(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079599
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】流体装置
(51)【国際特許分類】
F04C 2/10 20060101AFI20230601BHJP
F03C 2/08 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
F04C2/10 341F
F03C2/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193135
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正隆
(72)【発明者】
【氏名】小森 悦朗
【テーマコード(参考)】
3H041
3H084
【Fターム(参考)】
3H041AA02
3H041BB03
3H041CC01
3H041CC20
3H041DD01
3H041DD05
3H041DD33
3H084AA25
3H084BB16
3H084CC21
3H084CC59
(57)【要約】
【課題】作動室からの流体の漏れを防止しつつ駆動効率を向上できる流体装置を提供する。
【解決手段】実施形態の油圧モータ1は、内歯ピン90を有する内歯歯車91と、内歯ピン90に噛合わされる外歯65を有し、内歯歯車91に対して揺動回転する揺動歯車5と、を備える。内歯ピン90と外歯65とが接触されることにより、内歯歯車91と揺動歯車5との間に圧力の異なる作動油が別々に充填される少なくとも2つの作動室66a,66bが区画形成される。また、内歯歯車91の剛性と揺動歯車5の剛性とが異なる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内歯を有する内歯歯車と、
前記内歯に噛合わされる外歯を有し、前記内歯歯車に対して揺動回転する揺動歯車と、
を備え、
前記内歯と前記外歯とが接触されることにより、前記内歯歯車と前記揺動歯車との間に圧力の異なる流体が別々に充填される少なくとも2つの作動室が区画形成され、
前記内歯歯車の剛性と前記揺動歯車の剛性とが異なる
流体装置。
【請求項2】
内歯を有する内歯歯車と、
前記内歯に噛合わされる外歯を有し、前記内歯歯車に対して揺動回転する揺動歯車と、
を備え、
組み立て初期状態で前記内歯に向かって全ての前記外歯が押し付けられるように前記内歯歯車と前記揺動歯車とが形成されており、
前記内歯歯車の剛性と前記揺動歯車の剛性とが異なる
流体装置。
【請求項3】
前記内歯の剛性に対し、前記外歯の剛性が低い
請求項1又は請求項2に記載の流体装置。
【請求項4】
前記内歯は円柱状のピンであり、
前記揺動歯車には、前記揺動歯車を厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されており、
前記外歯と前記貫通孔との間の径方向の肉厚のうち、最も肉厚の薄くなる最薄肉部の径方向の厚さは、前記ピンの直径よりも薄い
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の流体装置。
【請求項5】
前記内歯歯車は、
前記ピンと、
内周面に前記ピンが収納されるピン溝が形成された円筒状のハウジングと、
を有し、
前記ハウジングに回転自在に支持され、内部に支柱を間に挟んで両側から前記揺動歯車を摺動可能に挟むキャリアと、
前記キャリアに回転自在に支持され、前記揺動歯車の回転運動を揺動回転に規制するクランクシャフトと、
を備え、
前記揺動歯車は、
前記クランクシャフトが挿入される支持孔と、
前記支柱が挿入される逃げ孔と、
を有し、
前記ピンの直径をAとし、前記ハウジングのうち前記ピン溝が形成されている箇所で、かつ径方向で最も薄い箇所の肉厚をBとし、前記支持孔と前記外歯との間で、かつ径方向で最も薄い箇所の肉厚をCとし、前記逃げ孔と前記外歯との間で、かつ径方向で最も薄い箇所の肉厚をDとしたとき、直径A及び各肉厚BからDは、
A>B又はA>C又はA>Dの少なくもいずれか一つを満たす
請求項4に記載の流体装置。
【請求項6】
円柱状のピンと、
内周面に前記ピンが収納されるピン溝が形成された円筒状のハウジングと、
前記ピンに噛合わされる外歯を有し、前記ハウジングに対して揺動回転する揺動歯車と、
前記ハウジングに回転自在に支持され、内部に支柱を間に挟んで両側から前記揺動歯車を摺動可能に挟むキャリアと、
前記キャリアに回転自在に支持され、前記揺動歯車の回転運動を揺動回転に規制するクランクシャフトと、
を備え、
前記揺動歯車は、
前記クランクシャフトが挿入される支持孔と、
前記支柱が挿入される逃げ孔と、
を有し、
前記ピンと前記外歯とが接触されることにより、前記ハウジングと前記揺動歯車との間に圧力の異なる流体が別々に充填される少なくとも2つの作動室が区画形成され、
前記ピンの直径をAとし、前記ハウジングのうち前記ピン溝が形成されている箇所で、かつ径方向で最も薄い箇所の肉厚をBとし、前記支持孔と前記外歯との間で、かつ径方向で最も薄い箇所の肉厚をCとし、前記逃げ孔と前記外歯との間で、かつ径方向で最も薄い箇所の肉厚をDとしたとき、直径A及び各肉厚BからDは、
A>B又はA>C又はA>Dの少なくもいずれか一つを満たす
流体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧モータや油圧ポンプとして用いられる流体装置の中には、内歯を有する内歯歯車(内歯部材)と、内歯歯車に対して揺動回転する揺動歯車と、を備えたものがある。揺動歯車の外周には、内歯に噛合わされる外歯が形成されている。このような流体装置は、内歯歯車と揺動歯車との間に、複数の作動室(容積変化室)が区画形成される。そして、油圧モータとして用いる場合、作動室に作動油を選択的に供給することで揺動歯車に回転力を付与させることができる。また、油圧ポンプとして用いる場合、作動室に作動油が充填されている状態で揺動歯車を回転させることにより、作動室の容積が変化して作動油を吐出させることができる。
【0003】
この種の流体装置は、作動室から作動油が漏れ出てしまうと作動効率が低下してしまう。このため、作動室を区画形成する内歯と外歯とを精度よく噛み合わせる必要がある。また、内歯及び外歯の製造誤差によって、これら内歯と外歯との間に隙間が生じないように、最大公差で内歯と外歯とが十分に接触するように、内歯や外歯を形成する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、最大公差で内歯と外歯とが十分に接触するように形成すると、流体装置の組み立て時には、平均的に(例えば公差の中央値で考えると)内歯と外歯とが強く押し付け合う状態になる。このため、内歯と外歯とが噛合った際の面圧が増大されてしまう。つまり、内歯と外歯との噛合い抵抗が増大され、流体装置の駆動効率が低下してしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、作動室からの流体の漏れを防止しつつ駆動効率を向上できる流体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る流体装置は、内歯を有する内歯歯車と、前記内歯に噛合わされる外歯を有し、前記内歯歯車に対して揺動回転する揺動歯車と、を備え、前記内歯と前記外歯とが接触されることにより、前記内歯歯車と前記揺動歯車との間に圧力の異なる流体が別々に充填される少なくとも2つの作動室が区画形成され、前記内歯歯車の剛性と前記揺動歯車の剛性とが異なる。
【0008】
このように、内歯歯車の剛性と揺動歯車の剛性とが異なるので、内歯と外歯とが強く押し付け合うと両者のうちいずれか一方が他方の強度に負けて変形する。このため、内歯と外歯とが噛合った際の面圧が増大してしまうことを抑制できる。この結果、作動室からの流体の漏れを防止しつつ内歯と外歯との噛合い抵抗が抑制され、流体装置の駆動効率を向上できる。
【0009】
本発明の他の態様に係る流体装置は、内歯を有する内歯歯車と、前記内歯に噛合わされる外歯を有し、前記内歯歯車に対して揺動回転する揺動歯車と、を備え、組み立て初期状態で前記内歯に向かって全ての前記外歯が押し付けられるように前記内歯歯車と前記揺動歯車とが形成されており、前記内歯歯車の剛性と前記揺動歯車の剛性とが異なる流体装置。
【0010】
このように、組み立て初期状態で内歯に向かって全ての外歯が押し付けられるので、内歯歯車と揺動歯車との間に形成される作動室から流体が漏れ出てしまうことを防止できる。また、内歯歯車の剛性と揺動歯車の剛性とが異なるので、内歯と外歯とが強く押し付け合うと両者のうちいずれか一方が他方の強度に負けて変形する。このため、内歯と外歯とが噛合った際の面圧が増大してしまうことを抑制できる。この結果、内歯と外歯との噛合い抵抗が抑制され、流体装置の駆動効率を向上できる。
【0011】
上記構成で、前記内歯の剛性に対し、前記外歯の剛性が低くてもよい。
【0012】
上記構成で、前記内歯は円柱状のピンであり、前記揺動歯車には、前記揺動歯車を厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されており、前記外歯と前記貫通孔との間の径方向の肉厚のうち、最も肉厚の薄くなる最薄肉部の径方向の厚さは、前記ピンの直径よりも薄くてもよい。
【0013】
上記構成で、前記内歯歯車は、前記ピンと、内周面に前記ピンが収納されるピン溝が形成された円筒状のハウジングと、を有し、前記ハウジングに回転自在に支持され、内部に支柱を間に挟んで両側から前記揺動歯車を摺動可能に挟むキャリアと、前記キャリアに回転自在に支持され、前記揺動歯車の回転運動を揺動回転に規制するクランクシャフトと、を備え、前記揺動歯車は、前記クランクシャフトが挿入される支持孔と、前記支柱が挿入される逃げ孔と、を有し、前記ピンの直径をAとし、前記ハウジングのうち前記ピン溝が形成されている箇所で、かつ径方向で最も薄い箇所の肉厚をBとし、前記支持孔と前記外歯との間で、かつ径方向で最も薄い箇所の肉厚をCとし、前記逃げ孔と前記外歯との間で、かつ径方向で最も薄い箇所の肉厚をDとしたとき、直径A及び各肉厚BからDは、A>B又はA>C又はA>Dの少なくもいずれか一つを満たしてもよい。
【0014】
本発明の他の態様に係る流体装置は、円柱状のピンと、内周面に前記ピンが収納されるピン溝が形成された円筒状のハウジングと、前記ピンに噛合わされる外歯を有し、前記ハウジングに対して揺動回転する揺動歯車と、前記ハウジングに回転自在に支持され、内部に支柱を間に挟んで両側から前記揺動歯車を摺動可能に挟むキャリアと、前記キャリアに回転自在に支持され、前記揺動歯車の回転運動を揺動回転に規制するクランクシャフトと、を備え、前記揺動歯車は、前記クランクシャフトが挿入される支持孔と、前記支柱が挿入される逃げ孔と、を有し、前記ピンと前記外歯とが接触されることにより、前記ハウジングと前記揺動歯車との間に圧力の異なる流体が別々に充填される少なくとも2つの作動室が区画形成され、前記ピンの直径をAとし、前記ハウジングのうち前記ピン溝が形成されている箇所で、かつ径方向で最も薄い箇所の肉厚をBとし、前記支持孔と前記外歯との間で、かつ径方向で最も薄い箇所の肉厚をCとし、前記逃げ孔と前記外歯との間で、かつ径方向で最も薄い箇所の肉厚をDとしたとき、直径A及び各肉厚BからDは、A>B又はA>C又はA>Dの少なくもいずれか一つを満たす。
【0015】
クランクシャフトによって揺動歯車の回転運動を揺動回転に規制する流体装置では、ピンの剛性を高め、ピン周辺の剛性を低くする方が製造しやすい。剛性が高いと加工しにくいからである。上述のように構成することで、ピン以外の箇所が変形しやすくなり、作動室からの流体の漏れを防止しつつ流体装置の駆動効率を向上できる。
【発明の効果】
【0016】
上述の流体装置は、内歯と外歯とが噛合った際の面圧が増大してしまうことを抑制できる。この結果、作動室からの流体の漏れを防止しつつ内歯と外歯との噛合い抵抗が抑制され、流体装置の駆動効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態における油圧モータの一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
<油圧モータ>
図1は、油圧モータ1の一部断面側面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿う断面図である。
図3は、
図1のIII部拡大図である。
図4は、
図1のIV部拡大図である。
図1から
図4に示すように、回転機器である油圧モータ1は、円筒状のハウジング部2と、ハウジング部2の内周面に2つの軸受12,13(第1軸受12、第2軸受13)を介して回転自在に支持された回転部3と、を主構成としている。
軸受12,13としては、アンギュラ玉軸受が用いられている。しかしながらこれに限られるものではなく、深溝玉軸受等の他の玉軸受や滑り軸受等、さまざまな軸受を用いることが可能である。
【0020】
ハウジング部2の中心軸線と回転部3の回転軸線とは、一致している。以下の説明では、これら中心軸線及び回転軸線を総称して第1軸線(請求項における軸線の一例)C1と称する。また、第1軸線C1と平行な方向を単に軸方向、回転部3の回転方向を周方向、回転部3の径方向を単に径方向と称して説明する場合がある。
【0021】
<ハウジング部>
ハウジング部2は、軸方向で分割されて軸方向の第1方向側(
図1における左側)に配置された第1ハウジング7と、軸方向の第1方向とは反対側の第2方向側(
図1における右側)に配置された第2ハウジング8と、からなる。
第1ハウジング7は、例えば鋳物により円筒状に形成されている。第1ハウジング7の外周面7aには、第1方向側の第1端部7b寄りに、径方向外側に張り出す外フランジ部9が形成されている。外フランジ部9は、油圧モータ1を図示しない外部機器に取り付けるためのものである。外フランジ部9には、図示しないボルトを通す貫通孔9aが外フランジ部9の厚さ方向(軸方向)に貫通形成されている。
【0022】
第1ハウジング7の周壁7eのうち、第2方向側の第2端部7dから軸方向中央に至る間は、他の部位よりも肉厚の厚い厚肉部10になっている。厚肉部10の第2方向側の第2端部10cは、第1ハウジング7の第2端部7dと同一平面上に位置している。すなわち、厚肉部10の第2端部10cは、第1ハウジング7の第2端部7dの一部を構成している。
【0023】
厚肉部10の内周面10dには、複数(例えば、本実施形態では13個)のピン溝10aが形成されている。各ピン溝10aは、軸方向に沿って厚肉部10の全体に形成されており、かつ周方向に等間隔で配置されている。ピン溝10aは、軸方向からみて半円状に形成されている。各ピン溝10aには、円柱状の内歯ピン(請求項の内歯の一例)90が回転可能に収納されている。内歯ピン90は、一般的に軸受等で用いられる高炭素クロム軸受鋼等により形成されている。ピン溝10aが軸方向からみて半円状に形成されているので、内歯ピン90は、厚肉部10の内周面10dから径方向内側に半円分突出した形になる。内歯ピン90は、後述する揺動歯車5に噛み合わされる内歯として機能する。すなわち、第1ハウジング7と内歯ピン90とにより、内歯歯車91が構成される。
【0024】
厚肉部10の外周部には、各ピン溝10aの間に、軸方向に貫通する第1貫通孔19が形成されている。第1貫通孔19は、周方向に等間隔で配置されている。第1貫通孔19の個数は、例えば8個である。これら第1貫通孔19に、ボルト(請求項における固定部及びねじの一例)20の軸部20aが挿入される。各ボルト20によって、第1ハウジング7、第2ハウジング8及び後述の給排プレート46が共締めされて一体化される。
【0025】
また、第1ハウジング7の内周面7cには、厚肉部10よりも第1方向寄りに、段差部11aを介して内径が大きく形成された第1軸受収納部11が形成されている。この第1軸受収納部11に、第1軸受12のアウタレース12aが嵌め合わされている。第1軸受12と第1ハウジング7との位置決めは、段差部11aにアウタレース12aが突き当たることにより行われている。
【0026】
第1ハウジング7の内周面7cには、第1軸受収納部11よりも第1方向寄りに、段差部14aを介して内径が大きく形成されたシール収納部14が形成されている。このシール収納部14には、シール部15の一部が嵌め合わされている。シール部15は、第1ハウジング7と回転部3との間をシールする。シール部15としては、例えばフローティングシールが用いられる。しかしながらこれに限られるものではなく、パッキンやメカニカルシール等、さまざまなシールを用いることができる。
【0027】
第1ハウジング7の第1端部7bには、シール収納部14よりも内径が大きく形成された第1キャリア側第1ラビリンス部16が形成されている。第1キャリア側第1ラビリンス部16は、回転部3と協働して第1ラビリンス38を構成する。第1ラビリンス38によって、第1ハウジング7と回転部3との間に外部から塵埃等が侵入しにくくなる。
【0028】
第1ハウジング7の第2端部7dは、ハウジング部2の第1ハウジング7と第2ハウジング8との分割面に相当する。第1ハウジング7の第2端部7dは、外周部の全体が平坦に形成されている。第2端部7dの第1貫通孔19よりも外周部寄りには、軸方向からみて環状のOリング溝17が形成されている。Oリング溝17には、Oリング18が装着されている。Oリング18は、第1ハウジング7と第2ハウジング8との間のシール性を確保する。
【0029】
第2ハウジング8は、例えば鋳物により円環状に形成されている。第2ハウジング8の周壁8aには、第1ハウジング7の第1貫通孔19に対応する位置に、この第1貫通孔19に通じる第2貫通孔22が形成されている。第2貫通孔22は、第1貫通孔19と同じ径で形成され、第1貫通孔19と同軸上に位置されている。第2貫通孔22の第2方向側の大部分には、座繰り部23が形成されている。座繰り部23に、ボルト20の頭部20bが挿入される。
【0030】
第2ハウジング8の第1方向側の第1端部8bは、ハウジング部2の第1ハウジング7との分割面に相当する。第2ハウジング8の第1端部8bには、第2ハウジング8の内周面8cから径方向内側に張り出す押さえプレート21が一体成形されている。押さえプレート21は、軸方向からみて円環状に形成されている。押さえプレート21は、第1ハウジング7の内周面7cと後述する揺動歯車5の外周面との間に形成される作動室66a,66bを第2方向側から塞いでいる。
【0031】
押さえプレート21の内周面21aには、第1方向側の端部を除く大部分に第2キャリア側第1ラビリンス部25が形成されている。第2キャリア側第1ラビリンス部25は、押さえプレート21の内周面21aの内径よりも段差部25aを介して内径を大きくすることで形成される。第2キャリア側第1ラビリンス部25は、回転部3と協働して第2ラビリンス40を構成する。第2ラビリンス40によって、第2ハウジング8と回転部3との間から作動油が漏れにくくなる(詳細は後述する)。
【0032】
第2ハウジング8の内周面8cには、押さえプレート21よりも第2方向寄りに、段差部24aを介して内径が大きく形成された第2軸受収納部24が形成されている。この第2軸受収納部24に、第2軸受13のアウタレース13aが嵌め合わされている。第2軸受13と第2ハウジング8との位置決めは、段差部24aにアウタレース13aが突き当たることにより行われている。
【0033】
第2ハウジング8の第2方向側の第2端部8dには、外周部に、軸方向からみて環状のOリング溝26が形成されている。Oリング溝26には、Oリング27が装着されている。Oリング27は、第2ハウジング8と後述するカバー29との間のシール性を確保する。
第2ハウジング8の第2端部8dには、Oリング溝26よりも径方向内側に、複数の雌ねじ部28が周方向に等間隔で形成されている。これら雌ねじ部28は、第2ハウジング8にカバー29を固定するためのものである。
【0034】
<カバー>
カバー29は、第2ハウジング8の開口部8eを第2方向側から塞いでいる。カバー29は、例えば金属板にプレス加工を施して中央の大部分が第2方向側に向かって膨出するように形成されている。カバー29の外周部は、外フランジ部29aが形成された形になる。この外フランジ部29aが、第2ハウジング8の第2端部8dに重なっている。
【0035】
外フランジ部29aには、第2ハウジング8の雌ねじ部28に対応する位置に厚さ方向に貫通する貫通孔29bが形成されている。この貫通孔29bに、第2方向側からボルト30を挿入し、第2ハウジング8の雌ねじ部28にボルト30を締め付けることにより、第2ハウジング8にカバー29が固定される。
【0036】
<給排プレート>
第2ハウジング8の第2貫通孔22及び第1ハウジング7の第1貫通孔19に挿入されるボルト20によって固定される給排プレート46は、厚肉部10の一方側の第1端部10bに配置されている。給排プレート46は、後述する作動室66a,66bに作動油を供給したり、作動室66a,66bから作動油を排出したりするためのプレートである。
【0037】
給排プレート46は、軸方向からみて円環状に形成されている。給排プレート46の外径は、第1ハウジング7の内周面7cの直径とほぼ同等か若干小さい程度である。このため、給排プレート46は、第1ハウジング7の内周面7cに嵌め合わさるようにして厚肉部10の第1端部10bに配置されている。
【0038】
給排プレート46の外周部には、第1ハウジング7の第1貫通孔19に対応する位置に、雌ねじ部47が形成されている。第2ハウジング8側からボルト20を第2貫通孔22、第1ハウジング7の第1貫通孔19の順に挿入し、ボルト20を給排プレート46の雌ねじ部47に締め付ける。これにより、各ボルト20によって、第1ハウジング7、第2ハウジング8及び給排プレート46が共締めされて一体化される。
【0039】
給排プレート46には、雌ねじ部47よりも径方向内側に、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔46aが形成されている。これら貫通孔46aを介して作動室66a,66bに作動油を供給したり、作動室66a,66bから作動油を排出したりする(詳細は後述する)。貫通孔46aの個数は、第1ハウジング7に形成されたピン溝10aの個数に対応している。例えば、本実施形態では、貫通孔46aの個数は13個である。各貫通孔46aは、厚肉部10側の開口が周方向で隣り合う各ピン溝10aの間の中央で、かつ厚肉部10の内周面10dよりも径方向内側に位置するように形成されている。
【0040】
給排プレート46の内周面46bには、第2方向の端部を除く大部分にプレート側ラビリンス部48が形成されている。プレート側ラビリンス部48は、給排プレート46の内周面46bの内径よりも段差部48aを介して内径を大きくすることで形成される。プレート側ラビリンス部48は、回転部3と協働して第3ラビリンス49を構成する。第3ラビリンス49によって、給排プレート46と回転部3との間から作動油が漏れにくくなる(詳細は後述する)。
【0041】
<回転部>
ハウジング部2に回転自在に保持された回転部3は、軸方向両側が各軸受12,13を介して回転自在に支持されたキャリア部6と、キャリア部6に回転自在に支持された複数(例えば、本実施形態では3個)のクランクシャフト4と、クランクシャフト4に回転自在に支持された揺動歯車5と、を主構成としている。
キャリア部6は、軸方向で分割されて第1方向側に配置された第1キャリア31と、第2方向側に配置された第2キャリア32と、からなる。
【0042】
第1キャリア31は、円板状の基板部33と、基板部33の第2方向側の第2端部33bから第2方向に向かって突出する複数(例えば、本実施形態では3個)の支柱部34と、が一体成形されたものである。
基板部33の外周面33cは、第2端部33bから第1方向側の第1端部33aに向かうに従って段差部を介して漸次外径が大きく形成されている。
【0043】
すなわち、基板部33の外周面33cは、第2端部33b側から順に、第1外周面33dと、第1外周面33dの第1方向側端に大段差部33hを介して外径が大きく形成された第2外周面33eと、第2外周面33eの第1方向側端に小段差部33iを介して外径が大きく形成された第3外周面33fと、第3外周面33fの第1方向側端に中段差部33jを介して外径が大きく形成された第4外周面33gと、を有する。
【0044】
第1キャリア31の第1外周面33dに対応する箇所は、給排プレート46のプレート側ラビリンス部48に挿入されている。第1外周面33dの外径は、プレート側ラビリンス部48の内径よりも若干小さい程度である。第1キャリア31の第2端部33bは、給排プレート46の段差部48aよりもやや手前に位置している。このように、第1キャリア31の第1外周面33d、第2端部33b、及び給排プレート46のプレート側ラビリンス部48により、第3ラビリンス49が構成される。
【0045】
第3外周面33fには、第1軸受12のインナレース12bが嵌め合わされている。第1軸受12と第1キャリア31との位置決めは、中段差部33jにインナレース12bが突き当たることにより行われている。これにより、第1ハウジング7に対する第1キャリア31の位置決めが行われる。また、第1ハウジング7に対し、第1軸受12を介して第1キャリア31が回転自在に支持される。
【0046】
第1キャリア31の第4外周面33gは、第1ハウジング7のシール収納部14と径方向で対向している。すなわち、第1キャリア31の第4外周面33gと第1ハウジング7のシール収納部14との間に、シール部15が配置された形になる。
【0047】
第4外周面33gの第1方向側端には、軸方向からみて円形状の円板部35が一体成形されている。円板部35の第2方向側の第2端部35bは、軸方向で第1ハウジング7の第1端部7bと対向している。円板部35の外径は、第1ハウジング7の外周面7aの直径と同等である。円板部35の第2端部35bには、外周部に、軸方向からみて環状のシール収納凹部36が形成されている。シール収納凹部36は、第4外周面33gと滑らかに連なっている。シール収納凹部36にもシール部15の一部が収納される。これにより、第1ハウジング7の第1キャリア31(回転部3)との間がシールされる。
【0048】
円板部35の第2端部35bには、外周縁に、段差を介して外径が小さく形成された第1キャリア側第2ラビリンス部37が形成されている。この第1キャリア側第2ラビリンス部37と第1ハウジング7に形成された第1キャリア側第1ラビリンス部16とにより、第1ラビリンス38が構成される。シール部15の径方向外側に第1ラビリンス38が配置されるので、第1ハウジング7と第1キャリア31(回転部3)との間を介して外部からの塵埃等の侵入を確実に抑制できる。
【0049】
円板部35の外周面35cには、径方向外側に張り出す外フランジ部39が形成されている。外フランジ部39は、油圧モータ1を図示しない外部機器に取り付けるためのものである。外フランジ部39には、図示しないボルトを通す貫通孔39aが外フランジ部39の厚さ方向(軸方向)に貫通形成されている。
【0050】
基板部33の第2端部33bには、外周部寄り(第1外周面33dのやや径方向内側)に、複数(例えば、本実施形態では3個)の軸支持凹部44が周方向に等間隔で形成されている。軸支持凹部44は、クランクシャフト4を回転自在に支持する。軸支持凹部44には、クランクシャフト4を回転自在に支持するための第1軸受59aが嵌め合わされている。第1軸受59aは、例えば滑り軸受である。しかしながらこれに限られるものではなく、玉軸受等、さまざまな軸受を用いることができる。
【0051】
また、基板部33には、第2外周面33eよりも径方向内側に、複数の供給路41、複数の排出路42、及びタンク路43が基板部33の軸方向全体に渡って形成されている。
供給路41は、図示しない油圧ポンプから作動油が供給される流路である。供給路41の第2方向側端は、大段差部33hを介して開口されている。すなわち、各供給路41は、大段差部33hに供給開口部41aを有している。
排出路42は、油圧モータ1内の作動油が排出される流路である。排出路42の第2方向側端も大段差部33hを介して開口されている。すなわち、各排出路42は、大段差部33hに排出開口部42aを有している。
【0052】
供給路41の個数及び排出路42の個数は、それぞれ第1ハウジング7に固定されている給排プレート46の貫通孔46aの個数と異なる。例えば、本実施形態では、供給路41の個数及び排出路42の個数は、給排プレート46の貫通孔46aの個数よりも1個少なく、12個ずつである。
供給路41の供給開口部41aと排出路42の排出開口部42aは、同一ピッチ円上に周方向に交互に配置されている。各供給開口部41aと各排出開口部42aとは、各々1つずつで対となって周方向で等間隔に配置されている。
【0053】
タンク路43は、油圧モータ1内の漏れ出た作動油を図示しないタンクへと還流するための流路である。タンク路43の第2方向側端は、軸支持凹部44の底部44aに通じている。
【0054】
供給路41、排出路42、及びタンク路43の第1方向側端は、基板部33の第1方向側の第1端部33aに設けられた油分配部45に通じている。油分配部45は、図示しない複数の分配流路を有している。これら分配流路を介し、油圧ポンプからの作動油が供給路41に供給される。また、排出路42に排出された作動油が分配流路を介してタンクに還流されたり再び供給路41に還流されたりする。タンク路43に排出された作動油も分配流路を介してタンクに還流される。なお、作動油の作用についての詳細は後述する。
【0055】
第1キャリア31の大段差部33hと給排プレート46との間には、隙間が形成される。この隙間に、摺動プレート50が配置される。摺動プレート50は、軸方向からみて環状に形成されている。摺動プレート50は、第1キャリア31の第1外周面33dに内周面が嵌め合わされ、第1キャリア31に対して回転不能、かつ軸方向にスライド移動可能に設けられている。摺動プレート50の厚さは、大段差部33hと給排プレート46との間の隙間よりも小さい。
【0056】
摺動プレート50には、供給路41の供給開口部41aと排出路42の排出開口部42aとに対応するように複数の貫通孔50cが形成されている。供給開口部41aに対応する貫通孔50cは、供給開口部41aと同軸上に配置されている。排出開口部42aに対応する貫通孔50cは、排出開口部42aと同軸上に配置されている。
【0057】
各供給開口部41a及び各排出開口部42aには、円筒状のピストン51が設けられている。ピストン51は、供給路41及び排出路42にスライド移動自在に設けられている。ピストン51は、供給路41及び排出路42に設けられた図示しないスプリングによって摺動プレート50に向かって付勢されている。したがって、ピストン51は、摺動プレート50に押し付けられる。
【0058】
摺動プレート50の厚さは、大段差部33hと給排プレート46との間の隙間よりも小さい。このため、ピストン51は、スプリングによって大段差部33hから突出して摺動プレート50に突き当たっている。この結果、給排プレート46に、摺動プレート50が押し付けられる。これにより、ピストン51を介して各供給路41と摺動プレート50の貫通孔50cとが通じる。また、ピストン51を介して各排出路42と摺動プレート50の貫通孔50cとが通じる。さらに、摺動プレート50の各貫通孔50cと給排プレート46の貫通孔46aとが通じる。
【0059】
第1キャリア31の支柱部34は、軸方向からみて三角形状に形成された柱状である。各支柱部34は、周方向で基板部33の軸支持凹部44の間に位置するように配置されている。つまり、各支柱部34は、基板部33の第2端部33b上に周方向に等間隔で配置されている。各支柱部34のピッチ円直径と軸支持凹部44のピッチ円直径は、ほぼ同一である。
【0060】
支柱部34の先端部34aは、平坦に形成されている。支柱部34の先端部34aは、第1ハウジング7の第2端部7dと同一平面上に位置している。支柱部34の先端部34aには、リーマボルト用雌ねじ部52が形成されている。
【0061】
リーマボルト用雌ねじ部52は、支柱部34の先端部34aから支柱部34の軸方向中央に至る間に軸方向に沿って形成された嵌合凹部52aと、嵌合凹部52aの底部から第1方向に向かって延出する雌ねじ部本体52bと、からなる。リーマボルト用雌ねじ部52にリーマボルト(請求項における他の固定部の一例)53を締め付けることにより、第1キャリア31と第2キャリア32とが一体化される。
【0062】
第2キャリア32は、円板状に形成されている。第2キャリア32は、第1キャリア31を構成する支柱部34の先端部34aに第1方向側の第1端部32aが突き当たるように配置されて位置決めされる。このため、第1キャリア31の基板部33と第2キャリア32との間には、支柱部34の高さと同じ隙間が形成される。この隙間の周囲を第1ハウジング7の厚肉部10が取り囲むことにより、揺動歯車5を収納するための揺動歯車収納部60が形成される。
【0063】
第2キャリア32の第1端部32aは、全体に渡って平坦に形成されている。第2キャリア32には、リーマボルト用雌ねじ部52に対応する位置に、厚さ方向に貫通する嵌合孔54が形成されている。嵌合孔54に、第2キャリア32の第2方向側からリーマボルト53を挿入し、このリーマボルト53を、支柱部34の嵌合凹部52aを介して雌ねじ部本体52bに締め付けることにより、第1キャリア31と第2キャリア32とが一体化される。
【0064】
リーマボルト53は、軸部53aと、軸部53aの第1方向側端から突出され軸部53aと同軸上に形成された雄ねじ部53bと、軸部53aの第2方向側端に軸部53aと同軸上に形成された頭部53cと、からなる。リーマボルト用雌ねじ部52にリーマボルト53を締め付けた状態では、支柱部34の嵌合凹部52aと第2キャリア32の嵌合孔54とに、リーマボルト53の軸部53aが嵌め合わされる。すなわち、リーマボルト53の軸部53aは、第1キャリア31と第2キャリア32とに跨って配置される。
【0065】
第2キャリア32の第2方向側の第2端部32bには、嵌合孔54に座繰り部55が形成されている。座繰り部55に、リーマボルト53の頭部53cが挿入される。これにより、第2キャリア32の第2端部32bからのリーマボルト53の頭部53cの突出高さが抑えられている。
【0066】
第2キャリア32の外周面32cは、軸方向中央の大部分に段差部56aを介して外径が小さく形成された縮径部56を有している。この縮径部56に、第2軸受13のインナレース13bが嵌め合わされている。これにより、第2ハウジング8に対し、第2軸受13を介して第2キャリア32が回転自在に支持される。
【0067】
縮径部56の第2軸受13が嵌め合わされている箇所よりも第1方向側には、第2キャリア側第2ラビリンス部57が形成されている。第2キャリア側第2ラビリンス部57は、縮径部56の外径よりも段差部57aを介して外径を小さくすることで形成される。第2キャリア側第2ラビリンス部57の外径は、第2ハウジング8の第2キャリア側第1ラビリンス部25の内径よりも若干小さい。
【0068】
第2キャリア側第2ラビリンス部57の先端は、第2キャリア側第1ラビリンス部25の段差部25aのやや手前に位置している。このように、第2ハウジング8の第2キャリア側第1ラビリンス部25、及び第2キャリア32の第2キャリア側第2ラビリンス部57により、第2ラビリンス40が構成されている。
【0069】
第2キャリア32の第2キャリア側第2ラビリンス部57よりもやや径方向内側には、複数(例えば、本実施形態では3個)の軸支持孔58が周方向に等間隔で形成されている。軸支持孔58は、クランクシャフト4を回転自在に支持する。これら軸支持孔58と対応する第1キャリア31の軸支持凹部44とは、同軸上に位置している。軸支持孔58には、第2軸受59bが嵌め合わされている。第2軸受59bは、例えば滑り軸受である。しかしながらこれに限られるものではなく、玉軸受等、さまざまな軸受を用いることができる。
【0070】
各々軸支持凹部44と軸支持孔58とに、各軸受59a,59bを介してクランクシャフト4が回転自在に支持されている。すなわち本実施形態では、クランクシャフト4の個数は3個である。クランクシャフト4は、軸支持凹部44及び軸支持孔58に軸受59a,59bを介して回転自在に支持された軸受部4a,4b(第1軸受部4a、第2軸受部4b)と、各軸受部4a,4bの間に設けられた円柱状の偏心部4cと、が一体成形されたものである。
【0071】
クランクシャフト4の回転軸線(第2軸線C2)、つまり、各軸受部4a,4bの軸線は、第1軸線C1と平行である。クランクシャフト4の軸方向への移動は、各軸受部4a,4bの軸方向外側に設けられたスラスト軸受61a,61b(第1スラスト軸受61a、第2スラスト軸受61b)と、第1キャリア31の軸支持凹部44に設けられた第1カラー70a、第2キャリア32の軸支持孔58に設けられた第2カラー70bによって規制されている。2つのスラスト軸受61a,61bのうち、第2キャリア32の軸支持孔58に設けられた第2スラスト軸受61bは、軸支持孔58に設けられた止め輪62によって第2方向に向かう移動が規制されている。
【0072】
偏心部4cの軸方向の長さは、揺動歯車収納部60の軸方向の幅内に収まる長さに形成されている。具体的には、偏心部4cの軸方向の長さは、第1ハウジング7の厚肉部10の軸方向の長さよりも若干短い程度である。したがって、偏心部4cの第2方向の端部の位置と第2ハウジング8の第1端部8bの位置とは、ほぼ同一平面上となる。
偏心部4cの軸線(第3軸線C3)は、クランクシャフト4の第2軸線C2に対して偏心している。この偏心部4cに、第3軸受59cを介して揺動歯車5が回転自在に支持されている。第3軸受59cは、例えば滑り軸受である。しかしながらこれに限られるものではなく、玉軸受等、さまざまな軸受を用いることができる。
【0073】
揺動歯車5は、例えば高鋼材によって形成されている。揺動歯車5の外径は、揺動歯車収納部60に収納可能なように厚肉部10の内周面10dの直径よりも小さい。揺動歯車5の軸方向の厚さは、偏心部4cと同等である。したがって、揺動歯車5の第2方向の端部の位置と第2ハウジング8の第1端部8bの位置とは、ほぼ同一平面上となる。揺動歯車5には、クランクシャフト4に対応する位置に、クランクシャフト4の偏心部4cが貫通される支持孔63が形成されている。
【0074】
各支持孔63は、周方向に等間隔で配置されている。これら支持孔63に、第3軸受59cが設けられている。揺動歯車5のクランクシャフト4に対する軸方向の移動は、第3軸受59cの軸方向両端に設けられた止め輪67によって規制されている。このような構成のもと、クランクシャフト4によって揺動歯車5の回転が揺動回転に規制される。
【0075】
また、揺動歯車5には、第1キャリア31の支柱部34に対応する位置に、支柱部34が貫通される逃げ孔64が形成されている。逃げ孔64の軸方向からみた形状は、支柱部34の軸方向からみた形状に対応するように三角形状である。逃げ孔64の大きさは、各支柱部34が揺動歯車5の揺動回転動作を妨げないように、支柱部34の外面形状よりも十分に大きく形成されている。
【0076】
揺動歯車5の外周面は、径方向で第1ハウジング7の内歯ピン90と対向している。揺動歯車5の外周面には、内歯ピン90に噛み合わされる外歯65が形成されている。外歯65の歯数は、内歯ピン90の歯数(個数)と異なる。例えば、本実施形態では、外歯65の歯数は、内歯ピン90の歯数よりも1個少ない12個である。この個数は、第1キャリア31に形成されている供給路41の個数及び排出路42の個数と一致している。
【0077】
揺動歯車5は、揺動回転動作の間、歯先65aから歯底65bに至る間のいずれかが内歯ピン90に接触する。これにより、第1ハウジング7に形成されている厚肉部10の内周面10dと揺動歯車5の外歯65との間に、大きく2つの作動室66a,66b(第1作動室66a、第2作動室66b)が形成される。2つ作動室66a,66bは、軸方向からみて線対称に形成される。
【0078】
これら作動室66a,66bに、給排プレート46の複数の貫通孔46aが通じる。これら貫通孔46aを介し、作動室66a,66bに作動油が供給されたり、作動室66a,66bから作動油が排出されたりする。これにより、油圧モータ1が回転駆動される。以下、油圧モータ1の動作について詳述する。
【0079】
<油圧モータの動作>
次に、油圧モータ1の動作について説明する。
油圧モータ1には、図示しない油圧ポンプから作動油が供給された作動油が、油分配部45を介して各供給路41に供給される。各供給路41に供給された作動油は、摺動プレート50の貫通孔50c及び給排プレート46の貫通孔46aを介して作動室66a,66bに供給される。
【0080】
ここで、供給路41(供給開口部41a及び供給開口部41aに通じる摺動プレート50の貫通孔50c)の個数は、給排プレート46の貫通孔46aの個数よりも1個少ない。また、排出路42(排出開口部42a及び排出開口部42aに通じる摺動プレート50の貫通孔50c)の個数は、給排プレート46の貫通孔46aの個数よりも1個少ない。このため、2つの作動室66a,66bのうちのいずれか一方には、給排プレート46の貫通孔46aを介して供給路41のみが通じる。また、2つの作動室66a,66bのうちのいずれか他方には、給排プレート46の貫通孔46aを介して排出路42のみが通じる。
【0081】
すると、2つの作動室66a,66bのうちのいずれか一方の内部の圧力が、2つの作動室66a,66bのうちのいずれか他方の内部の圧力よりも高まる。以下、説明を分かりやすくするために、2つの作動室66a,66bのうち、作動室66a(
図2における左側)の圧力が、作動室66b(
図2における右側)の圧力よりも高くなる場合について説明する。また、以下の説明では、圧力の高い作動室66aを高圧作動室66aと称する。この高圧作動室66aと比較して圧力の低い作動室66bを低圧作動室66bと称する。高圧作動室66aが、供給路41に通じている。低圧作動室66bが、排出路42に通じている。
【0082】
高圧作動室66aに作動油が供給されることにより、揺動歯車5が低圧作動室66b側に向かって押し付けられる(
図2における矢印Y1参照)。低圧作動室66bの作動油は、排出路42を介して排出される。この結果、低圧作動室66b側で内歯ピン90と揺動歯車5の外歯65とが噛み合わされる。すると、内歯ピン90の歯数に対して外歯65の歯数が1個少ないので、揺動歯車5が僅かに回転方向にずれる。
【0083】
このとき、クランクシャフト4を介してキャリア部6が揺動歯車5に連れられて回転方向にずれる。すなわち、ハウジング部2に対して回転部3が僅かに回転される。すると、給排プレート46に対して摺動プレート50が回転される。そして、摺動プレート50の貫通孔50cと給排プレート46の貫通孔46aとの通じている状態が切り替わる。揺動歯車5が揺動回転されることにより、高圧作動室66aも低圧作動室66b僅かに回転方向にずれる。
【0084】
摺動プレート50の貫通孔50cと給排プレート46の貫通孔46aとの通じている状態が切り替わったところで再び高圧作動室66aに作動油が供給される。また、低圧作動室66bから作動油が排出される。これを順次繰り返すことにより、ハウジング部2に対して回転部3が回転される。この回転により出力が得られる。
【0085】
このように、油圧モータ1は、供給路41(供給開口部41a及び供給開口部41aに通じる摺動プレート50の貫通孔50c)の個数と給排プレート46の貫通孔46aの個数との不一致、及び排出路42(排出開口部42a及び排出開口部42aに通じる摺動プレート50の貫通孔50c)の個数と給排プレート46の貫通孔46aの個数との不一致を利用することで、摺動プレート50の貫通孔50cと給排プレート46の貫通孔46aとの通じている状態が周方向に順次切り替わるようになっている。この結果、給排プレート46の各貫通孔46aから各作動室66a,66bに選択的に作動油が供給、排出され、回転部3が回転される。
【0086】
回転部3を構成するキャリア部6は、第1キャリア31と第2キャリア32とに分割構成されている。これら第1キャリア31と第2キャリア32とはリーマボルト53によって固定されているので、このリーマボルト53を介して第1キャリア31と第2キャリア32との間の動力伝達が行われることになる。リーマボルト53の軸部53aは、第1キャリア31と第2キャリア32とに跨って配置されている。このため、第1キャリア31と第2キャリア32との間に雄ねじ部53bが跨る場合と比較して、第1キャリア31と第2キャリア32との動力伝達が効率よく行われる。
【0087】
また、各作動室66a,66bに供給される作動油は、クランクシャフト4と揺動歯車5との間の微小隙間を介して各キャリア31,32とクランクシャフト4との間の微小隙間に漏れ出す。この漏れ出た作動油は、第1キャリア31に形成されている軸支持凹部44を介してタンク路43に排出される。タンク路43に排出された作動油は、図示しないタンクへと還流される。
【0088】
ここで、揺動歯車5の第1方向側には、第1キャリア31の第1外周面33d、第2端部33b、及び給排プレート46のプレート側ラビリンス部48により、第3ラビリンス49が構成されている。揺動歯車5の第2方向側には、第2ハウジング8の第2キャリア側第1ラビリンス部25と第2キャリア32の第2キャリア側第2ラビリンス部57とにより、第2ラビリンス40が構成されている。このため、作動室66a,66bからクランクシャフト4と揺動歯車5との間の微小隙間を介して漏れ出る作動油は、第1ハウジング7と第1キャリア31との間、及び第2ハウジング8と第2キャリア32との間から漏れ出にくい。
【0089】
なお、油圧モータ1では、ハウジング部2を固定することにより、回転部3から出力を得ることが可能である。この場合、回転部3(第1キャリア31)の外フランジ部39に固定された外部機器が被回転体となる。また、回転部3を固定することにより、ハウジング部2から出力を得ることも可能である。この場合、ハウジング部2(第1ハウジング7)の外フランジ部9に固定された外部機器が被回転体となる。
【0090】
<内歯歯車と揺動歯車との寸法関係>
ところで、作動室66a,66bから作動油が漏れ出てしまうと、各作動室66a,66b内の油圧が適正な圧力にならない。このため、2つの作動室66a,66bの密閉性は、油圧モータ1の駆動効率に大きく影響する。そこで、内歯歯車91及び揺動歯車5は、内歯ピン90と外歯65とが接触されることにより、圧力の異なる作動油が別々に充填される2つの作動室66a,66bが区画されるように形成されている。内歯ピン90と外歯65との間に隙間が生じてしまうと、作動油が漏れて2つの作動室66a,66bが等圧となってしまうので、圧力の異なる2つの作動室66a,66bを形成することは困難である。
【0091】
すなわち、圧力の異なる作動油が別々に充填される2つの作動室66a,66bが区画されるように形成されているとは、2つの作動室66a,66bを区画する内歯ピン90と外歯65とが若干押し付け合うようにして密着されるように形成されていることをいう。また、このような状態を形成するためには、組み立て初期状態で内歯ピン90に向かって全ての外歯65が押し付けられるように内歯歯車91と揺動歯車5とが形成される。
【0092】
ここで、
図2に示すように、内歯ピン90の直径をAとし、第1ハウジング7の厚肉部10(ピン溝10aが形成されている箇所)で、かつ径方向で最も薄い箇所の肉厚、つまり厚肉部10の外周面とピン溝10aの周方向中央との間の肉厚をBとし、揺動歯車5の支持孔63と外歯65との間で、かつ径方向で最も薄い箇所の肉厚をCとし、揺動歯車5の逃げ孔64と外歯65との間で、かつ径方向で最も薄い箇所の肉厚をDとしたとき、直径A及び各肉厚B~Dは、
A>B ・・・(1)
A>C ・・・(2)
A>D ・・・(3)
の少なくもいずれか一つを満たす。
【0093】
例えば、上記式(1)を満たす場合、内歯ピン90の剛性に対する厚肉部10のピン溝10aが形成されている箇所の剛性が低くなる。このため、内歯ピン90に向かって外歯65が押し付けられると、厚肉部10のピン溝10aが形成されている箇所が内歯ピン90の強度に負けて径方向外側に向かって変形される。
【0094】
上記式(2)を満たす場合、内歯ピン90の剛性に対する揺動歯車5の支持孔63と外歯65との間の剛性が低くなる。このため、内歯ピン90に向かって外歯65が押し付けられると、揺動歯車5の支持孔63と外歯65との間が内歯ピン90の強度に負けて径方向内側に向かって変形される。
【0095】
上記式(3)を満たす場合、内歯ピン90の剛性に対する揺動歯車5の逃げ孔64と外歯65との間の剛性が低くなる。このため、内歯ピン90に向かって外歯65が押し付けられると、揺動歯車5の逃げ孔64と外歯65との間が内歯ピン90の強度に負けて径方向内側に向かって変形される。
【0096】
なお、剛性とは、物体が曲げ、捩じれなどによる破壊に耐える能力をいう。剛性は、第1ハウジング7、内歯ピン90、及び揺動歯車5の材質によっても異なる。材質の観点からいえば、ヤング率や剛性率などの弾性率の大きい材料を使うことによって剛性は高くなる。同じ材質であれば、板厚を厚くしたり、断面性能の大きな断面にしたりすることにより、剛性は高くなる。断面性能とは「断面積、断面二次モーメント、断面係数、断面二次半径」など、断面に関する性能のことである。
【0097】
すなわち、内歯ピン90の直径に対する各部の径方向の肉厚の影響が大きいため、上記の式(1)~(3)のいずれかを満たすことにより、内歯ピン90の剛性に対して第1ハウジング7又は揺動歯車5の少なくともいずれか一方の対応する箇所の剛性が低下される。また、変形には、弾性変形と塑性変形とが含まれるが、上記式(1)~(3)は、通常塑性変形とならない程度、換言すれば弾性変形に止まる程度の寸法に設定される。
【0098】
したがって、上述の実施形態によれば、内歯ピン90と揺動歯車5の外歯65とが強く押し付け合うと、第1ハウジング7又は揺動歯車5の少なくともいずれか一方を内歯ピン90の強度に負けて変形させることができる。このため、内歯ピン90と外歯65が噛合った際の面圧が増大してしまうことを抑制できる。この結果、2つの作動室66a,66bからの作動油の漏れを防止しつつ内歯ピン90と外歯65との噛合い抵抗が抑制され、油圧モータ1の駆動効率を向上できる。
【0099】
とりわけ、内歯ピン90に対し外歯65の剛性を低くすることにより、内歯ピン90に対して外歯65を変形しやすくできる。内歯歯車91は外歯65の外周に位置されるので、この分部品が大きくなり、管理コストも増大する。内歯ピン90自体も剛性が非常に高く加工しにくい。このため、内歯ピン90に対して外歯65を変形しやすくすることにより、流体装置の製造コストを低減できる。
【0100】
さらに、上記式(1)~(3)の少なくともいずれかを一つを満たすことにより、内歯ピン90に向かって外歯65が押し付けられると、厚肉部10のピン溝10a、揺動歯車5の支持孔63と外歯65との間、及び揺動歯車5の逃げ孔64と外歯65との間の少なくともいずれかを内歯ピン90の強度に負けて確実に変形させることができる。
【0101】
ここで、クランクシャフト4によって揺動歯車5の回転運動を揺動回転に規制する油圧モータ1では、内歯ピン90の剛性を高め、内歯ピン90周辺の剛性を低くする方が製造しやすい。剛性が高いと加工しにくいからである。上記式(1)~(3)の少なくともいずれかを一つを満たすことにより、内歯ピン90以外の箇所が変形しやすくなり、2つの作動室66a,66bからの作動油の漏れを防止しつつ油圧モータ1の駆動効率を向上できる。
【0102】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、回転機器として油圧モータ1について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、油圧モータ1を油圧ポンプとして用いることもできる。この場合、クランクシャフト4を回転させることで揺動歯車5を揺動回転させる。これにより各作動室66a,66bの容積が変化して供給路41又は排出路42を介して作動油を吐出させることができる。
【0103】
また、回転部を回転自在に支持するハウジング部を有するさまざまな回転機器に、上述の構成を採用することができる。例えば、回転機器としてハウジング部に回転自在に支持された歯車を有するものに、上述の構成を採用することができる。
そして、流体として作動油である場合について説明したが、作動油以外のさまざまな流体を採用できる。例えば作動油に代わって水も採用できる。流体は液体に限らず、ガス等でもよい。
【0104】
回転機器として、揺動歯車5に支持孔63や逃げ孔64が形成されていなくてもよい。単に揺動歯車5を厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔と外歯65との間の径方向の肉厚のうち、最も肉厚の薄くなる最薄肉部の径方向の厚さが内歯ピン90の直径Aよりも薄ければよい。
【0105】
上述の実施形態では、第1ハウジング7と第2ハウジング8とを固定するための固定部としてボルト20を用いた場合について説明した。第1キャリア31と第2キャリア32とを固定するための固定部としてリーマボルト53を用いた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ボルト20やリーマボルト53に代わって各ハウジング7,8を固定したり、各キャリア31,32を固定したりできればよい。例えば各々固定部としてリベット等を用いてもよい。
【0106】
上述の実施形態では、第1ハウジング7に複数の内歯ピン90を設け、これら内歯ピン90を、揺動歯車5の外歯65に噛合わされる内歯とした場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、第1ハウジング7の内周面7c(厚肉部10の内周面10d)に、直接内歯を形成してもよい。
【0107】
上述の実施形態では、ボルト20を用いて第1ハウジング7に給排プレート46を固定する場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ボルト20とは別の固定部材を用いて、第1ハウジング7に給排プレート46を固定してもよい。また、給排プレート46は、第1ハウジング7及び第2ハウジング8と共締めでなくてもよい。
この場合、各ハウジング7,8の外周面に例えばハウジング固定用の外フランジ部を設け、この外フランジ部をボルトによって固定することにより、各ハウジング7,8を一体化してもよい。
【0108】
上述の実施形態では、回転部3は3個のクランクシャフト4を有し、これらクランクシャフト4によって揺動歯車5を揺動回転に規制する場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、回転部3は、少なくとも1本のクランクシャフト4を有していればよい。この場合、クランクシャフト4は、このクランクシャフト4の第2軸線C2と回転部3の第1軸線C1とが一致するいわゆるセンタークランクシャフトとなる。このセンタークランクシャフトによって、揺動歯車5の回転が規制される。
【0109】
上述の実施形態では、第1ハウジング7と第2ハウジング8とを固定するにあたって、例えば8個のボルト20を用いて固定した場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、第1ハウジング7と第2ハウジング8との必要な固定強度に応じて、ボルト20の個数を任意で決定することができる。
【0110】
上述の実施形態では、内歯ピン90の剛性に対して厚肉部10のピン溝10a、揺動歯車5の支持孔63と外歯65との間、及び揺動歯車5の逃げ孔64と外歯65との間の少なくともいずれかの剛性が低い場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、内歯ピン90の剛性に対して厚肉部10のピン溝10a、揺動歯車5の支持孔63と外歯65との間、及び揺動歯車5の逃げ孔64と外歯65との間の少なくともいずれかの剛性が異なっていればよい。内歯ピン90に向かって外歯65が押し付けられたとき、内歯ピン90が変形するように構成してもよい。
【0111】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0112】
1…油圧モータ(流体装置)、4…クランクシャフト、5…揺動歯車、6…キャリア部(キャリア)、7…第1ハウジング(ハウジング)、10…厚肉部、10a…ピン溝、31…第1キャリア(キャリア)、32…第2キャリア(キャリア)、63…支持孔(貫通孔)、64…逃げ孔(貫通孔)、65…外歯、66a…第1作動室(作動室)、66b…第2作動室(作動室)、90…内歯ピン(内歯、ピン)、91…内歯歯車