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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079654
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】紙製包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
B65D5/54 311D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193227
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 佳穂
(72)【発明者】
【氏名】村田 剛
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB13
3E060BA03
3E060BB01
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE14
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA14
(57)【要約】
【課題】目の不自由な方や暗闇でも収納物の取出口を探すことが簡単に行える紙製包装体を提供する。
【解決手段】六面体の紙製包装体1であって、少なくとも一方の短側面7の底面12寄りに、底面12側から天面側にむけて開閉するとともに、取出口となる取出蓋24が設けられている。取出蓋24は、短側面7と底側短フラップに跨って形成されており、天面側に設けた折り線と、その折り線の両端部から底面側に向けて幅間隔が狭まるように形成された開裂可能なミシン目26とによって周囲を形成されている。取出蓋24の底側短フラップに形成されたミシン目26は、幅間隔が狭まる部分を繋いで延設する押切部35を備えており、底面12には、押切部35と重なる領域に切欠部36が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の短側面と、対向する一対の長側面と、対向する天面および底面と、前記短側面から前記底面側に連設される底側短フラップと、を含んで構成される六面体の紙製包装体であって、
少なくとも一方の前記短側面の前記底面寄りに、前記底面側から前記天面側にむけて開閉するとともに、取出口となる取出蓋が設けられており、
前記取出蓋は、前記短側面と前記底側短フラップに跨って形成されるとともに、天面側に設けた折り線と、前記折り線の両端部から底面側に向けて幅間隔が狭まるように形成された開裂可能なミシン目と、で周囲を形成されており、
前記取出蓋の前記底側短フラップに形成された前記ミシン目は、前記幅間隔が狭まる部分を繋いで延設する押切部を備えており、
前記底面には、前記押切部と重なる領域に切欠部が設けられている、ことを特徴とする紙製包装体。
【請求項2】
前記底面とは別に底方覆い面を設け、
前記底方覆い面が、前記底面と連設する一方側の前記長側面ではなく、他方側の前記長側面から連設された底側長フラップで構成されており、
前記底方覆い面に前記切欠部と重なる切欠部を形成した、ことを特徴とする請求項1に記載の紙製包装体。
【請求項3】
前記取出蓋を、前記一対の短側面及び対応する前記底側短フラップの両方に設け、
前記底面および底方覆い面のそれぞれに2つの前記切欠部を形成した、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の紙製包装体。
【請求項4】
前記底面を構成する紙材の坪量が、200g/m以上500g/m以下であり、前記底面を前記底側短フラップに重ねた場合に、前記切欠部により形成される段差が、少なくとも500μm以上である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の紙製包装体。
【請求項5】
前記取出蓋の前記幅間隔が狭まる部分と前記押切部を接続する部分に、罫線又はミシン目を設けた、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の紙製包装体。
【請求項6】
前記押切部及び前記切欠部が半円形状を含む、ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の紙製包装体。
【請求項7】
前記天面の前記短側面に臨む側に、前記切欠部とは異なる形状の確認端辺を備えている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の紙製包装体。
【請求項8】
前記天面とは別に天方覆い面を設け、前記天方覆い面に前記切欠部とは異なる形状の確認端辺を設けた、ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の紙製包装体。
【請求項9】
前記天方覆い面が、前記天面と連設する一方側の前記長側面ではなく、他方側の前記長側面から連設された天側長フラップで構成されている、ことを特徴とする請求項8に記載の紙製包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽失禁ライナーなどの収納物を取り出し可能に収納した紙製包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の分野で物を収納する箱として、紙製の包装箱は広く使用されている。
例えば、特許文献1には、前板部の中央下方位置に開口蓋を設け、その開口蓋を開いた状態で前板部に固定するための固定構造を設けた飲料容器包装箱が提案されている。
【0003】
また、特許文献2には、紙おむつを重ねた列ごとにポリエチレン袋で個装するとともに、このポリエチレン袋を配送箱に収納した紙おむつ配送箱が提案されている。そしてこの紙おむつ配送箱に紙おむつを1枚ずつ直接取り出せる取出口を設け、配送箱自体をそのまま収納箱として使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-50010号公報
【特許文献2】実用新案登録第3215140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらのミシン目で形成された開口部は健常者には分かり易いが、目の不自由の人には認識しづらいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記各課題を解決するためになされたものである。
本発明の目的は、目の不自由な方や、暗闇でも収納物の取出口を探すことが簡単に行える紙製包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る紙製包装体は、
対向する一対の短側面と、対向する一対の長側面と、対向する天面および底面と、前記短側面から前記底面側に連設される底側短フラップと、を含んで構成される六面体の紙製包装体であって、
少なくとも一方の前記短側面の前記底面寄りに、前記底面側から前記天面側にむけて開閉するとともに、取出口となる取出蓋が設けられており、
前記取出蓋は、前記短側面と前記底側短フラップに跨って形成されるとともに、天面側に設けた折り線と、前記折り線の両端部から底面側に向けて幅間隔が狭まるように形成された開裂可能なミシン目と、で周囲を形成されており、
前記取出蓋の前記底側短フラップに形成された前記ミシン目は、前記幅間隔が狭まる部分を繋いで延設する押切部を備えており、
前記底面には、前記押切部と重なる領域に切欠部が設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2態様は、前記第1態様に記載の紙製包装体であって、
前記底面とは別に底方覆い面を設け、
前記底方覆い面が、前記底面と連設する一方側の前記長側面ではなく、他方側の前記長側面から連設された底側長フラップで構成されており、
前記底方覆い面に前記切欠部と重なる切欠部を形成した、ことを特徴とする。
本発明の第3態様は、前記第1態様又は第2態様に記載の紙製包装体であって、
前記取出蓋を、前記一対の短側面及び対応する前記底側短フラップの両方に設け、
前記底面および底方覆い面のそれぞれに2つの前記切欠部を形成した、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第4態様は、前記第1態様から前記第3態様のいずれかに記載の紙製包装体であって、
前記底面を構成する紙材の坪量が、200g/m以上500g/m以下であり、前記底面を前記底側短フラップに重ねた場合に、前記切欠部により形成される段差が、少なくとも500μm以上である、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第5態様は、前記第1態様から前記第4態様のいずれかに記載の紙製包装体であって、前記取出蓋の前記幅間隔が狭まる部分と前記押切部を接続する部分に、罫線又はミシン目を設けた、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第6態様は、前記第1態様から前記第5態様のいずれかに記載の紙製包装体であって、前記押切部及び前記切欠部が半円形状を含む、ことを特徴とする。
本発明の第7態様は、前記第1態様から前記第6態様のいずれかに記載の紙製包装体であって、前記天面の前記短側面に臨む側に、前記切欠部とは異なる形状の確認端辺を備えている、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の第8態様は、前記第1態様から前記第7態様のいずれかに記載の紙製包装体であって、前記天面とは別に天方覆い面を設け、前記天方覆い面に前記切欠部とは異なる形状の確認端辺を設けた、ことを特徴とする。
本発明の第9態様は、前記第8態様に記載の紙製包装体であって、前記天方覆い面が、前記天面と連設する一方側の前記長側面ではなく、他方側の前記長側面から連設された天側長フラップで構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明であれば、目の不自由な方や、暗闇でも収納物の取出口を探すことが簡単に行える紙製包装体を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る紙製包装体を下方から見た斜視図である。
図2】第1実施形態に係る紙製包装体の展開平面図である。
図3】第2実施形態に係る紙製包装体の展開平面図である。
図4】第3実施形態に係る紙製包装体の展開平面図である。
図5】第1実施形態に係る紙製包装体を下方底面側から見た斜視図である。
図6図5の状態からミシン目を破断して取出口を形成した状態を下方底面側から見た斜視図である。
図7】紙製包装体の収納物の一例である軽失禁ライナーの配置例を示す斜視図である。
図8図5に示す紙製包装体内に軽失禁ライナーを収容した様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る一実施形態である紙製包装体について詳細に説明する。
なお、本明細書における紙製包装体1の説明において、紙製包装体1の横方向とは、例えば、図1中矢印Xで示す方向である。紙製包装体1の縦方向とは横方向に対して平面視で直交する方向であり、図1中矢印Yで示す方向である。また、紙製包装体1の高さ方向とは横方向及び縦方向に対してそれぞれ直交する方向であり、図1中矢印Zで示す方向である。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態に係る紙製包装体を下方から見た斜視図である。図2は、第1実施形態の展開平面図である。図3は、第2実施形態に係る紙製包装体の展開平面図である。図4は、第3実施形態に係る紙製包装体の展開平面図である。図5は、第1実施形態に係る紙製包装体を下方底面側から見た斜視図である。図6は、図5の状態からミシン目を破断して取出口を形成した状態を下方底面側から見た斜視図である。図7は、紙製包装体の収納物の一例である軽失禁ライナーの配置例を示す斜視図である。図8は、図5に示す紙製包装体内に図7に示す軽失禁ライナーを収容した様子を示す斜視図である。
【0017】
[第1実施形態]
本実施形態に係る紙製包装体1は、図1及び図6に示すように複数の収納物(例えば、軽失禁ライナー2(図7参照))を縦方向に積み重ねように収納した製品である。そして、少なくとも一方の短側面7と底面12に跨がるように設けられた取出口3から軽失禁ライナー2を1個ずつ取り出せるようになっている。つまり、軽失禁ライナー2は底面12から天面11にかけて積み上げられているので、下側から1個を取り出すと自然に次の軽失禁ライナー2が落下して取り出せる位置にくるように構成してある。
【0018】
なお、この第1実施形態では取出蓋24,24で形成される取出口3,3が一対の短側面7,8にそれぞれ形成されている場合を中心に説明するが、どちらか一方にのみ取出口3を形成する構成も採用できる。図1に示す構成は、取出口3を一方の短側面7にだけ設けた構成である。これに対し、図2図6に示す構成は、取出口3を一対の短側面7,8の両方に設けた構成を示している。
【0019】
図2図4に示すように、紙製包装体1は、板紙を打ち抜いて形成される展開図状態のカートンブランクスを折り曲げて形成される。板紙の基材となる紙材は紙箱用紙であり、特に白板紙が好んで用いられる。その坪量は、200g/m以上500g/m以下が好ましい。
【0020】
図1に示すように、紙製包装体1は直方体形体を略基本形とする箱体である。
その6面体は、図2に示すように、対向する一対の短側面7,8と、対向する一対の長側面9,10と、対向する天面11および底面12と、によって構成される。
この実施形態では、短側面7と短側面8の間に挟まれた長側面9に天面11と底面12を連設した構成が例示されている。
【0021】
また、紙製包装体1は、一対の短側面7,8の天面11側に連接された一対の天側短フラップ18,19と、一対の短側面7,8の底面12側に連接された一対の底側短フラップ20,21と、天面11に連設される糊付片13と、底面12に連設される糊付片14と、長側面10に連設される糊付片15と、を有している。
一対の底側短フラップ20,21は一対の短側面7,8の底側短フラップ折罫線28,28から内側へ折り曲げられ、一対の長側面9,10の縦方向に延びるように形成してある。
【0022】
長側面9,10の長さL2に対する短側面7,8の横方向の長さL1の比率(L1/L2)は、一般的には、紙製包装体1内に入れられる収納物の縦横の長さ比率と、収納物を1列に配置するか2列に配置するかで異なる。
本実施形態では、比率(L1/L2)は40%以上60%以下に設定している。
短側面7,8と長側面9,10の長さ比率が上記範囲のように明確に異なると、目の不自由な人でも手で持つことによって長手方向は簡単に把握できるので有利である。また、後述する本実施形態の工夫によって、取出口3が形成された押切部35の位置を簡単に把握でき、紙製包装体1内の収納物の取出しを迅速にできる。
【0023】
<押切部35を認識しやすくする構成>
図2に示すように、短側面7と底側短フラップ20に跨って取出蓋24が設けられ、短側面8と底側短フラップ21に跨って取出蓋24が設けられている。取出蓋24は収納物を取り出すための取出口3を開閉する部分である。取出蓋24は、ヒンジ部となる折り線25と開裂可能なミシン目26とで構成されている。
折り線25は、短側面7,8の底面寄り位置に底側短フラップ折罫線28,28と平行に設けられている。
ヒンジ部となる折り線25の高さ位置は収納物の厚さ等によって異なるが、底側短フラップ折罫線28,28からの長さ(高さ)は、15mm以上30mm以下に設定されることが好ましい。
【0024】
また、ミシン目26は折り線25の両端部から底側短フラップ折罫線28に向けて幅間隔が狭まるように稜線形ミシン目29を有している。図2では稜線形ミシン目29は下に凸形の曲線形に形成したものが示されている。但し、本実施形態において、稜線形を有さない線分で構成されるミシン目26を設けることを除外するものではない。
【0025】
一方、底側短フラップ20,21に形成されたミシン目26は、図2において下側に延びるように延設された平行線ミシン目31と、その平行線ミシン目31に繋がる略半円形ミシン目32とを有している。
略半円形ミシン目32を設けることによって、開けようとする指先の形状と対応するように構成できる。
短側面7,8と底側短フラップ20,21との下側縁には折りミシン目33を設けている。なお、折りミシン目33でなく、罫線で構成することも可能である。
【0026】
平行線ミシン目31と略半円形ミシン目32とによって前記した押切部35が構成される。
押切部35は、底面12において使用者が指先でミシン目26の境界線周辺域を押圧することによってミシン目26を破断する力のかかる領域である。
【0027】
底面12の両端部領域の底側短フラップ20,21と重なる位置に、押切部35の形状とほぼ同一又は略相似形に少し大きくした形状の切欠部36,36がそれぞれ設けてある。切欠部36は、押切部35を視認することができ、押切部35を指で押してミシン目31,32を切断できる形状及び大きさがあればよい。
【0028】
底側短フラップ20,21に形成された押切部35を底面12に形成された切欠部36が重なるように設けることで、図5に示すように、底面12を構成する紙材の厚さtを含んだ段差が形成される。底面12と短側面7,8の端部部分を指で触って段差を認識することで、目の不自由な方又は暗闇でも、押切部35の位置を簡単に認識することができる。
段差は、少なくとも500μm以上であることが好ましく、さらに800μm以上であることが好ましい。
【0029】
<収納物>
本実施形態における収納物は、紙製包装体1の内部の底面12に積むことができる形状及び大きさであり、取出口3から取り出すことができる厚さである製品であれば、特に限定されない。そのような製品として紙関連製品は好適であり、例えば、前記した軽失禁ライナー、紙おむつの他、ペーパータオル、テーブルナプキン、キッチンペーパー、キッチンタオル等の衛生薄葉紙、及び紙製又は不織布製のワイパーなどが例示できる。
1個の収納物の厚みは、3mm以上10mm以下のものを採用することが好ましい。
【0030】
[第2実施形態]
図3は第2実施形態に係る紙製包装体の展開平面図であり、第1実施形態と同様の機能を有する部材や部分については、同一の符号を付して説明は省略する。
この第2実施形態では、第1実施形態における天面11の糊付片13の代わりに、差し込み片38を縦方向の中央部に設け、第1実施形態における底面12の糊付片14の代わりに差し込み片39を縦方向の中央部に設けている。
【0031】
また、長側面10の天面11側に天側長フラップ41を連接するとともに、長側面10の底面12側に底側長フラップ42を連接している。
底側長フラップ42の短辺側には、切欠部46を設けている。この切欠部46,46は包装体1を組み立てた時に切欠部36,36とほぼ重なる位置に設けられている。
底側長フラップ42は、前記した底方覆い面43の一例である。
さらに、長側面10の天側長フラップ折罫線45の中央部に差し込み口48を設け、長側面10の底側長フラップ折罫線47の中央部に差し込み口49を設けている。
【0032】
この構成であると、差し込み片38を差し込み口48に差し込むことで、天面11を閉じた状態にすることができるとともに、差し込み片38を差し込み口48から取り外すことで、天面11を開いた状態にすることができる。
底面12でも同様に、差し込み片39と差し込み口49の係止の有無により、底面12を閉じた状態と開いた状態とを選択できる。
このように、天面11及び底面12が開閉できる構成なので、収納物の取出しも簡単に行える。
【0033】
また、紙製包装体1の組み立て後は、箱の内側から外側に向けて、底側短フラップ20,21、底側長フラップ42、底面12の順に配置されるので、底側短フラップ20,21の面と比べると、底側長フラップ42と底面12の2つの紙材の厚さを重ねた厚さになり、指で触ったときにその違いを認識しやすくできる。
【0034】
本実施形態の構成であると、底面12は糊付片14で糊付けしないので、底面12は差し込み片39によって長手方向の中央部にある差し込む口49によって係止されているだけになる。この状態では、底面12の長方形の短辺部分は少し浮いた状態になって底側短フラップ20,21との間の隙間が大きくなり、触ったときにその違い分かりやすくなるという利点がある。
【0035】
さらに、本実施形態では、天側長フラップ41の形状及び大きさは、天面11の形状及び大きさにほぼ等しく形成し、底側長フラップ42の形状及び大きさは底面12の形状及び大きさにほぼ等しく形成してある。この構成では、天面11及び底面14の開閉時に各フラップ41,42が内側をほぼ蓋をするような状態で存在するので、衛生的にもゴミ等が入りにくく、好ましい。
【0036】
[第3実施形態]
図4に示す、本発明に係る第3実施形態は、第2実施形態を変形した実施形態であり、同様の機能を有す部材や部分については、同一の符号を付して説明は省略する。
この第3実施形態の特徴は、第1実施形態の底面12に設けた切欠部36のような指で触って分かりやすい形状を天面11側にも特徴形状として設ける構成である。
そのような形態として、天面11と底面12の対応位置において、底面12の切欠部36とは明らかに異なる確認端辺51を設ける構成と、さらに天面11に加えて、天側長フラップ41にもそのような確認端辺51を設ける構成と、が提案される。
【0037】
具体的には、天面11に特徴形状設ける構成では、短側面7,8の上端縁に臨む側の天面11の短辺に、略円弧状の確認端辺51,51を設けている。略円弧状の形と切欠部36の形とは大きな違いがあるので、紙製包装体1の側面を認識した後に、天面11と底面12の違い、即ち、底面12の押切部35がある位置を特定しやすくなる。
天面11の短辺側に形成される略円弧形状は、天面11の縦方向において中心側に凸になるように形成した場合が示してある。
なお、紙製包装体1の組み立て後は、天面11に形成される確認端辺51,51は天側短フラップ18,19よりも上側に配置されるので、略円弧状に凹んでもゴミ等は入らず、衛生的である。
【0038】
確認端辺51,51の形状は、触って切欠部36の形状と異なると直ぐに判別できる形状であれば、円弧状に限らず、特に限定されない。確認端辺51,51は他の形状を有した各種の切欠部でも構成できる。
【0039】
また、天面11に加えて、天側長フラップ41にもそのような確認端辺51を設ける構成では、天側短フラップ18,19よりも上側に天側長フラップ41が配置され、さらに、その上に天面11の確認端辺51,51が位置することになるので、紙の厚さが2倍になる分だけ、指で認識しやすくなる。
天側長フラップ41は、前記した天方覆い面44の一例である。
【0040】
(実施例1)
以下、本発明について、上記各範囲を決定するための実施例を挙げて説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0041】
紙製包装体1を縦156mm,横78mm,高さ100mmの寸法で構成し、取出口3の大きさを横78mm、高さ20mmの図6に示すような形状の寸法で構成した。
縦75mm,横75mm,高さ7mmの寸法の軽失禁ライナー2を14枚に積み重ねて1列とし、それを2列にして紙製包装体1内に収納した。
軽失禁ライナー2は3つ折りにされており、その折り線が、紙製包装体1の短側面7,8と対向するように積み重ねられている。この構成では折り線は取出口3から複数の線として露出することになるので、取出しやすくなる。
また、取出口から1枚取り出すと、上部の積み重ねられた軽失禁ライナーが順次、落下してくるように6面体の短側面7,8及び長側面9,10で構成される内周面の大きさを設定している。
なお、軽失禁ライナーの3つ折り包装は、不織布による軟包装のため、軽失禁ライナー75mmに対して、余裕幅+3mmで紙製包装体1に収納が可能になる。
【0042】
この構成で、本紙製包装体1を知らない10人の試験者に対して予め、本紙製包装体1の切欠部36と押切部35の位置を言葉で説明した後、目隠し又は暗室の状態で本紙製包装体1を開封して、軽失禁ライナー2を取り出すことを依頼した。その場合に、
(1)紙製包装体1の天面11と底面12の上下をすぐに認識できるか否か。
(2)切欠部36と押切部35の位置をすぐに認識することができるか否か。
(3)取出蓋24のミシン目26を切断して軽失禁ライナー2を簡単に取り出せることができるか否か。
の3つの観点に気をつけて各人が試験を行ったところ、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態の構成において、3つの観点においてほとんどの人が良い結果であることが確認できた。
【0043】
以上、実施形態を例示して本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の構成には限定されない。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて判断されるべきであり、その範囲内であれば、多様な変形や構成の追加、又は改良が行えることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0044】
1:紙製包装体
2:軽失禁ライナー(収納物)
3:取出口
7,8:短側面
9,10:長側面
11:天面
12:底面
18,19:天側短フラップ
20,21:底側短フラップ
24:取出蓋
25:折り線
29:稜線形ミシン目
31:平行線ミシン目
32:略半円形ミシ目
33:折りミシン目
35:押切部
36:切欠部
41:天側長フラップ
42:底側長フラップ
43:底方覆い面
44:天方覆い面
46:切欠部
51:確認端辺
X:横方向
Y:縦方向
Z:高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8