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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079597
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】流体装置
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/10 20060101AFI20230601BHJP
   F03C 2/00 20060101ALI20230601BHJP
   F03C 2/08 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
F04C2/10 341
F03C2/00 A
F03C2/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193133
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正隆
(72)【発明者】
【氏名】小森 悦朗
【テーマコード(参考)】
3H041
3H084
【Fターム(参考)】
3H041AA02
3H041CC15
3H041DD11
3H041DD16
3H084AA21
3H084AA51
3H084BB26
3H084CC40
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で小型化および省スペース化が可能な流体装置を提供する。
【解決手段】流体装置1であって、第1流路111~114を有する第1ハウジング45と、第1流路よりも多くの第2流路41,42を有する第2ハウジング2,3,35と、第1ハウジングと第2ハウジングとにそれぞれ端面101,102が接した状態として厚さ方向に挟まれ所定の第1流路と第2流路とを繋ぐ第3流路103~107を有する分配板100と、を有し、第3流路が、周方向に並んで配置され端面に開口する複数の貫通流路103と、端面に沿って周方向に形成され複数の貫通流路を連結する連結溝流路104,105と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路を有する第1ハウジングと、
前記第1流路よりも多くの第2流路を有する第2ハウジングと、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとにそれぞれ端面が接した状態として厚さ方向に挟まれ所定の前記第1流路と前記第2流路とを繋ぐ第3流路を有する分配板と、
を有し、
前記第3流路が、
周方向に並んで配置され前記端面に開口する複数の貫通流路と、
前記端面に沿って周方向に形成され複数の前記貫通流路を連結する連結溝流路と、
を有する、
流体装置。
【請求項2】
前記分配板の表裏両面となる前記端面に前記連結溝流路がそれぞれ形成される、
請求項1記載の流体装置。
【請求項3】
周方向に並ぶ複数の前記貫通流路が前記端面において等しい間隔をあけて配置される、
請求項1または2記載の流体装置。
【請求項4】
前記連結溝流路が、
周方向に沿って前記端面に形成され複数の前記貫通流路よりも径方向外側で複数の前記貫通流路を連結する外周連結溝流路と、
周方向に沿って前記端面に形成され複数の前記貫通流路よりも径方向内側で複数の前記貫通流路を連結する内周連結溝流路と、
を有する、
請求項1から3のいずれか記載の流体装置。
【請求項5】
径方向に沿って前記端面に形成され前記端面に開口する前記貫通流路と前記外周連結溝流路とを連結する外径方向溝流路と、
径方向に沿って前記端面に形成され前記端面に開口する前記貫通流路と前記内周連結溝流路とを連結する内径方向溝流路と、
を有し、
前記外径方向溝流路と前記内径方向溝流路とが周方向で互いに隣接する前記貫通流路にそれぞれ連結されるか、あるいは、前記外径方向溝流路と前記内径方向溝流路とが周方向でひとつおきに隣接する前記貫通流路にそれぞれ連結される、
請求項4記載の流体装置。
【請求項6】
前記外径方向溝流路と前記内径方向溝流路との配置が、周方向において隣接する2つまたは4つの前記貫通流路を一組として繰り返される、
請求項5記載の流体装置。
【請求項7】
前記内周連結溝流路と、周方向に並んで前記端面に開口する複数の前記貫通流路と、前記外周連結溝流路とが、前記端面における同心となる円周上にそれぞれ配置される、
請求項4から6のいずれか記載の流体装置。
【請求項8】
前記第2ハウジングが、
軸線を有する揺動ハウジング部と、
前記揺動ハウジング部の内周面に設けられた内歯と、
前記揺動ハウジング部の前記軸線に沿って互いに離間して設けられた2つの軸受を介し、前記揺動ハウジング部に前記軸線回りに回転自在に支持されたキャリアと、
前記キャリアに前記軸線と平行な他の軸線回りに回転自在に支持されたクランクシャフトと、
前記クランクシャフトによって揺動回転に規制され前記内歯に噛合わされる揺動歯車と、
前記揺動ハウジング部の内周面と前記揺動歯車との間に作動流体を供給及び前記揺動ハウジング部の内周面と前記揺動歯車との間から作動流体を排出する複数の給排流路を有する給排プレートと、
を備え、
前記給排プレートは、前記揺動歯車の前記軸線に沿った方向の前記第1ハウジング側に配置されており、複数の前記給排流路がそれぞれ前記第2流路に通じる、
請求項4から7のいずれか記載の流体装置。
【請求項9】
前記分配板の前記端面に形成された前記内周連結溝流路と前記外周連結溝流路とが、異なる圧力の作動流体を供給・排出するか、または、同じ圧力の作動流体を供給・排出する、
請求項8記載の流体装置。
【請求項10】
第1流路を有する第1ハウジングと、
前記第1流路よりも多くの第2流路を有する第2ハウジングと、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとにそれぞれ端面が接した状態として厚さ方向に挟まれ所定の前記第1流路と前記第2流路とを繋ぐ第3流路を有する分配板と、
を有し、
前記第2ハウジングが、
軸線を有する揺動ハウジング部と、
前記揺動ハウジング部の内周面に設けられた内歯と、
前記揺動ハウジング部の前記軸線に沿って互いに離間して設けられた2つの軸受を介し、前記揺動ハウジング部に前記軸線回りに回転自在に支持されたキャリアと、
前記キャリアに前記軸線と平行な他の軸線回りに回転自在に支持されたクランクシャフトと、
前記クランクシャフトによって揺動回転に規制され前記内歯に噛合わされる揺動歯車と、
前記揺動ハウジング部の内周面と前記揺動歯車との間に作動流体を供給及び前記揺動ハウジング部の内周面と前記揺動歯車との間から作動流体を排出する複数の給排流路を有する給排プレートと、
を備え、
前記給排プレートは、前記揺動歯車の前記軸線に沿った方向の前記第1ハウジング側に配置されており、複数の前記給排流路が前記第2流路に通じるとともに、
前記分配板における前記第3流路が、
周方向に並んで配置され前記端面に開口する複数の貫通流路と、
前記分配板の表裏両面となる前記端面にそれぞれ形成されるとともに前記端面に沿って周方向に形成され複数の前記貫通流路を連結する連結溝流路として、周方向に沿って前記端面に形成され複数の前記貫通流路よりも径方向外側で複数の前記貫通流路を連結する外周連結溝流路と、
前記連結溝流路として、周方向に沿って前記端面に形成され複数の前記貫通流路よりも径方向内側で複数の前記貫通流路を連結する内周連結溝流路と、
径方向に沿って前記端面に形成され前記端面に開口する前記貫通流路と前記外周連結溝流路とを連結する外径方向溝流路と、
径方向に沿って前記端面に形成され前記端面に開口する前記貫通流路と前記内周連結溝流路とを連結する内径方向溝流路と、
を有し、
前記外径方向溝流路と前記内径方向溝流路とが周方向で互いに隣接する前記貫通流路にそれぞれ連結されるか、あるいは、前記外径方向溝流路と前記内径方向溝流路とが周方向でひとつおきに隣接する前記貫通流路にそれぞれ連結され、前記外径方向溝流路と前記内径方向溝流路との配置が、周方向において隣接する4つの前記貫通流路を一組として繰り返される、
流体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ポンプ・モータとしては、特許文献1に記載されるものが知られている。この文献においては、主軸に対する周方向で異なる位置に作動油を流通させるための油路を有する。この特許文献1には、作動油供給のための油路を形成する構成として拘束部材130が記載される。 拘束部材130は、外周面に凹状に形成された溝と、この溝よりも径方向内側に形成されて軸方向に貫通する貫通孔と、を有する。これら溝と軸方向貫通孔とは、各々選択的に連通されている。さらに、拘束部材130はその径方向外側の全周を囲む円筒凹部186に焼きばめされることが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-202069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1における構成では、油路を拘束部材130の外周面と円筒凹部186の内周面との間で形成しているため、拘束部材130の外周面に凹状に形成された溝が軸方向に複数形成されることになる。このため、作動油を供給・排出して流体装置を駆動させるためには、構造上、拘束部材130の軸方向寸法を小さくすることができない。つまり、流体装置として薄くすることができないという問題があった。
【0005】
本発明は、簡単な構造で小型化および省スペース化が可能な流体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る流体装置は、
第1流路を有する第1ハウジングと、
前記第1流路よりも多くの第2流路を有する第2ハウジングと、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとにそれぞれ端面が接した状態として厚さ方向に挟まれ所定の前記第1流路と前記第2流路とを繋ぐ第3流路を有する分配板と、
を有し、
前記第3流路が、
周方向に並んで配置され前記端面に開口する複数の貫通流路と、
前記端面に沿って周方向に形成され複数の前記貫通流路を連結する連結溝流路と、
を有することにより、上記課題を解決した。
【0007】
本発明の一態様に係る流体装置によれば、端面に溝として形成した連結溝流路を有する分配板によって第1流路と第2流路とを繋ぎ、第1流路よりも多くの第2流路へと流体を分配することができる。これにより、第1ハウジングから第2ハウジングへと向かう方向において、分配板の厚みのみで、第1流路と第2流路との間で流体の分配をおこなうことが可能となる。したがって、上述した特許文献に記載される従来の技術に比べて、第1ハウジングから第2ハウジングへと向かう方向における装置構成の寸法を小さくすることが可能となる。
【0008】
上記構成で、前記分配板の表裏両面となる前記端面に前記連結溝流路がそれぞれ形成されることができる。
【0009】
上記構成で、周方向に並ぶ複数の前記貫通流路が前記端面において等しい間隔をあけて配置されることができる。
【0010】
上記構成で、周方向に沿って前記端面に形成され複数の前記貫通流路よりも径方向外側で複数の前記貫通流路を連結する外周連結溝流路と、
周方向に沿って前記端面に形成され複数の前記貫通流路よりも径方向内側で複数の前記貫通流路を連結する内周連結溝流路と、
を有することができる。
【0011】
上記構成で、径方向に沿って前記端面に形成され前記端面に開口する前記貫通流路と前記外周連結溝流路とを連結する外径方向溝流路と、
径方向に沿って前記端面に形成され前記端面に開口する前記貫通流路と前記内周連結溝流路とを連結する内径方向溝流路と、
を有し、
前記外径方向溝流路と前記内径方向溝流路とが周方向で互いに隣接する前記貫通流路にそれぞれ連結されるか、あるいは、前記外径方向溝流路と前記内径方向溝流路とが周方向でひとつおきに隣接する前記貫通流路にそれぞれ連結されることができる。
【0012】
上記構成で、前記外径方向溝流路と前記内径方向溝流路との配置が、周方向において隣接する2つまたは4つの前記貫通流路を一組として繰り返されることができる。
【0013】
上記構成で、前記内周連結溝流路と、周方向に並んで前記端面に開口する複数の前記貫通流路と、前記外周連結溝流路とが、前記端面における同心となる円周上にそれぞれ配置されることができる。
【0014】
上記構成で、前記第2ハウジングが、
軸線を有する揺動ハウジング部と、
前記揺動ハウジング部の内周面に設けられた内歯と、
前記揺動ハウジング部の前記軸線に沿って互いに離間して設けられた2つの軸受を介し、前記揺動ハウジング部に前記軸線回りに回転自在に支持されたキャリアと、
前記キャリアに前記軸線と平行な他の軸線回りに回転自在に支持されたクランクシャフトと、
前記クランクシャフトによって揺動回転に規制され前記内歯に噛合わされる揺動歯車と、
前記揺動ハウジング部の内周面と前記揺動歯車との間に作動流体を供給及び前記揺動ハウジング部の内周面と前記揺動歯車との間から作動流体を排出する複数の給排流路を有する給排プレートと、
を備え、
前記給排プレートは、前記揺動歯車の前記軸線に沿った方向の前記第1ハウジング側に配置されており、複数の前記給排流路がそれぞれ前記第2流路に通じることができる。
【0015】
上記構成で、前記分配板の前記端面に形成された前記内周連結溝流路と前記外周連結溝流路とが、異なる圧力の作動流体を供給・排出するか、または、同じ圧力の作動流体を供給・排出することができる。
【0016】
本発明の他の態様に係る流体装置によれば、
第1流路を有する第1ハウジングと、
前記第1流路よりも多くの第2流路を有する第2ハウジングと、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとにそれぞれ端面が接した状態として厚さ方向に挟まれ所定の前記第1流路と前記第2流路とを繋ぐ第3流路を有する分配板と、
を有し、
前記第2ハウジングが、
軸線を有する揺動ハウジング部と、
前記揺動ハウジング部の内周面に設けられた内歯と、
前記揺動ハウジング部の前記軸線に沿って互いに離間して設けられた2つの軸受を介し、前記揺動ハウジング部に前記軸線回りに回転自在に支持されたキャリアと、
前記キャリアに前記軸線と平行な他の軸線回りに回転自在に支持されたクランクシャフトと、
前記クランクシャフトによって揺動回転に規制され前記内歯に噛合わされる揺動歯車と、
前記揺動ハウジング部の内周面と前記揺動歯車との間に作動流体を供給及び前記揺動ハウジング部の内周面と前記揺動歯車との間から作動流体を排出する複数の給排流路を有する給排プレートと、
を備え、
前記給排プレートは、前記揺動歯車の前記軸線に沿った方向の前記第1ハウジング側に配置されており、複数の前記給排流路が前記第2流路に通じるとともに、
前記分配板における前記第3流路が、
周方向に並んで配置され前記端面に開口する複数の貫通流路と、
前記分配板の表裏両面となる前記端面にそれぞれ形成されるとともに前記端面に沿って周方向に形成され複数の前記貫通流路を連結する連結溝流路として、周方向に沿って前記端面に形成され複数の前記貫通流路よりも径方向外側で複数の前記貫通流路を連結する外周連結溝流路と、
前記連結溝流路として、周方向に沿って前記端面に形成され複数の前記貫通流路よりも径方向内側で複数の前記貫通流路を連結する内周連結溝流路と、
径方向に沿って前記端面に形成され前記端面に開口する前記貫通流路と前記外周連結溝流路とを連結する外径方向溝流路と、
径方向に沿って前記端面に形成され前記端面に開口する前記貫通流路と前記内周連結溝流路とを連結する内径方向溝流路と、
を有し、
前記外径方向溝流路と前記内径方向溝流路とが周方向で互いに隣接する前記貫通流路にそれぞれ連結されるか、あるいは、前記外径方向溝流路と前記内径方向溝流路とが周方向でひとつおきに隣接する前記貫通流路にそれぞれ連結され、前記外径方向溝流路と前記内径方向溝流路との配置が、周方向において隣接する4つの前記貫通流路を一組として繰り返されることにより、上記課題を解決した。
【0017】
このように構成することで、端面に溝として形成した連結溝流路を有する分配板によって第1流路と第2流路とを繋ぎ、第1流路よりも多くの第2流路と第1流路との間で流体を分流・合流させることができる。これにより、第1ハウジングから第2ハウジングへと向かう方向において、分配板の厚みのみで、第1流路と第2流路との間で流体の分配をおこなうことが可能となる。したがって、上述した特許文献に記載される従来の技術に比べて、第1ハウジングから第2ハウジングへと向かう方向における装置構成の寸法を小さくすることが可能となる。ことができる。
【0018】
これにより、上述した特許文献1における構成のように、拘束部材130の外周面に凹状に形成された溝を軸方向に複数形成する必要がない。このため、作動油を供給・排出して流体装置を駆動可能な状態で、軸方向の寸法を小さくすることができる。つまり、流体装置として薄くすることができる。
【0019】
これにより、上述した特許文献1における構成のように、流路(油路)となる拘束部材130と円筒凹部186との間に隙間が生じて作動油が漏れてしまう可能性をなくし、シール性を向上することができる。しかも、板状の分配板を第1ハウジングと第2ハウジングとで挟んで締め付ける、つまり、締結部材等により押圧した状態とすることで、締結等による部材変形によって密閉を確保してシール性を確実に向上することができる。
【0020】
同時に、第3流路として端面を溝状に形成するだけで分配板の製造が可能なため、切削加工あるいは鋳造で製造して、製造工程数の削減および作業時間の短縮をおこなうことができる。さらに、分配板の端面における平面出しだけで必要な密閉性を維持できるため、過分な加工精度を要求されることがない。これにより、必要な密閉性を得ることと、容易に製造することとを両立することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡単な構造で小型化および省スペース化が可能で、作動油の密閉を維持可能で、作動油の漏れを防止して、動作効率を向上することが可能な流体装置を提供することができるという効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態における油圧モータの一部断面側面図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3図1のIII部拡大図である。
図4図1のVI部拡大図である。
図5】本発明の実施形態における油圧モータの流路を示す図1のV-V線に沿う断面図である。
図6】本発明の実施形態における分配板の流路を示す図1のVI-VI線に沿う断面図である。
図7】本発明の実施形態における分配板の流路を示す図1のVII-VII線に沿う断面図である。
図8】本発明の実施形態における分配板を示す断面図である。
図9】本発明の実施形態における油圧モータの流路を示す図1のIX-IX線に沿う断面図である。
図10】本発明の実施形態における油圧モータの流路を示す図1のX-X線に沿う断面図である。
図11】本発明の実施形態における油圧モータの流路を示す図1のXI-XI線に沿う断面図である。
図12】本発明の実施形態における他の圧力状態を示す図7に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る流体装置の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における流体装置の一例として油圧モータを示す一部断面視した側面図である。図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。図3は、図1のIII部拡大図である。図4は、図1のIV部拡大図である。図5は、図1のV-V線に沿う断面図である。図6は、図1のVI-VI線に沿う断面図である。図7は、図1のVII-VII線に沿う断面図である。図8は、分配板を示す断面図である。図9は、図1のIX-IX線に沿う断面図である。図10は、図1のX-X線に沿う断面図である。図11は、図1のXI-XI線に沿う断面図である。図において、符号1は、油圧モータである。
【0024】
本実施形態に係る流体装置としては、まず、油圧モータとして説明するが油圧ポンプの構成として採用することもできる。
【0025】
<油圧モータ>
油圧モータ1は、図1図4に示すように、円筒状の揺動ハウジング部2と、揺動ハウジング部2の内周面に2つの軸受12,13(第1軸受12、第2軸受13)を介して回転自在に支持された回転部3と、を有する。
軸受12,13としては、アンギュラ玉軸受が用いられている。しかしながらこれに限られるものではなく、深溝玉軸受等の他の玉軸受や滑り軸受等、さまざまな軸受を用いることが可能である。
【0026】
揺動ハウジング部2の中心軸線と回転部3の回転軸線とは、一致している。以下の説明では、これら中心軸線及び回転軸線を総称して第1軸線(軸線の一例)C1と称する。また、第1軸線C1と平行な方向を単に軸方向、回転部3の回転方向を周方向、回転部3の径方向を単に径方向と称して説明する場合がある。
【0027】
<揺動ハウジング部>
揺動ハウジング部2は、軸方向で分割されて軸方向の第1方向側(図1における左側)に配置された第1揺動ハウジング7と、軸方向の第1方向とは反対側の第2方向側(図1における右側)に配置された第2揺動ハウジング8と、からなる。なお、揺動ハウジング部2は、軸方向で分割されていない構成とすることも可能である。
第1揺動ハウジング7は、円筒状に形成されている。第1揺動ハウジング7の外周面7aには、第1方向側の第1端部7b寄りに、径方向外側に張り出す外フランジ部9が形成されている。外フランジ部9は、油圧モータ1を図示しない外部機器に取り付けるためのものである。外フランジ部9には、図示しないボルトを通す貫通孔9aが外フランジ部9の厚さ方向(軸方向)に貫通形成されている。
【0028】
第1揺動ハウジング7の周壁7eのうち、第2方向側の第2端部7dから軸方向中央に至る間は、他の部位よりも肉厚の厚い厚肉部10になっている。厚肉部10の第2方向側の第2端部10cは、第1揺動ハウジング7の第2端部7dと同一平面上に位置している。すなわち、厚肉部10の第2端部10cは、第1揺動ハウジング7の第2端部7dの一部を構成している。
【0029】
厚肉部10の内周面10dには、複数(例えば、本実施形態では13個)のピン溝10aが形成されている。各ピン溝10aは、軸方向に沿って厚肉部10の全体に形成されており、かつ周方向に等間隔で配置されている。ピン溝10aは、軸方向からみて半円状に形成されている。各ピン溝10aには、円柱状の内歯ピン(内歯の一例)90が回転可能に収納されている。ピン溝10aが軸方向からみて半円状に形成されているので、内歯ピン90は、厚肉部10の内周面10dから径方向内側に半円分突出した形になる。内歯ピン90は、後述する揺動歯車5に噛み合わされる内歯として機能する。
【0030】
厚肉部10の外周部には、各ピン溝10aの間に、軸方向に貫通する第1貫通孔19が形成されている。第1貫通孔19は、周方向に等間隔で配置されている。第1貫通孔19の個数は、例えば8個である。これら第1貫通孔19に、ボルト(固定部及びねじの一例)20の軸部20aが挿入される。各ボルト20によって、第1揺動ハウジング7、第2揺動ハウジング8及び後述の給排プレート46が共締めされて一体化される。
【0031】
また、第1揺動ハウジング7の内周面7cには、厚肉部10よりも第1方向寄りに、段差部11aを介して内径が大きく形成された第1軸受収納部11が形成されている。この第1軸受収納部11に、第1軸受12のアウタレース12aが嵌め合わされている。第1軸受12と第1揺動ハウジング7との位置決めは、段差部11aにアウタレース12aが突き当たることにより行われている。
【0032】
第1揺動ハウジング7の内周面7cには、第1軸受収納部11よりも第1方向寄りに、段差部14aを介して内径が大きく形成されたシール収納部14が形成されている。このシール収納部14には、シール部15の一部が嵌め合わされている。シール部15は、第1揺動ハウジング7と回転部3との間をシールする。シール部15としては、例えばフローティングシールが用いられる。しかしながらこれに限られるものではなく、パッキンやメカニカルシール等、さまざまなシールを用いることができる。
【0033】
第1揺動ハウジング7の第1端部7bには、シール収納部14よりも内径が大きく形成された第1キャリア側第1ラビリンス部16が形成されている。第1キャリア側第1ラビリンス部16は、回転部3と協働して第1ラビリンス38を構成する。第1ラビリンス38によって、第1揺動ハウジング7と回転部3との間に外部から塵埃等が侵入しにくくなる。
【0034】
第1揺動ハウジング7の第2端部7dは、揺動ハウジング部2の第1揺動ハウジング7と第2揺動ハウジング8との分割面に相当する。第1揺動ハウジング7の第2端部7dは、外周部の全体が平坦に形成されている。第2端部7dの第1貫通孔19よりも外周部寄りには、軸方向からみて環状のOリング溝17が形成されている。Oリング溝17には、Oリング18が装着されている。Oリング18は、第1揺動ハウジング7と第2揺動ハウジング8との間のシール性を確保する。
【0035】
第2揺動ハウジング8は、円環状に形成されている。第2揺動ハウジング8の周壁8aには、第1揺動ハウジング7の第1貫通孔19に対応する位置に、この第1貫通孔19に通じる第2貫通孔22が形成されている。第2貫通孔22は、第1貫通孔19と同じ径で形成され、第1貫通孔19と同軸上に位置されている。第2貫通孔22の第2方向側の大部分には、座繰り部23が形成されている。座繰り部23に、ボルト20の頭部20bが挿入される。
【0036】
第2揺動ハウジング8の第1方向側の第1端部8bは、揺動ハウジング部2の第1揺動ハウジング7との分割面に相当する。第2揺動ハウジング8の第1端部8bには、第2揺動ハウジング8の内周面8cから径方向内側に張り出す押さえプレート21が一体成形されている。押さえプレート21は、軸方向からみて円環状に形成されている。押さえプレート21は、第1揺動ハウジング7の内周面7cと後述する揺動歯車5の外周面との間に形成される作動室66a,66b,66cを第2方向側から塞いでいる。
なお、押さえプレート21は、第1揺動ハウジング7と第2揺動ハウジング8とが一体とされた場合に、揺動ハウジング部2とは分割して形成することができる。
【0037】
押さえプレート21の内周面21aには、第1方向側の端部を除く大部分に第2キャリア側第1ラビリンス部25が形成されている。第2キャリア側第1ラビリンス部25は、押さえプレート21の内周面21aの内径よりも段差部25aを介して内径を大きくすることで形成される。第2キャリア側第1ラビリンス部25は、回転部3と協働して第2ラビリンス40を構成する。第2ラビリンス40によって、第2揺動ハウジング8と回転部3との間から作動油が漏れにくくなる(詳細は後述する)。
【0038】
第2揺動ハウジング8の内周面8cには、押さえプレート21よりも第2方向寄りに、段差部24aを介して内径が大きく形成された第2軸受収納部24が形成されている。この第2軸受収納部24に、第2軸受13のアウタレース13aが嵌め合わされている。第2軸受13と第2揺動ハウジング8との位置決めは、段差部24aにアウタレース13aが突き当たることにより行われている。
【0039】
第2揺動ハウジング8の第2方向側の第2端部8dには、外周部に、軸方向からみて環状のOリング溝26が形成されている。Oリング溝26には、Oリング27が装着されている。Oリング27は、第2揺動ハウジング8と後述するカバー29との間のシール性を確保する。
第2揺動ハウジング8の第2端部8dには、Oリング溝26よりも径方向内側に、複数の雌ねじ部28が周方向に等間隔で形成されている。これら雌ねじ部28は、第2揺動ハウジング8にカバー29を固定するためのものである。
【0040】
<カバー>
カバー29は、第2揺動ハウジング8の開口部8eを第2方向側から塞いでいる。カバー29は、例えば金属板にプレス加工を施して中央の大部分が第2方向側に向かって膨出するように形成されている。カバー29の外周部は、外フランジ部29aが形成された形になる。この外フランジ部29aが、第2揺動ハウジング8の第2端部8dに重なっている。
【0041】
外フランジ部29aには、第2揺動ハウジング8の雌ねじ部28に対応する位置に厚さ方向に貫通する貫通孔29bが形成されている。この貫通孔29bに、第2方向側からボルト30を挿入し、第2揺動ハウジング8の雌ねじ部28にボルト30を締め付けることにより、第2揺動ハウジング8にカバー29が固定される。
【0042】
<給排プレート>
第2揺動ハウジング8の第2貫通孔22及び第1揺動ハウジング7の第1貫通孔19に挿入されるボルト20によって固定される給排プレート(ポートプレート)46は、厚肉部10の一方側の第1端部10bに配置されている。給排プレート46は、後述する作動室66a,66b,66cに作動油(作動流体を供給したり、作動室66a,66b,66cから作動油を排出したりするためのプレートである。
【0043】
給排プレート46は、軸方向からみて円環状に形成されている。給排プレート46の外径は、第1揺動ハウジング7の内周面7cの直径とほぼ同等か若干小さい程度である。このため、給排プレート46は、第1揺動ハウジング7の内周面7cに嵌め合わさるようにして厚肉部10の第1端部10bに配置されている。
【0044】
給排プレート46の外周部には、第1揺動ハウジング7の第1貫通孔19に対応する位置に、雌ねじ部47が形成されている。第2揺動ハウジング8側からボルト20を第2貫通孔22、第1揺動ハウジング7の第1貫通孔19の順に挿入し、ボルト20を給排プレート46の雌ねじ部47に締め付ける。これにより、各ボルト20によって、第1揺動ハウジング7、第2揺動ハウジング8及び給排プレート46が共締めされて一体化される。
【0045】
給排プレート46には、雌ねじ部47よりも径方向内側に、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔(給排ポート)46aが形成されている。これら貫通孔46aを介して作動室66a,66b,66cに作動油を供給したり、作動室66a,66b,66cから作動油を排出したりする(詳細は後述する)。貫通孔(給排ポート)46aの個数は、第1揺動ハウジング7に形成されたピン溝10aの個数に対応している。例えば、本実施形態では、貫通孔46aの個数は13個である。各貫通孔(給排ポート)46aは、厚肉部10側の開口が周方向で隣り合う各ピン溝10aの間の中央で、かつ厚肉部10の内周面10dよりも径方向内側に位置するように形成されている。
【0046】
給排プレート46の内周面46bには、第2方向の端部を除く大部分にプレート側ラビリンス部48が形成されている。プレート側ラビリンス部48は、給排プレート46の内周面46bの内径よりも段差部48aを介して内径を大きくすることで形成される。プレート側ラビリンス部48は、回転部3と協働して第3ラビリンス49を構成する。第3ラビリンス49によって、給排プレート46と回転部3との間から作動油が漏れにくくなる(詳細は後述する)。
【0047】
<回転部>
揺動ハウジング部2に回転自在に保持された回転部3は、軸方向両側が各軸受12,13を介して回転自在に支持されたキャリア部(回転部材)6と、キャリア部6に回転自在に支持された複数(例えば、本実施形態では3個)のクランクシャフト4と、クランクシャフト4に回転自在に支持された揺動歯車5と、を主構成としている。
キャリア部6は、軸方向で分割されて第1方向側に配置された第1キャリア31と、第2方向側に配置された第2キャリア32と、からなる。
【0048】
第1キャリア31は、円板状の基板部33と、基板部33の第2方向側の第2端部33bから第2方向に向かって突出する複数(例えば、本実施形態では3個)の支柱部34と、が一体成形されたものである。
基板部33の外周面33cは、第2端部33bから第1方向側の第1端部33aに向かうに従って段差部を介して漸次外径が大きく形成されている。
【0049】
すなわち、基板部33の外周面33cは、第2端部33b側から順に、第1外周面33dと、第1外周面33dの第1方向側端に大段差部33hを介して外径が大きく形成された第2外周面33eと、第2外周面33eの第1方向側端に小段差部33iを介して外径が大きく形成された第3外周面33fと、第3外周面33fの第1方向側端に中段差部33jを介して外径が大きく形成された第4外周面33gと、を有する。
【0050】
第1キャリア31の第1外周面33dに対応する箇所は、給排プレート46のプレート側ラビリンス部48に挿入されている。第1外周面33dの外径は、プレート側ラビリンス部48の内径よりも若干小さい程度である。第1キャリア31の第2端部33bは、給排プレート46の段差部48aよりもやや手前に位置している。このように、第1キャリア31の第1外周面33d、第2端部33b、及び給排プレート46のプレート側ラビリンス部48により、第3ラビリンス49が構成される。
【0051】
第3外周面33fには、第1軸受12のインナレース12bが嵌め合わされている。第1軸受12と第1キャリア31との位置決めは、中段差部33jにインナレース12bが突き当たることにより行われている。これにより、第1揺動ハウジング7に対する第1キャリア31の位置決めが行われる。また、第1揺動ハウジング7に対し、第1軸受12を介して第1キャリア31が回転自在に支持される。
【0052】
第1キャリア31の第4外周面33gは、第1揺動ハウジング7のシール収納部14と径方向で対向している。すなわち、第1キャリア31の第4外周面33gと第1揺動ハウジング7のシール収納部14との間に、シール部15が配置された形になる。
【0053】
第4外周面33gの第1方向側端には、軸方向からみて円形状の円板部35が一体成形されている。円板部35の第2方向側の第2端部35bは、軸方向で第1揺動ハウジング7の第1端部7bと対向している。円板部35の外径は、第1揺動ハウジング7の外周面7aの直径と同等である。円板部35の第2端部35bには、外周部に、軸方向からみて環状のシール収納凹部36が形成されている。シール収納凹部36は、第4外周面33gと滑らかに連なっている。シール収納凹部36にもシール部15の一部が収納される。これにより、第1揺動ハウジング7の第1キャリア31(回転部3)との間がシールされる。
【0054】
円板部35の第2端部35bには、外周縁に、段差を介して外径が小さく形成された第1キャリア側第2ラビリンス部37が形成されている。この第1キャリア側第2ラビリンス部37と第1揺動ハウジング7に形成された第1キャリア側第1ラビリンス部16とにより、第1ラビリンス38が構成される。シール部15の径方向外側に第1ラビリンス38が配置されるので、第1揺動ハウジング7と第1キャリア31(回転部3)との間を介して外部からの塵埃等の侵入を確実に抑制できる。
【0055】
円板部35の外周面35cには、径方向外側に張り出す外フランジ部39が形成されている。外フランジ部39は、油圧モータ1を図示しない外部機器に取り付けるためのものである。外フランジ部39には、図示しないボルトを通す貫通孔39aが外フランジ部39の厚さ方向(軸方向)に貫通形成されている。
【0056】
基板部33の第2端部33bには、外周部寄り(第1外周面33dのやや径方向内側)に、複数(例えば、本実施形態では3個)の軸支持凹部44が周方向に等間隔で形成されている。軸支持凹部44は、クランクシャフト4を回転自在に支持する。軸支持凹部44には、クランクシャフト4を回転自在に支持するための第1軸受59aが嵌め合わされている。第1軸受59aは、例えば滑り軸受である。しかしながらこれに限られるものではなく、玉軸受等、さまざまな軸受を用いることができる。
【0057】
また、基板部33には、第2外周面33eよりも径方向内側に、複数の供給路41、複数の排出路42、及び、ドレン通路(タンク路)43が基板部33の軸方向全体に渡って形成されている。
供給路41は、図示しない油圧ポンプから作動油が供給される油路(流路)である。供給路41の第2方向側端は、大段差部33hを介して開口されている。すなわち、各供給路41は、大段差部33hに供給開口部41aを有している。
排出路42は、油圧モータ1内の作動油が排出される油路(流路)である。排出路42の第2方向側端も大段差部33hを介して開口されている。すなわち、各排出路42は、大段差部33hに排出開口部42aを有している。
【0058】
供給路41の個数及び排出路42の個数は、それぞれ第1揺動ハウジング7に固定されている給排プレート46の貫通孔46aの個数と異なる。例えば、本実施形態では、供給路41の個数及び排出路42の個数は、給排プレート46の貫通孔(給排ポート)46aの個数よりも1個少なく、12個ずつである。
供給路41の供給開口部41aと排出路42の排出開口部42aは、同一ピッチ円上に周方向に交互に配置されている。各供給開口部41aと各排出開口部42aとは、各々1つずつで対となって周方向で等間隔に配置されている。
【0059】
ドレン通路(タンク路)43は、油圧モータ1内の漏れ出た作動油を図示しないタンクへと還流するための流路である。
供給路41、排出路42、及びドレン通路43の第1方向側端は、基板部33の第1方向側の第1端部33aに設けられた分配板100を介して油分配部45に通じている。分配板100は、後述するように複数の流路に分配可能な流路103~107を有している。油分配部45は、後述する複数の流路111~114を有している。分配板100は、円板部35の第1方向側の第1端部35aに接している。
【0060】
複数の流路111~114を介して油圧ポンプからの作動油が流路103~107に供給される。これら分配可能な流路103~107を介し、流路111~114からの作動油が供給路41に供給される。
また、排出路42に排出された作動油が分配可能な流路103~107および流路111~114を介してタンクに還流されたり再び供給路41に還流されたりする。ドレン通路43に排出された作動油も分配流路を介してタンクに還流されてもよい。なお、作動油の作用についての詳細は後述する。
【0061】
第1キャリア31の大段差部33hと給排プレート(ポートプレート)46との間には、隙間が形成される。この隙間に、摺動プレート(ピストンプレート)50が配置される。摺動プレート50は、軸方向からみて環状に形成されている。摺動プレート50は、第1キャリア31の第1外周面33dに内周面が嵌め合わされ、第1キャリア31に対して回転不能、かつ軸線C1方向にスライド移動可能に設けられている。摺動プレート50の厚さは、大段差部33hと給排プレート46との間の隙間よりも小さい。
【0062】
摺動プレート(ピストンプレート)50には、供給路41の供給開口部41aと排出路42の排出開口部42aとに対応するように複数の貫通孔(貫通ポート)50cが形成されている。供給開口部41aに対応する貫通孔50cは、供給開口部41aと同軸上に配置されている。排出開口部42aに対応する貫通孔50cは、排出開口部42aと同軸上に配置されている。
【0063】
各供給開口部41a及び各排出開口部42aには、円筒状のピストン51が設けられている。ピストン51は、供給路41及び排出路42にスライド移動自在に設けられている。ピストン51は、供給路41及び排出路42に設けられたスプリング51sによって摺動プレート50に向かって付勢されている。したがって、ピストン51は、摺動プレート(ピストンプレート)50に押し付けられる。
【0064】
摺動プレート50の厚さは、大段差部33hと給排プレート46との間の隙間よりも小さい。このため、ピストン51は、スプリング51sによって大段差部33hから突出して摺動プレート50に突き当たっている。この結果、摺動プレート(ピストンプレート)50は、第2方向側の面50bが給排プレート46に押し付けられる。これにより、ピストン51を介して各供給路41と摺動プレート50の貫通孔50cとが通じる。また、ピストン51を介して各排出路42と摺動プレート50の貫通孔50cとが通じる。さらに、摺動プレート50の各貫通孔50cと給排プレート46の貫通孔46aとが通じる。
【0065】
第1キャリア31の支柱部34は、軸方向からみて三角形状に形成された柱状である。各支柱部34は、周方向で基板部33の軸支持凹部44の間に位置するように配置されている。つまり、各支柱部34は、基板部33の第2端部33b上に周方向に等間隔で配置されている。各支柱部34のピッチ円直径と軸支持凹部44のピッチ円直径は、ほぼ同一である。
【0066】
支柱部34の先端部34aは、平坦に形成されている。支柱部34の先端部34aは、第1揺動ハウジング7の第2端部7dと同一平面上に位置している。支柱部34の先端部34aには、リーマボルト用雌ねじ部52が形成されている。
【0067】
リーマボルト用雌ねじ部52は、支柱部34の先端部34aから支柱部34の軸方向中央に至る間に軸方向に沿って形成された嵌合凹部52aと、嵌合凹部52aの底部から第1方向に向かって延出する雌ねじ部本体52bと、からなる。リーマボルト用雌ねじ部52にリーマボルト(他の固定部の一例)53を締め付けることにより、第1キャリア31と第2キャリア32とが一体化される。
【0068】
第2キャリア32は、円板状に形成されている。第2キャリア32は、第1キャリア31を構成する支柱部34の先端部34aに第1方向側の第1端部32aが突き当たるように配置されて位置決めされる。このため、第1キャリア31の基板部33と第2キャリア32との間には、支柱部34の高さと同じ隙間が形成される。この隙間の周囲を第1揺動ハウジング7の厚肉部10が取り囲むことにより、揺動歯車5を収納するための揺動歯車収納部60が形成される。
【0069】
第2キャリア32の第1端部32aは、全体に渡って平坦に形成されている。第2キャリア32には、リーマボルト用雌ねじ部52に対応する位置に、厚さ方向に貫通する嵌合孔54が形成されている。嵌合孔54に、第2キャリア32の第2方向側からリーマボルト53を挿入し、このリーマボルト53を、支柱部34の嵌合凹部52aを介して雌ねじ部本体52bに締め付けることにより、第1キャリア31と第2キャリア32とが一体化される。
【0070】
リーマボルト53は、軸部53aと、軸部53aの第1方向側端から突出され軸部53aと同軸上に形成された雄ねじ部53bと、軸部53aの第2方向側端に軸部53aと同軸上に形成された頭部53cと、からなる。リーマボルト用雌ねじ部52にリーマボルト53を締め付けた状態では、支柱部34の嵌合凹部52aと第2キャリア32の嵌合孔54とに、リーマボルト53の軸部53aが嵌め合わされる。すなわち、リーマボルト53の軸部53aは、第1キャリア31と第2キャリア32とに跨って配置される。
【0071】
第2キャリア32の第2方向側の第2端部32bには、嵌合孔54に座繰り部55が形成されている。座繰り部55に、リーマボルト53の頭部53cが挿入される。これにより、第2キャリア32の第2端部32bからのリーマボルト53の頭部53cの突出高さが抑えられている。
【0072】
第2キャリア32の外周面32cは、軸方向中央の大部分に段差部56aを介して外径が小さく形成された縮径部56を有している。この縮径部56に、第2軸受13のインナレース13bが嵌め合わされている。これにより、第2揺動ハウジング8に対し、第2軸受13を介して第2キャリア32が回転自在に支持される。
【0073】
縮径部56の第2軸受13が嵌め合わされている箇所よりも第1方向側には、第2キャリア側第2ラビリンス部57が形成されている。第2キャリア側第2ラビリンス部57は、縮径部56の外径よりも段差部57aを介して外径を小さくすることで形成される。第2キャリア側第2ラビリンス部57の外径は、第2揺動ハウジング8の第2キャリア側第1ラビリンス部25の内径よりも若干小さい。
【0074】
第2キャリア側第2ラビリンス部57の先端は、第2キャリア側第1ラビリンス部25の段差部25aのやや手前に位置している。このように、第2揺動ハウジング8の第2キャリア側第1ラビリンス部25、及び第2キャリア32の第2キャリア側第2ラビリンス部57により、第2ラビリンス40が構成されている。
【0075】
第2キャリア32の第2キャリア側第2ラビリンス部57よりもやや径方向内側には、複数(例えば、本実施形態では3個)の軸支持孔58が周方向に等間隔で形成されている。軸支持孔58は、クランクシャフト(偏心回転体)4を回転自在に支持する。これら軸支持孔58と対応する第1キャリア31の軸支持凹部44とは、同軸上に位置している。軸支持孔58には、第2軸受59bが嵌め合わされている。第2軸受59bは、例えば滑り軸受である。しかしながらこれに限られるものではなく、玉軸受等、さまざまな軸受を用いることができる。
【0076】
<クランクシャフト>
各々のクランクシャフト4は、各軸受59a,59bを介して、各々軸支持凹部44と軸支持孔58とに回転自在に支持されている。クランクシャフト4は、軸受59a,59bを介して、軸支持凹部44と軸支持孔58とに摺動回転可能であるといえる。
本実施形態では、クランクシャフト4の個数は3個である。クランクシャフト4は、軸支持凹部44及び軸支持孔58に軸受59a,59bを介して回転自在に支持された軸受部4a,4b(第1軸受部4a、第2軸受部4b)と、各軸受部4a,4bの間に設けられた円柱状の偏心部4cと、が一体成形されたものである。
【0077】
クランクシャフト4の回転軸線(第2軸線C2)、つまり、各軸受部4a,4bの軸線は、第1軸線C1と平行である。クランクシャフト4の軸方向への移動は、各軸受部4a,4bの軸方向外側に設けられたスラスト軸受61a,61b(第1スラスト軸受61a、第2スラスト軸受61b)と、第1キャリア31の軸支持凹部44に設けられた第1カラー70a、第2キャリア32の軸支持孔58に設けられた第2カラー70bによって規制されている。2つのスラスト軸受61a,61bのうち、第2キャリア32の軸支持孔58に設けられた第2スラスト軸受61bは、軸支持孔58に設けられた止め輪62によって第2方向に向かう移動が規制されている。
【0078】
偏心部4cの軸方向の長さは、揺動歯車収納部60の軸方向の幅内に収まる長さに形成されている。具体的には、偏心部4cの軸方向の長さは、第1揺動ハウジング7の厚肉部10の軸方向の長さよりも若干短い程度である。したがって、偏心部4cの第2方向の端部の位置と第2揺動ハウジング8の第1端部8bの位置とは、ほぼ同一平面上となる。
偏心部4cの軸線(第3軸線C3)は、クランクシャフト4の第2軸線C2に対して偏心している。この偏心部4cに、第3軸受59cを介して揺動歯車5が回転自在に支持されている。第3軸受59cは、例えば滑り軸受である。しかしながらこれに限られるものではなく、玉軸受等、さまざまな軸受を用いることができる。
【0079】
揺動歯車5の外径は、揺動歯車収納部60に収納可能なように厚肉部10の内周面10dの直径よりも小さい。揺動歯車5の軸方向の厚さは、偏心部4cと同等である。したがって、揺動歯車5の第2方向の端部の位置と第2揺動ハウジング8の第1端部8bの位置とは、ほぼ同一平面上となる。揺動歯車5には、クランクシャフト4に対応する位置に、クランクシャフト4の偏心部4cが貫通される支持孔63が形成されている。
【0080】
各支持孔63は、周方向に等間隔で配置されている。これら支持孔63に、第3軸受59cが設けられている。揺動歯車5のクランクシャフト4に対する軸方向の移動は、第3軸受59cの軸方向両端に設けられた止め輪67によって規制されている。このような構成のもと、クランクシャフト4によって揺動歯車5の回転が揺動回転に規制される。
【0081】
また、揺動歯車5には、第1キャリア31の支柱部34に対応する位置に、支柱部34が貫通される逃げ孔64が形成されている。逃げ孔64の軸方向からみた形状は、支柱部34の軸方向からみた形状に対応するように三角形状である。逃げ孔64の大きさは、各支柱部34が揺動歯車5の揺動回転動作を妨げないように、支柱部34の外面形状よりも十分に大きく形成されている。
【0082】
揺動歯車5の外周面は、径方向で第1揺動ハウジング7の内歯ピン90と対向している。揺動歯車5の外周面には、内歯ピン90に噛み合わされる外歯65が形成されている。外歯65の歯数は、内歯ピン90の歯数(個数)と異なる。例えば、本実施形態では、外歯65の歯数は、内歯ピン90の歯数よりも1個少ない12個である。この個数は、第1キャリア31に形成されている供給路41の個数及び排出路42の個数と一致している。
【0083】
揺動歯車5は、揺動回転動作の間、歯先65aから歯底65bに至る間のいずれかが常に内歯ピン90に接触する。これにより、第1揺動ハウジング7に形成されている厚肉部10の内周面10dと揺動歯車5の外歯65との間に、大きく2つの作動室66a,66b(第1作動室66a、第2作動室66b)が形成される。2つ作動室66a,66bは、軸方向からみて線対称に形成される。
作動室66aと作動室66bとの間には、作動室66cが形成される。ここで、作動室66aと作動室66bとは、動作時の圧力状態に応じて区別している。後述するように、供給路41に連通して高圧力となる位置を作動室66aとし、排出路42に連通して低圧力となる位置を作動室66bとしてそれぞれまとめている。このため、供給路41と排出路42とのいずれにも同時に連結していない状態の圧力となる位置を作動室66cとする。
【0084】
これら作動室66a,66bに、給排プレート(ポートプレート)46の複数の貫通孔(給排ポート)46aが通じる。これら貫通孔46aを介し、作動室66a,66bに作動油が供給されたり、作動室66a,66bから作動油が排出されたりする。これにより、油圧モータ1が回転駆動される。
【0085】
<分配板>
分配板100は、油分配部45と円板部35とにそれぞれ端面101,102が接した状態として厚さ方向に挟まれ第1流路111~114と給排流路(第2流路)41,42とを繋ぐ第3流路103~107を有する。
分配板100は、第1ハウジングである油分配部45と、第2ハウジングである円板部35を含む回転部3揺動ハウジング部2と、の間に挟まれて、第3流路103~107によって第1流路111~114と第2流路41,42との間で作動油(流体)を分流、合流する。
【0086】
分配板100における第1方向の端面101は、第1ハウジングである油分配部45の端面45aと接している。分配板100における第2方向の端面102は、第2ハウジングである円板部35の第1方向側の第1端部35aと接している。分配板100は、端面101,102の表裏両面において端面45aと第1端部35aとから押圧されて密閉状態を維持する。
分配板100は、第1ハウジングである油分配部45と、第2ハウジングである円板部35とを締結することで押圧することもできる。
【0087】
分配板100には、第3流路として、厚さ方向に貫通して端面101と端面102とに開口する複数の貫通流路103が形成される。複数の貫通流路103は、端面101および端面102において、軸線C1を中心とする同一円周上に沿って周方向に並ぶ配置とされる。複数の貫通流路103の開口位置は、周方向で等しい離間距離を有する。貫通流路103は、供給路41と排出路42との合計数と等しい数として配置される。貫通流路103は、ピストン51の配置数と対応して配置される。本実施形態では、貫通流路103は、24個が周方向に並んで配置される。
【0088】
複数の貫通流路103は、端面101の開口が第1ハウジングである油分配部45の端面45aに開口した第1流路111~114に対向して連結する。なお、端面101においては、全ての貫通流路103と第1流路111~114とが対向して連結する開口を有する必要はない。
複数の貫通流路103は、端面102における開口が、第2ハウジングである円板部35の第1方向側の第1端部35aに開口した供給路41および排出路42に対向して連結する。端面102においては、貫通流路103は、それぞれ対応する供給路41または排出路42に対向して連結する開口を有する。
【0089】
分配板100の端面101には、第3流路として、それぞれ複数の貫通流路103を連結する連結溝流路として、外周連結溝流路104と、内周連結溝流路105と、外径方向溝流路106と、内径方向溝流路107と、が溝状に形成される。
外周連結溝流路104は、分配板100の周方向に沿って、端面101に開口する複数の貫通流路103よりも径方向外側に円環状の溝として形成される。外周連結溝流路104は、全周で等しい幅寸法、等しい深さ寸法とされる。
【0090】
内周連結溝流路105は、分配板100の周方向に沿って端面101に開口する複数の貫通流路103よりも径方向内側に円環状の溝として形成される。内周連結溝流路105は、全周で等しい幅寸法、等しい深さ寸法とされる。
外周連結溝流路104と内周連結溝流路105とは、互いに等しい幅寸法、等しい深さ寸法とされる。外周連結溝流路104と内周連結溝流路105とは、軸線C1を中心とする同心状に配置される。
【0091】
外径方向溝流路106は、周方向に並ぶ複数の貫通流路103のうち所定の位置にある貫通流路103と、外周連結溝流路104とを連結するように、分配板100の径方向に沿って端面101に溝状に形成される。内径方向溝流路107は、周方向に並ぶ複数の貫通流路103のうち所定の位置にある貫通流路103と、内周連結溝流路105とを連結するように、分配板100の径方向に沿って端面101に溝状に形成される。
【0092】
分配板100の端面102にも、端面101と同様に、それぞれ複数の貫通流路103を連結する連結溝流路として、外周連結溝流路104と、内周連結溝流路105と、外径方向溝流路106と、内径方向溝流路107と、が溝状に形成される。端面101と端面102とにおいて、外周連結溝流路104と内周連結溝流路105とが、ほぼ同じ形状として厚さ方向に対称な配置とされる。
また、端面101と端面102とにおいて、外径方向溝流路106と内径方向溝流路107とは、その形状はほぼ等しく形成される。一方、端面101と端面102とにおいて、これら外径方向溝流路106と内径方向溝流路107との周方向における配置が異なる。
【0093】
本実施形態においては、端面101の外周連結溝流路104には、外径方向溝流路106を介して6箇所の貫通流路103が連結される。端面101の内周連結溝流路105には、内径方向溝流路107を介して6箇所の貫通流路103が連結される。また、端面102の外周連結溝流路104には、外径方向溝流路106を介して6箇所の貫通流路103が連結される。端面102の内周連結溝流路105には、内径方向溝流路107を介して6箇所の貫通流路103が連結される。
【0094】
これら、端面101の外周連結溝流路104、端面101の内周連結溝流路105、端面102の外周連結溝流路104、端面102の内周連結溝流路105、および、これらに連結された貫通流路103は、互いに分離されており、別々の4つの流路を形成する。これら分配板100に形成された4つの流路は、第1ハウジングである油分配部45に形成された4つの第1流路111~114に対応する。なお、図5図7には、分配板100における独立の4つの流路と、それぞれ4つの第1流路111~114と、における相互の対応関係を示す。
【0095】
なお、4つの独立する流路としては、それぞれ、端面101の内径方向溝流路107、端面101の外径方向溝流路106、端面102の内径方向溝流路107、端面102の外径方向溝流路106、のいずれか1つが貫通流路103に形成されている。また、これら端面101の内径方向溝流路107、端面101の外径方向溝流路106、端面102の内径方向溝流路107、端面102の外径方向溝流路106、のうち2つ以上が、同一の貫通流路103に形成されることはない。
【0096】
このように、周方向に並んだ貫通流路103のうち、隣接して開口する4個の貫通流路103を一組として、端面101と端面102とにおける外径方向溝流路106と内径方向溝流路107との配置が周方向に繰り返される。つまり、端面101の内径方向溝流路107、端面101の外径方向溝流路106、端面102の内径方向溝流路107、端面102の外径方向溝流路106、を一組としてこの組を周方向に繰り返す。
あるいは、端面101の内径方向溝流路107、端面102の内径方向溝流路107、端面101の外径方向溝流路106、端面102の外径方向溝流路106、を一組としてこの組を周方向に繰り返すこともできる。さらに、これらの周方向における配置方向つまり、平面視して右回りか左回りかを逆回りとすることで、さらに別の繰り返しパターンとすることもできる。
【0097】
本実施形態において例示した構成は次の通りである。
流路111に、端面102の内径方向溝流路107が連結される。流路112に、端面102の外径方向溝流路106が連結される。流路113に、端面101の内径方向溝流路107が連結される。流路114に、端面101の外径方向溝流路106が連結される。
つまり、流路111~114を異なる圧力状態とした場合に、その圧力状態に対応して4つの独立する流路の圧力状態を対応させることができる。
【0098】
端面102における貫通流路103の開口は、第2ハウジングとなる円板部35および基板部33に形成された供給路41および排出路42に接続される。ここで、上述した4つの独立流路のうち、2つが供給路41に連結され、2つが排出路42に連結される。なお、作動油の作用についての詳細は後述する。以下、油圧モータ1の動作について詳述する。
【0099】
<油圧モータの動作>
次に、油圧モータ1の動作について説明する。
油圧モータ1には、図示しない油圧ポンプから供給された作動油が、油分配部45の流路111,113および分配板100を介して各供給路41に供給される。
【0100】
つまり、図5図7に示すように、油圧ポンプから供給された作動油が、流路111から送られて、流路111の端面45aにおける開口から分配板100へと流入する。分配板100へと流入した作動油は、流路111の端面45aにおける開口に対向して開口している端面101の貫通流路103を介して、端面101の内径方向溝流路107から、端面101の内周連結溝流路105へと流入する。
【0101】
分配板100では端面101の内周連結溝流路105において、作動油が、この内周連結溝流路105に連結される他の端面101の内径方向溝流路107から、他の貫通流路103へと分流される。本実施形態の分配板100においては、作動油が、5つの貫通流路103へと分配される。分配された作動油は、さらに、これらの貫通流路103において分配板100の厚さ方向へと流れ、貫通流路103における端面102の開口を介して各供給路41に供給される。
【0102】
同様に、図5図7に示すように、油圧ポンプから供給された作動油が、流路113から送られて、流路113の端面45aにおける開口から分配板100へと流入する。分配板100へと流入した作動油は、流路113の端面45aにおける開口に対向して開口している端面101の貫通流路103へと流入し、貫通流路103において分配板100の厚さ方向へと流れる。さらに、作動油は、貫通流路103の端面102において、端面102の内径方向溝流路107を介して、端面102の内周連結溝流路105へと流入する。
【0103】
分配板100では端面102の内周連結溝流路105において、作動油が、この内周連結溝流路105に連結される他の端面102の内径方向溝流路107から、他の貫通流路103へと分流される。本実施形態の分配板100においては5つの貫通流路103へと分配される。分配された作動油は、さらに、これらの貫通流路103における端面102の開口を介して各供給路41に供給される。
【0104】
複数の供給路41および流路111,113では、いずれも同じ圧力P1として作動油が供給される。なお、図5図7図11において、供給される作動油(流体)は高圧状態とされ、これをP1で示す。
各供給路41に供給された作動油は、各供給開口部41aのピストン51、摺動プレート(ピストンプレート)50の貫通孔(貫通ポート)50c及び給排プレート(ポートプレート)46の貫通孔(給排ポート)46aを介して作動室66a,66bに供給される。
【0105】
ここで、各供給開口部41aのピストン51は、スプリング51sによって摺動プレート50に向かって付勢された状態で、第1キャリア31と一体に回転する摺動プレート(ピストンプレート)50と摺動する。貫通孔(貫通ポート)50cが摺動プレート50の回転によってピストン51と一致した位置に来たときに、供給路41に供給された作動油が貫通孔(貫通ポート)50cへと流入する。
【0106】
第1キャリア31と一体に回転する摺動プレート(ピストンプレート)50は、揺動ハウジング部2と一体とされた給排プレート(ポートプレート)46と摺動する。貫通孔(給排ポート)46aが、摺動プレート50および給排プレート46の回転によって貫通孔(貫通ポート)50cと一致した位置に来たときに、貫通孔(貫通ポート)50cに供給された作動油が貫通孔(給排ポート)46aへと流入する。
また、貫通孔(給排ポート)46aと貫通孔(貫通ポート)50cとが一致して連通していない場合には、摺動プレート(ピストンプレート)50によって貫通孔(給排ポート)46aが閉塞され、作動室66a,66bから貫通孔(給排ポート)46aを介して作動油が漏出あるいは逆流することを防止している。
【0107】
ここで、供給路41(供給開口部41a及び供給開口部41aに通じる摺動プレート50の貫通孔50c)の個数は、給排プレート46の貫通孔46aの個数よりも1個少ない。また、排出路42(排出開口部42a及び排出開口部42aに通じる摺動プレート50の貫通孔50c)の個数は、給排プレート46の貫通孔46aの個数よりも1個少ない。このため、2つの作動室66a,66bのうちのいずれか一方には、給排プレート46の貫通孔46aを介して供給路41のみが通じる。また、2つの作動室66a,66bのうちのいずれか他方には、給排プレート46の貫通孔46aを介して排出路42のみが通じる。
このとき、作動室66cにおける給排プレート46の貫通孔46aは、摺動プレート50の貫通孔50cに通じていないため、作動室66cには、供給路41および排出路42が通じていない。
【0108】
すると、2つの作動室66a,66bのうちのいずれか一方の内部の圧力が、2つの作動室66a,66bのうちのいずれか他方の内部の圧力よりも高まる。以下、説明を分かりやすくするために、2つの作動室66a,66bのうち、作動室66a(図2における左側)の圧力P1が、作動室66b(図2における右側)の圧力P2よりも高くなる場合について説明する。また、以下の説明では、高い圧力P1の作動室66aを高圧作動室66aと称する。この高圧作動室66aと比較して低い圧力P2の作動室66bを低圧作動室66bと称する。高圧作動室66aが、供給路41に通じている。低圧作動室66bが、排出路42に通じている。
排出路42では、いずれも同じ圧力P2として作動油が流れる。なお、図5図7図11において、排出される作動油(流体)は低圧状態とされ、これをP2で示す。
【0109】
高圧作動室66aに作動油が供給されることにより、揺動歯車5が低圧作動室66b側に向かって押し付けられる(図2における矢印Y1参照)。低圧作動室66bの作動油は、排出路42を介して排出される。この結果、低圧作動室66b側で内歯ピン90と揺動歯車5の外歯65とが噛み合わされる。すると、内歯ピン90の歯数に対して外歯65の歯数が1個少ないので、揺動歯車5が僅かに回転方向にずれる。
【0110】
このとき、クランクシャフト4を介してキャリア部6が揺動歯車5に連れられて回転方向にずれる。すなわち、揺動ハウジング部2に対して回転部3が僅かに回転される。すると、給排プレート46に対して摺動プレート50が回転される。そして、摺動プレート50の貫通孔50cと給排プレート46の貫通孔46aとの通じている状態が切り替わる。揺動歯車5が揺動回転されることにより、高圧作動室66aも低圧作動室66b僅かに回転方向にずれる。
【0111】
摺動プレート50の貫通孔50cと給排プレート46の貫通孔46aとの通じている状態が切り替わったところで再び高圧作動室66aに作動油が供給される。また、低圧作動室66bから作動油が排出される。これを順次繰り返すことにより、揺動ハウジング部2に対して回転部3が回転される。この回転により出力が得られる。
【0112】
ここで、貫通孔(給排ポート)46aが、摺動プレート50および給排プレート46の回転によって貫通孔(貫通ポート)50cと一致した位置に来たときに、低圧作動室66bから作動油が貫通孔(貫通ポート)50cへと排出される。
また、貫通孔(給排ポート)46aと貫通孔(貫通ポート)50cとが一致して連通していない場合には、摺動プレート(ピストンプレート)50によって貫通孔(給排ポート)46aが閉塞され、作動室66a,66bから貫通孔(給排ポート)46aを介して作動油が排出されることを防止している。
【0113】
排出路42の排出開口部42aのピストン51は、スプリング51sによって摺動プレート50に向かって付勢された状態で、第1キャリア31と一体に回転する摺動プレート(ピストンプレート)50と摺動する。貫通孔(貫通ポート)50cが摺動プレート50の回転によってピストン51と一致した位置に来たときに、貫通孔(給排ポート)46aから排出された作動油が排出開口部42aのピストン51を介して排出路42と排出される各排出路42に排出された作動油は、分配板100および油分配部45の流路112,114を介してタンクに還流される。
【0114】
つまり、図5図7に示すように、各排出路42に排出された作動油が、円板部35の第1端部35aにおける開口から分配板100へと流入する。作動油は、第1端部35aにおける開口に対向して開口している端面102の開口を介して貫通流路103へと流入する。
【0115】
貫通流路103のうち、端面102の外周連結溝流路104を有する貫通流路103においては、対応する排出路42から流入した作動油が、貫通流路103を介して端面102の外径方向溝流路106から、端面102の外周連結溝流路104へと流入して合流する。
分配板100では、端面102の外周連結溝流路104において合流した作動油が、端面101において流路112へと連通する貫通流路103へと流れる。本実施形態の分配板100においては、作動油が、端面102の外周連結溝流路104を介して、5つの貫通流路103から流路112へと連通する貫通流路103へと合流する。
【0116】
作動油は、この貫通流路103において分配板100の厚さ方向へと流れ、さらに、端面101に開口している貫通流路103から端面45aにおける開口を介して流路112へと排出される。
【0117】
同様に、貫通流路103のうち、端面101の外周連結溝流路104を有する貫通流路103においては、対応する排出路42から流入した作動油が、この貫通流路103において分配板100の厚さ方向へと流れる。端面101へ到達した作動油は、貫通流路103を介して端面101の外径方向溝流路106から、端面101の外周連結溝流路104へと流入して合流する。本実施形態の分配板100においては、作動油が、端面101の外周連結溝流路104を介して、5つの貫通流路103から流路114へと連通する貫通流路103へと合流する。
【0118】
分配板100では、端面101の外周連結溝流路104において合流した作動油が、端面101において流路114へと連通する貫通流路103へと流れる。
作動油は、さらに、端面101に開口している貫通流路103から端面45aにおける開口を介して流路114へと排出される。
【0119】
複数の排出路42および流路112,114では、いずれも同じ圧力P2として作動油が排出される。なお、図5図7図11において、供給される作動油(流体)は低圧状態とされ、これをP2で示す。
このように、作動室66bから各排出路42を介して排出された作動油は、分配板100で合流して、流路112,114へと排出される。
【0120】
このように、油圧モータ1は、供給路41(供給開口部41a及び供給開口部41aに通じる摺動プレート50の貫通孔50c)の個数と給排プレート46の貫通孔46aの個数との不一致、及び排出路42(排出開口部42a及び排出開口部42aに通じる摺動プレート50の貫通孔50c)の個数と給排プレート46の貫通孔46aの個数との不一致を利用することで、摺動プレート50の貫通孔50cと給排プレート46の貫通孔46aとの通じている状態が周方向に順次切り替わるようになっている。この結果、給排プレート46の各貫通孔46aから各作動室66a,66bに選択的に作動油が供給、排出され、回転部3が回転される。
【0121】
回転部3を構成するキャリア部6は、第1キャリア31と第2キャリア32とに分割構成されている。これら第1キャリア31と第2キャリア32とはリーマボルト53によって固定されているので、このリーマボルト53を介して第1キャリア31と第2キャリア32との間の動力伝達が行われることになる。リーマボルト53の軸部53aは、第1キャリア31と第2キャリア32とに跨って配置されている。このため、第1キャリア31と第2キャリア32との間に雄ねじ部53bが跨る場合と比較して、第1キャリア31と第2キャリア32との動力伝達が効率よく行われる。
【0122】
また、各作動室66a,66bに供給される作動油は、クランクシャフト4と揺動歯車5との間の微小隙間を介して各キャリア31,32とクランクシャフト4との間の微小隙間に漏れ出す。この漏れ出た作動油は、第1キャリア31に形成されている軸支持凹部44を介してドレン通路(タンク路)43に排出される。ドレン通路(タンク路)43に排出された作動油は、図示しないタンクへと還流される。
【0123】
ここで、揺動歯車5の第1方向側には、第1キャリア31の第1外周面33d、第2端部33b、及び給排プレート46のプレート側ラビリンス部48により、第3ラビリンス49が構成されている。揺動歯車5の第2方向側には、第2揺動ハウジング8の第2キャリア側第1ラビリンス部25と第2キャリア32の第2キャリア側第2ラビリンス部57とにより、第2ラビリンス40が構成されている。このため、作動室66a,66bからクランクシャフト4と揺動歯車5との間の微小隙間を介して漏れ出る作動油は、第1揺動ハウジング7と第1キャリア31との間、及び第2揺動ハウジング8と第2キャリア32との間から漏れ出にくい。
【0124】
なお、油圧モータ1では、揺動ハウジング部2を固定することにより、回転部3から出力を得ることが可能である。この場合、回転部3(第1キャリア31)の外フランジ部39に固定された外部機器が被回転体となる。また、回転部3を固定することにより、揺動ハウジング部2から出力を得ることも可能である。この場合、揺動ハウジング部2(第1揺動ハウジング7)の外フランジ部9に固定された外部機器が被回転体となる。
【0125】
油圧モータ1は、第1揺動ハウジング7に設けられた内歯ピン90を有している。回転部3は、キャリア部6とキャリア部6に回転自在に支持されたクランクシャフト4と、クランクシャフト4によって揺動回転に記載され内歯ピン90に噛合わされる揺動歯車5と、を備える。このように構成することで、第1揺動ハウジング7の内周面7cと揺動歯車5の外周面との間に形成される作動室66a,66bに作動油を供給したり排出したりすることで、油圧モータ1を回転駆動させることができる。この回転駆動により、高い回転トルクを得ることができる。このような油圧モータ1に、分割構成された揺動ハウジング部2を好適に用いることができる。
【0126】
油圧モータ1は、各作動室66a,66bに作動油を選択的に供給、排出するための給排プレート46を有している。給排プレート46は、厚肉部10の第1端部10b(揺動歯車5の第1方向側端)に配置されている。このような給排プレート46を、ボルト20を利用して第1揺動ハウジング7に固定している。第1揺動ハウジング7と第2揺動ハウジング8とを固定するためのボルト20を利用して給排プレート46も固定しているので、油圧モータ1の部品点数を削減できる。
【0127】
このように、上述の実施形態の油圧モータ1では、油圧ポンプから油分配部45へと供給された作動油を、流路111,113を介して分配板100において各供給路41に分配して、作動室66a,66bに供給される。さらに、作動室66a,66bから各排出路42を介して排出された作動油を、分配板100において合流して、流路112,114へと排出する。
【0128】
油圧モータ1によれば、分配板100が、端面101および端面102を繋ぐ貫通流路103と、端面101,102に溝として形成した連結溝流路104~107とを有する。これらの第3流路103~107を、第1ハウジングである油分配部45の端面45aを端面101に密着させるとともに、第2ハウジングである円板部35の第1端部35aを端面102に密着させるように挟み、溝を密閉することで、分配板100で作動油(流体)を流すことが容易に可能となる。したがって第1流路111~114と第2流路41,42とを分配板100が繋いでいる。この分配板100により、第1流路111~114と第1流路111~114よりも本数の多い第2流路41,42との間で作動油(流体)を分配・合流することができる。
【0129】
したがって、第2方向および第1方向において、分配板100の厚みのみで、第1流路111~114と第2流路41,42との間で作動油の分配・合流をおこなうことが可能となる。したがって、上述した従来の技術に比べて、第1軸線C1に沿った方向における油圧モータ1の寸法を小さくすることが可能となる。
ことにより、同じ大きさの油圧モータ1において、出力トルクを増大することが可能となる。または、同じ出力トルクの油圧モータ1において、軸線C1方向に小型化して、省スペース化を図ることが可能となる。
【0130】
分配板100には、その表裏両側となる端面101,102に連結溝流路104~107がそれぞれ形成されることにより、最大で4つの独立流路を形成して作動油の分配・合流をおこなうことが可能となる。これにより、1つの流路111から供給路41へと作動油を供給する1速運転と、2つの流路111、113から供給路41へと作動油を供給する2速運転と、を行うことが可能となる。
【0131】
このとき、1速運転においては、排出路42から1つの流路111へと作動油を排出する。2速運転においては、排出路42から2つの流路113へと作動油を排出する。したがって、排出する油量に対する制限がかかることがない。
また、端面101,102に連結溝流路104~107がそれぞれ形成されこれを挟むだけで密閉した流路を形成することができる。これにより、従来の周面に溝を形成する技術に比べて、シール性を大幅に向上することができる。
【0132】
分配板100では、周方向に並ぶ複数の貫通流路103が端面101,102において等しい間隔をあけて配置されることにより、オービタルモータとして周方向に交互に配置された供給路41と排出路42とに、貫通流路103を連結することができる。
【0133】
分配板100では、外周連結溝流路104と内周連結溝流路105とにより複数の貫通流路103を連結する。これにより、平円板に貫通流路103を貫通し、平面である端面に環溝状に外周連結溝流路104と内周連結溝流路105とを形成するだけで、所定位置の貫通流路103を選択して独立流路を形成し、互いに圧力の異なる場合でも容易に分流・合流させることが可能となる。
【0134】
このため、分配板100を製造する際には、平円板を切削加工等すること、あるいは、鋳造等によって、容易に上記の構造を形成することができる。また、第1ハウジングと第2ハウジングとで挟むことで高いシール性を維持できるため、端面101,102の加工における精度をそれほど高くする必要がない。
【0135】
分配板100では、外径方向溝流路106と内径方向溝流路107とを形成する貫通流路103の位置をあらかじめ設定することにより、外周連結溝流路104と内周連結溝流路105とに連結する貫通流路103を選択することができるので、それぞれ独立の流路として、作動油の分配・合流をおこなうことが可能となる。
【0136】
特に、外径方向溝流路106と内径方向溝流路107とが、周方向に沿って並ぶ貫通流路103のうち、互いに隣接する貫通流路103にそれぞれ連結されることで、異なる圧力である供給路41と排出路42とが隣接した第2ハウジングに対応して、流路111~114を連結して分流・合流する構成とすることができる。
【0137】
あるいは、外径方向溝流路106と内径方向溝流路107とが、周方向に沿って並ぶ貫通流路103のうち、一つおきに隣接する貫通流路103にそれぞれ連結されることで、異なる圧力である供給路41と排出路42とのうち、例えば高圧の供給路41に流路111,113を連結して分流・合流する端面101,102の一方の面でおこなうとともに、低圧の流路112,114を連結して分流・合流する端面101,102の他方の面でおこなう構成とすることができる。
【0138】
このように、外径方向溝流路106と内径方向溝流路107との形成位置によって、合流・分流する流路を選択する自由度を有することができる。つまり、外径方向溝流路106と内径方向溝流路107との形成位置によって、4つの独立流路を自由に設定して第2流路に連結することができる。
【0139】
この場合、外径方向溝流路106と内径方向溝流路107とを形成する周方向の配置が、周方向において隣接する4つの貫通流路103を一組として繰り返すことで、4つの独立流路を自由に設定して第2流路に連結することができる。また、外径方向溝流路106と内径方向溝流路107とを形成する周方向の配置が、周方向において隣接する2つの貫通流路103を一組として繰り返すことで、分配板100の端面101,102のうち片面で2つの独立流路を自由に設定して第2流路に連結することができる。
【0140】
上述の実施形態では、第1揺動ハウジング7と第2揺動ハウジング8とを固定するための固定部としてボルト20を用いた場合について説明した。第1キャリア31と第2キャリア32とを固定するための固定部としてリーマボルト53を用いた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ボルト20やリーマボルト53に代わって各揺動ハウジング7,8を固定したり、各キャリア31,32を固定したりできればよい。例えば各々固定部としてリベット等を用いてもよい。
【0141】
上述の実施形態では、ボルト20を用いて第1揺動ハウジング7に給排プレート46を固定する場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ボルト20とは別の固定部材を用いて、第1揺動ハウジング7に給排プレート46を固定してもよい。また、給排プレート46は、第1揺動ハウジング7及び第2揺動ハウジング8と共締めでなくてもよい。
この場合、各揺動ハウジング7,8の外周面に例えば揺動ハウジング固定用の外フランジ部を設け、この外フランジ部をボルトによって固定することにより、各揺動ハウジング7,8を一体化してもよい。
【0142】
上述の実施形態では、回転部3は3個のクランクシャフト4を有し、これらクランクシャフト4によって揺動歯車5を揺動回転に規制する場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、回転部3は、少なくとも1本のクランクシャフト4を有していればよい。この場合、クランクシャフト4は、このクランクシャフト4の第2軸線C2と回転部3の第1軸線C1とが一致するいわゆるセンタークランクシャフトとなる。このセンタークランクシャフトによって、揺動歯車5の回転が規制される。
【0143】
上述の実施形態では、作動油の圧力状態を高い圧力P1と低い圧力P2として説明したが、第1流路111~114における圧力状態をそれぞれ異なる値とすることも可能である。
例えば、図12に示すように、流路111~114における圧力状態が、圧力P1、圧力P2、圧力P3、圧力P4、となるように設定し、これを分配板100の周方向に並ぶ4つの貫通流路103に割り振ることができる。この場合、圧力P1、圧力P2、圧力P3、圧力P4、は全ての値が互いに異なるようにしてもよいし、あるいは、圧力P1、圧力P2、圧力P3、圧力P4のうち、2つが同じ値として、あとの2つが異なる3種類の値として設定することができる。さらに、圧力P1、圧力P2、圧力P3、圧力P4のうち、3つが同じ値として、2種類の値として設定することも可能である。
【0144】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0145】
1…油圧モータ(流体装置)
2…揺動ハウジング部(第2ハウジング)
3…回転部(第2ハウジング)
4…クランクシャフト(偏心回転体)
5…揺動歯車
6…キャリア部(回転部材)
7…第1揺動ハウジング
8…第2揺動ハウジング
12,13…軸受
31…第1キャリア(キャリア)
32…第2キャリア(キャリア)
33…基板部(第2ハウジング)
35…円板部(第2ハウジング)
35a…第1端部
41…供給路(第2流路)
41a…供給開口部
42…排出路(第2流路)
42a…排出開口部
45…油分配部(第1ハウジング)
45a…端面
46…給排プレート(ポートプレート)
46a…貫通孔(給排ポート)
50…摺動プレート(ピストンプレート)
50c…貫通孔(貫通ポート)
66a…高圧作動室(第1作動室)
66b…低圧作動室(第2作動室)
66c…作動室
90…内歯ピン
100…分配板
101,102…端面
103~107…第3流路
103…貫通流路
104…外周連結溝流路(連結溝流路)
105…内周連結溝流路(連結溝流路)
106…外径方向溝流路(連結溝流路)
107…内径方向溝流路(連結溝流路)
111~114…第1流路
C1…第1軸線(軸線)
P1~P4…圧力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図12