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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079642
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】注射針の廃棄用容器
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
A61G12/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193202
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】591240685
【氏名又は名称】ハクゾウメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(74)【代理人】
【識別番号】100146503
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】藤本 賢二
(72)【発明者】
【氏名】三溝 祥敬
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341JJ01
4C341LL19
4C341LL24
(57)【要約】
【課題】 外蓋を迅速に開閉できながら、開き状態の外蓋が不測に閉じる虞も少なく、さらに針外し孔へのアクセスも良好な注射針の廃棄用容器を提供すること。
【解決手段】覆い部42の前方側に針外し孔53を設けてあり、上蓋60は板状で屈曲可能に互いにヒンジ接続される第一分割体及61び第二分割体62を備え、第二分割体62の一端は中蓋後部に揺動可能に支持され、第一分割体61は中蓋に形成された横溝46を摺動可能に可動ピン66で支持される。第一、第二分割体が伸長することで覆い部及び中開口を塞ぎ、第一、第二分割体をヒンジ接続部で屈曲させることで蓋を開き、第一、第二分割体は付勢手段64で伸長側に付勢される。横溝の終端に形成された縦溝47に可動ピンが嵌合して開き状態で保持され、第一分割体61を押すことで縦溝47から可動ピン66が離脱して付勢手段64により蓋が閉じ状態となる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に下開口を有する容器本体、中蓋、上蓋を備え、前記下開口の一部を覆う中蓋の覆い部及び中蓋に設けられ前記下開口に連通する中開口は前記上蓋により塞がれるものであり、前記覆い部に針外し孔を設けてある注射針の廃棄用容器であって、
前記覆い部の前方側に前記針外し孔を設けてあり、前記上蓋は板状で屈曲可能に互いにヒンジ接続される第一分割体及び第二分割体を備え、前記第二分割体の一端は中蓋後部に揺動可能に支持され、前記第一分割体は中蓋に形成された横溝を摺動可能に可動ピンで支持され、前記第一、第二分割体が伸長することで前記覆い部及び前記中開口を塞ぎ、前記第一、第二分割体をヒンジ接続部で屈曲させることで蓋を開き、前記第一、第二分割体は付勢手段で伸長側に付勢され、前記横溝の終端に形成された縦溝に前記可動ピンが嵌合して開き状態で保持され、前記第一分割体を押すことで前記縦溝から前記可動ピンが離脱して前記付勢手段により蓋が閉じ状態となる注射針の廃棄用容器。
【請求項2】
前記第一分割体の前記可動ピン及び前記ヒンジ接続部の間の第一リンク長は前記第二分割体の前記揺動の軸と前記ヒンジ接続部の間の第二リンク長に比較して前記伸長の方向に対し短く形成してある請求項1記載の注射針の廃棄用容器。
【請求項3】
前記上蓋と前記覆い部との間で前記可動ピン及び前記揺動の軸の中間位置に固定手段を設けてある請求項1又は2記載の注射針の廃棄用容器。
【請求項4】
前記伸長の方向に沿う全体の縦幅を全体の横幅よりも長く形成してあり、前記中開口は前記針外し孔と横幅方向に並べ且つ前記伸長の方向に向けて形成してある請求項1~3のいずれかに記載の注射針の廃棄用容器。
【請求項5】
前記容器本体の前面に前面表示手段を設けてあり、前記中蓋と前記容器本体との間に嵌合手段を設けてあり、この篏合手段は、前記容器本体の前後及び又は左右で非対称に形成してある請求項1~4のいずれかに記載の注射針の廃棄用容器。
【請求項6】
前記中蓋の前記横溝及び縦溝近傍は少なくとも前記容器本体の内面と離隔して篏合され、前記嵌合手段の篏合により前記容器本体に対する前記中蓋の幅方向の移動が規制されている請求項1~5のいずれかに記載の注射針の廃棄用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射針の廃棄用容器に関する。さらに詳しくは、上部に下開口を有する容器本体、中蓋、上蓋を備え、前記下開口の一部を覆う中蓋の覆い部及び中蓋に設けられ前記下開口に連通する中開口は前記上蓋により塞がれるものであり、前記覆い部に針外し孔を設けてある注射針の廃棄用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の如き注射針の廃棄用容器としては、例えば次の特許文献1,2の如きものが知られている。特許文献1においては、容器本体110の上に投入口122xの形成された内蓋部122が嵌合され、内蓋部の上部に設けられた注射針の分離構造1はヒンジで開閉する外蓋部123により投入口122xと共に封止される構造となっている。注射針の分離構造1は、針刺し事故を防ぎ医療用廃棄物の容積を減らすために、注射器から注射針を分離して容器内に回収し、外蓋部123を閉じて容器全体が廃棄されることとなる。
【0003】
投入口122xは他の鋭利物のついた廃棄物を廃棄する際のアクセスの容易性から手前に開口されており、外蓋部123を閉じるにはこれを手で把持してヒンジ部分を揺動させて閉じる必要があった。
【0004】
上述のような構造によれば、注射針の分離構造1は外蓋部123のヒンジに近い奥に設けられていること、及び、外蓋部123の開閉はここを把持する必要があるため、例えば医療用ワゴンの上段はサイド等、操作しやすい場所に設置する必要がある。しかし、そのような操作しやすい場所に設置すると、転倒し落下する場合のリスクが懸念され、さらに、構造上の制約から、ワゴンの下段に設置して利用することは困難である。特許文献2についても特許文献1と同様の基本構造であり、同様の課題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017- 80096号公報
【特許文献2】特開2018-166647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、外蓋を迅速に開閉できながら、開き状態の外蓋が不測に閉じる虞も少なく、さらに針外し孔へのアクセスも良好な注射針の廃棄用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る注射針の廃棄用容器の特徴は、上部に下開口を有する容器本体、中蓋、上蓋を備え、前記下開口の一部を覆う中蓋の覆い部及び中蓋に設けられ前記下開口に連通する中開口は前記上蓋により塞がれるものであり、前記覆い部に針外し孔を設けてある構成であって、前記覆い部の前方側に前記針外し孔を設けてあり、前記上蓋は板状で屈曲可能に互いにヒンジ接続される第一分割体及び第二分割体を備え、前記第二分割体の一端は中蓋後部に揺動可能に支持され、前記第一分割体は中蓋に形成された横溝を摺動可能に可動ピンで支持され、前記第一、第二分割体が伸長することで前記覆い部及び前記中開口を塞ぎ、前記第一、第二分割体をヒンジ接続部で屈曲させることで蓋を開き、前記第一、第二分割体は付勢手段で伸長側に付勢され、前記横溝の終端に形成された縦溝に前記可動ピンが嵌合して開き状態で保持され、前記第一分割体を押すことで前記縦溝から前記可動ピンが離脱して前記付勢手段により蓋が閉じ状態となることにある。
【0008】
同特徴によれば、第一分割体の手指のスライド操作で上蓋を簡単に開き状態とすることができ、また、第一分割体を少し押して縦溝から可動ピンを離脱させることで、付勢手段で伸長側に付勢されて上蓋を閉じることができる。これらの開閉操作は片手で僅かの操作で可能であり、医療施術を妨げずに廃棄用容器の不測の転倒に対応し得る。しかも、覆い部の前方側に針外し孔を設けてあるので、この針外し孔は後方に移動する第一分割体から離れることとなる。したがって、針外し孔を利用した針外し時に、手指が第一分割体に触れて上蓋が不測に閉じる虞が低減される。中開口には他の廃棄物が投入される。上蓋の開き状態において、第一、第二分割体が折り畳まれて上蓋が廃棄用容器全体の周囲方向に飛び出さないので、蓋への接触で廃棄用容器全体の転倒の虞が減り、また、第一分割体が起立し、前方より上蓋の開き状態が明確に視認できる。
【0009】
上記特徴において、前記第一分割体の前記可動ピン及び前記ヒンジ接続部の間の第一リンク長は前記第二分割体の前記揺動の軸と前記ヒンジ接続部の間の第二リンク長に比較して前記伸長の方向に対し短く形成するとよい。第一リンク長が第二リンク長より短ければ、上蓋の開き状態において、第一分割体が後ろ側に移動するにもかかわらず、より垂直状態に近く起立し、前方より上蓋の開き状態がより明確に視認できるからである。
【0010】
また、前記上蓋と前記覆い部との間で前記可動ピン及び前記揺動の軸の中間位置に固定手段を設けるとよい。上記固定手段を利用して固定すれば、上蓋のスライドが規制され、前記可動ピン、前記揺動の軸及びこの固定手段の3部位で前記上蓋が閉じられるので、上蓋の固定が強固で針の廃棄時に有益である。一方、この固定手段を利用しなければ、前記可動ピンのスライドで、上蓋の開閉が簡易迅速に行える。
【0011】
さらに、前記伸長の方向に沿う全体の縦幅を全体の横幅よりも長く形成してあり、前記中開口は前記針外し孔と横幅方向に並べ且つ前記伸長の方向に向けて形成するとよい。縦幅を横幅より長く形成することで、上述の可動ピンのストロークが長くなり、針外し孔は後方に移動する第一分割体からさらに離れることとなる。したがって、針外し孔を利用した針外し時に、手指が第一分割体に触れて上蓋が不測に閉じる虞がさらに低減される。しかも、中開口は針外し孔と横幅方向に並べ且つ伸長の方向に向けて形成してあるので、前方から廃棄物を中開口に投入しやすくなる。
【0012】
前記容器本体の前面に前面表示手段を設けてあり、前記中蓋と前記容器本体との間に嵌合手段を設けてあり、この嵌合手段は、前記本体の前後及び又は左右で非対称に形成してもよい。嵌合手段を非対称に形成することで、前後を間違えることがなく容器本体と中蓋とを嵌合でき、上蓋の閉じ状態で前後間違い設置による施術の妨げとなることを防止できる。
【0013】
前記中蓋の前記横溝及び縦溝近傍は少なくとも前記本体部の内面と離隔して嵌合され、前記嵌合手段の嵌合により前記容器本体に対する前記中蓋の幅方向の移動が規制されてもよい。これら横溝及び縦溝は可動ピンが摺動するものであり、容器本体及び中蓋の接触でこれらの摺動が妨げられると、上蓋の開閉が妨げられる。同構成によれば、同摺動は確保され、上蓋の開閉がスムースに維持される。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明に係る注射針の廃棄用容器の特徴によれば、外蓋を迅速に開閉できながら、開き状態の外蓋が不測に閉じる虞も少なく、さらに針外し孔へのアクセスも良好な注射針の廃棄用容器を提供し得るに至った。
【0015】
また、例えば、本発明にかかる廃棄用容器を、転落防止のために医療用ワゴンの下段に設置した場合には、上部前方から上蓋を簡単に開閉でき、開き状態の上蓋は起立して開閉状態が視認しやすくなった。この結果、医療従事者は医療施術を妨げられることなくより安全に注射針を廃棄できるようになった。
【0016】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明にかかる注射針の廃棄用容器の蓋を空けた状態の斜視図である。
図2】(a)は廃棄用容器の平面図、(b)は(a)のA-A断面図、(c)は(a)のB-B断面図である。
図3】(a)は中蓋の平面図、(b)は図3(a)のC-C断面図、(c)は第二針外し孔近傍の上側斜視図、 (d)は第二針外し孔近傍の下側斜視図である。
図4】(a)は図2(a)のD-D断面図、(b)は図2(a)のE-E断面図である。
図5図2(a)のF-F断面図である。
図6】(a)は図2(a)のG-G断面図、(b)は(a)のH-H方向視図である。
図7】廃棄用容器の蓋を締めた状態の斜視図である。
図8】本発明にかかる注射針の廃棄用容器を医療用ラックに収めた状態を示す斜視図である。
図9】(a)は前凹部26、前凸部57の構成を示す容器本体20の上面及び中蓋40の下面の写真、(b)は,後凹部27、後凸部58の構成を示す容器本体20の上面及び中蓋40の下面の写真である。
図10】本発明にかかる注射針の廃棄用容器の別実施形態における上蓋を開いた状態の平面図である。
図11】本発明にかかる注射針の廃棄用容器の正面図である(背面図は正面図と同一にあらわれるため省略する。)。
図12図11の廃棄用容器の右側面図である(左側面図は右側面図と対称にあらわれるため省略する。)。
図13図11の廃棄用容器の平面図である。
図14図11の廃棄用容器の底面図である。
図15図11の廃棄用容器の上蓋を空けた状態の正面図である。
図16図11の廃棄用容器の上蓋を空けた状態の背面図である。
図17図11の廃棄用容器の上蓋を空けた状態の右側面図である。
図18図11の廃棄用容器の上蓋を空けた状態の平面図である。
図19図11の廃棄用容器の上蓋を空けた状態の参考斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、適宜添付図面の図1~9を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明に係る注射針の廃棄用容器1は、図1~3,7に示すように、容器本体20、中蓋40、上蓋60を備える。容器本体20は、上部に下開口21を有する。この下開口21の一部を覆う中蓋40の覆い部42及び中蓋40に設けられ下開口21に連通する中開口43は上蓋60により塞がれる。そして、覆い部42に針外し孔53を設けてある。
【0019】
容器本体20は、図1,4,5,7,9に示すように、全体が直方体で下開口21が上部に形成され、積層可能にテーパー状に形成されている。下開口21の周囲に縁部22と段部23を形成し、底には4個の底脚24を突出させてある。縁部22の前方には後述の中蓋40との位置合わせ用の前突起25を突出させてある。また、縁部22の前方及び後方には、それぞれ一対ずつ嵌合手段Eをなす前凹部26,26、後凹部27,27を形成してある。一対の前凹部26,26間と、一対の後凹部27,27間の間隔はそれぞれ異なり(図9(a)の写真で示す一対の前凹部26,26間は、図9(b)の写真で示す一対の後凹部27,27間の間隔よりも広く形成されている。)、中蓋40との嵌め合いで前後方向の組み合わせ違いを防ぎ、また、上蓋60の伸長方向Xに直交する横方向Yへの移動を規制する。
【0020】
縁部22の前後にはハンドル33との嵌合する穴部28、28が設けられ、底の前方には底凹部29を形成してある。伸長方向Xの中間部の左右には先の段部23につなげて縦溝30,30がそれぞれ設けられている。また、容器本体の前面には前方である旨を表示するためのラベル等の前面表示手段31を設けてある。
【0021】
ハンドル33は、先の前後の穴部28,28に嵌合する軸33a,33aを前後に有し、中間部が把持部33bとなっている。軸33aを中心とする揺動で、把持時には上に位置し、上蓋の解放時には側面に移動する。
【0022】
中蓋40は、図1~5に示すように、先の縁部22に嵌合する環状の縁部41と、この縁部の内側で縁部よりも下方の位置で前記下開口21を覆う覆い部42を設け、その中央に伸長方向に沿って先の下開口21に連通する中開口43を形成してある。
【0023】
中開口43は一対の中フラップ44,44を横方向Yに分離させてヒンジ部44aで取り付け、軸44b周りで揺動する。転倒時には中フラップ44,44が上部に揺動して中開口43を閉じることで廃棄針の飛び出しを防ぐ。
【0024】
縁部41の4隅にはそれぞれ角孔45を設けてあり、その4隅内にそれぞれ容器本体20の縁部22に係止して中蓋40を容器本体20に固定する角係止部45aを設けてある。中蓋の横方向Yの両側における縁部41と覆い部42の間には、前記伸長方向Xに沿って横溝46を設け、さらにその後ろ側終端近傍に上下方向の縦溝47を連通して設けてある。中蓋40の下部には4隅に中脚48を設けてある。さらに、前後の縁部41には先の軸33aを通す切欠49を設けてある。
【0025】
覆い部42の横方向Yの両側で伸長方向Xの後部側には、それぞれ、中隆起部50,50を設けてあり、それぞれに固定手段Hの嵌合孔51を形成してある。覆い部42の横方向Yの両側で伸長方向Xの前部側には、それぞれ、針外し孔53,53を設けてある。
【0026】
針外し孔53のうち正面右手の第一針外し孔54は、汎用注射器101の注射器本体102から注射針103を取り外すためのものである。中央の挿入孔54aから注射針103を挿入し、圧入針外し部54bまたは螺合針外し部54cに水平移動させて選択的に針を外す。圧入針外し部54bでは、傾斜片54dの拡大傾斜を注射器本体102と注射針103との間に強制的に介入させて、圧入された注射針103を外す。一方、螺合針外し部54cでは、螺合された注射針103を段部に係止して相対回転させ、取り外す。針外し孔53のうち正面左手の第二針外し孔55は、インスリン注射器111の注射器本体112から螺合された注射針113を取り外すものである。挿入孔55aの周部に注射針113の周部に形成されたロレットに係合する大突出部55bと、これを2箇所から支える小突出部55c,55cとを有している。
【0027】
図1~5,9に示すように、縁部41の前方には、前孔56を形成してあり、容器本体20の前突起25と嵌合することで、前後の嵌合間違いを防止する。縁部41の下側の前方及び後方には、それぞれ一対ずつ嵌合手段Eをなす前凸部57,57、後凸部58,58が形成してあり、それぞれが先の前凹部26,26、後凹部27,27に嵌合し、前後の嵌合間違いを嵌合手段Eが同様に防止する。覆い部42の中開口43周囲の4箇所には、ヒンジ孔59を有する垂下部59aを形成し、先の中フラップ44の軸44bを揺動可能に受け止めている。
【0028】
上蓋60は、、図1,2,4~7に示すように、板状で屈曲可能に互いにヒンジ接続部63でヒンジ接続される第一分割体61及び第二分割体62を備える。第二分割体62の一端は中蓋40後部に左右一対の支持軸65,65で揺動可能に支持され、第一分割体61は中蓋に形成された左右一対の横溝46,46を摺動可能に左右一対の可動ピン66,66で支持される。
【0029】
第一、第二分割体61,62が伸長することで覆い部42及び中開口43を塞ぎ、第一、第二分割体61,62をヒンジ接続部63で屈曲させることで上蓋60を開く。第一第、二分割体61,62は付勢手段64で伸長側に付勢される。横溝47の終端に形成された縦溝30,47に可動ピン66が嵌合して開き状態で保持される。操作部69の凹部69b及び突起部69aに指を掛け、第一分割体61を押すことで縦溝30,47から可動ピン66が離脱して付勢手段64により上蓋60が閉じ状態となる。
【0030】
図4,6により、ヒンジ接続部63とねじりコイルばねである付勢手段64との関係をさらに詳述するが、これら両部材63,64は上蓋60の左右両側に一対設けられている。第一分割体61は第一ボス61aから内側にヒンジ軸61bを突出させている。第二分割体62はスリット62c,スリット62dをそれぞれ有する第二小ボス62a,第二大ボス62bを備え、第二小ボス62a及び第二大ボス62b間に付勢手段64コイル部64aを位置させ挿通するヒンジ軸61bを第二小ボス62a及び第二大ボス62bに嵌合させてある。付勢手段64の第一脚部64b,第二脚部64cはそれぞれ第一、第二分割体61,62の下面に付勢状態で接当し、上蓋60を伸長方向Xに付勢する。
【0031】
図1~3に示すように、嵌合手段Eの嵌合により中蓋40の横溝46及び縦溝47近傍は少なくとも容器本体20の内面と離隔して嵌合され、容器本体20に対する中蓋40の幅方向の移動が規制されている。これにより、上蓋60の可動ピン66の摺動がスムースに維持されることとなる。
【0032】
図1~3に示すように、第二分割体62と中隆起部50との間には、これらの固定手段Hを設けてある。第二分割体62の左右両側にはそれぞれ、膨大部71aを下方に突出させ、付勢部72で膨大部71aを上方位置に保持し、押し込みで膨大部71aを下方で支持する嵌合体71を設けてある。膨大部71aは通常の上蓋60の開閉時では機能せず、上蓋60の閉じ時に嵌合体71の上端を押し込んで膨大部71aの嵌合孔51に嵌合させた状態で機能し、この固定状態が保持される。
【0033】
この固定手段Hの嵌合孔51等は、例えば図2の符合H’の位置に示すように、上蓋60と覆い部42との間で可動ピン66及び揺動の軸の中間位置に設ければよい。但し、第二分割体62の下方位置に設けることで、針外し孔53や中開口43を前方に位置させることが可能となる利点がある。
【0034】
第一分割体61の可動ピン66及びヒンジ接続部63の間の第一リンク長L1は第二分割体62の揺動の軸である支持軸65とヒンジ接続部63の間の第二リンク長L2に比較して伸長方向Xに対し短く形成してある。これにより、上蓋60の開き時において、第一分割体61がより直立に起立し、前方からの上蓋開き状態の視認性が向上する。
【0035】
廃棄用容器1の各部材は異なる色の樹脂で形成されており、上蓋60は黄色の半透明、中蓋40は白の半透明、本体20は黄色の不透明の樹脂がそれぞれ使用されている。中蓋40と上蓋60の色が違うので、上蓋60が開いていると、中蓋40の白の半透明部分の露出面積が大きく、上蓋60が開き状態であることの認識が容易となっている。すなわち、上蓋60と中蓋40(特に中蓋の覆い部42)との色を異ならせると、上蓋60の開き状態が認識し易くなる。
【0036】
図1、2,4,5に示すように、本廃棄用容器1は、複数個の積み重ねのための構造を有している。中蓋40の下部に中蓋40を平面から浮かせて支持する円弧状の中脚48を4箇所突出させてある。また、上蓋60の上面に他の中蓋の中脚48に嵌合可能な第一凹部67を4箇所形成してある。さらに、上蓋60の上面に他の容器の脚部24に嵌合可能な第二凹部68を4箇所形成してある。廃棄用容器1の運搬時には、容器本体20を複数積み重ねると共に、中蓋40及び上蓋60の組み合わせ体を中脚48及び第一凹部67を利用して複数積み重ねる。一方、廃棄用容器1の廃棄時には、複数の同容器を底脚24及び第二凹部68を利用して複数積み重ねる。
【0037】
注射針の廃棄用容器1の使用に際しては、図8に示すように、例えば、医療用ワゴン200の下段201に前面表示手段31を前面側として配置する。一対の針外し孔53(第一針外し孔54、第二針外し孔55)が前方に配置され、また、中開口43も前方に解放されているため、注射針等の廃棄操作が極めて行いやすい。これらの操作は上段202の存在でも妨げられず、また、上蓋60の第一分割体61が直立して上蓋60の開状態が目視方向Vより確認しやすくなっている。伸長方向Xに沿う全体の縦幅を横方向Y側の全体の横幅よりも長く形成してあるので、手指が第一分割体61に触れて上蓋が不測に閉じる虞がさらに低減される。
【0038】
図1,6,8に示すように、上蓋60を閉じるときは、第一分割体61のいずれかの部位を軽く押して先の縦溝30,47と可動ピン66との嵌合を解けば、付勢手段64により上蓋60は伸長して閉状態となる。不測に廃棄用容器1が転倒しても、先のフラップ44が閉じ、また、上蓋60の閉状態は付勢手段64の付勢力により維持されるため、針の不測の飛び出しを防止できる可能性が向上する。先の縦溝30,47は中蓋40のみに設けるほか、中蓋40及び容器本体20の双方に設けても良く、後者の場合はより保持が確実となる。
【0039】
図1,2,3,7に示すように、廃棄用容器1全体の廃棄の場合は、まず、上蓋60を伸長させて中蓋40の開口を閉じる。そして、固定手段Hの嵌合体71の上端を付勢部72の反発に抗して押し込み、膨大部71aを中隆起部50の嵌合孔51に嵌合して固定させる。この状態で、上蓋60の第二分割体62は水平方向にも垂直方向にも移動を規制され、先の固定軸65及び可動ピン66と中蓋40との嵌め合いも相まって、上蓋60の不測の開きは防止される。この状態で、先の底脚24と第二凹部68とを利用して、廃棄用容器1を複数積み上げて廃棄することが可能となる。
【0040】
以下に、本発明の別実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態と同様の部材には同様の符号を附してある。
【0041】
上記第一実施形態では、伸長方向Xに沿う全体の縦幅を横方向Yの全体の横幅よりも長く形成し、中開口は前記針外し孔と横幅方向に並べ且つ伸長方向に向けて形成した。しかし、図10に示すように、伸横方向Yの全体の横幅を伸長方向Xに沿う全体の縦幅よりも長く形成してもよい。この場合、さらに針外し孔53(第一針外し孔54、第二針外し孔55)を前方に配置できる利点がある。
【0042】
図11以降に本発明にかかる注射針の廃棄用容器1の意匠を表記する。図中実線で示した部分が意匠として保護を求める部分である。但し、実線部分と破線部分とは適宜変更が可能であるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、主として医療用の注射針の廃棄用容器として利用することができる。医療用以外の産業用用途においても適用が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1:注射針の廃棄用容器、20:容器本体、21:下開口、22:縁部、23:段部、24:底脚、25:前突起、26:前凹部、27:後凹部、28:穴部、29:底凹部、30:縦溝,31:前面表示手段、33:ハンドル、33a:軸、33b:把持部、40:中蓋、41:縁部、42:覆い部、43:中開口、44:中フラップ、44a:ヒンジ部、44b:軸、45:角孔、45a:角係止部、46:横溝、47:縦溝、48:中脚、49:切欠、50:中隆起部、51:嵌合孔、53:針外し孔、54:第一針外し孔、54a:挿入孔、54b:圧入針外し部、54c:螺合針外し部、54d:傾斜片、55:第二針外し孔、55a:挿入孔、55b:大突出部、55c:小突出部、56:前孔、57:前凸部、58:後凸部、59:ヒンジ孔、59a:垂下部、60:上蓋、61:第一分割体、61a:第一ボス、61b:ヒンジ軸、62:第二分割体、62a:第二小ボス、62b:第二大ボス、62c:スリット、62d:スリット、63:ヒンジ接続部、64:付勢手段、64a:コイル部、64b:第一脚部、64c:第二脚部、65:支持軸、66:可動ピン、67:第一凹部、68:第二凹部、69:操作部、69a:突起部、69b:凹部、71:嵌合体、71a:膨大部、72:付勢部、101:汎用注射器、102:注射器本体、103:注射針、111:インスリン注射器、112:注射器本体、113:注射針、200:医療用ワゴン、201:下段、202:上段、E:嵌合手段、H:固定手段、V:目視方向、L1:第一リンク長、L2:第二リンク長、X:伸長方向、Y:横方向
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