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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079607
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/42 20060101AFI20230601BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20230601BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20230601BHJP
   H05K 3/40 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
H05K3/42 630
H05K1/02 C
H05K3/00 J
H05K3/00 N
H05K3/40 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193146
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 通昌
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英之
(72)【発明者】
【氏名】石川 清大
(72)【発明者】
【氏名】大野 彩美
【テーマコード(参考)】
5E317
5E338
【Fターム(参考)】
5E317AA21
5E317AA24
5E317BB02
5E317BB03
5E317BB12
5E317BB15
5E317CC32
5E317CC33
5E317CD15
5E317CD18
5E317CD25
5E317CD32
5E317GG05
5E317GG16
5E338AA02
5E338AA16
5E338BB14
5E338BB25
5E338BB28
5E338EE28
5E338EE32
(57)【要約】
【課題】配線基板の品質向上、及びその製造の容易化。
【解決手段】実施形態の配線基板100は、ガラスによって構成されているコア層1と、コア層1の第1面1a側及び第2面1b側それぞれに設けられていて樹脂を含む第1及び第2の絶縁層21、22と、第1絶縁層21上に形成されている第1導体層31と、第2絶縁層22上に形成されている第2導体層32と、第1導体層31と第2導体層32とを接続するスルーホール導体4と、第1面1aと第1絶縁層21との間に設けられている第1被覆層61と、第2面1bと第2絶縁層22との間に設けられている第2被覆層62と、コア層1、第1被覆層61、及び第2被覆層62を貫通する第1貫通孔11と、第1貫通孔11を充填する樹脂充填体5と、を含み、スルーホール導体4は、第1絶縁層21、第2絶縁層22、及び樹脂充填体5を貫通している第2貫通孔52内の少なくとも側壁に位置している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスによって構成されていて第1面及び前記第1面の反対面である第2面を有するコア層と、
前記コア層の前記第1面側に設けられていて樹脂を含む第1絶縁層と、
前記コア層の前記第2面側に設けられていて樹脂を含む第2絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成されている第1導体層と、
前記第2絶縁層上に形成されている第2導体層と、
前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するスルーホール導体と、
を含む配線基板であって、
前記配線基板は、さらに、
前記第1面と前記第1絶縁層との間に設けられていて前記第1面を覆う第1被覆層と、
前記第2面と前記第2絶縁層との間に設けられていて前記第2面を覆う第2被覆層と、
前記コア層、前記第1被覆層、及び前記第2被覆層を貫通する第1貫通孔と、
前記第1貫通孔を充填する樹脂充填体と、
を含み、
前記スルーホール導体は、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、及び前記樹脂充填体を貫通している第2貫通孔内の少なくとも側壁に位置している。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、
前記樹脂充填体は、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層に含まれる前記樹脂と同種の樹脂によって構成されている。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、前記樹脂充填体は、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層と一体的に形成されている。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1被覆層及び前記第2被覆層は、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層を構成する材料と異なる材料で形成されている。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1貫通孔の幅は、前記第1被覆層側の開口から前記第2被覆層側の開口まで略一定である。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板であって、前記第2貫通孔の幅は、前記第1導体層側の端部から前記第2導体層側の端部まで略一定である。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板であって、前記第2貫通孔の幅は、前記第1導体層側の端部及び前記第2導体層側の端部それぞれから中央部に向かって減少している。
【請求項8】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1被覆層及び前記第2被覆層は、補強材と、前記補強材に含侵されている樹脂とを含んでいる。
【請求項9】
請求項1記載の配線基板であって、前記スルーホール導体の側面は、前記コア層と接することなく、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、及び前記樹脂充填体に接している。
【請求項10】
請求項1記載の配線基板であって、前記スルーホール導体は前記第2貫通孔内を充填している。
【請求項11】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面と前記第2面との間の側面とを被覆材に覆われているガラス板を用意することと、
前記ガラス板と、前記被覆材のうちの前記第1面を覆う部分で構成される第1被覆層と、前記被覆材のうちの前記第2面を覆う部分で構成される第2被覆層とを貫通する第1貫通孔を形成することと、
前記第1被覆層の上に樹脂を供給することによって第1絶縁層を形成することと、
前記第2被覆層の上に樹脂を供給することによって第2絶縁層を形成することと、
前記第1貫通孔を充填する樹脂充填体を形成することと、
前記第1絶縁層の上に第1導体層を形成することと、
前記第2絶縁層の上に第2導体層を形成することと、
前記樹脂充填体、前記第1絶縁層、及び前記第2絶縁層を貫通して前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するスルーホール導体を形成することと、
を含む、配線基板の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の配線基板の製造方法であって、前記スルーホール導体を形成することは、
前記第1絶縁層と、前記第2絶縁層と、前記樹脂充填体とを貫く第2貫通孔を形成することと、
前記第2貫通孔内の少なくとも側壁に導電体を形成することと、
を含んでいる。
【請求項13】
請求項12記載の配線基板の製造方法であって、前記スルーホール導体を形成することは、さらに、前記第2貫通孔内を前記導電体で充填することを含んでいる。
【請求項14】
請求項12記載の配線基板の製造方法であって、前記第1貫通孔はドリル加工によって形成され、
前記第2貫通孔はレーザー加工によって形成される。
【請求項15】
請求項11記載の配線基板の製造方法であって、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、前記被覆材と異なる材料を用いて形成される。
【請求項16】
請求項11記載の配線基板の製造方法であって、前記樹脂充填体を形成することは、前記第1被覆層又は前記第2被覆層の上に供給される前記樹脂の一部で前記第1貫通孔を充填することを含んでいる。
【請求項17】
請求項11記載の配線基板の製造方法であって、前記ガラス板を用意することは、
補強材及び前記補強材に含侵された樹脂を含む樹脂シートを前記ガラス板の前記第1面及び前記第2面それぞれに接合することと、
前記樹脂シートに含まれる前記樹脂の一部で前記ガラス板の前記側面を覆うことを含んでいる。
【請求項18】
請求項17記載の配線基板の製造方法であって、
前記樹脂シートの一面に金属箔が積層されており、
前記樹脂シートは、前記金属箔と反対側の表面を前記ガラス板に接合される。
【請求項19】
請求項18記載の配線基板の製造方法であって、さらに、前記金属箔をパターニングすることを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガラス板を含むコア基板を備える配線板、及びその製造方法が開示されている。ガラス板の両面には樹脂層と導体層とが順に積層されており、その両面の樹脂層とガラス板とを貫くスルーホールが形成され、そのスルーホールを埋めるめっき膜からなるスルーホール導体が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-127701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の配線板では、ガラス板の上に樹脂層を介して、銅などの金属で構成される導体層が形成されている。いずれも硬質で且つ互いに熱膨張率の異なる、ガラスと金属との間に樹脂層しか介在していないので、急激な温度変化などに伴って応力が生じることがある。また、スルーホール導体の形成においてガラス板に直接スルーホールが空けられるので、スルーホール導体の形成が困難なことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、ガラスによって構成されていて第1面及び前記第1面の反対面である第2面を有するコア層と、前記コア層の前記第1面側に設けられていて樹脂を含む第1絶縁層と、前記コア層の前記第2面側に設けられていて樹脂を含む第2絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成されている第1導体層と、前記第2絶縁層上に形成されている第2導体層と、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するスルーホール導体と、を含んでいる。そして、前記配線基板は、さらに、前記第1面と前記第1絶縁層との間に設けられていて前記第1面を覆う第1被覆層と、前記第2面と前記第2絶縁層との間に設けられていて前記第2面を覆う第2被覆層と、前記コア層、前記第1被覆層、及び前記第2被覆層を貫通する第1貫通孔と、前記第1貫通孔を充填する樹脂充填体と、を含み、前記スルーホール導体は、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、及び前記樹脂充填体を貫通している第2貫通孔内の少なくとも側壁に位置している。
【0006】
本発明の配線基板の製造方法は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面と前記第2面との間の側面とを被覆材に覆われているガラス板を用意することと、前記ガラス板と、前記被覆材のうちの前記第1面を覆う部分で構成される第1被覆層と、前記被覆材のうちの前記第2面を覆う部分で構成される第2被覆層とを貫通する第1貫通孔を形成することと、前記第1被覆層の上に樹脂を供給することによって第1絶縁層を形成することと、前記第2被覆層の上に樹脂を供給することによって第2絶縁層を形成することと、前記第1貫通孔を充填する樹脂充填体を形成することと、前記第1絶縁層の上に第1導体層を形成することと、前記第2絶縁層の上に第2導体層を形成することと、前記樹脂充填体、前記第1絶縁層、及び前記第2絶縁層を貫通して前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するスルーホール導体を形成することと、を含んでいる。
【0007】
本発明の実施形態によれば、ガラス板と導体層との間で応力が生じ難くなり、クラックや界面剥離などの発生が抑制されることがある。また、ガラス板を通るスルーホール導体の形成が容易であることがある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
図2図1のII部の拡大図。
図3A】本発明の一実施形態の配線基板の他の例を示す断面図。
図3B】本発明の一実施形態の配線基板の他の例を示す断面図。
図3C】本発明の一実施形態の配線基板におけるスルーホール導体4の他の例を示す断面図。
図4】本発明の他の実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
図5A】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
図5B】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
図5C】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
図5D】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
図5E】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
図5F】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
図5G】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
図5H】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
図5I】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
図6】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の他の例を示す断面図。
図7A】本発明の他の実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
図7B】本発明の他の実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態の配線基板及び配線基板の製造方法が図面を参照しながら説明される。図1は、一実施形態の配線基板の一例である配線基板100を示す断面図であり、図2図1のII部の拡大図である。なお、配線基板100は本実施形態の配線基板の一例に過ぎない。実施形態の配線基板の積層構造、並びに、導体層及び絶縁層それぞれの数は、図1の配線基板100の積層構造、並びに配線基板100に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数に限定されない。
【0010】
図1に示されるように、配線基板100は、絶縁層1と、第1絶縁層21と、第2絶縁層22と、第1導体層31と、第2導体層32と、を含んでいる。これら導体層及び絶縁層は配線基板100の厚さ方向(以下では、配線基板100の厚さ方向は「Z方向」とも称される)に積層されている。絶縁層1は、これら導体層及び絶縁層による積層構造において積層方向(すなわちZ方向)における中央部を占めている。従って、絶縁層1は「コア層1」とも称される。
【0011】
コア層1はガラスによって構成されている。コア層1は、Z方向と略直交する第1面1a及び第1面1aの反対面である第2面1bを有している。第1絶縁層21は樹脂20を含んでいてコア層1の第1面1a側に設けられている。第2絶縁層22は樹脂20を含んでいてコア層1の第2面1b側に設けられている。第1導体層31は第1絶縁層21上に形成されている。第2導体層32は第2絶縁層22上に形成されている。
【0012】
実施形態の説明では、配線基板100の厚さ方向においてコア層1から遠い側は、「外側」、「上側」若しくは「上方」、又は単に「上」とも称され、コア層1に近い側は、「内側」、「下側」若しくは「下方」、又は単に「下」とも称される。さらに、各導体層及び各導体層に含まれる導体パターン、並びに各絶縁層において、コア層1と反対側を向く表面は「上面」とも称され、コア層1側を向く表面は「下面」とも称される。
【0013】
配線基板100は、さらに、第1被覆層61と、第2被覆層62と、第1貫通孔11と、第1貫通孔11を充填する樹脂充填体5と、を含んでいる。第1被覆層61はコア層1の第1面1aを覆っている。第1被覆層61はコア層1の第1面1aと第1絶縁層21との間に設けられている。第2被覆層62はコア層1の第2面1bを覆っている。第2被覆層62はコア層1の第2面1bと第2絶縁層22との間に設けられている。ガラスによって構成されるコア層1の第1面1a及び第2面1bが、それぞれ、第1被覆層61及び第2被覆層62によって保護されると考えられる。第1貫通孔11は、コア層1、第1被覆層61、及び第2被覆層62を貫通している。第1貫通孔11は樹脂で充填されている。第1貫通孔を充填する樹脂によって樹脂充填体5が形成されている。
【0014】
図1及び図2に示されるように、配線基板100は、さらに、第1導体層31と第2導体層32とを接続するスルーホール導体4を含んでいる。スルーホール導体4は、第1絶縁層21及び第2絶縁層22を貫通している。スルーホール導体4は、さらに樹脂充填体5を貫通している。すなわち、スルーホール導体4は、樹脂充填体5を介して、第1被覆層61、コア層1、及び第2被覆層62を貫通している。スルーホール導体4と、ガラスによって構成されるコア層1との間には、樹脂充填体5を構成する樹脂が介在している。
【0015】
図1及び図2の例では、スルーホール導体4の側面は、コア層1と接することなく、第1絶縁層21、第2絶縁層22、及び樹脂充填体5に接している。具体的には、第1絶縁層21と、第2絶縁層22と、樹脂充填体5とを貫く第2貫通孔52が形成され、スルーホール導体4は、第2貫通孔52内の少なくとも側壁に位置している。図1及び図2の例では、第2貫通孔52を充填する導電体によってスルーホール導体4が形成されており、スルーホール導体4は第2貫通孔52内を充填している。
【0016】
第1導体層31、第2導体層32、及びスルーホール導体4は、例えば銅やニッケルなどの任意の金属で形成されている。図1には、第1導体層31及び第2導体層32それぞれに含まれる導体パターンとしてスルーホール導体4と接続している導体パッド(スルーホールパッド)しか示されていないが、第1導体層31及び第2導体層32それぞれは任意の導体パターンを含み得る。
【0017】
第1及び第2の導体層31、32は、図1では簡略化されて単一の層で構成されるように示されているが、具体的には、図2に示されるように2以上の層を含む多層構造を有し得る。図2の例では、第1導体層31及び第2導体層32は、それぞれ、金属箔3a、第1金属膜3b、及び第2金属膜3cによって構成されている。金属箔3aは第1絶縁層21の表面上、又は第2絶縁層22の表面上に配置されている。金属箔3aの上に第1金属膜3bが形成され、第1金属膜3bの上に、第2金属膜3cが形成されている。また、第1金属膜3b及び第2金属膜3cによってスルーホール導体4が形成されている。第1金属膜3bは例えば無電解めっき膜やスパッタリング膜などであり、第2金属膜3cは例えば電解めっき膜である。
【0018】
コア層1は、主にガラスによって構成されている。コア層1が一般的に高い剛性を有するガラスによって構成されているので、配線基板100に反りが生じ難いと考えられる。加えて、コア層1がガラスによって構成されているので、例えば樹脂でコア層1が構成される場合と比べて、コア層1を薄くすることができ、従って、配線基板100を薄くし得ることがある。ガラス板1の厚さは、例えば5μm以上、1200μm以下である。
【0019】
コア層1を構成するガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスなどが例示される。コア層1は、例えばアクリルガラスなどの有機ガラスからなる板ガラスであってもよい。
【0020】
第1絶縁層21及び第2絶縁層22は主に樹脂20によって形成されている。第1絶縁層21及び第2絶縁層22を形成する樹脂20としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、及びフェノール樹脂のような熱硬化性樹脂が例示される。第1絶縁層21及び第2絶縁層22は、フッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリエステル樹脂(PE)、及び変性ポリイミド樹脂(MPI)のような熱可塑性樹脂によって形成されていてもよい。これら熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂よりも低い誘電率及び誘電正接を有していることがあり、第1及び第2の導体層31、32における高周波信号の伝送に関して有利なことがある。
【0021】
第1被覆層61及び第2被覆層62の材料は、ガラスによって構成されるコア層1の表面を覆うことができ、その上に第1絶縁層21又は第2絶縁層22を積層できるものであれば特に限定されない。例えば、第1被覆層61及び第2被覆層62は、第1及び第2の絶縁層21、22と同様に、主に樹脂によって形成されていてもよい。図1及び図2の例では、第1及び第2の被覆層61、62は樹脂60を含んでいる。第1被覆層61及び第2被覆層62を形成する樹脂60としては、エポキシ樹脂、BT樹脂、及びフェノール樹脂などが例示される。第1被覆層61及び第2被覆層62は、フッ素樹脂、LCP、PTFE、PE、又はMPIなどによって形成されていてもよい。
【0022】
図1及び図2に示される例では、第1絶縁層21及び第2絶縁層22は、それぞれ、さらに補強材2aを含んでおり、樹脂20は補強材2aに含侵されている。第1被覆層61及び第2被覆層62は、それぞれ、さらに補強材6aを含んでおり、樹脂60は補強材6aに含侵されている。補強材2a及び補強材6aとしては、ガラス繊維やアラミド繊維などが例示されるが、補強材2a及び補強材6aはこれらに限定されない。なお、第1絶縁層21及び第2絶縁層22は補強材2aを含んでいなくてもよく、第1被覆層61及び第2被覆層62は補強材6aを含んでいなくてもよい。
【0023】
第1絶縁層21、第2絶縁層22、第1被覆層61、及び第2被覆層62は、例えば二酸化ケイ素やアルミナなどの粒体からなるフィラー(図示せず)を含んでいてもよい。補強材2a、及び/又は、図示されないフィラーの材料の選択や含有量の調整によって、第1絶縁層21及び第2絶縁層22の熱膨張率や誘電率などの物性が調整されていてもよい。同様に、補強材6a、及び/又は、図示されないフィラーの材料の選択や含有量の調整によって、第1被覆層61及び第2被覆層62の熱膨張率や誘電率などの物性が調整されていてもよい。
【0024】
本実施形態では、ガラスによって構成されるコア層1の第1面1aは第1被覆層61で覆われ、第2面1bは第2被覆層62で覆われている。第1被覆層61及び第2被覆層62によって、コア層1を構成するガラスが、特に配線基板100の製造工程中において保護され得る。例えば外的衝撃によるマイクロクラックのようなコア層1の潜在不良の発生が防がれることがある。従って、そのような潜在不良の顕在化による配線基板100の使用中の不具合の発生が防止されることがある。
【0025】
また、第1被覆層61上に第1絶縁層21が形成され、第1絶縁層21上に第1導体層31が形成されている。従って、コア層1と、第1導体層31との間には、第1被覆層61及び第1絶縁層21が介在している。同様に、第2被覆層62上に第2絶縁層22、及び第2導体層32が順に形成されていて、コア層1と第2導体層32との間に第2被覆層62及び第2絶縁層22が介在している。そのため、コア層1と第1導体層31及び第2導体層32それぞれとの距離を、第1及び第2の絶縁層21、22、又は第1及び第2の被覆層61、62が形成されていない場合と比べて、長くすることができる。従って、コア層1を構成するガラスと、例えば銅のような、第1導体層31及び第2導体層32それぞれを構成する導体との熱膨張率が違っていても、その違いによって生じる応力が緩和されると考えられる。従って、例えば第1絶縁層21及び/又は第2絶縁層22のクラックや、第1絶縁層21と第1導体層31との界面及び/又は第2絶縁層22と第2導体層32との界面での剥離が生じ難いと考えられる。
【0026】
さらに、ガラスによって構成されるコア層1とスルーホール導体4との間には、樹脂充填体5を構成する樹脂が介在している。そのため、コア層1とスルーホール導体4との間でも、コア層1とスルーホール導体4との間の熱膨張率の違いによる応力が軽減されることがある。スルーホール導体4とコア層1との間でのクラックの発生や界面剥離が防止されることがある。このように本実施形態に依れば、配線基板100の品質を向上させ得ることがある。
【0027】
例えば、第1被覆層61及び第2被覆層62は、第1絶縁層21及び第2絶縁層22を構成する材料と異なる材料で形成されていてもよい。例えば第1被覆層61及び第2被覆層62は、第1絶縁層21及び第2絶縁層22を形成する材料よりも、コア層1を構成するガラスの熱膨張率に近い熱膨張率を有する材料で形成されてもよい。一方、第1絶縁層21及び第2絶縁層22は、第1被覆層61及び第2被覆層62を形成する材料と略等しいか、又は、後述するように一組以上の絶縁性樹脂層がビルドアップ層として第1絶縁層21及び第2絶縁層22の上面に位置する場合、その絶縁性樹脂層(例えば後に参照される図3Bの絶縁層23)の熱膨張率に近い熱膨張率を有する材料で形成されてもよい。そうすることによって、配線基板100内で生じる応力が一層低減されることがある。
【0028】
例えば、コア層1の熱膨張率(λ1)、第1及び第2の被覆層61、62の熱膨張率(λ2)、第1及び第2の絶縁層21、22の熱膨張率(λ3)、並びに第1絶縁層21及び第2絶縁層22の上面に形成され得る絶縁性樹脂層の熱膨張率(λ4)は、λ1<λ2<λ3<λ4の関係を有していてもよい。またλ2とλ3が略等しく、λ1~λ4が、λ1<[λ2、λ3]<λ4の関係を有していてもよい。また、λ3とλ4が略等しく、λ1~λ4が、λ1<λ2<[λ3、λ4]の関係を有していてもよい。
【0029】
第1絶縁層21及び第2絶縁層22は、第1被覆層61及び第2被覆層62を形成する材料よりも低い誘電率及び低い誘電正接を有する材料で形成されていてもよい。そうすることで、第1及び第2の導体層31、32での高周波信号の伝送損失が低減され、高周波信号の伝送特性が向上することがある。一方、第1被覆層61及び第2被覆層62は、低誘電率や低誘電正接を有することよりも、コア層1を構成するガラスとの良好な密着性を有することを優先して選択された材料で形成されてもよい。例えば、第1絶縁層21及び第2絶縁層22が前述した熱可塑性樹脂で形成されると共に、第1被覆層61及び第2被覆層62がエポキシ樹脂のような前述した熱硬化性樹脂で形成されていてもよい。
【0030】
図2に示されるように、第1貫通孔11の内壁は樹脂充填体5に覆われている。図2の例では、樹脂充填体5は、第1絶縁層21及び第2絶縁層22と一体的に形成されている。すなわち、樹脂充填体5は、第1貫通孔11内に流入した、第1絶縁層21及び第2絶縁層22それぞれを構成する樹脂20の一部によって形成されている。従って、図1及び図2に示される例では、樹脂充填体5は、第1絶縁層21及び第2絶縁層22に含まれる樹脂20と同種の樹脂によって構成されている。樹脂充填体5と第1及び第1の絶縁層21、22との間には界面は存在しない。例えばスルーホール導体4が伸縮しても、樹脂充填体5と第1絶縁層21及び第2絶縁層22それぞれとが剥離し難いと考えられる。
【0031】
図1及び図2の例では、第1貫通孔11は、第1被覆層61の上面から第2被覆層62の上面(コア層1と反対方向を向く表面)まで略一定の幅W1を有していて柱状の形状を有している。すなわち、第1貫通孔11の幅W1は、第1被覆層61側の第1貫通孔11の開口から第2被覆層62側の第1貫通孔11の開口まで略一定である。また、第2貫通孔52は、第1絶縁層21側の開口から第2絶縁層22側の開口まで略一定の幅W2を有していて柱状の形状を有している。すなわち、第2貫通孔52の幅(図2の例ではスルーホール導体4の幅でもある)W2は、第1導体層31側の端部から第2導体層32側の端部まで略一定である。例えばスルーホール導体4にZ方向の荷重が加わっても、Z方向におけるスルーホール導体4の特定の位置に応力が集中し難いと考えられる。
【0032】
第1貫通孔11の幅W1及び第2貫通孔52の幅W2は、Z方向と直交する第1貫通孔11及び第2貫通孔52それぞれの断面の外周上の最も離間している2点間の距離である。第1貫通孔11、第2貫通孔52、及び図2の例のスルーホール導体4は、Z方向と直交する断面において例えば円形などの任意の断面形状を有し得る。従って、第1貫通孔11、第2貫通孔52、及び図2の例のスルーホール導体4は、軸方向と直交する断面において任意の形状を有する柱状体であり得る。
【0033】
第1貫通孔11の幅W1、及び第2貫通孔52の幅W2が「略一定である」は、第1貫通孔11及び第2貫通孔52において、Z方向における一端から他端までの幅W1及び幅W2の変動が10%以下であることを意味する。
【0034】
第1貫通孔11の幅W1は、例えば60μm以上、400μm以下である。また、第2貫通孔52の幅W2は、例えば30μm以上、200μm以下である。スルーホール導体4と第1貫通孔11の内壁とは距離L1だけ離間している。すなわち、スルーホール導体4と第1貫通孔11の内壁(例えば第1貫通孔11に露出するコア層1の端面)との間には、距離L1に相当する厚さの樹脂充填体5が介在している。距離L1は、例えば、15μm以上、100μm以下である。この程度の距離L1が確保されていると、製造時に第2貫通孔52の形成位置がばらついても、スルーホール導体4とコア層1との接触が回避されると考えられる。
【0035】
図3A及び図3Bには、本実施形態の配線基板100の他の例である配線基板200、及び配線基板300がそれぞれ示されている。図3Aに示される配線基板200は、図1に例示の配線基板100に対してスルーホール導体4の形状が異なっている。配線基板200が有する第2貫通孔52の幅は、第1導体層31側の端部及び第2導体層32側の端部それぞれからZ方向におけるコア層1の中央に向かって減少している。第2貫通孔52は、Z方向における略中央部においてもっとも小さな幅を有している。そのため、第2貫通孔52、及び、図3Aの例において第2貫通孔52を充填しているスルーホール導体4は、Z方向における中央部に最も幅の小さな箇所(くびれ)を有している。図3Aに例示の形状のスルーホール導体4を備えるべく形成される第2貫通孔52は、図1に例示の配線基板100が有する第2貫通孔52よりも短い時間、及び/又は、必要に応じて小さい幅で、形成されることがある。
【0036】
図3Aの例のようにZ方向の中央部にくびれを有する第2貫通孔52の各端部における幅W3は、例えば50μm以上、200μm以下である。また、Z方向の中央部のように第2貫通孔52の最も細い部分での幅W4は、例えば30μm~180μm程度である。また、スルーホール導体4と第1貫通孔11の内壁との間に介在する樹脂充填体5の最小の厚さ、すなわち、スルーホール導体4と第1貫通孔11の内壁との最短距離L2は、例えば10μm程度である。図3Aに示される配線基板200は、スルーホール導体4及び第2貫通孔52の形状を除いて、図1の例の配線基板100と同様の構造を有していて同様の構成要素を含んでいる。図3Aにおいて図1の配線基板100に含まれる構成要素と同様の構成要素には、図1に付された符号と同じ符号が付されるか適宜省略され、それらの構成要素についての繰り返しとなる説明は省略される。
【0037】
図3Bの例の配線基板300は、コア基板301と、コア基板301の両面それぞれに形成された、複数組の導体層及び絶縁層を含むビルドアップ層302、303と、を含んでいる。図3Bに例示の配線基板300のコア基板301は、図1に示される配線基板100である。従って、コア基板301は、ガラスによって構成されているコア層1と、第1被覆層61及び第2被覆層62と、第1絶縁層21及び第2絶縁層22と、第1導体層31及び第2導体層32と、スルーホール導体4と、を含んでいる。
【0038】
ビルドアップ層302は、コア層1の第1面1aを覆う第1絶縁層21及び第1導体層31の上に積層されている。ビルドアップ層303は、コア層1の第2面1bを覆う第2絶縁層22及び第2導体層32の上に積層されている。ビルドアップ層302及びビルドアップ層303は、それぞれ、コア基板301の上に順に積層された2組の絶縁層23及び導体層33を含んでいる。絶縁層23には、絶縁層23を貫通してその両側の導体層同士を接続するビア導体41が形成されている。
【0039】
絶縁層23は、第1及び第2の絶縁層21、22と同様に任意の絶縁性樹脂によって形成される。絶縁性樹脂は、エポキシ樹脂、BT樹脂、及びフェノール樹脂のような熱硬化性樹脂、並びに、フッ素樹脂、LCP、PTFE、PE、及びMPIのような熱可塑性樹脂が例示される。図3Bの例では、絶縁層23は、第1絶縁層21などが含む補強材2a(図1参照)を含んでいないが、絶縁層23は、ガラス繊維やアラミド繊維などで形成される補強材を含み得る。絶縁層23は、さらに、例えば二酸化ケイ素やアルミナなどの粒体からなるフィラー(図示せず)を含んでいてもよい。絶縁層23は、例えば、フィルム状のエポキシ樹脂を、コア基板301、又は既に形成済みの絶縁層23及び導体層33の上に積層して熱圧着することによって形成される。
【0040】
導体層33及びビア導体41は、第1導体層31やスルーホール導体4と同様に、銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成され得る。導体層33及びビア導体41は、例えば無電解めっき膜と電解めっき膜とを含む多層構造を有していてもよい。導体層33及びビア導体41は、セミアディティブ法、フルアディティブ法、又はサブトラクティブ法など、任意の方法で形成され得る。最も外側の絶縁層23及び導体層33の上には、図示されないソルダーレジストが形成されてもいてもよい。
【0041】
このように、実施形態の配線基板は、ガラスによって構成されるコア層1の第1面1a側に設けられている第1絶縁層21及び第1導体層31の上に、1組以上の絶縁層23及び導体層33をさらに備えていてもよい。さらに、実施形態の配線基板は、コア層1の第2面1b側に設けられている第2絶縁層22及び第2導体層32の上に、1組以上の絶縁層23及び導体層33を備えていてもよい。すなわち、実施形態の配線基板は、図3Bに示される配線基板300のように、ガラスを含むコア基板301を含んでいて、さらに1以上の導体層を含む多層配線基板であってもよい。
【0042】
また、実施形態の配線基板は、図3Bの例においてコア基板301として機能する図1の例の配線基板100のように、1組以上の絶縁層及び導体層が両面それぞれにビルドドアップ製法で形成されている、多層配線基板のコア基板であってもよい。
【0043】
図3Cには、一実施形態の配線基板100におけるスルーホール導体の他の例が示されている。図3Cに示されるスルーホール導体4aは、先に参照された図2の例のスルーホール導体4と同様に、第2貫通孔52内の少なくとも内壁に位置している。しかし、スルーホール導体4aは、第2貫通孔52内を完全に充填していない。すなわち、スルーホール導体4aを構成する第2金属膜3cは、第1金属膜3bと共に第2貫通孔52の側壁を覆っているが、第2貫通孔52全体を充填していない。第2貫通孔52における第2金属膜3cよりも内側の部分は穴埋樹脂体53で充填されている。穴埋樹脂体53は、第2金属膜3cの形成後に、例えばエポキシ樹脂のような適切な樹脂を第2貫通孔52の未充填部に充填して硬化させることによって形成され得る。
【0044】
図3Cの例では、さらに、第2金属膜3cの上、及び穴埋樹脂体53の上に、第3金属膜3dが形成されており、第3金属膜3dの上に第4金属膜3eが形成されている。第3金属膜3dは、例えば無電解めっきやスパッタリングによって形成され、第4金属膜3eは、例えば第3金属膜3dを給電層として用いる電解めっきによって形成され得る。第3金属膜3d及び第4金属膜3eによって、スルーホール導体4aの所謂蓋めっきが形成されている。図3Cの例の導体層31及び導体層32は、それぞれ、金属箔3a、第1金属膜3b、第2金属膜3c、第3金属膜3d、及び第4金属膜3eによって構成されている。本実施形態では、図3Cの例のように、スルーホール導体は第2貫通孔を完全に充填していなくてもよく、例えば筒状の形体を有していてもよい。そしてスルーホール導体の内部が樹脂で充填されていてもよい。
【0045】
図4には、本発明の他の実施形態の配線基板の一例である配線基板400が示されている。配線基板400は、導体層34(第3導体層)及び導体層35(第4導体層)、並びにビア導体42及びビア導体43を備えている点で、図1などに示される一実施形態の配線基板100と異なっている。
【0046】
導体層34は、第1被覆層61上に設けられている。導体層35は第2被覆層62上に設けられている。導体層34及び導体層35は、所望の導体パターンを有している。導体層34及び導体層35は、第1及び第2の導体層31、32と同様に、例えば銅やニッケルなどの任意の金属で形成される。導体層34、35は、単層構造、又は、2以上の層を含む多層構造を有し得る。導体層34、35は、例えば、金属箔だけを含んでいてもよく、金属箔とめっき膜とを含んでいてもよい。
【0047】
ビア導体42はコア層1の第1面1a側に設けられており、ビア導体43は第2面1b側に設けられている。ビア導体42は、第1絶縁層21を貫通して第1導体層31と導体層34とを接続している。ビア導体43は、第2絶縁層22を貫通して第2導体層32と導体層35とを接続している。ビア導体42は、第1導体層31と一体的に形成されている。従ってビア導体42は、第1導体層31を構成する、例えば銅やニッケルなどからなる無電解めっき膜と電解めっき膜とを含み得る。ビア導体43は、第2導体層32と一体的に形成されている。従ってビア導体43は、第2導体層32を構成する、例えば銅やニッケルなどからなる無電解めっき膜と電解めっき膜とを含み得る。
【0048】
このように実施形態の配線基板は、第1被覆層61及び第2被覆層62それぞれの上に形成される導体層34及び導体層35を含み得る。加えて実施形態の配線基板は、導体層34と第1導体層31とを接続するビア導体42、及び導体層35と第2導体層32とを接続するビア導体43を含み得る。導体層34、導体層35、ビア導体42、及びビア導体43を設けることによって、配線基板400の内部に、より大きな規模の電気回路を内蔵し得ることがある。また、第1導体層31及び第2導体層32に求められる配線ルールが緩和され、製造歩留まりが向上することがある。なお、ビア導体42及びビア導体43が設けられずに導体層34及び導体層35だけが設けられてもよく、導体層34及び導体層35のいずれか一方だけが設けられてもよい。
【0049】
また、図4に示される配線基板400では、第1絶縁層21及び第2絶縁層22は、図1に例示の配線基板100の第1及び第2の絶縁層21、22が含む補強材2aを含んでいない。実施形態の配線基板において第1絶縁層21及び第2絶縁層22は、必ずしも補強材2a(図1参照)を含まない。補強材が含まれない場合、第1導体層31及び第2導体層32の形成において無電解めっき膜の形成が容易なことがある。
【0050】
図4に示される配線基板400は、導体層34、導体層35、ビア導体42、及びビア導体43を備えること、並びに補強材を含まないことを除いて、図1の例の配線基板100と同様の構造を有していて同様の構成要素を含んでいる。図4において図1の配線基板100に含まれる構成要素と同様の構成要素には、図1に付された符号と同じ符号が付されるか適宜省略され、それらの構成要素についての繰り返しとなる説明は省略される。
【0051】
図1に例示される配線基板100が製造される場合を例に、一実施形態の配線基板の製造方法が、図5A図5Iを参照して説明される。
【0052】
図5A及び図5Bに示されるように、本実施形態の配線基板の製造方法は、図1の配線基板100のコア層1を構成するガラス板を用意することを含んでいる。配線基板100のコア層1を構成する図5Aのガラス板は、実施形態の配線基板の製造方法の説明では、コア層1の符号「1」を添えて「ガラス板1」とも称される。図5Aに示されるように、ガラス板1は、その厚さ方向に直交していて対向する2つの主面(第1面1a及び第2面1b)を含んでいる。
【0053】
ガラス板1として、前述したように、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスなどで形成される板ガラスが用意される。ガラス板1は、例えばフロートガラス法などの一般的な板ガラスの製法によって用意され得る。ガラス板1として、例えばアクリルガラスなどの有機ガラスからなる板ガラスが用意されてもよい。しかし、本実施形態では、靭性や機械的衝撃への耐性が特段高くないと考えられるソーダライムガラスなどのケイ酸ガラスからなるガラス板1が用いられる場合でも、後述されるように、ガラス板1の破損を抑制し得ることがある。
【0054】
本実施形態では、図5A及び図5Bに示されるように、第1面1aと、第1面1aの反対側の第2面1bと、第1面1aと第2面1bとの間の側面1cとを被覆材601に覆われているガラス板1が用意される。例えば、第1面1a及び第2面1bの全部と、側面1cの一部又は全部とが被覆材601に覆われているガラス板1が用意される。ガラス板1の表面の多くが被覆材601に覆われているので、後工程で外部から加わり得る機械的衝撃からガラス板1が保護される。好ましくは、全ての表面を被覆材601に覆われているガラス板1が用意される。
【0055】
第1面1a、第2面1b、及び側面1cを被覆材601に覆われているガラス板1は、例えば、図5Aに示されるように、ガラス板1に、シート状に成形されたBステージ状態の樹脂で構成される樹脂シート600を積層することによって用意される。図5Aの例では、ガラス板1は枠状板7の中空部71に配置される。そして樹脂シート600は、枠状板7の上にも積層される。枠状板7は、枠状板7を貫く貫通孔である中空部71と、中空部71を囲む枠部72とを含んでいる。枠部72は、例えばエポキシ樹脂などの任意の材料で形成されている。枠部72には樹脂シート600と同じ材料が用いられてもよい。図5Aに示される枠部72は、ガラス繊維やアラミド繊維などからなる補強材73を含んでいる。
【0056】
図5A及び図5Bの例では、被覆材601は、補強材6a、及び補強材6aに含侵された樹脂60を含んでいる。補強材6aとしてはガラス繊維やアラミド繊維などが例示されるが、補強材6aはこれらに限定されない。樹脂60としては、エポキシ樹脂、BT樹脂、及びフェノール樹脂のような熱硬化性樹脂、並びに、フッ素樹脂、LCP、PTFE、PE、及びMPIのような熱可塑性樹脂が例示されるが、樹脂60はこれらに限定されない。樹脂シート600は、補強材6aと補強材6aに含侵された樹脂60とを含んでいる。樹脂シート600は、ガラス繊維のような補強材6aにエポキシ樹脂などが含侵されてなる所謂プリプレグであり得る。図5Aに示されるように、平面視でガラス板1よりも大きな樹脂シート600が用意される。そして、樹脂シート600は、ガラス板1の第1面1a及び第2面1bそれぞれの上に、さらに枠状板7の枠部72の上に、積層される。
【0057】
図5Aの例では、樹脂シート600の一面60aに金属箔3dが積層されている。樹脂シート600は、一面60aと反対側の表面をガラス板1に向けてガラス板1に積層される。ガラス板1の両面それぞれに積層された樹脂シート600は、加熱及び加圧される。その加熱及び加圧によって、樹脂60が一旦軟化して樹脂60とガラス板1及び枠状板7とが圧着される。樹脂シート600における金属箔3dと反対側の表面がガラス板1に接合される。樹脂シート600に金属箔3dが積層されていると、樹脂シート600の熱圧着が容易なことがある。
【0058】
加熱によって軟化した樹脂60は、さらに、第1面1a及び第2面1bそれぞれから反対面側へと側面1cに沿って流下する。そして側面1cが樹脂60によって覆われる。また、枠状板7とガラス板1との隙間が、樹脂60で充填される。その状態で樹脂60がCステージへと硬化する。その結果、図5Bに示されるように、第1面1a、第2面1b、及び側面1cを被覆材601に覆われているガラス板1が得られる。得られたガラス板1は枠状板7によって囲まれている。ガラス板1の第1面1a上には第1被覆層61が形成される。第1被覆層61は、被覆材601のうちの第1面1aを覆う部分で構成される。ガラス板1の第2面1b上には第2被覆層62が形成される。第2被覆層62は、被覆材601のうちの第2面1bを覆う部分で構成される。第1被覆層61及び第2被覆層62は、それぞれ、枠状板7の表面も覆っている。なお、側面1cが樹脂60によって覆われる際、いったん軟化した樹脂60が金属箔3dの外側に流れてはみ出してしまう場合があるが、その際は樹脂60(被覆材601)がCステージへ硬化後、ルーター処理や端面研磨などではみ出し部分が切除・削除されればよい。
【0059】
このように、本実施形態においてガラス板1を用意することは、補強材6a、及び補強材6aに含侵された樹脂60を含む樹脂シート600をガラス板1の第1面1a及び第2面1bそれぞれに接合することを含み得る。さらに、ガラス板1を用意することは、樹脂シート600に含まれる樹脂60の一部でガラス板1の側面1cを覆うことを含み得る。図1の配線基板100が製造される場合は、樹脂シート600の熱圧着後、金属箔3dは、例えばエッチングなどによって除去される。
【0060】
図5Cに示されるように、本実施形態の配線基板の製造方法は、ガラス板1と、第1被覆層61と、第2被覆層62とを貫通する第1貫通孔11を形成することを含んでいる。第1貫通孔11は、例えば、ドリル加工、又は、炭酸ガスレーザーなどのレーザー光を照射するレーザー加工などの任意の方法で形成される。図5Cの例では、第1貫通孔11は、第1被覆層61側から第2被覆層62側まで略一定の幅を有していて柱状の形状を有している。例えばドリル加工では、軸方向(Z方向)の全長に渡って略一定の幅を有する第1貫通孔11の形成が容易なことがある。
【0061】
また、本実施形態では、ガラス板1の第1面1a及び第2面1bは第1被覆層61及び第2被覆層62それぞれに覆われている。そのため、ガラス板1の表面からではなく、第1被覆層61及び/又は第2被覆層62の表面から、第1貫通孔11の穿孔が開始される。硬質のガラスの表面に最初にドリル刃(図示せず)が当接すると、ドリル刃がガラス板1に直ぐには食い込み難いため位置ずれが生じることがある。しかし本実施形態では、ガラスよりも柔軟で被加工性に優れる樹脂で主に構成される第1被覆層61及び/又は第2被覆層62から穿孔が開始される。そのため、ドリル刃は速やかに第1被覆層61及び/又は第2被覆層62に食い込むことができ、従って、位置ずれが生じ難いと考えられる。そして、ガラス板1にドリル刃が達するときには、第1被覆層61及び/又は第2被覆層62に既に第1貫通孔11の開口部が形成されていてその中にドリル刃が収まっている。従って、ドリル刃の位置がずれ難く、第1貫通孔11の位置ずれが生じ難いと考えられる。
【0062】
また、第1及び第2の被覆層61、62に両面を覆われた状態でガラス板1に第1貫通孔11が形成されるので、ドリル加工時の機械的衝撃などによってガラス板1に割れやクラックなどの破損が生じ難いと考えられる。
【0063】
図5C及び図5Dに示されるように、本実施形態の配線基板の製造方法は、第1被覆層61の上に第1絶縁層21を形成することと、第2被覆層62の上に第2絶縁層22を形成することをさらに含んでいる。第1絶縁層21及び第2絶縁層22は、それぞれ、第1被覆層61及び第2被覆層62の上に樹脂20を供給することによって形成される。図5Cの例では、樹脂20は、補強材2aに含侵されて、Bステージの状態でシート状に成形されたうえで、第1被覆層61の上、及び第2被覆層62の上、それぞれに供給されている。シート状の樹脂20の上にさらに金属箔3aが積層されている。金属箔3aは例えば銅箔である。金属箔3aは、銅箔に限らず、例えばニッケルなどの適切な導電性を有する任意の金属で構成され得る。
【0064】
樹脂20としては、エポキシ樹脂、BT樹脂、及びフェノール樹脂のような熱硬化性樹脂、並びに、フッ素樹脂、LCP、PTFE、PE、及びMPIのような熱可塑性樹脂が例示されるが、樹脂20はこれらに限定されない。補強材2aとしては、ガラス繊維やアラミド繊維などが例示されるが、補強材2aはこれらに限定されない。例えば樹脂20及び補強材2aからなるプリプレグが、第1被覆層61及び第2被覆層62それぞれの上に積層される。
【0065】
第1被覆層61の上、及び第2被覆層62の上に供給された樹脂20、及び金属箔3aは、適度な圧力及び温度で加圧及び加熱される。その加圧及び加熱によって、樹脂20が一旦軟化して樹脂20と第1被覆層61及び第2被覆層62とが圧着される。その結果、第1被覆層61上に第1絶縁層21が形成される。第2被覆層62上に第2絶縁層22が形成される。また、樹脂20と金属箔3aとが圧着される。第1絶縁層21及び第2絶縁層22それぞれの上に金属箔3aが積層されている。第1絶縁層21上の金属箔3a及び第2絶縁層22上の金属箔3aは、それぞれ、後工程で形成される第1導体層31及び第2導体層32(図5H参照)の一部を構成する。金属箔3aを積層することによって、第1絶縁層21及び第2絶縁層22が補強材2aを含んでいても、後述される第1金属膜3b(図5F参照)が容易に無電解めっきで形成され得ることがある。
【0066】
第1被覆層61及び第2被覆層62の上に供給されて加熱によって一旦軟化した樹脂20は第1貫通孔11内に流れ込む。第1貫通孔11内に流れ込んだ樹脂20で第1貫通孔11が充填される。流れ込んだ樹脂20が硬化することによって、図5Dに示されるように、第1貫通孔11内を埋める樹脂20からなる樹脂充填体5が形成される。本実施形態の配線基板の製造方法は、このように第1貫通孔11を充填する樹脂充填体5を形成することを含んでいる。そして樹脂充填体5を形成することは、第1被覆層61又は第2被覆層62の上に供給される樹脂20の一部で第1貫通孔11を充填することを含んでいる。樹脂充填体5によって、ガラス板1を構成していて第1貫通孔11の内壁に露出するガラスが保護される。
【0067】
第1絶縁層21及び第2絶縁層22は、第1被覆層61及び第2被覆層62を構成する被覆材601(図5B参照)と異なる材料を用いて形成されてもよい。そうすることで、第1絶縁層21及び第2絶縁層22と、第1被覆層61及び第2被覆層62とが、互いに異なる特性を有し得る。例えば第1絶縁層21及び第2絶縁層22は、第1被覆層61及び第2被覆層62を形成する材料よりも、後工程で形成され得る例えば図3Bの例の絶縁層23のようなビルドアップ層の絶縁樹脂層の熱膨張率に近い熱膨張率を有する材料で形成されてもよい。一方、第1被覆層61及び第2被覆層62は、第1絶縁層21及び第2絶縁層22を形成する材料よりも、ガラス板1の熱膨張率に近い熱膨張率を有する材料で形成されてもよい。そうすることによって、配線基板100内で生じる応力が一層低減されることがある。
【0068】
第1絶縁層21及び第2絶縁層22は、第1被覆層61及び第2被覆層62を形成する材料よりも低い誘電率及び低い誘電正接を有する材料で形成されてもよい。そうすることで、前述したように、第1及び第2の導体層31、32(図5H参照)での高周波信号の伝送損失が低減され、高周波信号の伝送特性が向上することがある。例えば、第1絶縁層21及び第2絶縁層22が前述した熱可塑性樹脂で形成され、第1被覆層61及び第2被覆層62がエポキシ樹脂のような前述した熱硬化性樹脂で形成されてもよい。
【0069】
図5E図5Hに示されるように、本実施形態の配線基板の製造方法は、さらに、第1絶縁層21の上に第1導体層31を形成することと、第2絶縁層22の上に第2導体層32を形成することと、第1導体層31及び第2導体層32とを接続するスルーホール導体4を形成することと、を含んでいる。図5E図5Hに示される例では、第1導体層31及び第2導体層32は、セミアディティブ法によって形成されるが、第1導体層31及び第2導体層32の形成方法は、セミアディティブ法に限定されず、サブトラクティブ法及びフルアディティブ法などの任意の方法が用いられ得る。
【0070】
図5Eに示されるように、第1絶縁層21、第2絶縁層22、樹脂充填体5、及び金属箔3aを貫通する第2貫通孔52が形成される。すなわち、第2貫通孔52は、第1貫通孔51の内部を通過するように形成される。しかし、第2貫通孔52は、第1貫通孔51の内壁との間に適度な間隔を有するように形成される。第2貫通孔52内にスルーホール導体4(図5G参照)が形成される。換言すると、第2貫通孔52は、スルーホール導体4の形成個所に形成される。このように、本実施形態においてスルーホール導体4を形成することは、第1絶縁層21と、第2絶縁層22と、樹脂充填体5とを貫く第2貫通孔52を形成することを含み得る。
【0071】
第2貫通孔52は任意の方法で形成され得る。例えば、第2貫通孔52は、炭酸ガスレーザーなどによるレーザー光を照射するレーザー加工、又はドリル加工によって形成される。本実施形態では、ガラス板1を直接貫かずに、樹脂充填体5を介してガラス板1を通過する第2貫通孔52が形成される。硬質のガラス板1が加工されないので、第2貫通孔52の形成に小径のドリル刃が用いられる場合でも、ドリル刃の損壊や摩耗が少ないと考えられる。例えば、ファインピッチ配線の実現のために小径のスルーホール導体4が形成される場合に特に有益なことがある。
【0072】
加えて、ガラス板1が直接貫かれないので、ガラス板1にストレスを与え難いと考えられる。従って、ガラス板1の破損やクラックの発生が抑制され、工程歩留まりが向上し得ると考えられる。
【0073】
さらに、第2貫通孔52はガラス板1を直接貫かないので、レーザー加工による第2貫通孔52の形成も容易であると考えられる。レーザー加工を用いることによって、より小径の第2貫通孔52を、より早く、より精度よく形成し得ることがある。レーザー加工によって第2貫通孔52が形成される場合、第1絶縁層21側及び第2絶縁層22側それぞれからレーザー光が照射されてもよい。そうすることによって、先に参照した図3Aに示されるような、Z方向における略中央部に最も幅の小さな箇所(くびれ)を有する第2貫通孔52が形成され得る。なお、第1貫通孔11がドリル加工で形成され、一方、第2貫通孔52はレーザー加工によって形成されてもよい。
【0074】
レーザー加工によって第2貫通孔52が形成される場合、レーザー光の照射の前に、金属箔3aにおける第2貫通孔52の形成個所が、例えばエッチングなどによって除去されてもよい。その場合、第2貫通孔52のうちの第1及び第2の絶縁層21、22、並びに樹脂充填体5を貫く部分だけが、レーザー加工によって形成される。より少ないレーザーパワーで、第2貫通孔52が形成されると考えられる。
【0075】
図5Fに示されるように、第1金属膜3bが、金属箔3aの全面及び第2貫通孔52の内壁面の全面に形成される。なお、図5F図5Hは、各工程における図5EのVF部に相当する部分の拡大図が示されている。第1金属膜3bは、例えば、無電解めっき又はスパッタリングによって形成される。例えば銅やニッケルなどの適切な導電性を有する任意の金属からなる金属膜が、第1金属膜3bとして形成される。
【0076】
図5Gに示されるように、第1金属膜3b上に第2金属膜3cが形成される。その結果、第2貫通孔52の内部にスルーホール導体4が形成される。また、第1絶縁層21の上に第1導体層31が形成され、第2絶縁層22の上に第2導体層32が形成される。
【0077】
第1導体層31、第2導体層32、及びスルーホール導体4の形成では、図5Gに示されるように、第1金属膜3b上にめっきレジストRが設けられる。めっきレジストRには、第1導体層31又は第2導体層32に含まれるべき導体パターンの形成領域の上、及び第2貫通孔52の上に開口R1が設けられる。
【0078】
そして、第1金属膜3bを給電層として用いる電解めっきを含むパターンめっきによって開口R1内に第2金属膜3cが形成される。それぞれ3層構造の第1導体層31及び第2導体層32が形成される。第2貫通孔52の内部が第2金属膜3cで充填されることによってスルーホール導体4が形成される。このように本実施形態においてスルーホール導体4を形成することは、第2貫通孔52内の少なくとも側壁に導電体を形成することを含み得る。さらに、スルーホール導体4を形成することは、図5Gの例のように第1金属膜3b及び第2金属膜3cのような導電体で第2貫通孔52内を充填することを含み得る。スルーホール導体4は、樹脂充填体5、第1絶縁層21、及び、第2絶縁層22を貫通して第1導体層31と第2導体層32とを接続している。その後、めっきレジストRが例えば適切な溶剤を用いて除去される。めっきレジストRの除去によって、第1金属膜3bのうちの第2金属膜3cに覆われていない部分が露出する。
【0079】
図5Hに示されるように、第1金属膜3bのうちの第2金属膜3cに覆われていない部分が、例えばエッチングなどで除去される。その結果、所定の導体パターンを含んでいて、それぞれ、金属箔3a、第1金属膜3b、及び第2金属膜3cによって構成される第1導体層31及び第2導体層32が形成される。第2貫通孔52内に形成されるスルーホール導体4は、第1導体層31又は第2導体層32を形成する第1金属膜3b及び第2金属膜3cで構成される。図示されていないが、第1絶縁層21及び第1導体層31の上、並びに、第2絶縁層22及び第2導体層32の上にソルダーレジストが形成されてもよい。ソルダーレジストは、例えば、感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを、スプレーイングや積層、又は印刷などで供給することによって形成され得る。
【0080】
図5Iに示されるように、ガラス板1の側面1cを覆っている樹脂60及び枠状板7が除去される。例えばルーター加工によって、ガラス板1の側面1cと側面1cを覆う樹脂60との境界に沿って、第1絶縁層21及び第2絶縁層22、並びに、ガラス板1の側面1cを覆っている樹脂60が切断される。絶縁層21及び絶縁層22、並びにガラス板1の側面1cを覆う樹脂60は、ルーター加工に限らず、ローラー刃を用いて切断されてもよく、任意の方法で切断され得る。
【0081】
図5Iの例では、第1絶縁層21及び第2絶縁層22、並びに樹脂60は、ガラス板1の側面1cに沿う切断位置Cで切断されている。切断位置Cは、ガラス板1と、その側面1cを覆う樹脂60との境界面に略一致していてもよく、この境界面よりもガラス板1の内側の位置であってもよい。切断位置Cで第1絶縁層21などを切断することによって、ガラス板1の側面1cが露出する。以上の工程を経ることによって、図1に記載の配線基板100が得られる。
【0082】
図6には、本実施形態の配線基板の製造方法の他の例が示されている。先に図5C及び図5Dを参照しながら説明された第1絶縁層21及び第2絶縁層22の形成工程では、補強材2aに含侵された樹脂20が、シート状の形態で、第1被覆層61及び第2被覆層62の上に積層された。しかし、本実施形態の配線基板の製造方法では、図6に示されるように、絶縁層21、22の形成において、補強材を含まずにフィルム状に成形された樹脂20が、第1被覆層61及び第2被覆層62の上に積層されてもよい。第1貫通孔11が十分に充填され易いと考えられる。
【0083】
また、先に図5C及び図5Dを参照しながら説明された第1絶縁層21及び第2絶縁層22の形成工程では、樹脂20の上に金属箔3aが積層されていた。しかし、図6に示されるように、金属箔を伴わずにフィルム状の樹脂20だけが、第1被覆層61及び第2被覆層62の上に積層されてもよい。第1導体層31及び第2導体層32(図5H参照)においてファインピッチの配線パターンの形成が容易なことがある。
【0084】
図7A及び図7Bを参照して、本発明の他の実施形態の配線基板の製造方法が説明される。図7A及び図7Bには、他の実施形態の配線基板の製造方法による一部の工程における配線基板の一例が示されている。図7A及び図7Bに工程の一部が示される本実施形態の配線基板の製造方法によって、例えば、先に参照された図4に示される配線基板400が製造される。
【0085】
本実施形態の配線基板の製造方法においても、先に参照された図5Bに示されるように、それぞれ金属箔3dを備えた第1被覆層61及び第2被覆層62が形成される。図5C図5Iを参照して説明された実施形態では、第1被覆層61及び第2被覆層62の形成後に金属箔3dが除去される。しかし本実施形態では、図7Aに示されるように、金属箔3dは、全て除去されずに所定の領域が残存するように部分的に除去される。部分的に残された金属箔3dによって導体層34及び導体層35が形成される。すなわち金属箔3dは、導体層34及び導体層35が所定の導体パターンを含むようにパターニングされる。このように実施形態の配線基板の製造方法は、金属箔3dをパターニングすることを含んでいてもよい。金属箔3dは、例えば、エッチングなどの任意の方法によってパターニングされる。
【0086】
金属箔3dのパターニング後、図7Bに示されるように、例えば図5C及び図5Dを参照して説明された方法と同様の方法で、第1絶縁層21及び第2絶縁層22が形成される。図7Bには、先に参照された図6に示される例と同様に、金属箔が積層されず、且つ、第1及び第2の絶縁層21、22が補強材を含まない例が示されている。
【0087】
第2貫通孔52が、図5Eを参照して説明された方法と同様の方法で形成された後、又はその前に、ビア導体43(図4参照)の形成位置に開口43aが形成される。例えば炭酸ガスレーザーによるレーザー光の照射によって、第1絶縁層21及び第2絶縁像22それぞれに、開口43aが形成される。その後、例えば図5F図5Hを参照して説明された方法で、第1導体層31、第2導体層32、及びスルーホール導体4が形成される。第1及び第2の導体層31、32の形成の際に、第1金続膜3b及び第2金属膜3c(図5H参照)で開口43aが充填され、開口43a内にビア導体43が形成される。その後、図5Iを参照して説明された方法で、第1及び第2の絶縁層21、22並びにガラス板1の側面1cを覆う樹脂60、及び枠状板7が除去される。その結果、図4に示される配線基板400が得られる。
【0088】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。前述したように、実施形態の配線基板は任意の積層構造を有し得る。実施形態の配線基板は、少なくとも、ガラスで構成されるコア層と、コア層の両側それぞれに形成されている1組以上の絶縁層及び導体層とを備えていれば、それ以上の任意の数の導体層及び絶縁層を含み得る。第1貫通孔、第2貫通孔、及びスルーホール導体は、図1及び図3に示される形状以外の任意の断面形状を有し得る。例えば、第1貫通孔及び/又は第2貫通孔は、コア層の片側からのレーザー光の照射によって形成されてもよく、一方の端部から他方の端部まで一貫して先細るテーパー形状を有していてもよい。また第1貫通孔の幅は、Z方向における略中央部においてもっとも小さな幅を有していてもよく、この中央部に最も幅の小さな箇所(くびれ)を有していてもよい。さらに、ガラスで構成されるコア層の側面は、例えば各被覆層を構成する樹脂によって覆われていてもよい。
【0089】
実施形態の配線基板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されない。例えば、被覆材に覆われたガラス板の用意の際に、補強材を含まない樹脂シートがガラス板の上に積層されて、各被覆層が形成されてもよい。その樹脂シートの上に金属箔が積層されなくてもよい。前述したように、各導体層は任意の方法で形成され得る。実施形態の配線基板の製造方法には、前述された各工程以外に任意の工程が追加されてもよく、前述された工程のうちの一部が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
100、200、300、400 配線基板
1 コア層(絶縁層、ガラス板)
1a 第1面
1b 第2面
1c 側面
11 第1貫通孔
20 樹脂
21 第1絶縁層
22 第2絶縁層
31 第1導体層
32 第2導体層
3a、3d 金属箔
4、4a スルーホール導体
5 樹脂充填体
52 第2貫通孔
60 樹脂
600 樹脂シート
60a 一面
601 被覆材
61 第1被覆層
62 第2被覆層
6a、2a、73 補強材
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図6
図7A
図7B