(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079700
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20230601BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
H04N1/00 Z
B41J29/38 203
B41J29/38 204
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193293
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】天田 大鉄
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061HJ07
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HK19
2C061HN05
2C061HN15
2C061HP00
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA12
5C062AA14
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB20
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AE16
5C062AF06
5C062AF12
(57)【要約】
【課題】従来と比較して作業効率を向上させる。
【解決手段】操作手段に対して行われた操作に基づいてログイン認証を行う認証処理部と、前記ログイン認証された後に、前記操作手段に機能を使用する使用権限を与え、当該使用権限を与えた後、所定時間、前記操作手段からの応答がない場合に、前記操作手段に与えた前記使用権限を解除する排他制御部と、前記操作手段に前記機能の前記使用権限が与えられている場合に、前記操作手段に対して行われた操作に基づいて前記機能を実行する機能実行部と、自装置の状態を検知する状態検知部とを備え、前記排他制御部は、前記状態検知部の検知結果に基づいて、前記操作手段に与えた前記使用権限を前記所定時間経過後に解除するか否かを決定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作手段に対して行われた操作に基づいてログイン認証を行う認証処理部と、
前記ログイン認証された後に、前記操作手段に機能を使用する使用権限を与え、当該使用権限を与えた後、所定時間、前記操作手段からの応答がない場合に、前記操作手段に与えた前記使用権限を解除する排他制御部と、
前記操作手段に前記機能の前記使用権限が与えられている場合に、前記操作手段に対して行われた操作に基づいて前記機能を実行する機能実行部と、
自装置の状態を検知する状態検知部と
を備え、
前記排他制御部は、
前記状態検知部の検知結果に基づいて、前記操作手段に与えた前記使用権限を前記所定時間経過後に解除するか否かを決定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記状態検知部は、
前記自装置が所定の状態であることを検知し、
前記排他制御部は、
前記所定の状態に対する所定の作業が行われている場合に、前記操作手段からの応答がないまま前記所定時間が経過しても、前記操作手段に与えた前記使用権限を解除しない
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記排他制御部は、
前記状態検知部により前記所定の状態であると検知された状態で、前記所定時間よりも長い時間に設定された作業時間が経過しても、前記状態検知部により前記作業が完了したと検知されない場合に、前記操作手段に与えた前記使用権限を解除する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記排他制御部は、
前記状態検知部により前記所定の状態であると検知された際に、前記操作手段に対して前記所定の状態に対する前記所定の作業を行わない選択をする操作が行われると、前記操作手段に与えた前記使用権限を解除する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定の状態とは、消耗品の交換が必要な状態である
ことを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記所定の作業とは、消耗品の交換作業である
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記操作手段から応答がない場合というのは、
前記操作手段に対する操作が行われてなく、且つ前記機能実行部が機能を実行していない場合である
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
ログイン認証された複数の前記操作手段から操作することが可能な情報処理装置であって、
前記排他制御部は、
一の前記操作手段に機能を使用する使用権限を与えた後、所定時間、前記一の操作手段からの応答がない場合に、前記一の操作手段に与えた前記使用権限を、他の前記操作手段に委譲するようになっていて、
さらに前記排他制御部は、
前記状態検知部により前記所定の状態であると検知されている間は、前記一の操作手段からの応答がないまま前記所定時間経過しても、前記一の操作手段に与えた前記使用権限を前記他の操作手段に委譲しない
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記排他制御部は、
前記一の操作手段に前記使用権限を与えた前記機能が、前記所定の作業中でも使用可能な機能である場合、前記状態検知部により前記所定の状態であると検知されている間、前記一の操作手段に与えた前記使用権限を前記他の操作手段に委譲する
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記排他制御部は、
前記状態検知部により前記作業が完了したと検知されると、前記他の操作手段に与えていた前記使用権限を前記一の操作手段に戻す
ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
情報処理装置による情報処理方法であって、
認証処理部が、操作手段に対して行われた操作に基づいてログイン認証を行い、前記ログイン認証された後に、前記操作手段に機能を使用する使用権限を与え、当該使用権限を与えた後、所定時間、前記操作手段からの応答がない場合に、前記操作手段に与えた前記使用権限を解除する排他制御部が、前記情報処理装置の状態を検知する状態検知部の検知結果に基づいて、前記操作手段に与えた前記使用権限を前記所定時間経過後に解除するか否かを決定する
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複合機などの情報処理装置では、例えばPC(パーソナルコンピュータ)などの操作手段を複数設け、複数の操作者(すなわちユーザ)により互いに離れた複数の場所から操作できるようになっている。この種の情報処理装置では、一のユーザに操作を行う権限が与えられている場合に、他のユーザによる操作を制限する排他制御を行うようになっている。
【0003】
またこのような排他制御を行う情報処理装置では、一のユーザが操作を行う権限(具体的には排他制御の対象となる機能を使用する使用権限)を解除し忘れた場合に他のユーザが不必要に待たされてしまう対策として、一のユーザから所定時間応答がない場合に、一のユーザに与えられていた使用権限を解除して他のユーザに委譲するようになっている(例えば特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の情報処理装置では、例えば、一のユーザが消耗品の補充や交換などの作業をしている場合、所定時間応答できない状況となり、一のユーザに与えられていた使用権限が解除されて他のユーザに委譲されてしまう。この場合、一のユーザは、消耗品の補充や交換などの作業を終えた後、使用していた機能を継続使用できず、作業効率が低下するという問題を有していた。
【0006】
本発明は以上の点を考慮したものであり、従来と比較して作業効率を向上し得る情報処理装置及び情報処理方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報処理装置は、操作手段に対して行われた操作に基づいてログイン認証を行う認証処理部と、前記ログイン認証された後に、前記操作手段に機能を使用する使用権限を与え、当該使用権限を与えた後、所定時間、前記操作手段からの応答がない場合に、前記操作手段に与えた前記使用権限を解除する排他制御部と、前記操作手段に前記機能の使用権限が与えられている場合に、前記操作手段に対して行われた操作に基づいて前記機能を実行する機能実行部と、自装置の状態を検知する状態検知部とを備え、前記排他制御部は、前記状態検知部の検知結果に基づいて、前記操作手段に与えた前記使用権限を前記所定時間経過後に解除するか否かを決定するようにした。
【0008】
また本発明の情報処理方法は、情報処理装置による情報処理方法であって、認証処理部が、操作手段に対して行われた操作に基づいてログイン認証を行い、前記ログイン認証された後に、前記操作手段に機能を使用する使用権限を与え、当該使用権限を与えた後、所定時間、前記操作手段からの応答がない場合に、前記操作手段に与えた前記使用権限を解除する排他制御部が、情報処理装置の状態を検知する状態検知部の検知結果に基づいて、前記操作手段に与えた前記使用権限を前記所定時間経過後に解除するか否かを決定するようにした。
【0009】
本発明によれば、例えば情報処理装置の状態が消耗品の交換作業中である場合には、操作手段からの応答がないまま所定時間経過しても操作手段に与えた前記使用権限を解除しないようにすることができる。こうすることで、ユーザが消耗品の交換作業をしている途中で、使用していた機能の使用権限が解除される状況を回避することができ、ユーザが消耗品の交換作業完了後に、使用していた機能を継続使用することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、従来と比較して作業効率を向上し得る情報処理装置及び情報処理方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施の形態による情報処理システムの構成を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態による情報処理装置の要部構成を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態による情報処理装置のシステム構成を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態による端末装置のシステム構成を示す図である。
【
図5】第1の実施の形態による情報処理装置の制御部の機能構成を示す図である。
【
図6】第1の実施の形態による端末装置の機能構成を示す図である。
【
図7】第1の実施の形態によるログイン画面の構成を示す図である。
【
図8】第1の実施の形態によるホームメニュー画面の構成を示す図である。
【
図9】第1の実施の形態によるコピーメニュー画面の構成を示す図である。
【
図10】第1の実施の形態による端末装置側に表示されるホームメニュー画面の構成を示す図である。
【
図11】第1の実施の形態による使用権限を要求するとき、要求に応じて使用権限を委譲するときの画面の表示内容を示す図である。
【
図12】第1の実施の形態による使用権限を委譲した後の画面の表示内容を示す図である。
【
図13】第1の実施の形態による消耗品作業を行うときの画面の表示内容を示す図である。
【
図14】第1の実施の形態による画面の遷移を示す図である。
【
図15】第2の実施の形態による消耗品作業を行うときの画面の表示内容を示す図である。
【
図16】第2の実施の形態による画面の遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.情報処理システムの構成]
図1に、第1の実施の形態による情報処理システム1の構成を示す。この情報処理システム1は、情報処理装置100と、端末装置200と、ユーザ情報データベース300と、認証情報データベース400とで構成され、これらがネットワークNtを介して通信可能となっている。
【0014】
情報処理装置100は、例えば複合機である。端末装置200は、スマートフォンやPCなどであり、情報処理装置100の遠隔操作手段として用いられる。つまり、情報処理装置100は、自装置に設けられた直接操作手段としての操作表示パネルを用いて直接操作でき、また端末装置200を用いて遠隔操作できるようになっている。
【0015】
尚、
図1に示す情報処理システム1は、端末装置200が1台のみとなっているが、端末装置200が複数台設けられていてもよい。端末装置200が複数台設けられている場合、複数のユーザが各々の端末装置200を用いて情報処理装置100を遠隔操作することになる。
【0016】
ユーザ情報データベース300は、例えばサーバ上に構築されたデータベースである。このユーザ情報データベース300には、情報処理装置100を利用するユーザの情報(ユーザ情報と呼ぶ)が格納されている。ユーザ情報には、例えばユーザのユーザ名などが含まれている。
【0017】
認証情報データベース400も、例えばサーバ上に構築されたデータベースである。この認証情報データベース400には、ユーザ情報データベース300に登録されたユーザごとの認証情報が格納されている。認証情報は、情報処理装置100にログインする為の情報であり、例えば、ユーザ名とユーザIDとパスワードが含まれている。ユーザ情報データベース300に登録されているユーザ情報と、認証情報データベース400に登録されている認証情報は、ユーザ名により対応付けられている。
【0018】
ネットワークNtは、例えばインターネットやLANなどであり、装置間で情報通信できるものであればよく、単一のネットワークであってもよいし、複数のネットワークや通信回線により構築されたものでもよい。またネットワークNtは、有線ネットワークであってもよいし、無線ネットワークであってもよく、さらに有線と無線の混合ネットワークであってもよい。
【0019】
[1-2.情報処理装置の要部構成]
次に
図2を用いて、情報処理装置100の要部構成について説明する。情報処理装置100は上述したように例えば複合機である為、
図2は、複合機としての要部構成を示している。すなわち、情報処理装置100は、画像形成部110と、画像読取部120と、用紙搬送部130とで構成され、用紙搬送部130の上側に画像形成部110が設けられ、さらにこの画像形成部110の上側に画像読取部120が設けられている。
【0020】
画像形成部110は、カラー画像を形成する為の画像形成機構12を有している。画像形成機構12は、例えばブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色の印刷が可能なカラー電子写真プリンタとしての構成を備えている。画像形成機構12について詳しくは後述する。画像読取部120は、原稿を画像データとして読取可能なスキャナ装置により構成されている。
【0021】
用紙搬送部130は、用紙トレイ11と、定着器13とを有し、さらに記録媒体(つまり印刷媒体)としての記録用紙14を搬送する為の給紙ローラ20、レジストローラ対21、搬送ローラ対22、23、及び排出ローラ対24を備えている。
【0022】
用紙トレイ11は、内部に記録用紙14を積層した状態で収納し、用紙搬送部130内の下部に着脱自在に装着されている。給紙ローラ20は、用紙トレイ11に収納されている記録用紙14を、最上部から1枚ずつ取り出して用紙搬送路Rに繰り出す。用紙搬送路R上に設けられたレジストローラ対21及び搬送ローラ対22は、記録用紙14の斜行を矯正して画像形成部110の画像形成機構12に搬送する。
【0023】
画像形成機構12は、用紙搬送路Rに沿って着脱自在に配置された4つの画像形成ユニット25(具体的には画像形成ユニット25K、25Y、25M、25C)と、4つの画像形成ユニット25の各々に設けられた4つの露光ヘッド26、27、28、29と、転写処理部40とで構成される。
【0024】
4つの画像形成ユニット25は、使用するトナーの色が異なる点を除いて同一構成である。4つの画像形成ユニット25と、4つの露光ヘッド26、27、28、29は、電子写真プロセスにより、4つの画像形成ユニット25のそれぞれに設けられた感光体ドラム30上に、画像データに基づいてトナーにより現像された画像(トナー像)を形成する。
【0025】
転写処理部40は、記録用紙14を静電吸着して搬送する転写ベルト41と、図示しない駆動部により回転駆動されて転写ベルト41を駆動するドライブローラ42と、ドライブローラ42とともに転写ベルト41を張架するテンションローラ43a、43b、43cと、各画像形成ユニット25の感光体ドラム30と対向する位置で転写ベルト41を介して圧接するように配置された転写ローラ44、45、46、47とを有する。転写ローラ44、45、46、47は、転写電圧が印加されることにより、各画像形成ユニット25の感光体ドラム30上に形成されたトナー像を記録用紙14に転写する。
【0026】
定着器13は、転写処理部40によりトナー像が転写された記録用紙14を加熱及び加圧することにより、記録用紙14にトナー像を定着させる。トナー像が定着した記録用紙14は、用紙搬送路R上に設けられた搬送ローラ対23により搬送され、排出ローラ対24により、画像形成部110の上面部分を形成するカバー50に設けられたスタッカ51上に排出される。情報処理装置100の要部構成は、以上のようになっている。
【0027】
情報処理装置100は、上述した画像形成部110と画像読取部120と用紙搬送部130により、複写機能(コピー)と画像読取機能(スキャン)と印刷機能(プリント)を実現している。
【0028】
[1-3.情報処理装置のシステム構成]
つづけて
図3を用いて、情報処理装置100のシステム構成について説明する。情報処理装置100は、画像形成部110と、画像読取部120と、用紙搬送部130と、ファックス送受信制御部140と、送受信部150と、データ処理部160と、ユーザインタフェース部(以下、UI部とする)170と、制御部180と、記憶部190とで構成される。
【0029】
画像形成部110は、上述したように、記録用紙14に画像データに基づく画像(トナー像)を形成する。画像読取部120は、上述したように、スキャナ装置により構成され、セットされた原稿を光学的に読み取って画像データを生成する。用紙搬送部130は、上述したように、用紙トレイ11から取り出した記録用紙14を用紙搬送路Rに沿って搬送し、画像形成部110によって画像が形成された記録用紙14を、スタッカ51に排出する。
【0030】
ファックス送受信制御部140は、情報処理装置100が有するファクシミリ機能を実現する部分であり、ファックスによる画像データの送受信を制御する。送受信部150は、ネットワークNt上の外部機器(端末装置200、ユーザ情報データベース300、及び認証情報データベース400など)とデータの送受信を行う。
【0031】
データ処理部160は、例えば、情報処理装置100が有する図示しないCPUがプログラムを実行することにより実現されるソフトウェア機能部であり、画像形成部110が記録用紙14に画像を形成する為の画像データや、画像読取部120により読み取られた画像データなどに対するデータ処理を行う。
【0032】
UI部170は、操作画面を表示する表示部、及びユーザが操作入力を行う為の操作入力部として機能する部分であり、例えば操作表示パネルにより構成される。つまり、情報処理装置100は、このUI部170が直接操作手段となっていて、このUI部170を用いて直接操作できるようになっている。尚、情報処理装置100は、このUI部170により直接操作できるとともに、端末装置200により遠隔操作できるようになっていて、ここではUI部170を直接操作手段、端末装置200を遠隔操作手段と呼んでいる。また以降の説明では、これら直接操作手段と遠隔操作手段をまとめて操作手段と呼ぶ場合がある。
【0033】
制御部180も、データ処理部160と同様、ソフトウェア機能部であり、画像形成部110、画像読取部120、用紙搬送部130、ファックス送受信制御部140、送受信部150、及びUI部170を制御する。また詳しくは後述するが、制御部180は、情報処理装置100が有する機能の使用権限をどの操作手段(UI部170、端末装置200)が保有しているのかを示す使用権限情報を管理するとともに、情報処理装置100が有する機能の排他制御を行う。尚、排他制御とは、一の操作手段(例えばUI部170)により使用されている機能を、他の操作手段(例えば端末装置200)からは使用できなくする制御のことである。また情報処理装置100では、複数のユーザが同時に使用することはできない特定の機能についてのみ排他制御するようになっている。
【0034】
記憶部190は、例えばROMとRAMを含んでいる。記憶部190のROMは例えば不揮発性メモリであり、CPUがデータ処理部160や制御部180として機能する為のプログラム(つまりCPUにより実行されるプログラム)などが格納されている。RAMは、データ処理部160によるデータ処理や、制御部180による制御において、作業領域として用いられる。情報処理装置100のシステム構成は、以上のようになっている。
【0035】
[1-4.端末装置のシステム構成]
つづけて
図4を用いて、端末装置200のシステム構成について説明する。端末装置200は、上述したように、スマートフォンやPCなどであり、CPU210と、記憶部220と、送受信部230と、表示部240と、操作入力部250とで構成される。
【0036】
CPU210は、プログラムを実行することにより、各種演算を行う演算部、及び送受信部230、表示部240、及び操作入力部250を制御する制御部として機能する。記憶部220は、例えばROMとRAMを含んでいる。記憶部220のROMは例えば不揮発性メモリであり、CPU210により実行されるプログラムなどが格納されている。RAMは、CPU210による作業領域として用いられる。
【0037】
送受信部230は、ネットワークNt上の外部機器(情報処理装置100など)と情報の送受信を行う。表示部240は、情報処理装置100を遠隔操作する為の遠隔操作画面などを表示する。操作入力部250は、ユーザが操作入力を行う部分であり、例えばタッチパネルや、マウス、キーボードなどにより構成される。端末装置200のシステム構成は、以上のようになっている。
【0038】
[1-5.情報処理装置の制御部の機能構成]
つづけて
図5を用いて情報処理装置100の制御部180の機能構成について説明する。制御部180は、機能構成として、表示制御部181、操作受付部182、認証処理部183、排他制御部184、使用権限情報管理部185、機能実行部186、消耗品管理部187、及び装置状態管理部188を有している。
【0039】
表示制御部181は、操作画面(直接操作画面)のデータを生成し、このデータに基づいて、UI部170に操作画面を表示させる。具体的には、表示制御部181は、操作画面として、例えばログイン画面や、情報処理装置100が有する各種機能(コピー、スキャン、プリント、ファックスなど)をユーザが選択して使用する為のメニュー画面などをUI部170に表示させる。また詳しくは後述するが、表示制御部181は、排他制御の対象となっている機能の使用権限を委譲したり取得したりする為の画面表示を行うようにもなっている。
【0040】
操作受付部182は、操作画面に対してユーザがUI部170を用いて行った操作入力を受け付ける。具体的には、例えば、情報処理装置100にログインする為の認証情報の入力、操作画面の切替指示、各種機能の実行指示、各種機能の設定情報の入力などの操作入力を受け付ける。また詳しくは後述するが、操作受付部182は、排他制御の対象となっている機能の使用権限を委譲したり取得したりする為の操作を受け付けるようにもなっている。
【0041】
認証処理部183は、操作受付部182が受け付けた認証情報(つまりUI部170を用いて入力された認証情報)に基づいて、ユーザの認証処理を行い、情報処理装置100へのログインを許可するか否かを決定する。具体的には、認証処理部183は、操作受付部182を介して認証情報を取得すると、認証情報データベース400にアクセスし、認証情報に含まれるユーザIDとパスワードを照合して、認証情報データベース400に登録されている場合にはログインを許可し、登録されていない場合にはログインを許可しない。また認証処理部183は、送受信部150を介して端末装置200から受信した認証情報(つまり端末装置200を用いて入力された認証情報)に基づいて、ユーザの認証処理を行い、情報処理装置100へのログインを許可するか否かを決定するようにもなっている。
【0042】
排他制御部184は、排他制御の対象となっている特定の機能に対する排他制御を行う。つまり、排他制御部184は、一の操作手段(UI部170もしくは端末装置200)に対して特定の機能の使用権限を与えた場合、当該機能を他の操作手段(端末装置200もしくはUI部170)からは使用できないように制御する。また排他制御部184は、例えば、UI部170に対して特定の機能の使用権限を与えた後、送受信部230を介して端末装置200から当該機能の使用権限が要求され、さらにUI部170により当該機能の使用権限の委譲が許可された場合に、当該機能の使用権限を端末装置200に委譲させる。また排他制御部184は、例えば、UI部170に対して特定の機能の使用権限を与えた後、UI部170から所定時間何も応答が得られず放置された場合に、当該機能の使用権限を、自動的に機能の使用権限を要求する端末装置200に委譲させる。排他制御部184による制御について詳しくは後述する。
【0043】
尚、使用権限を保有している側の操作手段を、保有側操作手段と呼び、使用権限を要求する側の操作手段を、要求側操作手段と呼ぶ。また保有側操作手段から要求側操作手段に使用権限を委譲するということは、保有側操作手段が保有している使用権限を解除し、当該使用権限を要求側操作手段に与えることと同義である。
【0044】
使用権限情報管理部185は、排他制御部184からの指示に基づいて、排他制御の対象となっている機能ごとにどの操作手段に使用権限が与えられているかを示す使用権限情報を管理する。具体的には、例えばUI部170に対して複写(コピー)機能の使用権限を与えた場合、UI部170を示す情報と、UI部170を用いてログインしているユーザのユーザIDと、複写機能を示す情報とを関連付けた情報が使用権限情報として、使用権限情報管理部185により管理される。尚、操作手段に使用権限を与えることと、操作手段を用いてログインしているユーザに使用権限を与えることは同義である。
【0045】
機能実行部186は、操作受付部182が受け付けた指示、及び送受信部150を介して端末装置200から受信した指示に基づいて、情報処理装置100が備える各種機能を実行する。
【0046】
消耗品管理部187は、用紙トレイ11に収納されている記録用紙14や、各画像形成ユニット25に収納されているトナーなどの消耗品の残量を管理する。消耗品管理部187は、用紙トレイ11や各画像形成ユニット25に設けられたセンサにより、記録用紙14やトナーなどの消耗品がなくなったこと(つまり消耗品の交換が必要な状態になったこと)を検知すると、消耗品の交換が必要である旨と消耗品の交換作業が行われる旨を、排他制御部184に通知する。また消耗品管理部187は、消耗品の交換作業が完了して消耗品が補充されたこと(つまり消耗品の交換が必要ない状態になったこと)を検知すると、消耗品の交換作業が完了した旨を排他制御部184に通知する。
【0047】
装置状態管理部188は、情報処理装置100の状態として、消耗品の交換作業中であるかを管理する。例えば、用紙トレイ11に記録用紙14がなくなった場合、用紙トレイ11を開いて記録用紙14を補充することになる為、装置状態管理部188は、消耗品管理部187により消耗品がなくなったことが検知された後、用紙トレイ11が開いている間は、消耗品の交換作業中と判断し、その後、用紙トレイ11が閉じると、消耗品の交換作業が完了したと判断する。
【0048】
また例えば、画像形成ユニット25にトナーがなくなった場合、カバー50を開いてトナーを補充することになる為、装置状態管理部188は、カバー50が開いている間は、消耗品の交換作業中と判断し、その後、カバー50が閉じると、消耗品の交換作業が完了したと判断する。装置状態管理部188は、このようにして、消耗品の交換作業中と判断した場合に、消耗品の交換作業中である旨を排他制御部184に通知する。また装置状態管理部188は、消耗品の交換作業が完了したと判断した場合に、消耗品の交換作業が完了した旨を排他制御部184に通知する。
【0049】
排他制御部184では、消耗品管理部187と装置状態管理部188の少なくとも一方から、消耗品の交換作業中である旨の通知を受けた場合、使用権限を保有している保有側操作手段から所定時間何も応答が得られなくても、使用権限を要求側操作手段には委譲させないようになっている。これは、保有側操作手段のユーザが消耗品の交換作業を行っている間に、使用権限が要求側操作手段に委譲されてしまうと(つまり保有側操作手段が保有している使用権限が解除されてしまうと)、保有側操作手段のユーザが消耗品の交換作業完了後に、交換作業前に使用していた機能を、交換作業後もそのまま継続して使用することができなくなってしまう為である。
【0050】
その後、排他制御部184は、消耗品管理部187と装置状態管理部188の両方から、消耗品の交換作業が完了した旨の通知を受けると、使用権限を要求側操作手段に委譲させない状態を解除するようになっている。情報処理装置100の制御部180の機能構成は、以上のようになっている。
【0051】
[1-6.端末装置の機能構成]
つづけて
図6を用いて、端末装置200の機能構成について説明する。端末装置200は、機能構成として、表示制御部201と、操作受付部202と、送受信制御部203とを有している。尚、この機能構成は、CPU210の機能構成である。
【0052】
表示制御部201は、操作受付部202が受け付けた操作、及び情報処理装置100から送受信部230が受信した情報に基づいて遠隔操作画面を生成し、表示部240に表示させる。このとき、表示制御部201は、端末装置200でも情報処理装置100のUI部170と同様の操作を行うことができるように、遠隔操作画面としてログイン画面やメニュー画面を表示部240に表示させるようになっている。また詳しくは後述するが、表示制御部201は、情報処理装置100から送受信部230が受信した情報に基づいて、排他制御の対象となっている機能の使用権限を委譲したり取得したりする為の画面表示を行うようにもなっている。
【0053】
操作受付部202は、遠隔操作画面に対してユーザが操作入力部250を用いて行った操作入力を受け付ける。具体的には、例えば、情報処理装置100にログインする為の認証情報の入力、遠隔操作画面の切替指示、各種機能の実行指示、各種機能の設定情報の入力などの操作入力を受け付ける。また詳しくは後述するが、操作受付部202は、排他制御の対象となっている機能の使用権限を委譲したり取得したりする為の操作を受け付けるようにもなっている。
【0054】
送受信制御部203は、送受信部230を制御して、操作受付部202が受け付けた操作に基づく情報(認証情報、各種機能の実行指示、各種機能の設定情報など)を情報処理装置100に送信する。具体的には、送受信制御部203は、例えば、操作受付部202が受け付けた認証情報を情報処理装置100に送信することで、情報処理装置100の認証処理部183に認証処理を実行させ、認証結果を受信する。また送受信制御部203は、情報処理装置100から使用権限情報を受信し、表示制御部201に送る。表示制御部201は、使用権限情報に基づく表示を行う。具体的には、使用権限情報に基づいて、端末装置200側で使用できる機能と使用できない機能とを区別したメニュー画面を表示する。端末装置200の機能構成は、以上のようになっている。
【0055】
[1-7.情報処理装置の動作]
[1-7-1.操作画面の構成]
つぎに情報処理装置100の動作について説明する。まず情報処理装置100の動作として、情報処理装置100のUI部170に表示される操作画面の構成について説明する。尚、本実施の形態では、情報処理装置100のUI部170に表示される直接操作画面と、端末装置200の表示部240に表示される遠隔操作画面とで、基本的な構成が同一であり、情報処理装置100と端末装置200とで同様の操作を行うことができるようになっている。尚、情報処理装置100の直接操作画面と、端末装置200の遠隔操作画面は、完全に一致しているわけではなく、例えば、情報処理装置100の直接操作画面では使用可能な状態で表示されている機能が、端末装置200の遠隔操作画面では使用不可能な状態で表示されている場合がある。また同様の操作を行うことができるようになっていれば、情報処理装置100の直接操作画面と端末装置200の遠隔操作画面とで構成が部分的に異なっていてもよい。
【0056】
図7に、操作画面の1つであるログイン画面310を示す。このログイン画面310には、情報処理装置100にログインする為の認証情報(ユーザ名とパスワード)を入力する為のオブジェクトが表示されている。具体的には、ログイン画面310には、ログインするユーザのユーザ名を選択する為のユーザ名リスト311と、パスワードを入力する為のパスワード入力フォーム312が表示されている。またログイン画面310には、入力した認証情報に基づいてログイン(ログオンともいう)する為のログインボタン313と、ログインを中止する為のキャンセルボタン314が表示されている。
【0057】
ユーザ名リスト311には、情報処理装置100にログインして操作することが可能なユーザのユーザ名が表示される。このユーザ名リスト311に含まれるユーザ名は、ユーザ情報データベース300又は認証情報データベース400に登録されているユーザ名である。
【0058】
ユーザは、UI部170(もしくは端末装置200の操作入力部250)を用いて、ユーザ名リスト311のなかから自分のユーザ名を選択し、このユーザ名と関連付けて登録してあるパスワードを、パスワード入力フォーム312に入力し、ログインボタン313を押下操作することにより、情報処理装置100にログインする。尚、情報処理装置100へのログインは、このような画面上での認証情報の入力に限らず、例えば、ユーザの認証情報を記憶したICカードを、情報処理装置100に設けた図示しないカードリーダに読み取らせることで行うようにしてもよい。ログイン画面310の構成は、以上のようになっている。
【0059】
つづけて
図8に、操作画面の1つであるホームメニュー画面320を示す。このホームメニュー画面320には、情報処理装置100の機能をユーザが使用する為のオブジェクトが表示されている。具体的には、ホームメニュー画面320には、複数の機能ボタン321と、画面情報欄301と、操作者情報欄302と、ログオフする為のログオフボタン303が表示されている。
【0060】
機能ボタン321は、情報処理装置100の機能を使用する為の操作画面や、各種情報を表示する為のボタンである。
図8に示す例では、「コピー」、「スキャン」、「プリント」、「ファックス」、「ジョブリスト」、「その他設定」の計6個の機能ボタン321が表示されている。「コピー」の機能ボタン321は、複写機能を使用する為の操作画面を表示させるボタンであり、「スキャン」の機能ボタン321は、画像読取機能を使用する為の操作画面を表示させるボタンであり、「プリント」の機能ボタン321は、印刷機能を使用する為の操作画面を表示させるボタンであり、「ファックス」の機能ボタン321は、ファクシミリ機能を使用する為の操作画面を表示させるボタンである。
【0061】
「ジョブリスト」の機能ボタン321は、過去に実行されたジョブ(印刷ジョブなど)のリストを表示させる為のボタンである。「その他設定」の機能ボタン321は、ホームメニュー画面320に一度に表示しきれなかった機能ボタン321を表示させる為のボタンである。
【0062】
画面情報欄301には、現在表示しているメニュー画面の種類が表示される。
図8に示す例では、現在表示しているメニュー画面がホームメニュー画面320である為、「ホーム」の文字が表示されている。操作者情報欄302には、ログインしている操作者(つまりユーザ)のユーザ名が表示される。
図8に示す例では、ログインしている操作者のユーザ名として「bbbb」が表示されている。ホームメニュー画面320の構成は、以上のようになっている。
【0063】
つづけて
図9に、操作画面の1つであるコピーメニュー画面330を示す。このコピーメニュー画面330は、ホームメニュー画面320に表示されている「コピー」の機能ボタン321が押下操作された場合に、ホームメニュー画面320から切り替えて表示される機能メニュー画面である。
【0064】
このコピーメニュー画面330には、複写機能に関するオブジェクトが表示されている。具体的には、コピーメニュー画面330には、複写機能の各種設定を行う為の複数の設定ボタン331と、ホームメニュー画面320に戻る為の戻るボタン332と、複写機能を実行する為の実行ボタン333が表示されている。
【0065】
図9に示す例では、「カラー」、「給紙トレイ」、「両面」、「部数」、「拡大/縮小」、「その他設定」の計6個の設定ボタン331が表示されている。「カラー」の設定ボタン331は、モノクロ印刷で複写するかカラー印刷で複写するかを選択する為のボタンであり、「給紙トレイ」の設定ボタン331は、給紙するトレイを選択する為のボタンであり、「両面」の設定ボタン331は、片面印刷で複写するか両面印刷で複写するかを選択する為のボタンである。
【0066】
また「部数」の設定ボタン331は、複写する際の印刷部数を指定する為のボタンであり、「拡大/縮小」の設定ボタン331は、複写する画像の拡縮倍率を指定する為のボタンであり、「その他設定」の設定ボタン331は、コピーメニュー画面330に一度に表示しきれなかった設定ボタン331を表示させる為のボタンである。
【0067】
またこのコピーメニュー画面330にも、ホームメニュー画面320と同様、画面情報欄301と、操作者情報欄302と、ログオフボタン303が表示されている。コピーメニュー画面330の画面情報欄301には、現在表示しているメニュー画面がコピーメニュー画面330である為、「コピー」の文字が表示されている。操作者情報欄302には、ログインしている操作者(つまりユーザ)のユーザ名が表示される。
図9に示す例では、ログインしている操作者のユーザ名として「bbbb」が表示されている。コピーメニュー画面330の構成は、以上のようになっている。
【0068】
尚、ここでは、一例として、ホームメニュー画面320の「コピー」の機能ボタン321が押下操作された場合に表示されるコピーメニュー画面330について説明した。同様に、ホームメニュー画面320の「スキャン」の機能ボタン321が押下操作された場合には、図示しないスキャンメニュー画面が表示され、「ファックス」の機能ボタン321が押下操作された場合には、図示しないファックスメニュー画面が表示されるようになっている。コピーメニュー画面330以外の機能メニュー画面についても、コピーメニュー画面330と同様、設定ボタンと、戻るボタンと、実行ボタンと、画面情報欄301と、操作者情報欄302と、ログオフボタン303が表示される。
【0069】
[1-7-2.複数の操作手段による操作の受け付け]
次に、情報処理装置100の動作として、複数の操作手段による操作の受け付けについて説明する。情報処理装置100は、上述したように、UI部170による操作の他に、端末装置200による遠隔操作を受け付けるようになっている。この為、UI部170と端末装置200から、もしくはUI部170と複数の端末装置200からというように、複数の操作手段から情報処理装置100に対する操作がほぼ同時に行われる場合がある。
【0070】
ここで例えば、ホームメニュー画面320を表示する操作や、ジョブリストを表示する操作の場合、複数の操作手段で同時に行われても、情報処理装置100が対応できる。したがって、情報処理装置100では、このような操作については、複数の操作手段により同時に行うことを許容する。
【0071】
一方、情報処理装置100が備える機能のなかには、複数の操作手段で同時に操作を行うこと(つまり同時に使用すること)ができないものがある。例えば複写(コピー)機能は、複数の操作手段から同時に異なる設定が行われたり実行指示が行われたりしても情報処理装置100が対応できない。したがって、情報処理装置100では、複写機能に対しては、一の操作手段により設定や実行指示などの操作が行われている場合に、他の操作手段による設定や実行指示などの操作を制限するようになっている。つまり、情報処理装置100の排他制御部184は、複写機能の使用権限を一の操作手段に与えた場合、他の制御手段には複写機能の使用権限を与えないことで、他の操作手段からは複写機能を使用できないように制限する。
【0072】
またこの複写機能は画像読取部120にくわえて画像形成部110と用紙搬送部130も使用する為、情報処理装置100の排他制御部184では、複写機能に対する操作を制限する場合(つまり複写機能の使用を制限する場合)、画像読取部120を使用する画像読取(スキャン)機能と、画像形成部110と用紙搬送部130を使用する印刷(プリント)機能とファクシミリ(ファックス)機能に対する操作も制限するようになっている。
【0073】
ここで、
図9と
図10を用いて、複数の操作手段により同時に情報処理装置100の操作が行われた場合の操作画面について説明する。
図9は、上述したように、コピーメニュー画面330であり、ユーザ「bbbb」が操作手段としてのUI部170を用いてログインした後、ホームメニュー画面320の「コピー」機能ボタン321を押下操作後に表示される直接操作画面である。
【0074】
一方、
図10は、ホームメニュー画面320であり、ユーザ「aaaa」が操作手段としての端末装置200を用いてログインした後に表示される遠隔操作画面である。
図10に示すホームメニュー画面320では、画面情報欄301に、現在表示しているメニュー画面が遠隔操作画面としてのホームメニュー画面320である為、「リモートホーム」の文字が表示されている。
【0075】
図9に示すコピーメニュー画面330と
図10に示すホームメニュー画面320からわかるように、複数の操作手段により同時に情報処理装置100が操作されている場合、各操作手段の操作画面には、同時に操作している他の操作手段に関する情報は表示されない。例えばユーザ「aaaa」が操作するコピーメニュー画面330上に、ユーザ「bbbb」に関する情報は表示されない。
【0076】
一方で、このとき、ユーザ「aaaa」がUI部170を用いてコピーメニュー画面330を操作していることから、情報処理装置100では、UI部170以外の操作手段による複写機能、画像読取機能、印刷機能、ファクシミリ機能が制限されている。この為、ユーザ「bbbb」が操作するホームメニュー画面320では、「コピー」、「スキャン」、「プリント」、「ファックス」の機能ボタン321の代わりに、「コピー」、「スキャン」、「プリント」、「ファックス」の使用不可ボタン304が表示され、複写機能、画像読取機能、印刷機能、ファクシミリ機能を使用できない状態となっている。
【0077】
このようにして、情報処理装置100では、排他制御の対象となる機能の使用権限を一の操作手段(例えばUI部170)に与えた場合、他の操作手段には当該機能の使用権限を与えないことで、他の制御手段(例えば端末装置200)からは当該機能を使用できないように制限する。
【0078】
尚、情報処理装置100の表示制御部181や、端末装置200の表示制御部201は、情報処理装置100の使用権限情報管理部185から使用権限情報を取得し、当該使用権限情報の内容(つまりどの操作手段にどの機能の使用権限が与えられているか)に基づいて、
図9や
図10に示す操作画面を表示するようになっている。
【0079】
[1-7-3.排他制御]
つぎに、情報処理装置100の動作として、排他制御について詳しく説明する。尚、以下に説明する排他制御は、情報処理装置100の排他制御部184が、UI部170及び端末装置200などと協働して行うものである。排他制御を行ううえで、機能に対する操作(つまり機能の使用)を一の操作手段のみに制限する状態が継続されると、不都合が生じる場合がある。例えば、機能の使用権限を与えられた一の操作手段を用いて操作している操作者(ユーザ)が、機能の使用権限を解除し忘れた場合、他の操作手段を用いて操作しようとしている操作者は、不必要に待たされることになる。
【0080】
この為、情報処理装置100では、機能の使用権限を保有している一の操作手段(つまり保有側操作手段)に対して、他の制御手段(つまり要求側操作手段)から使用権限の委譲を要求する操作を行うことができるようになっている。
【0081】
具体的な操作例として、保有側操作手段(例えばユーザ「bbbb」が操作しているUI部170)側には
図9に示すコピーメニュー画面330が表示され、要求側操作手段(例えばユーザ「aaaa」が操作している端末装置200)側には
図10に示すホームメニュー画面320が表示されている状態で、
図10に示すホームメニュー画面320上で、「コピー」の使用不可ボタン304が押下操作された場合を考える。
【0082】
このように要求側操作手段によりホームメニュー画面320上で「コピー」の使用不可ボタン304を押下操作しても、複写機能の使用権限は保有側操作手段にある為、ホームメニュー画面320から直ちにコピーメニュー画面330に切り替わることはない。この場合、要求側操作手段から保有側操作手段に対して、複写機能の使用権限を要求する。
【0083】
尚、ここでは、保有側操作手段側に表示されているコピーメニュー画面330を保有側操作画面330と呼び、要求側操作手段側に表示されているホームメニュー画面320を要求側操作画面320と呼ぶ。
【0084】
図10に示す要求側操作画面320上で、ユーザ「aaaa」により「コピー」の使用不可ボタン304が押下操作された場合、
図11(B)に示すように、この要求側操作画面320上に、複写機能の使用権限を保有している操作手段(ユーザ「bbbb」が操作しているUI部170)に対して使用権限を要求する為のダイアログボックス306を表示させる。
【0085】
このダイアログボックス306には、複写機能を他の操作者が使用中であることを示すメッセージ(「ユーザ:bbbbが使用中です」)Ms1と、使用権限を要求するか否かを問うメッセージ(「使用権限を要求しますか?」)Ms2と、使用権限を要求することを選択する為のOKボタン306aと、使用権限を要求せずにダイアログボックス306を消去する為の戻るボタン306bが表示されている。
【0086】
ここで、ユーザ「aaaa」が、OKボタン306aを押下操作した場合、要求側操作手段(例えば端末装置200)から保有側操作手段(例えばUI部170)に使用権限要求が送信される。
【0087】
保有側操作手段(UI部170)では、要求側操作手段(端末装置200)から使用権限要求を受信すると、これに応じて、
図11(A)に示すように、保有側操作画面330上に、要求側操作手段(ユーザ「aaaa」が操作している端末装置200)からの使用権限の要求に応答する為のダイアログボックス305を表示させる。
【0088】
このダイアログボックス305には、他の操作者から使用権限を要求されていることを示すメッセージ(「ユーザ:aaaaから使用要求がありました」)Ms3と、使用権限を委譲するか否かを問うメッセージ(「使用権限を委譲しますか?」)Ms4と、使用権限を委譲することを選択する為の許可ボタン305aと、使用権限の移譲を拒否することを選択する為の拒否ボタン305bが表示されている。
【0089】
ここで、保有側操作手段(UI部170)を操作しているユーザ「bbbb」が許可ボタン305aを押下操作した場合、要求側操作手段(UI部170)から保有側操作手段(端末装置200)に使用権限が委譲される。この場合、情報処理装置100の使用権限情報管理部185は、複写機能の使用権限と、画像読取機能、印刷機能、ファクシミリ機能の使用権限とを保有している操作手段を保有側操作手段(UI部170)から要求側操作手段(端末装置200)に変更するように使用権限情報を更新する。これにより、複写機能、画像読取機能、印刷機能、ファクシミリ機能の使用権限が、保有側操作手段から要求側操作手段に委譲されたことになる。
【0090】
この結果、要求側操作手段(端末装置200)側に表示される操作画面が、
図11(B)に示す要求側操作画面320から
図12(B)に示すコピーメニュー画面330に切り替わる。これにより、要求側操作手段(端末装置200)側で複写機能を使用できる状態となる。
【0091】
尚、複写機能、画像読取機能、印刷機能、ファクシミリ機能の使用権限が、保有側操作手段(UI部170)から要求側操作手段(端末装置200)に委譲されると、保有側操作手段(UI部170)側に表示される操作画面が、保有側操作画面(すなわちコピーメニュー操作画面)330からホームメニュー画面320に強制的に戻るようになっている。このとき、複写機能、画像読取機能、印刷機能、ファクシミリ機能の使用権限が要求側操作手段に委譲された為、保有側操作手段側に表示されるホームメニュー画面320には、「コピー」、「スキャン」、「プリント」、「ファックス」の機能ボタン321の代わりに、「コピー」、「スキャン」、「プリント」、「ファックス」の使用不可ボタン304が表示され、複写機能、画像読取機能、印刷機能、ファクシミリ機能を使用できない状態となっている。
【0092】
ここで、ユーザ「bbbb」により「コピー」の使用不可ボタン304が押下操作された場合、
図12(A)に示すように、このホームメニュー画面320上に、複写機能の使用権限を委譲した操作手段(ユーザ「aaaa」が操作している端末装置200)に対して使用権限を要求する為のダイアログボックス306を表示させる。以降、上述した保有側操作手段(UI部170)から要求側操作手段(端末装置200)に使用権限を委譲した場合と同様の手順で、要求側操作手段から保有側操作手段に使用権限を委譲(戻す)ことができる。
【0093】
一方、保有側操作手段(UI部170)を操作しているユーザ「bbbb」が、
図11(A)に示すダイアログボックス305の拒否ボタン305bを押下操作した場合、要求側操作手段(UI部170)から保有側操作手段(端末装置200)に使用権限が委譲されず、保有側操作手段が使用権限を保有し続けることになる。この場合、要求側操作手段(端末装置200)側には、引き続き
図10に示す要求側操作画面320が表示されることになり、複写機能、画像読取機能、印刷機能、ファクシミリ機能を使用できない状態が継続する。
【0094】
さらに情報処理装置100による排他制御では、
図11(A)に示したように、保有側操作手段(UI部170)側にダイアログボックス305を表示させた後、許可ボタン305a、拒否ボタン305bのどちらも押下操作されずに、所定時間経過すると、保有側操作手段から要求側操作手段に強制的に使用権限が委譲されるようになっている。こうすることで、保有側操作手段(UI部170)の操作者(ユーザ「bbbb」)が、保有側操作画面330を表示させたまま、保有側操作手段から離れるなどして、保有側操作手段の操作者から何ら応答がない場合でも、使用権限を要求側操作手段に委譲することができる。これにより、要求側操作手段(端末装置200)の操作者(ユーザ「aaaa」)が不必要に待たされる状況を回避することができる。尚、この場合、保有側操作手段(UI部170)側では、操作画面が強制的にホームメニュー画面320に戻されるようになっている。
【0095】
また一方で、排他制御では、保有側操作手段(UI部170)側にダイアログボックス305を表示させた後、許可ボタン305a、拒否ボタン305bのどちらも押下操作されずに、所定時間経過した場合であっても、情報処理装置100に対して消耗品の交換作業が行われている場合には、保有側操作手段から要求側操作手段に強制的に使用権限を委譲しないようになっている。消耗品交換について詳しくは後述する。
【0096】
さらに情報処理装置100による排他制御では、例えば、保有側操作手段(UI部170)側で、操作者(ユーザ「bbbb」)がコピーメニュー画面330の戻るボタン332を押下操作してホームメニュー画面320に戻った場合、もしくはコピーメニュー画面330のログオフボタン303を押下操作してログオフした場合、保有している複写機能、画像読取機能、印刷機能、ファクシミリ機能の使用権限を解除するようになっている。要求側操作手段に使用権限が委譲された場合も同様の手順で、使用権限が解除される。
【0097】
この場合、情報処理装置100の使用権限情報管理部185は、複写機能の使用権限、画像読取機能、印刷機能、ファクシミリ機能の使用権限を保有している操作手段を示す使用権限情報を削除する。これにより、複写機能、画像読取機能、印刷機能、ファクシミリ機能の使用権限が解除されたことになる。
【0098】
また例えば、保有側操作手段(UI部170)から要求側操作手段(端末装置200)に複写機能の使用権限が委譲された後、要求側操作手段側から何も応答がなく放置された状態で、所定時間経過すると、複写機能などの使用権限を強制的に保有側操作手段に戻すようにしてもよい。
【0099】
さらに例えば、保有側操作手段(UI部170)側で、要求側操作手段(端末装置200)からの複写機能の使用権限の要求を拒否した後、保有側操作手段側から何も応答がなく放置されている状態で、所定時間経過すると、複写機能の使用権限を強制的に要求側操作手段に委譲するようにしてもよい。
【0100】
このようにすれば、保有側操作手段の操作者や要求側操作手段の操作者が不必要に待たされる状況を回避することができる。情報処理装置100による排他制御は、以上のようになっている。
【0101】
[1-7-4.消耗品交換]
つぎに、情報処理装置100の動作として、消耗品交換について詳しく説明する。情報処理装置100では、保有側操作手段(UI部170又は端末装置200)による操作に応じて複写機能などを実行中に、用紙トレイ11の記録用紙14がなくなる場合や、各画像形成ユニット25のトナーがなくなる場合、感光体ドラム30の交換が必要になる場合などがある。この場合、情報処理装置100では、記録用紙14や、トナー、感光体ドラム30などの消耗品の交換が必要になってくる。尚、ここでいう消耗品の交換には、消耗品の補充も含まれているとする。
【0102】
この場合、保有側操作手段の操作者(ユーザ)は、例えば、情報処理装置100の設置場所から、消耗品の保管場所まで消耗品を取りに行き、再び情報処理装置100の設置場所まで戻り、消耗品の交換作業を行うことになる。このとき、操作者(ユーザ)は、消耗品の交換作業が完了するまで、保有側操作手段を操作できなくなる為、例えば要求側操作手段から複写機能などの使用権限の要求があったとしても応答することができない。
【0103】
そこで、上述したように、情報処理装置100では、消耗品の交換作業が行われている間は、保有側操作手段から所定時間何も応答が得られずに放置されても、使用権限を要求側操作手段には委譲させないようになっている。
【0104】
具体的には、情報処理装置100の排他制御部184は、例えばユーザ「bbbb」がUI部170から複写機能を使用している際に、消耗品交換が必要になった場合、
図13(A)に示すように、コピーメニュー画面330上に、消耗品交換について応答する為のダイアログボックス307を表示させる。尚、排他制御部184は、例えば消耗品管理部187から消耗品の交換が必要になった旨の通知を受けると、表示制御部181にダイアログボックス307を表示するよう指示する。
【0105】
このダイアログボックス307には、消耗品交換を行うか否かを問うメッセージ(「消耗品交換しますか?」)Ms11と、消耗品交換を行うことを選択する為の「はい」ボタン307aと、消耗品交換を行わないことを選択する為の「いいえ」ボタン307bとが表示されている。
【0106】
ここで、ユーザ「bbbb」が、「はい」ボタン307aを押下操作した場合、ダイアログボックス307に代えて、
図13(B)に示すダイアログボックス308が表示される。このダイアログボックス308には、消耗品交換作業中であることを示すメッセージ(「消耗品交換作業中」)と、消耗品交換作業から戻ることを選択する為の戻るボタン308aとが表示されている。
【0107】
排他制御部184は、ダイアログボックス308の戻るボタン308aが押下操作されるまで、もしくは消耗品管理部187と装置状態管理部188の両方から消耗品の交換作業が完了した旨の通知を受けるまで、このダイアログボックス308を表示し続ける。排他制御部184は、このダイアログボックス308を表示している間は、保有側操作手段から所定時間何も応答が得られなくても、使用権限を要求側操作手段には委譲させないようになっている。
【0108】
尚、戻るボタン308aが押下操作されるまで、もしくは消耗品管理部187と装置状態管理部188の両方から消耗品の交換作業が完了した旨の通知を受けるまで、無制限に待ち続けると、要求側操作手段の操作者を不必要に待たせることになる。この為、例えば、消耗品の交換作業に要する作業時間(所定時間よりも長い時間)が設定されていて、戻るボタン308aが押下操作されず、且つ消耗品管理部187と装置状態管理部188の両方から消耗品の交換作業が完了した旨の通知を受けないまま、設定された作業時間経過した場合には、使用権限を要求側操作手段に委譲させない状態を解除するようにしてもよい。尚、この作業時間は、消耗品交換作業を行う前に、消耗品交換作業を行うユーザに入力させてもよいし、予め所定の作業時間(例えば5分間)が設定されていてもよい。
【0109】
また消耗品交換を行わないことを選択する為の「いいえ」ボタン307bが押下操作された場合には、保有側操作手段が保有している使用権限を要求側操作手段に委譲するようにしてもよい。また要求側操作手段がいない場合などには、保有側操作手段が保有している使用権限を解除するようにしてもよい。情報処理装置100に対する消耗品交換は、以上のようになっている。
【0110】
[1-8.操作画面の遷移]
つぎに、
図14に、情報処理装置100のUI部170及び端末装置200の表示部240に表示される操作画面の遷移図を示す。尚、
図14には、排他制御の対象となる機能のメニュー画面(例えばコピーメニュー画面330)を排他画面Sc1として記載し、排他制御の対象ではない機能のメニュー画面(例えばホームメニュー画面320)を通常画面Sc2として記載している。
【0111】
また
図14には、同じ排他画面を表示している(もしくは表示しようとしている)操作者を、競合操作者として記載している。すなわち、競合操作者は、一の操作手段を用いて排他画面を表示しようとしている一の操作者から見て、既に他の操作手段を用いて同じ排他画面を表示している他の操作者、もしくは一の操作手段を用いて排他画面を表示している一の操作者から見て、新たに他の操作手段を用いて同じ排他画面を表示しようとしている他の操作者である。
【0112】
尚、画面遷移について詳しくは上述した為、ここでは簡単に説明する。
図14に示すように、操作者が通常画面Sc2を表示した状態から排他画面Sc1に遷移しようとする場合、競合操作者がいない場合は、排他画面に自由に遷移できる。一方、競合操作者がいる場合、その競合操作者の承認待ち(つまり許可待ち)の状態St1となる。そして競合操作者が許可すれば排他画面Sc1へ遷移できるが、拒否された場合には排他画面Sc1に遷移できず、通常画面Sc2のままとなる。また排他画面Sc1から通常画面Sc2には自由に遷移できる。
【0113】
排他画面Sc1を表示しているときの操作手段の基本的な状態は、排他状態(当該操作手段に対してのみ使用権限が与えられている状態)で操作が行われている状態である排他状態操作中St2と、排他状態で所定時間操作が行われてなく放置されている状態(つまり操作手段から所定時間何も応答が得られず放置された状態)である排他状態放置中St3と、排他状態で消耗品交換が行われている状態である排他状態交換中St4がある。尚、排他状態操作中St2には、操作手段に対する操作に応じて情報処理装置100が動作している状態も含まれる。よって、排他状態放置中St3は、操作手段に対する操作が行われてなく(つまり操作手段からの応答がなく)、且つ操作手段に対する操作に応じて機能実行部186が機能を実行していない状態となる。具体的には、例えば、操作手段に対する操作により機能実行部186が印刷を開始してから印刷を終了するまでの状態は、排他状態操作中St2に含まれることになる。
【0114】
操作者が排他状態操作中St2のときに、競合操作者による排他画面Sc1への遷移が要求された場合(つまり使用権限が要求された場合)、排他画面Sc1の機能の使用権限を委譲するか否か確認する状態St5となる(
図11(A)参照)。そして、操作者が使用権限の委譲を承認(許可)した場合、もしくは委譲を承認も拒否もせずに所定時間経過した場合には、使用権限が競合操作者に委譲され、操作者が排他画面Sc1に遷移できない競合操作者使用状態St6となる。この場合、操作者側の操作画面は通常画面Sc2に戻る。尚、競合操作者がいない場合には、競合操作者使用状態St6とならず、操作者の使用権限が解除されるだけとなる。
【0115】
排他状態放置中St3に、競合操作者から排他画面Sc1への遷移が要求された場合、操作者への確認を得ずに、使用権限が競合操作者に委譲され、競合操作者使用状態St6となる。また競合操作者使用状態St6のときに、所定時間、競合操作者による操作が行われなかった場合、排他画面Sc1に遷移できないロック状態を解除可能な状態St7となる。ここで、操作者が排他画面Sc1への遷移を要求していた場合には、排他状態操作中St2となる。
【0116】
また排他状態操作中St2に、消耗品の交換が必要になったときに操作者が消耗品交換を行う場合、所定時間放置しても使用権限が委譲されない排他状態交換中St4となる(
図13(B)参照)。尚、排他状態交換中St4であっても、予め設定された作業時間を超えて放置され続けた場合には、排他状態放置中St3となる。また排他状態操作中St2に、消耗品の交換が必要になったにも関わらず、操作者が消耗品交換を行わなかった場合は、競合操作者使用状態St6となる。この場合、操作者側の操作画面は通常画面Sc2に戻る。この場合も、競合操作者がいない場合には、競合操作者使用状態St6とならず、操作者の使用権限が解除されるだけとなる。
【0117】
尚、消耗品の交換が必要になったにも関わらず、操作者が消耗品交換を行わなかった場合として考えられるのは、例えば、操作者が複写機能を使用しているときにトナーがなくなり、トナーを交換しなければならないが、操作者がトナーの交換方法を知らずに交換できない場合などである。このような場合、当然のことながら、情報処理装置100では複写機能を使用できない。このような場合、競合操作者がいれば、競合操作者使用状態St6となることで、競合操作者に使用権限を委譲する。この場合、競合操作者が操作者の代わりに消耗品交換を行うことになる。操作画面の遷移は、以上のようになっている。
【0118】
[1-9.まとめと効果]
ここまで説明したように、第1の実施の形態では、情報処理装置100に、操作手段としてのUI部170に対して行われた操作に基づいてログイン認証を行う認証処理部183と、ログイン認証された後に、UI部170に対して機能の使用権限を与え、当該使用権限を与えた後、所定時間、UI部170からの応答がない場合(つまりUI部170に対する操作が行われてなく、且つ機能実行部186が機能を実行していない場合)に、UI部170に対して与えた使用権限を解除する排他制御部184と、UI部170に対して機能の使用権限が与えられている場合に、UI部170に対して行われた操作に基づいて機能を実行する機能実行部186と、自装置としての情報処理装置100の状態を検知する状態検知部としての消耗品管理部187及び装置状態管理部188とを設けた。
【0119】
そして、排他制御部184が、消耗品管理部187及び装置状態管理部188の検知結果に基づいて、UI部170に与えた使用権限を所定時間経過後に解除するか否かを決定するようにした。具体的には、排他制御部184は、消耗品管理部187及び装置状態管理部188により、情報処理装置100の状態が所定の状態(すなわち消耗品の交換が必要な状態)であると検知され、所定の状態に対する所定の作業(すなわち消耗品の交換作業)が行われている場合に、UI部170に与えた使用権限を所定時間経過後も解除しないようにした。
【0120】
つまり、情報処理装置100の排他制御部184は、消耗品管理部187及び装置状態管理部188により情報処理装置100の状態が消耗品の交換が必要な状態であると検知されている間は、UI部170に与えた使用権限を所定時間経過後も解除しないようにした。
【0121】
こうすることで、情報処理装置100では、ユーザが消耗品交換作業をしている間に、使用していた機能の使用権限が解除されてしまう状況を回避することができ、ユーザが消耗品交換作業完了後に、使用していた機能をそのまま継続使用できるようになる。かくして、第1の実施の形態の情報処理装置100によれば、従来と比較して作業効率を向上することができる。
【0122】
また情報処理装置100は、複数の操作手段(例えばUI部170と端末装置200)から操作することが可能であり、排他制御部184は、一の操作手段(例えばUI部170)に対して機能の使用権限を与え、当該使用権限を与えた後、所定時間、一の操作手段からの応答がない場合に、一の操作手段に対して与えた使用権限を他の操作手段(例えば端末装置200)に委譲するようにした。
【0123】
そのうえで、排他制御部184は、消耗品管理部187により情報処理装置100の状態が消耗品の交換が必要な状態であると検知された際に、ユーザがUI部170を操作して消耗品の交換作業を行わない選択をした場合、UI部170に与えた使用権限を解除するようにした。
【0124】
こうすることで、例えば、UI部170を操作しているユーザが消耗品を交換することができない場合などに、UI部170に与えられている使用権限を解除して、端末装置200に委譲することで、端末装置200を操作しているユーザに消耗品の交換作業を代わりに行ってもらうことができる。
【0125】
また排他制御部184は、消耗品管理部187及び装置状態管理部188により情報処理装置100の状態が消耗品の交換が必要な状態であると検知された状態で、予め設定された作業時間経過しても、消耗品管理部187及び装置状態管理部188により情報処理装置100の状態が消耗品の交換作業が完了したと検知されない場合には、UI部170に与えた使用権限を解除するようにした。
【0126】
こうすることで、例えば、UI部170を操作しているユーザが消耗品交換作業を途中で放棄した場合などに、UI部170に与えられている使用権限を解除して、端末装置200に委譲することで、端末装置200を操作しているユーザに消耗品の交換作業を代わりに行ってもらうことができる。
【0127】
[2.第2の実施の形態]
つぎに第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、情報処理装置100の排他制御部184による排他制御の一部が、第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。よってここでは、主に第1の実施の形態と異なる部分を説明することとし、第1の実施の形態と同一部分についての説明は適宜省略する。
【0128】
第2に実施の形態は、第1の実施の形態として説明した
図1~
図6の構成と同一の構成を有している。また第2の実施の形態は、第1の実施の形態として説明した
図7~
図12の動作と同一の動作を行うようになっている。一方で、第2の実施の形態は、情報処理装置100の消耗品を交換する際の排他制御が第1の実施の形態とは異なっている。
【0129】
[2-1.消耗品交換時の排他制御]
第1の実施の形態では、情報処理装置100に対して消耗品交換作業が行われている場合には、機能の使用権限を要求側操作手段に委譲しないようになっていたが、第2の実施の形態では、消耗品交換作業中でも使用可能な機能については、消耗品交換作業中の間だけ、要求側操作手段に使用権限を一時的に委譲するようになっている。
【0130】
具体的な例を挙げると、例えば、情報処理装置100の複写機能を使用している際にトナーがなくなりトナーの交換作業を行う場合、画像読取(スキャン)機能についてはトナーを使用しない為、トナーの交換作業中でも使用することができる。そこで、要求側操作手段から使用権限を要求されている機能が画像読取機能である場合には、トナーの交換作業中に、一時的に画像読取機能の使用権限を要求側操作手段に委譲するようになっている。こうすることで、要求側操作手段の操作者は、トナーの交換作業が完了し、さらに保有側操作手段による複写機能の使用が終了するまで待つことなく、画像読取機能を使用することが可能となる。
【0131】
この場合、例えばユーザ「bbbb」が操作している保有側操作手段(例えばUI部170)側では、消耗品交換作業を行うことを選択する為に、
図13(A)に示すダイアログボックス307の「はい」ボタン307aを操作者(ユーザ「bbbb」)が押下操作すると、
図15(A)に示すように、ダイアログボックス307がダイアログボックス340に切り替わる。
【0132】
このダイアログボックス340には、消耗品交換作業中であること、及びその作業時間を示すメッセージ(「消耗品交換作業中です」、「約5分間」)Ms21と、他の操作手段に使用権限を委譲すること、及び消耗品交換作業完了後には優先的に使用権限を戻すことを示すメッセージ(「他のユーザに使用権限を委譲します」、「交換作業後は優先的に使用権限を戻します」)Ms22とが表示されている。尚、この作業時間は、消耗品交換作業を行う前に、消耗品交換作業を行うユーザに入力させてもよいし、予め所定の作業時間(例えば5分間)が設定されていてもよい。またこの作業時間は、前回の消耗品交換作業に要した時間が設定されていてもよいし、今までに消耗品交換作業に要した平均時間が設定されていてもよい。
【0133】
このとき、使用権限情報管理部185は、消耗品交換作業中に使用可能な画像読取機能の使用権限を保有側操作手段から解除されるように、使用権限情報を更新する。これにより、画像読取機能の使用権限が、保有側操作手段から解除されたことになる。
【0134】
一方、このとき、例えばユーザ「aaaa」が操作している要求側操作手段(例えば端末装置200)側では、ホームメニュー画面320上に表示されている各機能の使用不可ボタン304のうちの「スキャン」の使用不可ボタン304が、「スキャン」の機能ボタン321に切り替わることで、画像読取機能が使用可能になったことがわかる。
【0135】
ここで、ユーザ「aaaa」が「スキャン」の機能ボタン321を押下操作すると、
図15(B)に示すように、ホームメニュー画面320上に、ダイアログボックス341が表示される。
【0136】
このダイアログボックス341には、消耗品交換作業中であることを示すメッセージ(「ユーザ:bbbbが交換作業中です」)Ms23と、所定時間、指定の機能(この場合、画像読取機能)が使用可能であることと、この機能を使用するか否かを問うメッセージ(「約5分間 使用可能です」、「使用しますが?」)Ms24と、使用することを選択する為の「はい」ボタン310aと、使用しないことを選択する為の「いいえ」ボタン310bと、交換作業完了後は使用権限を戻すことを示すメッセージ(「交換作業完了後は優先的にbbbbに使用権限が移ります」)Ms25とが表示されている。
【0137】
ここで、ユーザ「aaaa」により「はい」ボタン310aが押下操作されると、操作画面が図示しないスキャンメニュー画面に切り替わる。また使用権限情報管理部185は、画像読取機能の使用権限が要求側操作手段に与えられたことを示す使用権限情報を作成する。これにより、画像読取機能の使用権限が、要求側操作手段に与えられたことになる。その後、消耗品交換作業が完了すると、画像読取機能の使用権限が、要求側操作手段から保有側操作手段に委譲されることになる。
【0138】
[2-2.操作画面の遷移]
つぎに、
図16に、第2の実施の形態による操作画面の遷移図を示す。尚、この
図16に示す遷移図は、一部を除いて、
図14に示す遷移図と同じである。ゆえにここでは、
図14に示す遷移図とは違う部分についてのみ説明することにする。
【0139】
図16に示す遷移図では、排他状態交換中St4から競合操作者確認待ちSt10、そして競合操作者操作中St11へと遷移する部分が、
図14の遷移図とは異なっている。
【0140】
すなわち、排他画面Sc1では、消耗品交換作業が行われる排他状態交換中St4に、競合操作者から消耗品交換作業中に使用可能な機能に対する使用権限を要求されると、競合操作者確認待ちSt10となり、競合操作者に消耗品交換作業中だけ機能を使用するかどうか確認させる(
図15(B)参照)。ここで、競合操作者が消耗品交換作業中だけ機能を使用することを選択すると、競合操作者操作中St11となり、競合操作者が、排他画面Sc1上で機能を使用する。その後、消耗品交換作業の作業時間が経過する前に競合操作者による操作が完了した場合(機能の使用が完了した場合)、もしくは作業時間が経過した場合、再び排他状態交換中St4となり、競合操作者に委譲されていた使用権限が操作者に戻される。操作画面の遷移は、以上のようになっている。
【0141】
[2-3.まとめと効果]
ここまで説明したように、第2の実施の形態では、情報処理装置100の排他制御部184が、保有操作手段(例えばUI部170)側で、情報処理装置100の消耗品交換作業が行われている場合に、消耗品交換作業中でも使用可能な機能については、消耗品交換作業が完了するまでの間、一時的に、要求側操作手段(例えば端末装置200)に使用権限を委譲させるようにした。
【0142】
こうすることで、要求側操作手段を操作している操作者は、情報処理装置100で消耗品交換作業が完了し、さらに保有側操作手段による機能の使用が完了するまで待たずに、機能を使用することができる。かくして、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と比較して、さらに作業効率を向上することができる。
【0143】
[3.他の実施の形態]
[3-1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1の実施の形態では、操作手段に与えた使用権限を解除(もしくは委譲)した際に、操作手段側の操作画面を、ホームメニュー画面320に戻すようにした。これに限らず、例えば、操作手段をログオフさせることにより、操作手段に与えた使用権限を解除(もしくは委譲)し、操作手段側の操作画面をログイン画面310に戻すようにしてもよい。第2の実施の形態についても同様である。
【0144】
またこれに限らず、操作手段に与えた使用権限を解除(もしくは委譲)した際に、操作手段側の操作画面を、ホームメニュー画面320に戻すことなく、コピーメニュー画面330などの機能メニュー画面をそのまま表示し続けるようにしてもよい。この場合、使用権限を解除されている為、機能メニュー画面上での操作(つまり機能の使用)ができないようになっていればよい。第2の実施の形態についても同様である。
【0145】
また上述した第1の実施の形態では、一の操作手段により情報処理装置100を操作している一の操作者(つまり情報処理装置100にログインしている一の操作者)が、情報処理装置100の消耗品交換作業を行っている間は、他の操作手段に使用権限が委譲されないようにした。ここで、例えば、他の操作手段がいない場合、つまり情報処理装置100に一の操作者しかログインしていない場合には、一の操作者が情報処理装置100の消耗品交換作業を行っている間は、一の操作手段に与えられた使用権限が解除されないように、もしくは一の操作者をログオフさせないようにすればよい。第2の実施の形態についても同様である。
【0146】
[3-2.他の実施の形態2]
さらに上述した第1の実施の形態では、一の操作手段により情報処理装置100を操作している一の操作者が、情報処理装置100の消耗品交換作業を行っている間は、他の操作手段に使用権限が委譲されないようにした。これに限らず、例えば、一の操作者が、情報処理装置100で発生したエラー(例えば紙詰まりなど)の解消作業を行っている間も、他の操作手段に使用権限が委譲されないようにしてもよい。
【0147】
この場合、例えば、情報処理装置100の画像形成部110、画像読取部120、用紙搬送部130が、それぞれ自身に発生したエラーを検知する機能を備えていて、検知したエラーを装置状態管理部188に通知する。装置状態管理部188は、通知されたエラーと、用紙トレイ11の開閉、カバー50の開閉などに基づいて、情報処理装置100の状態がエラーの解消作業中であるか否かを判断し、排他制御部184に通知するようにすればよい。
【0148】
このようにすれば、ユーザがエラーの解消作業をしている間に、使用していた機能の使用権限が解除されてしまう状況を回避することができ、ユーザがエラーの解消作業完了後に、使用していた機能をそのまま継続使用できるようになる。
【0149】
また消耗品交換作業やエラーの解消作業以外の作業(つまり機能を使用する操作とは別に行われる作業)が行われていることを検知して、当該作業が行われている間は、一の操作手段に与えられている使用権限を解除しないようにしてもよい。
【0150】
また情報処理装置100では、装置状態管理部188が、このような作業が行われていることを、用紙トレイ11の開閉や、カバー50の開閉により判断するようにしたが、これに限らず、例えば、情報処理装置100に人感センサを設け、装置状態管理部188が、操作手段からの応答はないものの人感センサが情報処理装置100の近傍にいる操作者を検知している場合には、当該操作者が情報処理装置100に対する操作手段を用いない所定の作業を行っていると判断するようにしてもよい。
【0151】
[3-3.他の実施の形態3]
さらに上述した第1の実施の形態では、情報処理装置100とは別にユーザ情報データベース300と認証情報データベース400が設けられていたが、これらのデータベースを、情報処理装置100の記憶部190に構築するようにしてもよい。
【0152】
[3-4.他の実施の形態4]
また上述した各実施の形態では、複数の操作者が同時にログイン可能な情報処理装置100に本発明を適用したが、これに限らず、例えば、同時にログイン可能な操作者が一人に限定されている情報処理装置にも適用できる。この場合、ログインしている操作者が、消耗品交換作業などの作業を行っている間は、この操作者をログオフさせないように制御すればよい。
【0153】
さらに上述した各実施の形態では、複合機として構成される情報処理装置100に本発明を適用したが、これに限らず、操作者がログインすることで各種機能を使用できる様々な情報処理装置に適用することができる。
【0154】
[3-5.他の実施の形態5]
さらに本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は、例えば、定着部を備える画像形成装置で広く利用することができる。
【符号の説明】
【0156】
1……情報処理システム、100……情報処理装置、110……画像形成部、120……画像読取部、130……用紙搬送部、140……ファックス送受信制御部、150……送受信部、160……データ処理部、170……UI部、180……制御部、181……表示制御部、182……操作受付部、183……認証処理部、184……排他制御部、185……使用権限情報管理部、186……機能実行部、187……消耗品管理部、188……装置状態管理部、190……記憶部、200……端末装置、201……表示制御部、202……操作受付部、203……送受信制御部、210……CPU、220……記憶部、230……送受信部、240……表示部、250……操作入力部、304……使用不可ボタン、305~310……ダイアログボックス、310……ログイン画面、320……ホームメニュー画面、321……機能ボタン、330……コピーメニュー画面、321……機能ボタン。