(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079668
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】ドラムヘッド及び張力の付与方法
(51)【国際特許分類】
G10D 13/10 20200101AFI20230601BHJP
G10D 13/20 20200101ALI20230601BHJP
G10D 13/02 20200101ALI20230601BHJP
G10H 3/14 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
G10D13/10 111
G10D13/20
G10D13/02 100
G10H3/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193247
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000116068
【氏名又は名称】ローランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】吉野 澄
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478NN11
(57)【要約】
【課題】膜体に張力を均一に付与できるドラムヘッド及び張力の付与方法を提供すること。
【解決手段】膜体10に固定される枠体がフレーム3の周方向に並ぶ複数の長辺枠体11及び短辺枠体12に分割され、それらの各枠体11,12の各々を引っ張ることによって膜体10に張力が付与される。よって、各枠体11,12の形状を複雑な多角形状のフレーム3(支持部30)の形に一致させる必要がなく、直線状に形成できるので、各枠体11,12の形状にばらつきが生じ難くなる。また、仮に各枠体11,12の形状にばらつきが生じても、それらの各枠体11,12の各々を引っ張って膜体10に張力を付与する構成であるため、膜体10に張力を均一に付与できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打楽器の打面を形成する膜体と、
前記膜体の外縁に接続され、前記膜体の外縁に沿って並ぶ複数の枠体と、を備え、
前記打楽器に装着される場合に、複数の前記枠体の各々が引っ張られることで前記膜体に張力が付与されることを特徴とするドラムヘッド。
【請求項2】
複数の前記枠体は、複数の第1の枠体と、それら複数の前記第1の枠体同士の間に配置され、隣り合う前記第1の枠体に両端が重ねられる第2の枠体と、から少なくとも構成され、
前記第2の枠体が引っ張られることで前記第1の枠体が前記第2の枠体に押さえ付けられることを特徴とする請求項1記載のドラムヘッド。
【請求項3】
前記第2の枠体の長さが前記第1の枠体よりも短いことを特徴とする請求項2記載のドラムヘッド。
【請求項4】
前記枠体は、前記膜体の外縁に固定される一対の固定枠を備え、
網状の前記膜体の外縁を挟む一対の前記固定枠が互いに接着されることで前記膜体に前記枠体が固定されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のドラムヘッド。
【請求項5】
金属製の前記枠体にボルトがねじ込まれることで前記枠体が引っ張られることを特徴とする請求項4記載のドラムヘッド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のドラムヘッドと、
前記ドラムヘッドの前記枠体よりも内周側で前記膜体を支持する支持部を有する環状のフレームと、
前記フレームの前記支持部の外周側で複数の前記枠体の各々を下方に引っ張る張力付与部材と、を備えることを特徴とする打楽器。
【請求項7】
前記膜体は、多角形状に形成され、
複数の前記枠体の各々は、前記膜体の各辺に沿った形状に形成されることを特徴とする打楽器。
【請求項8】
前記フレームは、前記フレームの周方向に沿って並ぶ複数の第1のフレームと、それら複数の前記第1のフレーム同士の間に配置され、前記第1のフレームとの連結および分離が可能な第2のフレームと、から構成されることを特徴とする請求項7記載の打楽器。
【請求項9】
前記フレームは、前記支持部の下部から外周側に延びる底部と、その底部から上方に突出し前記支持部との間に前記枠体の保持空間を形成する壁部と、その壁部の上端側から内周側に突出して前記枠体の上方側を覆う被覆部と、を備えることを特徴とする請求項8記載の打楽器。
【請求項10】
前記第1のフレームの前記被覆部は、前記壁部と一体的に形成され、
前記第1のフレームは、前記フレームの周方向における前記保持空間の両端部が開放されることにより、その開放部分から前記枠体を挿入可能に構成され、
前記第2のフレームは、前記壁部に対する前記被覆部の着脱が可能であることを特徴とする請求項9記載の打楽器。
【請求項11】
前記フレームは、前記保持空間よりも外周側に形成され前記フレームの周方向に延びる空洞を備えることを特徴とする請求項9又は10に記載の打楽器。
【請求項12】
多角形状の前記膜体の各頂点の近傍に配置され、前記膜体への打撃の振動を検出する複数のセンサを備え、
複数の前記センサで検出される打撃位置に応じて異なる楽音が生成されることを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載の打楽器。
【請求項13】
打楽器の打面を形成する膜体と、前記膜体の外縁に接続され、前記膜体の外縁に沿って並ぶ複数の枠体と、を備えるドラムヘッドの前記膜体への張力の付与方法であって、
前記打楽器に前記ドラムヘッドを装着する場合に、複数の前記枠体の各々を引っ張ることで前記膜体に張力を付与することを特徴とする張力の付与方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムヘッド及び張力の付与方法に関し、特に、膜体に張力を均一に付与できるドラムヘッド及び張力の付与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
演奏者に打撃される打面を構成する膜体と、その膜体の外縁に接続される環状の枠体と、を備えるドラムヘッドが知られている。この種のドラムヘッドは、例えば特許文献1に記載されるように、フープによって枠体を打楽器の胴部側に押し込むことで膜体に張力を付与することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-148623号公報(例えば、段落0027、
図1,2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、膜体に張力を均一に付与するためには、胴部の外形とほぼ一致した形状(例えば、胴部が円筒状であれば、真円に近い環状)に枠体を形成する必要がある。よって、枠体の形状にばらつきが生じると、膜体に張力を均一に付与できないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、膜体に張力を均一に付与できるドラムヘッド及び張力の付与方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明のドラムヘッドは、打楽器の打面を形成する膜体と、前記膜体の外縁に接続され、前記膜体の外縁に沿って並ぶ複数の枠体と、を備え、前記打楽器に装着される場合に、複数の前記枠体の各々が引っ張られることで前記膜体に張力が付与される。
【0007】
本発明の張力の付与方法は、打楽器の打面を形成する膜体と、前記膜体の外縁に接続され、前記膜体の外縁に沿って並ぶ複数の枠体と、を備えるドラムヘッドの前記膜体への張力の付与方法であって、前記打楽器に前記ドラムヘッドを装着する場合に、複数の前記枠体の各々を引っ張ることで前記膜体に張力を付与する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)は、第1実施形態における打楽器の分解斜視図であり、(b)は、打楽器の斜視図である。
【
図2】(a)は、
図1(b)のIIa-IIa線における打楽器の部分拡大断面図であり、(b)は、
図2(a)のIIb-IIb線における打楽器の部分拡大断面図である。
【
図3】(a)は、第2実施形態における打楽器の分解斜視図であり、(b)は、打楽器の斜視図である。
【
図4】(a)は、第3実施形態における打楽器の分解斜視図であり、(b)は、打楽器の斜視図である。
【
図5】(a)は、第4実施形態における打楽器の斜視図であり、(b)は、長辺枠体に長辺フレームを装着する様子を示す打楽器の部分拡大斜視図である。
【
図6】(a)は、短辺枠体に支持フレーム及び上部フレームを装着する様子を示す打楽器の部分拡大斜視図であり、(b)は、支持フレーム及び上部フレームに側部フレームを装着する様子を示す打楽器の部分拡大斜視図である。
【
図7】(a)は、
図5(a)のVIIa-VIIa線における打楽器の部分拡大断面図であり、(b)は、
図7(a)のVIIb-VIIb線における打楽器の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1及び
図2を参照して、第1実施形態における打楽器100について説明する。
図1(a)は、第1実施形態における打楽器100の分解斜視図であり、
図1(b)は、打楽器100の斜視図である。
図2(a)は、
図1(b)のIIa-IIa線における打楽器100の部分拡大断面図であり、
図2(b)は、
図2(a)のIIb-IIb線における打楽器100の部分拡大断面図である。なお、
図2では、理解を容易にするために打楽器100の断面の要部のみを図示している(後述する第2~4実施形態の断面図においても同様である)。
【0010】
図1及び
図2に示すように、打楽器100は、多角形の打楽器である。打楽器100にはドラムヘッド1が装着され、このドラムヘッド1の膜体10の上面が演奏者によって打撃される打面となる。
【0011】
膜体10は、合成繊維を編み上げたメッシュを用いて多角形(本実施形態では、六角形)状に形成される。多角形状の膜体10の各辺は、その長さが比較的長い3つの長辺と、その長辺よりも短い3つの短辺と、から構成される。3つの長辺の長さはそれぞれ同一であり、それらの長辺の間に位置する3つの短辺の長さもそれぞれ同一である。
【0012】
膜体10の長辺の各々には、その長辺に沿って延びる長辺枠体11が固定され、短辺の各々には、その短辺に沿って延びる短辺枠体12が固定される。即ち、これらの長辺枠体11及び短辺枠体12は、膜体10の外縁に沿って複数(本実施形態では、6個)並べて設けられる。
【0013】
長辺枠体11は、一対の平板状の固定枠11a,11b(
図2参照)から構成される。膜体10の長辺の縁を挟み込んだ固定枠11a,11bを互いに接合することにより、膜体10の外縁に長辺枠体11が固定される。
【0014】
短辺枠体12は、一対の平板状の固定枠12a,12b(
図2参照)を備える。膜体10の短辺の縁を挟み込んだ固定枠12a,12bを互いに接合することにより、膜体10の外縁に各短辺枠体12が固定される。
【0015】
膜体10は網状素材(例えば、合成繊維を編み上げたメッシュ)を用いて形成されているため、短辺枠体12の固定枠12a,12b(長辺枠体11の固定枠11a,11b)を互いに接着剤で接着した場合には、膜体10の網目に接着剤が浸透する。よって、膜体10に短辺枠体12(長辺枠体11)を強固に接着できる。
【0016】
このように、網状の膜体10の外縁を挟む固定枠12a,12b(固定枠11a,11b)を互いに接着して膜体10に固定することにより、例えば樹脂製の枠体を金型成形によって膜体10と一体的に形成する場合に比べ、ドラムヘッド1の製造コストを低減できる。
【0017】
短辺枠体12の固定枠12bの上端部には平板状の締結枠12c(
図2参照)が一体的に形成され、締結枠12cの長手方向中央には、ボルト2をねじ込むためのめねじ孔12dが形成される。また、締結枠12cには、固定枠12bと対面する平板状の補強枠12eが一体的に形成され、固定枠12b、締結枠12c、及び補強枠12eによって断面コ字状(U字状)の枠を構成している。
【0018】
ドラムヘッド1が装着される環状のフレーム3は、膜体10を下方から支持する支持部30と、長辺枠体11及び短辺枠体12の保持空間S1の底面を形成する底部31と、該保持空間S1の外周側の壁を構成する壁部32と、を備え、それらの各部30~32が一体的に形成される。
【0019】
支持部30は、フレーム3の内縁部分を構成する部位であり、上下に延びる支持部30の上端部分に膜体10が支持される。支持部30の下部からは底部31が外周側に延びており、この底部31から上方に突出する壁部32が保持空間S1を挟んで支持部30と対面する。これらの各部30~32によって取り囲まれる溝状の保持空間S1は、フレーム3の全周にわたって連続している(
図1(a)参照)。
【0020】
また、フレーム3は、ドラムヘッド1の外形に対応した多角形(本実施形態では、6角形)に形成されており、フレーム3の各部30~32によって形成される保持空間S1も同様に、ドラムヘッド1の各枠体11,12を挿入可能な多角形状に形成される。
【0021】
このように、フレーム3は、ドラムヘッド1の膜体10に対応した形状となっているため、その膜体10と同様、フレーム3にも長辺部分と短辺部分が形成されている。以下の説明においては、フレーム3の長辺部分を長辺フレーム3a、短辺部分を短辺フレーム3bと符号を付して説明する。
【0022】
各短辺フレーム3bの各々の底部31には、ボルト2を挿入するための貫通孔33が形成される。ドラムヘッド1をフレーム3に装着する際には、各長辺枠体11及び短辺枠体12を下方に折り返して保持空間S1に挿入し、その状態で貫通孔33に挿入したボルト2を短辺枠体12のめねじ孔12dにねじ込む。これにより、各短辺枠体12が下方に引っ張られる。
【0023】
この時、各長辺枠体11は、各短辺枠体12によって下方に押し付けられる。これは、短辺枠体12の締結枠12cの長手方向(
図2(b)の左右方向)の両端部が固定枠12a,12b及び補強枠12eよりも長く突出しており、その突出部分が各長辺枠体11の長手方向両端部の上に重ねられているためである(
図2(b)参照)。これにより、各短辺枠体12に押し付けられる力によって各長辺枠体11も下方に引っ張られるので、それらの各枠体11,12によって膜体10の全体に張力を付与できる。
【0024】
このように、本実施形態では、膜体10に固定される枠体を周方向に並ぶ複数の長辺枠体11及び短辺枠体12に分割し、それらの各枠体11,12の各々を引っ張ることによって膜体10に張力を付与する構成である。よって、各枠体11,12の形状を複雑な多角形状のフレーム3に一致させる必要がなく、直線状に形成できるので、各枠体11,12の形状にばらつきが生じ難くなる。また、仮に各枠体11,12の形状にばらつきが生じても、それらの各枠体11,12の各々を引っ張って膜体10に張力を付与する構成であるため、膜体10に張力を均一に付与できる。
【0025】
また、短辺枠体12が金属製であるため、ボルト2のねじ込みによって引っ張られた時に短辺枠体12が撓むことを抑制できる。また、短辺枠体12の締結枠12cが固定枠12a,12b及び補強枠12eによって補強されているため、これによっても、短辺枠体12が撓むことを抑制できる。このように、短辺枠体12の撓みを抑制することにより、短辺枠体12の近傍で膜体10の張力が緩くなることを抑制できるので、膜体10に張力を均一に付与できる。
【0026】
ここで、例えば後述する第2実施形態(
図3参照)のように、周方向で分割される長辺枠体211及び短辺枠体212の各々にボルト2をねじ込んで膜体10に張力を付与することも可能である。しかしながら、そのような構成では、ボルト2の本数(部品点数)が増えることに加え、ボルト2をねじ込む作業に手間を要する。
【0027】
これに対して本実施形態では、上述した通り、周方向に並ぶ複数の長辺枠体11に対し、各短辺枠体12の締結枠12cの両端が重ねられるため、短辺枠体12にボルト2をねじ込むだけで膜体10に張力を付与できる。これにより、各枠体11,12の各々にボルト2をねじ込む構成に比べ、部品点数を低減できると共に、ボルト2をねじ込む作業の手間を減らすことができる。
【0028】
また、例えば長辺枠体11の両端を短辺枠体12(締結枠12c)の上に重ね、長辺枠体11にボルト2をねじ込んで膜体10に張力を付与することも可能である。しかしながら、長辺枠体11は比較的長く形成されるため、例えば長辺枠体11の中央に1本のボルト2をねじ込む構成であると、長辺枠体11が撓んでしまい、両隣の短辺枠体12の各々を均一に押し込むことができない。この長辺枠体11の撓みを抑制するためには、長辺枠体11の長手方向の複数箇所(例えば、2箇所)にボルト2をねじ込む必要がある。よって、部品点数が増加することに加え、ボルト2のねじ込み作業に手間を要する。
【0029】
これに対して本実施形態では、比較的短い短辺枠体12にボルト2をねじ込んで長辺枠体11を押し込む構成である。これにより、短辺枠体12の中央に1本のボルト2をねじ込む構成であっても、短辺枠体12が撓むことを抑制できるので、両隣の各長辺枠体11を均一に押し込むことができる。よって、部品点数を低減させつつ、ボルト2のねじ込み作業の手間を省けると共に、膜体10に張力を均一に付与できる。
【0030】
膜体10の下面側には、膜体10への打撃を検出するための複数の打面センサ4a~4cが配置される(打面センサ4b,4cについては、
図1参照)、これらの打面センサ4a~4cは、断面L字状のセンサ支持部34によって支持される。センサ支持部34は、短辺フレーム3bの内周面と、その短辺フレーム3bに隣り合う長辺フレーム3aの内周面とに一体的に形成され、多角形状のフレーム3の隅(3箇所のコーナー部分)の各々にセンサ支持部34が設けられる。
【0031】
打面センサ4a~4cは、センサ支持部34の上面に接着される円盤状の両面テープ40を備える。両面テープ40はクッション性を有しており、この両面テープ40の上面には、円盤状の圧電素子であるセンサ41が接着される。センサ41の上面には、円柱状のクッション42が接着され、クッション42は、スポンジを用いて形成されている。クッション42が膜体10の下面に接触することにより、膜体10の上面(打面)への打撃時の振動がクッション42を介してセンサ41に伝達される。
【0032】
また、長辺フレーム3aの壁部32の上面には、長辺フレーム3aの長手方向に延びるシートセンサ5が接着される。シートセンサ5は、圧力の変化(又はON/OFF)を検出する帯状の感圧センサである。シートセンサ5の上面には、長辺フレーム3aの長手方向に延びる断面半円状のカバー6が接着される。
【0033】
カバー6は、ゴム状弾性体を用いて形成されており、カバー6が打撃された際には、カバー6の変形による圧力がシートセンサ5で検出される。上記の打面センサ4a~4c(センサ41)やシートセンサ5での打撃の検出結果が音源(図示せず)に出力され、その検出結果に基づく楽音信号が音源により生成される。生成された楽音信号に基づく電子音がアンプやスピーカ(共に図示せず)に出力されることにより、その楽音信号に応じた電子楽音がアンプやスピーカから放音される。
【0034】
よって、膜体10や壁部32(カバー6)を打撃することにより、ヘッドオンリーショット(膜体10のみへの打撃)、リムショット(膜体10及び壁部32の双方への打撃)、及びリムオンリーショット(壁部32のみへの打撃)を模擬した演奏を行うことができる。
【0035】
打面センサ4a~4cは、膜体10の周縁側の3箇所に設けられており、それらの3つの打面センサ4a~4cの検出結果に基づいて打撃位置が判定され、その打撃位置に応じて異なる楽音が生成される。この打撃位置の判定については公知の技術を採用可能であるが、例えば各打面センサ4a~4cの出力値のピークの差や比に基づいて打撃位置を検出する構成や(例えば、特表昭62-501653号公報)、各打面センサ4a~4cで打撃(振動)が検出される時間差に基づいて打撃位置を検出する構成(例えば、特開平05-232943号公報)が例示される。
【0036】
即ち、各打面センサ4a~4cのうち、打面センサ4aの近くが打撃された場合には、一の楽音が生成されるのに対し、打面センサ4bの近くが打撃された場合には、当該一の楽音とは音色が異なる他の楽音が生成される。また、打面センサ4cの近くが打撃された場合には、打面センサ4a,4bの近くが打撃された時とは異なる楽音が生成される。
【0037】
また、3箇所のシートセンサ5で打撃が検出された時も同様に、打撃を検出したシートセンサ5に応じて異なる楽音が生成される。つまり、本実施形態では、各打面センサ4a~4cでの打撃検出による3種類の楽音と、各シートセンサ5での打撃検出による3種類の楽音との合計6種類の楽音が生成される。これにより、打楽器100を用いた演奏のバリエーションを増やすことができる。
【0038】
このように、各打面センサ4a~4cで検出される打撃位置に応じて異なる楽音が生成されるため、それらの楽音を容易に叩き分けることができるように、本実施形態では多角形状の膜体10(フレーム3の内縁)の各頂点10c(
図1参照)の近傍に打面センサ4a~4cを配置している。これにより、膜体10の3箇所のコーナー付近を叩き分けることによって異なる楽音を生成できる。即ち、膜体10の上面(打面)のうち、どの領域を叩けばどの楽音が生成されるのかを演奏者に容易に認識させることができるので、異なる楽音を容易に叩き分けることができる。
【0039】
また、膜体10の頂点10cの近傍に各打面センサ4a~4cが配置されるため、長辺フレーム3aの長手方向中央、即ちカバー6の中央から離れた位置に打面センサ4a~4cを配置できる。これにより、カバー6の中央(比較的打撃され易い領域)を打撃した際の振動が各打面センサ4a~4cで検出され難くなるので、膜体10又はカバー6のいずれが打撃されたのかを精度良く判定できる。
【0040】
なお、膜体10の頂点10cの近傍とは、例えば多角形状の膜体10の外縁(フレーム3の内縁)に接する内接円を仮想円とした場合に、その仮想円よりも外側の領域である。よって、「膜体10の頂点10cの近傍に打面センサ4a~4cが配置される」とは、打楽器100を上面視した場合に、各打面センサ4a~4cの中心が当該仮想円よりも外側に位置していることである。
【0041】
次いで、
図3を参照して、第2実施形態の打楽器200について説明する。第1実施形態では、短辺枠体12のみにボルト2がねじ込まれる場合を説明したが、第2実施形態では、長辺枠体211にもボルト2がねじ込まれる場合について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図3(a)は、第2実施形態における打楽器200の分解斜視図であり、
図3(b)は、打楽器200の斜視図である。
【0042】
図3に示すように、第2実施形態の打楽器200のドラムヘッド201は、長辺枠体211及び短辺枠体212を備える。長辺枠体211は、第1実施形態の長辺枠体11に締結枠12c、めねじ孔12d、及び補強枠12eに相当する構成を付加したものである。また、短辺枠体212は、隣り合う長辺枠体211の上に重ねられる部位を備えていない点を除き、第1実施形態の短辺枠体12と同一の構成である。
【0043】
長辺枠体211には、その長手方向の複数箇所(本実施形態では、2箇所)にめねじ孔12dが形成される。フレーム203は、長辺枠体211のめねじ孔12dと対応する位置にも貫通孔33が形成される点を除き、第1実施形態のフレーム3と同一の構成である。
【0044】
よって、各長辺枠体211及び短辺枠体212を保持空間S1に挿入し、その状態でフレーム203の貫通孔33に挿入したボルト2をめねじ孔12dにねじ込むことにより、各長辺枠体211及び短辺枠体212が下方に引っ張られる。これにより、各長辺枠体211及び短辺枠体212によって膜体10の全体に張力を付与できる。
【0045】
このように、本実施形態においても、各枠体211,212を複雑な多角形状に形成する必要がなく、直線状に形成できるで、枠体211,212の形状にばらつきが生じ難くなる。また、仮に枠体211,212の形状にばらつきが生じても、それらの各枠体211,212の各々を引っ張って膜体10に張力を付与する構成であるため、膜体10に張力を均一に付与できる。
【0046】
次いで、
図4を参照して、第3実施形態の打楽器300について説明する。第1実施形態では、フレーム3及び膜体10が多角形状に形成される場合を説明したが、第3実施形態では、フレーム303及び膜体310が円形に形成される場合について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図4(a)は、第3実施形態における打楽器300の分解斜視図であり、
図4(b)は、打楽器300の斜視図である。
【0047】
図4に示すように、第3実施形態の打楽器300は、打面センサ4a~4cやシートセンサ5を備えていない打楽器である。打楽器300に装着されるドラムヘッド301は、円形の膜体310の外縁に円弧枠体311及び円弧枠体312a,312bが接続される。円弧枠体311は、第1実施形態の長辺枠体11を円弧状に形成したものである。また、円弧枠体312a,312bは、第1実施形態の短辺枠体12の締結枠12c及び補強枠12eを省略して固定枠12a,12bを円弧状に形成すると共に、その中央にめねじ孔12dを形成したものである。
【0048】
フレーム303は、形状が円形である点を除いて第1実施形態のフレーム3と同一の構成であり、支持部30、底部31、及び壁部32(保持空間S1)に相当する構成を備えている。また、フレーム303の底部31には、円弧枠体312a,312bのめねじ孔12dと対応する位置に貫通孔33が形成される。
【0049】
ドラムヘッド301をフレーム303に装着する場合には、円弧枠体311及び円弧枠体312a,312bを保持空間S1に挿入した状態で、貫通孔33に挿入したボルト2を円弧枠体312a,312bのめねじ孔12dにねじ込む。これにより、各円弧枠体312a,312bが下方に引っ張られる。
【0050】
この時、各円弧枠体312bの両端部が円弧枠体311の上に重ねられているため、各円弧枠体311が円弧枠体312a,312bによって下方に押し付けられる。これにより、円弧枠体311も下方に引っ張られるので、ドラムヘッド301の膜体310の全体に張力を付与できる。
【0051】
このように、本実施形態においても、各円弧枠体311及び円弧枠体312a,312bを引っ張って膜体310に張力を付与する構成であるため、それらの枠体の形状にばらつきが生じても、膜体310に張力を均一に付与できる。
【0052】
次いで、
図5~
図8を参照して、第4実施形態の打楽器400について説明する。第1実施形態では、フレーム3の長辺フレーム3a及び短辺フレーム3bが一体的に形成される場合を説明したが、第4実施形態では、長辺フレーム403a及び短辺フレーム403bが別体に形成される場合について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0053】
まず、
図5及び
図6を参照して、打楽器400の構成と組立方法とについて説明する。
図5(a)は、第4実施形態における打楽器400の斜視図であり、
図5(b)は、長辺枠体11に長辺フレーム403aを装着する様子を示す打楽器400の部分拡大斜視図である。
図6(a)は、短辺枠体12に支持フレーム403b1及び上部フレーム403b2を装着する様子を示す打楽器400の部分拡大斜視図であり、
図6(b)は、支持フレーム403b1及び上部フレーム403b2に側部フレーム403b3を装着する様子を示す打楽器400の部分拡大斜視図である。
【0054】
図5に示すように、第4実施形態の打楽器400のフレーム403は、長辺フレーム403aと短辺フレーム403bとに周方向で分割される。これらの長辺フレーム403a及び短辺フレーム403bが装着されるドラムヘッド1(
図5(b)参照)は、第1実施形態のドラムヘッド1(
図1(a)参照)と同一のものである。なお、以下の説明においては、複数の短辺フレーム403bのうち、後述する貫通孔435b3が形成される(クランプCが装着される)短辺フレーム403bの構成について説明するが、貫通孔435b3の有無を除き、各短辺フレーム403bの構成は全て同一である。
【0055】
図5(b)に示すように、長辺フレーム403aは、支持部30、底部31、及び壁部32(保持空間S1)に相当する構成を備えている。この長辺フレーム403aの保持空間S1は、長辺フレーム403aの長手方向両端側が開放している。よって、保持空間S1の端部から長辺枠体11を挿入することにより、ドラムヘッド1に長辺フレーム403aが装着される(保持空間S1に長辺枠体11が保持される)。
【0056】
次いで、
図6(a)に示すように、各長辺フレーム403aの間に位置する短辺枠体12を、短辺フレーム403bの支持フレーム403b1及び上部フレーム403b2で上下から挟み込む。
【0057】
具体的には、支持フレーム403b1は、支持部30、底部31、壁部32、貫通孔33、及びセンサ支持部34に相当する構成を備えるフレームである。支持フレーム403b1の支持部30、底部31、及び壁部32によって形成される保持空間S1は、その上方側が開放している。よって、各長辺フレーム403aの端部同士に間に支持フレーム403b1を下から嵌め込むことにより、支持フレーム403b1の保持空間S1に短辺枠体12が保持される。
【0058】
支持フレーム403b1の壁部32の周方向両端側には、ボルト7を挿入するための貫通孔435b1が形成され、各長辺フレーム403aには、そのボルト7をねじ込むための連結部434aが形成される。連結部434aは、長辺フレーム403aの長手方向両端部から内周側に屈曲する板状体であり、この連結部434aにはめねじ孔435aが形成される。
【0059】
よって、上記のように支持フレーム403b1を長辺フレーム403aの端部同士の間に嵌め込んだ状態で、貫通孔435b1に挿入したボルト7をめねじ孔435aにねじ込むことにより、長辺フレーム403aに支持フレーム403b1が連結される。図示は省略するが、この連結状態においては、長辺フレーム403a及び支持フレーム403b1のそれぞれの支持部30(長辺フレーム403aの支持部30については、
図5(b)参照)が環状に連なるように構成されている。
【0060】
次いで、支持フレーム403b1を長辺フレーム403aに連結した状態で、支持フレーム403b1の貫通孔33に挿入したボルト2を短辺枠体12のめねじ孔12dにねじ込む。これにより、各短辺枠体12が下方側に引っ張られる。
【0061】
この時、上述した第1実施形態と同様、短辺枠体12の締結枠12cの両端が長辺枠体11に重ねられているので(
図7(b)参照)、各長辺枠体11が下方に押し込まれる。これにより、膜体10の全体に張力を付与できる。このように、本実施形態においても、各枠体11,12の形状を複雑な多角形状に形成する必要がなく、直線状に形成できるので、各枠体11,12の形状にばらつきが生じ難くなる。また、仮に各枠体11,12の形状にばらつきが生じても、それらの各枠体11,12の各々を引っ張って膜体10に張力を付与する構成であるため、膜体10に張力を均一に付与できる。
【0062】
上部フレーム403b2は、断面コ字状(U字状)の被固定部430b2を備えるので、この被固定部430b2を支持フレーム403b1の壁部32に引っ掛けることにより、支持フレーム403b1に上部フレーム403b2が装着される。
【0063】
上部フレーム403b2には、被固定部430b2(支持フレーム403b1の壁部32)から内周側に延びる被覆部431b2が形成される。この被覆部431b2によって短辺枠体12の上方側を覆うことができるので、打楽器400の外観を向上できる。
【0064】
次いで、
図6(b)に示すように、上部フレーム403b2が装着された支持フレーム403b1に対し、外周側から側部フレーム403b3を嵌め込む。この側部フレーム403b3は、支持フレーム403b1の底部31を下方から覆う下部430b3と、その下部430b3の外縁から上方に延びる側部431b3と、その側部431b3の上端から内周側に突出して下部430b3と上下で対面する上部432b3と、から構成される断面コ字状(U字状)のフレームである。
【0065】
側部フレーム403b3の下部430b3には、複数(本実施形態では、2つ)の貫通孔433b3が形成され、支持フレーム403b1の底部31には、貫通孔433b3と対応する位置にめねじ孔436b1が形成される。よって、貫通孔433b3に挿入したボルト8をめねじ孔436b1にねじ込むことにより、支持フレーム403b1に側部フレーム403b3が固定される。これにより、打楽器400の組立てが完了する。
【0066】
このように、本実施形態では、各長辺フレーム403a及び短辺フレーム403bが互いに連結および分離可能に構成されている。よって、第1実施形態のようにフレーム3が環状に繋がっている場合に比べ、組立前のフレーム403の各部品を小型化できる。
【0067】
次いで、
図7を参照して、打楽器400の構成について更に説明する。
図7(a)は、
図5(a)のVIIa-VIIa線における打楽器400の部分拡大断面図であり、
図5(b)は、
図7(a)のVIIb-VIIb線における打楽器400の部分拡大断面図である。なお、
図7(a)では、クランプC(
図5(a)参照)の図示を省略している。
【0068】
図7に示すように、長辺フレーム403aの支持部30及び壁部32の対向間隔は、長辺枠体11の板厚と同一(又はそれよりも僅かに大きく)形成されている。これにより、長辺枠体11が短辺枠体12によって押し込まれる際に、支持部30及び壁部32に沿う下方向のみに長辺枠体11を変位させることができるので、膜体10に張力を均一に付与できる。
【0069】
長辺フレーム403aの壁部32には、その上端側から内周側に突出する被覆部436aが一体的に形成される。この被覆部436aにより、保持空間S1に保持される長辺枠体11の上方側を覆うことができるので、打楽器400の外観を向上できる。
【0070】
長辺フレーム403aの上面にはシートセンサ5が接着され、このシートセンサ5は、ゴム状弾性体のカバー406によって覆われる。カバー406は、その幅方向(
図7(a)の左右方向)両端から下方に延びる一対の脚部460を備える。一対の脚部460のうち、カバー406の外縁側(
図7(a)の左側)に位置する脚部460は、長辺フレーム403aの上面の長手方向(
図7(a)の紙面垂直方向)に延びる溝に嵌め込まれる。
【0071】
一方、一対の脚部460のうち、カバー406の内縁側(
図7(a)の右側)に位置する脚部460には、その下端側から外周側に屈曲する屈曲部分が形成される。この屈曲部分が長辺フレーム403aの被覆部436aの下面に引っ掛けられることにより、カバー406が長辺フレーム403aに固定される。これにより、被覆部436aに対し、長辺枠体11の上方を覆う機能に加え、カバー406を引っ掛ける機能を持たせることができる。
【0072】
長辺フレーム403aの壁部32の外周側には、長辺フレーム403aの長手方向に延びる空洞S2が形成される。また、短辺フレーム403bにも、側部フレーム403b3(下部430b3、側部431b3、及び上部432b3の各部)と、支持フレーム403b1とによって取り囲まれる空洞S3が形成される。この空洞S3は、長辺フレーム403aの空洞S2と連なっている。
【0073】
つまり、これらの空洞S2,S3は、フレーム403の全周にわたって繋がっており、シートセンサ5や打面センサ4aを基板(図示せず)に接続するための配線を通すことができる。これにより、複数の短辺フレーム403b(
図5(a)参照)のうち、1の短辺フレーム403bに設けられる基板(図示せず)に打面センサ4aやシートセンサ5の配線を空洞S2,S3を通して繋げることができる。よって、かかる配線が外部に露出することを抑制できるので、打楽器400の外観を向上できる。
【0074】
側部フレーム403b3の下部430b3には、ボルト2の頭部と対面する位置に貫通孔434b3が形成される。よって、貫通孔434b3を介してボルト2のねじ込み量を調整することにより、膜体10に付与される張力を調整できる。
【0075】
側部フレーム403b3の下部430b3及び上部432b3には、上下に貫通する貫通孔435b3が形成される。この貫通孔435b3は、打楽器400を支持するロッド(図示せず)を挿入するための部位である。貫通孔435b3に挿入されるロッドは、側部フレーム403b3(側部431b3)の貫通孔436b3に装着されるクランプC(
図5参照)に締め付けられる。これにより、打楽器400がロッドに支持される。
【0076】
側部フレーム403b3の下部430b3が支持フレーム403b1に固定された状態においては、側部フレーム403b3の上部432b3の内縁が上部フレーム403b2の被固定部430b2に重ねられる。これにより、支持フレーム403b1の壁部32から上部フレーム403b2が脱落することを抑制できる。
【0077】
ここで、上述した長辺フレーム403aの被覆部436aのように、短辺フレーム403bの被覆部431b2(上部フレーム403b2)も支持フレーム403b1の壁部32と一体的に形成する構成であると、支持フレーム403b1の保持空間S1の周方向両端(
図7(a)の紙面垂直方向における端部)から短辺枠体12を挿入する必要がある。このような支持フレーム403b1(保持空間S1)の周方向両端からの短辺枠体12の挿入は、長辺枠体11に長辺フレーム403aを装着した状態(
図6(a)の状態)では困難になる。
【0078】
これに対して本実施形態では、短辺フレーム403bの被覆部431b2(上部フレーム403b2)は、支持フレーム403b1の壁部32に対する着脱が可能になっているため、支持フレーム403b1の保持空間S1の上方側から短辺枠体12を挿入できる。よって、長辺枠体11に各長辺フレーム403aを装着した状態(
図6(a)の状態)においても、長辺フレーム403a同士の間に支持フレーム403b1を下方から嵌め込むことができる。
【0079】
これにより、長辺フレーム403aの壁部32に被覆部436aが一体に形成される場合、即ち長辺フレーム403a(保持空間S1)の周方向両端側からしか長辺枠体11を挿入できない場合であっても、長辺枠体11及び短辺枠体12を長辺フレーム403a及び短辺フレーム403bの保持空間S1に挿入しつつ、それらの各フレーム403a,403bの連結(打楽器400の組立て)を容易にできる。言い換えると、長辺フレーム403aの被覆部436aを壁部32に対して着脱させる必要がなく、一体に形成できるので、部品点数を低減できる。
【0080】
以上、上記実施形態に基づき説明をしたが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記各実施形態において、1の実施形態の一部または全部を、他の1又は複数の実施形態の一部または全部と入れ替えて又は組み合わせて、打楽器100,200,300,400を構成しても良い。よって、例えば第1~3実施形態のフレーム3,203,303を第4実施形態のフレーム403(長辺フレーム403a,403b)のように分割することは可能であるし、第4実施形態の膜体10(フレーム403)を第3実施形態の膜体310(フレーム303)のように円形にすることも可能である。
【0081】
また、上記第2実施形態では、長辺枠体211にボルト2がねじ込まれる場合を説明したが、これと同様、第1,3,4実施形態の長辺枠体11及び円弧枠体311にボルト2をねじ込んで膜体10,310に張力を付与することも可能である。
【0082】
上記各実施形態では、膜体10が網状である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、膜体10は、合成樹脂製のフィルムなどの他の公知の材料を用いて形成しても良い。
【0083】
上記各実施形態では、長辺枠体11,211、短辺枠体12,212、及び円弧枠体311,312a,312bの各枠体をボルト2によって引っ張って膜体10に張力を付与する場合、即ち張力付与部材がボルト2である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。従来技術(例えば、特開2019-148623号公報)のように、環状のフープなどの他の張力付与部材によって各枠体を打楽器の胴部(フレーム)側に押し付ける構成でも良い。この構成においても、周方向に並ぶ枠体の各々を引っ張ることできるので、膜体10に張力を均一に付与できる。
【0084】
上記各実施形態では、長辺枠体211に2本のボルト2をねじ込む構成や、短辺枠体12,212や円弧枠体312a,312bに1本のボルト2をねじ込む構成を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、長辺枠体211に1又は3本以上のボルト2をねじ込む構成や、短辺枠体12,212や円弧枠体312a,312bに複数のボルト2をねじ込む構成でも良い。
【0085】
上記各実施形態では、金属製の長辺枠体11,211、短辺枠体12,212、及び円弧枠体311,312a,312bの各枠体が膜体10に接着される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、樹脂材料を用いて各枠体を形成しても良く、この場合には、金型成形によって各枠体を膜体10と一体的に形成しても良い。
【0086】
また、各枠体をリベットなどの他の固定手段によって膜体10に接合しても良い。また、このような接合を行う場合に、必ずしも一対の固定枠11a,11b,12a,12bで膜体10の外縁を挟み込む必要は無い。
【0087】
上記各実施形態では、短辺枠体12,212(円弧枠体312a,312b)よりも長辺枠体11,211(円弧枠体311)の長さが長い場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、各枠体の長さが同一であっても良い。
【0088】
上記第1,2,4実施形態では、膜体10(フレーム3,203,403)が六角形状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、膜体10(フレーム3,203,403)は、三角形や四角形などの他の多角形(正多角形)であっても良い。
【0089】
上記第1,2,4実施形態では、複数の打面センサ4a~4cが膜体10の頂点10cの近傍に設けられる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、打面センサ4a~4cは、かかる頂点10cの近傍よりも膜体10の中央側に配置しても良い。また、膜体10への打撃を1つの打面センサで検出する構成でも良い。
【0090】
上記第1,2,4実施形態では、打面センサ4a~4cやシートセンサ5を備える打楽器100,200,400(電子打楽器)について説明し、第3実施形態では、それらのセンサを備えていない打楽器300について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、打楽器100,200,400の打面センサ4a~4cやシートセンサ5を省略しても良いし、打面センサ4a~4cやシートセンサ5に相当するセンサを打楽器300に設けても良い。
【0091】
上記第4実施形態では、長辺フレーム403aの壁部32の外周側に空洞S2が形成さる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、空洞S2を省略しても良い。
【0092】
上記第4実施形態では、長辺フレーム403aの壁部32に被覆部436aが一体的に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、短辺フレーム403bの被覆部431b2(上部フレーム403b2)と同様、被覆部436aを長辺フレーム403aの壁部32と別体にする構成でも良い。
【符号の説明】
【0093】
100,200,300,400 打楽器
1,201,301 ドラムヘッド
10,310 膜体
10c 多角形状の膜体の頂点
11,211 長辺枠体(枠体、第1の枠体)
11a,11b 固定枠
311 円弧枠体(枠体、第1の枠体)
12,212 短辺枠体(枠体、第2の枠体)
12a,12b 固定枠
312a,312b 円弧枠体(枠体、第2の枠体、固定枠)
2 ボルト(張力付与部材)
3,203,303,403 フレーム
30 支持部
31 底部
32 壁部
403a 長辺フレーム(第1のフレーム)
436a 被覆部
403b 短辺フレーム(第2のフレーム)
431b2 被覆部
4a~4c 打面センサ(センサ)
S1 保持空間
S2,S3 空洞