(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079689
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】点灯装置および照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 47/105 20200101AFI20230601BHJP
H05B 45/14 20200101ALI20230601BHJP
H05B 45/375 20200101ALI20230601BHJP
H05B 45/345 20200101ALI20230601BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20230601BHJP
【FI】
H05B47/105
H05B45/14
H05B45/375
H05B45/345
H05B47/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193276
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝原 信一
(72)【発明者】
【氏名】船山 信介
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA07
3K273QA17
3K273QA32
3K273RA02
3K273RA13
3K273SA09
3K273SA35
3K273SA45
3K273SA46
3K273TA03
3K273TA07
3K273TA08
3K273TA14
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA37
3K273TA62
3K273UA18
3K273UA22
3K273UA28
3K273UA29
3K273UA30
(57)【要約】
【課題】コンデンサの充電時間を短縮できる点灯装置および照明器具を得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る点灯装置は、スイッチング素子と、インダクタと、光源と並列に接続されるコンデンサと、を有し、前記スイッチング素子のオンオフにより前記インダクタにインダクタ電流が流れて前記光源を点灯させるスイッチング電源部と、前記インダクタ電流が、外部から入力される調光信号に対応する電流値となるように、前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記調光信号に応じて前記光源を消灯状態から点灯させる際に、前記調光信号に対応する明るさが予め定められた閾値よりも大きい場合、前記インダクタ電流を前記調光信号に対応する電流値に制御して前記光源を点灯させ、前記調光信号に対応する明るさが前記閾値よりも小さい場合、前記インダクタ電流を前記調光信号に対応する第1電流値よりも大きい第2電流値に制御して前記光源を点灯させた後に、前記インダクタ電流を前記第1電流値とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子と、インダクタと、光源と並列に接続されるコンデンサと、を有し、前記スイッチング素子のオンオフにより前記インダクタにインダクタ電流が流れて前記光源を点灯させるスイッチング電源部と、
前記インダクタ電流が、外部から入力される調光信号に対応する電流値となるように、前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記調光信号に応じて前記光源を消灯状態から点灯させる際に、前記調光信号に対応する明るさが予め定められた閾値よりも大きい場合、前記インダクタ電流を前記調光信号に対応する電流値に制御して前記光源を点灯させ、前記調光信号に対応する明るさが前記閾値よりも小さい場合、前記インダクタ電流を前記調光信号に対応する第1電流値よりも大きい第2電流値に制御して前記光源を点灯させた後に、前記インダクタ電流を前記第1電流値とすることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記インダクタ電流を前記第2電流値から前記第1電流値まで段階的または連続的に変化させることを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記インダクタ電流が前記第2電流値から前記第1電流値に変化する期間は、前記コンデンサの充電が開始されてから前記光源が点灯するまでの期間よりも長いことを特徴とする請求項1または2に記載の点灯装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の点灯装置と、
前記光源と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には点灯装置が開示されている。この点灯装置は、スイッチング素子、インダクタ、ダイオード、平滑コンデンサを含むチョッパ回路と、チョッパ回路を制御する制御回路を備える。制御回路には、調光信号のデューティ比を判定する判定部と、スイッチング素子を駆動するための駆動信号を出力する出力制御部とが設けられている。通常モードにおいて、制御回路は、判定部の判定結果に従って出力制御部から駆動信号を出力して固体発光素子を点灯させる。充電モードにおいて、制御回路は、インダクタに流れる電流の平均値を、通常モード時よりも大きくして平滑コンデンサの両端電圧が規定電圧になるまで平滑コンデンサを充電する。電力供給時に、充電モードにより平滑コンデンサを充電後、通常モードにより固体発光素子を点灯させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、光源部が点灯開始する電圧よりも小さい電圧までは平滑コンデンサの充電速度を早くすることができる。しかし、点灯開始前から点灯状態と同じ電流で平滑コンデンサを充電するため、結果として平滑コンデンサの充電に時間がかかる可能性がある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、コンデンサの充電時間を短縮できる点灯装置および照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る点灯装置は、スイッチング素子と、インダクタと、光源と並列に接続されるコンデンサと、を有し、前記スイッチング素子のオンオフにより前記インダクタにインダクタ電流が流れて前記光源を点灯させるスイッチング電源部と、前記インダクタ電流が、外部から入力される調光信号に対応する電流値となるように、前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記調光信号に応じて前記光源を消灯状態から点灯させる際に、前記調光信号に対応する明るさが予め定められた閾値よりも大きい場合、前記インダクタ電流を前記調光信号に対応する電流値に制御して前記光源を点灯させ、前記調光信号に対応する明るさが前記閾値よりも小さい場合、前記インダクタ電流を前記調光信号に対応する第1電流値よりも大きい第2電流値に制御して前記光源を点灯させた後に、前記インダクタ電流を前記第1電流値とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る点灯装置では、調光信号に対応する明るさが閾値よりも小さい場合、インダクタ電流を調光信号に対応する第1電流値よりも大きい第2電流値に制御して光源を点灯させた後に、インダクタ電流を第1電流値とする。従って、コンデンサの充電時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る照明器具の回路ブロック図である。
【
図2】調光信号レベルが閾値よりも大きい場合の、実施の形態1に係る照明器具の動作を説明する図である。
【
図3】調光信号レベルが閾値よりも小さい場合の、実施の形態1に係る照明器具の動作を説明する図である。
【
図4】調光信号レベルが閾値よりも小さい場合の、実施の形態2に係る照明器具の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各実施の形態に係る点灯装置および照明器具について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具100の回路ブロック図である。照明器具100は、点灯装置10と光源部60を備える。光源部60は、発光素子として例えば直列に接続された複数のLEDを有する。点灯装置10には、直流電圧DCが供給される。また、点灯装置10には、外部から調光信号40が入力される。なお、直流電圧DCは、例えば、商用電源から供給された交流電力をAC-DC変換回路などで変換して得られる直流電圧である。直流電圧DCは、太陽電池、バッテリー、直流給電システムなどの直流電源電圧であっても良い。
【0011】
点灯装置10は、スイッチング電源部20と制御回路を備える。スイッチング電源部20は、スイッチング素子Q1と、インダクタL1と、コンデンサC1とを有する。スイッチング電源部20は、スイッチング素子Q1のオンオフによりインダクタL1にインダクタ電流が流れて光源部60を点灯させる。
【0012】
スイッチング素子Q1は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子Q1のドレインは直流電圧DCの正電極に接続され、スイッチング素子Q1のソースは、ダイオードD1のカソードおよびインダクタL1の一端に接続されている。インダクタL1の他端には、コンデンサC1の高電位側が接続される。コンデンサC1と並列に光源部60が接続されている。コンデンサC1の低電位側および光源部60のカソード側には、抵抗R1が接続される。抵抗R1の他端は回路グランドに接続される。回路グランドには、ダイオードD1のアノードおよび直流電圧DCの負電極も接続されている。このように、直流電圧DCと光源部60の間に、スイッチング素子Q1、ダイオードD1、インダクタL1で構成されるバックコンバータ回路が接続される。
【0013】
本実施の形態の制御回路は、点灯制御IC30、MOSFETドライバー32、比較回路34、調光信号検出回路36から構成される。比較回路34において、抵抗R1にはインダクタL1と等しい電流が流れる。このインダクタ電流は抵抗R1で電圧変換され、抵抗R2を介して比較器OP1の-端子に入力される。比較器OP1の-端子と出力端子との間にはコンデンサC2が接続される。コンデンサC2は、比較器OP1の位相補償コンデンサである。
【0014】
抵抗R1に発生した電圧は、抵抗R2およびコンデンサC2から構成される積分回路で平均化されて比較器OP1で検出される。インダクタL1の平均電流は光源部60の平均電流に等しい。このため、比較器OP1は、光源部60に流れる平均電流を検出していることになる。比較器OP1の出力端子は、点灯制御IC30のP2端子に接続される。
【0015】
比較器OP1の+端子には、基準電圧である電圧V1が入力される。電圧V1は、調光信号40に基づき調光信号検出回路36で生成された電圧である。調光信号検出回路36は調光信号40を解析して電圧V1を生成する。調光信号40は、例えばPWM(Pulse Width Modulation)信号であり、duty比により光源部60の明るさを指示する信号である。以下では、調光信号40に対応する明るさを調光信号レベルと呼ぶことがある。
【0016】
点灯制御IC30は例えばマイコンである。点灯制御IC30のP1端子は、スイッチング素子Q1の駆動信号を出力し、MOSFETドライバー32を介してスイッチング素子Q1を駆動させる。MOSFETドライバー32は、点灯制御IC30のP1端子から出力された電圧レベルを、スイッチング素子Q1がオンオフできる電圧レベルに変換している。
【0017】
以下に、スイッチング電源部20のスイッチング動作にて光源部60を点灯させる際の動作について説明する。スイッチング素子Q1がオンすると、直流電圧DCからインダクタL1を介して、コンデンサC1および光源部60が構成する並列回路に高周波電流が供給される。コンデンサC1は、インダクタL1から得られる高周波電流を平滑して光源部60に供給する。スイッチング素子Q1がオフすると、スイッチング素子Q1がオンしているときに蓄えられたインダクタL1のエネルギーが、コンデンサC1および光源部60が構成する並列回路とダイオードD1を介して放出される。このように、スイッチング素子Q1がスイッチングすると、インダクタ電流は抵抗R1に流れる。
【0018】
抵抗R1の電圧は、比較回路34において電圧V1と比較される。この比較結果が点灯制御IC30のP2端子で検出される。点灯制御IC30のP2端子はスイッチング制御のオン幅検出端子であり、スイッチング素子Q1のオン時間を制御するために用いられる。比較器OP1は、抵抗R1で検出された電圧が電圧V1と一致するように出力電圧を変更する。この出力電圧に応じて、点灯制御IC30はスイッチング素子Q1のオン時間を制御する。このように本実施の形態の制御回路は、インダクタ電流が、外部から入力される調光信号に対応する電流値となるように、スイッチング素子Q1のオンオフを制御する。光源部60に流れる電流は、光源部60が調光信号40に対応する明るさとなるように、定電流制御される。
【0019】
また、調光信号検出回路36は、内部に予め定められた閾値を記憶している。調光信号検出回路36は、調光信号40によって光源部60が消灯状態から点灯状態に遷移するときに、調光信号レベルが閾値より高いか低いかを判別する。この判別結果に応じて、調光信号検出回路36は電圧V1を変更する。
【0020】
図2は、調光信号レベルが閾値よりも大きい場合の、実施の形態1に係る照明器具100の動作を説明する図である。調光信号レベルが高いことは、光源部60を明るく点灯させることを意味する。時刻t0では、調光信号レベルが消灯状態を指示している。このため、電圧V1はゼロであり、L1電流平均値として示されるインダクタ電流が流れていない。即ち、スイッチング電源部20は動作していない。このとき、コンデンサC1は充電されておらず、光源部電流も流れていない。
【0021】
時刻t1で、調光信号レベルが消灯状態から点灯状態になったとする。このときの調光信号レベルは閾値よりも大きい。これを受けて調光信号検出回路36は、光源部60の明るさが調光信号レベルになるように、電圧V1の生成を開始する。
【0022】
時刻t2において、調光信号検出回路36は電圧V1を出力する。これに応じて、スイッチング電源部20が動作を開始し、インダクタ電流が流れる。これに伴い、コンデンサC1が充電され始める。時刻t2から時刻t3の間は、コンデンサC1に電荷が充電される期間である。
【0023】
時刻t3になると、コンデンサC1の電圧は光源部60に電流が流れ始める所謂立ち上がり電圧に達する。時刻t2から時刻t3までは光源部60に電流が流れていないため、インダクタ電流はほぼコンデンサC1に流れる。このため、立ち上がり電圧までの起動時間T、つまり、時刻t2から時刻t3までの時間は、おおよそ次の式(1)で算出できる。T=C1×Vf/IL1(式(1))。ここで、Vfは光源部60の立ち上がり電圧であり、IL1はインダクタ電流の平均値である。
【0024】
時刻t3から時刻t4までは光源部60に電流が流れているため、コンデンサC1の電圧上昇は緩やかになる。時刻t4になると、インダクタ電流と光源部電流が等しくなり、コンデンサC1の電圧上昇がなくなる。時刻t4以降の光源部電流は、電圧V1に応じた値となる。電圧V1は調光信号40が変わらなければ一定に維持される。このように本実施の形態の制御回路は、調光信号に応じて光源部60を消灯状態から点灯させる際に、調光信号40に対応する明るさが閾値よりも大きい場合、インダクタ電流を調光信号40に対応する電流値に制御して光源部60を点灯させる。
【0025】
ここで、消灯状態から点灯状態までの起動時間は、式(1)の通り、インダクタ電流によって変わる。インダクタ電流は点灯状態での光源部電流に等しいため、調光信号レベルによって起動時間が変わることとなる。100%点灯である全光点灯に対して、例えば調光率が低い0.1%点灯では、起動時間は1000倍になる。
【0026】
例えば全光点灯時の光源部電流が100mA、コンデンサC1の容量が1μF、立ち上がり電圧Vfが200Vのとき、起動時間Tは2msになる。これに対し、調光率0.1%では光源部電流が0.1mAになるため、起動時間Tは2sになる。コンデンサC1容量は例えばスイッチング電源部20の動作周波数および光源部60の電流電圧特性によって決まり、立ち上がり電圧Vfは例えば光源部60の特性によって決まる。しかし、C1、Vfの値に関わらず、調光率0.1%の起動時間は全光点灯時の1000倍になる。
【0027】
次に、このような長い起動時間を回避するための制御について説明する。
図3は、調光信号レベルが閾値よりも小さい場合の、実施の形態1に係る照明器具100の動作を説明する図である。時刻t0での動作は
図2で説明した動作と同様である。時刻t1において、調光信号レベルが消灯状態から点灯状態になったとする。この時の調光信号レベルは閾値よりも小さい。これを受けて調光信号検出回路36が電圧V1の生成を開始する。この際の電圧V1は、調光信号40に応じた電圧よりも高い電圧である。即ち、調光信号検出回路36は、光源部60が調光信号レベルよりも明るくなるように、電圧V1を生成する。
【0028】
時刻t2、t3での動作は、
図2で説明した動作と同様である。時刻t2から時刻t3の間は、コンデンサC1に電荷が充電される。時刻t3から時刻t4までは光源部60に電流が流れているため、コンデンサC1の電圧上昇は緩やかになる。時刻t4において、インダクタ電流と光源部電流が等しくなり、コンデンサC1の電圧上昇が停止する。時刻t4以降の光源部電流は電圧V1に応じた値となる。
【0029】
時刻t4から時刻t5における電圧V1は、調光信号40に応じた電圧よりも高い電圧である。このため、インダクタ電流も調光信号40に対応する第1電流値I1より大きい第2電流値I2となる。時刻t5において、調光信号検出回路36は調光信号40に応じた点灯状態になるように電圧V1を変更する。これに伴い、インダクタ電流が第1電流値I1に低下し、光源部電流も低下する。なお、光源部電流の低下に伴い、光源部電圧も低下するため、コンデンサC1の電圧も低下する。このように本実施の形態の制御回路は、調光信号40に対応する明るさが閾値よりも小さい場合、インダクタ電流を調光信号に対応する第1電流値I1よりも大きい第2電流値I2に制御して光源部60を点灯させた後に、インダクタ電流を第1電流値とする。
【0030】
本実施の形態では、インダクタ電流を、調光信号40に応じた第1電流値I1よりも大きい第2電流値I2に設定してコンデンサC1を充電する。このため、コンデンサC1の充電速度を速めて、消灯状態から点灯状態になるまでの起動時間を短縮できる。また、インダクタ電流を第2電流値I2に設定して光源部60を点灯させてからインダクタ電流を第1電流値I1にすることで、コンデンサC1の充電時間をさらに短縮できる。従って、消灯状態から点灯するまでの待ち時間により、使用者が感じるストレスを抑制できる。
【0031】
例えば、コンデンサC1容量が1μF、立ち上がり電圧Vfが200V、調光信号レベルが調光率0.1%の場合に、時刻t5まで調光率0.3%で動作させたとする。このとき、時刻t5までの期間も調光率0.1%で動作させた場合と比較して、起動時間Tは3分の1になり、0.67sに短縮される。
【0032】
本実施の形態の比較例として、大きいインダクタ電流でコンデンサC1を充電し、点灯開始前に、インダクタ電流を調光信号レベルに応じた電流値に切り替える制御を考える。この場合、コンデンサC1の充電電流を切り替えるトリガを精度良く検出する必要が生じる。よって、例えば電圧測定のために、各部品のバラツキおよび光源部60のVF特性を設計に精度よく反映する必要がある。
【0033】
これに対し、本実施の形態では、光源部60が消灯状態から点灯開始するまでインダクタ電流を変更する必要がない。このため、設定パラメータを低減でき、部品バラツキの影響を抑制できる。また、光源部60を照明器具100に取り付けた状態で調整するような工程を省略できる。よって、点灯装置10を構成する電子部品の標準化および設計作業の工数を低減できる。従って、省エネルギー化、省資源化にも貢献できる。
【0034】
本実施の形態では、光源部60が点灯した後、時刻t5にて光源部電流が低下して明るさが変化する。しかし、明るさを変化させる制御は調光信号レベルが小さい場合に実施される。このため、使用者が明るさの変化により感じる違和感を抑制できる。
【0035】
時刻t2から時刻t5における電圧V1は、コンデンサC1の容量、立ち上がり電圧Vfの値などに応じて設定できる。時刻t2から時刻t5における電圧V1は、時刻t5以降の電圧V1に対して予め定められた値だけ高い電圧であっても良い。
【0036】
また、制御回路の構成は、
図1に示されるものに限らない。例えば、点灯制御IC30、MOSFETドライバー32、比較回路34、調光信号検出回路36の一部または全ての機能が、1つの制御装置で実現されても良い。
【0037】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る点灯装置および照明器具について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る点灯装置および照明器具については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0038】
実施の形態2.
図4は、調光信号レベルが閾値よりも小さい場合の、実施の形態2に係る照明器具100の動作を説明する図である。本実施の形態では、調光信号レベルが閾値よりも小さい場合において、時刻t5以降の動作が実施の形態1と異なる。時刻t0から時刻t4までの動作は実施の形態1と同様である。時刻t5から時刻t6において、調光信号検出回路36は、電圧V1を調光信号40に応じた電圧まで連続的に線形に低下させる。これに伴い、インダクタ電流および光源部電流が低下する。時刻t6において、光源部60は調光信号レベルに応じた点灯状態になる。
【0039】
このように、本実施の形態の制御回路は、インダクタ電流を第2電流値I2から第1電流値I1まで連続的に変化させる。これにより明るさの時間変化を抑制でき、使用者が感じる違和感をさらに抑制できる。なお、インダクタ電流が第2電流値I2から第1電流値I1に変化する期間は、コンデンサC1の充電が開始されてから光源部60が点灯するまでの期間よりも長いことが好ましい。つまり、時刻t5から時刻t6までの期間は、時刻t2から時刻t3までの起動よりも長いことが好ましい。
【0040】
インダクタ電流の時間変化は、
図4に示されるものに限らない。例えばインダクタ電流は、第2電流値I2から第1電流値I1まで段階的に変化しても良い。インダクタ電流の変化速度は一定では無くても良い。例えば、インダクタ電流はインダクタ電流が小さいほど早く変化しても良い。
【0041】
各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0042】
10 点灯装置、20 スイッチング電源部、32 MOSFETドライバー、34 比較回路、36 調光信号検出回路、40 調光信号、60 光源部、100 照明器具、C1、C2 コンデンサ、D1 ダイオード、30 点灯制御IC、L1 インダクタ、OP1 比較器、Q1 スイッチング素子、R1、R2 抵抗