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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079587
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】4輪走行装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 7/14 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
B62D7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193118
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】519029295
【氏名又は名称】株式会社Hakobot
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】平田 泰大
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 優稀
【テーマコード(参考)】
3D034
【Fターム(参考)】
3D034AA03
3D034BC02
3D034BC03
3D034BC05
3D034BC30
3D034CA01
3D034CC02
3D034CC03
3D034CC09
3D034CC17
3D034CD01
3D034CD18
3D034CE02
3D034CE03
3D034CE13
(57)【要約】
【課題】新たなステアリング機構を有する4輪走行装置を提供する。
【解決手段】1つのリニアアクチュエータの伸縮運動をリンクを介して第1前輪、第2前輪、第1後輪および第2後輪の水平面内での回転運動に変換することによってステアリングを行う4輪走行装置であって、前記リニアアクチュエータは、前記第1前輪および前記第2前輪を結ぶ線と平行に伸縮する、4輪走行装置が提供される。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのリニアアクチュエータの伸縮運動をリンクを介して第1前輪、第2前輪、第1後輪および第2後輪の水平面内での回転運動に変換することによってステアリングを行う4輪走行装置であって、
前記リニアアクチュエータは、前記第1前輪および前記第2前輪を結ぶ線と平行に伸縮する、4輪走行装置。
【請求項2】
1つのリニアアクチュエータの伸縮運動をリンクを介して第1前輪、第2前輪、第1後輪および第2後輪の水平面内での回転運動に変換することによってステアリングを行う4輪走行装置であって、
前記第1前輪用のリンクと、前記第2前輪用のリンクと、前記第1後輪用のリンクと、前記第2後輪用のリンクと、のうち少なくとも2つは同一形状である、4輪走行装置。
【請求項3】
前記第1前輪用のリンクと、前記第2前輪用のリンクと、前記第1後輪用のリンクと、前記第2後輪用のリンクと、はいずれも同一形状である、請求項2に記載の4輪走行装置。
【請求項4】
1つのリニアアクチュエータの伸縮運動をリンクを介して第1前輪、第2前輪、第1後輪および第2後輪の水平面内での回転運動に変換することによってステアリングを行う4輪走行装置であって、
前記第1前輪用のリンクと前記第1後輪用のリンクはほぼ第1水平面にあって、前記第1水平面内で回転し、
前記第2前輪用のリンクと前記第2後輪用のリンクはほぼ第2水平面にあって、前記第2水平面内で回転し、
前記第1水平面と前記第2水平面は異なる、4輪走行装置。
【請求項5】
前記第1前輪と、
前記第2前輪と、
前記第1前輪の後方に位置する前記第1後輪と、
前記第2前輪の後方に位置する前記第2後輪と、
前記リニアアクチュエータと、
前記リンクと、を備え、
前記リンクは、前記第1前輪用の第1リンク、前記第2前輪用の第2リンク、前記第1後輪用の第3リンクおよび前記第2後輪用の第4リンクを含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の4輪走行装置。
【請求項6】
前記リニアアクチュエータは、所定方向に伸縮するロッドを有し、
当該4輪走行装置は、前記ロッドと連動して前記所定方向に移動するブリッジを備え、
前記第1リンクおよび前記第3リンクは、前記ロッドに設けられた第1シャフトによって前記リニアアクチュエータの伸縮に連動して水平面内で回転し、
前記第2リンクおよび前記第4リンクは、前記ブリッジに設けられた第2シャフトによって前記リニアアクチュエータの伸縮に連動して水平面内で回転する、請求項5に記載の4輪走行装置。
【請求項7】
前記第1リンクおよび前記第3リンクのそれぞれには、スリットが設けられ、
前記第1シャフトが、前記第1リンクおよび前記第3リンクの前記スリットに滑動可能に嵌まっている、請求項6に記載の4輪走行装置。
【請求項8】
前記第2リンクおよび前記第4リンクのそれぞれには、スリットが設けられ、
前記第2シャフトが、前記第2リンクおよび前記第4リンクの前記スリットに滑動可能に嵌まっている、請求項6または7に記載の4輪走行装置。
【請求項9】
前記スリットは、直進時の状態において、前記第1前輪と前記第1後輪とを結ぶ線と平行に延びている、請求項7または8に記載の4輪走行装置。
【請求項10】
前記第1乃至第4リンクのそれぞれには、前記ロッドと連動しない第3シャフトが嵌められた小孔が設けられ、
前記第1乃至第4リンクのそれぞれは、前記小孔を中心として水平面内で回転する、請求項5乃至9のいずれかに記載の4輪走行装置。
【請求項11】
前記リニアアクチュエータは、前記第1前輪と前記第2前輪の中心と、前記第1後輪と前記第2後輪の中心と、を結ぶ線より前記第1前輪および前記第1後輪側に配置され、
前記リニアアクチュエータのロッドが基準位置にある場合、当該4輪走行装置は直進し、
前記リニアアクチュエータのロッドが基準位置から伸びた場合、当該4輪走行装置は第2前輪および前記第2後輪側の方向に曲がり、
前記リニアアクチュエータのロッドが基準位置から縮んだ場合、当該4輪走行装置は第1前輪および前記第1後輪側の方向に曲がる、請求項5乃至10のいずれかに記載の4輪走行装置。
【請求項12】
カメラと、
前記カメラの映像に基づいて前記リニアアクチュエータの伸縮を自動制御するコントローラと、を備える、請求項5乃至11のいずれかに記載の4輪走行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4輪走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、走行車両のステアリング装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4109361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、新たなステアリング機構を有する4輪走行装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、1つのリニアアクチュエータの伸縮運動をリンクを介して第1前輪、第2前輪、第1後輪および第2後輪の水平面内での回転運動に変換することによってステアリングを行う4輪走行装置であって、前記リニアアクチュエータは、前記第1前輪および前記第2前輪を結ぶ線と平行に伸縮する、4輪走行装置が提供される。
【0006】
ここで、第1前輪、第2前輪、第1後輪および第2後輪は、例えばそれぞれ左前輪、右前輪、左後輪および右後輪である。リニアアクチュエータが左前輪と右前輪とを結ぶ線と平行に伸縮することで、4輪走行装置を小型化できる。
【0007】
本発明の一態様によれば、1つのリニアアクチュエータの伸縮運動をリンクを介して第1前輪、第2前輪、第1後輪および第2後輪の水平面内での回転運動に変換することによってステアリングを行う4輪走行装置であって、前記第1前輪用のリンクと、前記第2前輪用のリンクと、前記第1後輪用のリンクと、前記第2後輪用のリンクと、のうち少なくとも2つは同一形状である、4輪走行装置が提供される。
【0008】
前記第1前輪用のリンクと、前記第2前輪用のリンクと、前記第1後輪用のリンクと、前記第2後輪用のリンクと、はいずれも同一形状であってもよい。
【0009】
ここで、第1前輪、第2前輪、第1後輪および第2後輪は、例えばそれぞれ左前輪、右前輪、左後輪および右後輪である。左前輪用のリンクと、右前輪用のリンクと、左後輪用のリンクと、右後輪用のリンクと、のうち少なくとも2つ(望ましくは4つ全て)を同一形状とすることで、製造コストを削減できる。
【0010】
本発明の一態様によれば、1つのリニアアクチュエータの伸縮運動をリンクを介して第1前輪、第2前輪、第1後輪および第2後輪の水平面内での回転運動に変換することによってステアリングを行う4輪走行装置であって、前記第1前輪用のリンクと前記第1後輪用のリンクはほぼ第1水平面にあって、前記第1水平面内で回転し、前記第2前輪用のリンクと前記第2後輪用のリンクはほぼ第2水平面にあって、前記第2水平面内で回転し、前記第1水平面と前記第2水平面は異なる、4輪走行装置が提供される。
【0011】
ここで、第1前輪、第2前輪、第1後輪および第2後輪は、例えばそれぞれ左前輪、右前輪、左後輪および右後輪である。左前輪用のリンクと左後輪用のリンクとが同一水平面内で回転し、右前輪用のリンクと右後輪用のリンクとが別の同一水平面内で回転するようにすることで、4輪走行装置を小型化できる。
【0012】
4輪走行装置は、前記第1前輪と、前記第2前輪と、前記第1前輪の後方に位置する前記第1後輪と、前記第2前輪の後方に位置する前記第2後輪と、前記リニアアクチュエータと、前記リンクと、を備え、前記リンクは、前記第1前輪用の第1リンク、前記第2前輪用の第2リンク、前記第1後輪用の第3リンクおよび前記第2後輪用の第4リンクを含んでいてよい。
【0013】
前記リニアアクチュエータは、所定方向に伸縮するロッドを有し、当該4輪走行装置は、前記ロッドと連動して前記所定方向に移動するブリッジを備え、前記第1リンクおよび前記第3リンクは、前記ロッドに設けられた第1シャフトによって前記リニアアクチュエータの伸縮に連動して水平面内で回転し、前記第2リンクおよび前記第4リンクは、前記ブリッジに設けられた第2シャフトによって前記リニアアクチュエータの伸縮に連動して水平面内で回転してよい。
【0014】
前記第1リンクおよび前記第3リンクのそれぞれには、スリットが設けられ、前記第1シャフトが、前記第1リンクおよび前記第3リンクの前記スリットに滑動可能に嵌まっていてよい。
【0015】
前記第2リンクおよび前記第4リンクのそれぞれには、スリットが設けられ、前記第2シャフトが、前記第2リンクおよび前記第4リンクの前記スリットに滑動可能に嵌まっていてよい。
【0016】
前記スリットは、直進時の状態において、前記第1前輪と前記第1後輪とを結ぶ線と平行に延びていてよい。
【0017】
前記第1乃至第4リンクのそれぞれには、前記ロッドと連動しない第3シャフトが嵌められた小孔が設けられ、前記第1乃至第4リンクのそれぞれは、前記小孔を中心として水平面内で回転してよい。
【0018】
前記リニアアクチュエータは、前記第1前輪と前記第2前輪の中心と、前記第1後輪と前記第2後輪輪の中心と、を結ぶ線より前記第1前輪および前記第1後輪側に配置され、前記リニアアクチュエータのロッドが基準位置にある場合、当該4輪走行装置は直進し、前記リニアアクチュエータのロッドが基準位置から伸びた場合、当該4輪走行装置は第2前輪および前記第2後輪側の方向に曲がり、前記リニアアクチュエータのロッドが基準位置から縮んだ場合、当該4輪走行装置は第1前輪および前記第1後輪側の方向に曲がってよい。
【0019】
具体例として、リニアアクチュエータは左側に配置され、リニアアクチュエータのロッドが基準位置にある場合、当該4輪走行装置は直進し、リニアアクチュエータのロッドが基準位置から右側に伸びた場合、当該4輪走行装置は右方向に曲がり、リニアアクチュエータのロッドが基準位置から左方向に縮んだ場合、当該4輪走行装置は左側に曲がってよい。
【0020】
4輪走行装置は、カメラと、前記カメラの映像に基づいて前記リニアアクチュエータの伸縮を自動制御するコントローラと、を備えてよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】地図情報を模式的に示す図。
図2】一実施形態に係る4輪走行装置の機能ブロック図。
図3A】一実施形態に係る4輪走行装置の主要部の概略上面図(直進時)。
図3B】一実施形態に係る4輪走行装置の主要部の概略上面図(右折時)。
図3C】一実施形態に係る4輪走行装置の主要部の概略上面図(左折時)。
図4A】フロアプレート2、アクチュエータ3、フロアプレート2、ブリッジ4およびマウント5の概略上面図(直進時)。
図4B】フロアプレート2、アクチュエータ3、フロアプレート2、ブリッジ4およびマウント5の概略上面図(右折時)。
図4C】フロアプレート2、アクチュエータ3、フロアプレート2、ブリッジ4およびマウント5の概略上面図(左折時)。
図5A】フロアプレート2、アクチュエータ3、フロアプレート2、ブリッジ4およびマウント5の概略斜視図(直進時)。
図5B】フロアプレート2、アクチュエータ3、フロアプレート2、ブリッジ4およびマウント5の概略斜視図(右折時)。
図5C】フロアプレート2、アクチュエータ3、フロアプレート2、ブリッジ4およびマウント5の概略斜視図(左折時)。
図6A】左前輪1FL用のリンク6FL、タイロッド7FLおよびナックル8FLの概略斜視図(直進時)。
図6B】左前輪1FL用のリンク6FL、タイロッド7FLおよびナックル8FLの概略斜視図(右折時)。
図6C】左前輪1FL用のリンク6FL、タイロッド7FLおよびナックル8FLの概略斜視図(左折時)。
図7】左前輪1FL用のモータ10FL、ギヤボックス11FL、キングピン12FL、サスペンションアーム13FL、サスペンション14FLの概略斜視図。
図8】ロッド32の伸縮と4輪走行装置の進行方向との関係を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0023】
本実施形態では、地図情報に基づいて自走する4輪走行装置を例示する。地図情報は、図1に示すように、出発地S、目的地Gの他、壁、天井、床などに予め設置されたマーカM1~M3(例えばARマーカ)の位置情報を含んでいる。これらのマーカは4輪走行装置が自位置を把握するために用いられる。
【0024】
図2は、一実施形態に係る4輪走行装置の機能ブロック図である。4輪走行装置は、カメラ100、メモリ101、コントローラ102、タブレット端末103、電動リニアアクチュエータ3、車輪1(左前輪、右前輪、左後輪および右後輪の総称)などを備えている。
【0025】
カメラ100は4輪走行装置の前面、後面、左側面および右側面に設けられる。メモリ101には、ユーザインターフェースとしてのタブレット端末103を介してユーザが設定可能な地図情報(図1)が記憶されている。コントローラ102はカメラ100の映像および地図情報に基づいてステアリングを行う。具体的には、コントローラ102はカメラ100の映像から地図情報におけるマーカM1~M3を検知し、4輪走行装置の自位置を把握する。そして、コントローラ102は出発地Sから目的地Gに達するよう電動リニアアクチュエータ3を伸縮させることによって車輪1の向きを制御する。
【0026】
例えば、図1において、前面に設けられたカメラ100の映像からマーカM1が検知されると、コントローラ102は自位置がP1であることを把握する。そして、コントローラ102は4輪走行装置が右折するようステアリングする。その後、前面に設けられたカメラ100の映像からマーカM2が検知され、右側面に設けられたカメラ100の映像からマーカM3が検知されると、コントローラ102は自位置がP2であることを把握する。そして、コントローラ102は4輪走行装置が左折するようステアリングする。このようにして、4輪走行装置は出発地Sから目的地Gまで自走する。
【0027】
その他、4輪走行装置に超音波センサやレーザといった測距センサを設け(例えば、前面、左側面および右側面の3か所)、近くに物体が検知された場合には4輪走行装置の移動を停止させるようにしてもよい。
【0028】
図3A図3Cは、一実施形態に係る4輪走行装置の主要部の概略上面図である。図3Aは直進時、図3Bは右折時、図3Cは左折時を示している。なお、主要部といっても必須ということではなく、適宜省略したり変形したりしてもよい。
【0029】
本4輪走行装置は、左前輪1FL、右前輪1FR、左後輪1RLおよび右後輪1RRからなる4輪を備えており、これらを総称して「車輪1」と呼ぶことがある。また、4輪走行装置は、前枠体201、中央枠体202および後枠体203を備えており、これらを総称して「本体200」と呼ぶことがある。
【0030】
直進時において、左前輪1FLと右前輪1FRの中心どうしを結ぶ直線と、左後輪1RLと右後輪1RRの中心どうしを結ぶ直線は互いに平行である。以下、この方向を便宜上x方向と呼ぶことがある。また、左前輪1FLと左後輪1RLの中心どうしを結ぶ直線と、右前輪1FRと右後輪1RRの中心どうしを結ぶ直線は互いに平行である。以下、この方向を便宜上y方向と呼ぶことがある。x方向とy方向は互いに直交している。
【0031】
図3Aに示すように、直進時には、左前輪1FL、右前輪1FR、左後輪1RLおよび右後輪1RRはいずれもy方向に平行となる。
【0032】
図3Bに示すように、右折時には、左前輪1FLおよび右前輪1FRは本体200に対して右を向き、左後輪1RLおよび右後輪1RRは本体200に対して左を向く。言い換えると、左前輪1FLおよび右前輪1FRは水平面内において時計回りに回転する。一方、左後輪1RLおよび右後輪1RRは水平面内において反時計回りに回転する。
【0033】
図3Cに示すように、左折時には、左前輪1FLおよび右前輪1FRは本体200に対して左を向き、左後輪1RLおよび右後輪1RRは本体200に対して右を向く。言い換えると、左前輪1FLおよび右前輪1FRは水平面内において反時計回りに回転する。一方、左後輪1RLおよび右後輪1RRは水平面内において時計回りに回転する。
【0034】
本実施形態では、このような直進・右折・左折のステアリングを1つの電動リニアアクチュエータ3(直動シリンダ)を用いて行うこと、より具体的には、1つの電動リニアアクチュエータ3の直線運動を、左前輪1FL、右前輪1FR、左後輪1RLおよび右後輪1RRの水平面内における回転運動に変換することが1つの特徴である。このようにステアリングする仕組みを説明する。
【0035】
図4A(直進時)、図4B(右折時)および図4C(左折時)に概略上面図を、図5A(直進時)、図5B(右折時)および図5C(左折時)に概略斜視図を示すように、本4輪走行装置は、フロアプレート2、電動リニアアクチュエータ3(以下、単に「アクチュエータ3」という。)と、ステアリングリンクブリッジ4(以下、単に「ブリッジ4」という。)と、2つのステアリングリンクマウント5F,5R(以下、単に「マウント5F,5R」という。)を備えている。
【0036】
フロアプレート2は4輪走行装置の中央枠体202(図4には不図示、図3A参照)に固定されている。また、フロアプレート2には、x方向に延びるリニアガイド21と、アクチュエータマウント22が固定配置されている。
【0037】
アクチュエータ3はフロアプレート2上に固定される。より具体的には、アクチュエータ3は、フロアプレート2の左側においてアクチュエータマウント22上に固定される本体部分31と、x方向に伸縮運動するロッド32とを有する。ロッド32の伸縮はカメラ100の映像に基づいてコントローラ102によって自動で(オペレータの指示なしで)制御されるのが望ましい。ロッド32の先端付近には、上向きのシャフト33と、下向きの連結部材34とが設けられている。
【0038】
ロッド32は斜め方向ではなく(水平面内において)x方向に伸縮するのが望ましく、これにより4輪走行装置を小型化できる。後述するように、ロッド32は、直進時には所定の基準位置(例えば、最も伸びた状態と最も縮んだ状態の中間)にあり、右折時には基準位置からx方向右側に伸び、左折時には基準位置からx方向左側に縮む。
【0039】
ブリッジ4はx方向に延びている。また、ブリッジ4の鉛直方向断面は下向きコの字形状である。そして、ブリッジ4はフロアプレート2のリニアガイド21を覆う(リニアガイド21に嵌まる)ように配置される。
【0040】
図5A等に示すように、ブリッジ4の左側部分は連結部材34を介してアクチュエータ3のロッド32と連結される。よって、ロッド32の伸縮と連動してブリッジ4はリニアガイド21に沿って左右方向(x方向)に移動する。
【0041】
ブリッジ4の右側部分には、上向きのシャフト41が設けられる。図5A等に示すように、このシャフト41の上端は、ロッド32のシャフト33の上端と同じ高さでないのが望ましく、本実施形態では低い位置にあるとする。また、ロッド32のシャフト33より右側にブリッジ4のシャフト41が位置する。すなわち、シャフト33は左前輪1FLおよび左後輪1RLに対応しており、シャフト41は右前輪1FRおよび右後輪1RRに対応している。
【0042】
マウント5F,5Rはフロアプレート2上に固定されており、ロッド32の伸縮とは連動しない。図4A等に示すように、前側(前輪用)のマウント5F上には、左前輪1FLおよび右前輪1FRにそれぞれ対応する2つのシャフト51FL,51FRが設けられている。本実施形態では、ロッド32のシャフト33の上端よりブリッジ4のシャフト41の上端より低いため、左前輪1FLに対応するシャフト51FLは右前輪1FRに対応するシャフト51FRより高いのが望ましい。具体的には、シャフト51FLはシャフト33とほぼ同じ高さであり、シャフト51FRはシャフト41とほぼ同じ高さである。
【0043】
同様に、後側(後輪用)のマウント5R上には、左後輪1RLおよび右後輪1RRにそれぞれ対応する2つのシャフト51RL,51RRが設けられている。本実施形態では、ロッド32のシャフト33の上端よりブリッジ4のシャフト41の上端より低いため、左後輪1RLに対応するシャフト51RLは右後輪1RRに対応するシャフト51RRより高いのが望ましい。具体的には、シャフト51RLはシャフト33とほぼ同じ高さであり、シャフト51RRはシャフト41とほぼ同じ高さである。
【0044】
なお、図4A図4Cおよび図5A図5Cに示されるステアリングリンクプレート6FL,6FR,6RL,6LL(以下、単に「リンク6FL,6FR,6RL,6LL」という。)については、次の図6A図6Cを用いて説明する。
【0045】
また、本4輪走行装置は、各車輪に対応する4つずつのリンク6FL,6FR,6RL,6LL、タイロッド7FL,7FR,7RL,7LL、ナックル8FL,8FR,8RL,8LLと、ジョイント9FL,9FR,9RL,9RRを備えており、左前輪1FLに関連するものの概略斜視図を図6A(直進時)、図5B(右折時)および図5C(左折時)に示す。なお、本明細書において、符号末尾のFL,FR,RLおよびRRはそれぞれ左前輪1FL、右前輪1FR、左後輪1RLおよび右後輪1RRにそれぞれ対応することを意味している。また、「リンク6」のように末尾にFL等を付さない場合、各部材の総称であることを意味する。
【0046】
リンク6FLの左側には、直進時においてy方向に並ぶ2つの小孔(後側の小孔61FLと、前側の小孔62FL)が設けられている。後側の小孔61FLには、マウント5Fのシャフト51FLがベアリング64FLを介して回動可能に嵌っている。前側の小孔62FLには、タイロッド7FLの一端がベアリング65FL(望ましくは、ロッドエンドベアリング)を介して嵌っている。
【0047】
また、リンク6FLの右側には、直進時においてy方向に延びるスリット63FL(長穴)が設けられている。スリット63FLには、ロッド32のシャフト33が嵌っている。ロッド32の伸縮運動と連動してシャフト33がスリット63FL内で滑動可能である。これにより、リンク6FLはシャフト33によってアクチュエータ3の伸縮に連動して水平面内で回転する。
【0048】
リンク6FLは(後述のタイロッド7FLおよびナックル8FLと協働して)アクチュエータ3のx方向の直線運動(伸縮)を左前輪1FLの水平面内における回転運動に変換する。
【0049】
タイロッド7FLは棒状の部材であり、その右端がリンク6FLの小孔62FLに嵌っており、左端がベアリング71FLを介して後述するナックル8FLの小孔81FLに嵌っている。直進時、タイロッド7FLはx方向と平行ではなく、リンク6FL側(右側)よりナックル8FL側(左側)が前方に位置している。
【0050】
ナックル8FLは、右側先端部分に小孔81FLが設けられ、ベアリング71FLを介してタイロッド7の左端が嵌っている。ナックル8FLの左側はジョイント9FLに連結されている。
【0051】
ジョイント9FLは左前輪1FLの中心より後側に位置している。そして、ジョイント9FLは後側がナックル8FLに連結されている。また、ジョイント9FLには小孔91FLが設けられている。図6を用いて後述するが、ジョイント9FLは別の部材を介して前枠体201に連結される。
【0052】
以上は左前輪1FL用のリンク6FL、タイロッド7FL、ナックル8FLおよびジョイント9FLについての説明であるが、左後輪1RL用、右前輪1FR用および右後輪1RR用もほぼ同様である。ただし、右前輪1FR用および右後輪1RR用のリンク6FR,6RRのスリット63FR,63RRには、ロッド32のシャフト33ではなく、ブリッジ4のシャフト41が滑動可能に嵌っている。これにより、リンク6FR,6RRはシャフト41によってアクチュエータ3の伸縮に連動して水平面内で回転する。
【0053】
また、図4A図4Cおよび図5A図5Cに示すように、左前輪1FL用のリンク6FLの上に左後輪1RL用のリンク6RLが重ねて配置される。そのため、後者の方がわずか(リンク6FLの厚み分だけ)に上方に位置する。すなわち、これらのリンク6FL,6RLはほぼ同一水平面にある。図4Aに示すように、直進時において、リンク6FLのスリット63FLはリンク6RLのスリット63RLとほぼ重なっている。
【0054】
同様に、右前輪1FR用のリンク6FRの上に右後輪1RR用のリンク6RRが重ねて配置される。すなわち、これらのリンク6FR,6RRはほぼ同一水平面にある。
【0055】
そして、ロッド32のシャフト33の上端よりブリッジ4のシャフト41の上端の方が高い位置にある。よって、図5Aに示すように、シャフト33が嵌っているリンク6FL,6RLは、シャフト41が嵌っているリンク6FR,6RRより高い位置にある。このように、リンク6FL,6RLとリンク6FR,RRは高さ方向に互いにずれているのが望ましい。これにより、リンク6FL,6RLとリンク6FR,RRは異なる水平面内で回転運動することとなる。よって、リンク6FL,6RLとリンク6FR,RRとを隣接配置しても右左折時に互いに干渉することなく、4輪走行装置を小型化できる。
【0056】
ここで、製造コスト削減のため、左前輪1FL用のリンク6FLは右前輪1FR用のリンク6FRと同一形状であるのが望ましい。同様に、左後輪1RL用のリンク6RLは右後輪1RR用のリンク6RRと同一形状であるのが望ましい。なお、ここでの同一形状とは、必ずしも完全に厳密に一致している必要はなく、同一工程にて製造可能であることを意味する。
【0057】
また、左後輪1RL用のリンク6RLはx方向に対して左前輪1FL用のリンク6FLを反転した形状(あるいは同一形状で上下反転して使用可能)であるのが望ましい。右後輪1RR用のリンク6RRはx方向に対して右前輪1FR用のリンク6FRを反転(あるいは同一形状で上下反転して使用可能)した形状であるのが望ましい。すなわち、4つのリンク6が全て同一形状でもよいし、4つのうち少なくとも2つが同一形状でもよく、このようにすることで、4つがいずれも異なる形状である場合に比べて、製造コストを低減できる。そして、直進時において、ロッド32を軸としてリンク6、タイロッド7およびナックル8が前後対称に配置されるのが望ましい。
【0058】
また、本4輪走行装置は、各車輪に対応する4つずつのモータ10FL,10FR,10RL,10RR、ギヤボックス11FL,11FR,11RL,11RR、キングピン12FL,12FR,12RL,12RRと、サスペンションアーム13FL,13FR,13RL,13RRと、サスペンション14FL,14FR,14RL,14RRとを備えており、左前輪1FLに関連するものの概略斜視図を図7に示す。
【0059】
モータ10FLの出力軸がギヤボックス11FLに接続され、ギヤボックス11FLの出力軸が左前輪1FLに連結される。モータ10FLの回転がギヤボックス11FLによって所定比で減速されて左前輪1FLに伝達され、左前輪1FLが回転する。また、ギヤボックス11FLはジョイント9FLに固定されている。モータ10FL、ギヤボックス11FLおよび左前輪1FLは一体化されている。
【0060】
キングピン12FLは、ピン本体121FLと、ボルト(ピン頭)122FL、ベアリング123FL、ナット124FLから構成される。
【0061】
ピン本体121FLはジョイント9FLに設けられた小孔91F(図5A図5C参照)を貫通しており、ボルト122FLおよびナット124FLによって固定されている。ベアリング123FLはサスペンションアーム13FLを介して前枠体201(図3A図3C参照)に固定される。
【0062】
以上の構成により、ナックル8FLの移動に連動して、一体化されたモータ10FL、ギヤボックス11FLおよび左前輪1FLがキングピン12FLを中心とし、前枠体201に対して水平面内で回転移動する。
【0063】
サスペンション14FLは、上端がサスペンションアーム13FLを介して前枠体201に固定され、下端はジョイント9FLに接続される。タイロッド7FLの一端とリンク6FLとをそれぞれロッドエンドベアリング65FLを介して連結することで、左前輪1FLの鉛直方向の運動に自由度を与え、ステアリング機構への制約を減らすことができる。
【0064】
本4輪走行装置の動作は以下のとおりである。
図4A等に示すように、マウント5F,5Rはフロアプレート2に固定されていてロッド32の伸縮とは連動しない。そのため、マウント5F,5Rに設けられたシャフト51FL,51FR,51RL,51RRの位置は固定であり、したがってリンク6の小孔61(図6A等参照)の位置も固定である。
【0065】
一方、ブリッジ4はロッド32の伸縮と連動して移動するため、ロッド32に設けられたシャフト33およびブリッジ4に設けられたシャフト41はロッド32の伸縮と連動して移動する。これにより、リンク6も移動する。より具体的には、リンク6は位置が固定である小孔61の位置を中心として水平面内で回転する。その結果、リンク6にそれぞれ連結されたタイロッド7、ひいてはナックル8が移動し、車輪の方向が制御される。
【0066】
具体的には、図3A図4Aおよび図5Aに示すように、直進時には、アクチュエータ3のロッド32が所定の基準位置にあるようコントローラ102によって制御される。このとき、シャフト33は直進時には、左前輪1FL、右前輪1FR、左後輪1RLおよび右後輪1RRはいずれもy方向に平行となる。
【0067】
図3B図4Bおよび図5Bに示すように、右折時には、アクチュエータ3のロッド32が基準位置から右方向に伸びた状態となるようコントローラ102によって制御される。ロッド32が右方向に伸びることに連動して、ブリッジ4、リンク6、タイロッド7およびナックル8が移動する。
【0068】
詳細には、ロッド32が右方向に伸びることにより、シャフト33が左前輪1FL用のリンク6FLのスリット63FLの後輪側に相対的に移動し、リンク6FLは小孔61FLの位置を中心として反時計回りに回転する(図6B参照)。それによって、タイロッド7FLが連結された小孔62FLは左側に移動し、それによって、タイロッド7FLに連結されたナックル8FLも左側に移動する。それによって、左前輪1FL、ギヤボックス11FLおよびモータ10FLはキングピン12FL(ジョイント9FLの小孔91FL)を中心として一体となって水平面内で時計回りに回転する。結果として、左前輪1FLは右を向く。
【0069】
また、ロッド32が右方向に伸びることにより、シャフト33が右前輪1FR用のリンク6FRのスリット63FRの後輪側に相対的に移動し、リンク6FRは小孔61FRの位置を中心として反時計回りに回転する。それによって、タイロッド7FRが連結された小孔62FRは左側に移動し、それによって、タイロッド7FRに連結されたナックル8FRも左側に移動する。それによって、右前輪1FR、ギヤボックス11FRおよびモータ10FRはキングピン12FR(ジョイント9FRの小孔91FR)を中心として一体となって水平面内で時計回りに回転する。結果として、右前輪1FRは右を向く。
【0070】
また、ロッド32が右方向に伸びることにより、シャフト33が左後輪1RL用のリンク6RLのスリット63RLの前輪側に相対的に移動し、リンク6RLは小孔61RLの位置を中心として時計回りに回転する。それによって、タイロッド7RLが連結された小孔62RLは左側に移動し、それによって、タイロッド7RLに連結されたナックル8RLも左側に移動する。それによって、左後輪1RL、ギヤボックス11RLおよびモータ10RLはキングピン12RL(ジョイント9RLの小孔91RL)を中心として一体となって水平面内で反時計回りに回転する。結果として、左後輪1RLは右を向く。
【0071】
また、ロッド32が右方向に伸びることにより、シャフト33が右後輪1RR用のリンク6RRのスリット63RRの前輪側に相対的に移動し、リンク6RRは小孔61RRの位置を中心として時計回りに回転する。それによって、タイロッド7RRが連結された小孔62RRは左側に移動し、それによって、タイロッド7RRに連結されたナックル8RRも左側に移動する。それによって、右後輪1RR、ギヤボックス11RRおよびモータ10RRはキングピン12RR(ジョイント9RRの小孔91RR)を中心として一体となって水平面内で反時計回りに回転する。結果として、右後輪1RRは右を向く。
【0072】
以上のようにして、ロッド32が右方向に伸びたことに連動して、左前輪1FLおよび右前輪1FRが水平面内で時計回りに回転して右を向くとともに、左後輪1RLおよび右後輪1RRが水平面内で反時計回りに回転して左を向く。
【0073】
続いて、左折について説明する。図3Cに示すように、左折時には、アクチュエータ3のロッド32が基準位置から左方向に縮んだ状態となるようコントローラ102によって制御される。ロッド32が左方向に縮むことに連動して、ブリッジ4、リンク6、タイロッド7およびナックル8が移動する。
【0074】
詳細には、ロッド32が左方向に縮むことにより、シャフト33が左前輪1FL用のリンク6FLのスリット63FLの前輪側に相対的に移動し、リンク6FLは小孔61FLの位置を中心として時計回りに回転する(図6C参照)。それによって、タイロッド7FLが連結された小孔62FLは右側に移動し、それによって、タイロッド7FLに連結されたナックル8FLも右側に移動する。それによって、左前輪1FL、ギヤボックス11FLおよびモータ10FLはキングピン12FL(ジョイント9FLの小孔91FL)を中心として一体となって水平面内で反時計回りに回転する。結果として、左前輪1FLは左を向く。
【0075】
また、ロッド32が左方向に縮むことにより、シャフト33が右前輪1FR用のリンク6FRのスリット63FRの前輪側に相対的に移動し、リンク6FRは小孔61FRの位置を中心として時計回りに回転する。それによって、タイロッド7FRが連結された小孔62FRは右側に移動し、それによって、タイロッド7FRに連結されたナックル8FRも右側に移動する。それによって、右前輪1FR、ギヤボックス11FRおよびモータ10FRはキングピン12FR(ジョイント9FRの小孔91FR)を中心として一体となって水平面内で反時計回りに回転する。結果として、右前輪1FRは左を向く。
【0076】
また、ロッド32が左方向に縮むことにより、シャフト33が左後輪1RL用のリンク6RLのスリット63RLの後輪側に相対的に移動し、リンク6RLは小孔61RLの位置を中心として反時計回りに回転する。それによって、タイロッド7RLが連結された小孔62RLは右側に移動し、それによって、タイロッド7RLに連結されたナックル8RLも右側に移動する。それによって、左後輪1RL、ギヤボックス11RLおよびモータ10RLはキングピン12RL(ジョイント9RLの小孔91RL)を中心として一体となって水平面内で時計回りに回転する。結果として、左後輪1RLは右を向く。
【0077】
また、ロッド32が左方向に縮むことにより、シャフト33が右後輪1RR用のリンク6RRのスリット63RRの後輪側に相対的に移動し、リンク6RRは小孔61RRの位置を中心として反時計回りに回転する。それによって、タイロッド7RRが連結された小孔62RRは右側に移動し、それによって、タイロッド7RRに連結されたナックル8RRも右側に移動する。それによって、右後輪1RR、ギヤボックス11RRおよびモータ10RRはキングピン12RR(ジョイント9RRの小孔91RR)を中心として一体となって水平面内で時計回りに回転する。結果として、右後輪1RRは左を向く。
【0078】
以上のようにして、ロッド32が左方向に縮んだことに連動して、左前輪1FLおよび右前輪1FRが水平面内で反時計回りに回転して左を向くとともに、左後輪1RLおよび右後輪1RRが水平面内で時計回りに回転して右を向く。
【0079】
図8は、ロッド32の伸縮と4輪走行装置の進行方向との関係を模式的に示す図である。横軸はロッド32の位置であり、「0」が基準位置、正が基準位置から右方向に伸びた状態であることを意味し、負が基準位置から左方向に縮んだ状態であることを意味する。縦軸は進行方向であり、便宜上、「0」を直進、正を右折の角度、負を左折の角度としている。
【0080】
図示のように、ロッド32が右方向に伸びるほど大きく右に曲がり、ロッド32が左方向に縮むほど大きく左に曲がる。
【0081】
ここで、基準位置に対して進行方向は左右対称でなくてもよい。特に、自動走行である場合、人ではなくコントローラ102がアクチュエータ3を制御するため、非対称性は問題とならない。リンク6の形状(例えば、スリット63の形状や位置、小孔61,62の位置)を工夫することで基準位置に対して進行方向を左右対称にすることも可能ではある。しかし、リンク6を同一形状とし、リンク6を対称な形状とすることで、製造コストを抑えることができる。
【0082】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形例を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
例えば、本明細書において1つの部材として説明されるもの(図面において1つの部材として描かれているものを含む)を複数の部材によって実現してもよい。逆に、本明細書において複数の部材として説明されるもの(図面において複数の部材として描かれているものを含む)を1つの部材によって実現してもよい。
【0083】
また、本明細書に記載された事項の全てが必須の要件というわけではない。特に、本明細書に記載され、特許請求の範囲に記載されていない事項は任意の付加的事項ということができる。
【0084】
なお、本出願人は本明細書の「先行技術文献」欄の文献に記載された文献公知発明を知っているにすぎず、本発明は必ずしも同文献公知発明における課題を解決することを目的とするものではないことにも留意されたい。本発明が解決しようとする課題は本明細書全体を考慮して認定されるべきものである。例えば、本明細書において、特定の構成によって所定の効果を奏する旨の記載がある場合、当該所定の効果の裏返しとなる課題が解決されるということもできる。ただし、必ずしもそのような特定の構成を必須の要件とする趣旨ではない。
【符号の説明】
【0085】
1 車輪
1FL 左前輪
1FR 右前輪
1RL 左後輪
1RR 右後輪
2 フロアプレート
21 リニアガイド
22 アクチュエータマウント
3 アクチュエータ(電動リニアアクチュエータ)
31 本体部分
32 ロッド
33 シャフト
34 連結部材
4 ブリッジ(ステアリングリンクブリッジ)
41 シャフト
5 マウント(ステアリングリンクマウント)
51 シャフト
6 リンク(ステアリングリンクプレート)
61,62 小孔
63 スリット
64,65 ベアリング
7 タイロッド
71 ベアリング
8 ナックル
81 小孔
9 ジョイント
91 小孔
10 モータ
11 ギヤボックス
12 キングピン
121 ピン本体
122 ボルト
123 ベアリング
124 ナット
13 サスペンションアーム
14 サスペンション
100 カメラ
101 メモリ
102 コントローラ
103 タブレット端末
201 前枠体
202 中央枠体
203 後枠体
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8