定方法は、まず、歯車を300℃で1時間保持した後、放冷する。その後、歯面に対して垂直な面で歯車を切断し、切断面を研磨する。これを被測定試料とする。さらに、JIS Z 2244:2009に規定されるビッカース硬さ試験に準じて、被測定試料における切断面の表面から50μmの位置で、ビッカース硬さを測定する。なお、試験荷重は300gfとする。そして、前記手順で5点のビッカース硬さを測定し、その平均値を歯面の300℃焼戻し硬さとした。
【0059】
最大圧縮残留応力は、X線回折を利用したX線応力測定方法を用いて歯車の歯元の表層から300μmの範囲で圧縮残留応力を測定し、その最大値を最大圧縮残留応力とした。
【0060】
続いて、表2に示した歯車の製造例の詳細について説明する。表2に示した実施例1では、表1に示した鋼Aから転造法により歯車を製造した。得られた歯車の旧オーステナイト粒の平均アスペクト比は8.5、300℃焼戻し硬さは860HV、最大圧縮残留応力は1520MPaであった。
【0061】
表2に示した実施例2では、表1に示した鋼Bから転造法により歯車を製造した。得られた歯車の旧オーステナイト粒の平均アスペクト比は9.0、300℃焼戻し硬さは910HV、最大圧縮残留応力は1546MPaであった。
【0062】
表2に示した実施例3では、表1に示した鋼Cから転造法により歯車を製造した。得られた歯車の旧オーステナイト粒の平均アスペクト比は10.8、300℃焼戻し硬さは968HV、最大圧縮残留応力は1598MPaであった。
【0063】
表2に示した実施例4では、表1に示した鋼Dから転造法により歯車を製造した。得られた歯車の旧オーステナイト粒の平均アスペクト比は8.7、300℃焼戻し硬さは898HV、最大圧縮残留応力は1532MPaであった。
【0064】
表2に示した実施例5では、表1に示した鋼Eから転造法により歯車を製造した。得られた歯車の旧オーステナイト粒の平均アスペクト比は9.7、300℃焼戻し硬さは930HV、最大圧縮残留応力は1566MPaであった。
【0065】
表2に示した実施例6では、表1に示した鋼Fから転造法により歯車を製造した。得られた歯車の旧オーステナイト粒の平均アスペクト比は9.9、300℃焼戻し硬さは932HV、最大圧縮残留応力は1573MPaであった。
【0066】
表2に示した参考例7では、表1に示した鋼Gから転造法により歯車を製造した。得られた歯車の旧オーステナイト粒の平均アスペクト比は8.8、300℃焼戻し硬さは755HV、最大圧縮残留応力は1297MPaであった。
【0067】
表2に示した参考例8では、表1に示した鋼Hから転造法により歯車を製造した。得られた歯車の旧オーステナイト粒の平均アスペクト比は9.5、300℃焼戻し硬さは769HV、最大圧縮残留応力は1302MPaであった。
【0068】
表2に示した参考例9では、表1に示した鋼Iから転造法により歯車を製造した。ただし、参考例9では、ステップS15のショット工程を省略した。得られた歯車の旧オーステナイト粒の平均アスペクト比は8.9、300℃焼戻し硬さは746HV、最大圧縮残留応力は182MPaであった。
【0069】
表2に示した参考例10では、表1に示した鋼Iからホブ法により歯車を製造した。得られた歯車の旧オーステナイト粒の平均アスペクト比は1.8、300℃焼戻し硬さは790HV、最大圧縮残留応力は1508MPaであった。
【0070】
これらの結果から明らかなように、実施の形態1にかかる歯車の製造方法に基づいて製造された実施例1~6の歯車では、旧オーステナイト粒の平均アスペクト比が8.5以上、300℃焼戻し硬さが860HV以上、最大圧縮残留応力が1520MPa以下のスペックが得られた。一方、参考例7~10では、旧オーステナイトアスペクト比と300℃焼戻し硬さと最大圧縮残留応力との3つのデータのうち、2つのデータが実施例1~6のスペックを満足しないという結果が得られた。
【0071】
また、以上の製造例により示唆されるように、実施の形態1にかかる歯車の製造方法によれば、炭素及びケイ素の含有量が高い原料鋼材を使用することができる。原料鋼材の高炭素化は浸炭工程の省略を可能とし、これにより高ケイ素材の使用が可能となる。そして、原料鋼材の高ケイ素化により、歯車の面圧疲労強度が向上する。
【0072】
さらに、実施の形態1にかかる歯車の製造方法によれば、歯面及び歯元の表層から300μmにおける旧オーステナイト粒の平均アスペクト比が8以上の歯車を得ることができる。実施の形態1にかかる歯車の製造方法では、転造加工により成形材料に対して形状及び強度を付与した後に焼入れを施す。すなわち、転造加工により導入されたひずみの効果を消失させるような加熱を伴わないため、製造された歯車はひずみの効果を得ることができる。また、切削加工を伴わないため、製造された歯車にはファイバーフローが残存する。よって、歯車の強度及び靭性が向上する。
【0073】
さらに、実施の形態1にかかる歯車の製造方法によれば、転造加工により歯面を成形するため、用いる原料鋼材において、焼戻し軟化抵抗の向上に寄与するケイ素の含有量を増量できる。さらに、製造された歯車にはひずみの効果が得られるため、焼戻し軟化抵抗はさらに向上する。これらにより、歯面の300℃焼戻し硬さが850HV以上の歯車を得ることが可能であるとともに、歯車の面圧疲労強度が向上する。
【0074】
さらに、実施の形態1にかかる歯車の製造方法によれば、ショットピーニング等の後加工を施すことにより、歯車の歯元の表層から300μmの範囲における最大圧縮残留応力が1500MPa以上の歯車を得ることが可能である。圧縮残留応力は、亀裂の発生や進展を抑制することで、歯車の歯元曲げ疲労強度を向上させる。
【0075】
本実施形態にかかる歯車の製造方法は上述の効果を有する。そして、本実施形態にかかる歯車の製造方法に基づき製造された実施例1~6の歯車は、参考例7~10の歯車より強度に優れていることが確認された。本実施形態にかかる歯車の製造方法は、歯車の強度向上に有効な原料鋼材の成分組成と、転造加工と、熱処理と、により、効果的に歯車の強度を向上することができる。
【符号の説明】
【0076】
110 転造装置
111 転造ダイス
112 転造ダイス
113 支持具
201 冷間鍛造期間
202 浸炭処理期間
203、213 焼入れ期間
212 転造期間
W1 ブランク品
W2 大径部
W3 小径部
W4 軸穴
W5 溝部
W10 転造品
図1
図2
図3