(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079644
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】遮光部材、ヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20230601BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193205
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 順
(72)【発明者】
【氏名】大塚 嘉由紀
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA42
2H199CA70
2H199CA86
2H199CA97
(57)【要約】
【課題】眼鏡Gの姿勢を安定させる遮光部材230を提供する。
【解決手段】HMD1を装着したユーザの眼に入射される外光を低減する遮光部材であって、ユーザの鼻を収容する空間を形成する前部235F、右部235R、及び左部235Lを含む鼻収容部235を有し、右部235Rは、右方に向かうに従い下方に下がるように傾斜すると共に、ユーザが掛けている眼鏡Gの右レンズ縁GRの内側部GR1の少なくとも一部に弾性的に接触する右傾斜面235R2Cを含み、左部235Lは、左方に向かうに従い下方に下がるように傾斜すると共に、ユーザが掛けている眼鏡Gの左レンズ縁FLの内側部GL1の少なくとも一部に弾性的に接触する左傾斜面235L2Cを含む。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザの眼に入射される外光を低減する遮光部材であって、
前記ユーザの鼻を収容する空間を形成する前部、右部、及び左部を含む鼻収容部を有し、
前記右部は、右方に向かうに従い下方に下がるように傾斜すると共に、前記ユーザが掛けている眼鏡の右レンズ縁の内側部の少なくとも一部に弾性的に接触する右傾斜部を含み、
前記左部は、左方に向かうに従い下方に下がるように傾斜すると共に、前記ユーザが掛けている眼鏡の左レンズ縁の内側部の少なくとも一部に弾性的に接触する左傾斜部を含む、
遮光部材。
【請求項2】
前記右傾斜部は、第1の右傾斜部と、前記第1の右傾斜部の下方に位置すると共に、前記第1の右傾斜部よりも傾斜が緩やかな第2の右傾斜部を含み、
前記左傾斜部は、第1の左傾斜部と、前記第1の左傾斜部の下方に位置すると共に、前記第1の左傾斜部よりも傾斜が緩やかな第2の左傾斜部を含む、
請求項1に記載の遮光部材。
【請求項3】
前記右傾斜部は、少なくとも一部に左方に窪む形状を含み、
前記左傾斜部は、少なくとも一部に右方に窪む形状を含む、
請求項1又は2に記載の遮光部材。
【請求項4】
前記右部は、前記鼻収容部と前記ユーザの鼻との隙間を通じて前記ユーザの眼に入射される外光を低減するように左方に延びる第1の右遮光部を含み、
前記左部は、前記鼻収容部と前記ユーザの鼻との隙間を通じて前記ユーザの眼に入射される外光を低減するように右方に延びる第1の左遮光部を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の遮光部材。
【請求項5】
前記第1の右遮光部は、左方に向かうに従い前方に向けて延伸しており、
前記第1の左遮光部は、右方に向かうに従い前方に向けて延伸している、
請求項4に記載の遮光部材。
【請求項6】
前記右部は、前記鼻収容部と前記ユーザの鼻との隙間を通じて前記ユーザの眼に入射される外光を低減するように左方に延びると共に、前記第1の右遮光部よりも前方に配置される第2の右遮光部を含み、
前記左部は、前記鼻収容部と前記ユーザの鼻との隙間を通じて前記ユーザの眼に入射される外光を低減するように右方に延びると共に、前記第1の左遮光部よりも前方に配置される第2の左遮光部を含む、
請求項4又は5に記載の遮光部材。
【請求項7】
前記第1の右遮光部の上縁は、右方に向かうに従い下方に下がるように傾斜しており、
前記第1の左遮光部の上縁は、左方に向かうに従い下方に下がるように傾斜している、
請求項4~6のいずれか1項に記載の遮光部材。
【請求項8】
前記ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザの眼の周辺に接触すると共に、接触圧に応じて弾性変形する遮光壁を含み、
前記遮光壁は、前記ユーザが掛けている眼鏡の右テンプルの少なくとも一部に弾性的に接触する右接触部と、前記ユーザが掛けている眼鏡の左テンプルの少なくとも一部に弾性的に接触する左接触部を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の遮光部材。
【請求項9】
前記右接触部は、前記遮光壁に形成される右凹部の底面を含み、
前記左接触部は、前記遮光壁に形成される左凹部の底面を含む、
請求項8に記載の遮光部材。
【請求項10】
前記鼻収容部は、前記遮光壁の下部において前記遮光壁と一体に構成される、
請求項8又は9に記載の遮光部材。
【請求項11】
ハウジングと、該ハウジングから後方に延びており、ユーザの頭部に装着される装着バンドと、ユーザの眼に入射される外光を低減する遮光部材と、を含むヘッドマウントディスプレイであって、
前記遮光部材は、
前記ユーザの鼻を収容する空間を形成する前部、右部、及び左部を含む鼻収容部を有し、
前記右部は、右方に向かうに従い下方に下がるように傾斜すると共に、前記ユーザが掛けている眼鏡の右レンズ縁の内側部の少なくとも一部に弾性的に接触する右傾斜部を含み、
前記左部は、左方に向かうに従い下方に下がるように傾斜すると共に、前記ユーザが掛けている眼鏡の左レンズ縁の内側部の少なくとも一部に弾性的に接触する左傾斜部を含む、
ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項12】
前記遮光部材は、前記ハウジングに取り付けられる取り付け部と、該取り付け部から後方に突出する遮光壁とを含み、
前記鼻収容部の少なくとも一部は、前記取り付け部よりも前方に位置しており、
前記ハウジングは、前記鼻収容部のうち前記取り付け部よりも前方に位置する部分が配置される凹部を含む、
請求項11に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光部材、及びヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイにおいては、例えば、特許文献1に開示されるように、ユーザの眼に入射される外光を低減する遮光部材(ライトシールドと称されることもある)を備えるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、遮光部材を備えるヘッドマウントディスプレイを、ユーザが眼鏡を掛けた状態で使用する場合、眼鏡の姿勢が不安定になる場合がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的の1つは、眼鏡の姿勢を安定させる遮光部材、及びヘッドマウントディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示で提案する遮光部材の一例は、ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザの眼に入射される外光を低減する遮光部材であって、前記ユーザの鼻を収容する空間を形成する前部、右部、及び左部を含む鼻収容部を有し、前記右部は、右方に向かうに従い下方に下がるように傾斜すると共に、前記ユーザが掛けている眼鏡の右レンズ縁の内側部の少なくとも一部に弾性的に接触する右傾斜部を含み、前記左部は、左方に向かうに従い下方に下がるように傾斜すると共に、前記ユーザが掛けている眼鏡の左レンズ縁の内側部の少なくとも一部に弾性的に接触する左傾斜部を含む。
【0007】
本開示で提案するヘッドマウントディスプレイの一例は、ハウジングと、該ハウジングから後方に延びており、ユーザの頭部に装着される装着バンドと、ユーザの眼に入射される外光を低減する遮光部材と、を含むヘッドマウントディスプレイであって、前記遮光部材は、前記ユーザの鼻を収容する空間を形成する前部、右部、及び左部を含む鼻収容部を有し、前記右部は、右方に向かうに従い下方に下がるように傾斜すると共に、前記ユーザが掛けている眼鏡の右レンズ縁の内側部の少なくとも一部に弾性的に接触する右傾斜部を含み、前記左部は、左方に向かうに従い下方に下がるように傾斜すると共に、前記ユーザが掛けている眼鏡の左レンズ縁の内側部の少なくとも一部に弾性的に接触する右傾斜部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態の遮光部材を前方斜めから見た斜視図である。
【
図3】第1実施形態の遮光部材を前方から見た前面図である。
【
図4】第1実施形態の遮光部材を後方斜めから見た斜視図である。
【
図5】第1実施形態の遮光部材を後方から見た後面図である。
【
図6】第1実施形態の遮光部材を上方から見た上面図である。
【
図7】第1実施形態の遮光部材を下方から見た下面図である。
【
図8】第1実施形態の遮光部材を下方斜めから見た斜視図である。
【
図9】第2実施形態の遮光部材が取り付けられたヘッドマウントディスプレイの一部を後方から見た後面図である。
【
図10】第2実施形態の遮光部材が取り付けられたヘッドマウントディスプレイを後方斜めから見た斜視図である。
【
図11】第2実施形態の遮光部材を下方斜めから見た斜視図である。
【
図12】第2実施形態の鼻収容部の形状の詳細を説明する拡大図である。
【
図13】第2実施形態の遮光部材が取り付けられたヘッドマウントディスプレイの一部と、ユーザが掛けている眼鏡を後方から見た後面図である。
【
図14】第2実施形態の遮光部材が取り付けられたヘッドマウントディスプレイと、ユーザが掛けている眼鏡を後方斜めから見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、図中のX1及びX2が示す方向をそれぞれ右方及び左方とし、図中のY1及びY2が示す方向をそれぞれ前方及び後方とし、図中のZ1及びZ2が示す方向をそれぞれ上方及び下方とする。これら各方向は、ヘッドマウントディスプレイ1を装着したユーザから見た方向を示している。また、以下の説明では、ヘッドマウントディスプレイ1をHMD(Head Mounted Display)1と称する。
【0010】
[HMD1の全体構成の概要]
図1は、第1実施形態に係るHMDの全体構成を示す斜視図である。
図1に示すように、HMD1は、装置本体10と、装着バンド20とを有している。
【0011】
装着バンド20は、装置本体10から後方に延びている。HMD1の使用時、装着バンド20はユーザの頭部を取り囲む。装着バンド20は、環状であり、その内側にユーザの頭部が配置されるとよい。
【0012】
装置本体10は、少なくとも、ディスプレイ11と、右レンズ12R及び左レンズ12L(
図6参照)と、ディスプレイ11、右レンズ12R、及び左レンズ12Lを収容すると共に、装置本体10の外観を構成するハウジング10aと、を有している。HMD1の一例では、ディスプレイ11は三次元映像を表示する。ただし、これに限られるものではなく、ディスプレイ11が表示する映像は二次元映像でもよい。ディスプレイ11は、例えば、液晶表示装置や有機エレクトロルミネセンス表示装置であるとよいが、その種類は特に限定されない。HMD1の使用時、装置本体10はユーザの眼前を覆う。ハウジング10aは、例えば、樹脂製であるとよい。
【0013】
なお、第1実施形態においては、ハウジング10aが、ディスプレイを内蔵する例について説明するが、これに限られるものではない。例えば、携帯端末を装置本体10に収容し、収容した携帯端末のディスプレイからの画像光をユーザの眼に導く構成としてもよい。この場合、携帯端末としては、例えば、スマートフォンを用いるとよい。
【0014】
装着バンド20は、装置本体10に対して前後方向に相対移動可能に、装置本体10を支持する構成であってもよい。そのような構成とすることで、ユーザの眼と、右レンズ12R及び左レンズ12Lとの距離を調整することができる。また、それに伴い、ユーザの顔面に対する後述の遮光部材30の距離を調整し、ユーザの顔面への接触圧を調整することができる。また、装着バンド20は、ユーザの頭部のサイズに合わせて、長さを調整可能な構造であってもよい。なお、装着バンド20は、ユーザの頭部に装着されると共に、装置本体10を支持するものであればよく、
図1に示す構成に限られるものではない。
【0015】
[遮光部材]
次に、
図2~
図8を参照して、第1実施形態の遮光部材30の詳細について説明する。
図2は、第1実施形態の遮光部材を前方斜めから見た斜視図である。
図3は、第1実施形態の遮光部材を前方から見た前面図である。
図4は、第1実施形態の遮光部材を後方斜めから見た斜視図である。
図5は、第1実施形態の遮光部材を後方から見た後面図である。
図6は、第1実施形態の遮光部材を上方から見た上面図である。
図6においては、装置本体10の内部構造の一部を模式的に示している。
図7は、第1実施形態の遮光部材を下方から見た下面図である。
図8は、第1実施形態の遮光部材を下方斜めから見た斜視図である。
【0016】
遮光部材30は、HMD1を装着したユーザの眼に入射される外光を遮断又は低減するために設けられる部材である。遮光部材30は、弾性を有する樹脂からなるものであるとよい。ただし、遮光部材30は、樹脂からなるものに限らず、例えば、繊維状の材料(スポンジ等)からなるものであってもよい。
【0017】
遮光部材30は、装置本体10のハウジング10aに取り付けられる取り付け部31を含む。取り付け部31は、後方から見た際に、ハウジング10aに収容される右レンズ12R及び左レンズ12Lを囲う環状であるとよい。また、取り付け部31は、ハウジング10aに対して着脱自在に構成されているとよい。例えば、取り付け部31の前部には複数の係止突起が形成されており、それら係止突起が、ハウジング10aに形成される複数の溝にそれぞれ嵌められることにより、遮光部材30がハウジング10aに対して取り付け可能であるとよい。ただし、これに限られるものではなく、取り付け部31は、二色成形やインサート成形により、ハウジング10aに対して固定して形成されていてもよい。
【0018】
また、遮光部材30は、取り付け部31から後方に延びる遮光壁32を含む。遮光壁32は、HMD1を装着したユーザの眼の周辺に接触するように、取り付け部31から後方に延びている。遮光部材30は、遮光壁32を含むことにより、HMD1を装着したユーザの眼に入射される外光を遮光又は減光するという機能を発揮することとなる。なお、取り付け部31と遮光壁32は一体であるとよい。
【0019】
遮光壁32は、上部321、右部322R、及び左部322Lを含む。上部321は、HMD1を装着したユーザの眼の上側に接触する部分である。右部322Rは、HMD1を装着したユーザの右眼の右側に接触する部分である。左部322Lは、HMD1を装着したユーザの左眼の左側に接触する部分である。
【0020】
さらに、遮光壁32は、上部321と右部322Rとを繋ぐ右繋ぎ部325Rと、上部321と左部322Lとを繋ぐ左繋ぎ325Lと、を含む。
【0021】
図6、
図7において、上部321、右部322R、左部322L、右繋ぎ部325R、左繋ぎ部325Lに対応する部分をそれぞれ破線の円で示している。ただし、遮光壁32は1つの部材からなるものであり、各部の境界は厳密に規定されるものではない。
【0022】
また、遮光壁32は、HMD1を装着したユーザの眼の周辺に接触すると共に、接触圧に応じて伸縮変形(弾性変形)する蛇腹を有している。第1実施形態においては、遮光壁32の全周に亘って蛇腹が設けられている例について示す。すなわち、上部321、右部322R、左部322L、右繋ぎ部325R、左繋ぎ部325Lのそれぞれに蛇腹が設けられている例について示している。
【0023】
ここで、蛇腹とは、山条部と谷条部とが交互に形成されてなるものである。第1実施形態においては、4つの山条部M1~M4と、3つの谷条部G1~G3とが交互に形成されてなる蛇腹を示している。なお、図面が煩雑になることを避けるため、山条部及び谷条部の符号は
図5のみに示すこととした。なお、山条部及び谷条部の数は、これに限られるものではなく、図示の例よりも多くてもよいし少なくてもよい。山条部及び谷条部の数を多くすることにより、遮光壁32の伸縮性をより向上できる一方で、山条部及び谷条部の数を少なくすることにより、遮光壁32の構成を簡易にすることができる。
【0024】
また、第1実施形態においては、
図5等に示すように、右部322R及び左部322Lの蛇腹のうち最も内側の山条部M1に切り欠きCR、CLを設けた。切り欠きCR、CLは、HMD1を装着したユーザの耳の前方に設けられており、上下方向において所定の幅を有している。このように切り欠きCR、CLが設けられているため、ユーザが眼鏡を装着した状態でHMD1を装着した場合であっても、眼鏡のテンプルが遮光壁32の右部322R及び左部322Lに干渉してしまうことにより遮光壁32の形状が変形し、遮光壁32とユーザの顔面との間に隙間が生じてしまうことを抑制できる。また、眼鏡のテンプルが、遮光壁32の右部322R及び左部322Lに干渉してしまうことが回避されることにより、ユーザは眼鏡を装着した状態においても、HMD1を違和感無く装着することが可能となる。
【0025】
なお、切り欠きCR、CLは、少なくとも、右部322R及び左部322Lの最も内側の山条部又は谷条部を含む部分に設けられているとよい。例えば、切り欠きCR、CLは、最も内側の山条部M1と、山条部M1に隣接する谷条部G1に跨って設けられていてもよい。また、例えば、右部322R及び左部322Lの蛇腹のうち谷条部が最も内側にある場合においては、当該最も内側の谷条部に切り欠きCR、CLが設けられているとよい。
【0026】
ここで、第1実施形態においては、
図6に示すように、上面視における、右繋ぎ部325R及び左繋ぎ部325Lの蛇腹の幅W3を、上部321の蛇腹の幅W1、右部322R及び左部322Lの蛇腹の幅W2よりも広くした。このような構成のため、ユーザがHMD1を装着する際、ユーザの頭部は、まず、右繋ぎ部325R及び左繋ぎ部325Lに接触することとなる。それにより、右繋ぎ部325R及び左繋ぎ部325Lは圧縮変形する。
【0027】
右繋ぎ部325R及び左繋ぎ部325Lが圧縮変形するのに伴い、右部322Rは左方に移動し、左部322Lは右方に移動することとなる。すなわち、右部322R及び左部322Lは、
図6及び
図7の矢印で示す方向に移動することとなる。これにより、ユーザの頭部は、右部322Rと左部322Lによって挟まれることとなる。具体的には、右部322Rはユーザの右眼の右側に所定の接触圧で接触し、左部322Lはユーザの左眼の左側に所定の接触圧で接触することとなる。なお、第1実施形態においては、右部322Rは、右部322Rと右繋ぎ部325Rとの境界(変曲点)において遮光壁32が屈曲することにより、左方に移動する。同様に、左部322Lは、左部322Lと左繋ぎ部325Lとの境界(変曲点)において遮光壁32が屈曲することにより、右方に移動する。
【0028】
以上説明したように、右繋ぎ部325Rは、右繋ぎ部325Rに対する接触圧が大きくなるに従い、右部322Rがユーザの顔面に近接するように、上部321と右部322Rとを繋いでいる。同様に、左繋ぎ部325Lは、左繋ぎ部325Lに対する接触圧が大きくなるに従い、左部322Lがユーザの顔面に近接するように、上部321と左部322Lとを繋いでいる。
【0029】
また、第1実施形態においては、上面視において、右部322R及び右繋ぎ部325Rは、右斜め後方に延びている。また、上面視において、左部322L及び左繋ぎ部325Lは、左斜め後方に延びている。すなわち、上面視において、遮光壁32は略V字形状である。このような形状であるため、右部322R、右繋ぎ部325R、左部322L、左繋ぎ部325Lが後方に真っ直ぐ延びている構成と比較して、HMD1ユーザの顔面が遮光壁32に接触しやすい。そのため、ユーザの顔面と遮光壁32との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0030】
以上説明した構成を採用するため、頭部の小さいユーザがHMD1を装着した場合であっても、右部322R及び左部322Lがユーザの顔面に近接するように移動することにより、右部322R及び左部322Lとユーザの顔面との隙間から外光が入り込んでしまうことが抑制される。その結果、ユーザの眼に外光が入射してしまうことが抑制される。
【0031】
また、頭部の大きいユーザがHMD1を装着した場合において、遮光壁32が接触圧に応じて伸縮変形する蛇腹を含むため、ユーザの顔面に加わる接触圧が緩和される。その結果、遮光壁32が接触することによる不快感を抑制することができる。
【0032】
さらに、遮光部材30は、その下部に、HMD1を装着したユーザの鼻が収容される鼻収容部35を含んでいる。鼻収容部35は、遮光壁32の下部において遮光壁32と一体に構成されている。鼻収容部35は、遮光壁32と同様に弾性を有する樹脂からなるものであるとよい。鼻収容部35は、前方に突き出た形状であって、遮光部材30がハウジング10aに取り付けられた状態で、ハウジング10aの下部に形成される凹部(第1実施形態を示す図面には図示しない。後述の第2実施形態を示す
図10参照)に嵌るように設けられているとよい。このように、遮光部材30が鼻収容部35を含むため、HMD1を装着したユーザの鼻が遮光壁32に干渉することによる不快感を抑制することができる。
【0033】
鼻収容部35は、鼻収容部35の前側部分を構成する前部35Fと、鼻収容部35の右側部分を構成する右部35Rと、鼻収容部35の左側部分を構成する左部35Lとを含んで構成されており、その下方と後方は開口している。HMD1を装着したユーザの鼻は、前部35Fと、右部35Rと、左部35Lとに囲まれる空間Rに配置されることとなる。
【0034】
右部35Rは、前部35Fから後方に延びる右側部35R1と、鼻収容部35とユーザの鼻との隙間を通じてユーザの眼に入射される外光を低減するように右側部35R1から左方に延びる第1の右遮光部35R2とを含む。左部35Lは、前部35Fから後方に延びる左側部35L1と、鼻収容部35とユーザの鼻との隙間を通じてユーザの眼に入射される外光を低減するように左側部35L1から右方に延びる第1の左遮光部35L2とを含む。第1の右遮光部35R2及び第1の左遮光部35L2は、シート状であるとよい。第1実施形態においては、
図5等に示すように、第1の右遮光部35R2と第1の左遮光部35L2とは、左右方向に離間しており、それらの間には上下方向に延びているスリットが形成されている。
【0035】
HMD1を装着したユーザの鼻は、第1の右遮光部35R2と第1の左遮光部35L2との間に形成されるスリットを介して、空間Rに収容されることとなる。このように、鼻収容部35が、第1の右遮光部35R2及び第1の左遮光部35L2を含むことにより、鼻収容部35の右部35R及び左部35Lと、ユーザの鼻との隙間から外光が入り込むことを抑制することができる。その結果、外光がユーザの眼に入射されることを抑制することができる。
【0036】
さらに、右部35Rは、鼻収容部35とユーザの鼻との隙間を通じてユーザの眼に入射される外光を低減するように右側部35R1から左方に延びると共に、第1の右遮光部35R2よりも前方に配置される第2の右遮光部35R3を含む。左部35Lは、鼻収容部35とユーザの鼻との隙間を通じてユーザの眼に入射される外光を低減するように左側部35L1から右方に延びると共に、第1の左遮光部35L2よりも前方に配置される第2の左遮光部35L3を含む。第2の右遮光部35R3及び第2の左遮光部35L3は、シート状であるとよい。第2の右遮光部35R3と第2の左遮光部35L3は、前後方向において空間Rを2つの空間に分けるように配置されている。また、第2の右遮光部35R3と第2の左遮光部35L3とは、左右方向に離間しており、それらの間には上下方向に延びているスリットが形成されている。
【0037】
鼻の高い(前後方向の長さが長い鼻を有する)ユーザがHMD1を装着した場合、ユーザの鼻は、第1の右遮光部35R2と第1の左遮光部35L2との間に形成されるスリット、及び第2の右遮光部35R3と第2の左遮光部35L3との間に形成されるスリットを介して、空間Rに収容されることとなる。このような構成により、鼻収容部35の右部35R及び左部35Lと、ユーザの鼻との隙間から外光が入り込むことをより抑制することができる。
【0038】
図4、
図5等に示すように、右部35Rは、右方に向かうに従い下方に下がるように傾斜すると共に、ユーザが掛けている眼鏡の右レンズの内側部の少なくとも一部に弾性的に接触する右傾斜部を含む。右傾斜部は、第1の右遮光部35R2の右縁である右傾斜面35R2Cと、右傾斜面35R2Cに沿うように傾斜する右側部35R1の部分とで構成される。
【0039】
同様に、左部35Lは、左方に向かうに従い下方に下がるように傾斜すると共に、ユーザが掛けている眼鏡の左レンズ縁の内側部の少なくとも一部に弾性的に接触する左傾斜部を含む。左傾斜部は、第1の左遮光部35L2の左縁である左傾斜面35L2Cと、左傾斜面35L2Cに沿うように傾斜する左側部35L1の部分とで構成される。
【0040】
以上説明した第1実施形態に係るHMD1においては、頭部の小さいユーザが使用した場合において、ユーザの眼に外光が入射してしまうことを抑制でき、その結果、没入感を向上することができる。一方で、頭部の大きいユーザが使用した場合において、遮光部材30の接触圧によりユーザが不快感を覚えてしまうことを抑制できる。
【0041】
また、鼻収容部35が眼鏡のレンズ縁の内側部の少なくとも一部に弾性的に接触する傾斜部を含むことより、ユーザが眼鏡を掛けた状態でHMD1を使用する場合であっても眼鏡の姿勢を安定させることができる。すなわち、眼鏡が前後方向に位置ズレを生じたり、斜めに傾いたりすることを抑制できる。その結果、眼鏡のレンズ縁等がHMD1の右レンズ12R及び左レンズ12Lに接触してしまうことにより、右レンズ12R及び左レンズ12Lに傷や汚れが付くことを抑制できる。
【0042】
なお、第1実施形態で示した遮光部材30は一例であって、遮光壁32が接触圧に応じて伸縮変形する蛇腹を少なくとも一部に含むものであればよい。また、遮光壁32は蛇腹を含むものに限られず、少なくとも接触圧に応じて弾性変形するものであればよい。
【0043】
[第2実施形態]
次に、
図9~
図14を参照して、第2の実施形態の遮光部材230の詳細について説明する。
図9は、第2実施形態の遮光部材が取り付けられたヘッドマウントディスプレイの一部を後方から見た後面図である。
図10は、第2実施形態の遮光部材が取り付けられたヘッドマウントディスプレイを後方斜めから見た斜視図である。
図11は、第2実施形態の遮光部材を下方斜めから見た斜視図である。
図12は、第2実施形態の鼻収容部の形状の詳細を説明する拡大図である。
図13は、第2実施形態の遮光部材が取り付けられたヘッドマウントディスプレイの一部と、ユーザが掛けている眼鏡を後方から見た後面図である。
図14は、第2実施形態の遮光部材が取り付けられたヘッドマウントディスプレイと、ユーザが掛けている眼鏡を後方斜めから見た斜視図である。なお、
図13、
図14においては、ユーザが掛けている眼鏡Gを示すが、ユーザ自体の図示については省略している。
【0044】
第2実施形態においては、ユーザが眼鏡Gを掛けた状態でHMD1を使用する場合であっても眼鏡Gの姿勢をより安定させることができる構成を採用した。なお、第1実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については同じ符号を用いて、その説明の詳細は省略する。
【0045】
遮光部材230は、HMD1を装着したユーザの眼に入射される外光を遮断又は低減するために設けられる部材である。遮光部材230は、弾性を有する樹脂からなるものであるとよい。ただし、遮光部材230は、樹脂からなるものに限らず、例えば、繊維状の材料(スポンジ等)からなるものであってもよい。
【0046】
遮光部材230は、
図11に示すように、装置本体10のハウジング10aに取り付けられる取り付け部231を含む。取り付け部231は、後方から見た際に、ハウジング10aに収容される右レンズ12R及び左レンズ12Lを囲う環状であるとよい。また、取り付け部231は、ハウジング10aに対して着脱自在に構成されているとよい。例えば、
図11に示すように、取り付け部231の前部には複数の係止突起231aが形成されており、それら係止突起231aが、ハウジング10aに形成される複数の溝にそれぞれ嵌められることにより、遮光部材230がハウジング10aに対して取り付け可能であるとよい。ただし、これに限られるものではなく、取り付け部231は、二色成形やインサート成形により、ハウジング10aに対して固定して形成されていてもよい。
【0047】
また、遮光部材230は、取り付け部231から後方に延びる遮光壁232を含む。遮光壁232は、HMD1を装着したユーザの眼の周辺に接触するように、取り付け部231から後方に延びている。遮光部材230は、遮光壁232を含むことにより、HMD1を装着したユーザの眼に入射される外光を遮光又は減光するという機能を発揮することとなる。なお、取り付け部231と遮光壁232は一体であるとよい。
【0048】
第2実施形態においては、遮光壁232が接触圧に応じて伸縮変形する蛇腹を有していない例を説明するが、これに限られず、蛇腹を有していても構わない。遮光壁232は、少なくとも、接触圧に応じて弾性変形する弾性材料からなるものであるとよい。
【0049】
遮光部材230は、その下部に、HMD1を装着したユーザの鼻が収容される鼻収容部235を含んでいる。鼻収容部235は、遮光壁232の下部において遮光壁232と一体に構成されている。鼻収容部235は、遮光壁232と同様に弾性を有する樹脂からなるものであるとよい。
【0050】
図10、
図11に示すように、鼻収容部235は、前方に突き出た形状であって、少なくとも一部が取り付け部231よりも前方に位置している。また、ハウジング10aは、鼻収容部35のうち取り付け部231よりも前方に位置する部分が配置される凹部11aを含む。このように、ハウジング10aが凹部11aを含むことより、鼻収容部235の前後方向の幅を大きくすることができる。
【0051】
遮光部材230が鼻収容部235を含むため、HMD1を装着したユーザの鼻が遮光壁232に干渉することによる不快感を抑制することができる。
【0052】
鼻収容部235は、鼻収容部235の前側部分を構成する前部235Fと、鼻収容部235の右側部分を構成する右部235Rと、鼻収容部235の左側部分を構成する左部235Lとを含んで構成されており、その下方と後方は開口している。HMD1を装着したユーザの鼻は、前部235Fと、右部235Rと、左部235Lとに囲まれる空間Rに配置されることとなる。
【0053】
右部235Rは、前部235Fから後方に延びる右側部235R1と、鼻収容部235とユーザの鼻との隙間を通じてユーザの眼に入射される外光を低減するように右側部235R1から左方に延びる第1の右遮光部235R2とを含む。左部235Lは、前部235Fから後方に延びる左側部235L1と、鼻収容部235とユーザの鼻との隙間を通じてユーザの眼に入射される外光を低減するように左側部235L1から右方に延びる第1の左遮光部235L2とを含む。第1の右遮光部235R2及び第1の左遮光部235L2は、シート状であるとよい。第1実施形態においては、
図9等に示すように、第1の右遮光部235R2と第1の左遮光部235L2とは、左右方向に離間しており、それらの間には上下方向に延びているスリットが形成されている。
【0054】
HMD1を装着したユーザの鼻は、第1の右遮光部235R2と第1の左遮光部235L2との間に形成されるスリットを介して、空間Rに収容されることとなる。このように、鼻収容部235が、第1の右遮光部235R2及び第1の左遮光部235L2を含むことにより、鼻収容部235の右部235R及び左部235Lと、ユーザの鼻との隙間から外光が入り込むことを抑制することができる。その結果、外光がユーザの眼に入射されることを抑制することができる。
【0055】
さらに、右部235Rは、鼻収容部235とユーザの鼻との隙間を通じてユーザの眼に入射される外光を低減するように右側部235R1から左方に延びると共に、第1の右遮光部235R2よりも前方に配置される第2の右遮光部235R3を含む。左部235Lは、鼻収容部235とユーザの鼻との隙間を通じてユーザの眼に入射される外光を低減するように左側部235L1から右方に延びると共に、第1の左遮光部235L2よりも前方に配置される第2の左遮光部235L3を含む。第2の右遮光部235R3及び第2の左遮光部235L3は、シート状であるとよい。第2の右遮光部235R3と第2の左遮光部235L3は、前後方向において空間Rを2つの空間に分けるように配置されている。また、第2の右遮光部235R3と第2の左遮光部235L3とは、左右方向に離間しており、それらの間には上下方向に延びているスリットが形成されている。
【0056】
鼻の高い(前後方向の長さが長い鼻を有する)ユーザがHMD1を装着した場合、ユーザの鼻は、第1の右遮光部235R2と第1の左遮光部235L2との間に形成されるスリット、及び第2の右遮光部235R3と第2の左遮光部235L3との間に形成されるスリットを介して、空間Rに収容されることとなる。このような構成により、鼻収容部235の右部235R及び左部235Lと、ユーザの鼻との隙間から外光が入り込むことをより抑制することができる。
【0057】
ここで、一般的に使用される眼鏡において、右レンズ縁の内側部と下側部とは湾曲して繋がっており、左レンズ縁の内側部と下側部とは湾曲して繋がっている。第2実施形態の鼻収容部235においては、右部235R及び左部235Lが一般的に使用される眼鏡のレンズ縁の形状に沿う形状となっている。具体的には、下記のような形状となっている。
【0058】
図12、
図13に示すように、右部235Rは、右方に向かうに従い下方に下がるように傾斜すると共に、ユーザが掛けている眼鏡Gの右レンズ縁GRの内側部GR1の少なくとも一部に弾性的に接触する右傾斜部を含む。右傾斜部は、第1の右遮光部235R2の右縁である右傾斜面235R2Cと、右傾斜面235R2Cに沿うように傾斜する右側部235R1の部分とで構成される。
【0059】
同様に、左部235は、左方に向かうに従い下方に下がるように傾斜すると共に、ユーザが掛けている眼鏡Gの左レンズ縁GLの内側部GL1の少なくとも一部に弾性的に接触する左傾斜部を含む。左傾斜部は、第1の左遮光部235L2の左縁である左傾斜面235L2Cと、左傾斜面235L2Cに沿うように傾斜する左側部235L1の部分とで構成される。
【0060】
さらに、
図12に示すように、右傾斜面235R2Cは、第1の右傾斜面235R2C1と、第1の右傾斜面235R2C1の下方に位置すると共に、第1の右傾斜面235R2C1よりも傾斜が緩やかな第2の右傾斜面235R2C2を含む。
図12に示すように、第1の右傾斜面235R2C1は、左方に窪む形状を含む。なお、
図12に示す右傾斜面235R2Cの形状は一例であり、これに限られるものではないが、少なくとも右傾斜面235R2Cの下部の傾斜が緩やかであるとよい。
【0061】
同様に、左傾斜面235L2Cは、第1の左傾斜面235L2C1と、第1の左傾斜面235LC1の下方に位置すると共に、第1の左傾斜面235L2C1よりも傾斜が緩やかな第2の左傾斜面235L2C2を含む。
図12に示すように、第1の左傾斜面235L2C1は、右方に窪む形状を含む。なお、
図12に示す左傾斜面235L2Cの形状は一例であり、これに限られるものではないが、少なくとも左傾斜面235L2Cの下部の傾斜が緩やかであるとよい。
【0062】
以上説明したように、右部235R及び左部235Lが
図12等に示す構成であることにより、ユーザが掛けている眼鏡Gのレンズ縁の内側部が鼻収容部235により支持されることとなる。そのため、ユーザが眼鏡Gを掛けた状態でHMD1を使用する場合であっても眼鏡Gの姿勢を安定させることができる。すなわち、眼鏡Gが前後方向に位置ズレを生じたり、斜めに傾いたりすることを抑制できる。その結果、眼鏡Gのレンズ縁等がHMD1の右レンズ12R及び左レンズ12Lに接触してしまうことにより、右レンズ12R及び左レンズ12Lに傷や汚れが付くことを抑制できる。
【0063】
また、第2実施形態においては、
図10、
図14等に示すように、遮光壁232は、ユーザが掛けている眼鏡Gの右テンプルTRの少なくとも一部に弾性的に接触する右接触部232Rと、左テンプルTLの少なくとも一部に弾性的に接触する左接触部232Lとを含む。右接触部232Rは遮光壁232に形成される右凹部DRの底面を含み、左接触部232Lは遮光壁232に形成される左凹部DLの底面を含む。右凹部DR及び左凹部DLは、HMD1を装着したユーザの耳の前方に設けられており、上下方向において所定の幅を有している。
【0064】
ユーザが眼鏡Gを掛けた状態において、右テンプルTRは右凹部DRに嵌り、左テンプルTLは左凹部DLに嵌ることとなる。これにより、ユーザが掛けている眼鏡Gは、その内側において右傾斜面235R2C及び左傾斜面235L2Cに弾性的に接触し、その外側において右接触部232R及び左接触部232Lに弾性的に接触することとなる。このように、ユーザが掛けている眼鏡Gは、遮光部材230の4箇所で支持されることとなり、その姿勢がより安定することとなる。
【0065】
さらに、第2実施形態においては、
図11に示すように、第1の右遮光部235R2は、左方に向かうに従い前方に向けて延伸しており、第1の左遮光部235L2は、右方に向かうに従い前方に向けて延伸している。なお、第1の右遮光部235R2及び第1の左遮光部235L2は、遮光部材230の向きに関わらず、
図11に示すように延伸する形状であるとよい。すなわち、第1の右遮光部235R2及び第1の左遮光部235L2は、重力が働く方向に関わらず、
図11に示すように延伸する形状であるとよい。
【0066】
このように第1の右遮光部235R2及び第1の左遮光部235L2が前方に延伸する構成を採用するため、ユーザがHMD1を装着する際、第1の右遮光部235R2と第1の左遮光部235L2が後方に向けて折れ曲がってしまうことが抑制される。それにより、ユーザの鼻と鼻収容部235との間に隙間が生じてしまうことを抑制できる。その結果、ユーザの眼に外光が入射することを抑制できる。また、第1の右遮光部235R2及び第1の左遮光部235L2によるユーザの鼻に対する接触圧(反発力)が低減され、第1の右遮光部235R2及び第1の左遮光部235L2が接触することによる不快感を抑制することができる。
【0067】
また、第2実施形態においては、
図12等に示すように、第1の右遮光部235R2の上縁E1は、右方に向かうに従い下方に下がるように傾斜している。このため、上縁E1と右傾斜面235R2Cとが成す角が鈍角となっている。このため、上縁E1と右傾斜面235R2Cとで構成される角部分が、眼鏡Gの右レンズ縁GRに干渉することで、鼻収容部235が意図しない変形をしてしまうことが抑制される。その結果、ユーザの鼻と鼻収容部235との間に隙間が生じてしまうことを抑制できる。
【0068】
同様に、第1の左遮光部235L2の上縁E2は、左方に向かうに従い下方に下がるように傾斜している。このため、上縁E2と左傾斜面235L2Cとが成す角が鈍角となっている。このため、上縁E2と左傾斜面235L2Cとで構成される角部分が、眼鏡Gの左レンズ縁GLに干渉することで、鼻収容部235が意図しない変形をしてしまうことが抑制される。その結果、ユーザの鼻と鼻収容部235との間に隙間が生じてしまうことを抑制できる。
【符号の説明】
【0069】
1 ヘッドマウントディスプレイ、10 装置本体、10a ハウジング、11a 凹部、11 ディスプレイ、12R 右レンズ、12L 左レンズ、20 装着バンド、30,230 遮光部材、31,231 取り付け部、32,232 遮光壁、321 上部、322R 右部、322L 左部、325R 右繋ぎ部、325L 左繋ぎ部、35,235 鼻収容部、35F,235F 前部、35R,235R 右部、35L,235L 左部、35R2,235R2 第1の右遮光部、235R2C 右傾斜面、35L2,235L2 第1の左遮光部、235L2C 左傾斜面、35R3,235R3 第2の右遮光部、35L3,235L3 第2の左遮光部、CL,CR 切り欠き、DR 右凹部、左凹部DL、E1,E2 上縁、G 眼鏡。