(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079655
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】縦型ルーバー式外壁
(51)【国際特許分類】
E06B 9/36 20060101AFI20230601BHJP
F24F 13/15 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
E06B9/36 A
F24F13/15 B
F24F13/15 D
E06B9/36 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193228
(22)【出願日】2021-11-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】521521747
【氏名又は名称】有限会社カークリーンサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100160657
【弁理士】
【氏名又は名称】上吉原 宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊行
【テーマコード(参考)】
3L081
【Fターム(参考)】
3L081AA03
3L081AA08
3L081AA09
3L081AB06
3L081FA04
3L081FC01
(57)【要約】
【課題】本発明は、外からの目線を遮ることができる目隠し機能と、風通し機能と、防音機能と、断熱機能を自在に発揮する外壁の技術提供を課題とするものである。
【解決手段】
縦型に配置される複数のルーバーと、該ルーバーを備える基台と、前記ルーバーの開閉角度を調節する開閉角調整機構と、から成り、複数の前記ルーバーは、それぞれの開閉角度を共通させる連結部材で連結された領域が分割されて成り、該分割された領域毎に前記ルーバーの開閉角度が異なる変化をさせられる構成を採用した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型に配置される複数のルーバー(10)と、
該ルーバー(10)を備える基台(20)と、
前記ルーバー(10)の開閉角度を調節する開閉角調整機構(30)と、
から成り、複数の前記ルーバー(10)は、それぞれの開閉角度を共通させる連結部材(40)で連結された領域(R)が分割されて成り、
該分割された前記領域(R)毎に前記ルーバー(10)の開閉角度を異ならせられることを特徴とする縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項2】
前記開閉角調整機構(30)が、リンク機構(31)で構成され動作することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項3】
前記開閉角調整機構(30)が、カム(32)とプッシュロッド(33)で構成され動作することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項4】
前記開閉角調整機構(30)が、ラックギヤ(34)とピニオンギヤ(35)で構成され動作することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項5】
前記開閉角調整機構(30)がサーボモーター(36)又はステッピングモーター(37)により駆動することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型のルーバー式外壁技術に関し、詳しくは、縦型に複数配置されたルーバーの角度を所定に区分された範囲毎に変えることが可能となる外壁技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
縦型か横型かを問わず、格子状の枠体に固定された木質・金属・樹脂製のフェンスは多く存在する。そんな中、一部にはル-バー構造を備えた雨戸や塀なども存在する。しかしながら、既存の塀はどのタイプであっても視線を遮る機能があるものは室内が暗くなったり、風通しが悪くなったりという問題が起こる不便なものである。
【0003】
視線を遮る機能がありながら室内を明るく保つものに、半透明のアクリル板などで光のみを取り込めるといった特徴を持つ塀も存在する。また、視線を遮ることができ、風を通したいときにはルーバーを開けて調節するといった可変機能を有するルーバーなどがある。しかしながら、それらは、視線を遮るときは全てのルーバーを閉めることとなるので風通しが悪くなり、一部でも風を通すには視線を遮れないというものである。視線を遮りながら同時に風通しもよくなる塀やフェンスが求められているといえる。
【0004】
また、気になるのは外からの視線だけではなく、騒音なども回避したいものである。しかしながら既存の塀やフェンスは外からの騒音を和らげるためにルーバーを閉めてしまうと、風通しや室内の光も遮ることになり、一部では防音をやわらげ、同時に一部では光や風を取り入れることが可能な塀やフェンスは皆無である。
【0005】
風や光を取り込める塀やフェンスに近いものとしてやはりルーバーが挙げられるが、ルーバーにも様々な種類があり、中には塀の機能を有して採用できそうなもので、デザイン性の高い縦型のルーバーも存在する。縦型のルーバーの特徴として、ほこりがたまりにくいことから掃除が簡単ということも挙げられる。また、それ以外にも縦型ルーバーの特徴として、視線の方向性がある。例えば外からは見られないが、内側のある一方向からは外がよく見えるということがあげられる。これにより、外側から気づかれにくく内側からだけ外の様子をうかがうことも可能である。しかし、縦型の可変ルーバーであって異なる範囲を個別に変化させることを可能とするものが求められている。
【0006】
上記の問題を解決するにあたり、同時に多機能な用途をクリアーするルーバーとしては羽根の可変に注目したいところである。従来より、羽根の角度を変化させるルーバーは存在している。
【0007】
そこで、従来より、種々の技術提案がなされている。例えば、発明の名称を「バルコニー」とする技術が開示されている(特許文献1参照)。具体的には、「風を開口部の背後にある居室の内部に効率よく入れることができ、しかも、正面からでも居室の内部が見えず、又、風の調節ができるバルコニーを提供する。」ことを課題とし、解決手段として「バルコニー手摺りは開口部の正面に設けた不透明な壁と、この壁の左側又は右側に設けた窓とからなり、この窓にルーバー型格子を取り付ける。このルーバー型格子は、隙間を設けて複数のルーバー片を略並行に取り付けた。」というものである。係る特許文献1に記載の発明は、本発明と構成が共通する点が存在する。
【0008】
また、発明の名称を「ルーバー型フロア」とする技術が開示されている(特許文献2参照)。具体的には、「バルコニーやベランダの床を通して日差しや風を必要なときに取り入れることができるルーバ型フロアを提供する。」ことを課題とし、解決手段として、「一端部を軸として上下に回動可能で、かつ、隣接して並設された複数のルーバ床部材と、これら複数のルーバ床部材を上下に回動させる回動手段とを備え、この回動手段によって複数のルーバ床部材を上方に回動させることによって、隣り合うルーバ床部材間に隙間が生じるので、この隙間を通して日差しや風を必要なときに取り入れることができ、また、回動手段によってルーバ床部材を立ち上がった状態から下方に回動させることによって、これらルーバ床部材を水平として日差し、風、雨がベランダの床を通り抜けるのを防止できる。」というものである。
【0009】
また、発明の名称を「外装ルーバー装置」とする技術が開示されている(特許文献3参照)。具体的には、「外観を損なうことなく、円滑なルーバーの固定・開放を可能とし、進入口が形成される外装ルーバー装置を提供する。」ことを課題とし、解決手段として、「建物外周部に横方向を長手方向として設けられたレールを有する上横枠と、上横枠の下方に所定の間隔を有して該上横枠に平行に設けられたレールを有する下横枠と、上横枠及び下横枠に渡されるように縦向きに配置され、所定の間隔を有して上横枠及び下横枠の長手方向に並列状に配列される複数のルーバーと、レール上を転動する車輪を有し、該車輪が備えられた側の一端側が該レールに沿って移動可能とされるとともに、他端側が複数のルーバーのうちの1つの該ルーバーに取り付けられる少なくとも一対の移動手段とを備える。」というものである。
【0010】
また、発明の名称を「住宅内外の中間領域創出構造」とする技術が開示されている(特許文献4参照)。具体的には、「季節や使用状況に合わせて陽射し・通風の取り入れ、他人の視線に対する遮蔽等を調整し、併せて住宅内部の温度調整補助を行うことのできる、ルーバー付きスライドパネルと住宅との間の中間領域という空間を創出する構造を提供する。」ということを課題とし、解決手段として、「住宅の外壁の外側に、左右の縦枠とこれらの縦枠の上端に設けられた上枠とによって枠体を構成し、この枠体の内側には、上枠に沿って摺動可能で、左右の縦框と上下の横框とによって構成された框体の内側に多数のルーバーを配した上吊り式のルーバー付きスライドパネルを設けるとともに、上枠と外壁との間には屋根を設け、スライドパネルと住宅との間に中間領域を設けた。」というものである。
【0011】
また、発明の名称を「縦ルーバーの設置構造」とする技術が開示されている(特許文献5参照)。具体的には、「ロジアを囲む壁のように、H形鋼からなる梁材の屋内外両面にあらかじめ外壁パネルが張設されている梁形構造体に対しても、その直下に大型の縦ルーバーを、合理的な納まりで容易に後施工することのできる縦ルーバーの設置構造を提供する。」ことを課題とし、解決手段として、「本発明の縦ルーバーの設置構造は、正面視矩形の枠体の内側に縦長の羽根板が複数枚、等間隔で並列配置され、それら羽根板の上端部が前記枠体の上辺部を構成する支持レールから吊持されて鉛直軸回りに回動し得るように構成された縦ルーバーを、H形鋼からなる梁材の屋内外両面に外壁パネルが張設されてなる梁形構造体の直下に設置するに際し、長さ方向に直交する断面が横長の矩形をなすように形成された前記支持レールを、前記梁材よりも下方まで延び出した屋内外両面の外壁パネルの下縁部の間から取付プレートを介して前記梁材に結合することを前提とする。」というものである。
【0012】
このように、特許文献1から特許文献5に公開され公知技術となっている発明と本発明とは課題を共通するものが存在する。しかしながら、特許文献1から特許文献5のいずれにも、縦型に複数配置されたルーバーの角度を所定に区分された範囲毎に変えることを可能とする外壁技術に関するものは記載も示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003-268869号
【特許文献2】特開2006-193972号
【特許文献3】特開2008-008005号
【特許文献4】特開2014-128846号
【特許文献5】特許第6190007号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、外からの目線を遮ることができる目隠し機能と、風通し機能と、防音機能と、断熱機能を自在に発揮する外壁の技術提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、縦型に配置される複数のルーバーと、該ルーバーを備える基台と、前記ルーバーの開閉角度を調節する開閉角調整機構と、から成り、複数の前記ルーバーは、それぞれの開閉角度を共通させる連結部材で連結された領域が分割されて成り、該分割された領域毎に前記ルーバーの開閉角度が異なる変化をさせられる構成を採用する。
【0016】
また、本発明は、前記開閉角調整機構が、リンク機構で構成され動作する構成を採用することもできる。
【0017】
また、本発明は、前記開閉角調整機構が、カムとプッシュロッドで構成され動作する構成を採用することもできる。
【0018】
また、本発明は、前記開閉角調整機構が、ラックギヤとピニオンギヤで構成され動作する構成を採用することもできる。
【0019】
また、本発明は、前記開閉角調整機構がサーボモーター又はステッピングモーターにより駆動され動作する構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る縦型ルーバー式外壁によれば、所定の領域毎にルーバーの角度を調整できることから係る所定領域毎からの視覚性、通気性、断熱性、または防音性を調整することができるという優れた効果を発揮する。
【0021】
また、本発明に係る縦型ルーバー式外壁における開閉角調整機構が、リンク機構、カムとプッシュロッド、又はラックギヤとピニオンギヤの機械要素で動作する構成を採用した場合は、簡易な構造で安価に生産できるという優れた効果を発揮する。
【0022】
また、本発明に係る縦型ルーバー式外壁における開閉角調整機構に、サーボモーター又はステッピングモーターにより駆動する構成を採用した場合は、分割される各領域毎のルーバーの開閉角度の可変動作における作業負担を軽減できるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る縦型ルーバー式外壁の基本構成を説明する基本構成説明図である。
【
図2】本発明に係る縦型ルーバー式外壁において所定領域毎のルーバーの開閉角を調整した実施例を示す作動状態説明図である。
【
図3】本発明に係る開閉角調整機構の作動原理を説明する作動原理説明図である。
【
図4】本発明に係る縦型ルーバー式外壁の使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、縦型ルーバー式外壁において、縦型に配置される複数のルーバーと、該ルーバーを備える基台と、前記ルーバーの開閉角度を調節する開閉角調整機構と、から成り、複数の前記ルーバーは、それぞれの開閉角度を共通させる連結部材で連結された領域が分割されて成り、該分割された領域毎に前記ルーバーの開閉角度が異なる変化をさせられることを最大の特徴とするものである。以下、図面に基づいて説明する。但し、係る図面に記載された形状や構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の創作として発揮する効果の得られる範囲内で変更可能である。
【0025】
図1は、本発明に係る縦型ルーバー式外壁の基本構成を説明する基本構成説明図である。各構成について以下詳細に説明する。
【0026】
縦型ルーバー式外壁1は、縦型ルーバー式外壁において、縦型に配置される複数のルーバーと、該ルーバーを備える基台と、前記ルーバーの開閉角度を調節する開閉角調整機構と、から成り、複数の前記ルーバーは、それぞれの開閉角度を共通させる連結部材で連結された領域が分割されて成り、該分割された領域毎に前記ルーバーの開閉角度が異なる変化をさせられることを基本構成とする。
【0027】
ルーバー10は、羽板(はいた)とも呼ばれる細長い板、または羽板状の部材を平行に複数並べたものの総称である。主な用途としては、係るルーバー10の角度によって、外部からの視線、日光、風雨、騒音などを一定に遮ることができるため、日よけ、雨よけ、通風換気などに使用されたり、柵や塀などとして、或いは照明器具やエアコンなどを隠すことなどの、建築物をはじめとしてさまざまな箇所で用いられる。また、景観保護のため屋上設備や屋外階段を建物と一体化したデザインにするためにも利用されることもある。また、ルーバー10の長手方向は使用箇所により縦に配置したものも横に配置したものもあるが、本発明に係る縦型ルーバー式外壁1は縦型としている。ルーバー10の断面を見ると、
図2に示すようにカタカナのミの字状になっており、正面からでは向こう側が見えないが、視点をずらすことにより向こう側が見えるようになる。また、風の通る量を変えるため、羽板の角度を調節できるものもあるが、本発明に係る縦型ルーバー式外壁では所定の領域R内にあるルーバー10の開閉角度を可変とし、該領域毎に開閉角度を異ならせることができる。
【0028】
また、ルーバー10の素材については特に限定されるものではなく、強風等の外力に耐えられる比強度の大きなものであれば、木製、アルミ等の金属製、樹脂製など、多様な素材が考えられる。ただし、本発明に係る縦型ルーバー式外壁1では、ルーバー10が縦に配置されるため、座屈に対する強度が求められる。例えば、中空二重構造のアルミ製とすれば、より好ましい。また、形状についても単なる板状の羽板ではなく、
図2で断面視したように、ルーバー10の中央は膨らんでおり、両側の端辺に向かうに連れて薄くなる翼形状とすることが望ましい。係る形状とすることにより、空気が流れる際にスワール(乱流)の発生を防止して風切り音を抑えることができるからである。
【0029】
基台20は、複数のルーバー及び開閉角調整機構30を備えるための台座となる部分であり、強固な筐体によって構成される。ルーバー10が風からの影響を受けてもしっかりと固定できるようにある程度の重量を備えるか、アンカーボルト等によって固定されることが望ましい。
【0030】
開閉角調整機構30は、複数のルーバー10の開閉角度を調整するための機構であり、所定の領域内の複数のルーバー10を、連結部材でそれぞれの開閉角度を共通させた領域R毎に手動又は電動によって駆動するために設けられるものである。駆動方法については、リンク機構を用いる手段や、カムとプッシュロットの組み合わせ、ラック&ピニオン形式、或いはサーボモーターやステッピングモーター等により位置決めと該位置の保持力を備えたモーターによる制御手段などが考えられる。但し、例えばカムとプッシュロットを偏心スプロケットとチェーン駆動などに置き換えることも可能であり、特に特定したものを除いてはこれらの手段に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の創作として同一の効果を得られる範囲で変更可能である。
【0031】
連結部材40は、複数のルーバー10の開閉角度を統一するために連結する部材である。図面では3つのルーバー10を一つの領域として連結した状態を示しているがその数や取り付け一については限定されるものではない。なお、ピローボールやベアリング等の軸受等を用いることが円滑な動作を行わせるという点から好適である。
【0032】
リンク機構31は、連結部材40により連結された一連のルーバー10に対し所定の開閉角度となるように作動させる機械要素である。
図3(a)に示した実施例では、アームを回転させるとその位置によって末端の位置が変化し、係る変化に応じてルーバー10の開閉角度が決定する。なお、リンク機構は、カム32やラックギヤ34のような機械要素と組み合わせてもよい。
【0033】
カム32は、運動の方向を変える機械要素である。機械装置では、動きを伝える元になる側を原節、動きを伝えられて仕事をする側を従節と呼び、カム32は原節にあたる。カムには直線的に往復運動するものと回転運動するものがあるが、どちらも、原節の形状と速度によって従節末端が動く時間と距離が決まる。
図3(b)に示した実施例のように、回動するカム32は軸に取り付けられ、軸の回転角度に対応した曲面が形成されている。一般には、卵形に代表される円板カムと呼ばれる中心から円周までの距離が一定でない板を回動する軸に取り付け、この板に当接するロッドを直線的に押し引き移動させる役割を果たすものである。本発明に係る縦型ルーバー式外壁1では係るカム32形状によってこれに当接するロッドを、押し出すため中心から突出したカム32の山部と、引くための谷部が形成され、コイルバネ等の弾性部材によりローラー等のフォロアが押し付けられて連結部材40を押し引きし、係る連結部材40により連結された一連のルーバー10に対し所定の開閉角度となるように作動させる。ほかの機械要素と比べ故障が少なく、きわめて安定した動作が可能で機械に対して無駄な力がかからない構造とすることができるため、本発明に係る縦型ルーバー式外壁1の長寿命化を図ることができる。
【0034】
プッシュロッド33は、カム本体に接するローラー等のフォロアから作動端までの間において直動運動を行うものであり、フォロアが常にカム32に接するように弾性部材等で押されていることから、レバー50等を操作して一定の回転角の範囲内による回動動作から直線運動に変換するものである。
【0035】
ラックギヤ34は、ラック・アンド・ピニオン(rack and pinion)方式に用いられる歯車の一種で、回転力を直線の動きに変換するものである。
図3(c)に示したように、ピニオンギヤ35とよばれる小口径の円形歯車と、平板状の棒に歯切りをしたラックギヤ34を組み合わせたもので、ピニオンギヤ35に回転力を加えると、ラックが歯すじ設定された末端まで水平方向へ直線的に駆動されるものである。
【0036】
ピニオンギヤ35、小さい歯車のこと、或いはかみ合う一対の歯車のうち小さいほうの歯車をいい、
図3(c)に示したように、とくにラックギヤ34のような直線状の歯車とかみ合う小さな歯車のことをいい、回転動作を直線動作に変換する機械要素である。
【0037】
サーボモーター36は、モーターの出力軸における位置、速度等を制御する用途に使用する電動機である。本発明に係る縦型ルーバー式外壁1において用いるモーターの種類としては、ロータリーエンコーダー等の回動位置検出器付の電動機で、フィードバック制御するものを用いるのが好適である。サーボモーター36の特徴として、中高回転域でトルクを発生するため、ギヤを用いた減速機付きのものを用いるのが好適である。なお、
図4では減速機付きのギヤードヘッド付きを想定したものである。
【0038】
ステッピングモーター37は、ドライバを介して直流のパルス電圧を印加して駆動するモーターであり、パルスモーター(PulseMotor)とも言われる。簡単な回路構成で、正確な位置決め制御を実現できるので、ルーバー10の開閉角度の位置決めを行うのに適しているといえる。特徴としては、運動量が駆動パルスの数に比例し、デジタル制御回路との相性が良く、フィードバック回路の必要性がないことなどが上げられ、低回転域で大きなトルクを発生することや、停止状態の位置を保持する保持力が大きいことから前記開閉角調整機構30に電動駆動として最適なモーターといえる。なお、負荷が大きすぎたり、パルス周波数が高すぎると同期外れで制御が乱れること(脱調)があるため、ギヤを用いた減速機付きのものを用いるのが好適である。なお、所定の領域ごとにステッピングモーター37を配置させる構成の他に、
図3(e)に例示したように複数のルーバー10のそれぞれに対してステッピングモーター37を配置させる構成(一つのルーバー10に一つのステッピングモーター37)も考えられる。
【0039】
レバー50は、連結部材40により連結された一連のルーバー10に対し所定の開閉角度となるように操作する部材である。なお、係るレバー50は、操作範囲と可動範囲との関係でクランクとなる場合もある。
【0040】
領域Rは、所定の数のルーバー10を配置した領域内のことを意味し、
図2には三枚のルーバーを一つの領域Rとして分割した一つとして示している。このルーバー10の数を限定するものではないが、枚数が多くなるとそれだけ操作するレバー50やモーター等に負担がかかるため、対応するのに適した数とすることが望ましい。
【0041】
図2は、本発明に係る縦型ルーバー式外壁において所定領域毎のルーバーの開閉角を調整した実施例を示す作動状態説明図であり、全体のルーバー10を三分割した状態を例示している。
図2(a)は、ルーバー10の全てが傾斜した状態を示し、
図2(b)は、ルーバー10の全てが全閉した状態を示し、
図3(c)は、ルーバー10の全ての領域が全開した状態を示し、
図3(d)は、中央部の領域のルーバー10が全開し左右の領域は異なる方向に傾斜した状態を示し、
図2(e)は、中央部の領域が全閉し左右の領域は全開している状態を示している。なお、係る構成はあくまでも例示であって、図面には示していないがその他のルーバー10の開閉角度が調整された領域R毎に変化させる構成例においても、これらと同様な効果の発揮が想定可能な範囲において含まれる。
【0042】
図3は、本発明に係る開閉角調整機構の作動原理を説明する作動原理説明図であり、
図3(a)は、開閉角調整機構30の作動原理がリンク機構31である場合の作動原理を示し、
図3(b)は、開閉角調整機構30の作動原理がカム32とプッシュロッド33である場合の作動原理を示し、
図3(c)は、開閉角調整機構30の作動原理がラックギヤ34とピニオンギヤ35である場合の作動原理を示し、
図3(d)は、開閉角調整機構30の作動原理がサーボモーター36である場合の作動原理を示し、
図3(e)は、開閉角調整機構30の作動原理がステッピングモーター37である場合の作動原理を示している。
【0043】
図3(a)に示すとおり、開閉角調整機構30の作動原理がリンク機構31である場合は、簡易な機械要素部材により構成できるので、低コストで製造でき、またピロボールやベアリング等の軸受け部材を用いることによって、円滑な動作を得ることが可能となる。
【0044】
また、
図3(b)に示すとおり、開閉角調整機構30の作動原理にカムとプッシュロッド33である場合は、簡易な機械要素部材により構成でき、耐久性に優れる。なお
図3(b)では、一つの領域Rに一つのカム32を用いる構成で示したが、複数の領域Rを一つのカム32で駆動させても良い。係る構成ではカム32が複雑な形状で大きくなるが、部品数と作業工程を減らすことが可能となる。
【0045】
また、
図3(c)に示すとおり、開閉角調整機構30の作動原理にラックギヤ34とピニオンギヤ35である場合は、簡易な機械要素部材により回転運動を直線方向の動きに変えることができ、本発明に係る縦型ルーバー式外壁の開閉角調整機構30に適した機械要素といえる。また、図面には示していないが、ピニオンギヤ35をウォームギヤ、レバー50をクランクに代えて、操作力の軽減を図る構成とすることも好適である。
【0046】
また、
図3(d)に示すとおり、開閉角調整機構30の作動原理にサーボモーター36を用いる場合は、先ず、サーボモーター36の特徴として、中高回転域でトルクを発生するため、低速で角度変化だけをさせる本発明では、ギヤを用いた減速機付きのものを用いるのが好適である。なお、
図4では減速機付きのギヤードヘッド付きを想定したものである。
【0047】
また、
図3(e)に示すとおり、開閉角調整機構30の作動原理にステッピングモーター37を用いる場合も、サーボモーター36と同様にギヤを用いた減速機付きのものを用いるのが好適である。なお、
図4では減速機付きのギヤードヘッド付きを想定したものであり、一つのルーバー10に一つのステッピングモーターが配置される場合を示しており、それぞれのルーバー10の開閉角度は、パルス数に応じてその角度位置を所定の角度へ回動させて位置を保持するパルス制御でありこれは簡単なシーケンス制御でも可能である。
【0048】
図4は、本発明に係る使用状態説明図である。
図4に示す実施例では左側の領域R1に配置される五つのルーバー10が利用者H側に傾斜して配置され、中央の領域R2に配置される五つのルーバー10が利用者H側に開放して配置され、右側の領域R3に配置される五つのルーバー10が利用者H側に閉鎖するように配置される場合を示しているが、利用者Hの位置により目隠し性や通気性が異なる。Aの位置では左側の領域R1、中央の領域R2及び右側の領域R3を通して目隠しをしつつ左側の領域R1と中央の領域R2においては風通し性を確保している。また、Bの位置では左側の領域R1と中央の領域R2の視認性を良くしつつ、右側の領域R3においては目隠しや遮音性を高める使用例である。そしてまた、Cの位置は最も目隠し性と遮音性の効果が得られる位置といえる。但しこれはあくまでも例示であって、景色を楽しみたい部分、騒音や排気ガスから遮蔽したい部分、外部から目隠ししたいが通気もしたい、というように部分的な開閉の目的を異なる場合が種々存在するであろうことから、
図4はこれらに対応できることの一例を示したものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る縦型ルーバー式外壁1によれば、誰もが気になる外からの目線を遮りつつ、通気性、遮音性、保温性を確保できるという、日常生活の中で誰もが求める居心地を重視した空間を提供できる技術であることから産業上利用可能性は高いと思慮されるものである。
【符号の説明】
【0050】
1 縦型ルーバー式外壁
10 ルーバー
20 基台
30 開閉角調整機構
31 リンク機構
32 カム
33 プッシュロッド
34 ラックギヤ
35 ピニオンギヤ
36 サーボモーター
37 ステッピングモーター
40 連結部材
50 レバー
R 領域
H 利用者
【手続補正書】
【提出日】2022-02-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型に配置される複数のルーバー(10)と、
該ルーバー(10)を備える基台(20)と、
前記ルーバー(10)の開閉角度を調節する開閉角調整機構(30)と、
から成り、複数の前記ルーバー(10)は、それぞれの開閉角度を共通させる連結部材(40)で連結された領域(R)が分割されて成り、
前記ルーバー(10)は、断面形状において中央が膨らみ両端に向かうに連れて薄くなる猫の縦長瞳孔形状を有し、開閉角度を全閉から全開の何れの角度としたときでも隣設される前記ルーバー(10)との間に段差を作ることなく、
分割された前記領域(R)毎に前記ルーバー(10)の開閉角度を異ならせられることを特徴とする縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項2】
前記開閉角調整機構(30)が、リンク機構(31)で構成され動作することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項3】
前記開閉角調整機構(30)が、カム(32)とプッシュロッド(33)で構成され動作することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項4】
前記開閉角調整機構(30)が、ラックギヤ(34)とピニオンギヤ(35)で構成され動作することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項5】
前記開閉角調整機構(30)がサーボモーター(36)又はステッピングモーター(37)により駆動することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
連結部材40は、複数のルーバー10の開閉角度を統一するために連結する部材である。図面では3つのルーバー10を一つの領域として連結した状態を示しているがその数や取り付け位置については限定されるものではない。なお、ピローボールやベアリング等の軸受等を用いることが円滑な動作を行わせるという点から好適である。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型に配置される複数のルーバー(10)と、
該ルーバー(10)を備える基台(20)と、
前記ルーバー(10)の開閉角度を調節する開閉角調整機構(30)と、
から成り、複数の前記ルーバー(10)は、それぞれの開閉角度を共通させる連結部材(40)で連結された領域(R)が分割されて成り、
前記ルーバー(10)は、断面形状において中央が膨らみ両端に向かうに連れて薄くなる猫の縦長瞳孔形状を有し、前記ルーバー10が全開状態となる角度位置と全閉状態となる角度位置とをとることができ、前記ルーバー10の表面上に段差が作られておらず、
分割された前記領域(R)毎の前記ルーバー(10)の開閉角度を、一か所に集中配置したレバー(50)を操作することにより、異ならせられることを特徴とする縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項2】
前記開閉角調整機構(30)が、リンク機構(31)で構成され動作することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項3】
前記開閉角調整機構(30)が、カム(32)とプッシュロッド(33)で構成され動作することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項4】
前記開閉角調整機構(30)が、ラックギヤ(34)とピニオンギヤ(35)で構成され動作することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項5】
前記開閉角調整機構(30)がサーボモーター(36)又はステッピングモーター(37)により駆動することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型に配置される複数のルーバー(10)と、
該ルーバー(10)を備える基台(20)と、
前記ルーバー(10)の開閉角度を調節する開閉角調整機構(30)と、
から成り、複数の前記ルーバー(10)は、それぞれの開閉角度を共通させる連結部材(40)で連結された領域(R)が分割されて成り、
分割された前記領域(R)毎に前記連結部材を前記開閉角調整機構(30)を介してそれぞれ操作する複数のレバー(50)を備え、
前記ルーバー(10)は、断面形状において中央が膨らみ両端に向かうに連れて薄くなる猫の縦長瞳孔形状を有し、前記ルーバー10が全開状態となる角度位置と全閉状態となる角度位置とをとることができ、前記ルーバー10の表面上に段差が作られておらず、
分割された前記領域(R)毎の前記ルーバー(10)の開閉角度を、一か所に集中配置した前記レバー(50)を操作することにより、異ならせられることを特徴とする縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項2】
前記開閉角調整機構(30)が、リンク機構(31)で構成され動作することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項3】
前記開閉角調整機構(30)が、カム(32)とプッシュロッド(33)で構成され動作することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項4】
前記開閉角調整機構(30)が、ラックギヤ(34)とピニオンギヤ(35)で構成され動作することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。
【請求項5】
前記開閉角調整機構(30)がサーボモーター(36)又はステッピングモーター(37)により駆動することを特徴とする請求項1に記載の縦型ルーバー式外壁(1)。